東方覚醒録〜Don't exist originally   作:tora@812

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 いつもより、地の文というか、説明というかが多くなってます。


第十七話 開戦の鐘が鳴る

妖怪の山の麓 side 霊夢

 

 「へー、博麗神社を乗っとるね。」

 

 「そうよ、まったく、迷惑この上無いわ。」

 

 道すがら妖精の放つ弾幕を避けつつ、お互いに現状を話している。

 

 「ふーん、へへへ」

 

 「何よ。」

 

 「いや、ちょっと以外だっただけだぜ。いっつも賽銭の無い貧乏神社だ云々言ってるから、博麗神社に愛着があるとは思えなかったからさ。」

 

 まぁ、確かにうちの神社は賽銭が少ない。というよりほぼ無い。最近はスペルカードの売り上げのお陰で随分首が回るように成ったが。でも、

 

 「・・・・・それでも、あそこは私の家よ。」

 

 渡さない。

 

 ふと気がついたら、お祓い棒を握る手が強くなっていた。

 

 「・・・・・そうか、」

 

 「そうよ。」

 

 「ところで霊夢。そろそろ本気だした方が良さそうだぜ。」

 

 

 視線を前に向けると、いつの間にか妖怪の山のエリアに踏み込むところだった。まったく、自分がどれほど飛んだかすら覚えてないなんて、『何者にもとらわれない博麗の巫女』らしくもない。

 

 「落ち葉で前が見にくいわね。ところで、なんだかいい匂いしない?何て言うか・・・・生焼き芋みたいな。」

 

 「私は石焼き芋派だぜ。」

 

 「巫女と魔法使いの癖に神を食べようなんて、」

 

 突然、辺りに声が響いた。

 

 辺りを警戒すると、下から大量の落ち葉が舞い上がってくる。そして落ち葉は目の前に留まって渦巻きだす。やがて落ち葉はその場にから重力に従い、再び地面に落ちていく。落ち葉の舞っていた空間には、

 

 「笑止千万、」

 

 「不届き千万。」

 

 二人の人影が浮かんでいた。

 

 「誰が食べるって言ったのよ。でも、美味しそうな匂いは貴方達の匂い?」

 

 「私は違うわ。穣子(みのりこ)のよ」

 

 「神様たる物、身に纏う香りも気をつけないと。あ、ちなみに私は豊穣の神ね。」

 

 「そして私は紅葉の神よ。あなたたちが向かおうとしている場所にいる妖怪は、いままでの妖怪とは訳が違うわよ。」

 

 魔理沙が不敵に笑う。

 

 「それは楽しみだな。お前らも妖怪よりは強いんだろう。」

 

 「私たちはただの八百万分の一の神。」

 

 「この先は神様がごろごろしてるんだから。」

 

 「神が怖くて巫女ができますか」

 

 「神を恐がっても、立ち向かうのが人間だぜ。」

 

 「「そんな人間を迎え撃つのが神よ。」」

 

 「はぁ、話しても通す気は無いようね。」

 

 手に博麗の術と私の霊力を乗せた御札を構える。横を見ると、魔理沙も魔力を打ち出せる準備をしている。

 

 「始めましょう。」

 

 今代の博麗の巫女から始まった幻想郷の新たな決闘を

 

 「名乗りましょう。楽園の巫女、博麗霊夢」

 

 「普通の魔法使い、霧雨魔理沙」

 

 「寂しさと終焉の象徴、(あき)静葉(しずは)

 

 「豊かさと稔りの象徴、秋穣子」

 

 爽やかな秋風が吹き抜ける。これを合図に霊力弾が、魔力の光線が、落葉が、弾幕が舞う。

 

 ――――東方風神録 Stage1 開幕――――

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

霊夢たちの真下の木々の下 side 小傘

 

 よし、今だ。

 

 地面をけって走り出す。

 

 「虎之助さんのおかげで、隠れながら行動するのが大分うまくなったかな?」

 

 『人間を驚かす程度の能力』

 

 今まで、これは自分の能力と言っていても、全く意味の無いものだった。そもそも、この能力の使い方が分からなかった。自分の心に問い導き出した能力なのだから使えるはず。能力にうったえようとしても、どうしたらいいか分からない。まるで、鍵が無い扉の前で立ち止まって居るかのように、無意味な部屋(能力)だったのだ。

 

 でも、虎之助さんと早苗さんを驚かしてから、一緒に何度か驚かす練習をしているうちに段々と鍵が見えてきて、扉を少しだけども、開けることが出来てきた。『人間を驚かす』っていうのは、『気配を消すこと』、『気配を探ること』、『相手の隙を伺うこと』、『相手の意表をつくこと』なんかの集合体なのだ。だからこそ、さっきの博麗の巫女達に見つからずに行動する事も出来たし、他の人妖達にも気付かれずにここまで来ることが出来た。まだまだ、不完全だけども、ちょっとずつ能力にも慣れてきている。幻想郷に居るものは皆何かしらの能力を潜在的に持っているという話を聞いたことがある。もっとも、大半の人妖はその話を疑っていて引き出せない、あるいは引き出そうにも引き出せずに一生を終える。たとえ長い妖怪の一生であってもだ。

 

 私は妖怪化してからあまり時間が経っていないがそれでも能力を見出だせた。ほんとにありがたいことだと思う。

 

 そんなことを考えながら、抱えている長い包みを見る。これは虎之助さんの為にと思って作ったものだ。だいたい、よろず店のお代がわりということで錠前店で働いているが、自分の鍛冶の技術を磨くことが出来ているから自分の為という部分が多いと思う。もちろん、虎之助さんの役に立っているとは思う。でも、きちんとしたお返しは出来ていない。

 

 「気に入ってくれると良いけどな。」

 

 私の今持てる技術を最大限に奮って作った。自分では納得のいく出来だ。だからこそ、気に入ってもらえるか不安でもある。

 

 気配を感じたので見を隠す。クルクル回っている。気配を隠し、隙を伺って一気に通り過ぎる。もちろん飛んでも良いのだが、飛ぶと妖力を撒き散らしてしまう。それを隠せるだけの技術はまだ無い。

 

 しばらく走ると滝が見えてきた。ここまで来れば、コソコソするより飛んだ方が早い。

 

 気配を消すのにまわしていた力を、浮かぶための力に変え、ふわりと浮かび上がる。

 

 「後少しだ。」

 

 そう思った。いや、そう思ってしまったと言った方が良いのかも知れない。いくら目的地が近くても、ここは『妖怪の山』、地底と並ぶ第二の鎖国的地帯。そんなところで気を抜いて良いはずが無かった。

 「待ちな!!」

 

 突然声がした。川の方だ。

 

 振り返るとこちらに向け弾幕が飛んできていたところだった。

 

 「くっ、」

 

 浮遊の為に使っていた妖力を切り、自由落下で攻撃を避ける。片手に妖力弾を生み出しつつ、反対側の手で自分自身の本体を開き、落下の勢いを殺し着陸する。

 

 「そこだ!!」

 

 気配を探り、水面に妖力弾を放つ。

 

 水柱が上がり、影が飛び出してくる。

 

 「ふーん、付喪神にしては中々やるじゃないか。」

 

 「河童・・・・ですね。」

 

 「そうさ、谷カッパのにとりだよ。」

 

 河童は、妖怪の山に生息する種族で、その大半がエンジニアをしている。作った物を販売したりするので、排他的な種族ではないはずだ。

 

 「突然声をかけてきて、随分なご挨拶ですね。何のようですか。」

 

 出来る限り戦闘は避けたい。多少損失があっても、おとなしくして通りすぎるのが得策だろう。

 

 「何、大したことは無いよ。ただ、その包みに興味があってね。」

 

 そう言って、私の抱える包みを指差す。

 

 「つい最近のことだが、人間に道具の買取りを頼まれてね。その時、ちょっぴり安く買い取ろうとしただけなのに、私の大事な発明品の機能を殺して高額買取りを要求されたんだよ。仕返しに何かしたいと思ったら、思ったらお前さんが通りかかったんだ。お前さんの持つ包みから、そいつとよく似た霊力を感じる。」

 

 

 包みをぎゅっと抱きしめる。

 

 「それで、『これを奪えばいい妨害に成るんじゃ無いかな〜』なんて考えたって事ですか?」

 

 「まぁ、そんなとこだね。その荷物をこっちに渡しな。もちろんただでとは言わない。河童製の製品を――――」

 

 「――――嫌です。」

 

 「あぁ、何だって?」

 

 「嫌です。渡しません。確かに私は捨てられた傘の付喪神、人間全体は今でも好きに成れません。でも・・・・好きに成りたい人間もいるんです。・・・・・・・私にとって、あの人との過ごす時間は凄く大切なんです。・・・・・・なんと言われても、・・・・・・あの人を裏切るような真似はしません。」

 

 「そうかい、――――じゃあもう・・・・二度と頼まないよ・・・・・!!!」

 

 ああ、私はバカだな。虎之助さんなら、「河童製の製品くれるんですか。ありがとうございます。」とか言って近づいて、渡す瞬間に一撃かまして逃げるぐらいの事はするだろう。

 

 でも、出来ない。

 

 例え、口先だけの嘘でも、裏切りたくないのだ。

 

 「交渉出来ないなら仕方無い。」

 

 河童がカードを構える。

 

 「私が勝ったら、その荷物貰うよ。」

 

 荷物を背中に回し、カードを取り出す。

 

 「私が勝ったら、虎之助さんから一切手を引いてもらいます。」

 

 

 ―――命名決闘 多々良小傘vs河城にとり 開戦―――

 




 秋姉妹の出番またあるかな~。

 次回は小傘対にとりかな?スペカ戦の描写上手くいけるか、今から心配。

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技解説 神雷『タケミカヅチの剣』

 東風谷早苗の実戦用雷技。

 能力の使用であり、スペルカードではない。そのため、殺傷能力がある。

 詠唱は「天断ち湧きて煌めけ、刃と成りて、全てを絶やせ」

 外界で使用した雨乞い+雷落としを、練習で詠唱短縮とエネルギーを破壊に向けるようにアレンジしたもの

 因みに、『天断ち湧け、数多の流れ水よ』で雨乞いが出来る。だが、雨は不完全詠唱にする事で、雲の上での摩擦を増やし、雷の火力を上げている。

 感想、評価、批評、誤字報告、『よろず店』の依頼、この欄で解説して欲しい事等々、お待ちしています。
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