マクロス-Sword-   作:星々

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12-二本の剣、介入

「聞こえているか。私だ」

 

スグミはVF-27γに通信を繋げた。

 

『また会ったな、女。スグミ・ドリム、という名前らしいが?』

 

応答が早かった。

元から会話する気でいたと考えられた。

 

「ミストレーヌから聞き出したか」

『さぁな。俺に勝てば、わかるかもしれない』

「フッ…ようやく人間らしくなったようだな…!」

 

1on1のドッグファイトが始まった。

この2人、スグミ・ドリムとサテル・ジェオのドッグファイトは幾度となく繰り広げられてきた。

だが今度は機体性能の差が大きい。

VF-27とVF-19でもそれなりの性能差はあったが、今回はそれ以上である。

 

『VF-19の修理を待たずに出てきたこと、後悔させてやろう』

「よく言う。貴様も、ミストレーヌに手を出したこと、後悔させてやる」

 

口調は強気のスグミであったが、戦闘は総括的に防戦一方にならざるを得なかった。

執拗に背後を取ってくるVF-27γを物足りないブレイクで振り切ろうとするも、まだ慣れない運動性能やその挙動に、スグミは実力を十分発揮できないでいた。

一方のサテルは、手応えの落ちた宿敵に容赦なく弾丸を撃ち込む。

まだ決定打となるほどの被弾はないものの、徐々にその傷が増えていく。

スグミは機体を急転換させようと操縦桿を思い切り倒した。

VF-19ASでは得意としていた、機体を横滑りさせるあの機動だ。

しかし、

 

「クッ…! やはり運動性能が足りないか」

 

VF-11Cはただ左旋回しただけとなった。

いや、少々無茶な操縦である故、機体バランスを崩し、致命的な隙を晒してしまった。

 

『つまらんな』

 

減速したVF-11Cの背後からバトロイドのVF-27γが取り付き、右肘を機体中央に叩き込んだ。

強い衝撃がコックピット揺さぶるが、スグミは歯を食いしばって耐え、バトロイドに変形、踵を振り上げて対抗した。

しかしそれは、VF-11系の変形速度では素早く叩き込むことが困難であり、現にVF-19ASの時よりも断然回避しやすい攻撃となってしまった。

 

「遅いか…」

 

VF-27γは半身になってそれを躱し、左脚でVF-11Cの右側腹部にあたる部分に蹴りをいれた。

弾き飛ばされたVF-11Cは地面スレスレでガウォークに変形して何とか持ち堪えるも、頭上からはアサルトナイフを振りかざすVF-27γが落下してくる。

 

(ピンポイントバリアも使えない、C型には銃剣もない…だからといってナイフで受けるのは危険か)

 

そう考えているうちに、VF-27γはアサルトナイフを振り下ろした。

バトロイドに変形、地面を転がって直撃は回避したものの、左腕が肩から斬り離されてしまった。

 

「クッ…!」

 

バランスを保とうと、生きている右腕をガンポッドごとパージし、スラスターを思い切り噴かせて砂煙を上げながら距離を取る。

仰向けの状態から体重を一気に前に倒して立ち上がる。

しかしその直後、砂煙を切り裂いてアサルトナイフが投擲された。

それはVF-11Cの頭部に直撃し、カメラ、センサー類を破壊した。

 

「無理か、これ以上はッ!」

 

頭部と両腕を失ったVF-11Cは、ファイターに変形して再び空中戦に移行しようとした。

しかし、サテルはこれ以上戦闘を続けるつもりは無かった。

 

『もう、終わりにする』

 

ビームガンポッドを横に二分割、ハイパーグレネードモードで照準を合わせる。

白いルシファーが、不気味にサンダーボルトを睨む。

そして、強力な光弾が放たれた。

 

「…‼︎ 間に合わ…………!」

 

 

 

閃光が空を染めた。

 

 

 

 

 

 

勿論、その光景は、全員が見ていた。

特にジーナは、司令塔として常に様子を観察していた。

 

「スグミ…さん………?」

「おいおい…ウソ…だろ……」

 

敵を前にして呆然とするジーナとバルト。

その時、ジーナのVF-25Aに、新たな反応を示す光点が現れた。

 

「あ、新手……!?」

 

ジーナの言葉に、全員がその新たな反応のあった方向を見る。

それは、閃光の奥から飛んでくるようだった。

傾きかけた太陽を背に、そのシルエットが浮かんでくる。

 

「あれは…!?」

「YF-29B……!? YF-29の本国仕様が、なんでこんな所に!?」

 

バジュラ戦役での最終戦線にはじめて投入され、その後は新統合軍でも配備されるようになった高性能機、その本国仕様。

それが今、戦場に飛来した。

青と紺で染められた機体だ。

 

『…………こちら、"オーディン1"。これより、貴官らを援護する』

 

青年の声。

そうだけ言うと、彼は戦場に飛び込んでいった。

機体性能もそうだが、それよりも巧みで繊細な操縦テクニックで、目にも留まらぬ早さで次々と敵を撃破していく。

その機体には、乱雑に上書きされた赤いバツ印と、その下に"ハーヴァマール"の文字が刻まれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………墜ちていない…」

 

サテルは確信していた。

確かに、自分が放ったビームは直撃していた。

だが、あの女は死んでいない、と。

 

「生体反応が2つ…助けられたか」

 

閃光が収まり、爆煙が晴れる。

そして姿を現したのは、ボロボロのVF-11Cを抱えた、"聖剣"の名を冠するバルキリー。

 

「…!? YF-29だと!? 反応はあそこのパーツィバルだけだったはず!」

『そういうとこよ、機械の甘さは』

 

スグミではない、女の声。

その全容を露わにした、YF-29"デュランダル"。

白いボディに赤いワンポイントと深紅の翼が印象的だ。

物凄い覇気と共に、姉妹機であるVF-27γに対峙する。

 

 

 

 

 

 

 

 

YF-29Bは前衛に回っていたバルトの元へ合流した。

 

「安心しろ、スグミ・ドリムは無事だ」

 

次々と湧き出てくる、VF-171に冷静に対処していくYF-29B。

その動きは、何の違和感もなくバルトのVF-25Fをフォローしていた。

 

「お前は、お前らは一体……」

「ただの通りすがりのバルキリー乗りだ。それも、腕利きのな」

「その機体…ハーヴァマールって、ウロボロスで覇権握ってたあのハーヴァマールか?」

 

バルトはミサイルとガンポッドで弾幕を張りつつ積極的に懐を狙う。

接射するように至近距離でガンポッドを数発撃ちこむと、素早く次の目標へ目を向ける。

そんな中でも、しっかりとYF-29Bを観察していた。

 

「2年前にS.M.Sウロボロス支社に負けて解体されたがな……俺はその"生き残り"だ」

「パーツィバルに乗る男だ、かなりの高官だったんじゃないのか?」

「昔の事をウダウダと喋る気はない。まずはあの鳥の進行方向側へ回るぞ。進路を変える気だろ?」

「あ、あぁ。わかった!」

 

ファイターの変形したYF-29Bに続くようにVF-25Fを変形させると、彼の後を追った。

大型な割に変形速度は速く、加速性能もVF-25Fを上回っていた。

姉妹機ではあるが、やはりYF-29Bの性能には眼を見張るものがあった。

 

「それとそこのVF-25Aも、こちらと合流してもらいたい」

「え、は、はい!」

 

アーマードを纏ったVF-25A、ジーナ機と合流すると、未だに進みを止めないサイコ・バードの正面に立ちふさがった。

 

「何をする気だ?」

「ありったけの火力を集中させる。このサイズならば、この3機の火力でなんとかなるだろう」

 

ガウォークに変形して速度を同期させる3機。

YF-29BはMDEビーム砲を目標に向け、ミサイルの全砲門を開いた。

続いてVF-25FとVF-25Aも同じように一斉砲火の用意をする。

 

「よし、撃て!」

 

青年の合図と共に、ミサイルとビームの嵐が巻き起こった。

邪魔してくるバルキリーもいたが、その弾幕に圧倒され手も足も出せなかった。

火力が一点に集中した。

ミサイルを喰らうたびに少しずつではあるが身体が傾いていくのが見て取れた。

効いている。

弾幕が止んだ頃には、ほんの少しではあるが進路がズレた。

だがこの少しのズレのお陰で、都市主要部への直撃は回避できた。

 

「これで、任務完了だろ? 俺はもう一人の通りすがりの援護に向かう。お前たちは指揮官に指示を仰げ」

 

目的を果たしたYF-29Bのパイロットは、素っ気なくそう言うと、すぐにその場を飛び立った。

 

「感謝する!」

「感謝しますっ!」

 

2人のこの声は聞こえていたのか。

返事はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サテルのVF-27γと対峙していたYF-29は、攻撃を躱すので精一杯だった。

何せその腕には、満身創痍のVF-11Cが抱かれているのだ。

 

「スグミ・ドリム、聞こえますか! ダメね、気を失ってるわ」

 

必死に問いかけるが、意識を手放したスグミが返事をすることはなかった。

 

「こういうとこあるのよね、この子…」

 

パイロットはそう呟くと、敵の背後から接近する機体に気が付いた。

 

「ちょっと乱暴しちゃうけど、ごめんなさい!」

 

YF-29はVF-11Cを上へ放り上げた。

そしてアサルトナイフを握り、ガウォークで敵に突貫した。

ミサイルを一斉に放って盾にしつつ、真っ直ぐにVF-27γに斬りかかる。

それを仰け反って回避したVF-27γは、器用にナイフを蹴り上げてYF-29の手から離すと、頭頂部のビーム機銃で牽制しながらファイターに変形した。

 

『助けたかと思えば投げ捨てるとは、正気か貴様』

「頼れる仲間がいるから、心配ないの」

 

VF-27γを追おうとYF-29もファイターに変形。

その時、ダークブルーのYF-29Bとすれ違った。

先ほどバルトたちといた機体だった。

 

「お願い!」

「言われなくても、それくらい読み取れます」

 

一瞬交わされた会話。

その数瞬後には、バトロイドで地上を滑りながらVF-11Cを受け止める一方と、VF-27γとドッグファイトを繰り広げる一方に、それぞれ違う行動に移っていた。

 

「逃がさない!」

『なるほどな』

 

左右に大きく機動を動かしながら時折ビーム機銃を撃ち、YF-29を振り切ろうとするVF-27γ。

しかしYF-29は複雑な機動で敵を翻弄しながら、その背中から離れなかった。

45度バンクから斜上方宙返り、所謂シャンデルで反撃に出る。

しかし、YF-29は外翼エンジンポッドを前方斜下方向に回転させ、脚部にあたるエンジンも同方向へ偏向する。

するとなんと、YF-29は方位を維持したまま高度を合わせながら後退するという、可変戦闘機離れの機動を見せた。

元々大気圏内の運動性能に利がある前進翼と、外翼エンジンポッドの可変ギミックを利用し、フォールドウェーブシステムによる熱核エンジンの大出力があってこそ実現できる動きだった。

 

『何!?』

「フッ…機械でも驚くのね。まぁ脳は生身の人間だから、当たり前ね」

 

YF-29はバトロイドに変形すると、左の拳を握りしめた。

シャンデルでスピードの落ちたVF-27γを捉えるのは、最早簡単なことだった。

 

「私の()を撃ったこと、後悔させてあげるわ」

 

 

 

 

 

 

 




どうも星々です!

あれ、負けちゃった!?
それもそうですよ、機体性能が違いすぎます←

それより気になるのは新たに登場した2人の介入者ですね
気になる発言もありましたが、彼らの正体はいかに…
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