INFINITE STRATOS ~業火の腕で掴むもの~   作:Mr. P.C.

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既に作ってある小説を早いとこ更新したいのですが、それに並行して新たな話も作ってしまう・・・。このハイペースはいつまで続くのか・・・。


第4話:日の侍、白の歌姫

「はい、これが神谷君の寮の部屋の鍵です。」

放課後、特にする事もなく今後のために校内を散策・・・してたら数人の女子グループに捕まり質問攻めにあった靖人は、突如来訪した山田先生に呼ばれて鍵を渡された。

「あ、ありがとうございます・・・。」

わざわざ渡しに来てくれた事と、質問地獄から解放してくれた事に靖人は感謝を述べた。

IS学園は全寮制だ。学生とはいえ、IS学園の生徒には各国から勧誘がよく贈られてくるため、学園側が生徒の保護を兼ねて始めた制度らしい。

「荷物は事前に靖人君が指定した物を自宅から持ってきてありますから、後で職員室に受け取りに来てください。それと寮の基本的な決まり事なのですが・・・。」

山田先生から寮の規則について説明される。寮の部屋は全て二人部屋。1年生寮の食堂の解放時間は6:00~8:00と19:00~22:00。各部屋にシャワーが完備され、大浴場もあるが・・・男子である靖人はまだ大浴場は使えない。部屋の掃除と洗濯は昼間のうちに従業員がやってくれるので心配する必要なし。消灯は23:00・・・との事だった。

「・・・分かりました。ありがとうございます。早速荷物を受け取りに行ってもいいですか?」

説明をしてくれた山田先生に再び感謝してから、靖人は聞いた。

「勿論いいですよ!では一緒に職員室に行きましょうか。」

山田先生が了承し、職員室へと向かう。先生からの「学校の雰囲気はどうか」「クラス代表戦に向けてどうするか」という質問に答えながら、靖人は先程の説明を思い出す。

(二人部屋、って事は僕以外に誰かいるって事か。・・・まぁ常識的に考えて一夏だろうけど。)

女子と同じ部屋なんてのは色々と問題がある。そんな事を考えているうちに靖人と山田先生は職員室にたどり着いた。

 

 

「・・・あ、ここだな。1025室。」

靖人と同じく山田先生から寮の部屋の鍵を受け取った一夏は、自分に割り当てられた部屋の前に立っていた。ドアに鍵を差し込み、解錠する。

そのまま扉を開き、中に入る。シャワー室、トイレの入り口がある短い通路を抜けると、部屋には大きなベッドが2つ並んでいた。

「凄いな。まるで高級ホテルのようだ・・・。」

2人部屋として考えても充分に広く、内装もかなり綺麗だ。さすが全世界のエリートが集まるIS学園だな、と一夏が感心していた時だった。

「誰かいるのか?」

急に聞こえた女子のくぐもった声。恐らく、通路のシャワー室に誰かいたのだろう。

(・・・ん?女子の声?シャワー室?)

嫌な予感がした一夏が恐る恐る振り返ったのと、シャワー室の扉が開いたのはほぼ同時だった。

「こんな格好ですまないな。同室になった者か。私は篠ノ之―」

「・・・ほう、き。」

シャワー室から現れたのは箒だった。先程までシャワーを浴びていたのだろう。髪は濡れ、バスタオル1枚しか身に纏ってなかった。よく鍛え上げられた、スタイルの良いボディラインが見てとれる。幼少の頃から続けている剣道の賜物だろう。

「「・・・・・・・・。」」

数秒の沈黙。はっと我に帰った一夏が慌てて目を背け、状況を理解した箒が顔を真っ赤にして悲鳴を上げた。

 

 

職員室で荷物(殆ど小説や参考書)を受け取った靖人は、寮の入り口付近の案内図で部屋の場所を確認していた。割り当てられた部屋は1014室。どうやら2階にあるようだ。

階段を上がり、廊下を歩く。奥の方にある部屋なので、歩く距離はなかなかの物だった。

少し面倒な部屋をひいてしまった、等と考えていた時、急に目の前の扉が勢いよく開いた。飛び出してきたのは・・・

「一夏?どうしたの、そんなに慌てて。」

思いっきり閉めた扉に背中を預け、肩で息をする一夏が、此方に気付き「よう・・・。」と挨拶する。何があった?

「いや、実はな―」

一夏が慌てて部屋を飛び出してきた経緯を靖人に説明しようとした時だった。

ズドン!という音と共に、扉から一夏の顔の真横すれすれに何かが突き出された。いきなりの出来事に唖然とする靖人。

(あれは・・・木刀!?木刀で木製の扉を貫通してる!?)

2度目の刺突。木刀の主は扉を挟んでいる一夏の頭を正確に狙っている。なんという剣豪だ。

「うぉっ!ちょっと待て箒!殺す気か!?」

幾度となく繰り返される突きを避けながら一夏が叫ぶ。

剣豪の正体が箒なのにも驚きだが、箒の攻撃を避けている一夏もかなり凄い気がする。

「なになに?」

「あ、織斑君に神谷君だ。」

「何で扉が穴だらけなの?」

騒ぎを聞きつけた周りの部屋の女子たちが集まってくる。部屋着だろうか、大抵の子達がかなりラフな格好をしていた。服の隙間から、肌や下着がちらついている。

「っ!?」

靖人は思わず目を反らした。

「ほ、箒さん。部屋に入れてください、お願いします。この通り。」

一夏もこの環境はまずいと判断したのか、扉の向こうの箒に対して合掌する。

数秒後、「入れ。」という言葉と共に扉が開き、一夏が部屋に転がり込んだ。・・・だから何があった。

「ねーねー神谷君、何があったの?」

急に声をかけられ振り向くと、ブラウスを羽織っただけの女子がいた。肌色の胸元が目に入る。ブラどこいった。

「!!!?!?!!?」

ゆでダコみたいに沸騰した靖人が超高速で顔を背ける。視界の端に、靖人の異変に気づいた女子が自分の姿に気付き、慌てて腕で体を隠すのが見えた。

「あぁぁぁごめん神谷君!!はしたない格好見せちゃって!」

彼女の言葉を皮切りに、周りの女子も自分たちのだらしない格好に気付いて部屋に隠れたり、服装を正したりしていた。

「あ、いや、その・・・。僕もよく分からないんだ!ごめんね!じゃあ僕は部屋に行くから!」

何とか言葉を紡ぎ、靖人はその場から走り出す。元々運動があまり得意でない事に加えて、先程見てしまった光景で1014室にたどり着いた頃には動悸が止まらなかった。

何度も深呼吸をして、心を落ち着かせる。そしていざ部屋に入ろうとした時に、ふとある事が靖人の頭をよぎる。

先程一夏は1025室から現れ、そして再び入っていった。つまり、一夏の部屋は1025室という可能性が高い。自分を除いた場合、この学園で唯一の男子である一夏が違う部屋。という事は・・・。

(ルームメイトは女子で確定って事!?)

先程のラフな格好の女子たちを思い出す。思春期の少年にIS学園は何という拷問を受けさせるのか。部屋割りを決めた人物の感性を疑う。

だが、こんな所でいつまでも立ち止まっているわけにはいかない。『虎穴に入らずんば虎児を得ず』だ。意を決して、靖人は扉を開いた。

 

 

瞬間、靖人の耳に入ってきたのは、美しい歌声だった。

 

 

ベッドに腰かけていた少女が歌っていたのは、『my favorite things』という歌であった。元々はミュージカル映画の劇中歌だが、日本では鉄道のCMでよく使われ、聴くと京都に行きたくなる。また、学生時代吹奏楽部だったという靖人の母、椿が所有していた数々のCDに、ピアノやサックスによってアレンジされた曲が入っており、よく耳にした事があった。

「・・・あれ、君って・・・。」

此方に気付いた彼女が立ち上がる。金色のストレートヘアーに、碧色の目。黒いTシャツにこれまた黒いホットパンツという、先程の女子たちにすれば遥かにましな格好に、靖人は少し安堵する。すらりと伸びた足がモデルのようでかなりカッコよかった。

「あ、はい。神谷靖人です。この度同じ部屋になりました。」

近づいてくる彼女に向かって軽く一礼する。

・・・顔を上げたら、鼻先が触れるんじゃないか、という位の近距離で、顔を覗き込まれていた。

「えっ!?ちょ、ちかっ」

「動かないで。」

顔を背けようとする前に止められてしまった。しばらくの間、見つめあう。心臓がばくばくと鳴り、額から汗が吹き出るのを感じた。今自分は、相当顔が赤くなっているんだろう。

20秒ほど経った頃だろうか、少女は目を閉じ、顔を離した。

「君って、結構可愛い顔してるね。」

「か、かわっ!?」

動揺して靖人が後ずさる。後方にあった壁に頭をぶつけ、思わず「いっ!」という情けない声をあげる。そんな靖人の慌てふためいた姿を見て、少女はクスクスと笑っていた。

「分かりやすい反応するね、君。結構うぶだなぁ。」

「うっ・・・。」

痛い所を突かれた。今まで勉学に励んでいたため、女子と友人にはなってもそこから親密な関係になった経験は全く無かった。先程のように、女子にあれだけ近づかれたり、あそこまで肌を見たりした事などなく、どうも緊張してしまう。

中学で好きな人ができたが、恥ずかしさから想いを伝えられず、結局そのまま離れてしまった苦い経験もしている。

「ごめんね?ちょっとからかってみただけだから。・・・私はマリー。マリー・ジャスパー。一応同じクラスなんだけど覚えてる?」

突然告げられた事実に、靖人は驚いた。本人に言われるまでクラスメートだと気づけず、申し訳ない気分になった。

「まぁ、入学初日にクラスメートの顔と名前を一致させろ、ってのも無理があるよね。私はベルギー出身なの。歌う事が好きでね、よく1人でいる時に歌っちゃったりするんだ。」

面倒な癖だよね、とマリーは自虐的に笑った。靖人は慌てて否定する。

「そ、そんな事はないよ!ジャスパーさんの歌声、凄く綺麗だった!」

靖人は素直な感想を述べる。マリーの歌声はとても心地よく、彼女が此方に気づくまで見とれて(聞き惚れて)しまった。

「本当?」

マリーが少し意外そうな表情を浮かべた。コクコクと靖人が頷くと、マリーは飛びきりの笑顔を見せた。

「ありがとう!そう言ってもらえると凄く嬉しい!」

心の底から嬉しそうにする彼女の姿に、照れくさくなった靖人は頬をかく。それでも、自分の言葉で相手が喜んでくれるのはやはり嬉しかった。

「それじゃ、よろしくね!靖人!」

いきなり下の名前で呼ばれた事に動揺するも、靖人は笑みを浮かべてマリーに手を差し出した。

「うん、よろしくねジャスパーさん。」

靖人の挨拶に応えるように、マリーの柔らかい手のひらが靖人の手を包み込んだ。




マリー・ジャスパー
162cm AB型 10月16日生まれ
ベルギー出身のIS学園生徒。金髪碧眼。
明るく、面倒見が良い。またイタズラ好きで、よく靖人にちょっかいを出している。
好きなものはチョコレートと歌。歌唱力はかなりの物で、地元では有名らしい。また冷蔵庫には常にチョコレート完備。
体型は普通に良い。本人曰く「食べてもあまり太らない体質」との事。
祖国に母と姉がおり、父は海外出張しているらしい。


と言うわけでメインのオリキャラ2人目登場です。私の趣味というのは音楽でして、この娘には作中に色んな曲を歌ってもらいます。
当初は靖人に何か音楽的な物をやらせようかと思いましたが、そうすると彼のキャラがぶれてしまうため、他のキャラにそういった趣味を使いました。
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