こんゆり 作:毬藻
「運命の出会い」というタイトルは、今回のラストで意味が分かります。
祐希の運命というわけではなく、咲穂の運命の出会いということです。
わかりにくくてすみません……
「……合コンかぁ。久しぶりだなぁ、高校ぶりかな」
合コンの誘いはとても新鮮なものだった。
アイドルという活動に縛られて、自由に遊んだりすることが最近は出来なくなっていたからだ。
もちろん今日だって今までずっと仕事だったし、まだ人気があるわけじゃないけど、一応アイドルということで行動を宣言されている。今回の合コンだけは特別に許してくれたのだ。
私は人気のないアイドルをしている。芸名は如月咲姫穂。苗字はつくったもので、名前は字を変えた物。本名は平山咲穂という。
人見知りで、恥ずかしがり屋だった自分を克服するためにアイドルを志したのだが、すっかり克服して最近は仕事が楽しくなってきたところだった。
今は家でゴロゴロにしているのだが、明日は久しぶりに休み。大学の友達と遊ぶことになっている。
「楽しみだなぁ~」
と、明日のことを考えながら眠りについた。
翌朝
「ふぁぁぁ~っ……眠い」
朝早くの出かけだったことを忘れていた私は急いで待ち合わせ場所の銀座駅に向かっていた。
駅に着くと彼女はもう来ていて、スマホを弄っていた。
すると、コートのポケットに入っていた自分のスマホが鳴り始めた。画面を見ると友達の名前が書いてあり、目の前にいると伝えると、ぶんぶん手を振ってきた。
「もう、遅いよ咲穂~」
「ごめんね、菜夏」
彼女の名前は塚原菜夏。大学生になったばかりのときに、声をかけてくれて仲良くしている今一番の友人だ。口も堅くて流行とかにも詳しいから、いい相談相手になってくれる。個人的には大好き。
午後までショッピングを楽しんで別れた私は、合コン用の服を家で広げていた。新しい人と出会いたかったから、合コンがとても楽しみなのだ。そのことを菜夏に話すと、『私の親友も合コンが近くてさぁ~前日に、買い物付き合ってあげることになってて』と話してくれた。服を選んでくれた菜夏のセンスはいい。お気に入りの服になりそうだ。
その日も明日からの仕事に備えて就寝した。
そして、合コン当日
「はぁっ……忙しいー」
私は朝、家の中で独り言をつぶやいていた。
今日は昼から仕事があって、その後合コンということになっている。マネージャーの迎えがくるのが11時。現在10時27分。残り33分で着替えと家事を終わらせなければならない。極めて難しい。
「もう嫌だーっ!」
その一言が家の中に響き渡った。
「お疲れ様です、如月さん」
一個目の仕事が終わって、車のなかで一息ついていると、マネージャーの浅野さんからそんなことを言われた。
「ありがとうございます……次って、何でしたっけ」
「撮影です」
「あ、どうも……」
仕事以上のことを話そうとしない浅野さんに興味を持っていた私はこの際だから質問してみることにした。どんな答えが返ってくるのかすごく楽しみである。
「浅野さんって、奥さんとかいるんですか?」
「いません」
「……好きな食べ物、なんですか?」
「焼き魚です」
冷たい。答えてくれるだけいいのかもしれないが、冷たい。
「お付き合いしてる人と――――――――」
「いません」
かいないんですか?と、聞こうとすると切られた。
「…………」
質問を考えて黙っていると、逆に質問された。
「今日はどうしたんですか?妙に落ち着いていない様に見えますが……やはり、合コンが楽しみで落ち着かないのですか?私に質問をするなんて、いつもの如月さんらしくない」
そんなに見られているなんて、驚きだ。てっきり何も思っていないものだと思っていたのに。
「楽しみです……すごい楽しみで、昨日は寝るのが大変でした」
そう言うと、浅野さんは『ふふっ』と笑って、
「まるで、遠足を楽しみにしている小学生みたいですね」
と、笑いながら言った。
こんな他愛ない話をするのも意外と楽しかったので、浅野さんに、
「また質問していいですか?」
と、訊くと、
「ご自由にどうぞ」
って言われて、少し嬉しくなった。
仕事が終わり、すでに待ち合わせ時刻の30分前になった。
今から電車に乗っても、待ち合わせの銀座には間に合わないから困っていると浅野さんが送ってくれると言うので、私はお言葉に甘えて送ってもらうことにした。
「ここでいいですか?」
「はい、ありがとうございます」
駅の近くの場所で降ろしてもらい、私は待ち合わせ場所に向かった。
腕時計を確認すると、七分前。ギリギリセーフかという所で、明日の仕事の資料を車に置いたままにしてしまったことに気付いた。慌てるが、今の私にはどうすることもできない。
仕方なく待ち合わせ場所に向かっていると、後ろから私の名前を呼ぶ声がした。
「平山さーん!!」
後ろを振り返ると、真っ黒のスーツを着た浅野さんが走って向かってきていた。
「浅野さん!資料、届けに来てくれたんですか!?」
歩きながら話を進めていく。
「それもありますが、明日のことをお知らせするのを忘れていましたので。あぁ、こちらが資料です。もう忘れるなんてバカみたいな真似、やめてくださいね」
資料を手渡しながら、私にそう言ってくる。本当にすみません……
前を見ると、待ち合わせをしていた人たちの姿が見えた。
「あの、浅野さん。もう、前に居るので……」
「あ、あぁ……」
と言い、少し後ずさる。
「サングラス、外してくださいね?」
私がかけていたサングラスのことを指摘されて少し戸惑ってしまう。
「え、あ、えっと……はい」
「平山さん、では明日は十時に事務所に来てくださいね?それでは」
それだけ言って、浅野さんは行ってしまった。
お礼とか言いたかったのに……足速いなぁ。車を路駐してるだろうし、仕方ないけど。
とにかく早くいかなくては……!
男性二人と女性一人がいるところまで行き、サングラスを外して誘い人さんの名前を呼んでみる。
「えぇーと……宮森くん?」
私が名前を呼ぶと、宮森くんはニコッと微笑んで、
「平山さん!こんばんはー」
と、挨拶をしてくれた。左に居るのはおそらくもう一人の女の人。右側にいるのは……うわぁ……か、カッコいい……!茶髪がかった髪に、白シャツに青いジャケットを着ている。すごくカッコよくて、惚れ惚れしちゃう……あ、いけないいけない、挨拶しなきゃ……
「こんばんは。すみません、お待たせしてしまって……初めまして、平山咲穂です」
と、三人に挨拶をした。
青いジャケットの人との出会いは、きっと運命だってほどに、心に残った。
なんか色々追加しちゃってすいません……
追加一覧↓
①、祐希と拓真と咲穂と菜夏と美優は同じ大学に通っている。
②、菜夏と咲穂、菜夏と美優は知り合いだが、咲穂と美優は初対面。
③、祝!藤井美優さん、脇役脱却!
(今は㊙ですが、美優には重要な位置を差し上げました。お楽しみに!)
④、菜夏は百合好きで、顔がとてつもなく広い。
没案↓
①、本当は咲穂をレズビアンアイドルユニット所属の子にしようと思ってたんですけど、印象悪くなりそうなんで普通のアイドルにしました。自覚なしだけど、そこそこ人気ってことで。
②、前までは美優は同じ大学じゃなくて、美容師専門学校に通ってる設定でした。
また考え付いたら、あとがきで書いていきますね。
それでは!