影が薄くてもダンジョンを攻略する。のは間違っているだろうか?   作:ガイドライン

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どうもです。
久しぶりに日間ランキング入り出来ました。
色んな人から評価や意見をもらい
「なるほどな~」と思いながら書かせてもらいました。
…………特に話すことがねぇー(笑)
それではどうぞ。




影が薄くても相手を困らせてしまう。

ギルドの応接室。

他の人に聞かれないように、知られないように密談するために使用している職員達。しかしその目的も忘れて、

 

 

「貴方は一体何をやっているのよおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

 

机を両手で思いっきり叩きながら明らかにギルド全体に響く大声を出すエイナ。しかしこれが黙っていられる内容ではない。そんなエイナに対してハジメは相変わらず無表情で

 

 

「良かったです。応接室全体に一時停止かけておいて」

 

「怒られる前提で話してたのね!!?ハジメ君は私を怒らせるためにダンジョンに潜っているのよね!!!??」

 

「いや、そんなことはしません」

 

「だったら毎回毎回ここに来る度に酷くなっていく報告をどうにかしなさいぃッ!!!!!!」

 

 

もう初めに会ったときのエイナ嬢ではないな、と思いながら息を整えるまで話すのを待っているハジメ。ここへいたのはもちろんあの冒険について話をするためである。そしていまゴライアスを()()()()()()()()を話したところである。

 

 

「でも今回はアイズ姉が飛ばされてしまって怒ってしまったので不可抗力です」

 

「まぁ、それは分かるんだけど……いくら怒ったからって階層主(ゴライアス)は一人で倒せないわよ……普通は………」

 

「それでは僕が普通ではないように聞こえます」

 

「………怒っていいのよね?大人数でも大変なゴライアスを一人で倒した人が普通だという人に対して私は怒っていいのよね?」

 

 

ブツブツ何かを言っているようだが、いま話しかけたらさっきよりも怒られられると悟ったハジメは再びエイナが落ち着くまで待つことにした。

 

 

「本当になんてことをしてくれたのよ……すでに冒険者の間ではゴライアスを一人で倒したって噂が飛び交っているのよ」

 

「事実ですから」

 

「そういうことを言ってるじゃないの!!ハジメ君はレベル1なのよ!!そんなレベル1が一人でゴライアスを倒すなんて……もしかしたら強引にハジメ君を自分達のファミリアに入れようとする所も現れるかもしれないのよ。幸いそのスキルのお陰でハジメ君ってことは誰も知らないみたいだけど……」

 

 

はぁ~とため息をつきながら頭を抱えるエイナ。そうこの功績は正式にギルドから周りへ情報が流れる。つまりはレベル1でゴライアスを倒したハジメの名前が明るみになるのだ。

 

 

「ファミリアの名前も出るからベル君や神ヘスティアまで巻き込まれるかも……って有名になる冒険者なら誰もが通る道なんだけど……」

 

「通りたくないですねその道は」

 

「私も同じ意見だわ」

 

 

名が売れれば狙われる。自分のファミリアの為だったり、自分の実力を試したかったり、倒したことにより自分の名を上げたりなど、有名になるということはそういうことが起きるのだ。

 

 

「まぁ、そこは追々考えます」

 

「気楽にもほどがあるわよ……でもそうね……やっぱりここは神ロキに相談したほうがいいわね」

 

「なるほど、責任を取ってもらうということですね」

 

「あのね…言い方があるでしょう。でもロキファミリアに護衛してもらえるならヘタに手を出す人もいないではずだから聞いてみたらどうかしら?」

 

 

確かに発音したはずだ「聞いてみたらどうかしら?」と。なのにハジメはジィーとこっちを見てくる。ジィーっと眉ひとつ動かさずに。

いや、これは以前にもあったような気がする。ううん、気のせいよね‼と言い聞かすエイナだがすでに頭の中にはもうひとつの大きな考えがあった

 

 

「よろしくお願いします」

 

「綺麗にお辞儀しないで‼!!イヤよ私は!!!!前だって大変な思いしたのになんでまた」

「ギルドのお仕事が終わる頃にお迎えにいきますので」

 

「人の話を聞きなさいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」

 

 

…………………………………………………………………………………

 

 

「そのあと思いっきり罵倒されました、ギルドから出るまで」

 

「貴方は……そうやって人で遊ぶのはやめたほうがいい」

 

「遊んでませんよ」

 

「本人にそんな気はなくとも相手が感じてます」

 

 

なるほど、と納得しているようだが本当に分かっているのかと思いながらリューはモップで床を磨いている。

昨日の夜に帰ってきたリューとハジメ。ロキファミリアは主神に報告があるとダンジョンから出たときに別れた。ハジメがゴライアスを倒した報告もあるが、もうひとつ「謎の集団脱力感」についてだ。

あれから三時間後、フィン達ロキファミリアのメンバーは何とか17階層までのモンスターを楽に倒せるぐらいまで回復した。幸い18階層以降に潜っている冒険者はおらず近くにいる冒険者は18階層へ、それ以外はダンジョンから脱出させないといけない。

脱出させるといってもこの17階層から地上まで、一体どれだけの冒険者が倒れているのだろうか……

と、普通なら悩むところだろうがここにはハジメがいるので

 

 

『………やり過ぎ…じゃないかい?』

 

『見過ごすわけにはいきませんので』

 

『いや…他にやり方かあるのではないか?』

 

『これが一番だと思いますが』

 

『じゃが、これじゃとワシら……』

 

『人命優先。言われた通りですよ』

 

『ダンジョンから抜け出すまでの我慢だ、みんな。

彼がいなければこの冒険者達は救えなかったのだから……』

 

 

そう我慢だ。倒れた冒険者の両手首にロープで縛り、中心の一本のロープに左右にロープが伸びてそこに先程の縛られた冒険者がついている。それはまるでというかそのままの「芋づる式」であり、各自冒険者達を引っ張っている。

 

 

『なんでこんなこと俺がしないといけないんだあああぁぁ!!!』

 

『ベートうるさいぃ!!!』

 

『でもこれを他の冒険者に見つかったら……終わりだわ……』

 

『うぅ…これ人さらいしか見えないですよ…』

 

『人助けですよ』

 

『うん』

 

 

この中で納得しているのはアイズだけのようだが、周りの反応が正しいだろう。まぁ結局はダンジョンから抜け出すまで誰一人見つからなかったのでみんな安心したようだ。それを思い出したハジメは正面をリューの方に向けて頭を下げながら、

 

 

「昨日は本当にありがとうございました」

 

「もういいですよ、トキサキさんが無事なら」

 

「分かりました。あっ、お弁当美味しかったです。またお願いします」

 

「は、はい。お粗末様でした」

 

 

近くにいるシルは「どんな会話をしてるんだろうー」と聞き耳をたてているが、持ち場を離れようとすると「ちゃんと仕事しな‼」とミアからお叱りを受けた。その周りからしたらなんとも初々しい会話をしている二人は気づいていない

 

 

「リュー姉、仕事終わったあと時間ありますか?」

 

「ええ、大丈夫ですが……」

 

「良かったらリュー姉の時間、僕にくれませんか?」

 

「………………………へぇ?」

 

 

なんともリューからしたら可愛らしい、ちょっと間抜けた声が出た。だってそれは言ってしまえばハジメからリューへの口説き文句のようなもの。

 

 

「な、な、な、な、なにを……」

 

「実は昨日の出来事についてロキファミリアの館で話し合いがありまして、僕としてはリュー姉に来ていただきたいのですが」

 

「……はぁ~……分かりました。行きましょう」

 

「どうしてため息ついてるんですか?」

 

 

なんでもありません。と少し感情を込めてしまったがハジメが気づくわけもなく。そのまま掃除も終わりあとは開店準備のために二人はそれぞれの持ち場に向かうのだが

 

 

「あっ、明日はリュー姉もお休みですよね、良かったら明日もお時間くれませんか?」

 

「構いませんよ、明日も話し合いがあるのですか?」

 

「いえ、明日はリュー姉と二人で買い物に行きますのでよろしくお願いします」

 

「…………………………ぇっ?」

 

 

完全に固まったリューを残してハジメは何事もなくその場から去ってしまった。残されたリューは周りから「ちょっとリュー!!!さっきのデートの申し込みじゃないの!!!?」「よくやった鉄仮面!!」「あんたら!!ちゃんと明日リューの勝負服を選びなよ!!!!!」と何故か豊穣の女主人は異常なほどの盛り上がりをみせた

 

 

……………………………………………………………………………

 

 

「で、なんでその二人は疲れきっているんだい?」

 

「お、お気になさらずに……」

 

「気にして頂けるなら、そちらのファミリアの子をもう少しどうにかしてもらいたいです……」

 

「……あぁ……それはごめんよ……」

 

 

黄昏の館の近くで待ち合わせしていたヘスティアファミリアとギルドのエイナと豊穣の女主人のリュー。で、集まったのはいいのだが何故かエイナとリューはすでに疲れきっていた。まぁ、ハジメがあんなことをすれば疲れも溜まるもの。エイナの主張はいいたくなるのも当然である。

 

 

「ベルベル、言われてますよ」

 

「「ハジメ君「トキサキさん「ハジメのことです!!!!!」」」」

 

 

おお~と揃った声に感動するハジメだが、全員から睨まれ大人しく黙ることにしたようだ。とにかくここに留まる必要もないためそのまま館に向かうことに。

ロキファミリアの冒険者の一人がロキの私室まで案内されて部屋へ透された。そこにはすでに昨日まで一緒にいたロキファミリアの一級冒険者達と主神であるロキがいる

 

 

「時間通りやな」

 

「悪かったね、昨日の疲れもあるだろうに」

 

「構いませんよ。僕よりリュー姉とエイナ嬢に」

 

「あぁ、そうだね。お二人には感謝してます。………ところで「嬢」というのは……」

 

「ふ、触れないでください……」

 

 

そういいながらギロッとハジメを睨むエイナ。どうやらこの「嬢」というのはこれからは言わないほうがいいのだろう。うん、無理だろうが。

 

 

「それで話し合いって何を話すんだいロキ?ここにギルドの人間までいれて何を話すんだい?」

 

「そんなんいうたらその子が悪者やんか」

 

「誰もそんなことはいってないだろう。だけど気になるだろう、わざわざ呼ぶなんて……」

 

「わ、私も気になります。自分にいうのもなんですがここにギルドの私がいるのは……」

 

 

ギルドはファミリアにとって欠かせないものではあるが、同時に煙たがるものでもある。ファミリアの為にいろいろ手助けはするが、何かあれば罰することもする。そういう所だと誰もが分かっていて、もちろんギルドの人間であるエイナも分かっている。

なのにそんなギルドの人間であるエイナを呼び出した。ロキファミリアに取って不利なことを話すかもしれないこの場所に。

 

 

「なんやエイナちゃんもウチに話し合ったんやろ。なら問題ないやろ」

 

「そうですが……」

 

「それにな別に後ろめたいことを話すわけやないで。むしろ前向きや、前向きや」

 

 

前向きや、と言われても誰も「本当に?」というような目でジッーとロキに一点に集中する。

 

 

「なんやその目は!!!」

 

「いや、ロキのことだからまた…」

 

「ぶっちゃけ信用出来ないんだよ、残念だったねロキ」

 

「うっさいわドチビ!!!!

ウチが話したいんは………もちろんトキサキ・(ハジメ)の今後についてや」


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