赤き旅人の巡る物語   作:morumo

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お久しぶりです、遅くなって申し訳ございません。
最近のポケモンの熱さに興奮しておりますmorumoでございます。
映画も良かったしサンムーンのリージョンフォームも素晴らしいしアニメなんかスッゲーしクネクネ動くしもう最高です。

今年1年は本当に忙しいので更新はとても遅くなると思います。
現在も忙しい合間を縫ってポケモンを楽しんでおります本当にポケモンは僕にとってのオアシスでございます。
改めて遅くなってしまい申し訳ございませんでした。


第21話 レッドvsブルー 別れのバトル‼︎

「別れようって…」

 

「私とレッドが一緒に旅をしていたのは私がポケモン図鑑を貰うため、その目的が叶った今、私がレッドと一緒に旅をする理由がなくなったの。」

 

「…そうか、そうだよな。」

 

レッドは自分の中で何かを認めたかのように呟くとブルーに対して笑みを浮かべる。

 

「別れる前にレッドにお願いがあるの。」

「お願い?」

 

スッとブルーがレッドの前に差し出したのはモンスターボール。

 

「ポケモンバトル、受けてもらうわ‼︎」

 

「!…そういえばまだした事なかったよな、いいぜ、バトルしようぜ!」

 

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

俺とブルーはポケモンセンターの外にあるバトルフィールドに移動し対面する。

 

「ルールは3対3の非公式シングルバトルいいわね!」

 

「おう!」

 

俺の手持ちは4匹いるけどブルーの手持ちは3匹、このルールになる事は分かっていた、公式ルールじゃない分、ポケモンの技の制限はない。

 

この勝負でキーになるのは変わらずトレーナーの技術‼︎

 

「バトルスタート‼︎」

 

審判を頼んだハナダシティポケモンセンターのジョーイさんがバトルの開始を宣言する。

 

そしてその宣言と同時に…

 

「ドドラ‼︎」

「ニドちゃん‼︎」

 

俺とブルーが1匹目のポケモンを放つ。

 

「“なきごえ”‼︎」

「“ふいうち”‼︎なっ⁉︎」

 

ドドラがニドちゃんの攻撃時の隙を狙うべく4足歩行の脚力を生かして急接近するもニドちゃんが放ったのは攻撃の隙を突く“ふいうち”を無効化する変化技、相手の攻撃能力を下げる“なきごえ”。

 

そして“なきごえ”による音波を至近距離で受けたドドラが僅かに怯む。

 

「“ひみつのちから”‼︎」

 

「リッナァァァァァッ‼︎」

「ドッ⁉︎」

 

強烈な拳がドドラの腹にクリーンヒット、そのままドドラは吹き飛び俺を横切りそのままポケモンセンターの塀に激突、その衝撃で砂埃が凄まじく舞い、俺の視界からドドラを隠す。

 

「ドドラ!大丈夫か‼︎」

 

「リッノォォォォォォォッ‼︎」

 

凄まじく舞った砂埃を吹き飛ばすかのような雄叫びをあげてドドラが姿を表す。

 

まだまだいけそうだ…それにしても、

 

俺はドドラからニドちゃんの背後で挑発的な笑みを浮かべながら俺を見るブルーに視線を移す。

 

先手に迷わず“なきごえ”を支持してきた、“ふいうち”を完全に読んで、でも今の攻防はお互いにポケモンを繰り出しすのとほぼ同時に技を指示していた…お互いに相手のポケモンを確認する暇もなかったはずだ…なのになんで…

 

「舐めないでよ。」

「!」

 

「レッドのバトルを1番近くで見てきたのはこの私よ、レッドのポケモンの使える技や戦法、そしてトレーナーであるレッドのバトルスタイルは熟知しているわ。」

 

「つまり俺が先発にドドラを繰り出す事も“ふいうち”を始めに指示するって事も今までの俺の戦いからわかってたって事か…」

 

「ドドラの得意とする戦法は“ふいうち”からの速攻、先発のポケモンとして最もレッドのバトルスタイルとしてマッチしているポケモンだけどそれは逆に“ふいうち”によって相手の隙を突かないと決定力に欠けている証!」

 

「っ⁉︎」

 

ブルーの言う通り、ドドラの使用出来る攻撃技は“ふいうち”の他には“つつく”“にどげり”“どくばり”、どれも決定力に欠ける技だ。

“にどげり”は相手に攻撃の隙を与えない事が可能だがそれも相手が大きな隙を見せないと難しい。

 

だけど、“ふいうち”は初手でしか使えない技じゃない

 

「ドドラ、まずは“にらみつける”だ」

 

ドドラの鋭い目が更に鋭利なものへと変わりその視線がニドちゃんに向けられる。

 

これでニドちゃんの防御力を下げることは出来た。

 

「攻撃力を下げられた分をこっちの防御力を下げる事でイーブンにしようって事?それとも…」

 

「私のニドちゃんの攻撃を待っているのかしら‼︎“みずのはどう”‼︎」

「“ふいうち”‼︎」

 

ドドラの速攻、しかし

 

「「⁉︎」」

 

ドドラが接近するよりも先にニドちゃんが水の弾丸を()()()叩きつける。

 

「ドドラァー!」

 

水の弾丸はニドちゃんの手前で弾け接近していたドドラを弾けた水の波で押し返す。

 

「くっ⁉︎“にどげり”を利用して回避だ‼︎」

「“ひみつのちから”‼︎」

 

ドドラが2発の強烈な蹴りを利用して“みずのはどう”の余波を途中回避したところをニドちゃんが先程の強烈な拳を空中で身動きが取れなくない隙を狙ってドドラに地面に叩きつける様に繰り出す。

 

ドドラはそのまま一直線に地面へ落下。

 

「連続で“みずのはどう”‼︎」

 

ニドちゃんが上空で幾つもの水の弾丸を生成し地面へ落下し砂埃が舞ってドドラの姿が定かではない中畳み掛けるかの様にその水の弾丸を撃ち放つ。

 

バトルフィールドに砂埃と大量の水が巻き起こる。

 

「ドドラっ⁉︎」

 

「ガハッ、ニッドォ…」

 

ドドラが水の弾丸に襲われながらやっとのおもいで姿を表す。

 

その姿を見る限り体力は残り僅か…

 

「ドドラ!一旦戻れ‼︎」

 

ドドラをモンスターボールに戻す、“ふいうち”による乱舞を使えそうにない今、ニドちゃんの技の種類の豊富さをドドラで受け持つのはキツイ。

 

ならこっちも…

 

「ヒッポ!」

「ザァッ‼︎」

 

技の豊富さで勝負だ‼︎

 

「“ニトロチャージ”‼︎」

 

ヒッポがノーモーションで体に炎を纏いそのまま突撃する。

ニドちゃんは発達した二本脚を広げ受け止める体制に入る。

 

「“みずのはどう”‼︎」

 

ブルーがその技をニドちゃんに指示した瞬間思わず俺の口元が緩くなる。

 

「“つばめがえし”に切り替えろ‼︎」

 

俺の指示でヒッポは“ニトロチャージ”を能力上昇領域まで進んだ後に技を中断し、そのままリザードに進化した事によって得た鋭い爪に空気を纏い風の爪を創り出す。

そしてグッと脚を踏ん張ると…

 

「⁉︎」

 

一瞬にして水の弾丸を作り出したニドちゃんの目の前にまで移動。

 

そして

 

「いっけぇっ‼︎‼︎」

「ザァッドォォォッ‼︎‼︎」

 

作り出した水の弾丸ごとニドちゃんを斬りつける‼︎

 

ヒッポに斬られた“みずのはどう”はそのままニドちゃんの手元で弾け飛びニドちゃん自身が余波で水に流される。

 

「“りゅうのいかり”‼︎」

 

ヒッポの口から青い炎が吐き出されニドちゃんに襲いかかりながら徐々にその形を竜を模したものへと変化させる。

 

「ニドちゃん“みずのはどう”‼︎」

「無駄だぜ‼︎竜の炎は水じゃ消せない‼︎」

 

水に流されながら放たれた水の弾丸を飲み込みそのままニドちゃんをも飲み込み爆発する。

 

「まだだ!攻撃の手を緩めるな‼︎“ニトロチャージ”‼︎」

「“にどげり”を利用して回避して‼︎」

 

ヒッポの素早さ上昇+ノーモーションで放たれた“ニトロチャージ”をニドちゃんは“りゅうのいかり”のダメージを1度堪え、両足に力を入れて地面を2回蹴る力をジャンプに利用してかわす。

 

ニドちゃんはそのままブルーの前に着地、やはり“つばめがえし”と“りゅうのいかり”のダメージが効いているのか息が上がっている。

 

「ニドちゃん一旦下がって。」

「!」

 

ブルーがモンスターボールにニドちゃんを戻す。

 

ヒッポの技の豊富さに対応できるポケモンは正直、同じように“ひみつのちから”“みずのはどう”“にどげり”と色んなタイプの技を覚えているニドちゃん以外に思いつかないけど…

 

まぁ、確かに俺のポケモンがまだ1匹も戦闘不能になっていないこの状況でまず最初にニドちゃんを失うのは避けたい事だよな。

 

だけど今の攻防でブルーの手持ちの中で1番怖いニドちゃんがヒッポに対応出来ないと証明された、ならこのまま“ニトロチャージ”で素早さを上げながらヒッポで行けるとこまで行って…

 

不意にバトルフィールドのセンターラインを超えた先にいるブルーと目があった。

その瞳には遠目からでも確かに自分の勝利の可能性を強く信じる生きた炎が灯っていた。

 

…何考えてんだろ俺。

 

「ヒッポよくやった、1度休んで戻ってくれ。」

 

「あら、変えちゃうの?せっかく“ニトロチャージ”で素早さを上げてたのに…慎重ね。」

「…うっせぇ!」

 

…相手がお前だからだろ。

 

「行くわよコンちゃん!」

「頼むぜキーク!君に決めた‼︎」

 

ブルーが繰り出したのは炎タイプのロコン・コンちゃん。

そして俺が繰り出したのは格闘タイプのマンキー・キーク。

 

するとブルーがその目を大きくしていた。

 

「へぇ〜、ピカチューは出さないんだ。」

 

このバトルは3対3のバトル、手持ちポケモンを4匹連れてる俺は1匹お休みのポケモンがいるわけだ。

そして俺がブルーとの初バトルで選択した3匹はヒッポ、キーク、ドドラの3匹。

 

確かに体内に“でんきだま”を吸収して能力が桁違いに上がっているピカチューは普通なら外すなんて事はないだろう。

 

だけど今回俺はどうしてもこのメンバーで戦いたかった。

 

「このバトルは俺とブルーがお互い一緒に旅をしてきて始めてのバトルなんだ。

なら俺とブルーが一緒に旅をしてきた期間が長いポケモン達で戦いたかったんだ。」

 

ピカチューは最初から一緒にはいたもののずっとモンスターボールの中に引きこもっていたためブルーやブルーのポケモン達とコミュニケーションをとって一緒に過ごしてきた期間は1番短い。

 

ブルーと出会った時から一緒にいたヒッポとキーク、そしてブルーと旅をしていく中で仲間にしたドドラ。

 

「俺はずっと前からブルーと最初にバトルする時はこのメンバーでって決めてたんだよ!」

 

「ふふっ、レッドらしいわね。」

 

(キーク、レッドの話だと以前はマンキーの群れのリーダーをやっていたみたいだけど、それはマンキー達の中での話、キークには悪いけど今のレッドの手持ちの中では1番力が劣っているポケモン…)

 

(ここは確実に落とさせてもらうわよ‼︎)

「コンちゃん“おにび”!」

 

コンちゃんの口から淡い水色の不気味な火の玉がキークに向かって放たれる。

 

相手を『やけど』状態にさせる炎タイプの変化技“おにび”

やけど状態にさせられたポケモンは攻撃力が半分に低下してしまう近接攻撃を得意とする格闘タイプであるキークから見るととても厄介な技だ。

 

「かわせっ‼︎」

 

キークは左右交互に動き火の玉を交わしながら確実にコンちゃんに近づいていく。

 

「コンちゃん“でんこうせっか”!」

「キヤッ⁉︎」

 

ブルーの技の指示を受けた後にもかかわらず速攻でまるでキークの体を突き抜けんが如く突進してきたコンちゃんの速攻をキークはかわす事が出来ずに直撃する。

 

だけど…!

 

「そこはキークの攻撃圏内(テリトリー)だ!“からてチョップ”‼︎」

「カッ‼︎」

 

キークはコンちゃんの突撃を直撃しながらもその両足で踏ん張り耐えきると右手に力を溜め上方にあげると一気に振り下ろす。

 

「コッ⁉︎」

 

コンちゃんはキークと同じように攻撃を直撃、キークとコンちゃんの周囲の砂がその威力によって2匹から逃げるかのように舞う。

 

「足元がガラ空きだ!“にどげり”‼︎」

 

まず始めにキークの蹴りがコンちゃんの腹部に直撃しその赤い体が少し宙に浮く、そしてそこに再び射抜くかのような素早い蹴りがヒットしコンちゃんは一直線にトレーナーであるブルーを横切り塀にぶつかると思ったが。

 

「クォッ!」

「⁉︎」

 

コンちゃんはそれを4本の足と6つに分かれた尻尾を利用して吹き飛ばされる勢いを消し更にその力を利用して再びキークに一直線に突撃。

 

「“しっぺがえし”‼︎」

 

突撃中にコンちゃんは体から黒紫色のオーラを放ち、キークに先程の“でんこうせっか”を思い出させるかのような突進を見せる、が

 

「キーク⁉︎」

 

この技は“でんこうせっか”ではなく“しっぺがえし”。“しっぺがえし”は後から攻撃を放つことによって威力を倍増させる悪タイプの物理攻撃技、キークは倍になったコンちゃんの攻撃の威力に先程と同じように踏ん張る事が出来ずに弾き飛ばされる。

 

「っ…!“おにび”と“しっぺがえし”を覚えていたのか…」

 

おつきみやまで追い詰められた状態でのロケット団の戦闘では使っている姿は見たことがないということは恐らくおつきみやまでの戦闘で得た経験値によるレベルアップで使用できるようになったのだろうけど…誤算だった、コンちゃんの技のバリエーションがこんなにも豊富になっていたとは…

 

「…作戦を立て直す必要があるな。」

 

“ニトロチャージ”によって素早さを上げてからほぼ必中の“つばめがえし”やタイプ相性を無視する“りゅうのいかり”で攻撃するヒッポだと後から攻撃を放つ事によって威力を倍増させる“しっぺがえし”は痛い…。

 

ドドラの“ふいうち”からの“にどげり”で相手に攻撃の隙を与えないっていう戦法もあるけど…コンちゃんの技は別に“しっぺがえし”だけじゃない、同じ炎タイプであるヒッポと違って体力の残り少ないドドラでコンちゃんの特性『ひでり』によって威力の上がった炎タイプの技を受けきる事は不可能だ。

 

苦しいけどここは…

 

「お前で行くしかない…!頼むぜキーク‼︎」

「キャッ‼︎」

 

キークの長い足を利用した格闘タイプのフットワークなら“はじけるほのお”や“おにび”を交わす事は難しくはない。

問題は…

 

「“でんこうせっか”をどうするか…!」

 

キークのフットワークによるリズムをその技の速さから先制技と呼ばれる“でんこうせっか”で崩されてしまっては勝利の流れを作る事は不可能。

“でんこうせっか”と“しっぺがえし”対処の難しい技が2つも…

 

「…トレーナーの性格の悪さが満ち溢れてるな。」

「殺すわよ」

「⁉︎」

 

聞こえたの⁉︎この距離で⁉︎

 

「感じたの。」

 

悪魔めぇ…

 

「キーク突っ込め‼︎」

 

キークが俺の指示を受けてフットワークを生かしながら駆け出す。

 

「コンちゃん“でんこうせっか”‼︎」

 

来たっ‼︎

 

「“からてチョップ”で迎え撃て‼︎」

 

キークは軽く地面を蹴ってジャンプするとその勢いを利用して速さを威力に変えて突撃してくるコンちゃんの勢いを完全に殺しにかかった…しかし

 

「“しっぺがえし”に切り替えて‼︎」

「⁉︎」

 

キークの機転は()()突撃してきたコンちゃんには十分過ぎるほどの効果を発揮したが…

 

「コォンッ‼︎」

「グァキャゥ⁉︎⁉︎」

 

コンちゃんはそれを根性で耐えきりそのまま黒いオーラを纏い倍返しだとばかりに強烈なタックルをキークに食らわしキークを空中へと投げ出す。

 

「キーク⁉︎」

「“おにび”‼︎」

 

コンちゃんから放たれた不気味な炎が空中に投げ出されたキークを包み込む。

 

「マズイ⁉︎」

 

地面へと自由落下していくキークの状態を見ると確実にやけど状態になってしまった事が確認できた。

 

これでキークの攻撃力は半減…更に徐々にダメージを負っていく…

 

俺は咄嗟にヒッポのモンスターボールに手をかける。

 

しかし

 

「キャィィィィッ‼︎」

「‼︎」

 

キークは空中で雄叫びをあげるとその場でクルクルと回転し地面に着地、そして再び雄叫びを上げた。

 

「キーク…」

 

俺は手にかけていたヒッポのモンスターボールから手を放す。

 

慎重になるあまりポケモンの意思を無視するのはそれはトレーナー()のやるべき事じゃない。

 

「コンちゃん“でんこうせっか”‼︎」

「キーク受け止めろ‼︎」

 

キークを襲う突進ー

 

しかし

 

「キャッ‼︎」

 

キークはそれを長い手足に力を入れて抑え込む。

 

そしてー

 

「カァァァァァッ‼︎」

 

キークが押さえ込んだコンちゃんの“でんこうせっか”のスピードを利用して飛び上がり、そして空中で1回転しそのまま地面に向かって一直線に落ちていく‼︎

 

「これって⁉︎」

「まさか…これは…‼︎」

 

ブルーが今まで見たことのないキークの行動に驚きを、そして俺はそこから新たなる希望をー

 

 

「「“ちきゅうなげ”‼︎」」

 

 

見出した‼︎

 

 

その微かな希望の光という名の技名を俺とブルーが言葉にしたと同時にキークが抱えているコンちゃんを地面に勢いよく投げつけ地面に叩きつける‼︎

 

格闘タイプの技“ちきゅうなげ”

“りゅうのいかり”と同様、格闘タイプの技が効果のないゴーストタイプ以外のタイプ相性を無視して効果的なダメージを与える事の出来る技。

 

覚えてから基本的に威力の変わらない“りゅうのいかり”とは違い“ちきゅうなげ”は使うポケモンの強さによって明確に威力を変える。

 

「能力の変化を無視して放てるこの技なら例えやけど状態で攻撃力が半減してもまともに戦える‼︎」

 

「……」

(流れがレッドに傾いた…

レッドは自分のテンションとポケモンの力をバトルの流れに乗せるのが上手い。

だからこそ流れに乗ったレッドは強い…

 

ならここは…)

 

ブルーはコンちゃんと目を合わせる、するとコンちゃんはブルーの考えを理解したかのように頷く。

 

「キークこの調子で行くぞ‼︎」

「キャッ‼︎」

 

キークの使える攻撃技は“ちきゅうなげ”“からてチョップ”“けたぐり”“みだれひっかき”“ひっかく”の5つ、そして変化技に“きあいだめ”と“にらみつける”の2つ、そして現在キークはコンちゃんの“おにび”によってやけど状態。

 

ほぼ攻撃手段は“ちきゅうなげ”に絞られたか…でもキークには

 

「キーク“きあいだめ”‼︎」

 

これがある‼︎

 

キークが自らの内にある闘志を力に変え外に放つ、これで次の攻撃に対する集中力を極限まで高める。

 

「次の攻撃に対する集中力を高めて急所を狙うって作戦?

やけど状態の攻撃力半減を補うにしては少々無理矢理過ぎない?」

 

「別に無理矢理じゃないさ、“きあいだめ”は気持ちだよ、別に“きあいだめ”で自らの闘志を再び燃やさなくても」

 

「キャィィィィッ‼︎」

 

「キークの闘志は何時(いつ)でもMaxさ!」

 

俺の心から来る自信に応えるかのようにキークはコンちゃんに向かって走り出す。

 

「じゃあその闘志何時までもつのかしらね‼︎

コンちゃん“たたりめ”‼︎」

「⁉︎」

 

コンちゃんの両目が紫色にゆらりと光り出しコンちゃんのすぐ上方に大きな1つ眼が現れ紫の波動を放つ。

 

「それはマズイ⁉︎キーク‼︎」

「遅い‼︎」

 

不気味な濃紫の波動がキークを襲う、そしてキークのやけど部分が大きく火を放って燃え上りキークを包み込む!

 

「2倍のダメージを味わいなさい‼︎」

 

「キーク⁉︎」

 

ゴーストタイプの特殊攻撃技“たたりめ”

その効果は状態異常の相手の状態を一時的に最大級に悪化させ普通の倍の威力となる技。

 

今のはやけど状態のキークのやけど部分が最大限に悪化したことにより傷が炎を発しキークを包み込むことによって更にダメージを与えた。

 

「“おにび”とのコンボ攻撃…」

 

ブルーが必要に“おにび”を指示しなかったのも恐らく相手を状態異常にした後何かあると気付かせないための作戦、物理攻撃技を得意とするキークに物理攻撃力を半減させる効果のあるやけど状態にする“おにび”はこれ以上考えられないくらい有効な技のはずなのにそれを全然指示しなかった時点で意図があると気付かないといけなかったのに…くそっ‼︎

 

「俺が散々悩んだ“でんこうせっか”と“しっぺがえし”はこのコンボに気付かせないためのただの囮って事か…コノ野郎…‼︎」

「あら?さっきまでの笑顔は何処に行ったのかしら?それとも‼︎」

「コォン‼︎」

 

未だ“たたりめ”の2倍ダメージでまともに動く事の出来ないキークにコンちゃんの特性『ひでり』によってパワーアップした“はじけるほのお”が連続で襲いかかる‼︎

 

(確かに流れに乗ったレッドとポケモン達の力は私達の予想を遥かに超える力を持っている。だけどそれはその事を知らない相手だから有効だった…‼︎)

 

ブルーの脳内でレッドと共に戦った日々が思い出される。

その短く濃かったその思い出を自らの力に変え、その思い出を共に過ごしたレッドとポケモン達に感謝の気持ちを伝えるかのように攻撃をする。

 

(だけど私は貴方の強さを知っている。)

 

レッドの強さを知った上で強力なコンボを封印してレッドの強さが現れる瞬間がまるで封印を解く鍵のようにその姿を晒したそのコンボ。

 

(さあどうするの!レッド‼︎)

 

「大丈…!」

 

コンちゃんの炎攻撃の嵐に遭いながらも未だに二本足で立ち続けるキークの姿に俺は声をかけようとした。

 

 

–そしてそれは不要だと知った。

 

「“たたりめ”‼︎」

「“きあいだめ”で弾け飛ばせ‼︎」

 

再び濃紫の波動がキークを襲うが、闘気を放つことによってそれを弾き返す‼︎

 

ゴーストタイプの攻撃はノーマルタイプに干渉する事は出来ない、それを応用しノーマルタイプの変化技であり体全体で行う“きあいだめ”で防御壁を作り出した。

 

「…滅茶苦茶な。」

 

「キーク“からてチョップ”‼︎」

「“しっぺがえし”で迎え撃って‼︎」

 

攻撃力が半減したキークの“からてチョップ”と後から出すことによって威力を上げている“しっぺがえし”ブルーはこう思っているだろう。

 

 

–負けるはずはないって。

 

 

 

「キィィィィィィヤァッ‼︎‼︎」

「ォン⁉︎⁉︎」

 

 

「⁉︎」

 

吹き飛ばされるコンちゃんに大きく目を開くブルー。

そして技の競り合いに勝利したキークの()

 

「どうして競り負けたの…!キークの攻撃は半減しているはずなのに…」

 

 

 

()()()()()()()()()()。」

 

 

 

「?」

 

「さっきの“はじけるほのお”の1発がキークのいかりのつぼを押したんだよ。」

「⁉︎」

 

 

 

 

「キィィィィィィヤァァァァァウゥッ‼︎‼︎‼︎」

 

 

 

 

ブルーが叫び出したキークの姿を見る、その表情はいつもよりも眉間に皺が寄り、闘気とは別の…目に見えるほど濃密な怒りのオーラを身体に纏っていた。

 

 

 

特性『いかりのつぼ』

自分への攻撃が急所に当たると物理攻撃力が限界まで跳ね上がる特性。

 

俺はキークが“はじけるほのお”の嵐にあっている中この特性が発動したのを確認したんだ。

 

「でも、それでもやけど状態による攻撃力半減は続いているはず!どうして…」

 

「さあ、何ででしょう?キーク‼︎」

「キャィィィィッ‼︎」

 

「くっコンちゃん攻撃する隙は与えない‼︎“でんこうせっか”‼︎」

 

コンちゃんがキークの攻撃を止めるべく先制技を発動しその距離を縮める。

 

だけど…

 

「⁉︎」

「なっ⁉︎」

 

キークに突撃するコンちゃんとそのトレーナーであるブルーがほぼ同時にその目を見開く。

 

その理由は1つ…

 

「もうエネルギーが溜め終えてる⁉︎」

 

キークの右拳が白い闘気で覆われていたからだ。

 

ブルーが俺の事を知った上でこの勝負を受けてきているのはわかった。

だけど俺だってマサラタウンを出て殆どの時間をブルーと過ごしたんだ。

だからお前が“でんこうせっか”でキークの攻撃をする隙を与えようとしない事は

 

「わかってるんだよ‼︎キーク‼︎」

「キィィィィィィヤァッ‼︎‼︎」

 

 

「“からげんき”‼︎‼︎」

 

 

キークの右腕に纏う白く輝く闘気が赤く燃え上がるように形を変えて突撃してきたコンちゃんを殴り飛ばす!

 

ノーマルタイプの物理攻撃技“からげんき”

自分が状態異常の時に放つ事によって威力が2倍となる技、そしてこの技はやけど状態による攻撃力半減の効果を無効化して放つ事が出来る。

 

よってキークは特性『いかりのつぼ』による攻撃力が最大限に上がっている状態で威力2倍のこの技を放つ事が出来ているのだ。

 

そしてこの攻撃を受けたコンちゃんはブルーを通り抜けて塀に激突、そしてそのまま地面に力尽きる。

 

「ロコン戦闘不能マンキーの勝ち‼︎」

 

「…っありがとうコンちゃん」

 

ブルーがコンちゃんをモンスターボールに戻す。

 

「頼むわよ、ニドちゃん‼︎」

「リッナァァァァッ‼︎」

 

再び登場したニドちゃんがフィールドを揺るがすような雄叫びを上げる。

…普段は女の子らしい大人しい子なんだけどなぁ〜、バトルになると人が変わるっていうか…いやこの場合ポケモンが変わるっていうのか?

 

「さあ行こうぜキーク…キーク⁉︎」

 

俺がキークに視線を移すとキークはその場で力尽き、その場にうつ伏せで倒れていた。

 

「火事場の馬鹿力だったみたいね。」

 

「本当によくやったゆっくり休んでくれ。」

 

俺はキークをモンスターボールに戻しすぐに先程ニドちゃんを圧倒したヒッポを手に取る…しかし

 

「!」

 

ヒッポのモンスターボールとは違うもう1つのモンスターボールがまるで自分を出してくれと言わんばかりにガタガタと揺れていた。

 

……

 

「行けるか?」

 

俺のその質問に揺れていたモンスターボールが大きく揺れた(うなずいた)

 

「よしっ!ドドラ、君に決めた‼︎」

「リッドォォォォォォッ‼︎‼︎」

 

繰り出したのは俺が先手で出しニドちゃんに圧倒されたドドラ。

出頭に放った咆哮は先程のニドちゃんよりも大きくその場の空気を揺らした。

 

「へぇ、ドドラでいくのね?」

「俺は相性とかよりもポケモンの気持ちを優先するトレーナーなんでね。」

 

「知ってるわよ!“みずのはどう”‼︎」

「“どくばり”からの“にどげり”‼︎」

 

ニドちゃんが放った水の弾丸をドドラが口から放った紫色に光る針で潰し、その後に襲いかかってくる余波の水流を“にどげり”をジャンプに利用し回避、着実にニドちゃんとの距離を縮めていく。

 

「力比べなら負けない!ニドちゃん“ひみつのちから”‼︎」

「“ふいうち”‼︎」

 

メキッと音を立ててニドちゃんの顔面にドドラの蹴りがめり込む。

 

「あ」

 

ブルーが珍しく間抜けな声を発する。

そしてそのままニドちゃんは先程のコンちゃんと同じくブルーを横切り塀に激突する。

 

「おしっ‼︎いいぞドドラ‼︎」

 

「ちょっと女の子の顔蹴り飛ばしといておしっはないでし「⊂=⊂=⊂(┛゚Θ゚)┛ビューーーーンッ!!」…え?」

 

「ドッ?」

 

 

 

「リリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリッ‼︎‼︎‼︎‼︎」

ヽ(╬☉Д⊙╬)ノゴルァ!!ヽ(╬☉Д⊙╬)ノゴルァ!!ヽ(╬☉Д⊙╬)ノゴルァ!!ヽ(╬☉Д⊙╬)ノゴルァ!!

 

「ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ‼︎‼︎‼︎‼︎」

≡○)゚д。)ノ≡○)゚д。)ノ≡○)゚д。)ノ≡○)゚д。)ノ≡○)゚д。)ノ≡○)゚д。)ノ≡○)゚д。)ノ≡○)゚д。)ノ≡○)゚д。)ノ

 

「( ꒪⌓꒪)え…」

 

「あぁ…( ꒪⌓꒪)」

 

あれ?おかしいなおかしいな、ドドラの相手をしているのがポケモンじゃないぞ…鬼だ…鬼がドドラを目に見えないほどの“ひみつのちから”の連打で滅多打ちにしている…

 

「…って硬直してる場合じゃない⁉︎ドドラ“ふいうち”だ‼︎」

 

「ドラッ⁉︎」

「☆(゜o°(○=(-_-;」

 

再びドドラの足がニドちゃんの顔を以下省略。

 

「あー…( ꒪﹃ ꒪)」

「( ꒪﹃ ꒪)…」

 

 

「(◞≼◉ื≽◟◞౪◟,◞≼◉ื≽◟)」

「人生\(^o^)/オワタ」

 

 

 

「リリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリッ‼︎‼︎‼︎‼︎」

(╬⓪益⓪)(╬⓪益⓪)(╬⓪益⓪)(╬⓪益⓪)

(╬⓪益⓪)(╬⓪益⓪)(╬⓪益⓪)(╬⓪益⓪)

(╬⓪益⓪)(╬⓪益⓪)(╬⓪益⓪)(╬⓪益⓪)

 

「ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ‼︎‼︎‼︎‼︎」

≡○)゚д。)、;’.・≡○)゚д。)、;’.・≡○)゚д。)、;’.・

≡○)゚д。)、;’.・≡○)゚д。)、;’.・≡○)゚д。)、;’.・

≡○)゚д。)、;’.・≡○)゚д。)、;’.・≡○)゚д。)、;’.・

 

 

 

「ドドラぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼︎‼︎‼︎」

 

 

自分で言うのもなんだがこの時の俺の叫び程虚しいものはなかった。

 

「ナァッ‼︎」

 

最後の拳はドドラをそのまま吹き飛ばし、ドドラは本日2度目の塀との激突事故を起こす。

 

「大丈夫か⁉︎」

 

“ひみつのちから”を連続で殴られたものの元々その技はある程度溜めが必要な技、それを溜めなしで放っていた事から一撃一撃のダメージは少ないはずだ…多分。

 

「ドォッ…」

 

ヨレヨレの状態で立ち上がるドドラ、大丈夫だまだHPは残っている。

 

「女って恐ろしい…」

「その女ってニドちゃん以外にも入ってるわよね?誰のことかしら…?」

「もちろんおm「殺すわよ」…何でもないです。」

 

俺とブルーがそんな会話をしている内に、ドドラはそのふらついた足をしっかりと踏ん張り、何時(いつ)でも攻撃に入れる状態に持ち直した。

ニドちゃんも先程の怒りの連続攻撃で荒れた息を整え終えたみたいだ。

 

「ドドラ!“にどげり”‼︎」

「受け止めて‼︎」

 

ドドラの1発目の蹴りをまずはニドちゃんがドドラの足を右脇に抱える形で威力を殺す、そして2発目を残った左腕で受け止める。

ドォンッと音を立てて逃げ場のないエネルギーが弾け飛び空気を揺らす。

そしてその場に残ったのは右腕にドドラの左足を挟み込むニドちゃん、完全に“にどげり”は破られてしまった。

左右の後ろ足を封じられた状態じゃ“ふいうち”によるカウンターは出来ない…!

 

「“どくばり”‼︎」

「“みずのはどう”‼︎」

 

ドドラの放った毒の千本針がニドちゃんの創り出した水の弾丸に突き刺さり破裂、そのまま余波の水流がドドラを襲う。

 

少々のダメージはこの際しょうがない、まずはニドちゃんのロックから外れないと…⁉︎

 

しかしそんな俺とドドラの捨て身の策はニドちゃんの予想以上の腕力によって無駄に終わる。

 

「なんつー馬鹿力⁉︎」

「止めよニドちゃん‼︎“ひみつのちから”‼︎」

 

ニドちゃんの低い雄叫びと共に砂を撒き散らしながら白く輝く拳がドドラの顔面に減り込む。

 

そして–

 

「ドドラッ⁉︎」

 

ドドラはニドちゃんの腕の中で静かにその意識を失った。

 

「ニドリーノ戦闘不能!ニドリーナの勝ち‼︎」

 

「くっ、よくやったドドラ、ゆっくり休んでくれ。

さあ‼︎お前が最後の砦だ‼︎ヒッポ君に決めた‼︎」

 

「ザッドォォッ‼︎」

 

二番手として登場し先程ニドちゃんを圧倒して戻ったため、HPは満タンであるヒッポ。

そしてブルーの残りは体力を先程ヒッポに削られドドラとの戦闘で疲労しているニドちゃんと未だ戦闘に出ていないフシくん。

ここは流石に草タイプのフシくんに交代はないだろう。

 

「ヒッポ“えんまく”からの“ニトロチャージ”‼︎」

「ニドちゃん“みずのはどう”」

 

ヒッポが口から黒い煙を放つと黒い煙がヒッポを飲み込む。

 

「“みずのはどう”を潰してガードよ‼︎」

 

そうとんだブルーの指示で煙幕の所為で詳しくは見えないが黒い煙の外へ水流が流れてきたという事は恐らくその場で水の弾丸を潰して凝縮していた水で水流を起こし炎タイプの物理攻撃技である“ニトロチャージ”を鎮火しようとしたのだろう。

 

だけど…

 

「残念☆」

 

煙幕が晴れる…そして、

 

「いない⁉︎」

 

ブルーの視線の先に見えたのは何時まで経っても煙幕から出てこないヒッポを警戒していたニドちゃんとヒッポのトレーナーである俺だけだ。

 

俺は上空を指差す。

 

「!」

 

ニドちゃんとブルーの視線が上へ向く、そしてその視線の先には上空へと飛んでいるヒッポの姿があった。

 

ヒッポは俺の意図を感じ取り“ニトロチャージ”を発動しながら飛び上がった、これでさっきの“みずのはどう”の攻撃を避けながら更に自らの素早さを上げ更に…

 

「“ニトロチャージ”」

 

上空からの奇襲を可能にした‼︎

 

ヒッポは身体を炎で包み込むと一気にニドちゃんに向かって急降下、その等加速度運動の加速度の変化の大きさにニドちゃんは対応できずクリーンヒット。

そのまま地面にヒビが入り砂埃と切り裂いた空気が2匹から逃げるように舞い起こり、俺とブルーに襲いかかる。

 

「これで2回…ヒッポ、離れるんだ!」

「ニドちゃん、立ち上がって‼︎」

 

ニドちゃんがその身体にまるで幾つもの重りを背負っているかのような力んだ様子で必死に立ち上がる。

恐らく次の一撃で…

 

「“つばめがえし”‼︎」

「“ひみつのちから”‼︎」

 

同時に指示された技。

 

しかしニドちゃんの拳に力が溜まる前に刹那の一閃がヒッポの肩の高さに一直線でニドちゃんに入る。

 

そしてニドちゃんの拳にためられていたエネルギーが空気中に分散しその光の粒子を身体に浴びながらそのまま地面に倒れる。

 

「ニドリーナ戦闘不能リザードの勝ち‼︎」

 

「力を溜める隙も与えてくれないのね…ありがとうニドちゃん。」

 

今の戦闘、俺にとっては最善の勝ち方をできた…。

炎タイプのヒッポに効果抜群の水タイプの技を使うニドちゃんを一撃も喰らわずに倒し、更に“ニトロチャージ”による素早さ上昇も2回行えた。

 

これで次に出て来る…

 

「頼むわよフシくん‼︎」

 

「フシソッ‼︎」

 

フシくんに素早さで翻弄できる。

お互いオーキド博士から貰ったポケモン同士、そしてお互いの手持ちの中で1番戦法を理解しているポケモン。

 

俺のヒッポは“えんまく”によって相手を撹乱しながら“ニトロチャージ”で着実に素早さを上げ、回避不可の“つばめがえし”とタイプ相性を無効化する“りゅうのいかり”で全範囲(オールレンジ)から怒涛の攻撃を繰り出すのが基本の戦法。

 

そしてフシくんの戦法は主に粉関係の技を使用し“つるのむち”や“はっぱカッター”で、攻撃する、主に遠距離攻撃を得意とする戦法。

だからと言って策なしに近づくと“とっしん”の餌食になる。

 

トレーナーの指示としては俺は技の選択を重視、大してブルーは自分とポケモンとの距離を測る事を重視とする戦法に切り替わる。

 

恐らく今回のブルーもそうだ。

 

だから俺は近遠の入れ替わりを読ませないため、そして更に精度の高い全範囲攻撃(オールレンジアタック)を可能にするためにニドちゃんとの戦闘から素早さを上げたんだ。

 

 

「フシくん“ねむりごな”」

「ヒッポ“えんまく”」

 

フシくんはその立派な蕾から睡眠作用のある緑色の粉を、そしてヒッポは黒い煙を相手に向かって放つ。

 

「“ニトロチャージ”‼︎」

 

ヒッポはその身体に炎を纏いそのまま一直線に突進する。

ヒッポに向かって放たれた“ねむりごな”は纏う炎によって焼き消され無効化される。

 

そしてヒッポはフシくんが包まれている煙幕の中へ突っ込む。

 

「“とっしん”‼︎」

 

煙幕の中からドガッ‼︎という激しい激突音が鳴り響く…ここはヒッポの様子を見るために

 

「フシくん下がれ‼︎」

 

俺のその指示した瞬間、煙の中からヒッポが姿を表す。

 

「競り合いに勝ったのか?」

「グゥ…」

 

俺の問いに対するヒッポの反応とヒッポの外傷のなさから恐らく今の突進系物理攻撃技同士の激突は引き分けに終わったんだろう。

こちらはタイプ一致の技を打っているとはいえ“ニトロチャージ”は“とっしん”の威力には及ばない。

 

今のは恐らく周囲の見えない中急遽放ったために本来の威力を出せず更に打点も外れていたに違いない。

 

本来なら“ニトロチャージ”をしているヒッポを吹き飛ばしていたはず。

この攻防は運が良かっただけだ…

 

「大技による決定打のなさ…それがヒッポの弱点。」

 

「!」

 

俺がその考えに至ろうとした瞬間にブルーがその言葉を俺に聞こえる様に呟き、思わず視線がヒッポからブルーの方へと移る。

 

「多彩な技を持っていたとしても威力が低ければ威力の高い技に押し負ける。

ヒッポの技は確かに多彩よ、だけどね。決定打が無いのよ…ピカチューの“ボルテッカー”のようなね。」

 

ブルーの意見はもっともだ、しかし同時に仕方ないという部分もある。

 

旅を続けて強くなってきたとはいえヒッポはまだ力量(レベル)的に言えばまだ低い。

つまり、高威力の技に耐えきれるほど身体が出来ていないのだ。

 

その力量(レベル)による技の制限の中、フシくんの“とっしん”は恐らくまともにぶつかればヒッポのどんな技を使っても押し負ける程高威力の技。

 

しかし…

 

「別にヒッポの技は物理攻撃技だけじゃねーぞ。それに“とっしん”は自分も反動によるダメージを受けるデメリットがある、相性的に不利なヒッポ相手に連発はできねーだろ?」

 

やっすい挑発だなぁ…俺。

 

ブルーがそんな事を理解していない筈はない。

だからこれは線引きだ。

あいつが“とっしん”を使って何か策を練っているか練っていないか…。

 

いつの間にか晴れていた煙幕、そして目の前にはフシギダネだった頃よりもキリッとした瞳でヒッポと俺を見つめるフシくん。

そして背後からでも痛いほど伝わってくるリザードになって赤くなった体皮が更に燃え上がっているかの様に見えるほどの闘志を放つヒッポ。

 

ポケモン達の気持ちは互角。

 

「ヒッポ“ひのこ”‼︎」

 

「“はっぱカッター”‼︎」

 

火の粉の雨と葉の刃の激突、相性では不利な葉の刃がその威力で火の粉の雨を強引に抑えつける!

 

“ひのこ”<“はっぱカッター”

 

「“ニトロチャージ”‼︎」

「ザッ‼︎」

 

ヒッポが火を纏い上空へと飛び上がる。

これで素早さ+3

そしてこれで…

 

「“ニトロチャージ”‼︎」

「“とっしん”‼︎」

 

ヒッポが上空から一気に急降下し3回上げた素早さを利用して威力を上げながら隕石の如く燃え上りながら突撃する。

そしてそれを迎え撃つフシくんの突撃。

 

「ザァッ‼︎」

「ソォッ‼︎」

 

そしてその結末は…

 

 

「ドォォォォォッ‼︎‼︎」

「ソォッ⁉︎」

 

 

飛び上がって突進してきたフシくんを地面に再び激突させそのまま地面にめり込ませる。

これで“とっしん”に対する対策は練ってきたとブルーに示す。

ヒッポを倒すための切り札となる技である“とっしん”を防がれた…これでブルーは本格的に苦しくなるはずだ。

 

この状況でブルーとフシくんはどう動くか…

 

今度は俺が受け身の立場になって様子を見る。

 

「ヒッポ下がれ‼︎」

 

ヒッポがフシくんから離れ、モンスターボールから出てきた位置に戻る。

デジャヴを感じる…それもそうだろう。

 

これは先程ニドちゃんとの戦闘で行った作戦だ。

 

相手の行動を見てから後出しだとしてもほぼ確実に先に攻撃を当てれる技“つばめがえし”でその作戦を潰すのもよし、“ニトロチャージ”による空中ジャンプで自分の素早さを上げながら回避するという手を使えるヒッポの受け身の体勢のベストポジション。

 

野球のリードと同じく全てをギリギリでこなせる位置にいる事が大切になる。

 

そうこう考えているうちに効果抜群の炎タイプの技を受けたフシくんがその足にこのバトルに対する意思と力を込めているかのようにしっかりと踏ん張って立ち上がる。

 

「タフだな…」

「男の子だからね。」

 

そんなに関係ないだろ…それ。

 

「じゃあブルーがタフなのもブルーは本当はo「さぁフシくん、レッドに“はっぱカッター”よ」ごめんなさいお遊びが過ぎました本当にすみません。」

 

「ザッ…┐( -"-)┌ヤレヤレ...」

「ソゥ…┐('~`;)┌」

 

何故だろう?

ヒッポとフシくんが呆れている様に見えるのだが…

 

まぁ、いいや。

 

 

俺とブルーの纏う空気が再び切り替わる、そしてそれに気づいたのかヒッポとフシくんも再び臨戦状態に入る。

 

「フシくん“はっぱカッター”‼︎」

「“ニトロチャージ”‼︎」

 

遠距離から打ち出された葉の刃をヒッポは数回目になる炎を纏いながらの高ジャンプを行ってそれを回避。

 

そして…

 

「“えんまく”‼︎」

 

空中で纏っていた炎を霧散させたヒッポが口から黒い煙、煙幕を放ち自分の姿を隠す。

これでブルーとフシくんからヒッポのすがたは見えない。

 

「50度から53度!

連続で“はっぱカッター”‼︎」

 

「⁉︎っ“ひのこ”で迎え撃て‼︎」

 

突如ブルーの口から出てきた今までとは別種の指示の仕方に思わず戸惑った俺は反射的に“はっぱカッター”と同じ遠距離攻撃技を指示する。

 

そしてそれを指示した瞬間、俺は自分のミスに気づいた。

 

急を突かれたこのタイミング…流石に予備動作が極端に少なくなったヒッポだとしても流石に本来の威力で放てない。

そして技の相性的には勝っていたとしても“ひのこ”と“はっぱカッター”では元々の威力が違う。

 

そして俺の考えは見事に現実になった。

 

葉の刃が火の粉の雨を切り裂きながら煙幕に隠れているヒッポ目掛けて飛んでいく。

 

 

そして今度は俺の嫌な予感。

 

 

 

煙幕で隠れているヒッポにクリティカルヒットするという事までもが当たってしまった。

 

 

「ヒッポ⁉︎」

 

 

ヒッポは空中でバランスを崩しそのまま地面に落下。

 

「フシくん“とっしん”‼︎」

 

体制を崩し無防備なヒッポに強烈な突進がクリーンヒット。

ヒッポはそのまま水平に、ポケモンセンターの塀に向かって落ちるかの様に吹き飛ばされる。

 

「そして…」

「くっ⁉︎ヒッポ“ニトロ…」

 

 

 

「“どくのこな”‼︎」

 

 

フシくんの蕾から放たれる紫色の粉、そしてそれはダメージを受けて動けずにいるヒッポにふりかかる。

 

「ザアゥゥッ⁉︎」

 

身体に紫色の粉を受けたヒッポの身体から紫色のスパークが起こる。

 

毒状態になった証拠だ…⁉︎

 

毒状態になってしまったら一定ペースでダメージを受け続けてしまう。

更にはそれによる怯みによって行動も制限されてしまう。

 

「持久戦じゃ勝ち目はなくなったな…元々やるつもりはねーけど。」

 

毒状態になったならやる事は1つ。

 

 

「上げた素早さを生かして走りまくれ‼︎」

 

 

毒状態によるダメージの怯みを恐れずにいつも以上に動き回る‼︎

 

「素早さを利用して揺さぶるつもりね。」

 

(たとえ怯んだとしてもそこを狙う事が出来ないくらいのスピードでねぇ〜、だけど‼︎)

 

「あんたの性格は理解してるって言ってるでしょ‼︎フシくん‼︎“あまいかおり”‼︎」

 

フシくんの周囲をグルグルと超スピードで走り回るヒッポに目もくれずフシくんは蕾から甘ったるい視覚出来るピンク色の香りを放つ。

 

それはフシくんを中心に走り回っていたヒッポに届きその香りを吸ったヒッポの注意が一瞬どこかて飛んでいき全体的な回避能力が下がってしまう。

 

そして能力が下がった際に起こった一瞬の隙を

 

「フシくん“つるのむち”でヒッポを捕まえて‼︎」

 

ブルーは見逃さない。

 

 

フシくんの放った蔓はヒッポの右足に巻きつきそしてヒッポを上を持ち上げぶら下げる状態にさせる、そして

 

「“とっしん”‼︎」

 

再び強烈な突進がヒッポにヒット、そして…

 

「嘘だろっ⁉︎」

 

吹き飛ばされたヒッポは右足を蔓で巻きつかれ上で吊るされているせいでまるで振り子の様にフシくんの元へと戻っていく。

 

「連続で“とっしん”‼︎」

 

ドゴォッと先程よりも強烈な衝突音が響き渡る。

振り子の様に戻ってきたヒッポのスピードを利用して更に大きなダメージを与えた証拠だ。

 

ヒッポは強烈な技を連続でまともに受けたダメージとその中で定期的に起こる毒のダメージとが重なって為すがままの状態でいる。

 

「…ヤバイ」

 

 

ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ ⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎

 

 

ブルーが“どくのこな”を選択した理由はこういう事だったのか⁉︎

 

“ねむりごな”の場合ある程度したら起きてしまうがその間は相手を無抵抗のまま好き放題に攻撃する事が出来る。

ヒッポ相手にタイプ相性的に不利なフシくんの場合普通ならそっちを選択する筈だ。

 

だけど今回わざわざブルーはヒッポに“どくのこな”を指示した。

 

それは何故か?

 

自分に対する怒りとブルーに対するなんとも言えぬ行き場のない強い感情が俺の身体から汗を発生させ無意識にその汗で湿った手を強く握らせる。

 

そして抑えきれない悔しさが俺にブルーを睨みつけさせた。

 

 

全ての掌の上だったって事かよ…‼︎

 

 

 

あいつは…ブルーはわかってたんだ。ヒッポが毒状態になった時俺はどんな指示をするかを。

走り回る様に指示されたヒッポを確実に捕らえられる技をその瞬間まで隠し持ち、捕らえたところで吊るし上げ完全な突進攻撃の無限ループを作り出した。

 

 

そして驚くべき事はもう1つある。

 

 

強烈な突進の威力の反動を受けながらもヒッポを固定し続けるフシくんの力。

しかもフシくんは未だに余裕の表情だ。

 

ヒッポが予備動作を殆ど無しに技を放てるという特徴を持つ様にフシくんにも個性があったっていう事か…

 

「ヒッポ“ニトロチャージ”で突破するんだ‼︎」

 

俺の指示がヒッポの耳に届きその瞳が鋭く尖り、体の中の炉を燃やし身体中に纏わせようとする…

 

 

「ソォッ‼︎‼︎」

「ガアッ⁉︎」

 

「ヒッポ⁉︎」

 

その瞬間にヒッポの腹にフシくんの頭がめり込む。

 

 

しかし

 

 

 

「グォッッッ‼︎‼︎‼︎」

「ソゴッ⁉︎」

 

 

ドォォンッッ‼︎‼︎

 

 

体内で炊いていた炉の炎が暴発し突進して来たフシくんごと炎で包み込む。

流石に弱点である炎を食らったら…

 

「舐めないで‼︎‼︎」

 

「フッソォォォォォォッッ‼︎‼︎」

 

一瞬、ヒッポを吊るし上げている蔓が動いたがフシくんの大きな叫びが轟いた瞬間、再び元の位置へと伸ばされ再びヒッポを固定する。

 

そして蔓の主であるフシくんは身体から煙を放ちつつも背負っているその立派な蕾同様、ガッシリと炎の暴発による爆風に耐えきり、脚の筋肉を最大限に利用して再びヒッポに向かって突進‼︎

ヒッポは“ニトロチャージ”の暴発の影響で身体中から煙を放ち半分意識が飛んでいる状態に陥っていた。

 

「“ニトロチャージ”だ‼︎」

 

 

俺の指示…と言うよりも追い込まれ過ぎた者が必死に助けを求める様な声をあげて叫んだ一言は…

 

 

 

「ウグォォォォガァァァォォァァッッ‼︎‼︎‼︎」

 

 

 

ヒッポに違う火を付けた。

 

一気に大きな炎が身体中から燃え上がりヒッポが大きな火の玉と姿を変えると今まで身動きの取れないくらいに空中で固定されていたのが嘘みたいに右足に巻きついてある蔓から空中で力づくで抜け出すと一気にロケットの様に後方に煙を放ちながら加速し、数え切れないほどの突進を繰り出して来たフシくんにまるで倍返しだ‼︎と言わんばかりの炎の突進を繰り出した‼︎‼︎

 

フシくんは水切りの石の様に何回も地面にぶつかりながらポケモンセンターの塀へと激突し大量の砂埃と煙を大量に巻き上げる。

 

「ッッ⁉︎」

 

ブルーの何とも言えぬ声が耳に入る。

 

そして俺の瞳に映るのは身体中に真紅のオーラを纏い自らの象徴である尻尾の炎が自身の2倍の大きさに燃え上がっているヒッポの姿。

 

俺はこの姿を見た事がある。

 

 

「『もうか』…‼︎‼︎」

 

 

ニビジム戦でまだヒトカゲだった時のヒッポが発動し猛威を奮った強力な特性がリザードに進化を遂げたヒッポにも現れた。

 

「特性も進化してねぇか…これ…」

 

以前の『もうか』に比べると纏う真紅のオーラが大きく更に迫力を増している。

スッと俺は図鑑を確認し、ヒッポのステータスを確認する。

 

「やっぱり『もうか』を発動しても毒状態は回復されないか…。」

 

ステータスを確認すると未だにヒッポの欄には毒という文字が。

 

「タイムリミットは近い…一気にかたをつける‼︎」

 

『もうか』が発動した時点でヒッポのHPが残り少ない事は分かっている。

更にその状態でも襲いかかってくる毒のダメージ。

 

時間がない事は明らかだった。

 

 

「ヒッポ“ニトロチャ…」

 

俺が技を指示しようと言葉を発した瞬間。

 

俺の目が大きく開かれる。

 

 

その大きく開かれた瞳に映っているのは『緑』。

 

大量の葉の刃がヒッポに向かって放たれていた。

 

「ッッ⁉︎」

 

範囲が広過ぎて交わす事は不可能。

 

「“ニトロチャージ”‼︎」

 

迎え撃つしか手がなかった。

 

 

巨大な火の玉と大量の葉の刃が激突し力が拮抗したのか大きな爆発を起こしてその身で迎え撃ったヒッポを吹き飛ばす、しかしヒッポは最小限のダメージに抑えるために空中で回転しながら着地する。

 

「いったい何が⁉︎」

 

 

 

 

「フッソォォォォォォォォォォォォッ‼︎‼︎‼︎」

 

 

 

 

砂煙の中からフシくんの叫び声が轟いたと同時に再び大量の葉の刃…“はっぱカッター”が襲いかかってくる。

 

「“ひのこ”だ‼︎」

 

さっきの攻防の反省点を踏まえ今度は遠距離炎技である“ひのこ”を指示、特性の発動により強化された火の粉は1つ1つ葉の刃を燃やし、灰へと姿を変えさせる。

 

「…コレはまさか…」

「そのまさかよレッド。」

 

ギリッと歯をくいしばる音が俺の身体の内部から発せられ内側から鼓膜を揺らす。

 

(これが私達の切り札…レッドが例えどんなに逆境を乗り越える光を見つけたとしてもその光を更に消すための大きな闇を作り出す。)

 

レッドとの別れを考えてから数刻しか経っていないのにも関わらずブルーは対レッドの戦略を幾つも考え付いていた。

 

今まで一緒に旅をして来る中でレッドを見てきて、レッドのポケモン達を見てきて、どれだけ密の濃い時間を過ごしてきたのか、経験を積んできたのかを心のそこから感じ取った。

 

思い出すだけで笑みを零してしまうような楽しい日々。

それと同時に同時に流れ込んでくる強い思い達。

 

 

 

 

ー別れたくない。

 

 

 

ーもっとレッドと一緒に旅をしたい。

 

 

 

 

自分が思っている以上に大きかったその感情に、自分にとって本当に楽しく大切な日々だったんだという事をブルーは自覚させられた。

 

しかしー

 

不意にブルーは自分の左側を見つめる。

 

 

そこにいるのは『ジムバッチを持った人達のバトルを間近で見れるんなら是非喜んで‼︎』と言ってポケモンセンターの仕事をサポート役のポケモン・ラッキーに頼んでまで審判をしてくれているジョーイさんと、

ベンチに座っていつも通り優し()()な目で、このバトルを見つめるナナミの姿が…

 

レッドがナナミにメロメロなのは明らか、そしてレッドの人を見る眼が優れている事はおつきみやまに向かう道中で出会った少年2人の件から知っている。

 

そんなレッドが好意を抱く相手だ、普通は疑う事はない。

 

 

だけど何が引っかかる。

 

 

この女の奥底に潜む何かがある。

 

 

そしてそれはとても危険だという事も。

 

 

 

レッドには無いブルーの女の勘がそれを敏感に感じ取っている。

 

 

 

そしてその危険からレッドを守る力が自分には無い事も感じ取っている。

 

 

だから、この別れたくないという思いを押さえつける必要があった。

レッドを守る為に1人で強くならなければいけないんだ。

 

(だからこのバトルは私がレッドと共に旅してきた思い出と感謝をぶつけるためのバトルであり次に会った時に私とポケモン達の成長を感じてもらうためのバトル‼︎‼︎)

 

例え大きな博打を打つ事になってでも私達は実力を一滴も残さずに出し切る‼︎‼︎

 

「行くわよフシくん‼︎‼︎‼︎」

「ゾォォォォォッ‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

砂塵の中から出てきたのは背中に背負っている赤い蕾を更に赤く輝かせ、身体から緑色の畝るオーラを放っているフシくんだった。

 

「やっぱり…『しんりょく』を発動したのか⁉︎⁉︎」

 

特性『しんりょく』

 

その効果は『もうか』と同じ

体力が残り少なくなると草タイプの技の威力を上げる特性だ。

 

「“とっしん”をあそこまで連続で打っていたのは『しんりょく』を発動させるため…⁉︎

その特性は体力が残り少なくなったからって必ず発動する技じゃないのにそんな賭けに出たってのか⁉︎⁉︎⁉︎」

 

 

トレーナーである私が強く思っていれば。

 

 

ポケモン達も私の思いに応えてくれる‼︎

 

 

 

それはレッド、貴方と旅をしてきて学んだ1番の宝物よ…?

 

 

「フシくん“エナジーボール”‼︎‼︎」

「ソォォォッッ‼︎‼︎」

 

フシくんがその蕾の先から緑色に輝く草エネルギーの球体を作り出すと、勢いよくそれをヒッポに向かって撃つ‼︎

 

威力は“とっしん”に匹敵する草タイプの特殊攻撃技“エナジーボール”、『しんりょく』を発動した事による力のレベルアップでフシくんは新たなる技を解放した‼︎

 

「ヒッポ“ほのおのパンチ”で迎え撃て‼︎‼︎」

「ザァァッ…‼︎‼︎」

 

ヒッポが右腕に大きな炎を纏わせながらフシくんから放たれた草エネルギーの弾丸に向かって突っ込んでいく‼︎

炎タイプの物理攻撃技“ほのおのパンチ”

ヒッポも同じく特性の発動によって新たな技を開眼した‼︎

 

そして…‼︎

 

「ドォォォッ‼︎‼︎」

 

粉砕‼︎‼︎

 

尚もヒッポはフシくんに向かって突撃する!

 

「“つるのむち”‼︎」

「“つばめがえし”‼︎」

 

槍のように突き出されたフシくんの幾つもの蔓をヒッポは刹那の攻撃の連撃で弾き飛ばしていく。

 

「“ほのおのパンチ”‼︎」

「“つるのむち”で足を弾いて‼︎」

 

バシッと炎を拳に纏ったヒッポの左足を蔓の槍が弾き飛ばす、それによってヒッポの体制が崩れる。

 

「“エナジーボール”‼︎」

 

「“ニトロチャージ”‼︎‼︎」

 

ヒッポが不発に終わりかけた“ほのおのパンチ”残さずに炎を一気に全身に巡らせ崩れた体制による揺らぎを利用して擬似的な暴発を作り出しフシくんの頭上をまるでジェット機の様に超えていき、“エナジーボール”を交わす‼︎

 

「“りゅうのいかり”‼︎」

 

そしてそこから繰り出される竜の形をしたタイプ相性無効の竜の炎。

 

「“つるのむち”‼︎」

 

そしてそれを今度はフシくんが自らの蔓をトレーナーであるブルーの腕に巻きつけその反動を利用して先程のヒッポと同じくヒッポの頭上を越える事で竜の炎を逃れる。

 

「一旦後退だヒッポ‼︎」

「ザッ‼︎」

 

“りゅうのいかり”をかわされ、至近距離からの攻防に区切りをつけるべきだと判断したレッドがヒッポに後ろに下がるよう指示、ヒッポはレッドの指示に従うが…

 

「グォォッ⁈」

 

襲い来る毒のダメージ。

紫色のスパークがヒッポの身体で起こる。

 

「あと、一回…」

 

ヒッポの様子を見てレッドは確信した、あと一回の攻撃でケリをつけなければ毒のダメージに耐え切れず負けると。

 

「やってやろうじゃねぇか…いくぜ‼︎ヒッポ‼︎‼︎」

 

「ザァァァァァァァァァァァッド‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

尻尾の炎が大きく燃え上がる。

 

「“ニトロチャージ”‼︎」

 

大きな炎球がフシくんに襲いかかる‼︎

 

「私達だって負けない‼︎フシくん‼︎“エナジーボール”‼︎‼︎」

 

フシくんが草タイプのエネルギーボールを放つ。

 

ー私は貴方に教えられた‼︎

 

「“ほのおのパンチ”に切り換えろ‼︎‼︎」

 

全身に纏っていた炎がヒッポの右拳に集中、“エナジーボール”を爆散させる‼︎

 

ーポケモンとトレーナーの絆の大切さを‼︎

 

「“はっぱカッター”‼︎」

「“りゅうのいかり”‼︎」

 

無数の葉の刃と竜の青炎が激突、爆散‼︎

 

ーそして…‼︎‼︎

 

「“えんまく”‼︎」

「“つるのむち”で貫いて‼︎」

 

ヒッポが黒い煙を吐くとそこを蔓の槍が貫き風穴が空きその後一瞬にして煙を振り払う‼︎

 

そしてそこに既にヒッポはいない‼︎

 

 

「いくぜヒッポぉぉぉっ‼︎‼︎」

「ッ‼︎‼︎」

 

ブルーとフシくんが上空を見上げるとそこには…

 

「リッザァッ‼︎‼︎」

 

身体中の『もうか』のオーラごと自身の拳に宿し大きく燃え上がらせているヒッポの姿が…‼︎‼︎

 

「“ほのおのパンチ”ッッッッ‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

急降下で降りてくるヒッポ、そして大きな炎を纏うその拳はまるで隕石の様に威力を増して落ちてくる‼︎‼︎

その落ちてくるスピードは…既にフシくんの回避能力を上回っている‼︎

 

 

 

「いっけえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

 

 

ー最後までポケモンを信じて諦めなければ…

 

 

「フゥゥッソぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッッッ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

 

 

ーポケモン達は必ず応えてくれるって言うこと‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎

 

 

「なっ⁉︎⁉︎」

 

 

突如とフシくんの蕾の先端から放たれた巨大な光線。

 

 

それは隕石の如く襲ってくるヒッポを飲み込み…

 

 

 

 

空に一本の光の柱を作り出した。

 

 

 

 

そして…

 

 

 

ドシャァァァァァァァッ‼︎‼︎

 

 

 

光の柱が消えた後、レッドの目の前に『もうか』による真紅のオーラが消え戦闘不能状態となったヒッポが落ちた。

 

「リザード戦闘不能‼︎フシギソウの勝ち‼︎よって勝者ブルー‼︎‼︎‼︎」

 

 

「…勝った…?。…勝った‼︎‼︎」

「フシソッ‼︎‼︎」

 

一瞬のうちに大きな奇跡が起こったことにより脳の処理が追いつかなかったブルーだが瞬く間に自分の勝利を認識してフシくんを抱きしめ喜び合う。

 

「よくやった、ありがとな?ヒッポ…。」

 

レッドは絶体絶命の状況に陥りながらも何度もその状況を跳ね除けてくれたヒッポに心からの感謝を言うとモンスターボールに戻した。

 

そして今度は自分に勝利したブルーの元へと歩いていく。

 

「最後の技…あれって“ソーラービーム”だよな?」

「えぇ、多分。」

 

“ソーラービーム”

草タイプの超高威力特殊攻撃技であるが、太陽の光を吸収して放つためチャージに時間がかかり、時間帯や天候によって必要な時間が変わる技だ。

 

「図鑑で確認してもフシくんの覚えている技に“ソーラービーム”の名前はないわ、多分さっきのは偶然発動したものだと思うわ。」

 

「…ブルーとフシくんの思いが本来発動できない筈の技を呼び起こしたんだ…。

なんだよ、どちらにしろ完敗じゃないか。」

 

ニヤッと悪戯っぽい笑みを浮かべるレッドに思わずニヤッと同じ様な笑みを返すブルー。

 

2人はお互いの健闘をたたえ合う様にギュッと握手を交わした。

 

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

「じゃあ私、行くわね。」

 

バトルで疲れたポケモン達をポケモンセンターに預けた後、ブルーのポケモン達の方が早く回復し終えたので、先にブルーはこのハナダシティを出る事になった。

因みにピカチューもついでにポケモンセンターに預けている。

ー何か言わないと、えぇと…

 

「俺の旅の初黒星はブルーにやるよ。だけど次にバトルする時はお前の初黒星は俺が貰ってやるよ。」

 

そう言うとレッドは頬を赤らめ右手で頭を掻きながら言葉を発した。

 

「だからそれまで…負けんなよ…誰にも。」

 

その言葉にブルーは大きく眼を開き、その後ニヤッと 笑みを浮かべると。

 

「いいわよ、その代わりあんたも負けないでよ?」

 

「あぁ、約束だ。」

 

そしてお互いに固い約束を誓い合った。

 

「じゃあね、レッド。

貴方との旅、とても楽しかったわ。

本当にありがとう。」

 

「ふぁっ⁉︎////

え、えぇ⁉︎、おおぅ…こちらこそありがとう…////」

 

突然のブルーの言葉にレッドの顔が真っ赤に染まる。

 

「何よ、私が素直な気持ちを口にするのってそんなに驚くこと⁉︎」

 

「いや、違くて…まあ、確かにそうでもあるけど…」

 

レッドがこの様な状態にあるのは別の理由なのだがそれを口にするのが小っ恥ずかしくしどろもどろな状態になる。

 

「やっぱり、もう‼︎…ふふふっ

本当にありがとね、じゃあね‼︎」

 

 

そう言って駆け出して行くブルーの姿を見ると、レッドにとってブルーと一緒に旅をしてきた日々が終わってしまう悲しみにすこし心を飲まれそうになっていたが…

 

「それは駄目だよな。」

 

そう言うとレッドは自分に背中を向けて走るブルーに向かって聞こえない様に囁いた

 

 

 

「本当にありがとう。」

 

 

 

 

 

 

RED

 

手持ちのポケモン

 

ヒッポ(リザード♂)Lv.19

 

特性:もうか

ひかえめな性格 イタズラが好き

 

ほのおのパンチ

かみなりパンチ

ニトロチャージ

つばめがえし

など

 

 

キーク(マンキー♂)Lv.18

 

特性:いかりのつぼ

いじっぱりな性格 暴れることが好き

 

からげんき

ちきゅうなげ

からてチョップ

けたぐり

など

 

 

ドドラ(ニドリーノ)Lv.17

 

特性:???

無邪気な性格 少しお調子者

 

ふいうち

にどげり

あまごい

どくばり

など

 

 

ピカチュー(ピカチュウ♂)Lv.7

 

特性:ひらいしん

やんちゃな性格 物音に敏感

 

でんきショック

フラッシュ

なきごえ

しっぽをふる

など

 

 

 

BLUE

 

手持ちのポケモン

 

フシくん(フシギソウ♂)Lv.24

 

特性:しんりょく

がんばりやな性格 力が自慢

 

エナジーボール

はっぱカッター

つるのむち

どくのこな

など

 

 

ニドちゃん(ニドリーナ)Lv.18

 

特性:はりきり

ゆうかんな性格 ちょっと怒りっぽい

 

ひみつのちから

みずのはどう

にどげり

どくばり

など

 

 

コンちゃん(ロコン♀)Lv.28

 

特性:ひでり

れいせいな性格 とてもきちょうめん

 

はじけるほのお

おにび

たたりめ

しっぺがえし

など

 

 

 

「さて、俺もヒッポ達を迎えに行ってやるか」

 

そう言ってレッドがポケモンセンターの方へ振り向いた瞬間

 

「あ……」

 

一瞬、気の抜けたレッドの声が聞こえたと思ったら一瞬にしてレッドの瞳が虚ろに変わる。

 

「…いかなきゃ。」

 

そう呟くと、レッドはおぼつかない足並みでポケモンセンターの中に入っていく。

 

そしてポケモンセンターの中に入ると階段を登り、宿の方へと向かっていく。

 

そして1つの部屋の前に行くと、その扉を開ける。

 

そしてそこにいたのは…

 

 

「やっと来たわね、レッド君…」

 

レッドが好意を抱いている相手、ナナミだった。

虚ろな表情をしたレッドが向かったのはナナミの泊まっている部屋だった。

 

「ここに座りなさい」

「はい…わかりました…。」

 

ナナミに支持された通りレッドはナナミの座っているベッドの隣に座った。

 

「ふふふ、後催眠もちゃんと聞いてるみたいね。」

 

レッドがこの様な状態に陥っている理由は先刻、レッドがタケシの事件で落ち込み部屋に篭った時に起こったナナミとの事件の後、ナナミの部屋に呼び出された時にあった。

 

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

《数時間前》

 

「お邪魔しま…す」

 

レッドが恐る恐るナナミの部屋に入る、顔が真っ青なのも無理は無いだろう、何故なら自分のポケモンであるヒッポがナナミの顔を部屋のドアでぶん殴ってしまったのだから…

 

「?」

 

しかしレッドが部屋の中で見たのは先程の怒っているナナミの姿ではなく、少し笑みを浮かべているナナミ、内心そんなに怒ってなかったんだ…よかったと思いつつもナナミの纏う雰囲気が何故か不気味だ…。

 

「ナナミ…さん?」

「別に私、怒って無いわよ、部屋に呼んだのはレッド君に見てもらいたい子があっただけ」

「へ?」

 

そう言ってナナミが取り出したのは1つのモンスターボール、そしてそこから飛び出てきたのは…

 

 

 

「スリーパー…⁉︎」

 

 

 

レッドの顔が恐怖に染まる。

 

 

自分がトレーナーズスクールで学んでいた頃にいじめっ子達に散々催眠術をかけられ操られいじめられていた辛い記憶が蘇る。

 

その時にいじめっ子達が使っていたポケモンがスリープ。

そして今レッドの目の前にいるポケモンはその進化系であるスリーパー、肥満体型のスリープがシュッとスリムになり、催眠能力が上昇したポケモンだ。

 

「…嫌だ…」

 

「…」

 

レッドが一歩後ずさる

ナナミがそれを見て黒い笑みを浮かべる

 

「スリーパー」

「嫌だ…嫌だ嫌だ…!嫌だ…嫌…‼︎」

 

 

 

「“さいみんじゅつ”」

 

 

 

「嫌だ…嫌、あ…⁉︎」

 

スリーパーの振り子が揺れそこから発せられる波動に当てられたレッドの瞳から光が消える。

恐怖に囚われ、部屋を飛び出そうとしたレッドはその抵抗をやめその場で大人しくなる。

 

「こっちに来なさい」

「はい…わかりました…」

 

催眠状態に堕とされたレッドはナナミの言う通りナナミの目の前に来る。

 

「ふふふ、久しぶりだったけど深くかかってるわね❤︎」

 

スッとナナミが右手でレッドの顎を上げる。

 

「レッド君は覚えて無いけど、実はレッド君は何回も私のスリーパー…その時はまだスリープだったけど“さいみんじゅつ”にかかっているのよ?

レッド君のいじめられて傷ついた心をカウンセリングする為にね。」

 

グイっと顎を上げている右手の親指でレッド唇を右から左に上唇からなぞる。

レッドは虚ろな目でそれを受け入れるが、顔は赤くなり、熱を帯びた吐息が漏れている。

 

「最後は何時だったかな?

レッド君の家に監視カメラと盗聴器をつけた時以来かな?

あの時も催眠状態にして設置するのを手伝って貰ったり、監視カメラと盗聴器に気づかないよう暗示をかけたんだよ。」

 

グイッとナナミがレッドを引き寄せてギュッと抱きしめる。

 

「あぁ〜…レッド君の匂いがする❤︎」

 

ナナミがレッドの匂いを嗅いでいると催眠状態のレッドの腕がナナミの腰に巻かれる。

 

「ふふっ❤︎、そんなに私の事が好きなの?」

「すきぃ…♡、だいすきぃぃ♡」

 

レッドの顔は真っ赤に染まり熱の篭った吐息を吐き、ナナミと同じ様にナナミの匂いを嗅ぐ。

その瞳には涙が浮かんでいる。

 

「じゃあ、そんなレッド君に私が1つ暗示を与えます。

レッド君がブルーちゃんと別れたら全ての手持ちのポケモンを置いて私の所に来なさい。」

 

「はい…わかりました…」

 

 

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

「あの後も落ち込んだレッド君を催眠術で励ましてあげれたし…ふふっ❤︎

じゃあその時の借りを返してもらうっていう事で…レッド君。」

 

「…はい…」

 

「私の事好き?」

 

「はい…好きです…」

 

ふふふっ❤︎レッド君は私が初めて催眠状態にした時から暗示をかけなくてもずっと私の事好きって言うんだから…

 

じゃあ…

 

 

「ブルーちゃんの事は…?」

 

 

 

「…わかりません…」

 

「わからない?それはどういう事?」

 

 

「…ブルーは…ナナミさんに抱く感情とは違うけど…他の人よりもずっと大きい…とても大切な人…」

 

……………………………………

 

レッド君の中の私の位置にあの女が近づいてきてる…

 

 

 

気にくわない…

 

 

キニクワナイ…キニクワナイ…

 

 

 

キニクワナイキニクワナイキニクワナイキニクワナイキニクワナイキニクワナイキニクワナイキニクワナイキニクワナイキニクワナイキニクワナイキニクワナイキニクワナイキニクワナイキニクワナイキニクワナイキニクワナイキニクワナイキニクワナイキニクワナイキニクワナイキニクワナイキニクワナイ

キニクワナイ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎

 

 

 

 

 

「消しちゃいましょう、その感情。」

 

 

 

 

 

 

「レッド君、君はブルーちゃんを友達以上に思っている感情を綺麗さっぱり消してしまいます。

その後に残っているのはブルーちゃんを友達として抱いている感情だけ…いいわね?」

 

あの女は私を敵対視している、下手にあの女に対する思いを全て消したら疑われる。

 

だけどそっちの方が好都合。

 

 

あの女は気づかない内にレッド君からあの女の存在は消えていくんだから。

 

 

 

 

「…いや…です…。」

 

 

 

 

「‼︎‼︎」

 

なんですって…

 

 

「…この思いは…大切な…もの…忘れたく…ない…!」

 

 

…………………………

 

 

「レッド君」

「あっ…」

 

 

ナナミの右手の人差し指がレッドの額に触れる。

 

それと同時にレッドの虚ろな瞳が揺れ始め更に暗い所と落ちていく。

 

 

 

「服を脱ぎなさい

 

 

服を脱いでいく内にレッド君の心はドンドン開かれていって、下着も全て脱いだら…私の言う通りに行動する…奴隷になるわよ。」

 

「あっ…あ…あぁ…」

 

 

 

 

「さぁ、裸になりなさい。」

 

 

 

レッドはスッと立ち上がり、シュルシュルと服を脱いでいく。

 

ナナミは人間が人前で裸になるという羞恥心を人に従わなければいけないという従属感に変える事でレッドを一時的に自分の奴隷にしようと考えた。

 

そして残念ながらレッドはブルーへの思いを消す事以外にナナミに逆らう力はない。

 

レッドは服を脱いでいくたびにナナミの言う通りに動く事を喜びとする奴隷へと心を変えていく。

 

そして下着一枚になった時には既に後一枚脱ぐ事でナナミの完全な奴隷になれる事に喜びと興奮を抱いていた。

 

 

そしてレッドは最後の一枚を脱ぎ去り、異性であり思い人であったナナミの前に生まれたままの姿で直立する。

 

 

「いい子ねレッド君。」

 

ナナミがレッドの頭を優しく撫でる。

 

そうするとレッドは顔を赤くし瞳に涙を溜め口元を緩ませる。

 

 

「あぁっ❤︎…ありがとうございます…❤︎…ナナミ様…❤︎❤︎」

 

 

既にナナミの奴隷となったレッドはご主人様であるナナミに褒められるだけで身体を震えさせ、性的興奮を抱くようになってしまった。

既に身体の一部がその事を強く主張している。

 

「レッド君は今、どうなってるの?」

 

「はい❤︎レッドはナナミ様の奴隷です❤︎❤︎」

 

「じゃあ私の言う事には逆らわないの?」

 

「はい❤︎ナナミ様の言う事には絶対逆らいません❤︎❤︎」

 

 

ふふっとナナミが再び黒い笑みを浮かべる

 

そして…

 

 

「じゃあブルーに対する普通の友達以上に思っている感情を全て消しなさい。」

 

 

「はいっ❤︎❤︎❤︎わかりました❤︎❤︎❤︎❤︎」

 

 

レッドの心がその命令を許した事を確認し、ナナミはレッドの額に指を当てる。

 

 

するとレッドは裸のままその場で意識を失い記憶の整理をし始めた。

 

 

 

 

「まだかけたい暗示があるから付き合ってもらうわね❤︎

 

レッド君、大好き♡」

 

 

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

《1時間後》

 

 

「じゃあ、ナナミさん俺行ってきます。」

 

ポケモン達の回復も終え、レッドはハナダシティをでて1度ハナダの岬を目指して出発しようとしていた。

 

「いってらっしゃい、気をつけてね」

 

ナナミが見送りに来る、いつもと変わらぬ優しい笑顔にレッドの頬が薄いピンク色に染まる。

 

するとナナミが突然、

 

「ブルーちゃんと約束、覚えてる?」

 

と、レッドから持ちかけたブルーとの約束の話を持ち出してきた。

 

 

 

「えっと…なんの事でしたっけ?」

 

 

 

しかし、レッドは覚えがないみたいにキョトンとした顔を浮かべる。

 

「今度バトルする時までお互い誰にも負けるなって約束!バトルが終わった後してたでしょ!」

 

するとレッドは思い出した様で。

 

「あぁ〜、ありましたね、()()()()()

 

どうでも良さそうな声音でそう言った。

 

 

「じゃあ、いってきます‼︎」

 

 

そうしてレッドはナナミに背を向けて手を振りながら走り出す、

 

ナナミもそんなレッドを

 

 

満面の笑みを浮かべて見送った。

 

 

 

 

 

 

ブルーと別れたその日…

 

 

 

 

 

レッドはブルーに対する思いを失った。

 




これ…大丈夫だよね…大丈夫であってください。
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