騎士よ、音より早く追え -仮面ライダードライブ異伝・マッハ×チェイサーVS仮面ライダーW- 作:たんぺい
詩島剛が仮面ライダーWと邂逅する頃、ほぼ同時刻。
剛に遅れて、ある男が風都に到着した。
「これが、風都…」
重々しく口を開いたこの男。
メタリックパープルのライダースーツを纏い、漆黒のボディに髑髏が眩しい怪しくダークなバイクを引っさげている。
その瞳は非常に暗く、その表情は…受刑者にも死刑執行人にも思えるように、暗い。
ただ者ではない、その威圧感と異様さは、全身・全体から溢れている。
その男の名は、守護神…死神…仮面ライダー…
いずれも正解である。
だが、彼を呼ぶには、追跡…「チェイス」と言う言葉が、ふさわしかった。
かつては魔進チェイサーとしてドライブやマッハと幾度も戦い、更に以前のグローバルフリーズと言うロイミュードの一斉蜂起の際には仮面ライダーとして人を守り抜いたこの男。
現在はと言うと、それらの枷と宿命を乗り越えた結果…フリーになっている。
そして、それが故に、ドライブが動けない時には頼りになる…そんな3人目の、仮面ライダーだった。
少なくとも、ドライブこと進ノ介と詩島霧子…剛の姉である、特状課の婦警にてドライブの頼れる仲間の1人には、そうであった。
「チェイス、済まないが俺達の分まで…」
「戦って…剛の力になってあげて」
そして、ライバルと守護対象たる霧子の言葉には…
「…なるほど、わかった…任せろ、霧子!」
子犬のように、素直に応えようとした。
だが、剛を追いかけて、チェイスははたと気が付く。
何をどうしたら俺は力を貸せるのだろう。
そもそも、俺はこの街の土地勘が無い。
地図の購入、そして剛の力になれそうな武器や差し入れは…俺は財布を持っていない。
どうしよう、チェイスの中で、その言葉がぐるぐると、風都に到着したとたん巡り出す。
そして、思いついた。
「…警察は、困った時に頼れる場所だ…悪いヤツも、居ない」
警察か交番を探そうと。
そして、001やロイミュードに繋がっていた進ノ介の父親を殺したあの男はともかく…
チェイスは普段、特状課に世話になっていただけに、こんな感情を抱えていた。
そう思ってバイクを転がしていたら…警察署らしき建物を見つけた。
そして、そこには、赤いジャケットと赤いパンツが眩しい男が居た。
ちょうどいい…チェイスは話しかける事にした。
「…お前は、警察官なんだろ」
「いきなり失礼だな…何だ!」
少し怒ったように、赤づくめは答える。
…そうか、俺は今、失礼だったのか。
チェイスはそう思うと、謝り…そして『質問』しようとした。
して、しまった。
「…不躾で、済まない、なれてなくてな…それより、この街の道を聞きたいんだが…」
「俺に質問するなぁ!」
…どうしたら、良いのだ。
チェイスは涙を流せないハズなのに、泣きそうになっていた。
一方、赤づくめの方も困っていた。
赤づくめの男の名前は照井竜と言う。
その男は、かつては家族の復讐に燃えて復讐心にとらわれたが…仮面ライダーWと共に戦い、成長する中で、
負の心にも負けぬ正義の力と警察官としての本分、更に嫁さんもついでに手に入れた…仮面ライダーだった。
彼は、アクセル…仮面ライダーアクセルと言う、もう1人の「バイクのライダー」でもあった。
そして、無口でクールな外面とハードな格好で誤解されやすいが…本質的には熱血漢で誰より優しい。
家族を奪われた際の復讐心も、だからこそと言う裏返しと言う一面があった。
だが、チェイスの物言いに…向こうはまったく悪気は無かったのだが…イラつくぐらい、気の短い一面もあった。
そして、この男…質問されると、反射的に、質問するな!と返す悪癖があった。
とはいえ、頭が冷えた竜は、少しならず困っていた。
…なんかカタコトみたいで、もしかしたらこの目の前の男は外国人か何かかもしれないのに、自分は言い過ぎたかもしれない…と言うか、何故、あっちは俺の物言いに怒りもせず固まるばかりだ…なんなんだ、俺が悪い…まあ、悪癖のせいだから俺のせいなんだけど、なんで無表情なんだ…止めてくれ、何かだんだん申し訳ない気持ちになるだろ…
…大方、竜の思考はこんな感じであった。
お互いがお互い、自分の周りにいないタイプだったからか、どうしたら良いかわからない。
困った事に、無口同士な上に根がお互い気を使うタイプな為に、謝罪のタイミングがお互いつかめない。
心の中で、チェイスも竜も、自分の大事な女性に助けを求めていた。
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同時刻、裏路地、剛と翔太郎が居る場所にて。
「…って、ツッコミ不在過ぎるわ!なんだこの空間!」
「どうした剛、いきなり!」
「…俺じゃなくても言いたくなるだろ左先輩…」
亜空間から剛がいきなりツッコミつつ。
それはそうと、剛は自身の知る情報を翔太郎に話した。
自分達が戦っているロイミュードと言う機械生命体が居て、風都に潜んで居る可能性が高いと。
なるほど、と翔太郎はつぶやきながら、ポツリと漏らした。
…まるで鏡だな、と。
どう言うことか、と言う剛に対して、翔太郎は答えた。
「俺達が戦って…そして、俺達の力でもあるガイアメモリは、ざっくり言えば『人間が化け物の力を目指す』、そして、その…ロリコング?」
「…ゲンさんかよ、確かに話はあいそうだけどさぁ…ロイミュード、です」
「…そうそう、ロイミュードは、曲がりなりにも『人間になりたい化け物』みたい…だよな」
反射的に、剛はそれは違うと言いそうになる。
ロイミュードは、人に擬態しただけの…醜い怪物だ!と。
しかし、翔太郎は自分で言って、ふと気が付いたような表情をすると、クワガタ虫のような形のロボットを手から取り出す。
それは、ガラケーのような姿に変化するのを見届けると、翔太郎は剛を無視して電話を始めた。
『もしもし、翔太郎…良いデータは入ったかい?』
「そうだな、ロイミュード…いや、バイラルコア、で検索かけてくれ」
『はいはい、相変わらず翔太郎は人使いが荒いよね…じゃあ、検索を開始しよう』
…電話の相手、フィリップは、地球の本棚…この星のデータベースへと、トリップした。