本日は快晴、非常に心地よい天気だ。
こんな日にする事なんて決まっているようなもので、いそいそとお茶とお茶菓子を用意して縁側へと向かう。
すっかり色の褪せてきた座布団に座ってお茶を一杯。
「ふう…良い天気ねぇ…」
「そうね、とてもいい天気だわ」
いつもながら唐突に現れるなぁ、などと思いながらこぽこぽと紫の分のお茶を注ぐ。
「あら、気が利くわね。ありがとう」
「はいはい、どういたしまして…?」
紫を見たところでなにやら違和感を感じたので、思わず妙な口調になってしまった。
なんというか…そう、帽子がいつもより膨らんでいるような?
不思議そうにこちらを見つめる紫の帽子を、えいやっと引っ剥がす。
そこに有ったのは…
猫耳だった。
猫耳だ。ねこのみみだ。
文字通り猫にくっついているべきそれが、紫の頭に鎮座していた。
どういうことやらさっぱり訳が分からない。
「その…なんで紫に猫の耳が生えてるの?」
「さあ?私にもさっぱりですわ。寝て起きたら生えてたんですもの」
なんでかしらー、と首を傾げる紫。それにつられてへにょりと曲がる猫耳。
妙に可愛らしいのが頭に来る。
「それ、そのままでも大丈夫なの」
「ええ、おそらく。明日には無くなってるんじゃないかしら」
まるで意味不明だが、危険が無いのなら問題あるまい。
まあ危険があるなら直ぐに取り除いているだろうから当然だが。
心配して損した、と零してまたお茶を啜る。心配してくれたのね、と紫もお茶を一口。
「ところで、その…それ触ってみていい?」
「え?ええ、大丈夫よ」
はい、と突き出された頭とぴこぴこ動いている猫耳。近くで見ると本当に猫耳そのものだが、感覚はどうなっているのだろうか。
「じゃあ、遠慮なく」サワサワ
「っっ!?」ビクンッ
やはり感覚も通っているのか、触った途端紫は体を跳ねさせた。かなり敏感になっているようだ。
紫は逃げようとしないので、そのまま両耳を擦るように撫でていく。
「大丈夫?」ナデナデ
「ふあっ…これ……だめぇ」
「何がだめなの?」サスサス
「あっ…やめっ…」ビクンッ
艶やかな声を上げて体をくねらせる紫に、思わず嗜虐心をそそられる。
逃げられないよう後ろから抱きすくめて更に耳を責めていく。
耳の後ろを少し強めに撫でると、コリコリしていて気持ちいいようで、一際大きく体が跳ねる。
「ねえ紫、何がだめなの?気持ちよさそうなのに」サワサワ
「やあっ…おかしくなっちゃう…!」
「うふふっ…今の紫、なんだかとっても可愛いわよ」クリクリ
「だ…めっ…!」ヴンッ
と、スキマで逃げられてしまったが、息も絶え絶えにしている紫を見て、漸くやりすぎたようだと気付いた。
「やめてって…言ったのに…」ウルウル
「あー、その、ごめんなさい。あんなに気持ちよさそうな紫なんて初めてだったからつい」
「つい、じゃないわよもう…危うく気を遣るところだったんだから」
「本当にごめんなさい…そこまでするつもりはなかったの」ションボリ
「…ふふ、そこまで落ち込まなくても大丈夫よ」
「…ほんとに怒ってない?」
「あれくらいじゃ怒らないわよ。霊夢だったらね」
ばちこーん、と音がしそうなウインクをして紫はそう言った。
その頭の上では、良いこと言った!と言わんばかりに猫耳がピクピクしているのがどうにもおかしくて、思わず噴き出してしまったのだ。
「ぷっ…あはははっ」
「ちょっと、何を急に…あっ」
紫も気付いたのか、猫耳を押さえて赤面したが、押さえきれずに指の間からピクピク動いているのが見えて、それが更に私の笑いを誘った。
そのうち私につられたのか紫も笑い出して、しばらく二人で笑いあったのだった。