25番道路
「ナッゾ!」
24番道路を越えた先にあるその道路で、レッドとカスミは25番道路をずっと進んだ奥地にあるマサキの家を目指して一緒に行動していた。
そしてその道中、レッドはオーキド博士に頼まれたポケモン図鑑完成の為にこの周辺のポケモンの捕獲を行っていた。
そして現在、レッドの目の前には青色の身体につぶらな赤い瞳、そして頭部からは逆立った髪の毛のように草を生やしているポケモン・ナゾノクサの姿があった。
それに相対するのはピカチュー。
先程カスミに忠告を受けてからそのピカチューの弱点を補う為のヒントを得る為にレッドはずっとピカチューを使用し続けている。
「“でんきショック”‼︎」
ピカチューの電撃がナゾノクサに吸い込まれるように襲いかかり直撃、ナゾノクサは身体中に電気が行き渡り痺れて動けない。
「いけっ‼︎モンスターボール‼︎」
レッドはその隙にモンスターボールを投げナゾノクサを無事に捕獲する。
「ナゾノクサゲットだぜ。」
パカッとレッドはポケモン図鑑を確認する。
RED
捕まえたポケモン
004ヒトカゲ
005リザード
010キャタピー
011トランセル
012バタフリー
013ビードル
014コクーン
015スピアー
016ポッポ
017ピジョン
019コラッタ
020ラッタ
021オニスズメ
022オニドリル
023アーボ
025ピカチュウ
027サンド
029ニドラン♀
032ニドラン♂
033ニドリーノ
039プリン
041ズバット
043ナゾノクサ NEW
046パラス
048コンパン
049モルフォン
056マンキー
069マダツボミ
070ウツドン
074イシツブテ
075ゴローン
合計31匹
見つけたポケモン
(捕まえていないポケモン)
001フシギダネ
002フシギソウ
007ゼニガメ
008カメール
024アーボック
030ニドリーナ
035ピッピ
036ピクシー
037ロコン
038キュウコン
042ゴルバット
064ユンゲラー
076ゴローニャ
096イワーク
109ドガース
110マタドガス
113ラッキー
120ヒトデマン
121スターミー
125エレブー
126ブーバー
129コイキング
合計22匹
見つけたポケモン
合計53匹
「結構捕まえたけどまだまだだな。」
実際レッドの見つけたポケモンは54匹なのだが097スリーパーはナナミがレッドを催眠術で操っている間にデータを消去したため載ってはいない。
やはり見つけたポケモンの中で捕まえていないポケモンは殆どがロケット団とジムリーダーのポケモンだ。
タケシの使用していたイワークはイワヤマトンネルに生息していると情報があるがヒトデマンやスターミーは明確な生息地がわかっていないため、捕獲は難しい。
「オーキド博士よぉ〜、これは…」
カントー地方をくまなく回らんと成し遂げられんぞ…
レッドが図鑑が埋まっていくにつれて本格的にその困難さを表してきたその目的に少々やつれたところ、ポンポンと自身の右肩が叩かれる。
振り向くとカスミが右方向に指を指してレッドに何かを知らせようとしていた。
「なんだよ…」
レッドはカスミの指差す方向に視線をやると…
そこには黄土色の身体に眠そうな瞳、そして体から放出しているサイコパワーによって座りながらも宙を浮くことで移動することができるそのポケモンの名は…
「ケーシィ…⁉︎」
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
ニビジム・トレーニングルーム
「ロック“アイアンテール”
ノイズ“クロスポイズン”‼︎」
鋼の身体を更に硬質化させた尻尾をぶつける事で強烈な威力を誇る技とその翼から放たれる猛毒の斬撃は鉄を溶かし真っ二つにする威力を持つ強力な技がニビジム内部の施設、トレーニングルームの
「…」
ポケモン達の技の質を確認しているのはニビジムジムリーダー・タケシ
タケシは静かに頷くとトレーニングルームの隅にあるポケモンボックスを手にかける。
そして自分のポケモンの状態を確認する
ロック(ハガネール♂)Lv.53
真面目な性格 暴れることが好き
ノイズ(クロバット♂)Lv.50
せっかちな性格 物音に敏感
ウッド(ウソッキー♂)Lv.51
寂しがりな性格 力が自慢
「…やはりジムに篭ってトレーニングするだけじゃあ強くはなれないか…」
タケシのポケモンの
やはり
するとタケシは3匹をモンスターボールに戻すとトレーニングルームを出る…そしてトレーニングルームを出たところには大きな1つのリュックサックが…
「ポケモン協会からの許可は下りた、これから俺達はあそこに向かうぞ。」
手持ちのポケモン達に語りかけるように呟くタケシ、そしてタケシの視線の先にはニビジムの窓から見える大きな山。
強力で凶暴なポケモン達が生息するためポケモン協会の認めた強者しか入ることの許されないカントーとジョウト地方の間にある山。
シロガネ山
タケシは退院後ポケモン協会に連絡をとり、3ヶ月間のジムの休止を申し出ると共にシロガネ山への入山の許可を申請した。
その際ポケモン協会の理事長に言われた一言は今でもタケシを焚き立てる。
『君の力では到底敵わない。』
比較的子供達のカントー地方やジョウト地方での冒険が許されているのはこのシロガネ山にあった。
周囲のポケモンの勝負の環境に飽きたポケモン達は強さを求めてシロガネ山へ向かう。
シロガネ山へ登る事は野生のポケモンが出てこなくても厳しい、かつて空を飛んで頂上を目指すポケモンやトレーナーも存在したには存在したがある一定の高度を越えるとその激しい気候、そして特殊かつ激しい気流のせいで余程の力がない限りまともに空中で移動する事は出来ない。
そしてそんな厳しい環境の中、シロガネ山で毎日のように起こっているのはポケモン達の激しい縄張り争いと周囲を気にすることなく行われる力比べ。
鳥ポケモン達は一般のポケモンではまともに飛べなくなる特殊かつ激しい気流や気候の中で自由自在に飛び回り激しいバトルを繰り広げ、地上では凶暴なポケモン達が強力な技の撃ち合い、1対多勢での戦闘も当たり前のため自然とシロガネ山のポケモン達はその激しい環境や様々な周囲のポケモン達の技に対抗するために知能が高く、様々な種類の技を瞬時に判断し放つ事が出来る。
その
戦闘を好む強いポケモンはみんなシロガネ山へと向かうためカントー地方やジョウト地方本土には本当の強者はいない。
いたとしてもシロガネ山の厳しい環境についていけず下山したポケモンや理由はわからぬがシロガネ山を追放されたポケモンだ。
そしてそれらのポケモンは滅多に野生のポケモンやポケモントレーナーと問題を起こす事はない。
レベルが違いすぎるのだ。
その為本土のポケモンやトレーナーは眼中にない。
それ程のポケモン達が生息するのだ、ポケモン協会がタケシにその様な言葉をかけるのも頷ける。
しかしタケシはその言葉を聞いた瞬間、余計シロガネ山に入山したいと思った。
シロガネ山に潜りそこで野生のポケモンをゲットし手持ちに加え、同時に自分のポケモン達を育てる。
思っているほど簡単な事ではないという事は分かっている。
しかし復讐のためだ。
自分のポケモン達の命を奪ったロケット団への復讐のためなら無茶だってしてやる。
タケシはギュッと拳を握り締める。
「行くぞ。」
そう言ってタケシはシロガネ山に向かって出発した。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
24番道路を越えた先にあるのは25番道路そしてそこにはあるポケモンが稀に現れる。
再び言おうそのポケモンの名は…
「ケェェェェェシィィィィィィィッッ‼︎‼︎‼︎」
念力ポケモン ケーシィ
先刻レッドとカスミを襲ったロケット団団員が使用してきたユンゲラーの進化前の姿だ。
ケーシィはとても臆病な為、出会ったら直ぐに“テレポート”で逃げてしまう。
その為捕獲するのが困難なポケモンなのだ。
そして現在レッドは
「ちょこまかとこのヤローっ⁉︎」
臆病なケーシィに完全に遊ばれていた。
“テレポート”でレッドの近くを転々としながら挑発してくるケーシィにレッドは冷静な思考力を失いムキになっている。
その原因は少し離れたところで爆笑しているカスミにもあるのだが。
「ピカチューとにかく“でんきショック”だ。あいつの体を痺れさせてしまえ‼︎‼︎」
ピカチューの電撃がケーシィ目掛けて放たれるが電気の速さよりも速く移動できる瞬間移動によってかする事なくかわされる。
そしてケーシィは
「(笑)(笑)(笑)」
「⁉︎っこのヤロォォォッ⁉︎⁉︎」
レッドの真後ろに移動してクスクスとバカにした笑みを浮かべる。
「ピカチュー“でんきショック”‼︎」
指示通りに放ったピカチューの電撃はレッドの頭上を越えてその先にいるケーシィを襲う
「…」
ガシッ
「ふぁっ⁉︎」
しかしケーシィはレッドのリュックを掴むと…
「ぴっ⁉︎」
「あばばばばばばばばばっ⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎」
“テレポート”を発動し電撃の向かう先にレッドを移動させ盾にした。
ケーシィに向かって放たれた電撃の筈がトレーナーであるレッドに命中、レッドは口から煙を吐きながらその場に倒れる。
それを見たケーシィは再びクスクスクスと笑みをこぼし少し離れてこれを見ていたカスミは…
「あはははははははっ‼︎‼︎」
大爆笑。
「こいつぅぅ…⁉︎」
少しフラッとよろけつつも立ち上がり、舐めた真似をしてくれたケーシィにガン垂れるレッド。
ケーシィはクスクスクスと笑い続けているもその身体には少しの緊張が残っている。
少しでも油断をすればピカチューの電撃の餌食になってしまうからだ。
そしてピカチュー自身もその事を理解しており隙を見せた瞬間、レッドの指示がなくても電撃を放つ為にケーシィと同じく、トレーナーであるレッドに軽く呆れつつも身体の緊張は解いていない。
そしてその事に気付いているのは少し離れたところから観察しているカスミのみ。
レッドは本格的にムキになっている為、ケーシィの行っている
(フツーにおかしいのよねーこの状況)
カスミがおかしいと言っているのはこの状況、つまりケーシィが直ぐに逃げずにレッドをからかって遊んでいるこの状況だ。
(このカントー地方にいるポケモンの中で最も警戒心の高いポケモンとも言ってもいい野生のケーシィがここまで人と触れ合うのなんて滅多にある事じゃない。
つまり…)
ケーシィはレッドに心を開いている。
(ケーシィは自分の身を賞品としてレッドと遊んでいるのだ、『鬼ごっこ』で。それは正にケーシィがレッドになら捕獲されても構わないと言っている事と同意。つまりここでレッドがこの事に気付いて『俺と来ないか?』と聞けば今直ぐにでも…)
そう思った瞬間、カスミは首を横に振った。
(違う、そんな事を考えれないレッドだからこそケーシィは心を開いているんだ。)
全くどんだけ純粋なんだかバカなんだか…
とカスミが思った時
「?」
レッドの表情が少し鋭いものへと変化した。
同時にレッドは腰のモンスターボールを取り出しそのままケーシィに向かって投げる。
ケーシィはそのまま“テレポート”でそれを回避
しかしその後カスミの目が大きく開かれる。
レッドがケーシィに向かって投げたモンスターボールをピカチューがその長い尻尾っで弾き飛ばしたのだ。
カスミはその行動からレッドがケーシィの瞬間移動する場所を完全に読んでピカチューに次にケーシィが現れる場所に向かってモンスターボールを弾かせたのかと思ったが…
弾かれたモンスターボールは近くの大きな木に向かって飛んでいき…
モンスターボールが開かれると…
「ザァッ‼︎」
ヒッポが姿を現した。
「⁉︎」
カスミの瞳が再び大きく開かれる。
空のモンスターボールだと思ったそれはヒッポが入ったモンスターボールだったのだ。
(一体何のために⁉︎)
「ヒッポ!引きずり出せ!」
「ザァッ‼︎」
⁉︎
ヒッポは“なきごえ”を発動しレッドの指示にあった引きずり出す対象を威圧する。
すると木の周辺の林がガサガサと揺れる。
「ちょっ⁉︎何⁉︎」
カスミがあわあわと動揺の色を示す。
そして…
「ナッゾォ…」
恐る恐る出てきたのは先程レッドが捕まえたポケモン・ナゾノクサ。
「!」
今度はレッドが大きく目を見開いた。
「っ…勘違いか…いや、そんなことより…まずは」
レッドは急いでナゾノクサの元へ行くとヒッポと共に驚かせた事について謝り、モモンの実を渡す、するとナゾノクサは喜び草むらへと戻っていった。
「ちょっ⁉︎いったいどうしたのよ⁉︎」
カスミがレッドの元へと駆け寄る。
するとレッドは頭を掻きながら言葉を口にする。
「あのケーシィ、人のポケモンだよ。」
「は?」
カスミの目が今度は点になる。
「戦っている最中、何回もケーシィの中にトレーナーの存在を感じた。
多分間違いない。」
こいつは何を言っているんだろうか?
カスミは素直にそう思った。
自分は若いがジムリーダーだ、見てきた触れ合ってきたポケモンの数はレッドよりも遥かに多い。
しかし自分はこのケーシィからトレーナーの存在を全く感じない。
確かにこんなに人に慣れるケーシィは初めて見るがそれはレッドにだけだ。
自分が距離をとってレッドとケーシィのバトルを見ていたのはケーシィは自分の警戒を解いていないからだ。
つまり、人に慣れているとは言いにくい。
(しかもトレーナーの存在を感じたって…あんたはただ技をかわされて挑発されてただけでしょうに…)
そうカスミが思ったのも束の間。
「だははははははははははははっ⁉︎ダッセーの⁉︎⁉︎ハハハハハハハハハハハっ‼︎‼︎」
カスミの耳に大きな笑い声が響き渡る。
カスミはその声の方向に顔を受けようとする時に不意にレッドの表情が目に入った。
「…」
「っ…‼︎」
冷たい瞳…
一瞬、ほんの一瞬だけだったが普段のレッドとは似ても似つかぬ程の冷たい瞳。
普段の明るいレッドとのギャップもあり、思わずカスミの身体が震える。
もうこの時点で笑っている相手の事などカスミの頭の外にあった。
しかしそれも一瞬、今度はカスミはその相手の事に興味を持った。
レッドをここまで変えてしまうその存在に。
そうしてカスミは今度こそちゃんと声のする方向に顔を向ける。
「久しぶりだなレッド。」
「…ナガト。」
レッドを笑い、けなした人物は過去にレッドをいじめ、ピカチューを引きこもった原因を作り、そしてニビシティで再び再開した男、ナガトだった。
青い髪に鋭くキリリとした目つき、そして首には相変わらず砂嵐防止用のゴーグルを下げている。
そして前回会った時と違うのはきているジャケットのポケットには自分の実力を鼓舞するかのようにつけられているジムバッジの姿だった。
その数は3つ。
レッドの所持しているニビジムのグレーバッジ、そしてブルーがレッドにこのままでは到底勝てないと豪語したクチバジムのオレンジバッジ、ヤマブキシティのゴールドバッジ。
「相変わらずダッセーなお前、ケーシィなんかに遊ばれてやんの⁉︎
いや、違うか?俺のケーシィが優秀すぎるんだな!ははははっ‼︎」
「何こいつ…」
「お前のケーシィか…」
レッドがスッとナガトからケーシィに視線をやるとケーシィは“テレポート”を発動しナガトの隣へ瞬間移動する。
「俺がここで捕まえたポケモンだ。どうだ?いいだろう?お前はまともに攻撃を当てる事が出来なかったろ?」
「最初はな。」
ピクッとナガトの眉が少し吊り上がる。
「途中からトレーナーの存在を感じたんだよ、中途半端に俺に気を許し続けてるのに対してカスミに対しては異様に警戒している。…ちょっと訂正、ケーシィは中途半端に俺を舐めてかかってるんだよ、最初から。
もし俺のここまでの戦いを見てあまりにも情けなくて楽勝だと思ったんならまだしも残念ながら俺はこの道中そんな情けない戦いをしていない。
つまり、トレーナーから『俺は舐めていい』って指示があっての行動だと思ったんだよ。
あと…なんだ…とにかく!なんとなく感じたんだよトレーナーの存在を。
だからピカチューにはわざと攻撃を外してもらってトレーナーの居場所を探したんだ。
…ハズレだったけどな。」
レッドの挑発的な視線…カスミやブルーに対して行う様な愛のあるものではない、本気で相手を嫌な気分にさせるための視線。
それを受けたナガトはフッと笑みを浮かべて。
「なになに?お前まさか旅に出て調子に乗ってる?子供だなぁ〜!」
顔を上に向けて大笑いするナガトは笑いながら眼球を下に向け見下ろす形でレッドに視線をやると明らかに怒りと嫌悪の表情を見せているピカチューとヒッポに視線をやる。
するとブハッと大きく息を吐いて1つ笑う。
「そうかそうか!、トレーナーが調子に乗ったのに吊られてピカチュウも調子に乗って出て来ちゃったか⁉︎
それともピカチュウが出て来た事でお前が調子に乗ったのか⁉︎
まぁどちらにしても…」
「出来損ないなのは変わらねぁけどなぁ‼︎」
「ちょっとあんたねぇ‼︎」
「ザッドォォォッ‼︎‼︎‼︎‼︎」
カスミとヒッポがナガトの言葉に耐え切れず前に出る、しかし…
「「!」」
レッドとピカチューが2人を止める。
「ナガト…お前の目は唯の飾りか?
お前も見ただろ?ピカチューはもう電気技が使えるんだ。」
「ぴかちゅうーっ`・∀+´・)b !!」
そうだそうだとピカチューはその赤いほっぺからビリビリと軽く電気を放電する。
「ここまで来て“でんきショック”しか使えねぇ電気タイプのポケモンなんて出来損ないに決まってんだろ‼︎」
ピクッと反応するピカチュー、レッドは表情を変えない。
「残念ながら、ピカチューはまだ“でんきショック”以外の電気技を使えない…だけどそれでも十分戦えるぜ?
ピカチューのおかげでハナダジムのジムバッジもゲット出来た。」
スッとレッドは赤いジャケットの左胸部分をめくる。
そこにはナガトも持っているグレーバッジとまだナガトの持っていないブルーバッジの姿があった。
それを見たナガトはプッと笑いだす。
「はははははっ⁉︎そんな弱小ジムでバッジをゲットしたからって調子に乗ってやんの‼︎
俺のつけてるバッジが見えないの⁉︎お前の目こそ飾りなんじゃねぇの⁉︎それとも馬鹿なの⁉︎はははははははっ⁉︎⁉︎」
ナガトは大笑いしながら自分の胸ポケットにつけてあるバッジを指差す。
「これはカントージムリーダー最強と言われるヤマブキジムのジムバッジだ‼︎
このジムバッチをつけてるって事はもう俺は全てのジムバッチを手に入れたも同然‼︎
ハナダジム?タマムシジム?セキチクジム?グレンジム?もうそんな弱小ジムリーダー達なんざ俺の眼中にもねぇ‼︎」
「俺の敵はもう四天王とチャンピオンしかいねぇんだよ‼︎」
「よし、こいつ殺そう(╬ಠ益ಠ)」
「言葉に出すなよ…落ち着けって…。」
「言っときますけどね‼︎ジムリーダーはジムバッジ毎にどんどん強くなるの‼︎確かにナツメは強いけどねぇ、私達だってポケモンバトルのプロ‼︎制限によって
するとハッとナガトは鼻で笑う。
「ジムリーダーの
つまりヤマブキジムジムリーダーの強さを5としてそれを倒した俺の強さを
「次のジムリーダーの強さは4+5=9に対して俺の強さは8+5=13ほら、
「なぁぁぁぁぁにぃぃぃぃぃっぬぅくぁしぃてんのぉぉぉアンタはぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎‼︎‼︎(╬ಠ益ಠ)(╬ಠ益ಠ)(╬ಠ益ಠ)(╬ಠ益ಠ)」
カスミの顔が真っ赤に染まり浮き出た血菅は余りの怒りにブチ切れカスミの顔の左半分を真っ赤に染める。
「ゲームじゃないのよ‼︎そんな簡単にいく訳がないでしょ‼︎ジムリーダーってのはね1つバッジが増えていく毎に何倍にも強くなるの‼︎そんな甘っちょろい考えでこの先やっていけると思わないで‼︎‼︎」
「何?お前ジムリーダーなの?あっそうか…レッドと一緒にいるからハナダジムが一旦しまってたのか…」
その言葉を聞いてカスミがドンと自分の左胸を叩く
「そう!私がハナダジムジムリーダー・お転婆人魚カス「自己紹介なんていらねぇから、覚える気ねえし。それに…」
スッとナガトはピカチューを指差す。
「こんな出来損ないに負けるジムリーダーなんざたかが知れてる。」
「ちゅーッ‼︎‼︎\(◣д◢)/ワシャー」
ピカチューは身体を逆立たす‼︎
同時にヒッポもその長い爪を構えて臨戦態勢をとる。
「そこまで言うならバトルしようぜ。」
「!」
カスミがすぐ左を向く。
そこには帽子のつばを右手で抑え下からナガトを睨みつけるレッドの姿があった。
「ハッ、嫌だね」
しかしナガトから出た言葉は拒否の一言。
「何?ビビってんの?」
「違えよ、ただ単にバトルするだけじゃつまらないってだけさ。」
ピクッとレッドが反応する。
するとニヤッとナガトの表情がドス黒い物へと変化した。
「お前、オーキド博士の研究の手伝い、まだ続けてんのか?」
(あぁ、そういう事か。)
レッドはナガトの表情、そして今の台詞、そして今までの台詞回しから全てを察した。
「あぁ」
くくくくくっとナガトの不気味な引き笑いが耳につく。
「いいぜ、バトルしようぜ。
その代わり、お前が負けたらそのオーキド博士の研究の手伝い、俺にやらせろ。いいな」
「あんた何言って…⁉︎「カスミ!」レッド⁉︎」
文句を言い出したカスミをレッドが制止する。
そして変わらずナガトを睨みつけたまま…
「この前は俺のポケモンも欲しがってたな…それはもういいのか?」
するとナガトは再び鼻で笑う。
「お前の育てたポケモンなんてもういらねぇよ。」
「そうか」
するとレッドは視線をヒッポにやる。
ヒッポはコクっと頷く。
「まずはお前だ。頼むぞヒッポ!」
「ザッドォォォッ‼︎」
レッドに指名されたヒッポが雄叫びを上げ、前へ出る。
「じゃあ俺は小手調べにこいつでいくぜ。」
ナガトはバシッと自分の隣にいるケーシィの肩を叩く。
どうやらナガトは1匹目をケーシィにするみたいだ。
「ルールは2対2のシングルバトル、いいな?」
「あぁ」
ナガトのバトルのルールにレッドは返事をしながらスッと目を細めケーシィに意識を集中する。
「ヒッポまずは“ニトロチャージ”だ。」
「ザァッ‼︎」
ゴォッと炎をその身体に纏いヒッポがケーシィに向かって突進攻撃を繰り出す。
「“テレポート”だ!」
ケーシィはサイコパワーを利用し、一瞬にしてその姿を消し、ヒッポの背後に移動する。
「“えんまく”で身を隠せ‼︎」
ガラ空きの背後に攻撃を受けないためにヒッポは咄嗟にレッドの指示を受け、黒い煙を吐き出し身を隠す、そのついでにケーシィの黒い煙により視界を奪う。
「レッドらしい貧弱な指示だn「“ニトロチャージ”‼︎」っ!」
レッドはヒッポで戦闘をする際“えんまく”による目眩し戦法をよく使用する。
その甲斐あってかヒッポは煙の中でも相手の居場所を感覚で察知することが出来るようになっていた。
そしてそのヒッポの感覚は見事に的中、ケーシィの腹にめり込む形で炎の突進が命中、ケーシィはレッドの足元にまで吹き飛ばされる。
「っ!反撃だケーシィ‼︎立ち上がれ‼︎」
「“つばめがえし”‼︎」
刹那の一撃
ヒッポは立ち上がろうとしたケーシィを風で形成した鋭い爪ですくい上げるかのように切り裂いた。
ケーシィは一瞬時間が止まったかのように静止しその後力なく倒れた。
「まず1匹」
レッドがナガトに見せつけるかのように右手の人差し指で作った1を差し出す。
同時にヒッポも雄叫びを上げ勝利を喜ぶ。
「へっ!、まぁ最近捕まえたばっかだからな、最低限の強さは身につけてたみたいじゃねぇか、レッドよ。」
(まだ挑発をやめないのねコイツ…)
カスミが呆れた表情でナガトを見る。
「俺の2匹目はコイツだ‼︎」
ナガトがモンスターボールを投げる。
そしてそこから出てきたのは…
「ゴローニャー‼︎」
身体中を石で覆われ、そこから腕と足を生やしている岩・地面タイプのポケモンでありイシツブテの最終進化系であると同時にレッドがトキワの森でブルーと協力して倒したポケモン・ゴローニャ。
「ウソ…」
「っ…⁉︎」
カスミの目が大きく開かれ、レッドの額には汗が流れる。
(ゴローニャとは戦った事はあるが…こいつはトキワの森で戦った奴とは
「何であんたがこんな
カスミとレッドが驚いた理由はただ1つ。
ゴローニャの纏う雰囲気が只者ではなかったのだ。
レッドはポケモン図鑑を開きゴローニャのレベルを確認する。
ゴローニャ♂Lv.46
「
するとナガトが笑みを浮かべる。
「パパから貰ったポケモンだ」
その言葉にハッとカスミが何かに気づく
「そういえばタケシが言ってたわ、実力に合わない
「実力に合わないって?馬鹿なこと言うなよこれだから弱い奴は…」
ナガトが鼻でカスミを笑う。
「ゴローニャは俺の言うことをちゃんと聞いて動いてんだよ」
ポケモンはモンスターボールに入ることでトレーナーの言う事を聞くようになるわけではない、ポケモンが捕まえた瞬間から言う事を聞くようになるのは自分を捕まえた事でそのトレーナーの実力を認めるからだ。
決してモンスターボールにポケモンを強制的に言う事をきかす効力はない。
そのため他人から貰ったポケモンが言う事を聞くことは貰った人のトレーナーとしての技術や人柄がちゃんとしていないと言う事を聞かない。
そして今のゴローニャにはナガトに反抗する意思は感じられない。
しかし
「それはあんたのお父さんの育て方がすこぶる良いってだけであんたの実力じゃないわ‼︎」
カスミの言う通り、ゴローニャからはナガトに対するいわゆるトレーナーとポケモンの繋がりを感じられない。
「はっ、悔しいからっていちゃもんつけんな‼︎さぁ、どうする?」
「…」
レッドは一瞬黙り込むそして…
「ヒッポ“えんまく”‼︎」
最も堅実な作戦で行くことに決めた。
ヒッポとゴローニャを包む形で黒い煙が巻き上げられる。
(どんな技を選んでも効果は今ひとつ…ならヒッポが1番得意とするタイプの技で勝負を挑む‼︎)
「“ほのおのパンチ”‼︎」
激しく燃え上がる炎を拳に纏い、重い一撃を視界の封じられたゴローニャにぶつける。
しかし…
「ゴロー…」
「ザッ⁉︎」
ニヤッと笑みを浮かべるゴローニャ、炎の拳の拳圧で少し吹き飛んだ煙幕の間からヒッポの姿を捉えた。
ゴローニャの両手がヒッポを捕らえにかかる
「ヒッポ、“ニトロチャージ”!」
しかしそこで届いたのはレッドの技の指示、レッドはヒッポの姿が見えないながらにヒッポのピンチを感じ取り技を指示した。
ヒッポは指示を受けその身体に炎を纏い一気にスピードを上げて後ろにダッシュ、ゴローニャの腕から逃れる事に成功した。
ヒッポはそのまま煙幕の外に出て、レッドに姿を見せる。
「…っやっぱりキツイか…‼︎」
レッドはヒッポの姿を見てこの戦いの難しさを確認する。
「…」
再びレッドは思考を巡らす。
ヒッポの使える技は
“ひっかく”
“なきごえ”
“ひのこ”
“えんまく”
“ニトロチャージ”
“つばめがえし”
“ほのおのパンチ”
“かみなりパンチ”
これをどう使ってゴローニャを打ちのめす?
“ニトロチャージ”を使ってスピードを武器にしながらヒット&ランを繰り返す?
…いや、おそらくゴローニャは範囲技を持っている、地面タイプの範囲技は足場を崩す技が多い、そこを狙われたらスピードを上げても意味はない。
同時におんなじ意味で“えんまく”を使って攻撃するのも無理がある。
あと1つ…
レッドはヒッポと目を合わせる。
同時にヒッポはコクっと頷く。
レッドは覚悟を決めた。
「ヒッポ“ニトロチャージ”‼︎」
ゴォッと炎を纏った突進が繰り出される。
「ゴローニャ“いわなだれ”‼︎」
ゴローニャの上空に岩が生成されヒッポめがけて落ちてくる。
「“ほのおのパンチ”に切り替えて岩を砕け‼︎」
ギュオッとヒッポは身体に纏っていた炎を右腕に集中させる、そして目の前に現れた岩を粉砕…そして
「“つばめがえし”‼︎」
刹那の一撃
その一撃はすべての岩を紙一重で通り抜けゴローニャに向かって放たれた。
しかし、ゴローニャはほぼダメージを受けていない。
「“なきごえ”‼︎」
レッドの叫びと同時にヒッポの強烈な音波がゴローニャを襲う、そしてゴローニャの攻撃を一段階下げる。
「まだだっ‼︎“えんまく”‼︎」
ブワッと黒い煙が舞起こりゴローニャとヒッポを包み込む。
「“ロックブラスト”‼︎」
「“ほのおのパンチ”‼︎」
煙の中、5発に渡って放たれた強烈な岩の弾丸は虚しくも全て外れ、逆にレッドとナガトの耳に炎の燃え盛る音と何かが岩にぶち当たった音が届く。
ヒッポの炎の拳がヒットした証拠だ。
「“なきごえ”‼︎」
再びヒッポの特殊な音波がゴローニャの攻撃を下げる。
「今の“なきごえ”でゴローニャに位置が割れた‼︎撹乱するぞ“ニトロチャージ”‼︎」
ヒッポは煙幕を突き抜け上空に飛び上がる。
そしてそれを見たナガトは…
「いい的だぜ‼︎“ロックブラスト”‼︎」
しめた‼︎
レッドの顔に笑みが浮かぶ。
その理由は1つ。
煙幕から岩の弾丸が上空に向かって放たれる。
お前にヒッポの姿が見えていたとしても…
ヒッポは体を硬ばらせると一気に急降下‼︎
ゴローニャにはヒッポの姿は見えてないんだよ‼︎‼︎
「“ほのおのパンチ”‼︎」
ヒッポは全体重と空中での勢いを利用して強力な炎の一撃を身に纏う。
ゴローニャの放った岩の弾丸はヒッポにかすりもしない‼︎
「いけぇぇぇぇぇっ‼︎‼︎」
ガァンッ‼︎‼︎
「⁉︎」
岩とは違う何かより硬いものにぶつかった音がレッドの耳に届く。
急降下“ほのおのパンチ”の威力ですべての煙幕が吹き飛ばされる。
そしてそこには炎の拳をその身体で受け止めている鋼鉄のゴローニャの姿があった。
「なっ…⁉︎」
「“てっぺき”…‼︎」
ナガトとレッドの驚く声が上がる。
ゴローニャは自らの意思で“てっぺき”を発動、ヒッポの攻撃を防いだのだ。
「ナイスゴローニャ‼︎決めろ‼︎“アームハンマー”だ」
「ゴロッ…ニャッ‼︎‼︎」
「ゴギャッ⁉︎」
ヒッポの頭に強烈な拳が入る、ヒッポはそのまま回転しながら吹き飛ばされ、近くの湖にまるで水切りの石のように数回跳ね上がるとそのまま湖の中に沈む。
「ヒッポぉぉぉぉぉッ⁉︎⁉︎」
「ホスタ‼︎お願い‼︎」
カスミは咄嗟にスターミーを繰り出し湖に沈んだヒッポの救出に向かわせる。
そしてすぐにホスタはヒッポを湖から引き上げる。
ヒッポは白目をむいて完全に意識を失っていた。
「大丈夫か⁉︎ヒッポ⁉︎」
レッドがヒッポの元に駆け寄る。
「大丈夫よ、強力な一撃を頭にもらって意識を失っているだけじきに起きるわ。
…でもレッド…」
カスミはゴローニャの方に視線をやる
「ヒッポが一撃でやられるほどの
そっとカスミにしては珍しく優しい瞳でレッドに対して声をかける。
現実を突きつけるのと同時に深く同情しているかのような視線。
「…それでも」
レッドは俯き、ギュッと拳を握りしめ力のこもった声を振り絞る様に出す。
「勝ちたいんだ…‼︎」
そう言うとレッドは再びナガトとゴローニャの方に体を向ける。
「さぁ、2匹目は?」
挑発する様なナガトの声、
レッドは再び思考の海の中へ潜る。
岩タイプの苦手とする格闘タイプの技を覚えているドドラとキークでこの
キークの“いかりのつぼ”が発動すれば…いや、ヒッポが一撃でやられる程の
ならここは“ふいうち”と“にどげり”を覚えているドドラで…
そうしてドドラのモンスターボールにレッドが手をかけた瞬間…
「ぴかぴ‼︎」
−レッド‼︎
「ピカチュー…」
不意にかけられた声。
すぐ下を向けば強い意志をその瞳に宿しているピカチューの姿があった。
レッドはブンブンと無我夢中で頭を振るとキリッとピカチューに向かって視線をやる。
「そうだよな…そうだよ。
元々はこれは俺とお前との戦いなんだよな。」
「ちゅっ‼︎」
ピカチューは強く頷く。
「よっしゃ!ピカチュー‼︎君に決めた‼︎」
「ぴかーちゅーっ‼︎」
ピカチューを指名した事によってナガトには満面の笑みが、そしてカスミの顔は真っ青に変わった。
「ははははっ!そんな雑魚に何ができんだよ一瞬で終わらせてやる“ロックブラスト”!」
「ゴロッ…」
ゴローニャが岩の弾丸を生成し放とうとした瞬間
ゴローニャの視界が黄色で覆い尽くされる
ドゴォッ‼︎
その衝突音は光速の速さでピカチューがゴローニャに突撃した音。
ゴローニャは完全に不意を突かれそのまま後ろに倒れる、そして同時に岩の弾丸がゴローニャの真上に放たれ…
自ら放った5発の岩の弾丸が発射した際の威力そのままでゴローニャに降り注いだ。
「“でんこうせっか”よね…今の…⁉︎」
“でんこうせっか”
自らの呼吸を整え一気に加速し相手に突撃するノーマルタイプの技。
その速さ故に必ず先制する技『先制技』の1つに数えられている。
「一瞬で…なんだって?」
レッドの笑みがナガトに突きつけられる。
「調子に乗りやがってゴローニャ‼︎」
ゴローニャは自ら食らった岩をなぎ払って起き上がる。
同時にシャっと音を立てる様にピカチューが臨戦態勢に入る。
(先制技の“でんこうせっか”を覚えたといっても、ダメージはそこまで大きくない…さっきのように隙を突かないと捕まってお終いだ。)
不意にレッドの視界の中心に無数の岩が入る。
“いわなだれ”や“ロックブラスト”でゴローニャが生成した岩だ。
(これなら…)
「ピカチュー“でんきショック”だ‼︎」
ピカチューの強烈な電撃はピカチューを中心に円形に放出され周囲の岩にぶち当たりその電気の力で岩を一時的に磁石の様にコントロールすることを可能にした。
「いけっ‼︎」
「ちゅっ‼︎‼︎」
電磁力によって地面から浮き上がった岩はピカチューの長い尻尾がゴローニャに向かって振られるのと同時にゴローニャに向かって弾丸の如く襲いかかる。
「見様見真似の“ロックブラスト”だ‼︎」
「“てっぺき”だ‼︎」
カッとゴローニャの身体が鋼の光沢を放つとピカチューの放った岩の弾丸をその身体で受け止める。
「残念ながらダメージはほぼゼロだぜ‼︎」
「…」
今のでゴローニャは防御力が4段階上がっている。
そしてピカチューの電気技は地面タイプを持つゴローニャに効果はない。
だけど…地形を活かして戦う事は出来るのは今の攻撃でわかった。
なら…
「ピカチュー!“でんこうせっか”‼︎」
レッドはピカチューの新たに覚えた技でゴローニャに勝負を挑む。
超高速でジグザグに移動しながら突進する事でゴローニャの目をくらます、“ロックブラスト”や“いわなだれ”の標的にならない為にだ。
「撹乱したって無駄だぜ!ゴローニャには…」
スッとナガトがレッドに向かって指を指す。
「“じしん”があるからなぁ‼︎」
ゴローニャは一瞬身体を強張らせた後に大きく四股踏みをする。
大地を揺るがす程の強烈な波動が辺り一帯に大きく広がっていく。
地面タイプの範囲技“じしん”。
しかしレッドは…
「スピードを利用して跳ぶんだ‼︎」
冷静だった。
ピカチューはレッドの指示通りそのスピードを生かして飛び上がり“じしん”を交わすとそのまま再びそのスピードにブーストをかけそのまま突撃する。
「ゴッ‼︎」
ピカチューの急下降“でんこうせっか”はゴローニャに命中するも、ゴローニャは倒れる事なくそのガッシリとした足で耐えきる。
「!」
レッドはその瞬間にあるものに気づく。
「ピカチュー!ゴローニャの足に“でんきショック”だ‼︎」
ピカチューの電撃がゴローニャの右足目掛けて放たれる。
その隙をついた電撃にゴローニャは思わず自分に電気技が聞かないことを忘れ回避にかかる、しかし…
「ゴッ⁉︎」
ゴローニャの右足は先程のピカチューの“でんこうせっか”によって地面にめり込んでおり、そこから無理に抜け出そうとした結果その体重を支えきれず再び仰向けに倒れる。
「今だピカチュー!“でんきショック”そして“でんこうせっか”‼︎」
ピカチューは強力な電撃で再び周囲の岩を制御し、擬似“ロックブラスト”を放つと自らも加速し高速の突進技を繰り出す。
その攻撃はゴローニャの剥き出しの両腕、両足、画面に全発命中、ゴローニャも不意を突かれた攻撃+岩で守られていない部分を攻撃されダメージを受けた素振りを見せる。
「こっちは電気で岩を
ピカチューの放つ擬似“ロックブラスト”はゴローニャの放ったものよりも威力は劣るが、岩を電気で制御出来る分相手の急所に的確に技を当てることが出来る。
怒涛の6連撃に怯むゴローニャ。
「もう一度だ!いけっ‼︎」
そこを見逃さず再び同じ技を支持するレッド。
「ちっ…‼︎“ころがる”だ‼︎」
仰向けに寝ているゴローニャは両手足をしまうとそのまま丸くなり高速回転しその回転力を利用して地面から抜け出し突撃してきたピカチューを弾き飛ばす。
「ピカチュー‼︎」
ピカチューはゴローニャの回転力に当てられ回転しながらレッドの元へ吹き飛んでいく。
レッドは吹き飛ばされるピカチューの状態から例え着地に失敗し余分なダメージを受けたとしても無事だと予想し次の手を考える。
ーやっぱり電気技の活用法がわかったとはいえ直接当てられないのは辛い…
岩・地面タイプに有効な水タイプ・草タイプの技を覚えていれば楽なんだけど…水…?
レッドは何かに気づいたかのように顔を右に向ける。
そこにはヒッポが吹き飛ばされた湖の姿が…
「一か八か…ピカチュー‼︎」
レッドが考えている間にピカチューは回転を自分のものとしていた、ピカチューはレッドの指示に頷く。
「“でんこうせっか”‼︎」
ピカチューは回転を利用して一気に空気を蹴りそのまま勢いよく湖へ飛び込む。
そしてその勢いで大量の水しぶきが舞い上がり…
「ロニャっ⁉︎」
ゴローニャに降り注ぐ。
「今だピカチュー‼︎“でんきショック”‼︎」
ピカチューの電撃がゴローニャにぶち当たる。
そして…
「ゴロォォォォォォォっ⁉︎⁉︎」
ダメージが通る‼︎
「なんでだよ⁉︎地面タイプに電気技は効果がないはずだろ⁉︎」
「全く効果がないわけじゃないんだよ。」
ナガトの驚く声にレッドが答える。
「地面タイプのポケモンは電気を体内で分散させ無力にする性質を持っている、そして電気が身体に流れてから無力化するまでの時間が限りなくゼロに近い、だから地面タイプのはポケモンに電気技は効果が無いと言われている。
だけどこれに電気をよく通す水がかかると話は別だ。
地面タイプのポケモンは水を浴びる事で一時的に電気を通す能力が弱まり電気が身体に流れてから無力化するまでにタイムラグが生じ電気技が効くようになるんだ。」
似たような現象で更に追加補足をするならピカチューの特性“ひらいしん”は電気タイプの技を受けるとその力を自分の力に変える事の出来る能力だが、その能力は自分の容量を超える威力や量のものを受けると自らの力に変える事が出来ずその能力は意味を成さなくなる。
「身体が水に濡れている今がチャンスだ‼︎ピカチュー‼︎」
強烈な電撃の応酬、流石のゴローニャもこの電撃はキツイのかダメージに動けていない。
「“じしん”だ‼︎」
「かわせっ‼︎」
ピカチューは電撃をやめ次に来る大地を揺るがす波動を交わすために飛び上がる。
しかし
「!」
ピカチューの視界に入ったのは、トレーナーの指示を無視してピカチューに突撃し、右腕に強烈なエネルギーを溜め込んでいるゴローニャの姿だった。
“アームハンマー”
ヒッポを一撃で葬り去った強烈な拳がピカチューを地面に叩きつける様に放たれた。
「ピカチュー‼︎」
レッドの叫びも虚しくピカチューは叩きつけられる。
そしてなおも拳を振り上げるゴローニャ。
ナガトは自らの指示を無視されたのにも関わらずまるで自分の作戦通りと言っているかの様な笑みを浮かべる。
レッドは…カスミは感じ取った。
ゴローニャとナガトの間にある関係。
ゴローニャはナガトをフェイクの道具にしか思っていないということを…。
ナガトの指示を聞いて咄嗟に指示をしたトレーナーのポケモンの隙を作り出し、その隙に攻撃をぶつけるための道具。
ナガトはこのバトルにおいて高
「“アームハンマー”“アームハンマー”“アームハンマー”“アームハンマー”“アームハンマー”‼︎‼︎‼︎‼︎」
ゴローニャの大鎚の様な拳は連続でピカチューに命中、既にレッドの視界からはピカチューの姿はゴローニャの拳と地面にめり込んでいるせいで殆ど何も見えなかった。
しかし分かっている事がある。
バトル中になんとなく感じていたピカチューを感じない。
レッドがこの感覚に陥った時は必ず戦闘に出ているポケモンが戦闘不能になった時だ。
「やめろ…やめてくれぇぇぇぇぇぇっ‼︎‼︎」
「ははははははっ‼︎死んじゃえ‼︎“じしん”‼︎‼︎」
高笑いをしながら指示されたピカチューの弱点を突く大技、タダでさえ地面にめり込んでいるのに至近距離でその技を食らったらピカチューの命が危ない。
しかしナガトは指示を止めない。
まるでピカチューが次の攻撃で死ぬと考えて喜んでいるかのよう…
その後にレッドの心が壊れる事を想像して喜んでいるかのように。
「“ハイドロポンプ”‼︎」
バズーカのような衝撃を纏った水流がゴローニャに命中、ゴローニャはそのまま吹き飛ばされナガトの横を通って遥か遠方へと吹き飛ばされる。
「なっ…⁉︎」
ナガトの驚く声。
レッドは水流が放たれる直前に響いた声の主の方を振り向…
「サニー“しろいきり”‼︎」
レッドとナガトの周囲に白い霧が舞起こり視界を奪う。
レッドが唖然としていると…
「キッス!」
突如トゲキッスがレッドの横を横切る。
それと同時にレッドの右腕が誰かに掴まれる。
「走るわよ‼︎」
腕を掴んだ正体はカスミ、そしてその隣にはヒッポを抱えているスターミーと白い霧を放ち続けている美しいピンク色のポケモン・サニーゴ。
そして…
「キッス!」
「ピカチュー‼︎」
先程レッドの隣を横切ったトゲキッスは戦闘不能状態となり意識を失ったピカチューをその背中に乗せて飛んできた。
レッドはカスミの手を払いすぐにピカチューを両手で抱えカスミと共に霧の中を走っていく。
「ちょっお前ら⁉︎何なんだ‼︎おい‼︎ゴローニャ‼︎助けろ‼︎」
ナガトは白い霧の中、ゴローニャに助けを求めるがゴローニャは遥か遠方で目をグルグル回して気絶しているため助けには来なかった。
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レッドとカスミは25番道路の奥地まで辿り着いていた。
その間に気を失っていたヒッポとピカチューは回復しモンスターボールの中に戻っている。
「…」
しかしレッドはずっと黙ったまま、カスミはピカチュー達が回復した今でも暗いレッドに重苦しい空気の中声をかけた。
「ポケモン図鑑の事なら問題ないわよ、あいつが賭けを申し出た時あんたは一切それを肯定する言葉は吐かなかった=あのバトルに賭けなんて存在しなかったんだから…」
明るい感じで言った言葉もレッドには届かずカスミの声も徐々にか細くなる。
「勝ちたかったんだ…どうしても…勝ちたかったんだ…っ‼︎」
カスミの瞳が大きく揺れる。
レッドは拳を握りしめ、歯を食いしばり、瞳には涙が今にも落ちんばかりに溜まっている。
「その結果がこのザマだ…一緒になって怒ってくれたヒッポを傷つけて…ピカチューには傷に塩を塗った…2人のプライドを傷つけた…‼︎」
レッドの瞳から遂に涙が溢れる。
「っ…!」
カスミは何も言えない。
さっきのナガトという生意気な小僧とレッドとの間に何があったのか?その過去を知らないからだ。
「俺は…俺は…‼︎うぐぅっ…」
過去を背負う日々を抜け出したかった。
あの時のことがフラッシュバックする今の日々を抜け出したかった。
暗い過去の原因の主な原因を作った奴らを見返したかった。
そうしないと…俺とピカチューはその過去を背負って生きていかなきゃいけない。
だから清算したかった。
奴らをポケモンバトルで見返して背負っている過去を綺麗さっぱり消し去りたかった。
だけど
結果がこれだ。
また背負うものが増えただけ、そして旅を始めてからの自分の仲間たちを巻き込んだだけ。
「うぅ…‼︎」
レッドは溢れ出てくる涙をふかずずっと下を向いて泣き続ける、いや、泣いていることにすら気付ないほどずっと後悔の念に呑まれているのかもしれない。
しかし次の瞬間
「‼︎」
レッドは暖かい何かにつつまれる。
思わず下を向いていた顔が上を向く。
そこにはカスミの顔が
この温もりの正体はカスミがレッドを抱きしめることによって現れたものだった。
「ちょっ…////」
ギュッ!
「ふわッ⁉︎////」
レッドが事の重大さに気付いてカスミから離れようとしたが逆に強く抱きしめられる。
「私はレッドの過去に何があったかなんて知らない…」
カスミの自他共にお転婆人魚と呼ばれているいつもの声色とはかけ離れた優しい声色、その声と抱きしめられている間に聞こえるカスミの鼓動に、レッドの中で徐々に抱きしめられている事への恥ずかしさが消えていく。
「だけどね、私はあんたが強い事だけは知ってる。ポケモンと普通の人以上に深い絆で結ばれているのを知ってる。」
カスミは言葉を続ける。
「私がレッドについて知ってることって素敵な事だらけよ。だからそんな…過去だけに目を取られないで…先を見て…」
「あんたならどこへでもいけるよ。」
その言葉にレッドの目が大きく開かれそして…
「うぐっ…うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ…っ」
レッドはカスミの腕の中で泣いてることを自覚して涙を流した。
ポケモンXY&Zももうすぐ最終回…時が経つのは早いなぁ…。