INFINITE STRATOS ~業火の腕で掴むもの~   作:Mr. P.C.

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お久しぶりです。サークルの本番があったり学祭があったりと多忙で、とても書いてる余裕がありませんでした。しかも、どうやって話をまとめようか中々思いつかず、とても難産でしたVSセシりんコンビ編。そして長い。読んでて思うところはあると思いますが、それはあとがき、よければ感想で弁明します。それでは、どうぞ。


第29話:意外性

数日前、学年別トーナメントに向けてラウラと連携の確認をしていた時の事だった。

「お前のISの防御性能はやはり高水準だな。しかし・・・武装は専用機として見ると、かなり劣っているように思える。」

休憩中に不知火のデータを閲覧していたラウラは、そのように感想を述べた。

攻撃力の不足・・・それは靖人もここ最近薄々と感じていた。

不知火は防御力重視で開発されたためか、武装は至って平凡・・・量産機と同じ物を採用されていると倉持技研の研究員が言っていた。詳しく説明すると、摩利支天の稼働エネルギーを確保する分、第三世代機に用いられるような燃費の悪い装備は搭載できなかったらしい。(まず不知火が開発されたのは第二世代後期だったので、第三世代機のコンセプト『操縦者のイメージ・インターフェイスを用いた特殊装備の搭載』という概念が当初から存在していなかった。)

実際に一夏たちと模擬戦を行うと、不知火の攻防のアンバランスさによって互いにとどめが刺せずジリ貧になる、なんてケースが多かったりもすした。

だからといって不知火が他の専用機と比べると弱いのかというとそうではない。第三世代機に搭載されている兵装は試験的な運用を想定されているので前述した通り燃費が悪かったり、ブルー・ティアーズのビットのように使用に高い集中力を必要とする物もある。これは白式の単一仕様:零落白夜にも言える事だ。最強の力を持っているとはいえ、それを扱う者自身がその力によって自滅しては意味がないのだ。

「そればかりはしょうがないよね。他の機体を支援するのが不知火の真骨頂、らしいからね。」

「味方機の支援・・・。」

ラウラはデータを凝視しながら、何かを考えているようだった。それが1分ほど続いた後、彼女は携帯端末を取り出して何かを調べ始めた。

「神谷。お前から倉持技研に連絡をつける事は可能か?」

「え?多分できると思うよ・・・?」

ラウラの突然の問いに靖人は戸惑いながらも答える。不知火を動かしてから、靖人は定期的に倉持技研に赴き不知火の戦闘データや自分との同調の様子を報告している。そのために何人かの研究員とは連絡先を交換していたが・・・。

間髪入れずに携帯にラウラからのメールが届いた。話せる距離にいるのに何故?不思議に思った靖人をよそに、ラウラは淡々と言葉を続けた。

「今すぐそれを此方に取り寄せられるか確認してくれ。向こうの都合にもよるだろうが、トーナメント本番までには間に合うだろう。」

ラウラからのメールには、アルファベットと数字から構成された謎の単語ばかり書かれていた。

「ボーデヴィッヒさん、これは?」

靖人は状況を理解できず、思わず疑問を口に出した。ラウラは厳格な表情を崩さずに質問に答えた。

「何も『攻撃』だけが支援砲撃ではない。それはだな―」

 

 

 

 

 

衝撃砲によってひしゃげたミサイルから爆発の物とは違う、眩い光が突然溢れ出した。

「うわっ!?」

予期していなかった閃光に、鈴は思わず目を瞑ってしまった。

靖人が放ったのは閃光弾だった。それはラウラの提案で倉持技研に用意してもらった、特殊な兵装の1つであった。

勿論、ISに搭載されているハイパーセンサーは柔なものではなく、閃光弾程の眩しさもすぐに補正してしまいリンクした視力を即座に回復させてしまう。だがそれでも、ISを操縦するのは人間・・・不意に強い光を目に受ければ、反射的に目を閉じてしまう。

その一瞬の間が、高速で繰り広げられるISの戦闘において大きな隙となる。

鈴が視界を塞がれた一瞬に、甲龍の装甲に衝撃が走る。

「しまった!」

目を見開くと『右非固定浮遊部位被弾、損傷率38%。龍砲、使用不可能』という警告が流れた。降り注がれる弾丸に防御姿勢を取りながら視線を移すと、右肩全体に無数の弾痕が刻まれ開かれた装甲各所からバチバチとスパークが生じていた。

(内部を狙い撃ちされた!?これを狙っていたのね、靖人・・・!)

まんまとはめられた事に気づき、鈴は迫り来る砲撃を無理矢理突破して攻撃に転じようとした。しかしその行動を起こす前に新たな警告音(アラート)が鳴り響く。針雨を放つ不知火の到る所から、計10発のミサイルが弧を描いて迫っていた。

残された左の龍砲、そして両腕部の小型衝撃砲『崩拳(ほうけん)』を連射モードに切り替えミサイルの迎撃を開始する。何発かは撃ち落とす事に成功したが、やはり先程龍砲を破壊されたのはかなりの痛手だった。

「きゃあっ!!」

撃ち漏らした3発のミサイルが、鈴の右半身に直撃した。腕や足の装甲が砕け、大きな衝撃に体を無理矢理捻られていく。

『鈴さん!!』

遠くでラウラを相手にしていたセシリアから心配そうな悲鳴が上がる。声を聞いた瞬間彼女からの援護射撃を期待したが、セシリア本人はラウラに接近されており、迫り来る斬撃を間一髪のところで避けていた。

靖人を先に倒せる・・・そう考えて決行した各個撃破の戦法がここに来て支障をきたした。

「この・・・!」

苦悶の表情を浮かべながら、鈴は切り揉み状態で落下していく。その刹那、靖人の顔が視界の隅に映った。

先程の取り乱した様子とはうって変わって、靖人はいつもの落ち着いた表情をしていた。

不知火の非固定浮遊部位に青い光が集まり、見慣れたミサイルポッドが形成された。

(追撃するつもり・・・!?)

鈴の背中に冷たい物が流れ、瞬時に回避できるよう体勢を立て直す。だが発射されたミサイルは鈴に向かうどころか、誰もいない上空へ思い思いの方向へ飛んでいった。

「何を・・・!?」

アリーナ最上部まで到達した無数のミサイルが、一斉に爆ぜる。今度は控えめな爆音を上げたそれらから、アリーナ全体に向け光輝く粒子が降り注いだ。

 

 

「鈴さん!!」

不知火のミサイルによって撃ち落とされた鈴の身を案じ、セシリアはすぐに彼女の元へ向かおうとした。しかし、

「そう易々と行かせると思うな。」

ラウラが素早く目の前に立ち塞がり、プラズマ手刀とワイヤーブレードを駆使して四方八方から攻撃してきた。

「くぅっ!」

幾重にも攻めてくる凶刃に自由に動く事ができず、やむを得ず回避を続ける。その結果、鈴からの距離がどんどん放されていった。

「相手の力量を過小評価しすぎたな。我々が無策で貴様らに挑むとでも?」

「―っ!」

ラウラの間合いから抜け出したセシリアは言葉を失う。そう、まさか靖人が閃光弾をISに搭載してくるとは思わなかった。しかし冷静に考えてみれば、彼の機体は自分たちの物に比べて装備換装が容易な第二世代機。例え『パッケージ』を用いて装備一式を変更せずとも、互換性の効く量産兵器ならそれほど手間をかけずに交換が可能だ。

そしてそれに目をつけた目の前の少女・・・やはり彼女は侮れない。

「いえ、まだまだですわ・・・!『インターセプター』!」

ラウラの無数の刃に対抗するため、セシリアは空いている左手に粒子を結集させ、近接ショートブレードを形成させる。それを見たラウラの口角がわずかに上がる。

「ふっ・・・その場しのぎの目眩ましだけで終わると思うなよ。」

「何をっ!!」

セシリアは一喝すると同時にスターライトmk-Ⅲから高出力のレーザーを放つ。それは空気を切り裂きながらシュヴァルツェア・レーゲンに肉薄する―筈だった。

「そ、そんな!?」

銃口からさほど離れていない距離で、青白い光の矢は霧散した。何かの間違いかと何度も引き金を引くが、やはりレーザーは空気に溶けていき、目標に到達する事はなかった。

予想外の出来事にパニックになりかけたセシリアは、不意に周囲が光輝く粒子に包まれているのに気づく。そして、自分の攻撃が届かなかった原因を突き止めた。その正体は、先程靖人が上空へ放った―

「粒子攪乱弾・・・!」

それはビームを形成する粒子を拡散させる特殊な処理をされた粒子を周囲にばらまき、ビーム兵器の効果を激減させる物だ。つまりライフルとビット、ブルー・ティアーズの装備の大部分が封じ込まれてしまったのだ。

(ここにいては攻撃が・・・!)

素早くセンサーで粒子濃度が薄い箇所を特定しようとしたが、靖人は攪乱弾の効果半径を念入りに計算していたのか、アリーナ全体に粒子が広がっていた。彼の徹底ぶりにセシリアは顔をしかめた。

「さて・・・何もしてこないのなら此方から仕掛けさせてもらおう。」

ラウラがワイヤーブレードを広げて距離を詰めてきた。この粒子が滞空できる数十秒の間に、手が出せないセシリアを倒すつもりだ。

「そう簡単にやらせませんわ!」

セシリアは全てのビットをラウラに突進させる。このような場合でも、零距離からの射撃ならば粒子攪乱の影響を最小限に抑える事ができる。そして、粒子攪乱の影響はシュヴァルツェア・レーゲンのプラズマ手刀にも現れている筈だ。いくらワイヤーブレードが複数あるとしても、懐にビットを潜り込ませたらラウラに迎撃する手段は残ってない。

「ふん、わざわざそちらから動きを止めてくれるとはな。」

ワイヤーブレードの猛攻をかわしながらビットを接近させるのにはかなりの集中力を要する。動きが緩慢になったところへ、レールカノンがセシリアに向けて撃ち込まれる。

紙一重で対ISアーマー用特殊徹甲弾を回避するが、その隙にラウラはワイヤーブレードを巧みに操り周囲のビットを次々と切り裂いていった。

「まだっ!」

ラウラを正面に捉えた瞬間に腰からミサイルビットを射出する。前後から挟むように飛翔した2基のビットは、最後のレーザービットを破壊したラウラに向け実弾を放った。

「無意味だな。」

ラウラはミサイルを宙返りで避け、接近していた前方のビットをワイヤーブレードで串刺しにした。そして振り向きざま、残りの1基にレールカノンの砲口を向ける。

轟音と共に薬莢が吐き出されたのと、その衝撃で後退りしたラウラの背中へセシリアが瞬時加速をしたのはほぼ同時だった。

「これだけ接近すれば!!」

あれだけの高威力の砲撃をすれば、反動によって数瞬体の自由が利かない。インターセプターを握りしめた左手に力が入る。ワイヤーブレードの有効射程範囲を突破し、彼女の長い銀髪が急速に近づいた。

もうラウラに反撃する手段は残っていない。

それでも・・・振り向いてきたラウラの顔には全く焦りの色は浮かんでいなかった。

「・・・まさか私がここまで接近を許すとはな。いいだろう。」

ラウラが右手をセシリアへかざす。

「見せてやる。このシュヴァルツェア・レーゲンの最大の武器を。」

ラウラの右目がセシリアを完全に捉えた瞬間―

 

 

「・・・え?」

高速で動いていたセシリアがその場で静止した。突き立てようとしたインターセプターの切っ先は、あと数cmでラウラの掌に届くという所でピクリとも動かない。このような芸当ができる装備を、セシリアは知っていた。

AIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)・・・!」

「ご名答。『停止結界』の居心地はどうだ?」

PICの技術を応用し、空間圧に作用するエネルギー波を対象にぶつける事で物体の慣性を停止させる第三世代型兵器。

(噂には聞いていましたが、まさか実践配備されるほど完成していたとは!)

これまでの試合で一度もラウラはAICを使わなかった。恐らく、AICを知る代表候補生・・・自分たちに悟られぬために隠し続けてきたのだろう。彼女の用心深さは破格の物だ。

「貴様がその近接装備の名を叫んだ時点で、近接戦に不慣れなのを確信した。そして予想通り、直進的で読みやすい突撃をしてきたな。貴様自身は不意を突いたつもりだろうが。」

インターセプターの切っ先を見るラウラは感情を込めずにセシリアに言い放つ。その言葉を受け、セシリアは動揺を隠せなかった。

『敵を近接の間合いに入れずに倒す』―そういう信条を掲げていたセシリアは近接戦闘の修練の時間を削って射撃能力の向上を図っていた。その結果近接装備は装備名を叫んでイメージをまとめないと展開できないほど未熟な物になっている。

「いくら近接戦闘を補えるほど射撃の腕が良くても、それを封じられては意味がないな。・・・お前に助けは来ないぞ?」

ラウラの向こう側には、靖人の絶え間なく続く攻撃に身動きが取れない鈴の姿があった。

「我々の手の内を見抜けず、1人でも渡り合えると過信した・・・それが貴様の敗因だ。」

言い切ると同時に6つのワイヤーブレードがセシリアの全身の装甲を抉った。シールドエネルギーが見る間に減っていき、ブルー・ティアーズの美しい装甲に醜い傷が入っていく。

2本のワイヤーブレードが左足に絡み付くのを察知した瞬間、セシリアの視界が物凄い速さで流れる・・・投げ飛ばされたのだ。そして再び発動したAICによって空中に磔にされた。

「終わりだ。」

短い宣告と共に火を吹く巨大な砲口。炎を纏った弾丸が、目の前に迫ってきた。

反論の言葉は無かった。

悲鳴すら上げなかった。

ただセシリアは心の中で一言だけ呟いた。

(悔しい・・・!)

そして鳴り響いた轟音。一瞬の静寂の後、アリーナ内のモニターにある表示が映し出された。

 

 

『ブルー・ティアーズ

 シールドエネルギー残量:0』

 

 

「セシリアっ・・・!」

止む気配がない弾雨、そしてパートナーが落とされた報せに鈴は歯を食い縛った。目の前では無表情の靖人が、弾切れになる事をまるで気にしないかのように針雨から弾丸が放たれ続ける。

「くっそぉ!!」

苛立ちを含んだ怒号と共に生き残った左肩の龍砲を不知火に放つが、靖人は見えないはずの衝撃砲をいとも簡単に避けてみせた。

「あぁもう!この粒子のせいで!」

辺りを漂う粒子攪乱弾の粉塵に、鈴は毒づいた。

衝撃砲は空間に圧力をかける事で形成、発射される武装。その性質から地上では、攻撃の直前に加えられた圧力によって大気の流れに不自然な歪みが生じ、それを感知することで発射のタイミングを悟る事ができる。だが勿論大気の流れは目で見る事は不可能なので、いくらISのセンサーを用いても反応が遅れてしまうのだ。

だが、現在周辺の空気には前述の微粒子が舞っている。それらが衝撃砲による大気の動きに乗って揺らぎ、流れていく・・・それを見極める事で衝撃砲による攻撃を肉眼で捉えられるようになっているのだ。

(いくら正規の使い方ではないとはいえ、厄介な対策を立ててきたわね・・・!こうなったら・・・。)

衝撃砲を封じられた鈴に残された手段は2つ。粒子が地表に落ち、可視化が終わるまで逃げ切るか、不知火の弾幕を掻い潜り、インファイトに持ち込むか。

だが、その選択肢をのんびりと考えられるほど、鈴に猶予は残されていない。

「来た・・・!」

警告音が鳴るのと同時に甲龍のスラスターを吹かす。針雨によって追い込まれた箇所から離脱すると、コンマ数秒の差で大口径の実弾が高速でその場を過ぎ去っていった。

鈴の左後方、銃弾が放たれた位置から黒いIS・・・セシリアを倒したラウラが此方に向かってきていた。

(まずいわね・・・こっちのシールドエネルギーも残り少ないし、今2人を相手にしたら勝ち目は無い・・・!)

このまま靖人とラウラを合流させたら、それこそゲームオーバーだ。ラウラが此方に到着するまでほんの数秒・・・逃げている暇なんてない。そしてこうしている間にも、ガトリングによって甲龍の装甲に少しずつ傷が刻まれていた。

「だったら・・・!」

鈴がキッと目の前の靖人を睨んだ瞬間、針雨の砲身がカタカタと鳴りながら空回りを始めた。弾切れ・・・暗闇に突如射した一筋の光のような好機を、鈴は見逃さなかった。

「行くっきゃないでしょ!!」

摩利支天が切れた靖人を先に倒し、ラウラとのタイマンに持っていく。それが一番勝率が高い。

咆哮と共に瞬時加速、一気に靖人との距離を詰める。この速度なら不知火のミサイルは使えず、防御力が下がった靖人がとる迎撃の方法は凩による近接戦しかない。双天牙月の一撃で、靖人を倒す!

同時に鈴は突撃のコースを正面の靖人に対しやや左側にずらしていた。これによりラウラと靖人の間に丁度鈴が位置するようになる。仮にラウラのレールカノンが発射された場合、鈴がそれを避けたら靖人に誤射してしまう可能性が高くなる。それを察知したのか、接近するラウラからの攻撃は無かった。

「サシで勝負よ靖人!ここでアンタを倒す!」

「・・・・・・・・。」

鈴の言葉に何も答えず、靖人は平突きの構えをとる。靖人は集中したり考え事をしたりすると黙りこむ癖がある。迫り来る自分を真っ正面から迎え撃つタイミングを計っているのだろう。

お互いの間合いに入る僅かな時間・・・1秒すら無い刹那の時が、鈴にはゆっくりに感じられた。

眼前に渾身の刺突が迫る。突っ込んでくる鈴を一撃で倒そうという剣気がこもったその一閃は、代表候補生たる鈴の目からしてもタイミングが完璧だった。

だがそれを鈴は瞬時加速の中、ノーモーションで左に回り込む事で回避した。

ISの補助でも抑えきれないGの中、視界に入ったのは先程の一撃で破損した右肩の装甲。そして突きの構えのまま空中に静止した靖人の姿。完全に虚をついた。

「獲った!」

双天牙月の刃が、亀裂が入った不知火の装甲に向けて降り下ろされた。

 

 

 

 

ここで鈴に食いつかれたら、近接戦闘に不馴れな自分に勝ち目は無い。

間合いに入った鈴に向けて、凩を目にも止まらぬ速さで突きだす。

だがその切っ先は、甲龍の装甲には届かなかった。

ほんの一瞬。鈴が自分の右側に回り込んでいく様が見えた。

刹那、思い出したのは以前かけられた言葉だった。

「突きは、避けられたら致命的な隙を生む。」

「突きを行った後は素早く刀をひいて構えを直す事が重要。」

一夏と箒、2人から受けた教えだ。

・・・思った通りだ。

いくら感情的で無鉄砲だったとはいえ、今の鈴は代表候補生。

自分の分かりやすい攻撃をそのまま食らうとは考えにくかった。

そう、この一撃は避けられる。そして鈴は隙だらけになった自分にとどめを刺しにくる。

自分の思い描いたシナリオ通り(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)に事が進んだ。

極度の集中からか、ほんの短い時間も長く感じられる。

後方から双天牙月が頭上に降り下ろされる様が全方位に広がった視界で捉えられた。

もう腕を引いて構えを直す暇すらない。

それでも、特に焦りなどの感情は感じていない。

そう、こうなる事は分かっていたからだ。

そして―

 

 

「残念だけど、僕の攻撃は終わってないよ!」

 

 

伸びきった右腕をそのままに、靖人は時計回りに反転した。

二段構えの横凪ぎ。風切り音と共に凩の刃が、頭上に得物を構えたために晒されていた鈴の脇腹を捉えた。

「がっ・・・!?」

装甲の無い箇所への一撃。予期していなかった、絶対防御が問答無用で発動するその衝撃に、鈴は苦悶の声を漏らした。

あまりの威力に鈴が双天牙月を手放す。落下していく巨大な青竜刀は、地表に落ちる事なく光となって空中に消えた。そしてそれは、4人の専用機乗りの試合の終わりを告げるものだった。

 

 

 

 

『試合終了。勝者、ラウラ・ボーデヴィッヒ、神谷靖人ペア。』

 

 

優勝候補筆頭の敗北、そして世界で2人目の男性操縦者とドイツ軍IS部隊隊長という異色のペアの勝利に、今大会最大の歓声がアリーナを包んだ。




注、ぐだぐだと語っているので読み飛ばしても良いです。


はい、靖人の秘策は装備換装と牙○でした。
正直これを思い付いたのは最近見直した某バディヒーローアニメと某剣客漫画の影響です。
正直主人公が閃光弾などの姑息な(?)手を使うのはどうかと考えましたが、実際の戦闘ではそんな事言えないし、あくまで靖人は頭脳プレー派、正々堂々と戦うスタイルは一夏に任せる。といった具合でこの戦法を採用しました。
そして読んでて引っ掛かった人もいると思いますが、「何で粒子攪乱で蒼雫のレーザーを無効化できたのか?」という点について説明します。レーザーは光、ビームは粒子なので別物です。この点は自分も気になったので調べました。簡潔に申しますとアニメの描写から判断して「BTレーザーもビームである」という解釈に至りました。
劇中ではセシリアが放ったレーザーが地表に当たると爆発音と共に煙が舞っています。実在のレーザーではそのような事が出来るのか?と思い、実際に配備されている対ミサイル迎撃用レーザーの運用実験の動画を見ました。映像では、対象に向けて何秒か照射する事によって(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)ミサイルを破壊してました。あまりこういった知識は無いのですが、恐らくレーザーの熱によって物体を溶断していたのだと思います(そして中の爆薬に直接レーザーが当たって爆発したのだと)。
アニメの描写ではそんな長い時間同じ箇所を照射していなかったので、あれはレーザーではなく、質量と速度を持った物体が当たった衝撃によるものだと考え、上記の考えを用いて話を進めました。・・・まぁISがまずとんでも兵器だし、もしかしたら一瞬で物体を蒸発、熱膨張を起こさせるほどの熱量を持ったレーザーも撃てるかも、とか考えましたがやめました。無能なのに考えすぎるのは私の悪い癖です。
以上で弁明は終了です。無知+ソースはネットなので矛盾が生じているかもしれませんので、何かありましたら感想で指摘してください。
さて、次が山場です・・・。また難産になりそうで書く前からため息ばっかついてます。そして後期の中間が近い。・・・死亡フラグしか見えませんが頑張ります。今後ともよろしくお願いいたします。
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