赤き旅人の巡る物語   作:morumo

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お久しぶりです。
だいぶ間が空いてしまって申し訳ございません‼︎‼︎



第12話 恩返し

「ヒッポ“ニトロチャージ”‼︎

キーク“からてチョップ”‼︎

ドドラ“にどげり”‼︎」

 

「フシくん“たいあたり”‼︎

コンちゃん“はじけるほのお”‼︎

ニドちゃん“にどげり”‼︎

イワーク“あなをほる”‼︎」

 

ドドドドドドッ‼︎

 

7匹のポケモンによる一斉攻撃がまるで銃の撃ち合いをしているかのような弾ける音を立ててロケット団のポケモン達に襲いかかる。

 

しかしロケット団のポケモン達、ヒッポとフシくんの絶妙なタイミングで放たれたコンビネーションアタックの的にされたゴルバットはヒッポの“ニトロチャージ”を確実にかわしそうすると確実に避けることの出来ないタイミングで突進してきたフシくんの“たいあたり”を羽を生かして力を流す事で最小限のダメージに収めた。

 

さらにアーボに放ったキークの“からてチョップ”はアーボの長い体に腕を巻きつかれその効力を失い、その後に、本当は“からてチョップ”のあとすぐに離脱したキークのあとに追い打ちをかけるかように放たれたコンちゃんの“はじけるほのお”は完璧にキークの技の効力を消したと判断したアーボがキークを炎に向かって投げ出すことで技はアーボではなく味方であるキークに技が直撃し、追加効果によって弾けた火花もアーボには届く事がなかった。

 

ドドラとニドちゃんは俺達が初めて遭遇した時に見せたものと同じ2匹の“にどげり”のコンボを放つが・・・・・

 

「ド、ド、ドー‼︎‼︎‼︎」

 

「なっ⁉︎」

「まずい‼︎ふたりとも下がって‼︎‼︎」

 

ロケット団のドガースの奇妙な発声を聞いた俺は次にドガースがする行動を察したが意表を突かれ思わず怯み、ブルーは驚きながらも怯んでしまった俺の代わりに2匹に指示を出す。

ーしかし

 

 

「ガースッ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

 

「ラッ⁉︎」

「ニッ⁉︎」

 

 

ドォォォォォォォン‼︎‼︎‼︎

 

 

 

ー“じばく”ー

 

 

一瞬激しい光が現れ、すぐに一気に大きな爆発音を小部屋内に鳴り響かせ自分のHPを全て消費し爆発を起こす。

その爆発に“にどげり”を繰り出そうとしていたドドラとニドちゃんは回避出来ずに巻き込まれる。

 

「ぐっ‼︎」

 

巻き起こった爆風が俺とブルーを襲う、ヒッポ、フシくん、キーク、コンちゃんは爆発には巻き込まれなかったものの爆風に吹き飛ばされるがヒッポ、フシくん、コンちゃんは俺達の足元で踏ん張り、爆風によるダメージを最小限に抑えたが直前にコンちゃんの“はじけるほのお”を受けてしまったキークは踏ん張りきれず地面に数回激突し壁際に吹き飛ばされてしまう。

 

ドォン‼︎

 

「っ⁉︎」

 

俺達が爆風に襲われて耐えていると2つの黒い影が俺の右側を通り過ぎ壁に大きな音を立てて激突する。

2つの影の正体は俺達にはもうわかりきっていた

 

「ドドラ⁉︎」

「ニドちゃん⁉︎」

 

ドガースの“じばく”に至近距離で巻き込まれた2匹はHPを全て失った状態で吹き飛ばされ壁に激突、そのままずり落ちて2人揃って壁際で意識を失ってしまった。

戦闘不能状態だ。

 

「っ‼︎」

 

戦闘不能になった2匹に少しでも声をかけたかったが俺達にそんな余裕はなかった。

 

 

ー圧倒的実力の差ー

 

 

ポケモンの力量(レベル)の差ではない、積み上げた経験によるポケモン達の身体の使い方や相手の最も嫌がるやり方を見出す機転、それの応酬によって戦闘開始から約2分足らずで俺達は窮地に陥られさせられた。

 

“じばく”によって自分達のポケモンを1匹を道連れに相手を倒す。

この技は一見イーブンに見えても今の俺達には1番やってほしくなかったことだ。

 

なぜなら俺達とこいつらの1匹の重さは全く違うから、相手は何十匹いる中の1匹、比べて俺達は7匹の中の1匹

 

そして最悪な事に俺達は2匹を失った。

 

 

けど

 

 

「っ!立て直すぞ‼︎ヒッポ“えんまく”‼︎」

「カゲッ‼︎」

 

ヒッポの口から黒い煙が吐き出されロケット団員とそのポケモン達を包み込む。

だけど相手には飛行タイプを持つゴルバットがいる・・・

 

「“かぜおこし”‼︎」

「でしょうねっ‼︎‼︎‼︎」

 

黒い煙の中から強い風が舞起こりヒッポの放った煙が全て撒き散らされ目眩しとして意味の無いものへと変えられる。

しかし・・・‼︎‼︎

 

「ゴッ⁉︎」

 

ゴルバットが煙から姿を現した瞬間緑色の蔓がゴルバットの身体を拘束する、フシくんの蔓だ。

 

「今だっ‼︎‼︎‼︎」

 

 

「カッゲッ‼︎‼︎」

「キャッ‼︎‼︎」

 

俺の指示と共にヒッポの“ニトロチャージ”とキークの“からてチョップ”がゴルバットにクリーンヒットする。

ゴルバットはそのまま地面に衝突しダメージによる硬直を受ける。

そこを見逃すはずがないだろ‼︎

 

「コン‼︎‼︎」

 

コンちゃんの“はじけるほのお”が動けないゴルバットに襲いかかる。

 

「アーボ‼︎」

「シャッ‼︎」

 

団員の指示とほど同時に視界が晴れたアーボが動き出しゴルバットの前に出ると放たれた炎を全て身体で受ける。

 

「っ⁉︎まだだ‼︎ヒッポ‼︎」

「カゲッ‼︎」

 

技を命中させた後すぐに自分の意思でポジションを移動し、ゴルバットとアーボの右後ろから少し離れた場所に位置したヒッポは俺の技の使命なしに俺が指示するつもりだった技“ニトロチャージ”を繰り出した。

 

「ちっ‼︎ゴルバット‼︎“ちょう・・・「間に合うかぁぁぁぁぁ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

ゴルバットの放とうとした技“ちょうおんぱ”が発動する前にゴルバットの大きな口に対して小さな2つの瞳に“ニトロチャージ”がクリティカルヒットする。

ゴルバットはそのまま数回地面に叩きつけられフシくんとキーク達の所まで吹っ飛ぶ。

 

「「やれっ‼︎‼︎‼︎‼︎」」

 

つるのむち

からてチョップ

はじけるほのお

ひのこ

 

ブルーと俺の指示でポケモン達の一斉攻撃がゴルバットに命中し視界を奪う煙と少し踏ん張らないと耐えれない位の力の衝撃が俺達を襲う。

 

流石にこれだけの攻撃を受ければ・・・・

 

 

「バッ・・・・・っ」

 

 

倒れるよな!

 

煙が止みゴルバットのいた位置を確認しようとするとそこにゴルバットはいなかったがロケット団の方に視線をやるとアーボの目の前で目を回した状態で倒れているゴルバットの姿があった。

 

「最後・・・」

 

ブルーはそう呟くとスッと鋭い視線をアーボに向ける。

その視線が自分のポケモンに向けられたことを察知したロケット団員が自分にそれを向けられたかのように後ずさる。

 

「行きましょ、レッド勝負はついたわ」

「は?」

 

ブルーは飄々とした感じでそう言うとヒューとロケット団員達が佇むその先にある小部屋の出口に向かっていく。

 

「ちょ⁉︎どゆこと⁉︎⁉︎」

「まさかあんた気付いてないの⁇」

 

ブルーが呆れたような眼差しで俺を見つめる。

俺の視界から見えるロケット団員3人も冷や汗を垂らしながら辺りをキョロキョロして話し合っているあたり気付いていないみたいだ。

 

それと久しぶりに言うよブルー、その目は止めてくれ、ガチで怖いからマジで・・・

 

 

「終了のカウントダウンまで3・・・2・・・1・・・」

 

 

 

 

 

「0‼︎」ドォォォォォォォンッ‼︎‼︎‼︎‼︎

 

 

 

 

 

「のっ⁉︎」

突如アーボのいた場所が爆発したかのように激しい耳を引き裂くような音を立てて隆起する・・・いや・・・あれは・・・

 

 

「ワーク!」

 

「イワークって・・・あぁ⁉︎‼︎」

「やっとわかったようね」

 

フンと腕を組んで俺を相変わらず怖い目で見ながらブルーが自分がこのバトルを始まってから張っていた布石というかなんというかを話し出した。

 

「私はバトルの最初イワークに“あなをほる”の指示を出して地中に待機するように指示していたのよ。」

 

確かにブルーはイワークに“あなをほる”の指示を出していたがその後イワークは今の今まで出てこなかった、つまり・・・

 

「最初に他のポケモン達と同じように指示を出したのは印象に残らないようにする為のカモフラージュよ、『木を隠すなら森の中』っていうでしょ。」

 

つまりブルーがこの戦闘中に俺と違って怯んだり、焦ったりしなかったのはこの奇襲があったからっていう事か。

 

「止めというベストな形で使えて良かったわ。最悪の流れになった時に一旦それを断ち切る為に呼ぶ事になるかと思ったけど」

 

成功した事にホッとしたのかブルーが自身が立てていた作戦の全貌を話している間にも俺はそんな事とは関係なしに別の事を考えていた。

 

 

違いすぎる

 

 

トレーナーとしての技術も精神も俺はブルーに全て劣っている

 

 

トレーナーとしての技術が劣っているのはこの旅を通してつくづくと感じさせられたがそれでも気持ち、トレーナーとしての強い精神では負けていない、勝っているとさえ思っていた。

それはブルーが女で俺が男だったからかもしれない、俺の中で女は男に敵わないという勝手な固定概念があったのかもしれない

 

しかし事実は

 

不意を突かれ怯んでポケモン達への指示を忘れてしまう俺

逆にブルーはその状況下でもポケモンどころかトレーナーである俺の様子さえも広い視野で確認し指示を出した。

 

その差は圧倒的だ。

どうしてこんなに差が生まれた?

 

 

「レッド‼︎なにボーッとしてるのよ‼︎」

「あ、あぁ。」

 

ブルーが考え事をしていた俺に声をかけるスッと周りを見渡すとヒッポ達の視線が俺に向いていた。

 

ー今はそんな事考えてる場合じゃないな

 

フゥッと息を吐いて頭を切り替える。

 

「行くぞ‼︎」

 

そう言うとレッド達はこの洞窟の出口に向かって走り出した。

 

 

 

しかし結論を言えばこの時レッドの今の戦闘による動揺と興奮は消えてはいなかった。

しかしそれはブルーもポケモン達もそうだった

 

レッドの手持ちの中で唯一戦闘に出されていた1匹が自身のモンスターボールを動かして危険を知らせていたが、戦闘による動揺や緊張感に呑まれたままの彼らには気付いていなかったのだ。

 

レッド達は知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

この小部屋の出口の先がどんな部屋にやっているのかを・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な・・・・・・・・・・‼︎」

「うそ・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

周囲に広がるのはニビジムのバトルフィールドの数倍も高くて広いドーム型の部屋

そしてその部屋の側面は二階建てとなっておりそこからだとレッド達を上から見下ろすことが可能だろう。

 

 

 

 

 

そして・・・・・・

 

 

 

 

一階と二階にびっしりとポケモンを整列させて攻撃準備を整えているロケット団

 

ドォン‼︎

 

「⁉︎」

 

レッド達がバッと背後を振り返る、そこにはさっきまでレッド達がいた小部屋の入り口は土砂と岩でないものとされていた。

 

少しの思考停止の後に逃げ道を失った事に気づく。

 

 

「あ・・・あ・・・・・」

 

 

 

ーここは既に囲んである。ー

 

先程倒したロケット団の下っぱはそう俺達に言っていた。

 

正直その言葉をあまり深く捉えていなかった。

 

例え囲まれていたとしても、囲んでいる人数が少なければポケモン達の体力は心配だが突破するのは不可能ではないと思っていた。

 

多ければその多さを逆に利用して突破するテクニックを俺とブルーは持っている、そう思っていた。

 

しかしまさか俺達の逃げ込んだおつきみやま内の小さな部屋の隣にこんなに大きなドームがある事なんて考えてもいなかった。

 

更に言えば俺は奴らの言っていた俺達を囲んでいるという言葉はハッタリだと思っていた。

 

何故ならそれを言った奴らは最初に俺達を襲ってきた奴だったからだ。普通なら効率がいいから仲間に情報を与えて速やかに向かわせるものだ。なのにこいつらはそのまま俺達を追っていきた、つまりこいつらのいう囲んだというのは俺達を抵抗せずに降参させるためのハッタリだと考えていた。

 

 

そんな甘い考えがこの状況を招いた・・・・いや、俺達がおつきみやまに入った時点でこの状況は決まっていたに違いない。

 

ほぼ息だけの、声にならない掠れ声が定期的に俺の口から吐き出される。

 

 

ー怖い

 

 

 

その思いが俺の足のつま先から頭の先まで物凄いスピードで駆け巡っている、今からカントーを騒がせるポケモン密猟売買組織『ロケット団』にやられるという恐怖もあるだろうが、それよりも怖いものが俺の周囲にあった。

 

 

 

ブルーとポケモン達の恐怖に満ち溢れた表情を見るのが怖くて怖くて仕方がないんだ。

 

 

 

更に恐怖に陥る事になった原因が俺という事が更に俺の中のその感情を掻き立てる。

 

「あ・・・・・・あ・・・・・ふぅッ‼︎」

 

空気を一気に吸い込んで口を閉じる。

 

「ブフゥーっ‼︎‼︎‼︎」

 

そして勢いよく吐き出す、汚い音を立ててしまったが・・・

 

切り替えれた‼︎

 

 

「いくぞ・・・」

「カゲッ‼︎」

 

俺が微かに呟いた声にヒッポが勢いよく返事する、どうやら俺の心配はいらないみたいだったな。

 

「ブルーいけるか?」

「っ・・・えぇ、流石に度肝を抜かれたけど・・・動かなきゃ光は掴めないでしょ。」

 

そこには苦笑も何もない、完全にスイッチが入った。

 

「あいつらのポケモンは・・・」

 

俺はこっそりと奴らの唯一の死角・・・俺の腰でポケモン図鑑を開き奴らのポケモンの情報を得る。

 

黄金じみた黄色の体に黒の稲妻マークが刺繍されている二足歩行の人型の電気タイプのポケモン『エレブー』。

 

炎を纏っているかのように見えるエレブーと立ち姿の似た二足歩行の人型の炎タイプのポケモン『ブーバー』。

 

そしてニビジムでタケシの使っていたポケモンで、この戦いにおいてブルーも使用している身体中が岩で形成された蛇型の岩タイプのポケモン『イワーク』。

 

そして先程まで俺達が戦っていたアーボ、ゴルバット、ドガース。

 

殆どがこの種類のポケモン達で形成されていた。

 

「遠距離攻撃でトレーナーの俺達もろともやるつもりだな。」

「あいつらも1人1匹しか持っていない訳ないでしょうね。」

 

「それはいいんだ。」

「どこがいいのよ⁉︎」

 

 

「重要なのはあいつらが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()っていうことだ」

 

「それって」

 

「普通じゃタブーだけど・・・あいつらは俺達をポケモン達の攻撃の標的にするんだ俺達があいつらを標的にしても文句はないはずだろ?」

「確かにトレーナーを倒しちゃえば2匹目を考える必要がないわね。」

 

「俺はヒッポの“えんまく”で視界を奪う。フシくんには“ねむりごな”“どくのこな”で敵の誘導とヒッポの護衛をお願いしたい。」

 

「わかった。なら煙幕を吹き飛ばす技を持っていそうなゴルバットからやった方がいいわね。」

 

「キークには煙幕を利用してヒットエンドランを繰り返してもらう。」

「じゃあコンちゃんは煙幕の中から遠距離攻撃、イワークには岩を生成する技で相手にダメージを与えながら移動範囲を制限させるわ。」

 

「この戦闘のキーはヒッポ、お前だ。お前がおちたら俺らは終わりだ。頼むぞ!」

「カゲッ‼︎」

 

ヒッポの『えんまく』による目潰しは圧倒的絶望的この状況ではレッド達を勝利に導く事の出来る唯一の光だ、レッドは自分達を取り囲むロケット団達の動きをチェックしながらブルーと小声で作戦会議を始めポケモン達一匹一匹の行動を話し合ったが唯一ヒッポについては『煙幕で視界を奪う』以外の役目を与えていない。

 

レッドはこの戦闘においてヒッポを攻撃に参加させないつもりだ、今まで“ニトロチャージ”で上げた素早さを全て回避に使わせるつもりだ。

 

それ程今回ヒッポが担う責任は大きいのだ。

 

「俺の合図で1度散会してドームの中心に集まれ、3・・・2・・・1・・・GO‼︎‼︎」

 

レッドの合図と共に2人が左右にばらける。

 

「ヒッポ‼︎“えんまく”‼︎」

 

レッドの指示を受けたヒッポは回転をしながら勢いよく黒い煙幕をこの広いドーム一階中に蔓延させた、これで上からは下がどうなっているのかわからないはず、そして下にいる奴らは密集状態で視界を完全に奪わたせいでて迂闊に手を出せないだろう。

 

しかし周囲が見れないのはレッド達も同じだが・・・・

 

「キーク!連続で“からてチョップ”‼︎」

 

「コンちゃん!“はじけるほのお”‼︎

フシくん!“ねむりごな”からの“つるのむち”‼︎

イワーク“がんせきふうじ”‼︎」

 

ボフッとキークは黒い煙の中へ消え、力を溜めた腕を地面と水平に構えてとにかく真っ直ぐ走っていくと煙の中に黒い影を発見しそれに向かってチョップを繰り出す。

 

「シヤッ⁉︎」

 

どうやら影の正体はアーボだったようだ、横でトレーナーのロケット団が大丈夫か⁉︎と声をかけている。

しかしキークはそんなの御構い無しに今度は部屋の壁を見つけそれに沿う様に走り続ける、途中で見つけたものにはとにかく“からてチョップ”で攻撃をし、悲鳴をあげさせるとすぐに走り出す、レッドの言っていたヒットエンドランだ。

 

「ゴバッ⁉︎」

 

走っていくうちにゴルバットに遭遇し同じ様に声を上げさせる。

しかし

 

「コン‼︎」

「フシッ‼︎フシッ‼︎」

 

ゴルバットに黒い影から突然現れた炎と緑色の粉、そして蔓の鞭が命中する。

 

ダメージを受けながらゴルバットは襲ってくる睡魔に負け、地面に着地する。

 

「ワーク‼︎‼︎」

 

イワークの雄叫びと同時にゴルバットの前後左右に岩が出現しゴルバットを取り囲むとその後唯一空いていた上空から岩が落とされる。ニビジムでタケシが使っていた岩タイプの技“がんせきふうじ”だ。

ゴルバットは眠っているため効果抜群のその技をもろにくらいそのまま戦闘不能状態になった。

 

「この調子でいくぞ‼︎」

「えぇ!」

 

キークがとにかく空手チョップで相手を攻撃し声を上げさせる。

 

それがゴルバットまたはロケット団であればコンちゃんとフシくん、イワークが技を繰り出しどんどん倒していくという戦法だ。

 

 

 

「くっ⁉︎煙が振り払えないぞ‼︎」

「どうゆうことだ⁉︎」

 

ロケット団は煙を振り払えない事に狼狽えている様だ、それもその筈

 

「ゲェェー‼︎‼︎」

 

戦闘開始からずっと休まずにヒッポは煙幕を放ち続けている、その勢いはゴルバットの使用する飛行タイプの技の勢いを凌駕している。

 

「このままいくぞ‼︎

キーク“からてチョップ”‼︎」

「コンちゃん‼︎“はじけるほのお”

フシくん‼︎“ねむりごな”からの“つるのむち”

イワーク‼︎“がんせきふうじ”‼︎」

 

再び螺旋状にキークの水平空手チョップが連続ヒットし、鳴き声を聴き取るや電光石火の如く攻撃を放つ。

ポケモン達は自分達から見ても見事なコンビネーションアタックに徐々にテンションを上げていった。

 

絶望、諦め、どん底の状態から火が付いたその心意は動きのキレに大きく作用する。

 

徐々に動きは速くなる

 

運動エネルギーの公式は

2分の1×重さ×()()()2()()

 

つまり速くなれば速くなるほど技の威力は上がっていく。

 

しかしそれは時間が経つにつれて自分の意思ではなかなか歯止めの効かない物へとなっていく、この状況においては諸刃の剣となりうる危険な感情の高ぶりでもある。

 

「落ち着け‼︎」と言う一声をレッドがかければリスクは無くなるが、同時にこの感情の高ぶりによる力の増強を失う事になる。

 

 

レッドは黙る事をとった。

 

 

レッドは目を閉じ視界を封じ耳を潜める。

 

そして頭の中で聞こえてくる音を整理する。

()()()()()()()()()()()()()ため

 

 

 

 

ー舞起こる煙幕によって砂が吹き飛ばされる音・・・・・・排除。

 

ーロケット団の声・・・・・・排除。

 

ーフシくん、コンちゃん、イワークの指示はブルーがいれば大丈夫だ、ポケモン達の鳴き声、技を放つ際の爆発音、空気を切り裂く音・・・・・・排除。

 

 

 

タッ!

タッ!

シュドッ‼︎

タンッチュドッ‼︎

 

 

 

ー聞こえる、キークの足音が・・・敵に技を当てた時の衝突音が・・・・‼︎‼︎

 

 

意識を集中させろ、この状態を保つんだ。

この諸刃の剣の能力上昇数値は高いがそれを扱えるかどうかは別だ、自分の許容数値以上の能力は余った力が必要無い所にかかり逆に動きを悪くする。

 

必要の無い方向に力がかかる時、必然的にリズムが崩れる。

そこからすぐに立て直さなければ力は必要な場所から徐々に無駄な場所に移動し、最終的に能力上昇が能力低下の原因となってしまう。

 

そうならないようにリズムが狂った時に指示するのが俺の、トレーナーとしてのこの戦闘での役目だ。

 

 

タッ!

 

ー集中しろ

 

タッ!

 

ー些細な音でも逃さないように

 

チュドッ‼︎

 

ーもっと周囲のノイズを排除しろ

 

チュドドッ‼︎

 

ー集中‼︎、集中‼︎、集中‼︎だ。

 

タッ!

タッ!

シュドッッ‼︎‼︎

 

ー⁉︎強い

 

 

ータタッタッ‼︎‼︎ー

 

崩れた‼︎‼︎

 

 

 

「キーク‼︎離脱しろ‼︎」

 

 

レッドは刮目し大声でキークに指示を出す。

キークの一撃の音が前触れなく急に大きく強くなった瞬間、攻撃の反動に耐え切れず着地を失敗した様な音がレッドの耳に響いた。

 

キークが大きく地面を蹴った音が聞こえる、バックステップでその場から離脱した音だ。

 

その音が聞こえたと同時にレッドは一旦、音の遮断を止め

 

「ブルー‼︎」

 

「っ!フシくん‼︎“ねむりごな”

イワーク連続で“いわおとし”‼︎‼︎」

 

ブルーは急なレッドの指示の理由をよく理解できないまま瞬時に頭を回転させこの状況に相応しいであろう2匹の技を選択した。

 

最低でも相手の動きを止める事の出来る“ねむりごな”とキークの居場所と方向感覚を隠す、おかしくさせる事を目的とした“いわおとし”が相手のポケモンとトレーナーを襲った。

 

「落ち着けっ‼︎奴らの攻撃はワンパターンだ‼︎危険かもしれないが動け‼︎このままじゃ俺達は格好の獲物だ‼︎‼︎」

 

「好きには動かさないに決まってるでしょ‼︎イワーク‼︎‼︎」

「ワー‼︎‼︎」

 

ブルーの呼び声が高々に響き、イワークの岩を落とすペースが徐々に上がっている。

 

 

「そろそろ上の奴らも動いてくる頃だな・・・」

 

レッドは黒い煙の上に更に砂埃が舞い上がり立ち込める中、上を見上げ、仲間の状態がわからず動くに動けない状態にいる2階のロケット団がそろそろ動き出すのでは無いかと踏んで対処の仕方を考えていた。

 

「キャッ‼︎」

するとキークがレッドのジーンズを引っ張って再び攻撃に参加したいという意思を表現する。

レッドは黒い視界の中的確にいつもキークを撫でている頭をガジガジと撫でる

 

ーまずは今と同じ方法で攻めてみるか。

 

「よし行けっ‼︎」

そう言って背中を押して再び戦闘に繰り出した。

キークはイワークの生成した岩に飛び移り2階にいるロケット団の元へと襲いかかる。

 

ー頼むぞキーク・・・‼︎

 

レッドも流石に煙幕が立ち込める中離れた2階で戦闘を行うキークに指示を出す事は難しい。つまり、今2階で戦闘を行うにはそのポケモンのセンスが高くなければ行けない。

 

「ブルー‼︎」

「わかってる‼︎キークのサポートよね‼︎‼︎コンちゃん‼︎‼︎‼︎」

「コン‼︎‼︎‼︎」

 

コンちゃんもキークに続いて2階の戦闘に参加する。

 

「これで・・・」

 

 

 

 

ポタッー

 

 

 

 

「?」

 

 

 

ポタッー

 

 

 

 

レッドの頬に何かが当たった。

レッドはスッと左手でそれを確認しようとすると

 

 

 

ポタッポタポタポタポタッ

 

 

 

「雨・・・・?・・・・‼︎‼︎まずい⁉︎⁉︎」

 

 

 

 

 

 

「離れろ‼︎‼︎‼︎」

 

 

 

レッドが叫んだ瞬間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドォォォォォォォォンッ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎

 

 

 

 

 

「あがぁぁぁぁぁぁっ⁉︎⁉︎⁉︎」

一瞬にして黒い視界が白く染まり同時にレッド達の身体の内部を破壊するかのような強烈な電撃が走った。

 

「うぐっ!・・・ぁぁ・・はぁ・はぁ・・・」

 

激しいスパークに一時的に眼を潰されたレッドだが徐々に回復していった。

 

 

そして周囲を見てレッドは体の芯が冷たくなった。

 

 

 

黒い霧は晴れ周囲にロケット団の姿が見える。しかし一階にいたロケット団とロケット団のポケモン達はさっきの電撃によってトレーナー数人を残して全滅だった。

 

 

しかし

 

 

 

それはレッド達も同じだった

 

 

レッドの左側の視界には成長した蕾を酷く焦がした状態で戦闘不能状態になっているフシくんの姿があった。

 

イワークは地面タイプであるから電気タイプの技を弾きかえす事が出来たため未だに健在だだが問題は別にあった。

 

 

「ブルー⁉︎ヒッポ⁉︎」

 

 

レッドは倒れているブルーとヒッポの元へと駆け寄った。

レッドに抱えられたブルーは微かな小さな声で

 

「ごめん・・・体が痺れて・・・動けない」

「っ・・・」

 

その言葉を聞いたレッドはすぐにヒッポの元へと駆け寄った。

 

「ひどい・・・」

 

運悪く直撃してしまったのだろう身体中からバチバチッと許容量を超えた電気が空気中にスパークしている。

図鑑を開かなくてもわかる、確実にHPが全て吹っ飛んでいる。

 

レッドはスッと周囲、2階を見渡した。

 

そこには現在の状況に驚愕の顔を浮かべているキークとコンちゃんそしてニヤついた笑みを浮かべているエレブーの集団だった。

 

「“あまごい”からの“かみなり”・・・」

 

“あまごい”はその名の通り雨を降らせる技だ、この技によって地面を濡らす事によって電気を通しやすくし更に電気タイプの強力な技“かみなり”の一斉発射で一気に煙を払いなおかつ1階にいるイワークを除いた全てのポケモン達を戦闘不能に追い込んだ。

 

「やれ」

 

「ブバッ‼︎‼︎」

「バッ‼︎‼︎」

「シャー‼︎‼︎」

「ドガッ‼︎‼︎」

 

「キャッ⁉︎」

「コン⁉︎⁉︎」

「イワッ⁉︎⁉︎」

 

「っ・・・・⁉︎みんな‼︎‼︎‼︎」

 

ロケット団の指示でブーバー、ゴルバット、アーボ、ドガースの一斉攻撃が始まり、隠れる煙もなくなったキーク達は今までの善戦など嘘かのように呆気なく1階に叩き落とされ戦闘不能状態に追い込まれた。

 

「くっ⁉︎」

 

レッドは即座にポケモン達をモンスターボールに戻す、その際にブルーのモンスターボールも勝手に使わせて貰ったがそこは了承願う。

 

「おとなしくそのモンスターボールを全てよこせ、そしたら2人とも()()保障しよう。」

 

()()()保障してもらわない限りそれは出来ないね。」

 

「お前達は俺たち相手にやりすぎた。それは保障できない、十分に痛みつけてずっと奴隷のような扱いを受けてもらう事になるだろう。ロケット団には見ての通り男も女も多いからね。」

 

ニヤッと笑みを浮かべるそのロケット団の表情にレッドは軽く寒気と嫌悪が走った。

 

「どういう意味だよ。」

 

「子供にはまだ早い話だよ、まぁ話はだけどな。ははははっ‼︎‼︎」

 

「ブルー逃げるぞ。」

「私は置いていって。」

 

その言葉は『ブルーは体が痺れて動けないからブルーを連れて行くと俺は絶対に逃げられない』という考えから成り立っている、確かに全てのポケモン達を失った俺達があと20人近くいるだろう相手に逃げる事は難しい。それも1人は動けないから一方が抱えなければいけない。

 

だけど

 

 

「一緒に行動してきてそれをYesっていう様な男だと思うか?」

 

 

 

「・・・・・でも!」

「その事について俺に何を言っても無駄だよ。絶対に置いてかない。」

 

「やれ。」

 

 

「失礼‼︎」

「きゃっ・・・」

 

ロケット団の攻撃が開始された瞬間、レッドはブルーを抱えて走り出す。

出口は何処にあるかわからない、いやおそらく2階にあるのだろう、1階と2階を繋ぐ坂をレッドは見つけた。

 

しかしロケット団もそれは承知している、雨によって視界が軽く奪われる中、電撃が炎撃が毒針が風が行かせまいとレッドに襲いかかる。

 

「あぐっ⁉︎⁉︎」

 

一つ一つの技を避けるのはポケモンじゃなくても可能だ、がレッドに襲いかかる技の間隔はブルーを抱えている状況だと不可能に近かった。

 

レッドは当たれば確実に両方にダメージがいく電撃は確実に避け、それ以外で避ける事が不可能だと感じた技はブルーに当たらぬ様全て背中で受ける。

 

「っ・・・しぶとい。」

 

ドスッ‼︎‼︎

 

「あっ・・・」

 

ブルーの悲しい声が小さいながらも遠くまで響く。

 

レッドの足に毒針が命中したのだ。

レッドは咄嗟にブルーを上にして背中から地面に倒れた。

 

「エレッブー‼︎‼︎‼︎」

 

「っ⁉︎あがぁぁぁぁぁぁっ⁉︎⁉︎」

 

追い打ちをかけるかのようにエレブーの電撃がレッドに炸裂。

 

「レッドォ‼︎‼︎‼︎」

 

ブルーが叫び声を上げる。

 

「ブーッ‼︎‼︎ブーッ‼︎‼︎」

 

「あがぁぐぁぁぁぁあぁ⁉︎⁉︎⁉︎」

 

更にエレブーが出力を上げて何回も何回も過剰に攻撃を放つ、その度にレッドの叫び声にも似た悲鳴が轟く。

 

「もう止めて‼︎‼︎命までは取らないって言ったでしょ⁉︎⁉︎このままだと・・・‼︎‼︎‼︎」

 

「それは大人しくポケモン達を渡したらと言った筈だ。こいつはそれを拒否したんだ命の保証などする訳がないだろぉ⁉︎ははははははははは‼︎‼︎‼︎」

 

「そんな・・・⁉︎」

 

「こいつが泣きわめいて土下座してポケモン達を渡せばまだ許してやってもいいけどなぁ‼︎‼︎まぁ、もちろんこの状態でそれが出来ればだけどなぁ‼︎‼︎ははははははっ‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

 

 

 

「ははははっ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

 

 

 

「レッド⁉︎」

 

レッドはエレブーの電撃を受けながら立ち上がる、その顔に笑みを浮かべて。

 

「こいつ・・・・‼︎」

 

「この程度の電撃がなんだってんだよ‼︎‼︎この程度の痛みで今まで一緒に旅をしてきた仲間を渡せってか⁉︎

笑わせんじゃねぇよ‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

「自分のポケモンが・・・‼︎仲間が戦えない、力を出せない時は全力で守ってやるのがポケモントレーナーの義務なんだ‼︎‼︎

いつも俺たちの代わりに戦って傷ついてくれるポケモン達にやってやれる恩返しなんだ‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

「ポケモン達からの恩を仇で返すような真似をするなら俺はポケモントレーナーを辞めたほうがましだ‼︎‼︎‼︎」

 

「何を言ってやがるお前はもうポケモントレーナーとしても普通の人間としても生きていけなくなるんだよ‼︎俺達ロケット団に刃向かった事によってな、ポケモン達に恩返しだぁ⁇ポケモンは人間よりも下位に位置する生物だ人間のために働いて当然だろ‼︎」

 

「そうだよなぁ⁉︎⁉︎お前達は自分達の利益しか考えてない‼︎お前らみたいな奴らがいるから正しい奴が傷つかなきゃいけなくなるんだ‼︎そんなの間違ってるだろ‼︎‼︎」

 

「それが弱肉強食という名の世の中の摂理だ‼︎どんなにいい奴だろうと負ければ全てを失う‼︎この世界は何処までも卑怯で残忍な奴が成り上がるように出来ているんだよ‼︎‼︎‼︎」

 

「そんな世界なら俺がぶっ壊してやる、お前らがその原因なら地の果てまで追いかけて欠片も残さない程に潰してやる‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

「だから‼︎‼︎・・・もういい殺せ‼︎‼︎‼︎」

 

「エレッ・・ブーツ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

「っ」

 

「レッドぉぉぉぉぉぉ‼︎‼︎‼︎」

 

レッドに放たれる確実に命を狙う程の大きさを持った強烈な『かみなり』先程までに負ったダメージが大きすぎてレッドにはそれを避ける力は残っていなかった。

 

思わず目を強く閉じる

 

 

 

 

「・・・・・?」

 

技が・・・こない?

 

 

 

「防がれた・・・だと・・・‼︎」

 

防がれた?

 

 

レッドはスッと閉じていた目を開け、大きく見開いた。

 

 

 

 

 

 

 

「出て来てくれたのか・・・・

 

ピカチュー」

 

 

 

 

 

そこにいたのは小さな黄色い体に赤いほっぺ、茶色のギザギザ模様と体色と同じギザギザな尻尾を持った、今までずっとモンスターボールに閉じ籠っていた相棒、ピカチューの姿があった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ーレッドは恩返しをするって言ってたけど僕にはその権利はないよ、だって今まで閉じこもって戦おうとしなかったから・・・・

 

 

だけどレッドは僕を見捨てなかった、毎日僕に話しかけてくれた、

 

 

僕は溜まりに溜まったこの恩を返すために

 

 

レッドの為にはじめて戦うんだ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎

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