影が薄くてもダンジョンを攻略する。のは間違っているだろうか?   作:ガイドライン

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何とか書けました。
しかし7月上旬までは1回ぐらいしか書けないかも…
その分ちょっと長めに書きましたので、許してください。
あと新刊まだ読んでませんが楽しみです❗


影の薄さが暗躍には向いてます。

「あれベル様?今日はベル様のお仲間を紹介してくださるのでは?」

 

「それが……逃げられて…アハハ……」

 

「そうなんですか、そのお方照れ屋さんなんですね」

 

「そ、そうかも…アハハ……」

 

 

ベルはバベルの前で待っていた犬人(シアンスロープ)の女の子、リリルカ・アーデにハジメを紹介するつもりだったが()()()()()()()()()()()()

 

「まぁ、それなら仕方ありませんね

それで今日はどこまで進みましょうか??」

 

「そうだね…昨日結局9階層までしかいけなかったから、今日は11階層まではいきたいな」

 

 

その言葉に営業スマイルのリリの表情が固まった。それに気づいたベルは自分が「あれ?おかしいこといったかなー??」と不安になってきた。案の定リリはその固まった表情のままでベルに聞き直した。

 

 

「すみませんベル様。ちょっと疲れていたのか上手く聞き取れませんでした。何階層まで進まれるんですか?」

 

「……え~と、出来たら11階層まで……」

 

「ちょっ!!何を考えてるんですかベル様!!?」

 

「ひぃっ!!」

 

 

まさか女の子からこんな風に怒られるとは思っていなかったベルはリリの迫力にビックリした。一体何を間違ったのかと思い恐る恐る聞くことにした。

 

 

「ど、どうして……怒っているの?」

 

「どうして??どうして…って何を言ってるんですか!!

ベル様とリリはまだlevel1なんですよ!それを11階層なんて自殺行為にしか受け取れません!!

いいですか、11階層にいくとするなら少なくともパーティー3人以上でlevel2が一人いないといけません。それを二人でいくなんて…何を考えているんですか!!!」

 

 

確かにlevel1が11階層になんていくのはおかしい。せめてlevel2がいなければいけないのに、いくら二人でもその階層にいくのは自殺行為に等しい。

 

 

「いや、リヴェリアさんにとかフィンさんから大丈夫だって言われてるし……」

 

「言われたから行くなんて何を考えてるんですか!!」

 

「だって…ロキファミリアの一級冒険者からのお墨付き……」

 

 

その言葉にさらにリリの表情が険しくなり

 

 

「べ、ベル様!!それ騙されてますよ!!!オラリオ上位のファミリアの人が私達みたいな下位の人に何かをするなんてありえません!!あぁいう人達は私達をバカにしてるんです!!利用するだけして利用していらなくなったら捨てるんですよ!!」

 

「いや、そこまで言わなくても……」

 

「現実を見てくださいベル様!!!」

 

 

必死に訴えてくるリリにベルはそれ以上言葉を出せなかった。

 

 

「ご、ゴメン。それじゃ9階層なんてどうかな?」

 

「それでも不安要素はありますが…ベル様の戦い次第でしょうか?」

 

「えぇーと…よく分からないけど、リリ今不機嫌だったりする?」

 

「そう思うなら聞かないでください!!!」

 

「ご、ごめんなさい!!!」

 

 

ふん、とそっぽを向いてサポーターが冒険者を置いてダンジョンへ向かう。サポーターならそんなことはしない。冒険者のサポーターであるなら後方を歩くものだ。だがいまのリリにそんなことを考える余裕はない。

 

 

(これも昨日のアレが悪いんです!!もう本当に腹が立ちます!!!)

 

 

昨日のことを思い出して更にイライラしているリリ。その後ろにベルが付いてきているが、なにやら小声で何かを、()()()()()()()()

 

 

(どうしてこうなったんだろう……)

 

(ベルベルがおかしいことをいうからですよ)

 

(ハジメだけには言われたくないよ!!)

 

(心外ですね。まぁ、()()()()()あるんですが)

 

(そ、そうなの?)

 

(教えませんけど)

 

(教えてよ!それが分からないと冒険中ずっと気まずい状態が続くんだよ!!)

 

(そんなことを言われましても()()()()()()()()()()()()()())

 

(それってどういうこと?ってか「リーリ」って……)

 

 

「なにゴチャゴチャ独り言を言ってるんですかベル様!!冒険者なんですからリリより前を歩いてください!!!」

 

「は、はい!!!」

 

 

サポーターなら冒険者に対してそんな事をいうのか?とベルの頭にはなく、直ぐ様リリの前に移動して先導することにした。そんな二人の後ろを気配もなく、音もなく、一定の距離で歩いている姿(ハジメ)は見守るように付いていく。

 

 

……………………………………………………………………………

 

 

「ハアァッ!!」

 

 

ダンジョンの9階層、そこにはベルとリリの周りにキラーアントが5匹集まっていた。二人でのパーティーなら直ぐにでも逃げるべき状況なのだが、それに対してリリは意見を述べなかった。

この目の前で起きている戦闘は安心出来た。

襲いかかるキラーアントを最小限の動きで、それもとてもlevel1のスピードではないと思われる動きで背後を取り、その小さな体に合わないパワーでキラーアントを一刀両断。

そんなベルの背後から別のキラーアントが襲いかかってきていたが、まるで後ろに目があるかのように腕だけが反応してキラーアントの攻撃をナイフで受け止めた。そしてキラーアントの間接部分を的確に攻撃し動けなくなったところにトドメを討つ。

 

その流れるような戦闘にサポーターであるリリは全く動けずに、働かずにいた。この場合サポーターはベルへ死角からの攻撃をさせないように援護したり、撹乱させたりして冒険者により良い環境を作るのだが…

 

 

(ま、全くの必要なしですか…)

 

 

バベルの前で声をかけたときリリのようなサポーターを知らずにいたようだった。それにオドオドしたその態度に間違いなく駆け出しの冒険者だと思ったのだが、この戦闘を見てしまうとその考えは全否定することになった。

 

 

(本当に駆け出しの冒険者?こんな動きlevel2じゃないですか!!?)

 

 

こんなことを考えているとすでにキラーアントを倒し終わったベルが魔石を拾い集めていた。それを目にしたリリは表情が固くなり

 

 

(そうです。別にlevel2だったとしても関係ない。リリはやることがあるんです!!)

 

 

そのためにもまずはこの冒険者を、ベル様を油断させないといけない。あの腰にあるナイフ(ヘスティア・ナイフ)を手にするために。

するとそこへダンジョンの壁からキラーアントが産まれようとしているのを見つけたリリは、キラーアントの眉間にボウガンの矢を突き立てた。一撃では倒れなかったキラーアントは悲鳴に似た声を上げる。聞くにも耐えないその声を止めようともう一度矢を突き立てるとやっと絶命したが、

 

 

「ありがとうリリ。全然気づかなかったよ」

 

「いいえ。生まれ落ちたとしても今のベル様なら何の問題もないじゃないですか。むしろ壁にぶら下がった状態にしてしまって、魔石が取りにくくなりました」

 

「これなら……うん、僕が届きそうだから大丈夫だよ」

 

 

そういいながらベルをヘスティア・ナイフを手に取りキラーアントから魔石を取り出そうと近づく。これはチャンスだと判断したリリは

 

 

「ベル様ベル様。そちらよりこっちのリーチの長いナイフを…」

 

 

と、言おうとした瞬間にベルが持っていたヘスティア・ナイフが一瞬ぶれたように見え、そしてそれと同時にキラーアントが大きな音を立てて爆発した。

何が起きたのか分からなかったリリは呆然とした表情で瞳をパチパチさせながら

 

 

(な、なんですかさっきのは!!?

魔剣でもないのにキラーアントが爆発したなんて、いやそれよりもモーションが全く見えませんでした!!!本当にこの冒険者はlevel1なんですか!!?)

 

 

騒然としているリリのその姿を見て、仕掛けた張本人として、これは裏があると睨んだ。但しその瞳は、視線は届くことはない。例え()()()()()()送ったとしても。

 

 

…………………………………………………………………………

 

 

「…なるほどね、ベル君にサポーターか。

それも犬人(シアンスロープ)の女の子って……君達は女の子に出会うために冒険者になった訳じゃないかと疑ってしまうよ……」

 

「ええやんかドチビ、出会うためにダンジョンに潜る。これも立派な動機と違うか?」

 

「無責任なことを言うじゃない!!!第一ベル君には僕がいるんだあああああ!!!」

 

「分かった分かった、うるさいから黙れこのドチビ。周りの客に迷惑やろ、ホンマにうるさいやつや」

 

「なんで二度もうるさいって…ウゴッ」

「神様、それ以上はミア母さんに怒られますので」

 

 

神だろうが客に変わらないのだろう。ジッと睨み付けるミアの視線にシュンと黙りこんだヘスティア。そんな姿を肴に酒を飲むロキ。

流石に神二人だけではない。少し離れた場所にはフィン・ベート・アイズが席を取り食事していた。

今日は二人、いや()()と話がしたくて集まってもらった為、このお店を貸し切りにしてもらっていた。

機密というわけではないが他言無用ということでミアやハジメ、リュー、シルの少人数で対応している。

 

すると、そこにもう一人の神が現れた。

 

 

「へぇ、いいお店じゃない」

 

「いらっしゃいませ、ヘファイストス様」

 

 

ここに集まったのは神の集会でも滅多に揃わないメンバー。ついこの前その滅多にが起きたばかりだが、

 

 

「しかしこうして三人が集まるなんて奇跡やな」

 

「あぁ、ロキに賛同するのは癪だけどね」

 

「私はそうとは思わなかったわ。ハジメがヘスティアのファミリアで、そのファミリアがロキの所で一緒に住んでいるなんて。それだけで奇跡のようなものなんだからこうして三人で会うなんて必然みたいなものよ」

 

「「そんな必然はいらないよ(へんわ)!!!」」

 

 

ほら、息ピッタリ。とヘファイストス言うと睨み合いながらお互いこれ以上は無意味だと分かり、フン!とお互いそっぽを向いた。

 

 

「それで私達を集めた理由はなに?」

 

「今日ベルベルがサポーターであるリーリとダンジョンに潜ったんですが、どうやらリーリの目的はベルベルの神のナイフ(ヘスティア・ナイフ)を盗むためみたいです」

 

「な、なんだいそれは!!?」

 

「なかなか大胆なことをする奴やな~」

 

 

驚くヘスティアにそのサポーターに興味を示すロキ。

そしてヘファイストスは何かに気づいたようで

 

 

「なるほどね、だから私が呼ばれたわけね」

 

「??どういうことやヘファイストス?」

 

「悪いけどこれについては話せないわ。だからロキ、席を外してくれない?」

 

「おいちょっと待てや!!うちやってハジメに呼ばれたんや!!聞く権利はあるやろう!!」

 

「はい、ロキ様には後で聞きたいことがありますので。

それではロキ様、ご退場です」

 

 

するとアイズが席を立ち此方に近づいてきて、ハジメから袋を手渡しされた

 

 

「よろしくお願いします、アイズ姉」

 

「………うん」

 

 

そしてその袋には「ジャガ丸くん」と書いてある。

 

 

「賄賂か!?賄賂なんか!!?」

 

「………何のこと?」

 

「かわええ!!」

 

 

首を傾げながらジャガ丸くんを頬張って(隠蔽して)ロキを立たせて強制退場を執行。しかしなかなか見られないアイズの表情にメロメロなロキはそのままテーブルから離された。

 

 

「いいの?あんな扱いして」

 

「いいんじゃないのかい、ロキは喜んでいるみたいだし」

 

「それではお願いします。リーリが何故あの武器を狙うのか、そして()()()()()()()()()について教えて下さい」


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