ガンダムSEED・クルセイド・イラ   作:ボストーク

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皆様、こんにちわ。
今回のエピソードは魔術サイドの登場人物が色々とメインで出てきます。

というかマスコット的なあの方が書けるのが、作者的には嬉しかったりして(^^


第03話 ”とある教師の懸念事項(ブルーノーツ)”

 

 

 

戦火が徐々にヘリオポリスを包もうとしているその頃……

 

 

 

 

CE71年1月25日、ヘリオポリス某所、極秘軍事区画

 

 

 

「”土御門”大尉、新人さん達エスコートご苦労様なのですよぉ♪」

 

パイロットスーツに金髪、そしてサングラスといういでたちの青年……いや少年とも呼べそうな雰囲気の”大尉”の階級章をつけた連合軍正規軍服をやや着崩し気味に着用した将校は、

 

「はっ! ありがとうございます!」

 

ときっちり敬礼する。

それにしてもシュールな光景である。

何がシュールかって、土御門という名らしいパイロットの目の前で座るのは、ピンクの髪ショートカットというかおかっぱ頭に切りそろえ、髪の色とそろえたようにピンクの軍服を着たどっからどう見ても”幼女”なのだ。

しかも付けてる階級章は、なんと驚くべきことに地球連合軍”准将”である。

ちなみに彼女の軍服、女性下士官用制服の転用に見えるがデザインはきっちり本来は男女共に白に統一されてる筈の上級将校用のそれであり、どうやらわざわざ別注でカラーバリエーションを作らせて着用しているらしい。

軍規的に大丈夫なのか?と小一時間ほど問い詰めたいところだが、きっと大丈夫なのだろう。

 

そう、彼女の名は【月詠小萌(コモエ・ツクヨミ)】。

かつては地球連合軍士官学校の教官も勤めた、見かけと反比例するような階級に見合うだけの長い軍歴と実績を持つベテラン軍人である。

 

そして彼女は今、”とある計画”の現場最高責任者としてヘリオポリスに赴任していた。

艦隊戦や機動兵器戦に明るく、また軍学校とはいえ多くの優秀な軍人を育てた教育者としての腕前も買われての配属のようだ。

 

何しろ、彼女に任されたのはモビルスーツ(MS)という連合ではまだまだ目新しい機動兵器と、MSの運用を前提とした新型汎用戦艦双方の運用テストチーフとして新人達を完熟させ、更には有効な戦術まで半ば模索するというかなり重要な役回りであった。

さらに細かい情報は、おいおい出てくることだろうが、ともかくその軍歴や実績/能力と真っ向から相反する容姿のために、小萌は連合においてもひどく有名だ。

一説によれば連合内には【小萌タンを愛でる会】なる秘密結社も存在しているという根も葉もない噂がある……

 

 

 

***

 

 

 

その下手すれば連合の沽券にかかわりそうな噂の真偽はともかく……

ベクトルは違えど、土御門こと連合大尉【土御門元春(モトハル・ツチミカド)】も有名という意味では負けてはいない。

なにせ【エンデュミオンのセイメイ】なる二つ名持ちなのだ。

 

この渾名は実質的に連合がザフト大敗した【グルマルディ戦役】において見せた、土御門の活躍に由来する。

土御門は当時の愛機メビウス・ゼロに搭載された有線誘導機動砲”ガンバレル”をまるで式神のように自在に使いこなして5機のザフトMSを撃墜してみせ、「まるでCEに蘇った”安倍晴明”のようだ」と評されたからである。

もちろん、過度な英雄視は土御門の望むところではないが、敗北を糊塗するために人造の英雄を必要とした連合のお寒い戦況が理解できないほど純粋でもなかった。

 

もっともあながちに【CEのセイメイ】という評価が存外に的外れではないのは、苗字からわかるように実際に彼は太古より続く由緒正しい陰陽師の家系の末裔であり、また彼自身も神童と呼ばれるほどの陰陽師であった。

また、パイロットになる前は持ち前の【特別な力】ゆえに”とある非公開な情報部”の凄腕諜報員だったが、戦況の悪化によりやむにやまれず表世界にパイロットとして復帰したという出所不明の情報も陰のように常に彼にはりついているのだが……

 

見た目はティーンのようにも見えるが、彼の前歴の多くが古風に言うなら墨で塗りつぶされているために”本当の年齢”は不詳という意味においても小萌とどことなく共通項があった。

 

そんな連合将兵全体を見回しても控えめに言って”特異なキャラクター”である二人だったが……

 

 

 

「堅苦しい話はこれぐらいにして、土御門ちゃん……」

 

言い方は気安いいつもの調子に変わるが、顔つきは真剣なまま小萌は、

 

「土御門ちゃんから見て、新人さん達は使い物になりそうですか?」

 

「……実戦経験がないとはいえトップガン(教導隊)から引っ張ってきた奴らが中心。”上”が【GAT-X】シリーズのテストパイロットに選ぶぐらいだからそう悪い腕じゃないにゃー」

 

おどけた様子の土御門に小萌はちょっと頬を膨らませて、

 

「土御門ちゃん、”先生”は土御門ちゃんの意見を聞きたいんですよ?」

 

士官学校時代と変わらぬ”元教官”の軍人らしからぬ愛らしい仕草さに、土御門は内心で苦笑し、

 

「スポーツカーをサーキットで運転するのは慣れてるが、コンバット・バギーを戦場で転がすのは慣れてない……端的に言うなら、そんなとこだ」

 

「ふぅ~」

 

小萌は深々と椅子に座りなおし、小さくため息をついた。

その疲れて椅子にすっぽり包み込まれるような仕草が、ただでさえ小柄な小萌をより小さく見せていた。

 

「連合がMSを実践投入してからまだ半年足らず……未だ試験的実戦投入の域をでないとわかっていたとはいえ、キツイ現実ですぅ」

 

【平行世界】とは違い、どうやらこの世界では既に地球連合はMSの実戦投入をしているらしい。

別の世界なら【GAT-01ストライクダガー】と呼ばれていたものとほぼ同等の、連合お得意のビーム兵装以外はこれといった特徴のない、現状で即時生産可能な技術を組み合わせて取り急ぎ組み立てた機体のようだ。

とにかくザフト驚異のメカニズムで生み出される数々のMSに対抗するために、早期の実戦投入とデータ収集を最優先に開発されたMS、その名を【XGT-01プロト・ダガー】という。

 

しかし、名前の通り連合のこれ以降に開発/量産される全てのMSの雛形(プロトタイプ)として生産されているだけの機体で、先行量産型と呼べる程度の数しか今はまだ出回っていなかった。

もっとも本格的な量産型に結びつかないのは、連合の十八番の政治的な事情(内輪もめ)ばかりではなく、純粋にプロト・ダガーの性能がジンやそれ以降に登場したザフトMSに届かず、メビウスよりマシとはいえキルレシオ(彼我撃墜率)はやはり不利なままで、ザフトが新型MSを投入すれば程なく対抗できなくなることは明白であった。

 

同じMSというカテゴリーの兵器でありながら、これほど連合とザフトの性能に差があるのは、【能力者(コーディネイター)の脳内演算能力を機体操作に反映させるシステム】があるからなのだが……それはいずれ語られるだろう。

 

そして、その差を埋めるために開発されたのが、まったく新しい概念がいくつも導入された【GAT-Xシリーズ】なのだった。

 

 

 

「せめて実戦経験のあるパイロットを送ってきて欲しかったですぅ」

 

「ま、お偉いさん達にはシミュレーターと訓練と実戦のスコアが一致すると思ってるのも少なからずいるってこったな」

 

上層部批判ともとられかねないが、今更それを気にするような二人ではない。

 

「実戦テストでデータを取る暇もなく”高価な棺桶”にならないといいんですけど……」

 

「まったくだにゃー」

 

かわいい顔をしてさりげなくブラックな毒をはく小萌に、土御門は完全同意とばかりに頷いた。

 

 

 

しかし神ならぬ小萌も土御門も知る由もない。

もう自分達の座る座布団の下には爆弾が仕掛けられ、今にもその導火線に火がつけられようとしていることに……

 

 

 

 

 

 

 

 

***************************************

 

 

 

 

 

 

同日同時刻、ヘリオポリス某所、極秘建造中の”とある軍艦”

 

 

 

「あんまり良くない状況じゃんよ……」

 

その”宇宙戦艦”のブリッジにて、黒髪を長いポニーテールにまとめた妙齢の美女が台詞どおりに苦虫を噛み潰したような表情でつぶやいた。

 

長身で細身だが脆弱な感じはなく、むしろ鍛えたゆえに引き絞られた印象がある。

しかも硬質なそれではなくしなやかな……どこか密林に潜む猫科の肉食獣を連想させる女性だ。

それでも必要以上に剣呑な雰囲気にならないのは、母性を強く意識させる豊かな胸と切れ長だがややタレ気味の優しい印象の瞳だからだろうか?

 

連合少佐の階級章をつけた彼女の名は【黄泉川愛穂(アイホ・ヨミカワ)】。

現在ヘリオポリスで極秘裏に建造されている連合所属の試作汎用戦艦【アーク・エンジェル】の副長兼警備総責任者だった。

 

彼女もまたかなり変わった経歴の持ち主で、元々は憲兵隊で軍歴をスタートさせ、その優れた能力が上司の目に留まり特殊部隊に推薦され、相手を味方の軍規違反者から反政府組織やテロリストに変えてキャリアを積み、一時はCQB/CQCの”初等教官”を勤めるまでの腕前になったらしい。

またこの時代に『対コーディネイター(能力者)訓練』を修了し、”アンチスキル(対能力者特殊戦闘員)”の資格を修得している。

 

だが、その後にザフトとの一連の戦闘で開戦以来、特に機動兵器戦で劣勢を強いられてきた連合が全兵に課した【MS操縦士適性検査】によりパイロット適正が高いことが判明し、急遽パイロットとして半ば強引に引き抜かれたという経緯がある。

原則として連合のMSパイロットはMAからの乗換えが主流だが、この時代、他の兵科からの転出でパイロットになるケースは珍しくはなく、例えば”月下の猟犬”こと【モーガン・シュバリエ】なども元々はスエズを中心とする北アフリカで活躍した戦車兵だ。

当時は特にザフトの破竹の進撃を支えた”MSショック”の影響が最も強い時期であり、連合上層部は『適性のあるものはとにかく片っ端からMSに乗せてしまえ』という方針であり、黄泉川もその方針によって選抜された中の一人だった。

 

しかし、ザフトとの負けがこみ混迷していた連合軍人事本部の泥縄的な配属は、どうやら中々彼女を一箇所にとどめることを許さないらしい。

MSの操縦に慣れ、ロスト・ヴァージン(初のMS戦を経験)すると程なく黄泉川は、促成の艦船士官講習を受講させられ、このアーク・エンジェルへ副長として配属を命じられたのだ。

 

軍上層部の思惑は図りかねるところはあるが……おそらく、アーク・エンジェルやGAT-Xシリーズの極端な秘匿建造と無関係ではないだろう。

軍機の漏洩防止のために憲兵は必須だし、敵斥候の浸透/潜入や破壊工作が考えられる状況では”アンチスキル”の技能があるならなお望ましい。

おまけにいざとなったらMSを動かし艦直上防空程度まではできるのだから、機密維持のために大規模に一気に人員を投入するのが難しい為に、目立たないように逐次投入される人員がそろうまで一人の人間が複数の役回りをこなさなければならないような今回の作戦には、まさにうってつけの人材だった。

 

「”先輩”、何がです?」

 

そう返してきたのは黄泉川より幾分若い……というより実年齢よりずっと年下に見える童顔の女性だった。

特徴は黄泉川のそれに近似の豊かな胸に小萌ほどではないにしてもティーンの学生に間違われそうな小柄な肢体、クセッ毛の黒髪を後ろで縛った女性……

大きなどんぐり眼とメガネという組み合わせが余計に幼さを強調してる気がする彼女の名は【鉄装綴里(ツヅリ・テッソウ)】といい、正しく黄泉川の後輩だった。

 

特殊部隊の経験こそないものの憲兵隊出身で、同じく適性検査でMSパイロットに引っ張られ、また一足先にパイロットになっていた黄泉川と分隊を組み戦闘に参加した”経験済み”である。

そしてどんな腐れ縁なのか知らないが、綴里も黄泉川と同じくパイロットとして熟成する前に”この計画”に選出、艦船士官の航海科を受講させられて今はアーク・エンジェルの憲兵とパイロット資格を持つ航海士というややこしい立場に収まっていた。

 

「ザフト艦が3隻、ヘリオポリスの領海に接近してるじゃんよ?」

 

「威力偵察……でしょうか?」

 

「ザフトは連合と比べるなら戦力が少ない。そんな中で少なくとも表向きは中立を保ってるオーブのコロニーに3隻も正規戦闘艦を振り分ける意味はなんじゃん?」

 

すると綴里はハッ!っと気がついた顔をして、

 

「ここにアーク・エンジェルやGAT-Xがあることを掴んでる可能性が……」

 

黄泉川はうなずき、

 

「こりゃ月詠司令に進言してデフコン・レベルを引き上げといた方が賢明かもしれないじゃん」

 

「大雑把に【レモネード(黄色信号)】に上昇ですか?」

 

首を横に振りながら黄泉川は、

 

「【アップル・ジャック(赤色信号)】が妥当さ。ザフト艦の動きがあからさま過ぎる。まるで『ヘリオポリスに接近するのをどうぞ見つけてください』って言わんばかりじゃん?」

 

「まさかっ!?」

 

「あの3隻がもし陽動だったとしたら、」

 

黄泉川は切れ長の瞳を鋭くして、

 

「もう本命の実働部隊はヘリオポリスに入り込んでる可能性がある……直にここも戦場になるじゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***************************************

 

 

 

 

 

 

ヘリオポリス近海、ナスカ級高速巡洋艦【ヴェサリウス】、ブリッジ

 

 

 

「そろそろ時間だな……」

 

そう連合なら提督席と呼ばれるべき場所でつぶやいたのは、白い服と仮面を身につけた金髪の男だった。

 

「”クルーゼ隊長”、【統括理事会】の判断を待たないで本当によろしいのでしょうか?」

 

そんな彼を一段低い席から心配そうに見るのは規格外と言っていい巨乳と、肩に届くか届かないかにそろえた黒髪に、あまり洒落っ気がないメガネをかけた女性だった。

その雰囲気は知的で大人びているが、実際の年齢は二十歳に届かないのではないのだろうか?

 

彼女の名前は【固法美偉(ミイ・コノリ)】、ヴェサリウスの艦長であると同時にヴェサリウスを母艦とする”クルーゼ隊”の副隊長でもあった。

 

「フン……元々統括理事会の命令は、『”アレ”が完成していたら、何を差し置いても奪取せよ』が最優先事項とされている。問題はないさ」

 

「しかし、まがいなりにも中立国のコロニーを攻撃してしまえば、オーブが連合に組みする口実を与えてしまいますが?」

 

「コノリ、君は頭がいい」

 

クルーゼ、【ラウ・ル・クルーゼ】は小さく笑い、

 

「しかし、もう少し物事の本質や裏側を読むべきだな」

 

「???」

 

「統括理事会は必ず今回の強行を評価するさ。何しろ連合のアレを十全に使いこなす者がいるとすれば、それは……」

 

クルーゼは笑みに複雑な意味を加え、

 

「オーブ一国ごときが敵に加わるより始末におえないものになりかねん」

 

「まさか……」

 

「それほどのものなのだよ。GAT-X……いや、」

 

一呼吸置くと、

 

「”ガンダム”というものは、な」

 

 

 

 

 

激突の時は、刻一刻と迫りつつあった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





皆様、ご愛読ありがとうございました。
楽しんでいただけましたでしょうか?

後書きまで読んでくださった皆様に、少し相談があるのですがよろしいでしょうか?
作者はハーメルン様に来たばかりで今一つ空気が理解できてないところがあるのですが、作品に設定する”原作”の欄を今のまま『ガンダムSEED』にしておくのは、この作品の内容的に妥当なのでしょうか?
あるいは『とある魔術の禁書目録』に切り替えたほうが適切なのでしょうか?

ご意見をお聞かせいただけたら幸いです。
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