INFINITE STRATOS ~業火の腕で掴むもの~   作:Mr. P.C.

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今日から合宿に行くので、投稿する暇が無いかもしれません。まぁいつも気まぐれに更新してるからあまり意味がないですけどね。


第2章《灼熱を纏う腕》
第12話:予期せぬ廻り合い


IS学園、第3アリーナの一角で、金属がぶつかり合う鋭い音が響く。

「そこっ!」

不知火を纏った靖人が凩を構え、渾身の突きを放つ。目の前の相手を捉えた・・・かに思えたが、その切っ先は空を切った。

一瞬の隙―突きをかわされ無防備になった靖人の胴に衝撃が走る。

「っ・・・!」

不知火の頑丈な装甲によってシールドエネルギーはさほど減らなかったが、靖人は再び起こしてしまったミスに顔をしかめる。

「・・・言った筈だ。突きを行った後は素早く刀を引いて構えを直す事が重要だ。今の速度ではまだまだ遅い!」

先程一閃を浴びせてきた相手―打鉄を装備した箒が振り返る。

「もう一度だ、来い!」

「はい!」

近接ブレード『(あおい)』を構えた箒に向かって、靖人は再び突進した。

 

 

クラス代表決定戦の翌日、一夏がめでたく代表に就任した後、セシリアから

「もしよろしければ、このわたくしが特訓を見てあげますわ!」

と提案された。晴れて専用機持ちとなった自分たちがより強くなるために、特に一夏は来月のクラス対抗戦に向けて代表候補生であるセシリアが指導してくれる事はとてもありがたかった。2人はすぐに了承したのだが・・・、

「ま、待てっ!一夏の特訓に付き合うのは私だ!横取りは許さんぞ!」

机を叩いて抗議してきた箒と、

「それ私も入れてー。元々靖人の面倒見ていたし、一夏やセシリアのISとか興味あるし!」

はいはーいと手をあげたマリー。

この事態を想定していなかったのであろうセシリアが何か言おうとしていたが、突如マリーが、

「クラス皆で一夏をバックアップするんだよね!」

とセシリアに囁き、沈黙。そして箒が小さくガッツポーズをしていた。

「まぁそうだな。セシリアが1人で俺たちの面倒を見るより、何人かで見てくれた方がそっちにも負担をかけないですむし、特訓の幅が広がるな!」

そう納得した一夏だったが、

「そういう問題じゃありませんわ!」

と、セシリアの逆鱗に触れてしまい困惑していた。

「でも、一夏の言う通りかもね。オルコットさんに射撃武器の事を教わりたかったけど、同時に箒さんにも剣術について聞いてみたかったんだ。」

靖人の一言に箒は「別に構わないが・・・。」とどこか残念そうに答える。

(あぁ、きっと一夏と練習したかったんだろうな。ごめんね。)

靖人は心の中で箒に謝罪しながら、何故か薄く笑みを浮かべたセシリアを見た。

「私も見れそうな時に見に来るよー。見る人が多ければ気付く事もあるだろうし。」

マリーの屈託のない笑顔に、箒とセシリアが一瞬じとっと睨んだ気がした。だがマリーは動じていない(気づいていない?)。諦めがついたのであろう、セシリアが咳払いをして口を開いた。

「し・・・仕方ありませんわね。では、この3人で一夏さんと靖人さんの特訓を見ましょう。」

こうして、靖人たちに3人の教官がついたのであった。

 

 

そして現在、靖人は箒に刀による近接戦闘のレクチャーを受けている。機関での性能テストの際、千冬から凩が突きに特化した刀だと聞いてはいたが、自身は剣術に触れた事など1度もない。よって剣道のみならず、真剣による剣術をも体得している(というよりまず篠ノ之家に『篠ノ之流』という剣術が伝わっている。情報提供:一夏)箒に刀での戦い方を教わっていた。

(・・・のは良いんだけど。)

靖人には2つの懸念材料があった。

其の一、箒の説明の仕方。

「まだ遅いぞ!それじゃあ『ひょいっ』だ!もっと『しゅばっ!』と引け!」

(擬音で説明しないでください箒さん。)

箒の言葉に真面目に返事しながらも、内心彼女の言動に突っ込みを入れる。もう少し具体的な説明はできないのだろうか。だがこれでも彼女の得意分野である剣術の説明であるため、まだコツを教えてくれたりなど比較的ましな方だ。ISの機動について聞くと、

「・・・『すいっ』という感じだ。」

と、完全に感覚的な物になる。剣以外の事は、セシリアかマリーに聞くのが得策だ。

そして、其の二は―

「そうですわ一夏さん。先程より良くなってますわ。」

「お、そうか?セシリアの指導のおかげだな。」

「そ、そんな・・・!」

―一夏とセシリアが組んだ時の、箒の機嫌だ。2人の楽しそうな会話を聞いて、段々と箒の表情が怖くなってきているのは一目瞭然だった。

(てかさっきから箒さんの攻撃の威力が上がってるよね。八つ当たり?)

因みについさっきの攻撃は最初の攻撃よりダメージ量が1.3倍になっていたのは確認済み。

「おわっ!?」

急に一夏が声をあげた。どうやら回避行動の練習中にバランスを崩したらしい。すかさずセシリアが一夏を助けにブルー・ティアーズで翔んだ。

「大丈夫ですか一夏さん?」

「あぁ、大丈夫だ。ちょっとでも気が緩むとダメだな・・・。」

「ダメですよ一夏さん。いくらわたくしに誉められたからって、舞い上がってしまっては。」

「いや、流石にそこまで自惚れて無いけど・・・。」

「冗談ですわ。」

セシリアが笑い、一夏もつられて笑う。

―あぁ、そろそろだな。

靖人が直感したのと、箒が全速力で2人に向かっていったのはほぼ同じタイミングだった。

「貴様らぁっ!人が真面目に稽古つけているというのに、何楽しそうに話しているんだ!!」

2人を割くように刀を降り下ろす。

「うぉぉぉっ!?いきなり危ねぇよ箒!」

驚愕し、紙一重で箒の唐竹割りを回避する一夏。一方余裕で回避したセシリアが腰に手をあてながら箒を挑発する。

「あら何をしていらっしゃいますの篠ノ之さん?今は靖人さんの稽古中でしょう?一夏さんの事はわたくしに任せて、早く持ち場に戻ったらどうですか?」

「何だとぉっ!!」

ついに箒がキレた。セシリアに急接近し、葵を幾度となく振るう。セシリアはそれを避け、展開したスターライトMk-Ⅲを撃つ。

―また今日も特訓の迷物、一夏を巡る女の戦いが始まった。

ここ数日の様子を見て確信したが、セシリアは一夏に惚れている。恐らくあの試合での一夏の諦めない姿に心打たれたのだろう、きっと。そして事あるごとに恋敵である箒と衝突してる姿は、教室でもよく見ている。

「いやー今日も懲りずにドンパチやってるねーあの2人。」

先程まで靖人や一夏の特訓の様を少し離れた場所から観察していたマリーが靖人に近づく。

「もうああなると2人とも特訓そっちのけになるからね・・・もう慣れた。」

靖人は全てを悟った表情をする。そろそろ状況が第2段階に移行する頃合いだ。

「一夏さん!何ぼーっとしているんですか!」

「そもそも一夏!お前が悪いだろう!?」

「はぁぁぁぁっ!!?」

ヒートアップした2人が、理不尽に一夏を巻き込む。いつものパターンだ。

(あの2人も大概だけど、2人の気持ちに気づかない一夏も一夏だよな。)

端から見れば一夏の取り合いをしているのは一目瞭然なのに、当の本人は全く気づいていない。彼が鈍い事については、靖人は昔から知っていた。

「一夏って図太いよねー。直ぐに照れちゃう靖人とは大違い。」

・・・何か言われた気がするけど、気にしない気にしない。

「ねぇマリー、さっきの僕の動きを見ていて気づいた事はない?」

「そーだねー、後半動きが単調になってたかな。もっとフェイントとかうまく使ってさ―」

ぼこぼこにされる白式を尻目に、靖人とマリーの2人で特訓を開始するのもまた、いつもの事であった。

 

 

翌朝、朝食を終えて教室に向かった靖人は、何やらクラスがいつもより賑やかになっていたのを感じた。

「何かあったのか?」

隣を歩いていた一夏が話をしていた女子グループに聞いてみる。

「あ、おりむーとかみかみだ~。おはよ~。」

と、振り替えって手をぶんぶんと降ってきたのは『のほほんさん』こと布仏本音(のほとけほんね)だった。とても小柄で、制服の袖が余っている。

(・・・かみかみはやめてほしいなぁ・・・。)

と、内心靖人はひとりごちる。以前いきなり、

「神谷だからあだ名は『かみかみ』でいいよね~。それとも『やっすん』がいいかな~?」

と言われ、もっとましな呼び方は無いのかと突っ込んだ。結局彼女は呼び方を変える気が無かったそうなので、仕方なくかみかみを採用。やっすんは・・・何だろう、何故かおっさん臭い。

「何でもね~、2組に転校生が来たらしいよ~。」

「転校生?この時期に?」

のほほんさんの情報に、靖人は首を傾げる。今は4月の後半だ。このタイミングで転校してくる、というのは少し考えにくい。

「しかも、その人中国の代表候補生なんだって!」

話に参加していた出席番号1番、相川清香(あいかわきよか)が更に情報を付け足す。

「代表候補生か・・・。一体どんな人なのかな。」

一夏が腕組みをする。靖人も『代表候補生』という言葉は気になったが、更に引っかかる単語があった。

「・・・中国、か。」

靖人がそう呟きながら神妙な顔つきをしたのに気づき、一夏が苦笑する。

「いや、いくら中国からの転校生だからって、流石にあいつ( ・ ・ ・ )では無いだろ。」

「・・・そうだね。考えすぎだった。」

そうだ、『あの人』がIS学園に入学するなんて、ましてや代表候補生になってるいるわけが―

 

 

「ふーん。あたしがここにいるって事がそんなに信じられないんだ。」

突如発せられた、聞き覚えのある声。一夏との話に出ていた、『あの人』の声。

慌てて振り返った2人の視線の先にいたのは―

「「り・・・鈴!?」」

かつて同じ中学校で過ごした中国出身の少女、凰鈴音(ファン・リンイン)だった。




一夏君代表就任記念パーティーは割愛。靖人なら黛の無茶ぶりの計算もすんなり答えそうな気がしました。
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