ぱにぽに′   作:カーディナル

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一時間目

ベッキーが桃月学園に着任してから翌日。

一時限目の時間帯。1-C組ではベッキーがその天才っぷりを見事に発揮していた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とまぁ、ここはこうなるわけだ」

 

身長の問題上、図書館でよく見かけそうなタイプの脚立に座ったまま黒板に数式を板書していくベッキー。

書き終えると教室内から感嘆の声がそこら中から発せられる。

 

「すっご~い!」

 

「本当に天才なんだな…」

 

「しかも要点が綺麗にまとまっててわかりやすい……」

 

「マホーッベッキーその服オメガかわいい!」

 

最後の一人はなんか違うのがいたが、出席してる学生皆から拍手が響き渡る。

 

「馬鹿にしてんだろお前ら」

 

褒められているのだが、昨日の今日であり何か裏があるんじゃないかと疑ってしまうベッキー。

ちなみに姫子がかわいいと言った本日のベッキーの服は黒を基調としたゴスロリ。本人曰く、姉に無理やり着せられたとのこと。

正直こんな服で勤務してきたというのに、学校側からは何も言われないというこの学園の自由奔放さが伺える。

 

「違う違う!尊敬してるのよ」

 

「尊敬ぃ?」

 

くるみが素直に褒めるものの、相変わらずベッキーは疑いの眼差し。

話は変わるが、メソウサ(昨日のウサギ?)は脚立を支えている。両手はあるのにワンコイン持てないほどの握力なのにだ。意味があるのかは謎。

 

「はい、宮本先生は尊敬オブジーヤーです!」

 

1-C……いや、学年内で一番の良い子と言っても過言ではないかもしれぬ6号さんが挙手して善意100%の発言をするのだが。

 

「意味分かんないよ、デカリボン」

 

「あぅ……」

 

一蹴。

その特徴的な白いリボンを見てあだ名みたいに呼んでいるのだろうが……あえなく撃沈した6号さんは沈んだ表情で着席。

 

「んじゃー次の問題を……ほれ、勉強虫解いてみろ」

 

「虫って言うな!!」

 

またもや特徴を指して、親指で顎で使うように黒板を指すベッキー。

勉強しまくってるからといって虫扱いされた都はデコを輝かせ憤慨する。当然の反応である。

 

「……」

 

「お?どうした学級委員」

 

何の前触れもなく一条さんが立ち上がる。そして何の前触れもなく右腕を突き出す。

……そして何やら念じるように唸り始めた。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ……」

 

一条さんの周りに紫色のオーラが漂い始め、何やら不穏な雰囲気にベッキーやクラスメイトが警戒するが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一条マジック」

 

かわいらしい声と共に手を開くとその手のひらの上には…………鳩が乗っていた

くるっぽーという鳴き声と共に窓の外へと鳩は飛び立っていった。

 

『おぉーーーーーーーー!!』

 

さっきのベッキーに向けての拍手よりも大きい拍手が(ベッキーも拍手してる)一条さんに向けられるが

 

 

 

 

 

「失敗です」

 

「いや、十分に成功に値するでしょ……」

 

都の疲れたようなツッコミは皆の心を代弁したもの。なのに一条さんは納得行かないご様子で着席。

どうやら、昨日の恭介に影響されて自力で練習はしたものの鳩は出せてもお菓子は出せないようで、成功には程遠いと感じていたようだった。

正直鳩を出せるだけで凄いのだが、一条さんはどうしてもお菓子を出したいようだった。彼女の向上心は迷走したりすることはあるものの高い。

 

「とにかく、ベッキーの服がオメガかわいいからマルー!」

 

何を評価してるのがわからないが、頭上で○を作って歓喜に揺れる姫子。

ちなみに姫子は一時限目からずーっとベッキーを眺めていて、一度も板書をしていない。

 

「お前は黙ってろあほ毛」

 

「!?アホ毛…………ベッキーに言われた…………マホ…」

 

ガビーンと衝撃を受け、打ちひしがれる姫子。

 

「はぁ……おい、そこのお前」

 

「わ、私?」

 

「そうだ。普通すぎて存在感のない地味なお前だ。たしか、恭介の幼馴染なんだろう?あいつが何時になったら来るのか……って聞いているのか?」

 

一限目に出席してない幼馴染のためにも真面目に板書を取っていたくるみなのだが……ベッキーに、まだ一日しか赴任してない他人に地味と言われたのだ。幼馴染でじゃれあうように言ってくる恭介にならまだしも、ベッキーに地味呼ばわりされてしまい、くるみのショックはとてつもなく大きかった。

ベッキーの話の途中で魂が離脱してしまい、会話の内容が頭に入っていないようだ。

 

「あーもうっ!恭介がちゃんとやれって言ったから授業してるのに、その言った本人が初日の授業に遅刻ってどういうことなんだムキーーーッ!!!」

 

唯一恭介の遅刻理由を知ってそうなくるみに話しかけたのに、反応がなくなったことで本日のベッキーの怒りメーターが頂点に達し……大声で天井に向かって叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょうどその頃、噂の恭介はというと……

 

「ぶぇっくし!……あーこりゃ盛大に寝過ごしたな」

 

今現在起きたもよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーねむ……」

 

「あら、恭ちゃんおはよう」

 

「おはよう母さん。……で、なんで起こしてくれなかったのさ」

 

二階にある自室から寝間着から制服に着替えた後、一回のリビングに降りてテーブルに座ってお茶を飲みつつ朝のニュースを見ている母に朝の挨拶を交わす。

普通の2階建ての一軒家。そこに恭介は母と一緒に住んでいた。

恭介の家庭事情は恭介が小学生に上る前に父親が無くなっており、いわゆる母子家庭というやつだ。

大和撫子のような長い黒髪に恭介と同じく漆黒の瞳をした出るとこは出て、しまってるとこはしまってる少々小柄な童顔の女性が恭介の母。板垣京子だった。

 

「だってぇ……恭ちゃん気持ちよさそうに寝てるんだもの。起こすのは悪いかなーって」

 

「そんな気遣いよりも起こして欲しかった」

 

京子は商店街の花屋でパートとして働いている身。かれこれ十年近く働いていて、そこの店長が涼子の昔ながらの付き合いのある人で母子家庭である涼子のことを心配し、色々気遣ってくれていたため涼子も安心して働けていた。

本日はお休みのようだが、いつもは朝早くに出勤し朝に弱い彼女は恭介に起こされていたのだが……

 

「んじゃ、俺今日も学校だから今から行くけど……って、母さん。ひょっとしてまだ朝飯くってないの?」

 

「うん、まだよー。私が作るよりも恭ちゃんが作るほうが美味しいもの~」

 

ペカーと朗らかに笑う涼子。料理が出来ないわけではないのだが……小学生後半から、働いている母のために自分も何か手伝えることはないかと考えていた恭介は、母が仕事帰りで疲れている時に自分が美味しい料理を作ることができたら、彼女の負担は減り美味しいものを食べて精神的にも回復してくれるんじゃないかと考えていて……今現在の恭介はこうみえてもかなりの料理のスキルが高い。

チラっと左腕に身につけた時計を見るとどう考えても一時限目には間に合わない時間である。

恭介はため息を吐きつつ、通学カバンをソファーの上に置いてキッチンの方に向かう。

 

「……何かリクエストはある?」

 

「やっぱり恭ちゃんは優しくて頼りになる良い子だわっ!もうこのままお母さんのお嫁さんにならない!?」

 

「色々おかしいから……」

 

感極まった涼子は全力で息子をハグし、慣れっこだと言わんばかりの表情で受け入れる恭介であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「恋はスリルショックサースペンス」

 

自慢の愛用バイクに乗り通学する恭介。普通自動二輪車をちゃんと持っており、決して無免許運転ではない。

ただ桃月学園では原則バイク登校は禁止なのだが、どうせ遅刻してんだから他に見回りの先生もいないだろうしいいだろと勝手に決めていた。

見つかったらタダじゃ済まないのだが……この男は見つかったらということは考えずに、見つからなければ何も問題無いと割り切っていた。

 

「喉乾いたな。ちょうどいいとこに自販機あるし何か買ってくか」

 

ヘルメットを外し、一度バイクを止める。

もうこの男には早く着こうという気がまったくなく、どうせ遅刻してんだからいくら時間が伸びたって同じだろうと思っているらしい。

 

「どれにすっかな……エナドリでものm「あーーーーっ!そこにいるのは恭じゃない!」……」

 

何やら聞き覚えのある声が自分のことを呼んでいるみたいだが……恭介は気にせず取り出し口からエナドリを取り出す。

 

「おっはよー!恭。奇遇ね。アンタも遅刻?」

 

「朝っぱらから元気なことで……俺も遅刻だがお前もだろ。優麻」

 

自分のことを恭と呼ぶ人物は一人しかいない。そのため、振り返らずにしゃがんだままエナドリの蓋を開ける恭介。

そのままエナドリを飲みながら、視線を優麻と呼んだ少女に目を向けると腰に両手を当て前かがみになってこっちを楽しそうに見ていた。

 

 

柏木優麻。紫色のロングヘアで頭部の左側に青いリボンをつけており、その活発さと人当たりの良さからしてクラス内では人気がある。

所属は1-A組で同じクラスに付き合いが長くない人では見分けが付かないほどにそっくりな妹がいる。恭介との付き合いは中学生からでいて、中学生生活3年は優麻とその妹と恭介とは同じクラスで一緒に過ごすことが多かった。

3人共桃月学園に入学してからは恭介とは別々のクラスになってしまったが。

 

「何ひょっとして寝坊したの?恭が寝坊するなんて珍しいわね」

 

「寝坊だと決め付けんなや。……その通りなんだけどよ。今日は母さんが休みの日だってわかってたからな。つい油断しちまった」

 

「あぁー、なるほどね。涼子さんが朝早く起きなくて良かったから……ってことね」

 

「そういうこった。……けど俺よりも珍しく早起きしてたから、起こして欲しかったんだけどな……」

 

「あははっ……大方、恭の寝顔がかわいくて起こしにくかったんでしょ。恭の寝顔は普段と違ってかわいいもんねー」

 

「うっせぇ」

 

これまた楽しそうにツンツンと恭介の頬をつついてくる優麻。

それに対し鬱陶しそうにと手で振り払う恭介。

なーに?照れてる?照れてる?とニッシシと笑う優麻。このやりとりからして、この二人の仲の良さが伺える。

しかし、恋仲といった男女の関係ではない。お互いがどう思ってるかは不明だが。

 

「ていうか、妹の方はどうした?お前だけなんてそっちのほうが珍しいじゃねーか」

 

もう一度財布を取り出し、自販機にお金を入れる恭介。どうやら、普段から妹と共に行動してることが多くらしく指摘された優麻はあーっと言い、言いにくそうにポリポリと頬をかく。

 

「いやね、大したことじゃないんだけど……」

 

「おう」

 

「昨日優奈ちゃんと一緒に深夜ドラマ見てたんだけど……」

 

「姉妹揃って寝坊したわけね」

 

「だって続きが気になったのよ……」

 

「で、なんとかお前の方は起きれたものの、優奈の方は起こしても起きず仕方なく家に置いて出て行った……と」

 

「な、なんでそこまでわかるのよ!?……はっ!?ひょっとしてあたしたちのあられもない姿を見たくて盗撮とか……!?」

 

「寝言は寝て言え」

 

まるで見てきたかのようにスラスラと言い当ててくる恭介に被害妄想をし始め引く優麻。

姉妹共々妄想癖のある奴らだと思いつつ、今買った別の飲み物を優麻に放り投げる。

 

「わわっ、急に投げないでよ。これ……」

 

「やるよ。眠気覚ましみてーなもんだ。それ飲んで緩んだ頭を覚醒させな」

 

「……もうっ、失礼しちゃう」

 

「なんでそんなに嬉しそうにしてんだよ」

 

「べーつにっ♪それじゃありがたくいただくわね」

 

恭介が買ったのはペットボトル型のアップルティー。なぜその選別にしたのかというと、単純に優麻の好きな飲物だったからだ。

それを自然に、当たり前のように買い自分に奢ってくれる恭介に既に胸のトキメキと嬉しさで眠気なんてどこかに吹っ飛んでいた優麻だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねー、そういえば昨日恭のクラスにさ新しい先生がやってきたんだって?」

 

通学路。いつもなら桃月学園の学生で賑わう道路なのだが、この時間帯で桃月学園の生徒は恭介と優麻の二人だけだった。

優麻に合わなければそのままバイクで通学するつもりだったのだが、優麻と出会ったためそこら辺の迷惑にならない場所に置いておいた。優麻はそこまでしないで先に行っていいと言ったのだが恭介は急に歩きたくなったんだよ。と言い捨て、先に歩いて行ったため……優麻もそれ以上ツッコムことはせず、言葉とは裏腹に嬉しそうに後を追いかけ今に至る。

 

「情報が広がるのは早いねぇ……いや、一日経てば伝わるか。あぁ、レベッカ・宮本っつー天才ちびっ子先生だ」

 

「うわぁ……噂は本当だったんだ。C組の担任が子供先生になったことって」

 

「正直最初は俺も半信半疑だったが……夢でもなく紛れもない現実だった」

 

「ふーん……ねぇねぇ、どんな先生なの?あたしまだ見たこともないから気になるのよねー」

 

「どんな先生って言われてもなぁ」

 

口元に人差し指を当てて、噂での先生像しかイメージできず恭介に聞いてくる優麻。

自分のクラスの担任とはいえ、まだ合ってから一日しか立っておらず授業すらも受けていない。まだベッキーがどのようなキャラなのかはつかめていなかった。

昨日のベッキーの事を思い返しつつ、感じた印象を伝えようとする恭介だった。

 

「背伸びしてるけどまだまだ遊び足りない歳相応って感じだな」

 

「え、そうなの?天才なのに?」

 

聞いていた先生像とはまったくの別回答に意外そうに反応する優麻。

 

「天才いうても、まだまだ10歳の女の子だぞ?海外から新天地に来たって言うのに不安の1つや2つ抱えててもおかしくないだろ」

 

「それは……たしかにそうね」

 

「優麻だって、他国の言語を仮にペラペラと話すことができても一人で他国に行くのは色々決意とかいるだろ?」

 

「うん……優奈ちゃんと離れたくないし…………そ、それに恭とも離れたくないし……」

 

「そういうこった。宮本先生は強がってそういった弱さを他人に見せないようにしてるんだろうが……まぁ、ちゃんと接していればわか―――――っておい?なんでそっぽ向いてんだ?」

 

「つーん。普段は鈍感な癖に、変なとこで鋭いんですねー恭は!」

 

数秒前までは恭介の話を普通に聞いていたのだが、小さいボリュームとはいえ口にすることが恥ずかしく躊躇うことを勇気を出して言ったのに、この隣の朴念仁には聞こえておらず。変わらない調子で語っていく恭介にムカムカする優麻であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「学園に着いた頃には既にお昼休みになっていましたとさ」

 

「五十嵐先生怒るかなぁ……怒るわよね……そうよっ!先生に賄賂としてお酒を進呈すればいいんだわっ!」

 

「今から買いに行くつもりか?そもそもお前の年齢じゃ買えないからな」

 

お昼休み休憩で賑わう廊下を二人隣り合って歩く。

買収計画を思いつく優麻であったが、難点を恭介に指摘されガックリと肩を落す。

 

「はぁ……五十嵐先生(うちの先生)だらしがない癖に、学生が遅刻したりするとうるさいのよね……後あたしと優奈ちゃんを区別してくれないし」

 

「あの飲んだくれの先生か。うちで授業する時もくるみの事を桃瀬妹なんて呼んでるしな。出席簿見ながら呼んでるし、アレは絶対に名前を覚えていない。他の生徒を呼ぶ時は見ないで言えてるみたいだし」

 

「くるみちゃんかぁ……あの娘かなりレベル高い娘なのに、どうしてああも地味って思うっちゃうのかしら」

 

「周りが濃すぎるんだろうな。そのせいであいつが目立たなく感じるんだろ」

 

同じ同性から見てもくるみはかわいいと思えるらしいが、それと同様にそれ以外のインパクトがないという。

不憫な奴だと軽く幼馴染に同情しつつ、優麻と会話しているとA組の前に着いた。

 

「それじゃあ恭、あたし一度カバン置いてから職員室に行って五十嵐先生に登校してきた事と優奈ちゃんのこと伝えに行かないといけないから」

 

「おう。せいぜいこっぴどく説教されていきな」

 

「……一緒に…付き添ってきてもいいのよ?」

 

両手を胸の前で組み上目遣いで誘うようなポーズを取る優麻。

他の男子学生ならば目をハートにし、頷いてしまいそうなのだが3年近く優麻と付き合いのある恭介には通用しなかった。

演技でやっているのがバレバレだからだ。

 

「お断りだ。ほれ、愚痴なら夜にでも付き合ってやるからさっさと行け」

 

「わかったわよ……今の行った言葉忘れないでよ!最低でも一時間は付き合ってもらうんだから!」

 

小悪党が捨て台詞を残して去るように優麻も恭介を指さした後、逃げるように教室に入っていった。

呆れたように優麻を見送った後、自分も教室に行くことにし1-A教室を後にした……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、板垣さん!」

 

「なにっ?恭介!私の初授業に出席しないで遅刻するなんてどーゆうつもりだ!」

 

教室に荷物を置き終え、学食にでも向かおうとして校内を歩いていたらベッキーを引き連れて走っている6号さんと出くわした。

 

「先生に鈴木か。おはよーございまーす」

 

「もう昼だっ、なんで遅刻なんてするんだよぉ。ばかばかぁ!」

 

シュタッと手を上げ呑気にあいさつをする恭介だが、恭介の姿を確認すると共に突撃しぽかぽかとかわいらしい擬音と涙声交じりで腹部辺りをパンチするベッキーであった。

まさかそこまで、初授業に出席できなかったことを根に持つとは思わなかった。こりゃ遅刻したのはまずったなーと反省しながら、ベッキーの頭に手を置く恭介。

 

「俺自身先生の授業は楽しみにしてたんすけど……遅刻してすんませんでした」

 

「うーっ……もう私の授業の時は遅刻するなよぉ……体育教師の授業ならサボるの許してやるから」

 

「いや、担任がんなこと言うのもどうかと思いますが……」

 

未だにギューっと腰辺りにしがみついているベッキーを苦笑いしつつ、頭を撫で6号さんに目をやるとベッキーの変わり様っぷりにびっくりしていたが、恭介と目が合うとニッコリ笑顔になり

 

「板垣さんと宮本先生はとっても仲よしさんオブジーヤーですね!」

 

と6号さん認定オブジーヤー証を頂いていた。

恭介はベッキーを慰めるので気づいていなかったが、実は6号さんの言葉と視線にはちょびっとした羨ましさが混じっていたのだが、それに気づくことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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