騎士よ、音より早く追え -仮面ライダードライブ異伝・マッハ×チェイサーVS仮面ライダーW- 作:たんぺい
その、大きな硝煙が晴れた後には…帽子をかぶった「骸骨」が立っていた。
そして、その反対側には、3人の男女が転がっている。
その内の1人が言う。
「貴様…最低で最悪で愚かな決断だぞ!我々に逆らって…ただで済むと思うのか!」
別の1人が言う。
「貴方、本気で改造されたいらしいわね…!」
最後の1人が言う。
「凄いな…コレが、君の力なのか」
そんな3人の人間を、実にくだらないものを見るかのように見下ろし、骸骨は呟く。
「男は…自由で有るために、己の魂を曇らすものを、愛せない」
その骸骨は、どこからか取り出した拳銃を抜く。
「貴様らは…それだ、貴様らは、俺達の街を…泣かせる」
マキシマムドライブ…そんな機械音が、拳銃から放たれる。
「俺は…守るべきものを守りきれないまま他人に預けた…そして、責任を果たせないままに1人で逝った…そして、臆面もなく今ここにいる…俺は俺の罪を、数えたぜ…!」
誰かに聞かせるでも無く叫ぶ骸骨は、その3人に向けて、拳銃の引き金を引いた。
「さあ、お前の罪を数えろ…!」
そう言うと、その骸骨の銃から放たれる弾丸は…巨大な爆発を上げて、その3人を飲み込む。
その爆発を確認した骸骨は、すたすたと、その場から離れた。
カツン…カツン…
そんな靴音を立てて歩く骸骨は、その表皮が徐々に、まるで固茹で玉子の殻を剥くかのように、その正体を暴くのである。
その正体は…帽子こそ骸骨の時そのままながら、その姿は白亜のスーツを着た、壮年の男だった。
ただならぬ眼光、整えてないもみ上げ、掘りの深い顔。
そのスーツ姿にあいまって、まるでヤクザのようにも見える。
少なくとも、カタギの人間とは…思えないだろう。
そのスーツ姿の男は、帽子のつばを右手でくいっと深く被り直すように下げると、自嘲するように、呟いた。
「ガイアメモリは…出来れば使いたく無かったのだがな…」
そう言いながら、己の右手に握られた…黒いUSBメモリのような、黒い棒を見る。
その棒には『S』と言う文字が、骸骨の形をかたどって描かれている。
「つくづく、救えないな」
その男は…少しだけ悲しそうな表情で呟いた。
「俺は…あれだけ人にえらそうな事を言っておきながら……未練ばかりだ、思い返せば…娘の結婚式一つ、顔を出せない、愚かな親だから……な」
そう言うと、その男の周囲の時は…まるで止まったかのようだった。
「…恐らく、神様のいたずらだ……時間は無い、望んだ結果にはならない……ならば」
雨も、風も、草木も止まる、まるで鉛のような世界の中で、その男は決意するように言った。
「せめて、弟子の卒業式ぐらいはしてやろうか…帽子が似合う程度には、なっているのかな?」
その男…鳴海荘吉は、かつての彼の庭である街。
風都へと、足を運んだ。