INFINITE EVOLVE   作:00G

11 / 14
皆さんお久しぶりです。
4ヶ月ばかり更新が止まっていましたが、研修や何やら、後モチベーションの低下で中々執筆できませんでした。
久しぶりにやったEVOLVEでモチベーションは上がったことと時間が取れたので更新することができました。
エタることは絶対にしないつもりなので、今後とも宜しくお願いします。


StageⅡの脅威

アメリカのとある森の中。

 

 そこには緑や黒などの色のまだら模様をした服を着こんで武器を手にした人間が極力音を立てないようにゆっくりと前進する。

 

 彼らが纏う雰囲気には緊張と恐怖の色が表れていた。

 

 彼らが今行っている任務は衛星から記録された森の中で発光する現象の調査、及びモンスターの駆逐である。

 

 先日森の中で光が放たれるのをアメリカ大陸の上空を飛んでいた人工衛星が捉えたのだ。

 

 アメリカ政府はこれをモンスターが起こした現象と判断し、アメリカ軍の特殊部隊を派遣して対処しようというのだ。

 

 イギリス軍がモンスターの一体に重傷を負わせてこれを撃退した、という情報が全世界に渡ったため『モンスターは倒せる』という認識が広まった。

 

 倒せるというのになぜ我々は怪物の存在にビクビクしていなければならない、そういった考えが芽生えたのは良いことだったのか悪いことだったのか。

 

 少なくとも、人間たちが絶望しきることはなかったため良いことなのだろう。

 

 彼らは薄暗い森の中をゆっくりと進み、ヘルメットに取り付けられた暗視装置越しに周囲を警戒する。

 

 もっとも、今この森にいるのは地上にいる彼らだけではないが。

 

 ガササッ、と草むらから音がしたため、全員がアサルトライフルの銃口を音がした草むらに向けていつでも発砲できる体勢に移る。

 

 草むらはより一層音を大きくし、葉っぱの揺れが大きくなる。

 

 何かいる。

 

 嫌でもわかるその状況に、特殊部隊のメンバーはいつでも引き金を引けるように指の力を強める。

 

 そして、ついに草むらの中から音を出していた犯人が現れた。

 

 黄色い恐竜のような体。口元に垂れ下がる触手。

 

 大人しそうな小さくて丸い目をした生物『Mammoth Bild(マンモスバード)』は、見たこともない存在である彼らを興味深そうに見ていた。

 

 しかも4体。

 

 4体のMammoth Bild(マンモスバード)はフンフンと鼻を鳴らしながら近づいてくるが、彼らにとっては今非常に邪魔な存在でしかない。

 

「シッシッ、あっちに行くんだ!」

 

 何とかしてMammoth Bild(マンモスバード)を追い返そうとするが、逆にMammoth Bild(マンモスバード)は興味をそそられゆっくりと近づいてくる。

 

 そして、1発の銃声と共にMammoth Bild(マンモスバード)の1体が倒れた。

 

 残ったMammoth Bild(マンモスバード)たちは森に響いた銃声に驚いてあちこちを駆け回り、森の奥へと消えていってしまった。

 

『ちんたらしてるんじゃないよ』

 

 耳に装着した通信装置から馬鹿にするような女の声が聞こえた。

 

 何も巨大生物討伐任務には銃を持った歩兵だけというわけではなく、空にはIS部隊だって控えている。

 

 歩兵がモンスターをあぶり出し、IS部隊で総攻撃する。

 

 これが本来の任務の目標なのだが、こちら側の存在が相手側に知られていない、つまり奇襲が成功してこそ真価を発揮する内容であるため先程の銃声で台無しになった。

 

 もっとも、勝手に銃を撃った女はIS部隊を指揮するリーダーにお叱りを受けたのだが、銃声が息を潜めていたものたちを誘い出した。

 

 ――コアアアア!

 

 ――ギョアアア!

 

 森のあちこちから鳥とは似ても似つかぬ声が鳴き渡り、謎の生物の大合唱が行われる。

 

 ほどなくして木々の間から声の主であろう黒い影が現れた。

 

 それはトカゲのような顔をしたエイのような奇怪な生物だった。

 

 前肢はあるが後肢にあたる部分には何もなく、後肢が無い代わりに尻尾から繋がった翼状の腕が1対前肢の肩にあたる部分に存在していた。

 

 エイのような生物の名前はPhantom(ファントム)といい、群れで行動する肉食性の生物である。

 

 Phantom(ファントム)たちは特殊部隊の周りをぐるぐると飛び回りながら威嚇するように何度も鳴き声をあげた。

 

 空からはすでに発砲音とPhantom(ファントム)たちのと威嚇と悲鳴の鳴き声が聞こえてくるため、空にも複数のPhantom(ファントム)たちが飛び回っているのだろう。

 

 もはや隠れることもできなくなり、特殊部隊のメンバー全員は自分たちの周りに飛んでいるPhantom(ファントム)へと攻撃しながら後ろへ後退し始めた。

 

 数体のPhantom(ファントム)が銃弾に当たって地面へと墜落したことを切欠に、人間たちとPhantom(ファントム)たちの戦闘が開始された。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 人間たちとPhantom(ファントム)たちが戦闘を行っている場所から1kmほど離れた場所で、第2形態に移行していたKraken(クラーケン)はつい先程仕留めた Canyon Strider(キャニオンストライダー)3体を捕食していた。

 

 人間よりも逞しく生きていたCanyon Strider(キャニオンストライダー)Kraken(クラーケン)の腹を満たし、それなりの外皮を獲得できる。

 

 しかし、森の奥から聞こえてくる銃声がKraken(クラーケン)の鼓膜を刺激した。

 

 本来なら逃げ隠れするのだろうが、生憎このKraken(クラーケン)にとっては外敵である人間が邪魔で仕方がない。

 

 銃声以外に、Kraken(クラーケン)が捕食した獲物のおこぼれを貰うPhantom(ファントム)の声も聞こえる。

 

 少なからずPhantom(ファントム)とは敵対しておらず、むしろ利害の一致で一緒に行動(Phantom(ファントム)たちが一方的についてきている)している。

 

 Phantom(ファントム)がどうなろうとKraken(クラーケン)には関係ないが、戦力にもなるPhantom(ファントム)がいなくなったらこちらを守るものがいなくなる。

 

 それは避けたいことである。

 

 Kraken(クラーケン)Canyon Strider(キャニオンストライダー)を捕食し終えると、己の聴覚と嗅覚を便りに離れた場所で戦っている人間の下へと足を動かした。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「このまま後退する! 負傷者は早く下がれ!」

 

 激しく銃声が鳴り響く中で、歩兵部隊の隊長らしき男性が銃声に負けない声量で部下へと指示を出す。

 

 歩兵部隊のメンバーは明らかに人数が減っており、少し離れたところには何かに群がるPhantom(ファントム)がいる。

 

 群がるPhantom(ファントム)の隙間からボロボロに破れた迷彩柄の布が見えるため、今まさに歩兵部隊のメンバーの一人がPhantom(ファントム)に喰われているのがわかる。

 

 人間たちの数は減っているというのに対してPhantom(ファントム)の数は減っている様子が全く感じられない。

 

 正確に言うと数は少しだけ減っているのだが、森の奥からどんどん飛来してくるため減っている実感がわかないのだ。

 

「コアアアア!」

 

「うわああ!」

 

 そしてまた一人、Phantom(ファントム)に飛び付かれた。

 

 Phantom(ファントム)が首筋に牙をたてようと口を開いて襲いかかるが、Phantom(ファントム)に張り付かれた男は急いでPhantom(ファントム)の首を掴んで噛みつかれないよう抵抗する。

 

 もちろんPhantom(ファントム)も男の手を振りほどいて襲いかかろうと暴れ始めた。

 

 仲間たちはその男を助けようとするが、飛び回るPhantom(ファントム)がそれを邪魔する。

 

 銃で助けようとも激しく暴れているせいでPhantom(ファントム)ではなく男を誤って撃ってしまいそうだったため、下手に助けることができずにいた。

 

 男は必死に抵抗するが、Phantom(ファントム)の方が力が強かったらしく開いた顎が少しずつ男の首に近づいていく。

 

 あと少しで首に牙が突き刺さる、というところで男に襲いかかっていたPhantom(ファントム)は空からやって来たタイガーストライプの機体に掴まれ、男から引き剥がされた。

 

 折角食事にありつけると思っていたPhantom(ファントム)は怒りを露にして飛びかかろうとしたが、返ってきたのは金属の拳だった。

 

 金属の拳がPhantom(ファントム)に直撃すると、Phantom(ファントム)の体は粘土のように形を変えて吹き飛んでいった。

 

「早く下がれ! ここはオレたちが引き受ける!」

 

 タイガーストライプの機体に乗った女性、アメリカ代表IS選手『イーリス・コーリング』は愛機である『ファング・クエイク』を動かして次々と来るPhantom(ファントム)に攻撃を始めた。

 

 右腕を突き出し、ファング・クエイク腕部内の対巨大生物用に追加された火炎放射機で飛び交うPhantom(ファントム)を焼き払っていく。

 

 そこに上空にいた残りのIS部隊も参戦して、Phantom(ファントム)を撃ち落としていく。

悲鳴をあげながら次々と撃ち落とされ、数を減らしていくPhantom(ファントム)

 

 そのお陰もあってか歩兵部隊は負傷者を連れて撤退していき、まだ動けるメンバーは残ってIS部隊から少し離れたところで攻撃に参加した。

 

「さっさと死になさい!」

 

 IS部隊の一人が羽を撃ち抜かれて飛べずにバタバタと地面の上で暴れるPhantom(ファントム)を近接ブレードで突き刺す。

 

 近接ブレードで刺し貫かれたPhantom(ファントム)はか細い悲鳴をあげてピクリとも動かなくなり、絶命したPhantom(ファントム)を見て女は嬉しそうに笑顔を見せる。

 

 男たちが苦戦したPhantom(ファントム)に対して楽に勝てたことで、自分は男よりも強いと認識できるからだ。

女は近接ブレードに突き刺したPhantom(ファントム)を、襲いかかるタイミングを伺いながら飛ぶPhantom(ファントム)の群れに向かって投げ捨てた。

 

 飛び回っていたPhantom(ファントム)は飛来してくるそれを避けると、怨めしそうな唸り声をあげた。

 

 女は近接ブレードを拡張領域(バススロット)内に収納し、新しくアサルトライフルを展開する。

 

 Phantom(ファントム)は一斉に飛び立ち、女へと襲いかかるが女は冷静にPhantom(ファントム)に狙いをつけるとアサルトライフルの引き金を引いた。

 

 放たれた弾丸はPhantom(ファントム)の翼の飛膜を突き破り、肉を穿ち、骨を砕いた。

 

 Phantom(ファントム)たちは断末魔の悲鳴をあげ、体中から赤い血を撒き散らし次々と墜落していった。

 

 他の場所でもPhantom(ファントム)たちが次々と血を撒き散らしながら地面へと落下していく。

 

 先程まで沢山いたPhantom(ファントム)の群れは、気づけば数匹程度の数にまで減っていた。

 

 IS操縦者は今だ余裕を持った状態で健在。

 

 歩兵部隊も今では一度崩れかけたが、持ち直してPhantom(ファントム)迎撃に加わっていた。

 

 どんどん数を減らしていくPhantom(ファントム)を前に、アメリカ軍特殊部隊の士気も着々と高まっていった。

 

 しかし、Kraken(クラーケン)用に準備していた弾薬はPhantom(ファントム)への攻撃に使ってしまい、このまま大規模な戦闘をするには少々心許なくなってしまった。

 

 イーリスもその事を理解しており、数が少なくなったPhantom(ファントム)を放置して撤退する指示を出す。

 

 イーリスの指示に従い、IS部隊も歩兵部隊も引き金に指をかけるのを止めて撤退行動を取り始めた、という時に空から黒い影が落ちてきた。

 

「ヴオオオオオオ!!」

 

 黒い影、第2形態Kraken(クラーケン)は歩兵部隊のメンバーを数人踏み潰すと咆哮をあげながら青白い電流を纏わせた肩の触手を振り回し、近くにいた人間たちを吹っ飛ばした。

 

 IS部隊も、歩兵部隊もいきなり空から現れたKraken(クラーケン)へすぐに反応することはできず、そんな彼らをに構わずKraken(クラーケン)は両腕両足を左右に広げて天を仰ぐように顔を空に向けた。

 

 すると、Kraken(クラーケン)の体から青白く発光する粒子がKraken(クラーケン)を中心に円形状に広がるように発せられた。

 

 その青白く発光する粒子はパリパリと電気を発しながらしばらくの間、空中を漂い続けた。

 

 明らかに何かただならないことをしようとしているのがヒシヒシと伝わってくる。

 

 全員は急いでKraken(クラーケン)から離れようと体を動かした。

 

 しかし、何人かが粒子の漂う範囲内にいる状態で、Kraken(クラーケン)の体からバチィッ!!という音を立てながら雷が横に走った。

 

 Kraken(クラーケン)の体から放たれた雷は、粒子の範囲内にいたISと歩兵たちを襲った。

 

 ISを纏っていた女たちはISのシールドバリアのお陰で何とか助かることが出来たが。ISを纏っていない歩兵たちは雷によって感電死させられた。

 

 Kraken(クラーケン)が体から発生させる電導性の非常に高い粒子を経由させ、Kraken(クラーケン)の発電器官で発電させた高電圧高電流の雷を有機生命体へと放つ『電磁波』。

 

 放った雷の威力が高いことが、黒焦げに焼けた歩兵たちの姿でわかる。

 

 ISも無事だったというわけでもなく、シールドバリア越しにKraken(クラーケン)から放たれた雷がISに大きなダメージを与え、バリアシステム、PICなどのIS制御機能がうまく働かなくなってしまった。

 

 ISによるパワーアシストが働かなくなり動きが鈍くなったIS操縦者にKraken(クラーケン)は電流を纏わせた触手で掴み上げた。

 

 シールドバリアがまともに作動していない状態のIS操縦者を触手で掴み上げたKraken(クラーケン)は、何の躊躇いもなく電流を流してIS操縦者を感電させた。

 

 精密機械でもあるISがKraken(クラーケン)が放つ電気に耐えられるはずもなく、装甲のあちこちから火花を散らした。

 

 一瞬にしてISを破壊され、防御手段もなくなってしまったIS操縦者は歩兵と同じように感電死によって黒く焼け焦がされた。

 

 Kraken(クラーケン)は感電死させたIS操縦者を投げ捨てるとKraken(クラーケン)はまだ健在な歩兵部隊に狙いをつけた。

 

 口腔内にエネルギーを溜め、首を少し後ろに引いていつでも旋風を発射できる体勢に移る。

 

「させるかよ!」

 

 そして逃げる歩兵部隊に向けてKraken(クラーケン)が旋風を放とうとした瞬間、横から襲った衝撃によって旋風は歩兵部隊とは離れた場所に放たれてしまった。

 

 Kraken(クラーケン)は狙いを歩兵部隊から殴って旋風の発射を邪魔したイーリスへと変え、口から雷撃地雷を放つ。

 

 しかしそれもファング・クエイクの火炎放射機によって破壊された。

 

 Kraken(クラーケン)は、今度こそ目の前の敵が自分を殺す可能性があると判断し、触手から大量の青白く光る稲妻を迸らせ威嚇するように咆哮を上げた。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「こちらファルコン。 もうすぐ戦闘エリアにつく」

 

 Kraken(クラーケン)と特殊部隊が戦闘している場所から数km離れた所に、編隊を組みながら4機の軍用ヘリ『AH-64アパッチ』が空を飛んでいた。

 

 Kraken(クラーケン)と戦闘を開始した部隊が応援として呼び、今は指定された場所に急行しているのだ。

 

 指定された場所に近づいていることを無線機でKraken(クラーケン)と戦闘している部隊に伝えるが、無線機から返ってくるのはノイズ音のみ。

 

 一瞬、脳裏を過った全滅しているという嫌な予感を振り払いながら、AH-64アパッチを進ませる。

 

 しばらく飛行すると、前方の森の中に1本の雷が雨雲もない晴天の空から落ちた。

 

 その場所が今戦闘をしている場所だと判断し、いつでも攻撃できるよう操縦桿のミサイルを発射するためのボタンに指を添える。

 

 だが、ふと、ボタンに指を添えた彼は、妙に静かだと思った。

 

 相変わらずAH-64アパッチのローター音が響いているが、それでも静かなのだ。

 

 3機分のローター音がしないのだ。

 

 慌てて操縦席から周囲を見渡しても一緒にいたはずの3機のAH-64アパッチの存在が確認することができなかった。

 

 レーダーを確認するも、周囲にはAH-64アパッチの反応はおろか自分が乗っているAH-64アパッチ以外のものの反応さえなかった。

 

 操縦者は他のAH-64アパッチが何の前触れもなく忽然と消えてしまったことに、言い知れない恐怖を感じ取った。

 

 ここで、彼はふとある単語が頭の中を過った。

 

 『神隠し』。日本に伝わる人などが忽然と消息を絶つ現象のことを指す、世界有数にあるオカルト事件を代表するものの1つである。

 

 失踪した人たちは今だ見つかっておらず、生きているのか死んでしまっているのか、それすらわからない。

 

 その時、ゾクリと、背筋に悪寒が走った。

 

 レーダーには何も映らず、周囲を見渡しても何も見えない。

 

 それでも、心臓を鷲掴みしされ、首筋にナイフを突きつけられたかのような、鋭く冷たい重圧が彼を襲う。

 

 まるで目に見えない存在が、『いつでも殺せるぞ』と言っているかのように。

 

 恐怖のあまり奥歯がガチガチと音を鳴らしながら震え、体の震えが止まらなくなる。

 

 今すぐこの恐怖から逃れようと、命令を無視して機体を反転させて作戦基地へと戻ろうとする。

 

 そして、機体を反転させて戻ろうとした時、目の前には全てを呑み込む闇が広がっていた。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 一方、Kraken(クラーケン)と戦っていた特殊部隊は明らかに数を減らしていた。

 

 今では歩兵部隊は元いた人数の2割ほどしかおらず、弾薬も底を尽きかけていた。

 

 IS部隊はさしたる損害はないが、シールドエネルギーと弾薬が減っておりこのまま戦闘を続けるのが厳しい状態になっていた。

 

 だがKraken(クラーケン)も状況は同じで度重なる攻撃により外皮を失い、身体中が傷だらけで血が滴り落ち、満身創痍といった状態だった。

 

 Kraken(クラーケン)としては敵に大きな損害を与えたことは理解しているので、このまま撤退して失った外皮を取り戻して傷を癒したいところなのだが、ファング・クエイクを駆るイーリスが逃げ道を遮るように火炎放射機の炎を放つせいで逃げようにも逃げられずにいた。

 

 このままでは死んでしまうことを理解しているKraken(クラーケン)は暴れながら電気を放出するが、それは残念ながら誰にも当たることなく消えてしまう。

 

 特殊部隊側もここでこの化け物(Kraken)を逃がせば新たな犠牲者が出てしまうと考え、何がなんでもここで止めを指そうと攻撃を続けた。

 

「ロケットランチャー! いくつだ!?」

 

 地上でKraken(クラーケン)を抑えていたイーリスが怒鳴るように空からKraken(クラーケン)を攻撃していたIS操縦者たちに弾薬が残っているか確認する。

 

 空にいたIS操縦者たちは各自拡張領域(バススロット)よりIS用のロケットランチャーを展開して照準をKraken(クラーケン)へと合わせる。

 

 イーリスは味方がロケットランチャーを構えたのを確認すると、Kraken(クラーケン)が振るう電気を纏った触手を回避してKraken(クラーケン)の顔を思いっきり殴り付け、Kraken(クラーケン)から離れた。。

 

 満身創痍の状態で頭部を殴られたKraken(クラーケン)は衝撃で目眩を起こしてその場でたたらを踏んだ。

 

 ロケットランチャーを持ったIS操縦者たちはよろけるKraken(クラーケン)に照準を合わせる。

 

 そして引き金を引いて砲弾を発射しようとしたとき、ロケットランチャーを構えたIS操縦者たちを覆うように黒い影が現れた。

 

 ふと空を見上げると、歪に凹んだ巨大な金属の塊が2つ、真っ逆さまに落下してきていた。

 

 IS操縦者たちは砲弾を発射するのを中断し、急いで金属の塊を避けるように離れる。

 

 金属の塊はそのまま森の中に落下し、うるさい金属音を響かせながら爆発した。

 

 落下してきていた金属の塊、それは横にアメリカ合衆国の国旗が描かれており、形から軍用ヘリであることがわかった。

 

「あれって、作戦基地のヘリ?」

 

 IS操縦者たちの一人が落下してきていた金属の塊を見てポツリと呟く。

 

 よく見れば、金属の塊にはチェーンガンやミサイルが取り付けられており、飛び散った破片の中にはテールローターが存在していた。

 

 だが今は大破した軍用ヘリに見とれている場合ではなく、Kraken(クラーケン)を仕留めなければならないため軍用ヘリのことは一旦置いて再びロケットランチャーを構える。

 

 ヒュンッ、と横から風を切る音がした。

 

 ふと気になり視線を横にすると、隣にいたIS操縦者が首のない状態でロケットランチャーを構えていた。

 

「えっ?」

 

 突然のことに思わず茫然となりロケットランチャーの照準をKraken(クラーケン)に合わせることをやめてしまう。

 

 ――シャアァァァ……

 

「っ!?」

 

 突如後ろで蛇のような声がして弾かれるように後ろへ振り向くが何もいない。

 

 ――シャアァァ……

 

 今度は左で声が聞こえ、急いで振り向いても何もいない。

 

 ――シャアアァァァ……

 

 ――シャアァ……

 

 ――シャアアァァァァ……

 

 次から次へと何かの生物の声があちこちから聞こえてくるが、その声の持ち主はどこにもいない。

 

 得たいも知れない何かを警戒して、IS操縦者は近接ブレードを展開する。

 

 ――シャアアァァ……

 

 ――シャアァァ……

 

 ――シャアアァァァ……

 

 何かの声は段々大きくなり、それに比例するようにIS操縦者の恐怖心が大きくなっていく。

 

「シャアアァァァァ」

 

 そして、真後ろで、はっきりとした声がして弾かれるように後ろを向く。

 

 振り向くと同時に近接ブレードを振り下ろしたが、呆気なく弾かれた。

 

 IS操縦者は至近距離でもいいからロケットランチャーを撃とうとしたが、それよりも速く目の前の何かが口の中に鋭い爪を無理矢理ねじ込んだ。

 

 無理矢理ねじ込まれたせいで前歯が折れ、爪が上顎を突き抜け耐え難い激痛が襲う。

 

 何かはまた新しく口の中に爪をねじ込み、そのまま勢いよく顎を引き裂いた。

 

 他のIS操縦者たちは下で暴れるKraken(クラーケン)を相手にしていたせいで上で起こっていた異常に気づくのが遅れ、知らぬ間にIS操縦者が二人殺されていたことに驚愕する。

 

 上顎を取られたIS操縦者の死体を無造作に何かは放り投げると、胸についた大きな傷跡を見せびらかすように腕を広げ、吼えた。

 

「ジュアアアアアアアア!!」

 

 亡霊Wraith(レイス)。この戦いに乱入す――。




第2形態Kraken(クラーケン)

雷撃   ★
雷撃地雷 ★
電磁波  ☆☆
旋風   ★☆

今回のKraken(クラーケン)の技振りです。
次話ではWraith(レイス)のステータスを更新します。

後知らぬ間に赤評価になっていたことにビックリしました。評価ありがとうございます。
兵器募集、モンスター募集もまだ行っているのでどんどん送ってくれたら嬉しいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。