赤き旅人の巡る物語   作:morumo

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第10話 VSニドラン♂♀

少年2人と1日バトルをしてから3日後、レッド達はやっと3番道路おつきみやま側に辿り着いた。

 

「なぁ、ブルー。」

「何よ、レッド。」

 

唐突にレッドが声をかける。

ブルーがそっけなく用を聞き返す。

 

「俺とブルーってバトルした事なかったよな。」

「そうね」

 

あぁ・・・このパターンは・・・

 

ブルーは心の中でこの次にレッドから放たれる言葉を予想した。

 

「なぁ、バトルしねぇ?」

「いや」

 

即答かよ・・・

『何だよそのいうと思ったわ』みたいな顔・・・まぁ今の会話からだと予想されて当然か・・。

 

それよりも・・・

 

「おかしくないか・・・?」

「何が?」

 

「おつきみやまに近づくにつれてポケモン達の姿が見えない・・・ていうより怯えて姿を見せてない気がする。」

 

「またそんな細かいところまでアンタは・・・まぁ確かに前に比べると静かね。」

 

此処に来るまでに沢山の野生のポケモンと出会ったけどやっぱりおかしい。

ニドラン♂♀の姿もポッポもコラッタの姿も見かけない。

 

いや、見かけたけど・・・身を潜めてジッと俺たちを見ているだけだった

 

「キーク」

「キキッ」

 

レッドは腰のベルトにつけたモンスターボールからキークを繰り出す。

 

キークは12番道路でマンキーの群れのリーダーをしていた、ポケモン達とのコミュニケーション能力もヒッポと比べると優れてとれるはずだ。

特にこういった暗い雰囲気の場合はリーダーシップのあるポケモンの方がいい。

 

「頼むぞ、キーク」

「キキッ‼︎」

 

キークはヒュッと道路の左側にあるゴツゴツした岩の段差を上がっていきそこに隠れているポケモン達を探し出す。

 

「ラッ‼︎」

「ラッ‼︎」

 

「キャッ⁉︎」

 

すると突如キークの左側から現れた2つの影にキークは2発づつ蹴りを入れられる。

キークはそのまま岩の段差を転がり落ちる。

俺はすぐにキークの元に走り、ブルーは急いでフシくんを繰り出す。

 

「キーク⁉︎・・・っ‼︎今の技は・・・」

「“にどげり”よ‼︎」

 

“にどげり”

2発連続で相手に蹴りを入れる技、つまりキークは2×2の合計4発の蹴りを食らったという事だ。

 

「キーク立ち上がれるか⁉︎」

「キキッ!」

 

キークは勢いよく立ち上がったはいいが足元が少しふらついている。

 

「レッド‼︎今のポケモン・・・」

「あぁ、ニドラン♂とニドラン♀だ‼︎」

 

「それだけじゃないわ、キークが見てわかるとおり予想以上にダメージを受けてる・・・力量(レベル)も高いわ。」

 

「わかってる‼︎キーク、“きあいだめ”だ」

「キャッ‼︎」

 

キークは自分の闘志を放出させ次の攻撃に集中し始めた、

 

さあ、どうする。

 

“きあいだめ”による集中力は次の攻撃1回にしか反映されない、ニドランの体重は以前戦ったゴローニャと違って軽い分効果は期待できない。

 

ーなら

 

「キーク、ニドラン♂に“みだれひっかき”‼︎」

 

「ならフシくんはニドラン♀に“やどりぎのタネ”‼︎」

 

キークは器用に岩の階段をスイスイとジグザグに登ると、ニドラン♂を連続でひっかく。

ニドラン♂は自分の住処なだけあってランダムに配置されている岩に戸惑う事なく器用にそれを避けていく。

 

「くっ‼︎フシくん“つるのむち”‼︎」

 

ブルーの方もニドラン♀に攻撃を当てる事が出来なかったみたいだ。

 

その後も俺とブルーは攻撃を指示するが岩に阻まれたり逆に岩を利用して攻撃を当てられたりと地形の慣れによるハンデが大きすぎて自分達のペースに持ち込めないでいる。

 

「キーク⁉︎」

 

キークが再びニドラン♂の“にどげり”を食らって地面に激突する。

 

ピコン!

 

図鑑から何かを知らせるような音が発せられる。

この音には聞き覚えがある・・・ヒッポが“ニトロチャージ”を覚えた時に・・・

 

俺はすぐにポケモン図鑑を開いてキークの情報を確認する。

 

キーク(マンキー♂)Lv.13↑

にらみつける

きあいだめ

けたぐり

みだれひっかき

ひっかく

からてチョップ NEW

 

「からてチョップ・・・」

 

キークと同じ格闘タイプの技、“けたぐり”よりも威力が安定しており、敵の急所を狙うのに優れている技だ。

 

これなら・・・

 

「キーク‼︎」

「キャァァァァッ‼︎」

 

キークが俺の呼びかけと同時に“きあいだめ”を発動する。

 

「ラッ・・・‼︎」

 

ニドラン♂の体が強張る。

俺たちが何か仕掛けてくる事を察したんだ。

だけどどう地形を利用したって・・・

 

「“からてチョップ”‼︎‼︎」

「キャァァァァ‼︎」

 

この技を得たキークには無駄だぁぁぁぁ‼︎

 

キークが叫び声と同時に岩をシュタタタタッ‼︎と音を立てて登っていく。

 

「ニッドッ‼︎」

 

ニドラン♂が“にどげり”で器用に岩を落としていく。

 

「キッ‼︎」

 

キークが“からてチョップ”で岩を砕く。

しかし更にニドラン♂は岩を次々と落としまくっていくがキークは次々にそれを“からてチョップ”の連撃で砕いて砕きまくる。

 

「⁉︎」

 

ニドラン♂がこのバトルが始まって初めて動揺した。

 

レッドはそう思ったと同時に自分の立てた作戦、強攻策が成功した事を悟った。

 

“からてチョップ”は“けたぐり”と違って腕を使う分行動しながら使いやすい、今までは止まって蹴りを放って岩を砕いていたため次々に岩を落とされるとその場で立ち止まらなくてはいけなかったため、いずれ落ちる岩のペースに追いつかずに地面に叩きつけられていたが、“からてチョップ”は移動しながら岩を砕けるため、立ち止まる事なくニドラン♂に近づく事が出来る。

 

そしてレッドの思惑どうりキークはニドラン♂の目の前に迫った。

 

「ダメージ量は気にするな‼︎“けたぐり”で体制を崩させる事を優先しろ‼︎」

「キャッ!」

「ラッ⁉︎」

 

キークの蹴りがニドラン♂の体を地面から浮かせる。

 

「真上から振り下ろせ‼︎“からてチョップ”」

「キャァァァァァァァァァァァッ‼︎‼︎」

 

レッドとキークの動きがシンクロする。

 

真上から振り下ろされたチョップはニドラン♂の首部分に命中、そのままキークの腕とニドラン♂の体は地面の岩に叩きつけられ岩にヒビが入る。

 

「ガッ⁉︎」

 

ニドラン♂はそのままキークに捕まれ地面へと投げられる。

 

「いけっ‼︎」

 

レッドはモンスターボールをニドラン♂に投げる。

ニドラン♂は空中で光に包まれボールに入る、そして3回ボールが震えるとカチッという音と共にゲットが完了しレッドの手の中に入る。

 

「ニドラン♂ゲット‼︎」

「フシくん⁉︎」

「⁉︎、どうしたブルー‼︎」

 

ブルーのフシくんの呼ぶ声に思わず振り向く。

 

「フシくんの様子が・・・・」

 

フシくんを見ると体を強張らせその場で立ち止まっている。

 

「ブルー・・・これは・・」

 

 

「ダネフシィィィィィィィィィィィィィィ‼︎」

 

 

フシくんの体が光り輝く、そして徐々に体の形が変化していく、体が一回り大きくなっていき背中の種も変化していく。

 

 

「フシソウ‼︎‼︎」

 

光が弾け飛び現れたのは、フシギダネの風貌を残しながらも凛々しくなった顔つきとフシギダネと比べると更に青みがかった緑の肌、そして背中の種は赤い蕾に変化した事によって華やかになりその周りには草が伸び蕾の華やかさを更に掻立てるような姿に変わったフシくんだった。

 

「これは・・」

 

俺は図鑑を掲げフシくんの新しい姿の情報を得る。

 

No.2 フシギソウ

たねポケモン

タイプ くさ・どく

高さ 1.0m

重さ 13.8kg

蕾が背中についていて養分を吸収していくと大きな花が咲くという。

 

「フシギソウ・・・」

 

ブルーが俺が図鑑の説明を口で言ったのを聞いてフシくんの種族名を口にする。

 

「フシソウ‼︎」

 

「ラッ⁉︎」

 

フシくんがニドラン♀に向かって“たいあたり”以上の強烈なタックルを食らわす。

ニドラン♀は岩に衝突、しかし技を放ったフシくんまで少しよろけ、技の反動によるダメージを受けた様子がある。

 

「これは・・・“とっしん”‼︎」

 

ブルーは俺と違ってまだポケモン図鑑を持っていないため、新しい技を覚えた時フシくんから行動するかポケモンセンターに行かないと知ることはできない、俺のポケモン図鑑もそう、自分の手持ちのポケモン以外の能力が見えないようにロックがかかっているためブルーの手持ちのポケモンであるフシくんの技の構成を見る事ができない。

 

しかしポケモンバトルで新しく覚えたからといってポケモンが勝手にその技を発動してもいいかといえばそれはNOだ。

新しい技は相手の意表をつく事ができる。

しかしそれも一回きりだ、その一回で少なからず相手に新技を意識させる必要がある。

そのためポケモンにも知識が必要となる。

 

トレーナーの指示に従いながら今の状況を把握し自分の技の特性を理解しベストなタイミングで放つ事は、もともと頭のいいポケモンかトレーナーの育て方のいいポケモンじゃないと中々できない。

 

そして今のフシくんの新技の放つタイミングはとてもいいものだった。

進化したことによってトレーナーであるブルーとその傍らにいる俺自身も少し呆然としていた。

ニドラン♀も相手が進化したことによって警戒はしていたがトレーナーが戸惑っている中で新技を発動するとは思えなかっただろう。

下手すれば更に自身のトレーナーを混乱させる羽目になるからだ。

 

しかし、これによってブルーも俺もちゃんと切り替える事が出来た。

 

今のフシくんの“とっしん”の1番の目的はトレーナーであるブルーに新技を教えることじゃなく、ブルーにしっかりしろ‼︎と喝を入れる事が目的だったんだ。

 

 

「あいつ・・」

すげぇ・・・

 

この出来事をそんな簡単な言葉で纏めきれるのかと少し自分の語学力に歯がゆい気持ちでいっぱいだが、この状況の中で普通1番混乱するのは間違いなく自分の姿形が変わったフシくんのはずだ。

フシくんは進化の経験は初めてのはずだから少しくらい動揺が見えるはずなのに、フシくんはその素振りなく冷静に状況を判断して

今の行動を行ったんだ。

 

頭がいいだけじゃない、根性も座っている証拠だ。

 

「フシくん・・」

 

「・・・そうよね、たとえ姿が変わったとしてもフシくんはフシくん、バトルスタイルを変えるつもりはないわ‼︎」

 

フシくんの喝はちゃんとブルーに届いたみたいだ。

 

俺がブルーと一緒に行動している間、ブルーは基本フシくんのみを使っていた。

だからフシくんの使用できる技は知っていた。

 

“たいあたり”

“なきごえ”

“つるのむち”

“やどりぎのタネ”

“どくのこな”

“ねむりごな”

“とっしん”

 

この6つだ。

だけど“やどりぎのタネ”“どくのこな”“ねむりごな”はニドラン♀の領域(テリトリー)であるが故に中々決まらない。

 

恐らく進化してフシギソウになり“とっしん”を覚えたからといってそこは変わらないだろう。

 

つまり、ここから先は新しい技をどう生かして戦うかというブルーのトレーナーとしての実力にかかっている。

 

「フシくん‼︎“ねむりごな”」

「ソウ‼︎」

 

緑色の粉がニドラン♀に向かって放たれる。

 

「ラッ」

 

ニドラン♀は今までと同じように“にどげり”で岩を蹴り上げ降りかかる粉を多少ながらガードしその内に粉のかからない場所へと移動する。

「フシくん“とっしん”‼︎」

「ソッ‼︎」

 

強烈な突進が移動したばかりのニドラン♀に間髪入れずに襲いかかる。

命中してないため反動のダメージはない、突進の威力を殺さずにフシくんは岩に飛びつきそのまま岩を利用して跳ね返り。

 

「“とっしん”‼︎」

 

ブルーの指示を合図にまるでロケットのように爆発的な威力を誇った“とっしん”を繰り出す。

ニドラン♀は不運な事に、いやブルーの誘導通り今まで攻撃をかわすために使用した岩のないところにいたため突進をまともに受けてしまう。

ニドラン♀は二度、三度地面に叩きつけられながら岩に激突し、大ダメージのせいで動けずにいた。

 

「チャンスよ‼︎“つるのむち”‼︎」

 

フシくんの背中から伸びた蔓がニドラン♀の体を跳ね上げる。

 

「お願い‼︎」

 

ブルーがニドラン♀にモンスターボールを投げる。

ニドラン♀はニドラン♂と同じようにボールに包まれ空中で3回動くとカチッという音と共に捕獲された。

 

「ソッ‼︎」

 

フシくんがモンスターボールを蔓で叩き、ブルーの手元にパスした。

ブルーは右手でそれを受け取り、小さく左手でガッツポーズをとる。

 

「でてこい‼︎ニドラン♂」

 

俺はブルーのその姿に思わず笑みをこぼすと新たな仲間、バトルの最中にオーキド研究所に預けず自分の手持ちにすると決めたニドラン♂を繰り出す。

 

「ラァー‼︎」

 

ニドラン♂はまだ俺を認めず、警戒しているようだ・・・身体を強張らせキツく睨みつけてくる。

 

「落ち着けよ、俺達はお前達に危害を加えるつもりはないし、加えてない。」

 

お前達が挑んできたら対処はしたけど・・・自分達からは決して手を加えてはいない!

それでも怒られるとどうしようもねぇけど。

だって正当防衛だもん‼︎自分の安全は大事だもん‼︎

 

「キャッ‼︎」

「ラッニドラッラッ‼︎ニドドッラッ‼︎」

 

するとキークがニドラン♂に向かって何か話し出す、ニドラン♂が一生懸命話しているところからニドラン♂にも何かしら事情があったみたいだ。キークが話を聞いて俺達に関係のない事と説得して俺達の無実を証明してくれているのだろう。

キーク・・・いい子できる子‼︎・・・何の子だって?・・・っていうかそんな言葉あったっけ?

 

「キャッ‼︎」

 

「ドー・・ニド‼︎」

 

納得してくれたようだ。俺に向ける目の種類が変わった。

・・・それでは‼︎

 

「俺はレッド‼︎よろしくな‼︎ニドラン・・・え〜とお前のニックネームはぁ〜」

 

ヒッポのニックネームはヒトカゲの特徴的な炎を灯した尻尾から。

 

キークのニックネームは“けたぐり”の蹴り、キックとマン()()を抜き出して合わせて。

 

ニドラン♂は・・・確かオスしかいないんだよなこの種類は・・・ニ、ド、ラ・・・ニ・・・ラ、ニラ?・・・イヤイヤ確かにニラは好きだけどポケモンにつける名前じゃないだろ・・・。

ニド・・・ニドド・・ニドドラ・・・‼︎‼︎

 

「ドドラ‼︎お前のニックネームはドドラだ‼︎」

「ラッ‼︎」

 

俺はすぐに図鑑にドドラの事を記入、ステータスを確認した。

ドドラ(ニドラン♂)Lv.14

にらみつける

つつく

きあいだめ

にどげり

どくばり

ふいうち

 

「“ふいうち”・・・⁉︎」

 

確か相手がダメージを与える技を発動した時にのみ発動する技

ニドラン♂が覚えているのは珍しい・・・

 

「でも・・なんでキークとのバトルで使わなかったんだ?」

 

俺は画面に表示された“ふいうち”をタップすると

 

PP 0/5

 

「残り使用回数0・・・」

 

PPとはPower Pointの事でポケモンがその技を使用する事のできる回数の事である。

 

ポケモンの技も無限に打てるわけではない、技に溜めが必要なようにどんな技でも反動はある、もちろん強力な技ほど反動が大きい分打てる回数も少ない。

逆に言えば強力でない技は技の使用回数で困ることはないという事だ。

 

つまりドドラは“ふいうち”を俺と戦闘する前にPPが0になるまで使ったことになる。

 

 

やっぱり妙だ。

 

 

キークとの戦闘前のドドラのHPはほぼ満タンだった。しかし“ふいうち”のPPはすでに0、そこまでして倒せないポケモンがこの辺にいるとは思えないというより、そこまで強い相手ならばドドラは戦闘不能に陥っているはずだ。

 

考えられるのは・・・・

 

「攻撃はしたものの相手にはされなかったって事か・・・」

 

さっきのドドラの様子も気になる・・・

 

「レッド・・・・?」

 

ブルーがずっと膝立ちで考え込む俺に声をかけてきた。

どちらにしろ通らなきゃいけない道だ・・首を突っ込んでみるか

 

「ドドラ、この先・・・おつきみやまで何かあったんだよな?」

 

コクリとドドラが深くうなづく。

 

「ブルー、急いでおつきみやまに向かうぞ。」

 

「え、ちょ、ちょっと待ってよぉ!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

おつきみやま

 

「何処にあるんだよ‼︎ったく⁉︎」

 

の奥地だろうか、1人の黒い服を纏った男が近くの岩を蹴りつける。

 

「本当にここで化石なんて見つかったのか⁉︎」

 

どうやら黒い服の男達は古代のポケモンの化石を確保するためにこのおつきみやまに出向いたらしい。

 

現代の技術でポケモンの化石は復元可能とされており、古代のポケモンが眠った際のレベルで現代に復活するため最初から力量(レベル)の高いのですぐに実践で戦闘可能なため人々はとても重宝、欲しているポケモンだ。

 

1人がイラついている時もう1人の黒服の男、ここでは黒服2と呼んでおこう。黒服2が黒服の男のイラつきから出た問いに答える。

 

「間違いない、マークしていた化石研究者が2つの化石を入手したと1人喜んでいるところを見た。追跡し、捕縛したのはいいが何処かに隠しやがって、口を割らない。」

 

「拷問すればすぐにでも場所は聞けるだろう‼︎何をやっているんだ‼︎」

 

「それが・・・危害を加えると俺たちが危ない。」

 

「?どういう事だ。」

 

スッと黒服2がタブレットを見せる。

黒服はそれを覗き見ると目を大きく広げた。

 

「なんだぁ⁉︎」

 

1人のボロボロの探検服を着た老人が、おつきみやま内部でこの黒服達が設置したのだろう檻の中に閉じ込められていたのだが、老人の服には背負っているリュックサックの他に、おかしなものがあった。

 

イシツブテだ。

 

大量・・・と言っても6匹なのだが、6匹のイシツブテが老人の体に張り付き全員で手を握って体を強張らせていた。

 

「何をやってんだ。このジジィ。」

 

「自分に手を出したらイシツブテの“じばく”でお前らをおつきみやまの一部にしてやるって言ってんだよ。」

 

「・・・マジ?」

 

たとえイシツブテの“じばく”だろうと6匹目集まればおつきみやまの内部の一部を破壊する事が可能だ、そうなると自分達は下手すれば全員この老人の言う通りおつきみやまの一部になりかねない。

しかしそうすれば確実に老人はタダじゃ済まないどころか確実に死ぬ。命を落としてまでそんな事をするとは思えない。

 

黒服は黒服2に心底嘘ハッタリであってほしいというような顔で問いかけた。

 

「マジマジ、このジジィ自分は死んでも構わないだとよ、こっちはイシツブテ達がマジでいつでも“じばく”出来る状態でいやがるから手が出せねぇんだよ。」

 

そう呟く黒服2の声音にもイラつきが混じってあった。

 

「トキワの森でも失敗したのにここでまた失敗したら・・・」

「この作戦の指揮を任された俺達2人は調教室行き決定だな。」

 

「いやだぁぁぁぁっ‼︎あんなのに成りたくねぇよぉぉ‼︎」

「うるさい‼︎」

 

黒服2のことばに黒服の男が頭を抱えて叫び声をあげる。

それを制止する黒服2の声はいつもと違い震えていた。

 

「こんなに怯えなきゃいけなくなったのも全部あの女が入ったせいで・・・」

 

ぶつぶつと黒服の男が呟いていると

 

 

ドゴォォォッ‼︎

 

黒服の男2人がいる前方から土煙と共に数人の同じ黒い服を着た男達が流れ込む。

 

「なんだ⁉︎何者だ‼︎」

 

「周辺のポケモン達の様子がおかしいのはお前達のせいか、ロケット団」

 

そこから現れたのは向かうぞ焦げ茶色のツンツン頭に紫の上着を着た少年、グリーンだ。

 

そしてこの黒服の男達はカントーに根をはるポケモン密漁売買組織『ロケット団』。

 

「この声・・・お前か‼︎トキワの森で確保しておいたポケモンを逃したのは‼︎」

 

そう、グリーンがレッドに見つけたら連絡するようにと言っていた炎の鳥ポケモンはロケット団がトキワの森で確保していたポケモンだった。

 

グリーンは炎の鳥ポケモンの檻を破壊、その後襲ってきたロケット団の主戦力であろうポケモン、ウィンディとピジョットを撃破すると炎の鳥ポケモンを追いかけたのだ。

 

その際に図鑑は炎のようポケモンの情報を得ようと取り出した際にウィンディの炎によって焼かれてしまったのだ。

 

「別にポケモンを使って犯罪を行う奴らが確保したポケモンを逃しても何の罪にも問われないだろ?」

 

グリーンはスッと右に移動すると背後には精悍な目をし、毛で覆われた水色の耳と尻尾を持ち、青色の体を持ったゼニガメが進化したポケモン カメールがいた。

ゼニガメの時と比べると倍以上の体格になったその姿は頼もしいものとなっている。

 

「カメール“みずでっぽう”」

「メッ‼︎」

 

ドバッと進化した事によって勢いを増した水流が黒服の男と黒服2、改めロケット団下っ端1とロケット団の下っ端2を襲う。

 

「チッ‼︎でてこいケーシィ“まもる”‼︎」

 

下っ端1が繰り出したのは黄土色の体に眠たそうな細い目、姿形は狐を思わせるようなエスパータイプのポケモン ケーシィ。

 

ケーシィは念力で自分の周りに強固な結界をはり、カメールの水鉄砲を無効化する。

 

「いけっカイロス“かわらわり”」

 

下っ端2が繰り出したのは長く鋭いトゲがついたハサミと薄茶色のがっしりとした体を持つクワガタを思い起こすポケモン カイロス

 

カイロスは自慢のハサミとは関係のない腕にエネルギーを集中させ、技を防がれ攻撃に転じる事が出来ない様子のカメールに正拳突きを放つ。

 

「“からにこもる”」

 

しかしその攻撃が当たる瞬間にカメールは自らの甲羅の中に入り、直撃を避ける。

殻にこもったカメールはそのままおつきみやまの内部の壁に激突するも、すぐに甲羅から体を出し立ち上がっている様子からそれ程のダメージは受けていないようだ。

 

「チッ‼︎ケーシィ“めいそう”」

 

コォォォォッ‼︎

ケーシィは精神を集中させ自分の能力を高めにかかる。

 

「カイロス“ビルドアップ”」

 

カイロスは全身の筋肉を活性化させ、ケーシィと同じように能力を高める。

 

「カメール“みずでっぽう”」

「ケーシィ“シャドーボール”‼︎」

「カイロス“きあいパンチ”」

 

ドォン‼︎

 

カメールの放った水鉄砲とケーシィの影を収縮したゴーストタイプの技の代名詞と言われるほど頻繁に使用される技“シャドーボール”が激突しカメール達の視界を奪う。

 

しかし、視界が安定しないその隙にカイロスは自身の腕に“かわらわり”以上のエネルギーを集中させ、技を放つには長い溜めの後に迷わずに水と影の激突で出来た水蒸気に突っ込みカメールに向かって強烈な拳を放った。

 

「ッ・・・“からにこもる”」

 

先程と同じようにカメールは甲羅に閉じこもり防御するが“かわらわり”のようにダメージを軽減するのは無理だったようで、足元がいかにもふらつきHPが残り少ない事は誰の目にも明らかだった。

 

ー“ビルドアップ”をされたのが思った以上に痛かったな・・・

 

グリーンは冷静に自分のミスを確認すると

 

「カメール“こうそくスピン”」

 

カメールはグリーンの指示の後、タッタッと助走をつけると甲羅に潜り回転、そのままケーシィの元に突進していく。

 

ーケーシィの攻撃は協力だがその分守りは弱い

 

しかし

 

「カメッ⁉︎」

 

バシッとカメールの体が突如現れた光によって弾かれる。

 

グリーンがこのバトル始まって初めて目を大きく見開く。

ブワァッとスピンによって巻かれた砂埃と未だに残っていた水蒸気が光と共に消えてなくなり

 

「ユー‼︎‼︎」

 

「なっ⁉︎進化しただと・・・‼︎」

 

そこから現れたのはケーシィの眠そうな雰囲気はなく、しかしケーシィの体の雰囲気は残したまま大きくなり、額には赤い星マークをし片手にスプーンを持ったケーシィの進化したポケモン ユンゲラーがいた。

 

カメールはケーシィがユンゲラーに進化する際に起こった光の波動に弾かれたのだ。

 

「これなら・・・」

 

「⁉︎何するつもりだ・・・」

 

ボソッと呟いた下っ端1の言葉に違和感を感じた下っ端2が下っ端1に問いかける。

 

「これなら俺1人でも勝てるだろ‼︎侵入者を排除するために現場から離れていたなら例えこの作戦が失敗しても俺は調教室行きを回避出来る‼︎」

「まさかお前・・・抜け駆けしようと‼︎」

 

「ユンゲラー“ねんりき”でカメールと一緒にトレーナーに突っ込め!」

 

ユンゲラーは自分の念動力でカメールの動きを封じるとそのままカメールをグリーンの元へ投げつけると自分もグリーンに向かって突進する、更に下っ端1もユンゲラーと共にグリーンの元へ走り出す。

 

「ユンゲラー“テレポート”‼︎‼︎」

 

下っ端1の指示と共にユンゲラーと下っ端1、カメールとグリーンは一瞬にしてその場から消えてしまった。

 

 

 

「ここは・・・」

 

“テレポート”によっておつきみやまから移動させられたグリーンはどこに移動したのかと周囲を見渡す。

 

周りには水辺、そして木々の数々、そして遠くから見えるのは大きな橋、そしてグリーンの背後にはおつきみやまが見えていた。

 

ー3番道路にはこんなところ見かけなかった・・・つまりここはおつきみやまを抜けた先にある道路か

 

スッと目線を下にやるとそこには戦闘不能状態になっているカメールの姿があった。

 

ーやるしかないか。

 

「さぁ、どうする‼︎お前のカメールはもう戦えないぜ‼︎」

 

スッとグリーンが声の方向に目をやるとユンゲラーと下っ端1がグリーンから離れた位置、恐らく遠距離技が得意なユンゲラーの戦闘に最も適した距離に移動していた。

 

「カメールはまだまだ俺の育てが足りなかった・・・だけど」

 

スッとグリーンがモンスターボールを取り出す。

 

「こいつはお前なんか簡単に蹴散らすくらいにしっかり育ててある。」

 

グリーンは静かにそのモンスターボールを地面に落とした。




RED
手持ちのポケモン
ヒッポ(ヒトカゲ♂)Lv.15
主な技
ニトロチャージ
ひのこ
えんまく
ひっかく

キーク(マンキー♂)Lv.13
主な技
からてチョップ
けたぐり
きあいだめ
みだれひっかき

ドドラ(ニドラン♂)Lv.14
主な技
ふいうち
にどげり
どくばり
つつく

ピカチュー(ピカチュウ♂)Lv.?
主な技





しばらくテスト勉強のため更新をお休みさせて頂きます。
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