東方覚醒録〜Don't exist originally   作:tora@812

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 今回で東方現代序編完結です。


第八話 神々の愛したかの地へ

日の沈んだ頃 諏訪大社 side 虎之助

 

 「着いた~」

 

 廃工場敷地での戦いを終え、諏訪大社に着いた頃には、すっかり暗く成ってしまった。真っすぐ行けばそこまで遅くはならないが、連中を転がしといてもことが大きく成る。だから、連中の人をイジメたい気持ちと今日あったことの記憶に鍵をかけていた。普通の鍵なら問題無いのだが、概念に関係する鍵は霊力を消費するらしく、一通りの事後処理を終えた頃には、フラフラ目眩がしたので休んでから来たらこの時間だったという訳だ。やはり、霊力と体力を付けないとな。

 

 「おかえり、早苗、ってどうしたんだいその怪我!」

 

 「ありがとね、虎之助、って二人ともボロボロじゃないか、」

 

 あ、神奈子さんも諏訪子さんも待っててくれたんだ。

 

 「ははは、ちょっと色々ありましてね。」

 

 「ははは、じゃ無いよ、手当手当、」

 

 僕と早苗は二柱から手当を受けながら、今日あったことを話した。自分を大切にしなかった早苗は少し怒られたが、今後は自分を大切にすること、やらないいけない義務感による布教をやめ、やりたい気持ちによって布教すること等の決意を早苗が宣言することで、かたがついた。

 

 「ところで諏訪子さん、早苗にいうことあったんじゃ無いですか?」

 

 「そうそう、まずは早苗の勘違いから説明しないとね、」

 

 「じゃあ、僕はもう帰ります。」

 

 「そうかい?ゆっくりしていけばいいのに、」

 

 「こういう話は身内だけででした方がいいでしょ。居続けるのも野暮なんで帰ります。」

 

 「そうかい、気をつけて帰りなよ、」

 

 「はい、分かりました。早苗、また明日、」

 

 「また明日、それと、今日は本当にありがとうございました。」

 

 「どういたしまして。恩には着なくていいからね。」

 

 「いいえ、恩返しはいつかしますよ。でも、やりたくないことはしませんからね。」

 

 「分かった。じゃあ、またね」

 

 境内から出て帰路に着く。疲れきっていたが、足取りは軽かった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

翌日 通学中 side 虎之助

 

 さすがは神が手当しただけの事はある。朝起きると傷は完全に直っていた。殴られた量なら僕の方が多いから、早苗はすっかり治っているだろう。連中はもうイジメしないだろうし、学校もいくらか過ごしやすく成るだろう。

 

 「虎之助くん、おはようございます。」

 

 「おはよう、早苗、元気そうだね」

 

 「はい、二柱の手当ですから、効果てきめんですよ。虎之助くんも元気そうですね。」

 

 「まあ、まだ疲労感はあるけど多分霊力の問題だと思うから、問題無いかな、」

 

 「能力や霊力の使用は慣れですからね。段々と疲れにくくなりますよ。」

 

 「そっか、なら練習しとくよ」

 

 早苗が立ち止まった。

 

 「あの、お願いがあるんですけどいいですか。」

 

 僕も立ち止まり向き合う。

 

 「なに?」

 

 「私、神奈子様と諏訪子様と一緒に忘れられた者の世界に行くことにしました。」

 

 「そっか、そうしたいならそれでいいんじゃないの。自分の意志なんだろ。その意志は尊重するよ」

 

 本当は早苗に会えなくなるのは寂しいけど、そんなわがままで早苗の行動を邪魔したくない。

 

 「はい、自分の意志で信仰を得る手助けをすることにしました。それで・・・・」

 

 「???」

 

 「一緒に来てくれませんか?」

 

 「!!!!」

 

 名前が分かってないみたいだけど、それって幻想郷に行こうってことだよね。幻想入り、東方を知るものなら一度ぐらいは考えたこともあるだろう。仮に出来たとしても、外来人はたいてい妖怪に食べられてしまうという話もある。やってみたいがやり方が分からない。それが幻想入りである。

 

 東方を知るものとしては、是非とも行ってみたい。それになにより、早苗が行くなら僕も行きたい。

 

 「うん、行くよ。」

 「なら、お互い準備しましょう。今週中に準備して下さい。」

 

 幻想入りか、何をしとこうかな?守矢にいつまでも頼る訳にはいかないし、あっちで何して生きていくか考えないとな。歩き出してしばらくすると学校に着いた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

週末 夜中 side 虎之助

 

 幻想入りの日がやって来た。前世でやっていた『もしも、幻想入りする事に成ったらシミュレーション』のおかげで、準備はばっちりのはずだ。ま、実際やってみないと分からないことも多いだろうし、駄目だったときは、駄目だったで考えよう。

 

 「こんばんは、早苗と二柱さん」

 

 「いらっしゃい。集合がこんな夜遅くですまないね。」

 

 「いえいえ、こちらとしても、家を脱け出すとき楽だったのでありがたいです。」

 

 「そうかい?神力が減ってるせいで丑三つ時しかまともに活動出来ないんだよ。」

 

 「ああ、そういう理由でしたか。」

 

 よくわからんが、妖怪も神も本質は同じって話もあるし、神も丑三つ時が動きやすいのだろう。

 

 「さて、そろそろ行こうか。神奈子」

 

 「よし、はじめるよ」

 

 「一応説明しようか、わたしが諏訪の幻想的な力を持っていく。神奈子は関係ないけど、私は土着だから土地の風土が少しぐらいは無いと色々と厳しいんだよ。そして、神奈子が全体の操縦。早苗は能力で神奈子のサポート。そして、虎之助は結界を突破するときに能力を使ってほしいのだけど、お願いできるかい?」

 

 「元からただ乗りする気はないですよ。ただ『鍵の開閉を操る程度の能力』だけで突破できると思えませんが」

 

 「大丈夫だよ、私と神奈子でほとんど足りてるからダメ押しだけしてくれたらいいよ。」

 

 「わかりました、それぐらいなら出来ると思います。」

 

 「諏訪子、早苗の詠唱がすんだよ。」

 

 そろそろ出発のようだ、

 

 「ところで、ナビゲーションは諏訪子さんがするんですか?」

 

 「半分正解で半分間違いだよ、確かに私の力だけど、案内にはこれを飛ばす。」

 

 そう言って、諏訪子さんは帽子を取って投げた。床に落ちそうになった瞬間、帽子は意思を持つかのように空中で静止しこちらを見た。

 

 「私の代わりに案内として飛んどくれ。」

 

 すると帽子は神社の外に飛んでいった。僕が驚いていると説明が入った。

 

 「解りやすく言うと、あれは私の式神や使い魔みたいなものだよ。」

 

 「そうだったのですか?」

 

 あれ?今の僕の声じゃないな。

 

 すぐ横を見ると早苗がいかにも驚いたというような顔をしている。

 

 「なんで早苗が驚いてんの?」

 

 「いえ、私も初めて見たので。なんだかよく目線が会う帽子だとは思っていたのですが」

 

 「まあ、手足のかわりになるわけでもないし、普段はあまり使わないんだよ。さて、飛ぶよ。しっかり掴まってな」

 少し揺れて神社が物理的な姿を残しつつ霊力の部分だけ浮かび上がる。僕と早苗は特に幽体離脱するわけではなく、そのまま浮かんでいく。荷物も同様に浮かぶ。そして、帽子を追うように飛んでいく。

 

 風景があっという間に流れていく。

 

 「結構速いですね。」

 

 「大体十分ぐらいで結界のふちまで着くよ。」

 

 しばらくすると、ぼんやりと膜のようなものが見えてきた。霊力持ちの僕でぼんやりなのだから、普通の人ならまったく気が付かないだろう。

 

 役目を終えた帽子が帰ってくる。

 

 「さぁ、ありったけの力をこめるんだ。」

 

 早苗が横で詠唱を開始する。僕も霊力を前方に飛ばすイメージを持つ。

 

 「解錠!!」

 

 全員身を貫かれるような衝撃をうける。その状態がしばらく続く。

 

 目眩がしてくる。

 

 その時、グラッと揺れて神社が結界を通り抜けた。

 

 「諏訪子、そろそろ限界だ。とにかく一番高いところに着陸するぞ。」

 

 「分かった、着地点の土台は私が創造する。」

 

 神社は山に向かって飛ぶ。

 

 上空で諏訪子さんが飛び降り手を下にかざす。

 

 「土地よ、我らを受け入れよ。」

 

 すると、一瞬で山の頂上に平らな土地が出来上がる。そこに神社が着陸する。

 

 「「「「着いたぁ」」」」

 

 疲れたのか全員そういうとゴロッと横になった。そして、誰からと言うことなく笑いだす。

 

 着いた、着いたんだ、幻想郷に

 

 空は快晴、爽やかな風が吹いていた。




 八話にしてやっと幻想入りだよ。

 風神録に入る前に何話か入るので、異変スタートはもう少し先になります。

 次は現代序の解説です。

 これからも、東方覚醒録をよろしくお願いします。
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