東方覚醒録〜Don't exist originally   作:tora@812

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 毎度のことですが、更新が遅くてすいません。僕としても『東方風宴会』はさっさと終わらせて『東方万事屋(仮)』に入って色んなキャラを掘り下げたいのですがね。

 そんなわけで、今回はいつもなら三話ぐらいかけてダラダラ書いてる内容を一話に纏めました。これで幾らかテンポアップ出来るかな?いつもで言う2.5話分位の長さなので読みにくければ今後の書き方を考えようと思います。あんまりアンケートっぽくすると活動報告に誘導しないといけなく成るので『長い』とか『詰め込み過ぎ』とかそのぐらいでいいので言いたいことがあればどうぞ。

 今まで一話3000字をメドにしていましたが、5000に変えようか悩んでいる筆者でした。


第三十一話 天狗改革同盟組

side 小傘

 

 「広告料って依頼したときに払うんだから別に要らないんじゃないの?」

 

 「ならお礼代?」

 

 「お前の中で払うことは決定なのか?」

 

 慧音さんが新聞をたたみながら半分あきれたように問いかけている。

 

 「一応儲けさせて貰ったことに成るから………」

 

 「感謝料ということか?」

 

 「いえ、相手が後から『あの時助けたんだから……』って事を言ってこないための警戒です。借りは作りたくないので」

 

 「……お前は変わってるなぁ」

 

 「よく言われます」

 

 相変わらずな虎之助さんの返事を聞きながら私は用紙を纏めようとすると、不自然に揺れている紙が目に写った。

 

 「風?何でここだけ?」

 

 そう呟くとそれに呼応するように小刻みに揺れ、ピタッと動かなくなった。

 

 「気のせいかなぁ?」

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

その近くの木の陰

 

 「ちょっと気付かれるの早かったわね。最近音を拾う風を使ってなかったから下手に成ったかしら?」

 

 「知りませんよ。白狼は基本的に風には適性が無いですから」

 

 「つれ無いわね、椛」

 

 振り返り、椛の方を見ながら言葉を返す。

 

 「別に身分をそこまで気にしなくてもいい時代に成りましたからね」

 

 「今まで気使ってたの?」

 

 再び鍵屋の方を見返り唐傘お化けの傘と外来人を見ながら、少しからかって質問をしてみる。すると、妙な答えが返ってきた。

 

 「周りに人が居てもある程度は素を出せるように成ったって事です」

 

 「木の陰に居るのに近くに人も何もないじゃないの?」

 

 「居ますよ」

 

 「どこに?」

 

 「すぐ後ろに」

 

 「え?」

 

 スッと後ろを振り返る。すると……。

 

 

 

 「おどろけ~!!!」

 

 

 

 「キャッ!!」

 

 

 

 さっきまで視界にとらえていたはずの唐傘お化けがそこに居た。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

その時錠前店・仮設店舗

 

 

 「あれ?小傘、妖力の傘弾なのて残してどこ行ったんだ?」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

side 小傘

 

 

 「能力で探ったら、こっちを見てる気配がしたんだけどどうかしたの?天狗さん?天狗の集落の事なら私たちは守矢に店を置いてるけど勢力ではないよ」

 

 ほんとは結構関わってるけど、うちは守矢神社の傘下でも檀家でもないから嘘は言ってない。鴉天狗ならたしか天狗組織の中では上の方だったよね?なら今回の件で怨みを持ってるかもしれない。もし何かあってもここは博麗神社の境内だから天狗も派手なことはしないはず。だから多分大丈夫。

 

 「いえいえ、あの件に多少なりとも関わったならきちんとお礼しないといけないと思ってますのでね」

 

 いや、危ないかも。これが『お礼参り』ってものなのかな?もう、ついでに二人分驚いて貰うつもりだったのに犬っぽい方の子が感覚系の能力だったみたいで気付かれちゃうし、ついてないなぁ

 

 「乱暴はダメだよ!それにここ神社だから何かあったら巫女が来ちゃうよ!」

 

 「あや?私は乱暴なんてする気は無いですよ?」

 

 「だってさっき『お礼しないと』って」

 

 「へ?」

 

 「え?」

 

 数拍間をあけてお互いやっと何か勘違いしてることに気がついた。

 

 「何しに来たの?天狗さん。あぁ、私は多々良小傘」

 

 「射命丸文、新聞記者です。それからこっちは……」

 

 「犬走椛」

 

 「幻想郷に新しく出来た組織について取材しようかと思いましてね。ついでに守矢神社側に取り次いで貰えると嬉しいのですが」

 

 射命丸文……どこかで聞いたような………。

 

 

 

 あっ!

 

 

 

 「それよりあの新聞どういう事!うちは広告なんて頼んでないよ!!だいたい妖怪除けの事はほんとなの!!!それは儲かったから感謝はしてるけど……」

 

 何でそんなことをしてきたのか解らない。理解が出来ない行動は危ないかもしれないから、ちゃんと確認しないとね。

 

 「あぁ、書いてることは本当ですよ。あの異変の後に境内から落ちていた南京錠で確かめたので間違いは無いです。書いた理由は……ただのお礼ですよ。私たちは組織が変わって欲しかった側なので」

 

 「鴉天狗なのに?変な人だね」

 

 「よく言われます、『人里に一番近い天狗(組織から一番遠い天狗)』って。私は鎖国状態から脱却して欲しかったかんですよ。それが私たちの悲願だったから。私と椛とあの子の……」

 

 「???」

 

 「……文さん、固まってますよ」

 

 「えっ?………!あぁ、まあとにかく、お返しは要らないからね。後でごねたりもしない……って口だけではあの人間は納得しなさそうですね」

 

 そういって手帳から一枚紙を切って、そこにペンを走らせた。

 

 「証文書いといたから。これで良いですかね?」

 

 心の中で私に聞かれても困ると思いつつ返事を返す。

 

 「はい、いいと思いますよ。えっと、守矢神社に紹介したらいいんですよね?」

 

 「はい、お願いします」

 

 その時、虎之助さんに渡されていた通信用の錠が動いた。

 

 『無事?』

 

 「ちょっと待って下さいね」

 

 文さんに断って返信を打つ。

 

 『無事、今行く』

 

 「店の方に一回話してきます」

 

 「分かりました。ごゆっくり」

 

 この通信、信号の変換自分でしないといけないから短文しか送れないのが難点かな?虎之助さんや早苗さんの言ってた『けーたいでんわ』っていうのは便利なんらしいけど……。今度何か考えようかな?

 

 歩いて数秒、私はこれまでの経緯を虎之助さんに話しておいた。虎之助さんいわく、慧音さんが人里の買う人は全員買ったと言っていたらしい。だから挨拶まわり兼営業に行ってくるらしい。そして、私は文さんと椛さんと一緒に神奈子さん達のところに向かった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

side 文

 

 『虎傘錠前店』守矢神社の境内にあり、傘下ではないけども守矢神社との関連の深い店。構成員は二人で外来人で鍵の『力』の方を担当している『栂峰虎之助』。そして──

 

 「ねぇ、虎之助さんの能力知ってたみたいに記事が書いてあったけど、いつの間に調べたの?」

 

 ──今案内をしてもらっている鍵の『形』の方を担当している唐傘お化け『多々良小傘』。正直なめていたけど、にとりさんに勝ったり、私の背後をとったり案外力はあるかもしれない。まあ、にとりさんも油断していたようですし、私も身に危険が及ぶことは無いと思っていたから風の探知を切ったいたからそんな()()()()()()に成っただけかもしれないけども。

 

 その問いに椛が答える。

 

 「守矢神社が幻想入りした時から、私の『千里先まで見通す程度の能力』で度々確認していましたから。守矢神社が組織の毒になるか薬になるか確認しないといけなかったですからね」

 

 「身分差別だっけ?話はだいたい聞いてるけど、守矢がやった事って組織を崩しただけでしょ?役にたったの」

 

 その質問は私が答えよう。

 

 「それが良かったんですよ、後戻りする機会に成ったから。元々天狗の組織は鬼に『支配』されていた過去に囚われないように新しい枠組みを作るために生まれました。でも、当時は治める方法といえば鬼時代の『支配』しか天狗は知りませんでした。だから、それから逃れよう逃れようとすればするほど、鬼時代と同じように成っていってしまったのです。他の治め方を知ったときには、もう組織は腐敗しきってしまっていたんです。もしも今の知識を持ってあの頃に戻れたら、きっと変われる。いえ、きっと変えてみせる。まだ子供だったあのときとは違うから。……だからいったん『今の天狗』を破壊してくれた守矢神社には感謝してるの。破壊してくれたら、私たちの手でまた創造できる。もう過去の過ちは繰り返さないから」

 

 いつの間にか素の話し方に成っていたことに気が付いて慌てて元に戻す。

 

 「小傘さんも今回の件に遠回しでも協力してくださったようですし、虎之助さんの方は見ていない間に天狗の事に気が付いてくださったようですから恩があります。この度はありがとうございました」

 

 「えっ、あっ、うん。どういたしまして?」

 

 お礼を言われたけど自分としてはお礼を言われるようなことはしてないから戸惑っている。そんな顔をしている。

 

 「ですから宣伝で必要があれば今後もお願いしますね。以前と違って人里にもこそこそしなくても配達出来るように成りましたし」

 

 

 「まぁ、そういうのは虎之助さんの担当だから後で話しとくね。あっ、神奈子さん!!お客さんですよ!!!」

 

 もう着いていたようだ。守矢神社の一柱がすぐそこに見えていた。誰かと話しているようだ。

 

 「あぁ、あんたらも来たんだね、文、椛」

 

 「あっ二人とも久しぶり」

 

 「あやや、まさか先客が居るとは思いませんでしたよ。にとり、雛」

 

 鍵山雛と河城にとり。『吸血鬼異変』からの仲で色々私たちをサポートしてくれていた。

 

 「ん?知り合いか?」

 

 「えぇ、さっきまで話していた『変わることを望んでいた天狗』ですよ」

 

 にとりが慣れない敬語で話している相手、外界の神だろう。集落に来なかった方の神だから乾神『八坂神奈子』。守矢の現祭神であり、『洩矢諏訪子』に勝てる実力者で、守矢神社の最終決定権を持つのは此方の方だ。

 

 「射命丸文と申します。職業は新聞屋。まぁ、ご存じのとおり同族には嫌われておりましたので売れない新聞屋ですけどね」

 

 『文々。新聞』は一部白狼や妖怪相手に組織に睨まれないようにしながら細々としていた。本気で変えるために動けなかった。意見を先導するのが新聞屋の役割なのに。そういう意味では上層部相手にも売り付けようとしていた『花果子念報』には叶わなかったな。まぁ完全に負けているとは思ってないけどね。

 

 「もしも広告等で必要でしたらぜひご相談ください」

 

 「すまないな」

 

 「それと、もし良ければ取材をさせて頂けますか?」

 

 「勿論構わない」

 

 顔は笑顔だった。

 

 では早速と良い椛に持たせていたカメラを取るようにしながら顔を近づける。

 

 「椛、信用出来そう?」

 

 「えぇ、大丈夫です」

 

 「そう、良かった」

 

 椛の能力は千里眼。確かに遠くを間近にあるように見れるけど、元来『視覚』の能力。本当に間近にある対象ならどんなに小さな動きでも見逃さない。そしてどんな生物でも心理で動きが微妙に変化する。

 

 だから椛は『仮定した問いがyesかnoが識別する』という特技がある。外の世界では五枚位のカードから選んだものを表情や瞳孔の動きから判定する技能があるそうだが、実質それの強化版だ。今回は『天狗に対し敵意があるか無いか』。これぐらいなら椛は天狗が目の前に出た時の反応だけで判断可能だ。信頼できるということを改めて確認して私は取材を開始した。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

Side にとり

 

 私も文の同胞としてここの神に挨拶しにきたわけだけど………

 

 チラリと横を見る。

 

 「あっ、お久しぶりです」

 

 向こうが視線に気がついたようで声をかけてくる

 

 「どうも」

 

 「川での一件以来ですね」

 

 「だね」

 

 ………気まずい。

 

 冷静に考えたらこの唐傘と出会いうる事なんてすぐに解ったじゃないか。わたしのバカバカバカバカ。どうする、怒ってるよね。理不尽に戦い吹っ掛けたもんね。仲間売れって言ったわけだし最悪だよね、わたし。わぁぁぁぁぁ。

 

 「にとり、知り合いなの?」

 

 「えっ、その、ほら、山の上に出来た店あるだろう。あそこの関係者で」

 

 「あったっけ?そんな店?」

 

 「………へ?」

 

 ちょっと待って。私は椛をかえして情報を聞いたら即雛に回していた。異変の後は話さなかったけど神社に建物が出来たときに『神様の力ってスゲー。今や家は一瞬で建てられるんだ』っていったり、外界の物を換金した際の事を愚痴ったりわりと話は盛り上がっていた。なのに何で忘れてる?

 

 「雛、私の最近の発明は?」

 

 「へ?光学迷彩スーツでしょ?」

 

 「じゃあそれの時間制限に気がついたのはある人間に会ったからって話覚えてる?」

 

 「???」

 

 「雛〜〜〜。しっかりして〜〜〜」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

side 虎之助

 

 「あっ早苗。分社の話済んだの?」

 

 「えぇ、場所は決まったので御神体の準備が出来次第取り掛かります」

 

 「そう」

 

 「ところで虎之助くんは何してるんです?」

 

 「挨拶回りと営業、ついでに人探し」

 

 僕は一端店を閉じて歩き出したところで早苗を見かけたので声をかけていた。

 

 「人探しって誰を?」

 

 「一人は霧雨魔理沙。もう一人は……えっと何て名前だったかな?」

 

 成るべくあまり覚えてないように演じる。『霧雨魔理沙』は有名人なので一発で名前が解ったように出来るが『鍵山雛』は別に名が売れている訳ではい。だからパッと思い出しては不自然だ。

 

 こういう風に僕がイレギュラーだとバレないように成るべく心掛けている。その為にこっちに来てから得た情報は紙に書いて自室に厳重に保存している。『鍵山雛』の得てる情報は外見と名前のみだから、これしか曝さないようにして話す。

 

 そう、バレないようにしないと。気づかれないようにしないと。そうしないと…………。

 

 そうしないと…………。

 

 

 

 ―――施錠『不安感』―――

 

 

 

 「赤っぽい服の緑髪なんだけど……鍵の能力使ったから解除しないといけなくてさ」

 

 「???」

 

 早苗がよく分からないという顔をしている。

 

 「あぁ、僕の『鍵の開閉を操る程度の能力』は概念にも効くっていっても『鍵』を、厳密に言うと『錠』を操る能力なんだよね。だから概念や元々錠の無いものに発動する時は錠にあたるものをまず作らないと発動出来ない。だから僕の霊力の一部を削って術者以外は不可視不可接触の擬似的な錠を作ってくっつけるんだ。その後能力発動用に霊力を消費してやっと鍵がかかる」

 

 「めんどくさいですね」

 

 「まぁ、そういう能力だから仕方ないよ。だから鍵をかける為に使った霊力はほっといても回復するけど『錠』にした霊力は錠その物を回収しないと回復出来ない」

 

 「なら錠前店って!」

 

 あぁ、早苗は南京錠の販売で霊力が切れる心配をしてるのか。

 

 「それは大丈夫。あれは唯の『付与』。香を焚き込めて匂いを移すように霊力に当てて与えるだけだから自然回復出来るし」

 

 「あっ、そうなんですね。良かった」

 

 「そういうこと。だからさっき行った奴を探して回収しないと後々困る」

 

 「ところで虎之助さん。それってあの人ですか?」

 

 「へっ?」

 

 早苗の指差す方を見る。

 

 

 

 「雛!!しっかりしてよ!!異変からまだ一週間も経ってないよ!!それに月単位で話題にしてたじゃないか!!!」

 

 「だから何の話を」

 

 「雛がボケた〜〜〜!!」

 

 「にとりさん!!落ち着いて下さいよ〜!!ところで雛さんでしたっけ?何だか友達に似た霊力を感じるんですけど最近霊力持ちの男の人に会いませんでした?」

 

 「???記憶に無いけど?」

 

 「そうですか。気のせいかなぁ?」

 

 

 

 「…………後にして良いかな?」

 

 「駄目でしょう。たぶん」

 

 「はぁ。早めに回収しとけば良かった………」

 

 ゆっくりと近づく。『錠』の回収方法は二種類ある。

 

 一つは相手の肌に触れること。霊力の消費もなく一番お手軽だ。早苗をいじめてた連中の『錠』はこの方法で回収した。だけどこの方法はある重大な問題がある。相手が女の場合セクハラ扱いされる可能性が非常に高い。早苗や小傘ぐらいお互い分かりあってるなら説明したら分かってくれるだろうけど、今回相手はほぼ初対面。しかもかけた鍵が鍵だけに絶対理解してもらえない。だから第二プランに成る。

 

 手を広げ、中に『錠』を無数に産み出す。『錠』は霊力その物、いうなれば自分自身を削って作る。だから体力的に結構くる。

 

 『――鎖錠鎖縛――』

 

 その『錠』を連ねて鎖を産み出す。命名決闘でも使った技だが、これは僕以外触れず、感知も出来ない。そして自分自身を削って作る使用上、片端が触れていれば自在に操る事が出来る。いうなれば『スタンド』に近いかもしれない。実際遠目で見れば何となく『隠者の紫』に似ている。

 

 その鎖を鍵山雛に向かい伸ばしていき、やがて鍵山雛の体に到達し、触れる。

 

 『――開錠――』

 

 鍵山雛にかけていたすべての鍵を解き、同時に『錠』を鎖の先につけ直す。そのまま鎖を手のひらに再び返し、一度『錠』に戻した後に体に返した。

 

 「………疲れた」

 

 「何だか分からなかったけど、お疲れさまです」

 

 「とりあえず状況説明してくる」

 

 「なら私は神奈子様たちのところに帰っています」

 

 500メートルほど全力で走った後のような疲労感を引きずりながら歩き出した。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

side 小傘

 

 「だから………あっ、思い出した。そんな店あったわね。何で忘れてたのかしら?」

 

 「雛が治った〜〜〜」

 

 うるさいなぁ。でも、雛さんが記憶を取り戻す瞬間あの人の気配が強くなって消えた。私の能力は常時発動じゃないからいつも気配に敏感なわけじゃないけど、親友二人に関しては向こうに隠す気がない限り少し時間がかかるけど探れる。

 

 「何したの?虎之助さん?思い出させる能力なんてあった?」

 

 振り返って話し掛ける。

 

 「まぁ、唯の思い出しも出来るかもしれないけど今はそうじゃないよ。そこの二人にも話す」

 

 

 

 

 

 少年説明中

 

 

 

 

 

 「なら異変の時のあれは巫女が戻ってきたんじゃなくて、あなたが一人目だったのね」

 

 「……、よく分からないけどたぶんそうだと思うよ」

 

 虎之助さんの説明でなんとかこの騒ぎは終わりそうだ。

 

 「すいません小傘さん。少しよろしいですか?」

 

 振り返ると文さんがすぐ後ろに立っていた。

 

 「何ですか?」

 

 「守矢神社一帯の皆さんの写真欲しいので錠前店のお二人もよろしいでしょうか?」

 

 「分かりました。良いですよ。虎之助さん呼んで来ますね」

 

 虎之助さんに状況を説明して一緒に来てもらう。既にもうみんなは並んでいて私たちも加わって写真を取った。

 

 「はい、ありがとうございます。他に何か写真で取るものはありませんか?」

 

 文さんが私たちに問いかけてくる。別に良いかな?と考えていると諏訪子さんが口を開いた。

 

 「早苗、虎之助と小傘とで写真撮ってもらったらどうだい?」

 

 「えっ!………そうですね。二人とも良いですか?」

 

 早苗さんが聞いてくる。答えは……

 

 「うん、いいよ」

 

 「まぁ、断る理由もないしね」

 

 当然YES。

 

 「分かりました。それでは寄ってください。二枚撮るので好きな格好でどうぞ」

 

 三人で集まる。真ん中に早苗さん。左右に私と虎之助さん。私は傘を構える。それを見て早苗さんは(ぬさ)を、虎之助さんは雨滴をそれぞれ構える。

 

 パシャ!

 

 次が最後、虎之助さんは雨滴を封印錠に返しながら私たちに聞く。

 

 「次どうする?」

 

 幣を(たもと)に戻しながら早苗さんが答える。

 

 「一度やってみたかった事やっても良いですか?」

 

 傘をたたみながら私も答える。

 

 「良いよ。なにや―――キャッ!!」

 

 話している途中で急に早苗さんに手を引かれた。視界の隅で虎之助さんも同じようにされて慌てているのが見えた。

 

 体勢を崩したところをギュッと肩を抱き寄せられる。突然で思わず顔が赤らむ。

 

 

 

 パシャ!!

 

 

 

 「いい写真撮れましたよ。現像したらお届けしますね」

 

 「えっ!えっ!」

 

 私が慌てていると虎之助さんも声を上げる。

 

 「そういうのやるなら先に言ってよ!!」

 

 「先に言ったら面白くないじゃないですか」

 

 いたずらっぽい笑みで早苗さんも言葉を返す。

 

 驚いた感じの虎之助さんなんて初めてかもしれないな。あぁ、他人が驚かしても食べれたら良かったのに〜〜〜。

 

 まだドキドキしているのを抑えながら、守矢の二柱の方を見る。

 

 「早苗も大胆な事をするように成ったねぇ」

 

 「ほんと一昔前が想像出来ないぐらい明るくなったよ」

 

 そんな声が聞こえる。

 

 もう一度文さんの方を向く。ちょうどにとりさんが話しかけているところだった。文さんが驚いたような顔をしていたので耳を澄ませてみる。

 

 「はたてが!」

 

 「あぁ、さっきまで集落に来たって方の神と話してたんだが戦闘中にシャッターみたいなの音がして、天魔の弾幕が消えたらしい。昔作ったカメラの機能だけどそれを持ってるのは文とあいつだけだろう?あくまでも推測だけどもしかしたら」

 

 「……ちょっと私帰りますね」

 

 「あぁ分かった」

 

 「ちょっと文さん!待って下さい!!」

 

 そんな会話をして、私が案内した天魔二人は去っていった。

 

 にとりさんに話しかける。

 

 「どうしたの?」

 

 「えっ?あぁ。……ちょっと昔の知り合いのことを話しただけだよ」

 

 なんでか知らないけど、にとりさんは私に対して話すとき、雰囲気が固い。

 

 「そうですか。ところでにとりさん。河童って技術力高かったですよね?」

 

 「えっ?そうだけど?」

 

 「ものづくり依頼してもいい?」

 

 「いいけど……良いのかい?川でのこと根に持って無いのかい」

 

 あぁ、それでか。

 

 「だって今のにとりさんからは悪意を感じないもん」

 

 にこりと笑う。にとりさんは一瞬呆気にとられたような顔をして、笑い出した。

 

 「ははは、お前さんはお人よしかい?一度本気で嫌がらせしにきた相手なのに。分かった。お前さんの鍛冶の技術を考えても仲良くしてて損はないね。依頼受けるよ」

 

 山の上に守矢神社が来てから、山の社会も私の交友関係も大きく変わった。きっとこれからも変わり続けると思う。

 

 『異変』はただのトラブルじゃない。異なる何かに変われる機会。そんな事を考えて、私はこの先に夢を馳せた。

 




 この小説だと、はたての位置付けは『大きな結果は残せてないけど他に大きな影響を与えた人物』って感じです。余所だとはたてって何だかんだで言うときは言うけど普段は臆病みたいなキャラにされていることが多いと思うので昔動きまくってた設定は少ないかな?実は戦闘面でも割と強い設定だったりします。まあ、引きこもってて身体がなまってると思うので本領発揮はずっと先だろうなぁ。

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