影が薄くてもダンジョンを攻略する。のは間違っているだろうか? 作:ガイドライン
やっぱり2日続けたの投稿はキツい……
僕のなかではもう一話書きたかったのですが
キツいね、うん、キツい。
まぁ、気分次第だね(笑)
それではどうぞ♪
「大丈夫かアイズ!!?」
「うん、大丈夫」
近くに寄ってみると特に怪我をしている様子はない。魔法を重ねたおかげで助かったようだが完全に衝撃を消すことは出来なかったようで、立ち上がることは出来ずに座ったままだ。ここはさっき戦っていた場所から随分離れており、さらに先程の攻撃により周り一帯に粉塵が立ち込めて巨大なゴライアスの様子さえも見えない
「一体どうしたんだ、あんな隙を見せるなんて…」
「…ごめんなさい…」
「いや、私も油断していたところがある、すまなかった。だが、アイズらしくない。戦闘中によそ見など、こっちを見ていたようだが何かあったのか?」
「……分からないけど、何か感じたの……」
「感じた……とは?」
「殺気とは違う…けど何か鋭いものが……」
それ以上は言葉に表せなかった。感じたとこのないものが背後から感じられ思わず振り向いてしまったのだ。そしてその先には、
「……ハジメから、感じたの……」
「ハジメからだと?私は何も感じなかったが…」
「私に、ううん、あそこにいた冒険者に向けてだと思う。だからみんな反応が遅くなっただと思う」
「一体何をしたんだ……」
殺気ではなく、鋭い何か。それは冒険者達に向けられ戦いに集中していたところを忘れさせ、迫りくる攻撃に対して反応を遅れさせた。
「リヴェリア、ハジメは??」
「す、すまない。アイズが心配で思わず駆け出してしまいあの場に……だが、大丈夫だ。ゴライアスでもハジメの姿は見えていない。攻撃をしない限りは…「ッ!!!!!??」」
二人に何かが襲ってきた。目に見えない何かが身体中を駆け巡り抜けていく。殺気よりも鋭く、しかしそれからは殺気のような「感覚」がなく、まるで「無」というのが、全てを消し去ってしまうようなものが、静かで鋭く、人を狂わせてしまう「闇」のようなものが流れ込み抜け去った
「……ハァ、ハァ、ハァ……大丈夫かアイズ……」
「……う、うん、大丈夫……」
耐えきれずにリヴェリアは膝をつきアイズも全身の力が抜けてしまったようだ。未だに身体の中にさっきの感覚が抜け出せていないように感じている。息を整えようとするが中々落ち着いてくれない。まるで死を間近で、いや、死を感じた、経験したような感覚に陥っている。いくら冒険者が死と隣り合わせだとしてもここまでハッキリとした感覚は初めてである
「まさか、これなのか?アイズ感じたのは」
「ううん、これは何倍も強くなっている。もしかしてハジメに何かが……」
「クソッ!!!力がまだッ!!」
「…ハジメ…」
ゆっくりと立ち上がることは出来たが万全な身体ではない。力が入らず走りたいのに歩くことしか出来ない状態。一体何が起きているのかと周りを見るが戦闘している所から離れているためどうなっているのか分からない。それでも確実に元いた場所へと足を進める
………………………………………………………………………………
「なっ!!なんじゃこれは!!!??」
「ち、力が……」
「抜けていく……」
16階層にいるフィン率いるロキ・ファミリアとリューだが、突然襲ってきた謎の感覚に誰もが力が入らなくなりその場に崩れた
「落ち着くんだみんな。誰か立ち上がれるものはいないか?」
「力が入らなくて…無理です……」
「クソッが!!!なんだこれは!!!!」
「不味いな、こんなところでモンスターが出てきたら……」
原因不明の症状はいま酷い状況を生み出した。誰もが力が抜けて立ち上がれない、こんなところでモンスターにでも襲われたらいくら一級冒険者とはいえ無事ではすまない。いや死んでしまうだろう
どうにかして立ち上がろうとする面々だが指先など動かせても腕や足には力が入らない。しかしその中で、
「………どうやら私が来て正解だったようですね……」
「なんで立ち上がれるの!!?」
どういうことなのか、リューだけがその場から立ち上がった。少し身体は重いが戦闘になっても問題はないぐらいはある。
「分かりませんが兎に角皆さんを一ヶ所に集めます。回復するまでモンスターは私に任せてください」
「………あぁ、頼むよ」
ロキ・ファミリア達を一ヶ所に集めながら何処からでもモンスターが来てもいいように警戒をする。だが一ヶ所に集めるのに時間がかかったのにも関わらずモンスターは襲ってこなかった。それどころか鳴き声も気配もなかった。
「どういうことでしょうか?モンスターが現れません……」
「さっきの感覚が影響してるんじゃないの?」
「そうだとしてもこんなのは初めてじゃ。一体ダンジョンで何が起きとる?」
「……………………………」
混乱する中リューだけは直ぐ様でもこの場から走り出したい衝動と戦っていた。こんなイレギュラーな事が起きているならハジメも同じようになっている可能性がある。それと階層主との戦いの中だとしたら……
そんなことを考えたらいてもたってもいられない。しかし、いまここで走り出したら未だに動けないロキ・ファミリアの人達は危険な目に……
そんなリューを見ていたフィンは、
「君は先に行ってくれ」
「ちょっ、ちょっと団長!!?何を言ってるんですか!!!!」
「いまここでいなくなられたら私達は‼」
「分かっている。だが僕達よりアイズ達の方が心配だ。いまもゴライアスと戦っていて同じ症状が出ていたら僕達よりも危険すぎる」
誰も動けない状況でリューにこの場を離れられたら、モンスターが出てきても誰も戦えずにやられてしまう。しかし自分達よりもアイズ達の方が、階層主との戦いの方が危険なのも確かだ。
「……いいのですか?」
「あぁ、それに僕はさっきよりも回復している。ほら立ち上がることも出来るからね」
そういいながらゆっくり立ち上がるフィン。しかしまだ体に力が入らないのかプルプルと腕や足は震えている。だがその目には闘志が宿っているのが分かる
「……分かりました。向こうで動けるものがいたら応援にくるように手配します」
「そうしてくれると助かるよ」
では、と一礼をしたリューはまるで風が吹き抜けるようにこの場から離れていった。その姿を確認したフィンの体は一気に崩れ落ち
「「「「団長!!!」」」」
「アハハ……やはりまだダメのようだ……」
「いやその根性、流石だフィン」
「俺だって……くそがああぁ!!!」
「ベートには無理よ、団長だから出来たの」
「うんうん」
「うるせぇクソアマゾネス共があぁ!!!!」
根性で立ち上がろうとするもやはり力が入らない。いまだモンスターの出現はないがいつまで続くか分からない。誰もが必死になって立ち上がろうとしている
「一体このダンジョンで何が起きているんだ……」
………………………………………………………………………………
駆け出したリューはすぐにダンジョンの異変に気づいた。すでに数分間走り続けているのにも関わらずに一向にモンスターが襲ってこない
(これは一体なにが……)
考えながら走っていると目の前で倒れている冒険者達が見えた。しかしその前方にはモンスターらしき影が見える。
(………ここで見捨てるなど……えっ?)
戦闘体制に入ったリューだったが危惧に終わった。そのモンスター達も冒険者達同様に動けなくなっているのだから。意識はあるものの体が動かせずにいる状態でありリューの冒険者の中の一人に声をかける
「大丈夫ですか?」
「お、おう……体に力は入らないが問題ねぇ。それより目の前にいるモンスターをどうにかできねぇか?いくら襲いかからなくても不気味でよ……」
「分かりました」
それはそうだろう。敵であるモンスターが目の前にいるのだ。精神にキツいものがある。リューは小太刀を構えてモンスターを切り裂いていく。動かないモンスターだ、簡単に倒せたがやはりこんなのはおかしい
「すみませんが私は先へ行きます。どうやモンスターはいま出現しないみたいです。回復したらすぐに引き返すをオススメします」
「18階層のほうが近くて安全じゃねえか」
「18階層はいま階層主が出現している可能性がある。それにこの異常な時に戦うなんて死にに行くものだ」
「だがあんたも行くんだろう、なんで……」
いまならハッキリ分かる。
私がここまで来た理由も、危険をおかしても進む理由も、全て一つのことだと
「私の、大切な人がいる。だから行きます」
決意を新たにリューは再びその足を動かして17階層へ向かい走る。それもさっきよりも断然にスピードは上がっているが本人は気づいていない
「青春だね~」
「そんなこと言っている場合ですか!!?いつもモンスターが来るか分からないんですよ!!!!」
………………………………………………………………………………
「これは……私達だけじゃないのか…」
「…………………」
周りには冒険者が倒れている、それもアイズ達が受けたように体に力が入らない状態のようだ。意識はあるようでお互いに確認を取り合っている
「お、おい、近づくな‼あそこには階層主がいる!!!!!!」
「分かっている。連れを探しているだけだ」
未だに粉塵が立ち込めていて近くにいる冒険者ぐらいしか見えない。しかしここまで近づけば巨大な影らしいものだけは分かる
「ならさっさと見つけろ、あそこに近づくと
「巻き込まれる……だと?」
その言葉に疑問が残る。いまこの場所には多くの倒れている冒険者がいるのに、階層主と戦える人数も戦力もない。なのに今この冒険者は言った「巻き込まれる」と…
「おい、それはどういうことだ!!!!」
「な、なんだいきなり……」
「どういうことだと聞いている‼」
「な、何故かは知らねぇがゴライアスが暴れているんだよ。そこに何もいないのにまるで「幽霊」と戦っているような……」
「ッ!!ハジメ!!!」
すぐにその場所から走り出したらリヴェリアの後ろをアイズが追う。嫌な予感が当たってしまった。戦っているのだハジメが。レベル1であるハジメがゴライアスと戦っている。いくらレアな力だとしてもたった一人でゴライアスなんて………
「大丈夫…かな?」
「分からない、何もかも想定外過ぎて何も分からない。しかし大丈夫だと信じたい、ハジメなら大丈夫だと…」
「うん」