影が薄くてもダンジョンを攻略する。のは間違っているだろうか? 作:ガイドライン
他の方々の「ダンまち」を読んでいると早く更新しないといけないな~と頑張って更新させてもらいました。
しかし、すまないねストーリーが(笑)
それではどうぞ。
「追い付いたぞ、この糞パルゥム!!」
「手こずらせやがって!!」
「もう逃がさねぇ!!」
路地裏の行き止まり、運悪く追い込まれたパルゥムの子は冒険者達に囲まれて怯えていた。体格のいい比較的大きい剣を背負っている男が三人の真ん中に立ち、左右はごく普通の体格だがそれでも短剣などの武器を持っている。
「もう逃がさねぇからな………ッ!」
今にでも襲いかかりそうなほど怒り悪魔のごとき表情をしていた。それでも襲いかからないのはもう追い詰めたと分かってなのか、それともじっくりと恐怖をあたえるためなのか、それは分からないが男は目の前で怯えているパルゥムの子に手をあげようと迫る
「止めなさい」
が、その手がパルゥムの子に届くことはなかった。
芯のこもった鋭い声が、場に割って入ってきたのだ。
はっと振り向いた男の目に映ったのは「爆裂」だった。
「う、うわああああああああああ!!!!」
とっさに腕を顔の前で重ねてそのまま座り込んだ。見たものは木箱が爆発している瞬間だった。反射的に体が動き少しでもダメージを生き残る為の手だてをと動いたのだが、一向に衝撃が、爆音が、痛みが襲ってこない。
もしかしたら気づかない内に死んだのかと思い恐る恐る目を開いてみると、
「……はっ?」
一瞬の出来事が、死さえも覚悟した光景がなくなっていた。木箱も爆炎も爆音も衝撃も何もかもなくなっていた。
一体何が起きたのか?と呆然としている間、5分弱の間は追い詰めたはずのパルゥムの子がいなくなっていることに気がつかなかった。
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「上手くいきましたね」
「あんな使い方もあったのですね」
「これが本当の
相も変わらずに無表情だが何故か今はそれがどや顔に見えてしまい、これ以上何かを言ったら負けだと思ったリューはこの話を切り捨て、何が起きたのか分からずに放心状態であるパルゥムの子に話しかけた。
「大丈夫ですか?」
「……は、はい……」
「今は動揺して的確な判断は出来ないでしょうが、貴女はもう助かりました」
「……あ、ありがとう…ございます……」
助かった現実を言ったことにも関わらずにパルゥムの子はいまだに放心状態だった。それもそうだろう、冒険者達に追い詰められ暴行されると思った瞬間に「爆裂」を見てしまった。死を覚悟したパルゥムの子は目を力一杯に閉じて、迫り来る恐怖、現実から逃れようとした。
だがいつまで経ってもいまだに現実にいる感覚があった。ゆっくりと力一杯に閉じた目を開けてみると声をかけてきたエルフがいた。
そのエルフからもう助かったと言われても何がどうなったのか、何が起きたのかと頭の中がぐちゃぐちゃになり上手く整理がつかない。
「良ければ何があったのか教えて下さい」
「い、いえ…大丈夫です……」
「しかし…」
「本当に大丈夫です!!ありがとうございました」
そういってパルゥムの子は逃げるかのようにその場を去った。そしてそれがリューに更なる疑問を増やす。
(冒険者に複数で追われることなど、そしてあの態度。必ずしもあの冒険者が悪だとは言い切れないということですか……)
リューの考えはあのパルゥムが冒険者達にキレられ追いかけ回されるほどの
「どうしましょうかハジメ?」
後ろへ振り向くとそこにいるはずのハジメはおらず、変わりに壁に置き手紙が、正確には一時停止で硬化された紙が壁に突き刺さっていた。リューはそれを引き抜き書かれた内容を確認する。
【あの子が気になりますので追いかけます。この埋め合わせは近い内にしますので。】
そしてそのカードの裏面には【どんなことがあってもこれを出せば何よりも優先させます。】と書いてある。それを見たリューはクスッと笑い
「こんなことせずとも私は気にしてませんよ」
誰もその声は届かない、聞く人はいない。それでも無意識にその声をその人に伝えたかったのかもしれない。
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「…何だったんでしょうか、あのエルフは……」
月の光も、街の明かりも、部屋の灯火さえもなく、荒れた部屋の片隅で座り込んでいる。
あまり覚えてないがあのとき誰の声が聞こえたあとに爆発が……
それを思い出すと体が恐怖で震える。これが夢だったなんてやっぱり信じられない。だけどあの爆発の中自分はどうして無事だったのか?例えあのエルフが助けてくれたとしても無傷なはずがないのに……
なにも分からない。あのときは無我夢中だったが冷静になったいま、あの冒険者にやられそうになったことや突然の爆発が……思い出せばこれまでどうしてこんなにも辛い目にばかり合わないといけないのか……
どうして自分だけがこんな目に合うのか…どうして、どうして、どうして、どうして、どうして………
「……もう…いや………」
頭の中がぐちゃぐちゃで、何もかも投げ出したくて、でも
誰もいない部屋で一人、膝を抱えてすすり泣きが、静か深く部屋に響き渡る。
「………っ、いつの……間に………」
いつの間にか寝ていたようで頭が覚醒しないままリリは目を開けようとしたが何故か瞼の向こうが眩しい。それでもゆっくりと開いた瞳が見たのは闇を切り裂くような光だった。だがリリの部屋には元々外からの光が届かない。なのにどうして………
「……………エッ??」
何が起きたのか理解出来なかった。いま自分がいる場所が、あの廃墟と言っていいほどの部屋が、普通の部屋に変わっていることに。
すぐさまリリは玄関を出て自分が置かれている状況を把握することにした。もしかしたら誘拐でもされたのかと過ったからだ。しかし玄関を出た外の景色は変わらずに、振り替えればやはりリリが住んでいる廃墟と化した建物だった。しかし自分の部屋に戻ってみるとやはり綺麗になっているごく普通の部屋。
「何が……起きたんでしょうか……」
これは夢じゃないかと頬をつねるが痛みはあり現実でもあった。ではこの部屋の変わりようはどう説明すればいいのだろう??一通り部屋を見渡し調べてみたがリリの私物は全てあり、それどころか必要最低限のものさえも用意されてあった。
「こんなことをして……何が……」
何が目的なのだろう??と言葉にしようとしたがその時フッとテーブルに置いてある用紙を手に取った。
【女の子がこんな部屋で生活するなんていけません。勝手だとは思いましたが部屋をキレイにさせてもらいました。P.S.失礼かと思いましたがタンスの中を整理させてもらいました。で、あまり背伸びせずに年齢に応じた下着を…】
「余計なお世話です!!!!!」
用紙をぐしゃっと丸めて床に叩きつけるリリ。さっきまで悩んでいたことが一気にぶっ飛ぶほどの怒りが沸き上がってきた。今日は色々あったはずだったのにいまリリの中ではたった1つしか思い付かない。
「…何処の何方か知りませんが絶対に一発殴ってやります!!!!!」
どうでしたか?リリってそんなイメージがあったのですが可笑しくなかったかな?
はぁーGW中に更新出来たらいいなー❗