東方覚醒録〜Don't exist originally   作:tora@812

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 この度は大変長いこと放置することに成り、ご迷惑をおかけしました。

 少しずつ書いてはいたのですが、明らかに変に成って書き直しを何度かしたり、そもそも制作時間が取れなかったりしていました。時間があっても気分があれだと結局後で書き直すような物しか書けないので意図的に書かなかった事実もありましたが。

 そんなこんなで、前半はまだ暖かかった時期に書いていたりで文章感に違和感がある場面があるかもしれませんので先にお詫び申し上げます。

 今回独自設定多めです。


第三十八話 怖さの仕組

栂峰よろず店 side 早苗

 

 「虎之助くん、持ってきましたよ」

 

 「ありがと、入ってきて」

 

 博麗神社の宴会は無事に終えることが出来ました。幻想郷の皆さんも悪い関係には成らないだろうなと思える人が沢山居ました。やっぱり私はイジメられっ子だったからなのかそういうのは気になるのですよね。本当にいい会でした。……ただ一つ問題がありましたが……。それは……

 

 「小傘〜、布団来たから動かすよ〜」

 

 小傘さんが潰れてしまったことでした……。

 

 「こっちの住民でお酒は成れてると思っていたのですが」

 

 「やっぱり口当たりが違うと加減が分からなく成るのかね?」

 

 「私に聞かれても困りますよ」

 

 虎之助さん曰く、小傘さんと合流した段階で既に泥酔状態だったらしいです。私と合流したときに後ろの方から申し訳なさそうな顔でこっちを見ている宝石みたいなものがぶら下がった翼の女の子が居たので多分その娘が飲ませたのかな?なんて思ってます。

 

 「ところでさ酒の分解の過程ってどうだっけ?」

 

 「お酒の……ですか?」

 

 「うん」

 

 唐突だなと思いながらも、その過程を説明してから何故そんなことを聞くのかと聞いてみたところ能力を使うためだったそうです。

 

 「『鍵の開閉を操る程度の能力』には『結合』と『分離』に関する領域があるからある程度は物質に干渉出来るんだよね。だから単純な酸化や還元の補助ぐらいなら出来るんだ。いつもは自分だから勝手だけど対他人だから一応ちゃんと確認した方がいいかな?って」

 

 「虎之助くんの能力って本当に色々出来ますね」

 

 「物質干渉は触れないと発動出来ないけどね……。間接的でもいいけど」

 

 そういうと手のひらを上に向けてから何かを投げるような仕草をした。異変の後聞きましたがあれは概念系の鍵のときに使う物で、外界でのあの時にも一応使っていたようです。最もあの時はがむしゃらだったらしいですが。ただ、あれは霊力消費が激しかったはず……

 

 「宴会のときも似たような動きしてましたけどそういうことだったんですね。でも面識がほぼ無いならともかく、今は小傘さんですし別に直接で良いんじゃないですか?誤解されそうなら私が弁護しますし」

 

 「そ?なら」

 

 布団から手を引っ張り出して握らせる。

 

 「小傘、しっかりして」

 

 「う、う〜〜」

 

 「どうですか?」

 

 「分からない。早く回復するようやれるだけの事はするけど……。如何せん初めてのことだから……」

 

 でも手を握ったとき、少し苦しさが和らいだように見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「………あのさ、早苗」

 

 「何ですか?」

 

 「これ、絵面が死期が近づいてる描写みたいに成ってない?」

 

 

 

 

 

 ぐったりとベット(正確には布団ですが)に横たわる少女。その側にじっと寄り添い手を握る人。声をかけてもまともな返事は返ってこない。回復の為の努力はするものの、なかなか効果は現れない。うん………。

 

 「………気のせい……です」

 

 「りょ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「しかし、お酒ってそんなに美味しい物ですか?具合悪くするほど飲む人ってかなり居ますよね?」

 

 「人によるとは思うよ?僕も味わいたくて飲んでるときと、酔いたいから飲んでるときの二種類があるし。可愛がるために犬を飼う人も居れば、番をさせるために飼う人も居る。狩猟用やソリ用なんてのも居る。同じ動作をしていても目的が同じじゃ無いように、飲んでるからって味が好きとは限らないかな?」

 

 「そういった事なんかですね?でも、少し飲んでみたいですけどね」

 

 実際興味があるにはあるんですよね。こっちに来るまで飲んだことが無かったのでまさかあそこまで下戸だとは思いませんでしたが。

 

 「なら飲む?」

 

 「だから飲めないじゃないですか。忘れたんですか?私下戸なの知ってますよね?」

 

 「でも、匂いは大丈夫なんでしょ?つまりアルコールが駄目ってことだよね」

 

 「そうですけどそれが………」

 

 そのとき、虎之助さんが手を伸ばして手に鍵型の霊力弾を作り出しました。

 

 「そっちこそ忘れたんじゃないの?ここにそのアルコールの分解が出来る能力の持ち主がいるの」

 

 「そんなに直ぐに効くんですか?」

 

 「まぁ、直接弄ればすぐだけど間接なら30分ぐらいは準備期間欲しいかな?」

 

 「でも直接の方が対応早いですよね」

 

 「そうだけど………。手繋ぎっぱなしに成るよ?」

 

 「よく気にしますけど、別に友達だし問題無いと思うのですが………」

 

 と言うと、何故か大きくため息を疲れてしまいました。

 

 「お前はもう少し年頃の女としての自覚を持てよ。気安く男に体に触れさせるなよ」

 

 「友達だし別にいいじゃないんですか?」

 

 「……早苗、1つ教えとくよ」

 

 こちらをしっかりと見て言い出した。その目は少し暗く見えた。

 

 「『友達』ってのは過信していい奴のことじゃ無いんだよ。知られていいこと、いけないこともたくさんある。近くに置くからこそ警戒しないといけないし、安易に油断したらいけない存在。それが『友達』だよ」

 

 「なら、無警戒でいられる存在は何なんですか?」

 

 「いるとしたら『親友』とでも言うんじゃ無いの?」

 

 「なら……」

 

 相手の目見返して言う。

 

 

 

 

 

 「なら私にとって虎之助くんは『親友』ですよ」

 

 

 

 

 

 「………。今小傘から手を離せないから悪いけど取ってきてくれない?奥にあるから」

 

 何故か目線を反らせて頼まれた。まぁ、実際能力使っている人に取りに行かせるのも忍びないですし、私が行きましょうか。

 

 「分かりました。奥ですね」

 

 立ち上がって虎之助くんの横をすり抜けて奥に向かう。

 

 「誰かの親友に成れるほど、僕は出来た人間じゃない

 

 「何か言いました?」

 

 「??、何か言ってた?」

 

 「いえ、気のせいならいいです」

 

 う〜ん、確かに何か言った気がしたのですが……。まぁ、いいでしょう。さて、お酒楽しみだなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 side 虎之助

 

 あいつはなんでああ人を信じるかな?そのうち悪い奴に引っかかっても知らないぞ。

 

 ……いや、十分僕も悪い奴か。この世界に溶け込む為に利用してる様なものだし……。

 

 人間なんて汚い生き物なんだよ。その上僕はこの世界の異物なんだよ。ゴミなんだよ。

 

 なんでここに居るのかも分からない。なのに………。

 

 『怖い』『つらい』『気持ち悪い』

 

 じっとしていると、どんどん負の感情が湧いてくる。

 

 『──施錠──』

 

 いつもの様に鍵を閉める。これのせいで鍵の維持に霊力がだいぶ割かれているけど、この感情が外に出て何かしら問題起こすかもと考えたら小さな犠牲だと思う。

 

 

 

 「ねぇ、虎之助さん?今の何?」

 

 

 

 「!!!。小傘起きてたの?」

 

 「うん、だけどそんなに驚かなくても。でも珍しいねそんなに驚くなんて……。あぁ、やっぱり少し苦い味」

 

 「いや、ぼーっとしててから……って苦い味?」

 

 「うん、虎之助さんの驚きは少し苦いの。早苗さんは甘い目」

 

 「へぇ」

 

 「そんなことはどうでもいいの。今何かしたよね」

 

 「なんの事?」

 

 「私の能力は気配を探るのがメインだから、明暗だったり、意識すれば波だったりでなんとなく心の変化みたいなのが分かるの。起きたらなんだか虎之急に助さんが暗い感じになってたから意識したら波が凄く荒れてて、どうかしたのかと思ったら急に波が無くなって暗さが無くなったから」

 

 「あぁ、ちょっと感情の調整。てか、鍵で感情いじれるのは言ってなかったっけ?」

 

 鍵山雛に説明したとき横にいたから小傘もこの事は知っているはずだ。そう考えていると小傘は首を横にふった。

 

 「そっちじゃ無いよ。急に暗くなったほう。何も無かったよね?なのになんであんなに暗くなったの?ねぇ、虎之助さん。いったい何に怯えて………」

 

 「……小傘」

 

 「何?」

 

 「ごめん」

 

 幸いにも、酔い覚ましの為に直接触れている状態だ。

 

 「へ?」

 

 「『──施錠──』、さっき感じた僕の明暗の記憶に鍵をかけた」

 

 「今、…なん…て………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………。あれ?今私何喋ってたんだっけ?」

 

 「小傘、ボケた?」

 

 「そんなこと無いよ……。って虎之助さん、何手を繋いでるの」

 

 そう言って小傘は手を振り払う。

 

 「止めといたほうがいいよ」

 

 「うっ、頭痛い」

 

 「今離したら二日酔い状態に成るよ?能力で誤魔化してるんだから」

 

 「先に言ってよ」

 

 そう言ってこっちに手を伸ばしてきた。その手に軽く触れる。ついでに僕に対しての明暗感知能力を閉じる。

 

 「普通に繋げばいいのに」

 

 「野郎が気安く女の肌に触れるのはどうかと思う」

 

 いつも道理に話せと自分に命じる。罪悪感に鍵をかける。

 

 「私は何であるよりまず傘だよ?繋ぐならちゃんと繋いでくれないとなんか不安に成るの。ちゃんと持って貰えない傘って……悲しいから」

 

 「ごめん」

 

 「いいよ、虎之助さんはそういうの気にするタイプだからね。早苗さんは……気にしなさすぎだけど」

 

 「だよね」

 

 「虎之助さんは気にし過ぎ………。う~ん、何か話そうとしていたような」

 

 「思い出せないなら大したこと無いんじゃ無いの?」

 

 「違うよ。私は何か言わないといけなかったはず。………なんで思い出せないんだろう?」

 

 「虎之助くん、持ってきましたよ。あ、小傘さん起きたんですね。具合はどうですか?」

 

 「まだ二日酔い状態だけどねって早苗さんがお酒持ってるって珍しいね?」

 

 「あぁ、それはですね………」

 

 二人が話しているうちに小傘と繋いでいる側と反対の手を胸に軽く当てて細かく鍵をかけ直そうとする。さっきは応急処置だったけど、こうしないと隠す為の演技に必要なマイナス側の感情まで封じてしまって返って気付かれる可能性がある。

 

 まず、今大雑把にまとめてかけた鍵を解いて……。

 

 その時急に手を取られた。

 

 「え?」

 

 「……と言うわけで、こうしてたら飲めるようにしてくれるらしいんですよ」

 

 「………」

 

 「あ?今私何か悪いことしました?」

 

 早苗……。忘れてた、こいつ勢いでいくタイプだった。

 

 「いや、別に?」

 

 急いで大雑把な鍵を掛け直す。少し表に出たかもしれないが誤魔化せるレベルだろう……。多分。

 

 しかし、両手が埋まってしまった。かけ直せないな……。まぁ、しばらく持つよな。

 

 「言っとくけど出来るのはあくまでも『飲めるようにする』ってレベルだから飲む量の調節は自分でしてよ」

 

 「大丈夫です!任せて下さい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「早苗、そろそろ止めたら?」

 

 「大丈夫で〜すよ。それより虎之助くんも飲んだらどうですか?」

 

 「早苗、僕両手ふさがってるだろ?」

 

 「何言ってるんですか?そこにもう一本あるじゃ無いですか?」

 

 「あってたまるか!!」

 

 駄目だこいつ。速くなんとかしないと。

 

 直ぐに潰れないように調整して分かったけど、早苗は酔うと人に絡むタイプだ。それも割りとハードな方で。

 

 「で、何小傘もまた飲み出してる訳?」

 

 「え?だって治ったから」

 

 「いや、確かにちょっと前に確認したら完全に抜けてたけど」

 

 「大丈夫です〜よ。小傘さん、飲みましょ」

 

 「早苗は調子乗りすぎだ!もう止めとけ!!」

 

 これ、手を話して酒の分解強制的にやめて潰した方が……。いや、急性アルコール中毒出たら困るし……。少しずつ閉じていけば……。ちょっとそっちに集中すべきか?

 

 「そういえば〜、虎之助くんだけ潰れてないのって不公平ですよね?」

 

 「………は?」

 

 「虎之助くん。飲んで下さい」

 

 「いや、だから!……小傘!早苗止めて!」

 

 「………。早苗さん、手伝います」

 

 「いや、だから………!やめろーーーー!!」

 

 その後の記憶は無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 side 小傘

 

 何だったか覚えていないけど、私は何かを忘れてるように感じた。

 

 たぶん、とても大事な事を……。

 

 『記憶』……。

 

 ふと、すぐ隣に精神のコントロールが出来る能力の所有者が居るのを思い出した。

 

 私は妖怪だ。他より弱いけど少しだけ利己的だ。

 

 だから私も虎之助さんを潰すのに……。というより、酔わせて聞き出す事にした。

 

 別にきいて答えてくれたらうれしいぐらいの軽い感覚だった。

 

 口が軽くなってくれたらいい、そんなつもりだった。

 

 だったのに……。

 

 

 

 

 

 「なぁ、僕は誰なんだろうな」

 

 

 

 

 

 すごく冷たい声だった。聞いた時に思わず酔いが全て覚めるような……。そんな声だった。

 

 「突然どうしたんです?」

 

 同じく酔いから覚めたらしい早苗さんが問う。だけどその問いは耳に入っていないようでぽつぽつとまた話し続ける。

 

 「特に狙って行動したわけじゃ無い。なのに何で鍵山雛に会ったんだろう」

 

 何が言いたいのかさっぱり分からなかった。別に誰に出会おうと関係ないはずだ。

 

 「なんで一人目に成ったんだろう?……。そもそもそうだったのかな?」

 

 「なんの話ですか?」

 

 聞いても答えは返ってこない。

 

 「………違う。そもそもなら早苗と戦ってる訳がない!だってそこには誰も居ないはずだから!!なら僕は……。いや違う!そうじゃない!それなら矛盾する!!なら!違う!ちがう!!」

 

 感情の波が激しく揺れていた。

 

 「虎之助さん、落ち着いて!」

 

 「虎之助くん、どうしたんですか?」

 

 二人で肩に触れる。

 

 「違う!!!」

 

 思いっきり振り払われる。そのとき一瞬何故か妙なワードが浮かんだ気がして動きが止まる。

 

 ほぼ同時に疲れたのか虎之助さんも静止する。

 

 そのまま眠りに落ちそうな中で虎之助さんが呟く。

 

 「………そもそも…僕は…………」

 

 そうして虎之助さんは崩れる様に眠りについた。

 

 きっとかなり飲ませた後だったから明日にはもう覚えていないだろう。仮に覚えていたとしても聞いても何も答えてくれないだろう。

 

 今分かったのはやっぱり虎之助さんは何処か異質な存在だということ。それと荒れていた虎之助さんにぶつかった拍子に頭に浮かんできた謎の言葉。

 

 その言葉を呟く。

 

 ほぼ同時に早苗さんも似たような別の言葉を呟く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「――――――風の5」

 

 「――――――星の2」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんだか分からない。だけど少し漠然とした恐怖を感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「小傘さん」

 

 「なに?」

 

 「虎之助くんのことで何か言ってましたよね?分かる限り教えてください」

 

 「……うん、分かった」

 

 私は虎之助さんの異質な所、気になっている所を話した。

 

 「そういえば、私も少し妙だと思ったことがありました」

 

 「何?」

 

 「異変を起こしたとき、虎之助くんは偵察帰りに魔理沙さんも来てるって分かった上で話を進めてたんですよ」

 

 「偵察の時に見てきたんじゃ無いの?」

 

 「それだと冷静に考えると説明がつかないんですよ。まず、虎之助さんと私が別れてから帰ってくるまでの時間から考えたら一箇所しか行ってる余裕がないはずなんです。それが雛さんであることは確定しています。なので直接見てはいません。ほぼ同時に神社にやってきた小傘さんに現在地を聞いたことからも裏付け出来ます。二人の平時の飛行速度はほぼ差が無いのでその段階での質問はほぼ無意味ですから。

 

 戦闘以外の時間小傘さんはまっすぐこっちを目指していたのでロスタイムは戦闘の分だけ。虎之助さんが小傘さんが上がってくるよりも早く魔理沙さんが参戦している事を知るにはロスタイム無しで魔理沙さんの存在を確認し真っ直ぐ神社に向かっている存在に出会い飛びながらその情報を仕入れるしかありません。………ありえると思いますか?」

 

 「それは雛さんが先に魔理沙さんを見ていれば……。違うね、雛さんが先にあってるならあの反応はおかしいから」

 

 「はい、それが考えられる唯一の抜け道ですが小傘さんから聞いた話だと矛盾します。不可能では無いですが、無理があります。もちろんただの状況証拠ですが………」

 

 違和感であるには変わりない。

 

 「予知系能力でもあるのかな?」

 

 「それなら霊力以外の何かが無いとおかしいですよ。基本的に幻想の力と能力はワンセットです。私の『奇跡を起こす程度の能力』は元々霊力分の『異変を知る程度の能力(天変地異予知能力)』と僅かにあった神力分の『天気を呼ぶ程度の能力(天気操作能力)』」を私が操作しやすいように諏訪子様が合成と改変をして再創造した能力です。なので幻想の力の方が多いのはまだ特例ですけどありえます。でも少ない方はおかしいですよ」

 

 人間で能力を持っている者が限られるのは少なからず霊力を持っていることが最低条件だからだ。だから幻想の力と能力に関係性があるのは確かなこと。早苗さんは知らないだろうけど一応細分化出来るなら一種でも複数は持てる。だけどそれは魔力の専売特許だ。属性分け出来るのなんてそれぐらいしか無い。ましてや霊力なんて『意思』に由来する力だ。二重人格なら出来るかもしれないけど普通の人が細分化できる訳が無い。だから能力で知っているとは思えない。

 

 「虎之助さんは何かを恐れている。何かが何かは分からないけど……」

 

 「小傘さんはどうしたいんですか?」

 

 「私は……。私は道具だから人の側に居続けたい。その為にも私は知りたいかな。早苗さんは?」

 

 「私は『親友』と言いましたから。支えますよ。たとえ何者でも」

 

 「早苗さんは真っ直ぐだね」

 

 「小傘さんもでしょう?」

 

 「……そうかな?どうなんだろう?」

 

 「小傘さん?」

 

 私は正直分からなくなる。捨てられた道具として空白を埋めようと利用しようとしてるんじゃないかって。関係性を守るのに必死に成って、本当は相手を見てなんじゃないかって。ただ、一人になるのが怖いだけなんじゃないかって。そういう考えを浮かべてしまう暇を作らないように私は一人から逃げようとしているだけじゃないかって。

 

 「自信持ちましょうよ」

 

 早苗さんはこっちをじっと見て言う。

 

 「感じ方は違ってもそこにいるのが一人である以上、自身が無くても他の人が良いと言ってくれるところは良いところなんだと思いますよ」

 

 多分早苗さんはなんとなく言った言葉なのだろう。だけどそれが救う様な言葉に成っている。

 

 「……早苗さんってそういうところだけは神様っぽいよね」

 

 「どういう意味ですか!?」

 

 「ありがとう」

 

 「え?……どういたしまして?」

 

 驚くことと恐怖することは違う。驚くのは虚をつかれるから、恐怖は救われないから起きる物。怖さの仕組が分かるなら、きっと乗り越えられるよね。きっと。私はそう強く願った。

 




 虎之助は本当は情緒不安定なのを能力と演技力で無理矢理誤魔化してる感じです。

 次は解説系パートなのでなるべく早く書きたいです。
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