レッドファイト!! THE NEW STAGE 作:剣音レツ
VSディノゾール
誰も知ることのない緑の無い大渓谷。そこには、静かに睨み合う二つの影がいた。
一つは、メタリックブルーの見るからに頑丈そうな外骨格に覆われた刺々しい身体に、前方に伸びた長い頸が特徴の怪獣『ディノゾール』(別名:宇宙斬鉄怪獣)だ。本来は群れで渡りを行う習性があり、かつてウルトラマンメビウスと戦った個体の経路を追って大群が地球に向かってきた事がある。その際、当時メビウスと共に地球を守っていた防衛チーム『CREW GUYS』の宇宙防衛担当『GUYSスペーシー』が配備した宇宙機雷ライトンR30マインでほとんどの個体が撃破されたが、その機雷群を抜けて地球に降り立った個体もいた。こいつはその一体と言ったところだろう。
もう一方の影は巨人であり、赤を基調としたボディに銀色の手袋、ブーツ、ベルトを付けており、中国の辮髪帽をかぶったような頭が特徴の戦士『レッドマン』だ。彼は銀河連邦の一員でレッド星出身の戦士。平和のために人知れず荒野等で怪獣と戦い続けているが、時には戦意がなく必死で逃げる怪獣を捕まえるまで追いかけたり、怪獣を惨たらしい手法で倒したりなど、ヒーローらしかぬ事もすることから『赤い通り魔』とも言われている。そんなレッドマンは、今日も人知れず平和のために戦っている。
レッドマンとディノゾールは睨み合うまま動かない。静まる中、谷底から冷ややかに響く風の音が妙な緊張感をそそる。
レッドマンはゆっくりとファイティングポーズを取った。そして、戦闘開始の合図でもあるあの言葉を叫ぶ。
「レッドファイト‼」
ディノゾールは先手必勝とばかりに外殻の体側からレッドマン目掛けて流体焼夷弾『融合ハイドロプロパルサー』を打ち込む。
「レッドジャンプ‼」
レッドマンは空高く思い切り跳躍して弾丸をかわすと同時にディノゾールを飛び越え、後ろに回り込んだ。そしてディノゾールの背中に跳び付き、パンチやチョップの雨あられを打ち込む。
すると、ディノゾールの背中が発行したかと思うと勢いよく弾丸が発射された。レッドマンは予期せぬ弾丸の一斉攻撃を至近距離でモロに喰らい、たまらず後方へ吹っ飛んだ。ディノゾールは、弾丸を背部からも発射できるのだった。レッドマンは少し怯んだがすぐさま体制を立て直す。
「レッドアロー‼」
レッドマンは、石突が十字の形をした槍『レッドアロー』をディノゾール目掛けて思い切り投げつける。この槍は、レッドマンが決め手としてよく使う武器で、これまで幾多の怪獣や宇宙人を刺殺し、ある時は怪獣二体をまとめて串刺しにして倒したこともある強力な槍である。レッドアローは、ディノゾールを貫かんと風を劈き一直線に飛ぶ。勝負はもうついたかの様に見えた…
カキーン‼
レッドアローがディノゾールの背中にヒットした。しかし、レッドアローはディノゾールの身体を貫くどころか金属がぶつかり合う様な甲高い音を立てて弾き返された。撥ね返された槍はカランと軽い音を立てて地面に転がる。
さしものレッドマンは驚愕する。それもそのはず、これまで数多くの怪獣を倒してきたレッドアローが容易く撥ね返されたのだから。ディノゾールの皮膚の強度の高さが伺える。
ディノゾールはレッドマンが怯んだ隙を逃さぬばかりと、口から何やら光りながら素早く動く糸のような物を出す……と、次の瞬間、レッドマンの右脇腹に小さな爆発が起こった!レッドマンが痛みや驚きで動揺するのも束の間、その後も胸、腹、肩、頭などと次々と連続で爆発が起こる!レッドマンは、ただ爆発しているだけではなく、何かに切られているような感覚も感じていた。
これはディノゾールの仕業である。奴は『断層スクープテイザー』と言うあらゆる物を瞬時に切断する鞭状の舌を振り回してレッドマンを攻撃しているのだ。この舌は、長さ1万メートル、直径1オングストロームという異常な細さな上、目に見えない速さで振り回すのだから視認のみならず、避ける事も非常に困難なため、レッドはなす術なく身体中に斬撃を喰らい続けている。
ディノゾールは尚も断層スクープテイザーを振り回し続けている。斬撃を受け続けているレッドマンは既に体はボロボロで、意識も回り始めていた。もうここまでか……!
…と、思った次の瞬間、レッドマンは薄れ始めていた意識の中、ディノゾールの顔を見た瞬間、何かに気付いたのか、斬撃を受け続けながら力を振り絞り、ディノゾールの横側へと走って回り込んだ。因みに断層スクープテイザーは広範囲に振り回せるため、例え相手が真横にいても当てるのはたやすい事である。
レッドマンは容赦なく打ち寄せる斬撃で傷だらけになりながらも何とかディノゾールの真横に回り込んだ。そして、ディノゾールの顔に向けて右手を突き出した。
「レッドサンダー‼」
レッドマンは渾身の叫びと共に突き出した右手先から青白い光線『レッドサンダー』を発射!それがディノゾールの口内に命中し爆発した。爆発と同時に断層スクープテイザーが切れ、さっきまで広範囲で乱舞していた光の鞭は力や光を失い、地面に崩れ落ちた。レッドサンダーは、レッドマンが使える唯一の光線技であり、決め手としても使えるが、大抵は刺殺、撲殺等で怪獣を倒すため、使うことは滅多に無い。高速で動き回る鞭を捕えることが不可能と見たレッドマンは、いっそ光線で発射口を攻撃し、根こそぎ切ってしまおうと考えたのだ。いかにもレッドマンらしい荒々しいやり方である。
(BGM:レッドマン)
自慢の武器を失い狼狽えるディノゾール。正に牙の折れたライオンだ。レッドマンはその隙を逃さず、まるで荒れ狂う野獣の様に最後の力を振り絞り、ディノゾールに跳び付く。そして、これまでやられたお返しとばかりに頭部にパンチやチョップ、腹部に膝蹴りを何度も打ち込む。そして、ヘッドロックで長い頸を締め上げ、さらに頭部にパンチを打ち込む。両者の戦いは激しい物であり、衝撃で周りの地面から土煙が跳び上がる。
「レッドナイフ‼」
レッドマンは短剣にも見える大型のナイフ『レッドナイフ』を取り出す。このナイフもレッドアローと同じく決めてとして使用することが多く、これまで幾多の怪獣・宇宙人を刺殺している。レッドマンはレッドナイフをディノゾールの腹部の発光部目掛け思い切り振り下ろす!渾身の斬撃は見事に炸裂し、爆発と共に発光部は潰れ、切り傷が出来た。
ディノゾールはもう完全に怯み、力のほとんどを失っていた。レッドマンはその隙に連続バク転で距離を置き、先ほど跳ね返されたレッドアローを拾い上げ、両手持ちで右腰に構える。
「レッドアロー‼︎」
レッドマンは叫びと共に動きが鈍ったディノゾールに勢いよく駆け寄り、先ほどレッドナイフで付けた傷口目掛けて力一杯レッドアローを突き刺す‼︎レッドアローは勢いよく突き刺さり、やがてディノゾールの背部を突き破った。串刺しにされたディノゾールは心臓を貫かれたのか、ついに力尽き、両腕をだらりと下に下ろし、目の輝きを失い、崩れるかの様にその場に倒れた。
死体から静かにレッドアローを引き抜くレッドマン。しかし次の瞬間、何を思ったのか、抜いたレッドアローを地面に突き刺した後、死体となったディノゾールの長い頸を鷲掴みし、ディノゾールの死体を引きずりながら崖淵へと駆け寄る。
「レッドフォール‼」
レッドマンはディノゾールの死体を力一杯担ぎ上げ、谷底へと放り投げた!『レッドフォール』とは、レッドマンの技の一つであり、主に虫の息となった怪獣への止めのため谷底へ投げ落とす時に使う荒技である。ディノゾールの死体は谷底に落下し、巨体が地面に激突した衝撃で地響きが起こる。
レッドマンは落下したディノゾールの死体をじーっと見つめる。相手が死んだかどうか入念にチェックしているのだ。これはレッドマンが普段からやる行動で、一部では『レッドチェック』とも言われている。だが、今回に限っては相手が強敵だった故か、見つめる時間が長かった。
レッドマンは数十秒見つめ、ディノゾールが死んだのを認識した瞬間、思わず地に膝を付いてしまう。恐らく死闘によるダメージや疲れが影響してるのだろう。ふらつきながらも何とか体勢を立て直して立ち上がるレッドマン。手足や胸、腹、頭部などには無数の傷があり、ふらつきながらも雄々しく立つその姿は、まるで血みどろの決勝戦を勝ち抜いたボクサーの様である。そう、正に赤いあいつは白く燃え尽きる寸前になるまでのギリギリの戦いを制したのだ。
レッドマンは、やり切った感と同時にどこか強敵と戦った事での満足感も感じるかのようにゆっくりと空を見上げ、ナチス式敬礼みたく右手を斜め上に突き上げ勝利の決めポーズを取る。そして、崖淵に背を向け、何処ともなく歩いて去って行った。
激闘を制し、ボロボロとなった赤い通り魔は何処へ行くのか、それは誰も知らない……。
〈完〉
読んでいただき有難うございます。いかがでしたか?
次回からはウルトラマンゼロが主役のオリジナルストーリーを投稿していこうと思います。
今回の相手:宇宙斬鉄怪獣ディノゾール(初登場作品:ウルトラマンメビウス)
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