赤き旅人の巡る物語   作:morumo

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ポケモンXY&Z終わりましたね…とても良かったです、見終わった後2日ほど余韻に浸れました。
もう…なんか…スタッフにありがとうしか言えない。


第24話 陰謀の影 後編

「ここがマサキの家…」

 

俺とカスミが見上げるのはどこにでもありそうなごく普通の家、しかしこんなごく普通の家に超有名人?が暮らしているとは到底思えない。

 

ポケモン転送システムを開発した研究者マサキ。

 

俺が図鑑完成の為に捕まえたポケモンをすぐにオーキド研究所に送れるのもポケモン図鑑にそのマサキの開発した転送システムが組み込まれているからだ。

と言ってもポケモン図鑑は携帯用に持ち運びできるように俺からオーキド研究所の一方通行でしか使えないのだが。

 

それでも大いに助かっている、それがなければ俺は次の町のポケモンセンターまで腰に数十個のモンスターボールを携帯する羽目になるのだから…重くてしゃあなかったろう。

 

「ぴかちゅ?」

 

「どうした?ピカチュー?」

 

ピカチューの耳がピクピクと動く。

何かを察知したようだ。

 

「…早速中に入ってみるか」

 

俺はピカチューが異変を感じたものはマサキの家にあると感じ取りすぐさまドアノブに手をかけようと手を伸ばす。

 

しかし…

 

 

パシッ‼︎

 

 

「イテッ⁉︎」

 

突如とドアノブに触れようと手を伸ばした俺の右手首にチョップが上から炸裂。

 

 

「なんでまずドアノブなのよ⁉︎普通インターホンからでしょ⁉︎」

 

「あっ…そうだそうだ。」

 

今まで他人の家に行った事がないから完全に忘れていた。

…そうだよ!俺はぼっちだよ‼︎友達の家に行った事なんてないんだよ!ていうかそんな友達もいなかったよ‼︎バカヤロー‼︎

 

俺が心の中で見知らぬ誰かに八つ当たりをしているうちにカスミがインターホンを押す。

 

 

リンゴーン‼︎

 

 

リンゴーンって珍しいインターホンの音だな。

 

リンゴーン…リンゴ・ン…リンゴ

 

「…マサキってリンゴ好きなのかな?」

「くだらない事言う暇があるなら一般常識学んだら?」

 

ははは一刀両断キッツー…

 

そんな事を思っている内に玄関の向こうからドタドタと言う音が…

 

 

テケテケテケテケ

 

 

いや、テケテケテケテケって音が…どんなつま先走りしてんだ…?

 

人が廊下を移動する音にしては軽すぎるその足音に思わず突っ込んでしまう。

 

『あかん⁉︎鍵が開けられへん⁉︎このっ!このっ!』

 

鍵が開けれないってどういう事⁉︎あんたここの住人だよね⁉︎

 

「泥棒か⁉︎…ピカチュー」

 

ビリッとピカチューの赤いほっぺから微量の電気が流れる、臨戦態勢に入った証拠だ。

しかしそこでカスミが困惑しながら俺を止めにかかる。

 

「いや、これはマサキの声よ。間違いない」

 

ガチャッ

 

鍵の開いた音が耳に届く。

それと同時に俺は玄関の扉を開け…

 

「⁉︎」

 

にゃんと! にゃんだー? にゃんですとー⁉︎

俺が咄嗟ににゃんだ比較級(何処かの珍しい喋る猫ポケモンが一時期流行らせようとしたらしい)を頭の中に思い浮かべたその原因は…

 

目の前になんか茶色の髪の毛が生えている薄ピンク色の生物…おそらくピッピが俺に向かって突撃していためであった。

 

 

「のべし⁉︎」

 

そして俺の顔面にピッピの攻撃がクリーンヒット、俺は玄関のドアから2メートルほど吹き飛ばされる。

因みにピカチューは咄嗟に俺の肩から離れていたため無事である…助けろよぉ…。

 

 

「いたた…「アホか己はぁぁぁぁぁぁぁッ‼︎」へぶっ⁉︎」

 

 

起き上がった俺にピッピの“はたく”攻撃が襲いかかる。

 

 

「なんで玄関の扉を開けたんや」

 

バシッ‼︎

 

いや違う…これは…

 

「いや、だって鍵が開いたから「アホか己はぁぁぁぁぁぁぁッ‼︎」ベシッ⁉︎」

 

“おうふくビンタ”だ…⁉︎

 

「一般常識が足りとらんのちゃうか⁉︎脳みそ足りとらんのちゃうか⁉︎」

 

罵声を浴びせながらも俺に襲いかかるビンタの応酬は止まらない。

と言うかこいつポケモンなのに喋ってるよね?絶対喋ってるよね⁉︎⁉︎罵声を浴びせるタイミングと唾が飛んでくるタイミングが完璧に一致してるんだが⁉︎これで喋ってなかったらどんだけ近くにこいつのトレーナーがいるんだよ⁉︎て言うかビンタされるたびに首が180度回転してんだけど一切トレーナーの姿見えねーんだけど…て言うかどう考えても音源目の前なんすけど⁉︎

 

「普通は家主が開けるまで待つもんやろがぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼︎‼︎‼︎」

 

トドメの一撃は俺の顎にヒットしそのまま俺は上空に投げ出される。

 

「フゥー!フゥー!おぉ〜体が軽い…流石ポケモ「ちゅー‼︎」ギャァァァァァァァァァァッ⁉︎⁉︎⁉︎Σ(゜ロ゜ノ)」

 

いきなり主人を攻撃した喋るポケモンにしばらくポカーンとしていたピカチューだが主人が吹っ飛ばされたのを見て正気を取り戻し主人を攻撃したポケモンの排除に行動を移す。

ピカチューの電撃を受けたその喋るピッピは電撃が終わる頃には気おつけの姿勢でそのピッピとはかけ離れた部位…頭の茶色の髪の毛は焦げチリチリになり静電気を帯び、そのまま倒れる。

 

「殺す気かァァァァァァっ⁉︎⁉︎わいがポケモンやなかったら死んどるぞぉぉっ⁉︎」

 

叫ぶピッピの周囲に暗がかかる。

喋るピッピは口を閉じ、背後から感じる謎の殺気に寒気を感じながらも恐る恐る背後を振り向く。

 

そこにいたのは…そう…

 

 

 

 

 

 

ブチギレた俺でーす☆★(*⌒∇⌒*)テヘ♪

 

 

 

 

 

「ギャァァァァァァァァァァァァ⁉︎⁉︎⁉︎」

 

その日25番道路に男性の甲高い断末魔が響いた。

 

 

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

ディグダの穴を抜けた先には分かれ道があり右に進むとクチバシティ、左に進むと11番道路に出る。

 

そして現在、グリーンはクチバジムに向けて11番道路でポケモン達の最終調整をしていた。

 

「カメール“みずのはどう”

コラッタ“かえんぐるま”」

 

カメールは水のエネルギーを凝縮させた球体を放つ、ディグダの穴を抜ける最中に新たに会得した技だ、この技は相手に触れると同時に破裂し凝縮した水が水流となって襲いかかる二段構えの攻撃技。

“みずでっぽう”と違い少々エネルギーを溜めるのに時間がかかるがそれをカバーするのはトレーナーである俺の役目だ。

カメールには“まもる”といった防御技を覚えさせている、相手の攻撃を完全に防いだ後“みずでっぽう”でカウンター、そして更にこの“みずのはどう”で追い討ちをかける。

 

そしてコラッタ、こいつはイマイチ何を考えているのか全くわからんがディグダの穴では俺の指示にきちんと従っていた。

“かえんぐるま”“ワイルドボルト”“ふいうち”といったバリエーション豊富な技と抜群の素早さは俺の理想とするバトルスタイルとは少しタイプは違うがそれでも1番求める安定したバトルを行うことが出来る。

 

俺は2つ目のバッジをかけて勝負する…ということは2対2のバトルになるはずだ。

勿論この2匹で挑むが相手は電気タイプの使い手、そうするとカメールは電気タイプが苦手なため自然とコラッタを中心として戦うことになるのだが…

 

「おいおい…」

 

コラッタには電気タイプに有効な技を覚えていないと思った瞬間に俺にとってとてもいいことと驚くべきことが起こった。

 

コラッタが急に地面を引っ掻き始めたと思ったら引っ掻くスピードが桁違いに速くなり地面に潜るとすぐさま全く違う場所から姿を現したのだ。

 

「“あなをほる”か…⁉︎」

 

ディグダの穴に生息するポケモン・ディグダとダグトリオが得意とする技、本来ならこの2匹を捕まえて俺のポケモンに伝授させようと思ったのだがディグダの穴は何者かに荒らされておりそのせいか俺がディグダの穴で見かけたポケモンはこの11番道路から興味本位でこのディグダの穴に訪れたポケモンのみで一切ディグダとダグトリオを見ていない。

 

そのため今回の“あなをほる”習得は難しいと判断していたが、まさかの奇跡が起こってくれた。

この技一つで試合運びが出来やすくなった。

 

そう俺が思っているとスッとコラッタがこちらを振り向く。

そして…

 

「⁉︎」

 

ニヤッと不敵な笑みを浮かべた。

 

まるで…俺が“あなをほる”の習得を望んでいた事を知っていたかのように、そしてそれをやってやったぞ感謝しろと言わんばかりの挑発的な笑み。

因みにおれは一切俺はこの事をポケモン達には話していない。

 

「…色違いってみんなこうなのか…?」

 

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

「…アレ?」

 

目を覚ますとそこはいつものわいの家、相変わらず資料やレポートで足場のない汚ったない部屋、「明日片付けるわ」を何回も続けた結果の部屋…明日はいつ来るんやろ…。

 

スッと自分の体を見るとやっぱりピンクや。

悪夢はまだ終わっとらんのか…どないしよどないしよ?

こんなに目線がいつもより下で手足が短いと体の微妙な感覚の違いにホンマに苦しめられんねんけど…さっきも鍵開けんので一苦労やったし…鍵?

 

「泥棒ー「誰がだ‼︎」げぷっ⁉︎」

 

突然わいの頭に強烈なチョップが入る、わいの唯一の救い?である周りからワックスつけてへんのに「研究者なのにワックスつけてオシャレに気を使ってるなんて素敵ね。」なんて言われるほど決まっているこの髪型!ワックスなんかつけなくてもどんなに寝癖が酷くてもこの髪型になるというこの超超超自覚しているわいの髪の毛が背後からのチョップによって潰される。

 

「何しとんじゃ己はぁぁぁぁぁっ⁉︎⁉︎」

「何で喋っとんじゃ己はぁぁぁぁぁっ⁉︎⁉︎」

 

再びわいの超自覚毛にチョップが入る。

 

あぁ…

 

「2回やったな⁉︎仏の顔も3度までっていうけどなぁ!わいの髪の毛は2度までなんじゃ3度目はないんやぞ⁉︎そんなことも知らんのか⁉︎スカポンタン‼︎

もう怒ったで‼︎喰らえ‼︎わいの髪の毛の怒りの“おうふくビ「“でんきショック”」ギャァァァァァァァァァァっス⁉︎⁉︎⁉︎」

 

再びわいの身体中にあの赤帽子のピカチュウの電撃が入る⁉︎

あかんあかんあかん⁉︎これあれや⁉︎尾骶骨に来とる⁉︎尾骶骨に来とる⁉︎ヤバイヤバイ⁉︎意識飛ぶ意識飛ぶ意識飛ぶ⁉︎

いや、でもわいも今はポケモン‼︎この電撃たえてみせ…

 

「ちゅーっ‼︎」

「のギャァァァァぁぉ⁉︎」

 

アカン⁉︎これ無理⁉︎無理無理無理⁉︎インドアなわいには例えポケモンになってもこんな電撃耐えられへん⁉︎⁉︎

 

もういっその意識飛ばしてしまったほうが楽や…ふふっ今回はお前に勝ちを譲ってやるわ。

 

だが次は負けへんぞ‼︎次に会う時はわいは最強のピッピ…いやピクシーになっとるからな

 

 

 

「ってなんの話じゃぁぁぁぁぁぁぁ‼︎‼︎‼︎次会うときまでこの姿のままでいるきかわいはぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼︎‼︎しかも進化する気なんかぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼︎‼︎」

 

 

 

 

…………………………あれ?

 

ビリビリせぇへん…尾骶骨になんの衝撃もあらせん…もしかしてこれ…

 

わいこのピカチュウの電撃を耐えきったんちゃうん‼︎‼︎

 

 

「がははははははっ‼︎‼︎ほら見ろ‼︎わいの勝ちや‼︎完勝や‼︎そんな電気ネズミにやられる程わいはやわじゃないん「ちゅーっ‼︎」やばばばばばばばばばばっ⁉︎⁉︎」

 

 

「お前の情緒不安定さに引いて電撃を止めただけだっつーの…」

 

さっきから叫んだり変顔したり叫んだり白目向いたり叫んだりと忙しい情緒不安定喋る髪の毛ピッピ(命名 俺)は今現在ピカチューの電気地獄の刑に処されている。

 

因みに説明しよう電気地獄の刑とは強烈な電撃を浴びせ相手が意識が飛ぶ寸前で電気を止め少々飛びかけた意識が戻ったところでまた意識が飛ぶ寸前まで電撃を喰らわすという無限ループを行うことである、相手は寸止めを繰り返されるためその苦しみはまるで無限地獄…こういう事をニヤニヤ笑いながらやるからなピカチュー(こいつ)は…。…正に黄色い悪魔…!

 

「レッドもういいでしょ、ピカチューも…レッド、ピカチューに止めるように言ってあげて…。」

 

チキリやがった…。

 

ピカチューの悪魔の笑みは流石のお転婆人魚(自称(爆笑))も恐ろしいのか…そうかそうか…

 

「最初はg≡○)゚д。)ノゲフッ⁉︎」

 

カスミの“メガトンパンチ”!効果は抜群だ!

レッドは怯んで動けない(“メガトンパンチ”にそんな効果はない)

 

「トレーナーのあんたがビビってどうすんのよ⁉︎あんたのポケモンでしょ⁉︎責任とりなさいよ‼︎」

「1番身近にいるから恐ろしさを知ってるんだよ⁉︎こいつの電撃どんだけ痛いかわかってる⁉︎尾骶骨に来るんだよ⁉︎」

 

 

 

 

 

 

「いいからはよやめさせろぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼︎‼︎」

 

 

 

 

 

情緒不安定喋る髪の毛ピッピの悲痛な叫びが部屋中に響いた。

 

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

「いやーっ散々やった散々やった。…ちょい待てそこの赤帽子!モンスターボールを構えるなモンスターボールを⁉︎確かに弱っているけれども⁉︎ポケモンの捕獲の基本にそった行動はやめて⁉︎⁉︎」

 

ピカチューに情緒不安定喋る髪の毛ピッピの電撃を止めるように言うとピカチューは素直に指示に従い電撃をやめた…その後に舌打ちをしながら指を鳴らすピカチューの姿など俺は決して見ていない…見ていないぞ…。

 

「それにしてもまさか合成マシンの不具合でわいがピッピと合体してまうとは…」

 

「合成マシン?ピッピと合体⁉︎」

 

確実にこの世界に震撼が起こるような言葉が発せられ心の叫びに落とし込めず思わず口に出してしまう。

すると隣で腕を組んでいるカスミははぁーっと長いため息をつくと今の言葉によって俺の頭によぎったこの情緒不安定喋る髪の毛ピッピの正体を口にした。

 

「ちょっとは警戒しなさいよ…マサキ!」

 

やっぱり…こいつが…マサキか。

 

…今はピッピだけど。

 

「別に構わんやろ、アンタがこいつを連れてきたのも信用できるからやろ。」

「いや…私がレッドを連れてきた理由はそう言う意味じゃないだけど…」

 

『俺に自分の趣味について脅されたせいデース☆』なんて言えないよな…ふひひひひっ

 

「?…なんや、そっちも人の事言われへんやろ…それに自分の事をお転婆人魚なんて言える方が色々…主に頭を心配した方がええと思うけど、とにかくわい1人じゃ元に戻られへんからわいが転送マシンに入るさかい分離プログラム頼むで「「いやだ」」そんなぁ…冷たい事言わんといて、よっ…色男!憎いねぇーっ大統領!ほな!オッケーやな!決まりや!頼むで。」

 

おいおい俺はともかくカスミに色男は駄目だろ…。

 

この情緒不安定喋る髪の毛ピッピもといコガネ弁研究者マサキのなんと言うか…この軽さに軽くイラっとしつつも大人しく俺はマサキが部屋の奥にあるよくわからん機械の片方に入ったのを確認してパソコン画面に映っている分離プログラムの起動、するとドュイーンッと言う音と同時にマサキの入った電話ボックス的なやつともう片方のそれがガタガタと揺れ始めそして…

 

「戻ったどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ‼︎‼︎」

 

勢いよく出て来る自然と髪の決まった男、水色の薄い長袖のシャツを着て、下は少し黒く濁った緑色のジーパンを履いている。

何故だろう凄くイライラする…俺がどうしようが常に一部ツンツン頭になるからだろうか…もうその事は自分の中で諦めようと決心がついたはずなんだけどな…。

 

「いやぁー、おおきにおおきに!」

 

俺たちの目の前に来るとへこへこ頭を下げ…じゃない肩を上に上げ下げして例の言葉を述べるマサキ…あぁ、なんとなくオーキド博士の心配していた理由がわかった気がする…人に対する礼儀がなってない、軽すぎるんだ。

 

「ほんで、カスミ、情報を聞きに来たんやろうけどもう一度再確認する。

そのガキは信用なるんか…?」

 

ガキって言われるほどテメェと歳の差はねぇっつーの‼︎。

そう突っ込みたい気持ちを俺はこのシリアスな空気を読んで押さえ込む、するとカスミはフッと笑みを浮かべると…

 

「まだ腕も未熟だけど…ポケモンに対する思いやポケモン達との絆の深さは私が見て来た人達の中で誰にも負けない強いものよ…旅を始めてそんなに時間が経っていないのにこれだけポケモン達との信頼関係を築ける人間が信用に足りなかったらこの世界は疑心暗鬼に満ちて終わっているわよ。」

 

カスミの言葉に少しだけ胸を打たれているのを実感する俺、ナガトの件があった関係上素直に嬉しい。

 

それを聞いたマサキは同じようにフッと笑みを浮かべると

 

「まぁ、カスミがそこまで言うんやったら信じたる、戦力は多いに越した事はないからな。」

 

「戦力…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「まずぶっちゃけるとわい元ロケット団やねん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…は⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁあああああっ⁉︎」

 

その衝撃的な発言とその内容に俺は一瞬でマサキと距離を取り身体を強張らせ臨戦態勢に入る、同じくピカチューもその赤い両ほっぺに電気を貯め始めた。

 

「待て待て待て待て⁉︎()()⁉︎」

 

俺とピカチューのとった行動に焦りを見せるマサキ

 

「わいの研究を手伝ってもらう側あいつらの研究を手伝っどったんや⁉︎もちろん‼︎もっ!ちっ!ろっ!ん!あいつらがそないなマフィアなんて知らんかった‼︎それに今は奴らの正体に気づいて手を切っとる⁉︎」

 

 

 

………

 

 

 

「…ほんと?」

「ほんまやほんまや‼︎神に誓うわ…」

 

 

 

 

………

 

 

 

「じゃあその言葉通りピカチューの電撃の後に神に誓えよ」

 

 

 

「そないな事一言も言っとへん⁉︎」

 

 

落ち着いてきたのか軽いジョークを言えるようになってきた「ぴかぁーちゅー‼︎」「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎⁉︎⁉︎」よ…おい、ピカチュー?

 

「お前ら⁉︎驚いたフリまでして…そんなにしてわいをボロボロにしたいんかっ⁉︎⁉︎なんかわいに恨みがあんのかいなっ⁉︎」

 

「お前()じゃないこいつだこいつ。」

「٩(๑❛ᴗ❛๑)۶」

 

そんな可愛い顔しても今の行いを誤魔化すことは不可能だぞピカチュー。

 

「まぁ、いいから話を続けてくれ。」

「え…」

 

マサキは一瞬魂を抜かれたような表情を見せたが再びピカチューがビリッと頰の電気をスパークさせると小さく悲鳴をあげて口を動かしだした。

 

「まぁ、さっき言った通りわいは元ロケット団…と言うより奴らの正体に気づかず利用されとった哀れな研究者&ポケモンマニアやねんけど…奴等の正体に気づいた時、すぐにわいは奴等から逃げ出したんや…一目散にな。」

 

「ロケット団の内部にいたはずなのになんの情報も奪って来ずに情けなく本当に情けなく逃げてきたのよね。」

「おふっ⁉︎」

 

カスミの“どくばり”攻撃‼︎

効果は抜群だ‼︎

 

「ほんでまず最初に権力を持っている+単純な子供に匿ってもらうと思ったんや…大人を信用できんくなっとったからな。」

 

「権力を持っていて単純…あぁー!カスミに匿ってもらったのか」

「おいゴラ…まあ、そして私はタマムシジムのジムリーダーのエリカに連絡を入れてマサキを匿う環境を作ってもらったのよ…それがここ。なんの変哲もない一軒家だけどマサキや私やエリカ以外の誰かが無断で入ってきたら玄関の床が抜けて地下に閉じ込められる仕組みになっているのよ。だからマサキの家がひっそりと知られているのはロケット団をおびき寄せるためだったんだけど…匿い始めてはや4ヶ月そんなそぶりは一切無いわね。…餌としての価値はなかったわ。」

 

「ちょっと待て…じゃあなんでカスミは玄関でまず自分から開けに行かなかった⁉︎、それが本当ならあのまま俺が入っていったらそのまま地下に…」

「更に地下にはエリカ特製のモンジャラの巣が出来上がっているから大変な事になっていたわね。」

「おいゴラ…」

 

確信犯かこの野郎。

 

「まぁ、ほんであいつらが動くの待ってても仕方ないと思ってな、奴等の動向を探っていたらや、ロケット団の奴等着々と計画を進めていたんや。

奴らは5番道路と6番道路、そして7番道路と8番道路をそれぞれ繋げるように基地をつくっとったんや。」

 

「またそれは大胆な場所に…」

 

「恐らく現時点で奴等の最大の脅威となっているヤマブキジム・ジムリーダーのナツメをヤマブキシティごと四方から叩くためだと思うのだけど…あんたの言う通りそんな大胆な場所に作っていたのに誰にも気づかれずにほぼ完成していたのよ。

 

超能力を使用できるナツメはごく稀に起こる未来予知でその場所を特定、そしてハナダジム・ジムリーダーの私とコンピューターに詳しいマサキ、タマムシジム・ジムリーダーのエリカ、クチバシティ・ジムリーダーのマチスとナツメの4人をch…違うわね、ジムリーダー3人を中心にその基地を殲滅にかかったわ。」

 

「結果は完勝、だけど最後の最後に奴等、基地を爆発させたの…幸いみんな“ひかりのかべ”や“リフレクター”のような壁を貼れるポケモンがいたおかげで無事だったんだけど…中にあったであろう情報は殆どの爆発でチリとかしたわ。」

 

地下で大組織の基地が爆発したのに地上で何も起こらなかったと言うことは恐らく相当頑丈な作りの基地だったんだろう、ジムリーダーとはいえ街一つ挟んで繋がっている馬鹿でかい基地の全てに壁を貼れるポケモンなんて持っていないだろう…それなのに地上に影響がなかったと言うことはつまりそう言うことだ。

 

「その基地は…?」

 

「今ではそれぞれの道路を繋ぐただの地下通路よ…危険はないからもう誰でも通れるようになっているわ。」

 

「ふぅん…そして?」

 

俺がその先の情報を聞こうとするとバシッとマサキが自分の太ももを両手で叩いてよっしゃっ‼︎と叫び出す…やっぱりこいつのテンションはなんか…苦手だ。

 

「ここからがわいの見せ場や‼︎」

「あーハイハイそうですかどうでもいいから早く喋れ。」

「…わいの扱い酷ない…?」

 

ソンナコトナイヨー

 

「…わいは1人その基地のメインコンピューターにハッキングして少しだけやったけど奴等の情報を奪ってきたんや…ついでにロケット団にお願いされて作った装置…この合成マシンも奪ってきたんや。

合成マシンを何に使おうとしていたのかはわからへんかったけど…恐らく奴等の最大の目的はわいの奪った情報に入っとった。」

 

マサキは地べたに広げてあるプリント用紙を俺に渡しカスミと一緒にそれを見る。

 

まずそこに写っていたのは空、そして次に写っていたのはそれの拡大写真、

 

「火の鳥ポケモン…?」

 

「他の二枚も見てみ。」

 

マサキの言う通りに紙をめくるとそこには同じく空…それも雷雲が一面に広がっているの写真、そして次に写っているのはその拡大写真だが今度は体から炎をだし、青空をオレンジ色に変えていた炎の鳥ポケモンではなく、雷雲の間にかすかに姿を見せている黄色い鳥ポケモン…その身体にはビリビリと電気が流れている…

 

「雷の鳥ポケモン」

 

そして最後の一枚、それも他二枚と同じ構成だが写っている空は雪雲に覆われ、先程の雷の鳥ポケモンのように雲と雲の間から少し姿を現しているのではなく堂々とその美しい姿をさらしている…その身体は鮮明な画像とは程遠い拡大写真からでもわかるくらい冷気を放っている。

 

「氷の鳥ポケモン…」

 

「ファイヤー・サンダー・フリーザー

カントー地方に生息すると言われている伝説の鳥ポケモンや。」

 

「伝説の…ポケモン。」

 

「ロケット団はこの3匹を捕獲しようとしてるの⁉︎」

「そうやろな…でも流石にそれは奴らにとっても厳しい戦いになるやろう…なんせ相手は伝説のポケモン…

それにこの3匹は伝説において1匹で街を一つ滅ぼす程の力を持っていた記録がある、その力量(レベル)は言わずとも高い。」

 

「それでも奴等は必ずこの3匹を捕獲するために動いてくる…それを阻止するために戦力が必要っていうわけか…」

 

するとマサキは心配そうな顔で俺の方を見る。

 

「別に強制やない、100パー危険な戦いになる…参加したくないんやったら参加せんでも…「馬鹿なこと言うなよ」!」

 

 

 

「奴等は平気で人のポケモンを殺すような奴等なんだ…そんな奴等の手に伝説のポケモンが渡った多くのポケモンが犠牲になる…それを黙って見てるなんて真似…俺には出来ない‼︎…なっピカチュー」

「ぴっぴかちゅ‼︎d((≧□≦)」

 

こいつは親指を立ててGOODサインをしているが話の重大さを理解しているのだろうか…?

 

俺とピカチューの一瞬の戯れをみたマサキはフッと似合わない静かな笑みを浮かべると

 

「…あんたみたいなトレーナーがこの世界にあふれていたらどれだけポケモンが幸せな世界になった事やろう…いい主人を持ったなピカチュウ「ちゅーっ‼︎」あばばばばばばばばばっ⁉︎」

 

 

「ピカチュ()じゃないぞピカチュ()だ。」

 

「…そんなの殆ど変わらんやろ…⁉︎」

 

マサキは立ち上がろうとしていたその身体を電撃によって再び膝をつかされる。

喜べマサキ、ピカチューがニックネームを呼ぶ事を求める電撃を放つと言うことは気に入られた証拠だぞ!。

 

「まぁ、ええわ、そんなあん「レッドだ」…レッドにこれやるわ」

 

マサキから差し出されたのは1枚のチケットそこには

 

「サントアンヌ号…」

 

「わいのところに届いたんやけどわいはパーティーとか苦手やから代わりに言っといてくれへん?」

「俺も堅苦しいの苦手なんだけど…」

 

わざわざマサキに招待状が届いたと言うことは絶対にお友達同士でやる様な純粋な余興のパーティーじゃないに決まっている、品とか何ちゃらが絡むパーティーなんかお断りだ。

 

「面白い人がおるで…会えばいい経験になるはずや」

「?どう言うことだ?」

 

「それは乗ってからのお楽しみや。」

 

何なんだよ…

 

 

俺が『教えてくれなきゃ絶対に乗ってやんない!』と子供みたいな駄々をこねてみようと思った矢先にカスミのポケギアが着信を受ける。

 

 

そしてその内容は…

 

 

 

 

 

ハナダシティがロケット団に攻撃されていると言うものだった。

 

 

 


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