INFINITE STRATOS ~業火の腕で掴むもの~ 作:Mr. P.C.
戦闘描写、上手く表現出来ていれば良いのですが・・・。
『神谷靖人』が、ISを起動した。
目の前で起きている現象に、黒いラファール・リヴァイブを操る彼女は混乱していた。
(何故だ、何故男がISを!?)
確かに、ISを操縦できる男は存在する。1カ月前に現れた『織斑一夏』だ。だが、その後の世界的な調査でISを操縦できる男はもういない事が証明された筈だ。だが、目の前の少年は今正にISを装備している。
予想外の出来事に様々な思考を巡らせるが、彼女は一旦考えを止めた。彼が左腕のガトリング砲を発射してきたからだ。
咄嗟に上空に飛翔し、射線から逃れる。撃ち出された弾は彼女の後ろにあった壁に無数の痕を残した。
彼女を追って、靖人もスラスターを吹かし翔ぶ。接近しつつ、またガトリング砲を撃ってきた。
しかし、狙いが直線的で分かりやすい。ただひたすら自分めがけて撃ってくるため、回避するのは容易かった。
(甘いんだよ!)
回避に徹していた彼女が反撃に移る。量子変換されていたアサルトライフルを展開し、靖人目掛けて数発撃ち込む。
彼はこれといった回避行動をとらなかった。弾丸が全て直撃したのを確認し、彼女の口元が不敵に歪んだ。
しかし、彼は止まるどころか、全く速度を落とさなかった。さらに装甲に目立った損傷は見られない。
(何だと!?)
尚も撃ち込まれるガトリングの砲撃を避けアサルトライフルを撃つが、やはり弾は装甲に弾かれ、決定打を与えられない。遂には靖人に接近され、自分めがけて日本刀を降り下ろされる。
「っ・・・ざけんなぁっ!!」
彼女も近接ブレードを展開し、彼の刀を受け止める。激しい火花と金属音が辺りに広がった。
都内某所、『日本政府直属IS特務機関本部』
日本が保有するISを管轄し、有事にはIS小隊を指揮する司令塔。いわば現在の日本の防衛の要である。
そこで緊急警報が大音量で鳴り響いたのを
訓練を中断し、千冬が機関のメインルームに駆け込んだ頃には、緊急事態に対し指令や報告があちこちから飛びかっていた。
「反応があった箇所の正確な位置を特定!場所は・・・」
「座標を人工衛星へ送れ!光学映像を・・・」
「第1、第3小隊は発進準備!第2小隊は・・・」
慌ただしく事が進む中、千冬はある人物の元に向かった。
「
千冬の声に特務機関最高司令官、梶原
「織斑か。折角後進の指導を頼んでいたというのに、騒がせてしまってすまない。」
「別に問題はありません。彼女たちの実力は充分です。それより・・・」
「先程、レーダーにISの反応があった。数は1。出現箇所は・・・」
梶原が手元の端末を操作すると、日本地図の一点に印が示される。地図が段々と拡大され、ポイントの鮮明な地図が浮かんだ。
「・・・市街地の中心でISが?」
ISの反応があったのは、何の変哲もない一般市街の中央だった。梶原が更に続ける。
「そしてデータ照合の結果、このISは既存の機体全てと該当しなかった・・・。つまり『
「アンノウン?新たなISという事ですか?」
千冬の疑問に梶原は「まだ確定ではないがな」と付け加える。
「まさか束・・・お前の仕業か?」
千冬は稀代の『天災』である友人の顔を頭に浮かべながら呟く。ちょうどその時に新たな報告が入った。
「司令!人工衛星からの映像、来ました!メインスクリーンに投影します!」
報告と同時にスクリーンに映像が映る。梶原と千冬を含め、メインルームのメンバー全員が映像に注目した。
映し出されたのは、戦闘を行う黒色のISと銀色のISの姿だった。
「2機だと!?馬鹿な、レーダーには1機分の反応しか・・・!」
誰かが驚きのあまり声をあげたのが耳に届いた。レーダーにかからなかったIS、つまり―
「ステルスを搭載していたようですね。恐らく、あの黒いラファールかと。」
千冬の予測に、梶原は頷く。
「バイザーとステルス、身元が割れないための処置か。だが、もう1機は何だ?見たことがない機体だぞ。」
二人の言葉に続き、更に報告が入る。
「映像より照合完了!黒い機体はラファール・リヴァイブです!しかし、もう1機は特定不能!」
「目標、北東方向へ5km移動!高度1200m!」
「現在周辺住民への被害無し!」
報告を聞いた梶原は指令を下す。
「目標の現在地より半径10kmに外出禁止令を発令。第1から第3小隊出撃、戦闘に介入し目標を確保せよ。」
「了解!」
梶原の言葉に全員が即座に対応する。メインルーム内が一層騒がしくなる中、千冬は梶原にある提案をする。
「梶原司令。打鉄を1機貸していただきたい。」
「・・・つまり、織斑も出撃するという事だな?」
千冬の考えを梶原は理解していた。恐らく、あのアンノウンの事だろう。あの機体がどのような性能を持っているか分からない。我が国の小隊を信じてはいるが、何が起こるか予測できない。
「・・・いいだろう。期待しているぞ、『ブリュンヒルデ』。」
第1回IS世界大会『モンド・グロッソ』の覇者、最強のIS 操縦者、織斑千冬。彼女は梶原の言葉に短く「了解」と答えると、メインルームを後にした。
高速で飛行する2機のISが、互いに切り結び、撃ち合い続けて数分が経過した。黒いラファールを操る彼女は、苛立ちを覚えていた。
(技能は確実に此方が上。なのに機体性能が段違いだ、攻撃が通用しない!)
神谷靖人はISを動かした事が無い(男子なので当然だが)ため、動きや攻撃が全く成っていない。攻撃はただただ相手を狙うだけ。回避先を先読みするなどという芸当は持ち合わせていない。また回避行動など皆無に等しく、此方の攻撃が面白いように当たる。戦況は常に此方が有利だった。しかし、あの厚い装甲にラファールの攻撃が通じず、未だに靖人を落とせないでいた。現にアサルトライフルは弾切れ、ブレードは何度も装甲に斬り込んだ結果刃がボロボロになっていた。
靖人が刀を構えて突っ込んでくる。彼のガトリング砲も2分ほど前に弾切れを起こしていた。
「くそ・・・これならどうだ!」
猪突猛進する相手を避け、距離を取りつつある物を投げつける。靖人が振り向いた瞬間、彼の目の前で大きな爆発が起きた。
投擲したのはグレネード、現在ラファールに装備されている武装の中で最も高い威力を持つ武器だった。
「っは!直撃した!これで・・・。」
爆発による煙を眺めながら彼女は呟く。煙が晴れたそこには・・・、
僅かに装甲が焦げただけのあのISが健在していた。
「・・・!何なんだよお前は!」
グレネードですら撃墜できない。どうすれば奴を倒せるか悩んでいた彼女の耳に、上司からの無線が入る。
『ストップよ。奴らに感づかれたわ。残念だけど、撤退するしか無いわね。』
作戦中断の司令だった。突然の連絡に、彼女は食って掛かる。
「待ってくれ!まだ奴を落としていない!」
『ダメよ。今ここで貴女を失うわけにはいかないの。』
彼女は唇を噛む。いくら予想外の事が起きたとはいえ、任務を果たせなかった。悔しさが胸に広がる。
「ちっ・・・撤退する!」
靖人に背を向け、全速力でその場を離脱する。周囲に追っ手の姿は無かった。
「神谷・・・靖人・・・!」
遠くなる銀色のISを睨み付けながら、彼女は雲の中へと消えていった。
何があった?
僕は何をしていた?
あの時、黒いISに首を絞められ、命の危険を感じたとき、自分の中に怒りが込み上げてくるのが分かった。
そこからは無我夢中だった。
何をしていたのかは覚えていない。
ただ、あの黒いISを倒そうとした。
あのISには逃げた今、自分の中に怒りはもうない。
何か変だ。
宙に浮かんでいるような、ふわふわとした感覚。
まるで後ろの景色が見えてるかのような感覚。
変だ。気持ち悪い。そして・・・何だかとても疲れた。
眠るかのように意識が遠退いていく。
落ちていくような錯覚に陥りながら、ゆっくりと目を閉じた・・・
突然、誰かに腕を掴まれた。
驚いて、少し目を開く。
女の人が、声をかけていた。
上手く聞き取れない。でも、聞き覚えがある。
・・・あぁ、そうだ。この声は・・・。
「・・・千冬・・・さん?」
ISを装着した一夏の姉、織斑千冬が目の前にいた。
「お前は・・・神谷なのか・・・?」
千冬が驚いた顔をしている。何故だろうか。
「何故だ、何故お前が・・・、
ISを装備しているんだ・・・?」
・・・そうか、僕は。
ISを、動かしたのか。
梶原 定信(カジワラ サダノブ)
181cm O型 4月5日生まれ
日本政府直属IS特務機関本部の最高司令官。年齢は58歳。
日本が保有するIS小隊の指揮権を保有しており、日本の国防を一任されている人物とも言える。
かつては航空自衛隊の重鎮だった。
屈強な体にきつい顔つきをしているが、性格は誠実で仲間思い。部下を含め、多くの人々から厚い信頼を寄せられている。
最近ビール腹が悩みらしい。
オリキャラ2人目。おっさんです。
とりあえず考えてはみたものの、プロローグ以降出番があるかどうか・・・折角だし後の話でも司令官は出してみたいですね。