皆様、こんばんわ。
今回のエピソードの見所(?)は原作とまた違った反応を見せる”すーぱー☆かがりん(笑)”でしょうか?
原作より愉快なキャラになってればと思います(^^
CE71年1月25日、ヘリオポリス某所、隠蔽軍事区画
さてさて、ホテルを出た上条当麻とカガリ・ユラ・アスハが一路向かったのは、ヘリオポリス内のカトー教授が拠点としている工科学校(カレッジ)だった。
途中、キャンパスの中で迷ったが運よくカトーゼミの学生達にエンカウントし、うまく居所を聞き出せた。
『村人との会話が攻略の鍵だよな♪』
とのたもうたカガリはもしかしてゲーム脳(遣り込み派)なのだろうか?
まあ、とある(明らかに年下の)女学生とフラグを当麻が立てかけたりしたのは、いつものことだと軽く流せる範疇だろう。
お目当てのカトー教授と出会えたが、それが最終的な目的ではない。
当麻はともかくカガリの目的は、あくまでこのヘリオポリスで開発されている”鋼鉄の巨人”なのだから……
***
「お父様とミナ姐(ねえ)、ついでにギナ兄(にい)の裏切り者ぉぉぉーーーっ!!」
”計画”の一員であるカトー教授からキーをもらい二人が向かった先は、表向きはこれといった目立つところのないが、実は巧妙に情報と存在が隠蔽された軍事区画だ。
その中の一つ、軍機指定の格納庫兼整備ハンガーと思しき施設キャットウォークから眼下に見下ろす居並ぶ【現代に蘇ったデウス・エクス・マキナ(MS)】、”GAT-X105”を見ながらカガリ・ユラ・アスハは絶叫する!
原作という名の平行世界なら、彼女屈指の名(迷?)シーンなのだが……どうにも様子が違いそうだ。余計な名前もくっついてるし。
「こ、こんな楽しそうな計画に誘ってくれないなんて……裏切り者ぉ……」
「ヲイヲイ……」
大事なことなので二度言ったっぽいカガリに呆れた顔を隠そうともしない上条当麻であった。
「トーマ、ワタシはMSが好きだ」
「はぁ?」
『いきなり何を言い出すんだコイツは?』という表情の当麻に、
「ワタシはMSが好きだ。MSが大好きだ!」
カガリはどちらかと言えば貞淑な胸を張り、
「最先端技術の塊であることが好きだ。
そうでありながら刀剣や甲冑のように、神仏の偶像より遥かに伝統美や民俗学的な美意識が強く垣間見えるのが好きだ。
人型であることが好きだ。
人が使えるあらゆる形状の武器が使える汎用性が好きだ。
道具が道具を使うある意味においての矛盾が好きだ。
製作者の趣味が丸出しなのが好きだ。
美意識と趣味性を兼ね備え、現状の人類の持つ熱意と偏執と技術の粋を集めたのにもかかわらず所詮は純粋な破壊と殺戮を目的とした、最も古く最も非生産的な道具……”兵器”である事実なんか、その存在の哀しさと切なさに感動と絶頂を思う!!」
呆れ顔に頭痛を併発したような当麻に、カガリは魂を振り絞るような表情を浮かべ、
「ワタシはMSが大好きなんだ!!」
「………お前にGAT-X計画を知らされなかった理由、わかった気がする」
ウズミなのかサハク姉弟なのかは知らないが、まったく正しい判断だといえよう。
カガリを計画に一枚かませたら、どんな【ワタシのかんがえたかっこいいMS♪】を作らされるかわかったものじゃない。
実際、今回の連合に貸し出された区画の”抜き打ち視察”も、見かけより遥かに良くも悪くも図太く漢らしいカガリが、どこからかGAT-X計画を聞きつけた彼女がサハク家(というよりロンド・ミナ・サハク&ロンド・ギナ・サハク姉弟)に直談判し、強引にもぎ取ってきたものだった。
***
もう少し詳しく話すと……
本来、地球連合の独自MS開発計画の【GAT-X計画】だったが、あまりに新機軸のシステムを搭載してしまったせいか開発が難航。
そして、ザフトとの戦争は緒戦よりあまり芳しくない状態が続いていた。
たしかに連合も【とりあえずメビウスよりは戦力として期待できるMS(=XGT-01”プロト・ダガー”)】の開発はできたが、それでも性能差を物量差で押し切るにはやや力不足が否めない機体であった。
いや、”連合が最初に開発したMS”としては過不足なく、むしろ上出来なくらいだったが……相手が悪すぎたと言い換えたほうがいいかもしれない。
そんな窮状に合った連合にとり、当時確認されていた全てのザフトMSをあらゆる戦場で性能的に圧倒できる可能性を秘めたGAT-X計画のMSは、手段を選ばず最優先で開発すべき兵器であった。
そこで共同開発パートナーとして白羽の矢がたったのが、中立国ながら旧宗旨国から引き継いだ高い技術力を持つ【オーブ連合首長国】だった。
当時、オーブが要求したのは”中立国”という建前を可能な限り長時間維持させるための計画の秘匿と、更にはその中立という特殊事情ゆえに、主に政治的な理由から独自開発に迫られていたMSの相互技術提携であった。
そう、得意分野が違うだけで連合もオーブ双方ともに、甲乙つけがたい技術力で新世代兵器であるMSの開発は開戦当初……それどころかザフトが実戦兵器としてMSを投入すると判明したときから行っていたのだった。
平行世界の連合以上に地球連合は歴史的背景の差異からか油断なくプラントを注視していた。
いやむしろ『何をしでかすか判らないアレイスター・クロウリーという異能の天才』を恐れていたと言っていいのかもしれない。
そうであるが故に彼の私兵と思われるザフトが”宙間戦闘用汎用人型機動兵器”を開発したとき、その意図がわからなくとも『必ずなんかしらの意味がある』と判断し、どの陣営も開発を開始したのだ。
これは軍事的判断や兵器開発の経緯としてはだとうなところだろう。
とにかく『敵の持つ新兵器に対抗するために同種の兵器をとりあえず開発する』というのは基本なのだ。
ましてやそれが【戦場で新たな潮流】を生み出しかねない代物なら当然だろう。
これが原作と異なり連合がGAT-X以前にXGTシリーズを開発できた理由だった。
オーブもこの流れに遅れなかったからこそ、開発パートナーとして成立したのだろう。
つまり、いずれ登場するだろうこの世界の【オーブ製MS】は、GAT-Xの技術盗用ではなく正規の手続きで開発ノウハウをモルゲンレーテが習得し、形として仕上げた……技術的には、従姉妹程度の近似性をもつ機体として生まれることになる。
話がそれてしまったが、どうやらGAT-X計画の極秘裏の参加を裏工作込みで政治面で動かしたのがカガリの父であるウズミ・ナラ・アスハ、モルゲンレーテをはじめ実務面で動いたのがサハク家であるらしい。
どうもこの世界の五大氏族代表首長殿は、中々にしたたからしい。
カガリの台詞回しで察した方もいるかもしれないが、実はこの世界ではアスハ家とサハク家というのはかなり昵懇、むしろ表裏というニュアンスに近い関係のようだ。
表立って確固たる証拠はないものの、二家が強力な協力関係を持つことを示唆する事象はいくつもあり、オーブのGAT-X計画参入もその一つといえよう。
ついでに言うなら、カガリはミナやギナと幼きころから親しく、言ってしまえばサハク姉弟の”妹分”のような存在だったようだ。
いずれにせよ、この付き合いがカガリの人格形成に大いに影響があったのは事実であり、そのために幾分、短慮ではなくとも過激な行動をとりやすい傾向があった。
また、自らの生まれゆえに持つ権力もかなり的確に認識していて、それを”有効利用”する手腕も、そこそこ芽生えているようだ。
その証拠というのもあれだが、例えばカガリは飛び級でオーブの士官学校に入学し更には五大氏族の特権をフル活用し、”特例”として士官学校卒業直後(任官前)に軍大学へと進学、無事に卒業している。
『簡単に戦場に出れる身でないからこそ、誰しもが目に見える形で”獅子の後継者”である事を印象づけなければな。大雑把に言えば、政治的理由といえなくもないか? 例え普段は予備役のお飾でもワタシが正規の士官学校と軍大学を出たことは事実で、その結果として得た”一佐(他国の大佐)”という階級なら、少なくともマイナスにはならないからな』
とは本人の弁。
基本的には現役軍人は政治活動ができないという軍のシビリアン・コントロール方法を採用してるオーブという国家の性質上、カガリは短期兵役のみですぐさま予備役編入され、今は何かと軍人ではなく軍属的な動きをすることが多いようだ。
もっとも、それはカガリの趣味という理由が大きそうだが……
「いくら好きたって、普通はコロニーくんだりまでお忍びで来るか?」
するとカガリはフフンと笑い、
「好きなものの為には、手間隙は惜しまないタチだゾ? ワタシは」
そんなどこか和やかな会話がなされてるとき、突如として地面や壁をを揺するほどの爆発音が、カガリと当麻に伝わった!!
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同時刻、同施設敷地内
そこにいる筈のない者がいれば、誰しも不審に思う。
ならば、軍事区画……連合のGAT-Xシリーズがいくつかがおかれた隠蔽ハンガーの周辺、おそらくはヘリオポリスの中でもっとも軍機レベルの高い一角に息を殺して佇んでるその”少女達”は明らかに不審者だろう。
「そろそろですわね……」
茶色のツインテールの少女、白井黒子(クロコ・シライ)はお嬢様然としたルックスに似合わぬゴツいデザインの軍用腕時計を覗き込みながらそうつぶやいた。
いや、似合わぬと言うならその服装その物がそうだろう。
なにしろ、街で遊んでいたときのなんとなく女学生を思わせる華やかな服から、今は色気より機能性を最優先した赤いパイロットスーツに着替えていて、おまけに肩からは学園都市(プラント)謹製のハイテク満載な最新鋭自動小銃【トイソルジャー】を下げているのだ。
それ以外にも明らかに手榴弾らしきものや小型化したクレイモア(指向性対人散弾地雷)のようなものを軍用スリングに吊り下げ、オマケに両太ももには徹甲弾の弾芯のような【重金属矢(メタル・フレシェット)】を幾本も挿入した革ベルトを巻いていた。
よく見れば、同種のベルトのロング・バージョンを弾帯風にたすきがけで細くて小柄な肢体に巻きつけている。
見た目はただの金属棒なのだが、それだけの数を所持してることを考えてみると、なんらかの意味があるのだろう。
いや、その考えようによっては珍妙な出で立ちは、何も黒子だけではない。
一緒に連れそう残る三人の似たような少女達は一人は黒子と同じ赤、そして残る二人はデザインは同じだが色違いの緑のパイロットスーツに身を固めていた。
個人装備に差異はあるが、一様に年頃の娘のアクセサリーと呼ぶには少々物騒な道具、平たく言えば武器を携行していた。
「コンピュータ・ウイルスの拡散と定着、完了です。起動まであと120秒」
この面子の中で最もソフトウェア的な意味で電子戦スキルの高い初春飾利(カザリ・ウイハル)が、小型ノートブックPCの画面を見ながら告げた。
既にこの時代、21世紀前半の家庭用コンピューターでやれることはスマホサイズのコンパクト・タブレットでどうにでもなるのだが、さすがに敵の軍用コンピューターのハッキングやらクラッキングをやろうとすれば、それなりのパソコンは必要となるのだろう。
いやハードウェア的な対処は、一応は四人の中ではリーダー格で【電撃使い(エレクトロ・マスター)】の異名を持つ御坂美琴(ミコト・ミサカ)が担当しているため、むしろいくら初春がフルカスタムし、似たような見掛けの市販品とは段違いの処理能力があるとはいえ携行可能なPC程度のスペックで軍事基地のネットワークを寸断するウイルスをしかけられたともいえるだろう。
「初春、何分ぐらい警備システムを黙らせられる?」
姫カットの美少女、佐天涙子(ルイコ・サテン)が心配顔でたずねると、
「コンポジット・ボット(高度複合特性プログラム)で組んでますから、軍用サーバのワクチン自動生成型カウンター・バスターでも解析と生成に5分はかかると思います。それに消滅拡散と複数自己転写にトロイホースもフレーバーで組み込んでるから、完全駆除までには更に最低10分程度は稼げるんじゃないかなぁ~と」
「上等♪ 都合15分も稼げれば十分よ」
美琴は嬉しそうな、でも凄みのある笑みを浮かべた。
その時、
”ドォォォーーーン!”
遠くで響く落雷のような音が、床伝いに響いた。
「”陽動部隊”も派手に開幕花火打ち上げたわねぇ~」
そう佐天の言うとおり、ヘリオポリスに外で待機してるザフト艦隊に先んじて侵入したのは、何も美琴達だけではない。
むしろ彼女達が本命で、他の先行部隊や今まさにコロニーに向けて最大戦速で接近してるザフト艦隊も、ヘリオポリスに侵入しようとしているMS部隊も、全てが彼女達が作戦を完遂すべく準備された”囮”に過ぎない。
音の方角から考えて、おそらくは警備システムのダウンに従い連合の新型試作戦艦に仕掛けてるだろう部隊だとあたりをつけた美琴はニヤリと口の端を歪ませ、
「そろそろ連合の兵隊さん達に、【CSB(コンバインド・スキル・バトル:能力複合戦闘)】がどういうものか、教育してあげよっか?」
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一方その頃、アークエンジェルでは……
「チッ! どっから沸いてきたじゃんよっ!?」
狭さが幸いしたアークエンジェルのタラップ・ゲートに陣取り、黄泉川は憲兵隊時代から愛用している型式は古いが信頼性と命中率の高さから連合正式自動小銃の一つからはまだ外れてない【SIG SG2552(6.8mmSPC弾仕様)】を片手に阻止射撃を巡らせていた。
「鉄装! もっと弾幕ジャンジャン張るじゃん!!」
「は、はい先輩っ!!」
実際にゲートを守ってるのは黄泉川愛穂と鉄装綴里の二人だけだが、ゲート自体は狭いので逆に二人分の射線で弾幕を張れば防衛ができる程度なのが幸いしていた。
加えるなら小銃本体に本来ならオプションの100連発マガジンや新型の多機能ホログラムHUD型サイト、サイト連動で時限信管が自動調整される25mmグラネード・ランチャーなど一介の警備任務としては過剰ともいえる装備を黄泉川が副長権限で警備兵の定数分そろえて二人に限らず全員に配給していたこと、更に第05話【観測者と監督者】にて黄泉川が進言したデフコン・レベルの引き上げをアークエンジェル艦長兼GAT-Xシリーズ運用テスト責任者である月詠小萌少将がそれを認めたため、エマージェンシーとアップル・ジャック(警戒レベル:赤)を前もって発動していたことも大きい。
これによりアークエンジェルは一時的に基地とのオンラインを切断し、スタンディング・アローンの戦闘ステータスで再起動していた。
実際、現代の特殊部隊による奇襲攻撃は、物理的な破壊を前後して必ず電子的な破壊工作が行われる為、ソレに対する自衛処置だ。
故にアークエンジェルに配備されていたガードロボットは、基地の警備システムから切り離され、今や自己閉鎖化されているアークエンジェルの警備システムコントロール下におかれていたので初春のクラッキングから逃れ、基地のガードロボットのように機能麻痺はしなかったのだ。
それ故にアークエンジェル直轄のガードロボットは、未だにバリケードとしての機能を維持していた。
しかし……
(やっぱおかしいじゃんよ……)
もちろん、アークエンジェルの防衛のために銃撃戦を繰り広げているのは黄泉川と綴里だけではないが、それでも……
(明らかに戦艦をブン捕れる人数じゃない!)
「ってことはコイツらは陽動、おそらくはアークエンジェルの足止め……本命はどこじゃん!?」
黄泉川の耳に最悪の報告……『テストパイロット全滅』の報が入るのは、程なく後のことだった。
戦いの火蓋は切り落とされ、その戦火は猛烈な勢いでヘリオポリスを飲み込もうとしていた……
皆様、ご愛読ありがとうございました。
明らかにベクトル操作(?)されて斜め上の方向に飛んでったカガリの絶叫はいかがだったでしょうか?
地味に名前だけ出てますが、カガリに限らず今回のオーブ勢は割と強かな感じになってます。