赤き旅人の巡る物語   作:morumo

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第5話 トキワの森での出会い

「木だ‼︎、林だ‼︎、森だ‼︎そして何より・・」

 

「虫だらけだー‼︎」

「カゲー‼︎‼︎」

「キキィー‼︎」

 

トキワの森には森というだけあって虫タイプのポケモンが多く生息する。

 

「つまりぃ・・・・」

 

「ヒッポがいれば楽勝だー‼︎‼︎」

「カゲー‼︎」

「キキィー‼︎」

 

「なのにどうしてこうなった・・・⁉︎」

「クゥ〜・・・」

「ブルルッ・・・」

 

レッド達が今いる場所はトキワの森の正規ルートから大きく外れた場所にいた。

 

何故、レッド達が一本道で安全なトキワの森の正規ルートを外れたかと言うと・・・

 

 

ー数分前ー

 

「トキワの森かぁー」

 

レッドは腰に巻いてあるモンスターボールの一つを取り出しジッと見つめる。

 

「反応なしか・・・ここに来ればって思ってたんだけどな・・・」

 

この旅が始まって初めてレッドの表情に曇りが見えた。

このトキワの森はそのモンスターボールに入っているポケモンと何か関係があるんだろうか、何かしらの希望をレッドは持っていたみたいだがそのモンスターボールには何の反応もない。

 

その時

 

「カゲー‼︎」

「うおっ⁉︎」

 

レッドの腰に巻いていたボールからヒッポが勝手に出てくると、すかさずレッドの胸に飛びついてくる。

 

「どうしたんだ?ヒッポ」

 

レッドの問いかけにヒッポはただ自分の顔をレッドの胸に擦り付けるだけの行動をする。

 

「心配してくれてるのか?俺とこいつを」

 

するとヒッポはムクッとレッドの方を見るとニコッと笑みをかえす。

その姿にレッドの顔にも笑みが浮かぶ。

 

「ありがとな。」

 

スッとレッドはヒッポの頭を撫でる。

その瞬間

 

「ゴローニャーッ‼︎‼︎」

「ふぁいっ⁉︎⁉︎」

「ゲッ⁉︎⁉︎」

 

大声が背後から鳴り響き、反射的にレッドはヒッポを抱えたまま前に転がり受け身をしながら声の聞こえた方を振り返る。

レッド達の視界に入ったのは身体中を岩で包まれ、筋肉質でがっしりした手足の持つ巨大なポケモンだった。

 

「こいつは・・・」

 

レッドはポケモン図鑑をそのポケモンにかざし青い球体のボタンを押す。

 

 

No.76 ゴローニャ

メガトンポケモン

タイプ いわ・じめん

高さ 1.4m

重さ 300kg

岩盤のような硬い殻で覆われている。1年に1回脱皮して大きくなる。

 

 

「ゴロニャーッ‼︎‼︎」

 

「やる気満々だなこいつ・・・っていうかこいつトキワの森には生息してないって図鑑にのってんだけど・・・」

 

ゴローニャをその丸い体を大きくそらし雄叫びをあげる。

レッドは自分の手持ちとの体格差と見た感じの纏う空気の凄みから、自分の手持ちのポケモンではかなわないことが分かったが、ここは森の中、自分達の動きは木々で制限されるだろうがゴローニャはその体格と重量で木々を倒していけるだろうから制限されない。

 

「戦うしかないか・・・岩・地面か」

 

レッドはヒッポを地面に降ろし腰のベルトにかけてあるモンスターボールを一つ取り出す。

 

「ニビジム戦のための良すぎる特訓相手だ‼︎頼むぞキーク‼︎‼︎」

 

「キキィー‼︎」

 

レッドがボールから繰り出したのは12番道路でゲットしたマンキーだった。

格闘タイプのマンキーの攻撃は岩タイプを持つゴローニャには効果は抜群だ。恐らく同じ岩タイプを専門に扱うニビジム戦の要のポケモンになるだろう。

ちなみにこのマンキーに付けられたニックネームのキークの意味はこのポケモンの覚えている技“けたぐり”から

蹴り→キック

マンキー+キック=(マン)キーク

である

 

「キーク‼︎“にらみつける”‼︎」

「キャーッ‼︎‼︎」

 

ギロッとキークの元々鋭い目が更に鋭くなって目の前のゴローニャを睨みつける。

同レベルくらいのポケモンであればこの睨みによって怯えさすことで、無意識的にガードが弱くなるのを誘って威力のある攻撃を与えれるのだが・・・

 

ー反応がない・・・

 

ゴローニャは一切の反応もなかった、これはつまりこのゴローニャとキークのレベルの違いを表していた。

 

ー予想はしていたけど・・・これは能力を下げていく手段は殆ど無意味だな・・・なら、

 

「キーク‼︎“きあいだめ”‼︎」

「キャァーッッ‼︎‼︎‼︎」

 

ドォンとキークが体から闘気を醸し出す、キークの体毛が軽く逆立つ

“きあいだめ”は闘気を放つことによって気合いを自分に注入することによって、一時的に集中力が増し、敵の急所に攻撃を与えさせやすくする技だ。

 

「キーク‼︎突っ込め!」

 

ダッと勢いよくキークは走り出す。同時にゴローニャの方も技を放つ準備をしている。

 

ー今、警戒する技は足元を崩させられる可能性の高い地面タイプの技だけだ‼︎‼︎

 

「キーク‼︎“けたぐり”だ‼︎」

 

「ゴローッ‼︎」

「っ⁉︎」

 

レッドの技の指示に従いキークは自分の判断でゴローニャの重心を担っている右足に狙いを定め、それを悟らせないためにゴローニャから見て左側に移動した。

レッドもその考えを読み取ったが次の瞬間ゴローニャの重心が右足から左足に素早く移動した。

 

『けたぐり』は相手の体重を利用して攻撃する技だ、だから300kgあるゴローニャにはとんでもないダメージが通る、そのため重心に技を決められるとけたぐりに抗う術はない。普通なら重心をバトルする相手から遠ざけなければいけないのはポケモンにとっての常識だ。しかしそれをしないということは、

 

ー強力な技を放つ前触れ‼︎

 

「キーク戻れ⁉︎」

 

レベルが違いすぎる相手が強力な技を放つと分かって突っ込むのは危険すぎる、そう判断したレッドはキークに下がる指示を出した。

 

「キッ⁉︎」

 

しかし既にキークは相手の左側から右側へ移ろうとゴローニャの右足元に飛びついていた。

 

「っ⁉︎ヒッポ‼︎“ひの「カゲェェッ‼︎」ナイス‼︎」

 

レッドがゴローニャの攻撃を少しでも、遅らせる、あわよくば止めるためにヒッポに“ひのこ”の指示をしようとしたがヒッポは自分の判断で指示が出る前から準備をしていた。そしてレッドの指示を受ける前に発射していた。

この間レッドが下がる指示を出してから1秒もかかっていない。

 

「ゴッ⁉︎」

 

ひのこはゴローニャの岩に隠れていない顔の中の瞳の部分に命中、そのままゴローニャはよろめき重心が今キークが向かっている右足に再び重心がかかった。

 

「今だ‼︎いっけぇぇぇぇぇ‼︎」

 

「キィッ‼︎‼︎」

「グニャッ!」

 

ゴローニャの右足にキークの蹴りがヒット。ゴローニャは頭から地面に倒れる。

キークはクルクルと回転しながらレッドの足元に着地する。

 

「・・・ヒッポ、今度もさっきと同じの頼むぞ、やっぱり一対一でまともに戦えるレベルの相手じゃなかった。」

 

レッドはポケモン図鑑の画面を見ながら呟く。

レッドもついさっき、トキワシティのポケモンセンターでヒッポとキークの回復をしてもらっている間ポケモン図鑑を弄っていて発見したのだが、ポケモン図鑑にはポケモンのHPが表示されるのだ、自分の手持ちのポケモンはもちろん他のポケモンのもだ。

今、ポケモン図鑑の画面にはヒッポとキークのHPとゴローニャのHPが表示されている。

 

そのゴローニャのHPが余り減っていないのだ。

 

ーなんとかならないのか・・・

 

レッドはポケモン図鑑で自分のポケモンの技を見る。

 

ヒッポ(ヒトカゲ♂) Lv9↑

控えめな性格

悪戯が好き

ひっかく

なきごえ

ひのこ

えんまく NEW

 

キーク(マンキー♂)Lv6

いじっぱりな性格

暴れる事が好き

ひっかく

にらみつける

けたぐり

きあいだめ

 

ー“えんまく”‼︎

 

今さっきの戦闘でヒッポに経験値が入り、力量《レベル》が上がったのだろう。ヒッポの使える技が増えている。

 

ー神様は今度は俺に味方をしてくれたみたいだ。

 

「ヒッポ‼︎“えんまく”だ‼︎」

「カゲッ‼︎」

 

ブワッと黒い煙がレッドとゴローニャを包むように動き出す。

ゴローニャは・・

 

ーそういえばなんでこいつはさっきから倒れたままなんだ。

 

HPが余っているのは図鑑を見てわかっている普通なら立ち上がって反撃をしてくるはずだ。

 

ー気絶してるのか・・・

 

するとゴローニャの身体が赤く熱を帯びていく、

 

「まさか・・・‼︎ヒッポ‼︎、キーク‼︎戻れ‼︎‼︎」

 

レッドは2匹をモンスターボールに戻そうとすぐさま腰に手をやる。

その時、ゴローニャの身体がビクンと大きく跳ねる。

 

ー間に合わ・・・

 

ドゴォォンッ‼︎‼︎

ゴローニャの身体が一瞬光ると同時に爆発を起こす、その爆発にレッド達は巻き込まれる。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁっ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

『だいばくはつ』

自分のHPを全て消費することによって爆発を起こし周りのポケモン全てを巻き込む自爆技。

この技によって現在レッドのいるトキワの森正規ルート周辺の森が倒れ、レッド達も何処かへ吹っ飛ばされた。

そのせいでレッド達は正規ルートから外れてしまったのだ

 

「なんだろ・・・本当についてない。」

 

レッドは現在木々に囲まれたいびつな道を進んでいく。襲いかかってくるポケモン達はヒッポで撃退もしくは弱らせ捕獲していた。

 

「現在の俺の手持ちとその技はっと」

 

ヒッポ(ヒトカゲ♂)Lv10↑

ひっかく

なきごえ

ひのこ

えんまく

 

キーク(マンキー♂)Lv7↑

ひっかく

にらみつける

けたぐり

きあいだめ

 

キャタピー♂Lv5

たいあたり

いとをはく

 

ビードル♂Lv5

どくばり

いとをはく

 

「キャタピーとビードルは成長が早いって聞いたことがあるからな、迷ってる間に進化できたら万々歳だ」

 

レッドは手持ちにするポケモンにしかニックネームはつけない。

もしオーキドの研究でそのポケモン達が必要じゃなくなった場合捕まえた土地に逃がすつもりだからだ。幸いなことに図鑑には捕まえたポケモンがどこで捕まえられたかを自動で記録している。

 

「・・・ピジョンを連れとけばよかったかなそうすれば空から抜けれたのに。」

 

ーま、今更後悔しても遅いか。

 

レッドはヒッポとキークをボールから外に出して進んでいく。

レッドがガサッと木と木の間から抜ける。

 

「フシくん‼︎“つるのむち”‼︎」

「ダネフシッ‼︎‼︎」

「ふあっ⁉︎」

「ゲェッ‼︎‼︎」

 

その瞬間、女の子の技の指示とともに鞭のようにしなった攻撃がレッドを襲うがヒッポが“ひっかく”で鞭を弾く。

 

「お、おぉう、ナイス・・・ヒッポ。」

 

「あ、ごめんなさい‼︎」

 

フッとレッドがさっきの技の指示をしていた人と同じ声をした方向を見ると、茶色っぽく腰まで伸びた長い髪に黒色のワンピースを着たレッドと同じくらいの年齢であろう少女とその足元に、青みがかった緑色で所々に濃い緑色の模様のある身体に、背中に大きな種を背負っているポケモンがいた。

 

「いや、あぁ」

 

「カゲッ⁉︎カゲカゲカァァーッ‼︎カゲカゲ‼︎クァーッ‼︎⁉︎」

 

「⁉︎ヒッポ⁉︎どうした⁉︎」

 

ヒッポはいきなり興奮した様子でレッドのズボンを引っ張って何かを伝えようとしている。

ヒッポは右手でレッドのズボンを引っ張り左手で何かを指差して・・・

 

「あのポケモンがどうかしたのか?」

「カゲッ‼︎」

「おおっ⁉︎」

 

ヒッポはレッドのズボンのポケットからポケモン図鑑を取り出し緑のポケモンに向けてかざし青色のボタンを押す。

 

「カゲッ‼︎」

「ん?」

 

ヒッポが図鑑の画面をレッドに差し出す、レッドは中腰になってそれを覗き見る

 

No.1 フシギダネ

たねポケモン

タイプ くさ・どく

高さ 0.7m

重さ 6.9kg

生まれた時から背中に植物の種があって少しずつ大きく育つ。

 

「フシギダネ・・・あぁぁぁぁぁっ‼︎‼︎」

 

レッドがバッと顔を図鑑の画面からフシギダネの方に移す。

フシギダネというポケモンはオーキドの研究所から逃げ出しオーキドがレッドに捕獲をお願いしたポケモンだ。

 

「えぇと・・・そのフシギダネはどこで捕まえたんだ?」

 

先程のレッドの叫び声に驚いていた少女にレッドは恐る恐る問いかける。

もしかしたら普通に野生で捕まえたのかもしれないからだ。

すると少女は・・・

 

「えぇと・・・昨日、トキワシティでポッポの3匹に襲われてたのを助けたら懐かれて・・・でもゲットしようとモンスターボールを投げてもボールがこの子を拒否するから誰か他の人のポケモンなんだと思うんですけど」

 

ービンゴ‼︎

 

レッドはそう確信した。

モンスターボールがポケモンを拒む理由はただ一つ、そのポケモンが既に他人のモンスターボールに入っている場合だけだ。

モンスターボールは捕まえたポケモンにマーキングをつける、そしてモンスターボールはそのマーキングがついたポケモンを拒否するプログラムが入っているため既に他人に捕まえられたポケモンはゲットする事が出来ないのだ。

 

「それじゃあ・・・」

 

ごそっとレッドが腰につけているベルトからオーキドから預かったフシギダネのモンスターボールを取ろうとすると

 

「ダネフシッ‼︎」

「⁉︎」

「カゲッ‼︎」

 

フシギダネがトレーナーの指示もなく“つるのむち”でレッドに攻撃してきた、ヒッポはさっきと同じように“ひっかく”で防御する。

 

「こらっ‼︎フシくん、どうしたの⁉︎」

「ダネダネフシフシッ‼︎‼︎」

 

「・・・・・・・」

 

ーこれは・・・

 

レッドは少し笑みを浮かべてフシギダネのモンスターボールをとる。

 

「君、名前は?」

 

「え、ブルー」

 

「君にこれを授けよう‼︎」

 

オーキドのモノマネをしながらレッドは言い放つ

 

「え?」

 

ブルーが受け取ったのは一つのモンスターボール。レッドの渡す際の変なテンションの物言いもあってブルーの表情に少し困惑と驚きが見える。

 

「フシギダネ・・フシくんのモンスターボールだ」

 

「え、じゃあこの子・・・」

 

「いや、俺のポケモンじゃないよ。そのフシギダネはオーキド博士の研究所から逃げ出したんだよ。俺はオーキド博士からその子の捕獲をお願いされただけ」

 

「いや、なら尚更・・・」

 

オーキドが世界的権威を持つ人だと知っているから抵抗が出来てしまったんだろう。少しミスったかなとレッドは一瞬思ったが話を続ける。

 

 

「フシくんにとってそれはベストな事かな?」

 

 

「え?」

 

「フシくんはもう君にすごくなついてる。俺には君とフシくんの間にはちゃんとした『絆』が生まれているのがわかるよ。その絆を断ち切るような恐れ多い事俺には怖くて出来ないよ。」

 

「それにトレーナーならポケモンが幸せになるような選択をするのは当たり前だろ?オーキド博士だってわかってくれるし大丈夫だって、な?」

 

スッともう少しブルー側にモンスターボールを持つ右手を差し出す。

 

「ありがとうございます・・・‼︎」

 

ブルーは感嘆の表情を見せながら慎重に慎重にボールを受け取る。

 

「敬語じゃなくていいよ。俺はレッドよろしく。」

 

「じゃあ、改めまして。私はブルー、よろしく。」

 

ー切り替えはやっ⁉︎

 

自分で言っときながらそう思うのはどうかと思うが、グリーンと比べるととても素直であると思い。同時に容姿についてもとても綺麗で可愛らしい感じてある。

 

「さぁ、この森をどうやって抜けようか」

 

「レッドはなんで正規ルートから外れたの?」

 

ーううむ・・・本当に切り替えの早い。

 

「ゴローニャの“だいばくはつ”に巻き込まれたんだ。」

 

「私はゴローニャから逃げてたら迷いました。」

 

「なんでトキワの森にゴローニャがいるんだよ・・・」

 

そう呟きながらレッドはキークをモンスターボールに戻して、お互い手持ちを一匹ずつ出したまま進んでいく。

 

 

 

 

 

 

ーレッドが僕の生まれた場所を旅している。

 

ーそこで道に迷っている。

 

ーこれなら僕は役に立てるだろうか・・・・・?

 

 

 

ー役に立てるわけないか・・・

 

ーレッドは僕を置いていくべきだ。

 

ーこんな役に立たないポケモン

 

ーレッドを傷つけるだけのポケモン

 

ー・・・もう僕の居場所なんてないのかもしれない。

 

ーもうレッドには頼れる仲間がいるんだ

 

 

 

ー僕とは違って・・・・・

 

 




ブルー 11歳

手持ちのポケモン

フシくん(フシギダネ♂)

⁇⁇⁇(⁇⁇⁇⁇⁇⁇)
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