影が薄くてもダンジョンを攻略する。のは間違っているだろうか?   作:ガイドライン

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ヤバイ、リュー成分が足りない。
ストーリー的に出しにくいがリューとイチャイチャしたい。
リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー、リュー……………

………はぁ、まだかな………




影が薄くて再び主人公無しのストーリーです。

「全く…何処にいったのじゃ手前の相棒は?」

 

「スキルがなくてもハジメを探すのは難しいですよね…よくダンジョンで離れ離れになることが多くて……」

 

「なんか笑い話になっとるようじゃが、ダンジョンでは命取りであることは分かっとるのか」

 

「それは大丈夫です。今まですっかり忘れていたんですけど、僕ハジメにこれを持たされているんです」

 

 

ベルの容態も良くなり地上へと戻ろうと思ったのだがいつの間にかハジメがいないことに気づいた。とりあえず周辺を探しているのだが全く見当たらずにハジメへの愚痴を言っていたところで、ベルが何かを思いだしポケットから小さな箱を取り出した。

 

 

「何ですかそれは?」

 

「ええーとね、赤いマークがあるからこれが爆発物で、こっちの黄色が閃光弾だったかな」

 

「………すみません、言っている意味が分かりません」

 

「あはは…僕も同じ反応したよ…」

 

 

苦笑しているベルを見て適当に言っている訳では無いことは分かったが言っていることは分からない。それをさせているのがハジメと分かっている椿は頭を抱えていた

 

 

「でも便利なんだよコレ。同じ階層で光を遮るものがなければ閃光弾で知らせるし、爆発物は…あまり使いたくないけどコレはコレで音とか振動とか凄いから」

 

「ハジメを見つけるのに大層なものを…」

 

「あっ、爆発物は階層主にダメージを与えられるぐらいはあるっていってたような……」

 

「手放せ!!それ危険なものじゃ!!!」

 

 

ハジメはおかしいと思っていたがもしかしたらベルもその影響を受けておかしくなったのか……

まるでコントをしている三人が一斉に何かを感じ取った。

 

 

「「!!!!??」」

「なっ!!?」

 

 

それは死に直結してしまうような圧倒的な殺気が、この霧の奥から襲ってきたのだ。その殺気に耐えきれずにリリは気を失い、ベルはやっとのことで意識を保っているが力が抜けて片膝を付いてしまい体が上手く動かせずにいる。椿は流石だというべきだろう、脂汗をかいているが体も動きおり現に気絶したリリの元へ駆け寄った。

 

 

「つ、椿さん、こ、これは…」

 

「分からぬ!!じゃがこの階層にいるべき存在がおるのは確かじゃ。逃げるぞ!!いくら手前が動けても勝てぬ!!!」

 

 

それは椿を含めてその気配()に挑んでも勝てないということ。一級冒険者がそんなことをいうことは間違いなく……

 

 

「何をしておる走るのじゃ!!」

 

「は、はい!!!」

 

 

リリを背中に乗せた椿は先頭をきって霧の中を駆ける。その後ろをベルが追いかけるがゆっくりと離されていく。

 

 

(やはりまだ体力が回復しきれておらぬのか……

このままでは追い付かれ…!!!?)

 

 

ベルの様子を見るため振り向いた椿はその先に迫り来るものを見た。()()がもうベルの近くまで近づいていた、それもものすごいスピードで未だにベルは気づいていない。もう考えている余裕などない!!

雑ではあるが背負ったリリを走りながら背中から落とし身軽になったところで一気にベルと()()の間に入り込んだ。

そこでベルも何かが起きたことに気づいたようだが、次の瞬間には目の前にいた椿は姿を消していた。

 

 

「………えっ?」

 

 

何が起きたのか分からず動きを止めてしまったベル。周りを見渡すといつの間にか吹き飛ばされ壁に激突している椿。口から血を流しておりビクリとも動かない。

椿の元へ近寄ろうとした時、頭ではなく体が勝手に反応したのだろう。何故か倒れるように姿勢を低くしたベルの上を何かが物凄いスピードで横切った。

それを感じ取ったベルは身体中から冷や汗を流した。すぐさまその場から離れて距離を取った。そしてそこで気づいた、椿は戦闘不能にさせてベルを襲ってきたものは……

 

 

「……ミ、ミノタウロス……」

 

 

その目に映るミノタウロスにベルの身体は震え始めた。甦る記憶、迫り来る恐怖と死を連想させる対象がいま目の前にいる。そして一級冒険者を一撃で戦闘不能に落とすほどの異常性。

 

 

(な、なんで……こんな…ところに……!!?)

 

 

思考が上手く回らない中ミノタウロスは先程の猛スピードではなくゆっくりとベルに近づいてくる。まるで恐怖というものを時間をかけて味合わせるように。

 

しかし恐怖はあるものベルは少しだけ心を落ち着かせ考える時間を手に入れた。昔のままのベルなら何も出来ずに殺られていただろう。しかし混乱の中、ある言葉がベルの心を落ち着かせることに繋がった。

 

 

……………

…………

………

……

 

 

 

(いいかいベル、人は恐怖する生き物だ)

 

 

ある訓練の休憩中だった。フィンから突然そんな話を振られた。いま思えば突然ではなかったのかもしれない。

 

 

(人が人である所以といってもいい。だから恐怖することを恥じることはないだ。怯えて、逃げ出しても、それは思考を働かせているからね)

 

 

ロキ・ファミリアの主力メンバーとの訓練。何度死ぬ思いをしたか覚えていないほどやりあった。向こうからしたらただの訓練なんだろうがベルにとってはまさしく自分の命を刈ろうとする恐怖の対象しか見えなかった。

特にベートが殺気を放ってくるのだ。何度逃げ出したくなったか……

それをフィンは感じ取ったのだろう。だからこうしてベルにアドバイスをくれたのだろう。

 

 

(だけどその恐怖に負けて思考を停止させてしまってはいけない。たった一秒でもそれをしてしまったら死に繋がることもある。

だから()()()()()()()()()()。心に深い傷を負うとも、現実から逃げ出したくとも、思考を止めなければ少なくとも最悪を回避することは出来る)

 

 

そしてベートの殺気は本物ではない。未だに経験していない本物の殺気を、恐怖をベルが味わった時にそこに誰もいなかったら間違いなくベルは殺られるだろう。

それを見越したのか、予知したのか、フィンは告げたのだ。

 

恐怖をから逃げるな。恐怖を受け止めろ。と

 

 

……

………

…………

……………

 

 

(お、落ち着け!!とにかく落ち着くんだ!!!)

 

 

震える身体、頭で分かっていても心が、体が目の前のミノタウロスという恐怖に怯えている。それでもその恐怖から逃げたら間違いなく三人は殺られる。

 

 

(どうすれば…どうすればいい!!?

考えろ!考えろ!!考えろ!!!思考止めたらダメだ!!!!

生き残るんだ!こいつから、このミノタウロス(恐怖)に勝って神様のところに帰るんだ!!!)

 

 

必死で考える中ミノタウロスはあと2.3歩というころまで近づいている。攻撃範囲内に入ったら危険なことは分かっているがそれでもベルは動かない。少しでも一秒でも思考を巡らせて生き残る手段を見つけるために。

 

 

(持ってるのは神様のナイフに閃光弾と爆発物。不意討ちの攻撃を避けたということはスピードは僕に優位なはず。それを生かして攻撃を……いや椿さんがやられたときは見えなかった!!過信して突っ込むと殺られる!!)

 

 

自分が持っているもの、自分の生かせるもの。それを最大限に活用して勝つしかない。

 

 

(違う!!こいつに勝たなくてもいいんだ!!!

まずは椿さんとリリを安全な場所に!!!)

 

 

方針が決まりすぐさまベルは手札の一つを使うことにした。あと一歩、ミノタウロスの攻撃範囲に入る前に小さな箱をミノタウロスの顔面目掛けて投げた。

もちろんミノタウロスはそれを防ごうと手を出すが()()()()()()()()()()

 

防ごうとした小さな箱はその手に触れた瞬間に眩い光を放った。まるで太陽を直視するかのように。

地下にいるミノタウロス達モンスターはこういう明るいところにいることはないため、わずかな光でも敏感に反応する。

 

だからそれを逆手に取った方法。

地上にいるベル達でも眩しい光をミノタウロスに直視させてまずは視界を奪う。

 

 

『ヴォオオオオオオオオオオウッ!!!!』

 

 

突然の出来事にミノタウロスは狼狽え我を忘れて暴れまわる。その被害はベルにもありいくら目を瞑っていても至近距離からの閃光は視界を奪ってしまう。バックステップでミノタウロスから距離を取り視界が戻ってきたところで椿の元へ駆け寄る。

 

 

「つ、椿さん!!」

 

「……… (っ…ぁ…ぁ)……」

 

 

何かないのかと椿の体をまさぐるベル。すでに自分の手元には回復材はない。でも椿さんならと思い失礼だと分かって、後で殴られる覚悟で女性の体を触る。

もちろんわざと胸や尻など触らないようにしているが今は緊急事態。未だに混乱しているミノタウロスがいつ襲いかかってくるか分からない今早くしないと!!

 

焦りながら数回胸に触ってしまった手がようやく何かを見つけた。ポケットから取り出すと安物の体力回復材。瀕死の椿に使っても大した効果はないかとしれないが、少しでも遠くへ逃げれくれるならと思いビンの蓋を開けて椿の口へ無理矢理流し込む。

 

 

「………………くっ……」

 

「…つ、椿さん!!」

 

「……て、手前は…無事じゃな……」

 

「僕の為に……椿さん、逃げて下さい。

僕が、僕がミノタウロスを足止めします」

 

「……な、何を…言っておる……」

 

 

瀕死から回復したといえども、未だに大ダメージは残ったまま。力の入らない手でベルの胸元を握り必死に言い聞かせる。

 

 

「に…逃げるのじゃ……アレはマズイ……

……一級冒険者言えども……あれはマズイのじゃ……

それを…手前がどうにか…出来るはずがない……」

 

「分かってます。でも全員が生き残るには…」

 

「……生き残るじゃと……」

 

「そうです!!まだ爆発物がありますからコレを使って……」

 

「…手前は…手前はまだ分からぬのか!!

………全員生き残るじゃと??…… (くっ)!甘えるな!!!」

 

「!!!??」

 

 

軋む体を無理矢理動かして気力を振り絞り椿は襲いかかるようにベルに詰め寄る。それをベルは驚きながら戸惑うしか出来ない。

 

 

「儂らを切り捨てろ!!すれば手前だけでも助かる可能性がある!!」

 

「な、な、何を言ってるんですか!!?みんなで生き残るですよ、そ、そうですよ!!

それにハジメを見つければみんな助かります!!!」

 

「……手前は………

…なら、なぜ助けに、ハジメはなぜ助けにこんのじゃ!!使ったんじゃろう閃光弾を!!!」

 

「そ、それは……」

 

「甘えを切り捨てるのじゃ!!

考えたくないのは分かる、じゃがハジメが来ないというきとは()()()()()()()()!!!

よいか!!!今は手前だけでも助かる方法を優先せい!!!」

 

 

一番考えたくなかったことを言われ動揺するベル。

そう閃光弾を使ったのだ。それなのにハジメが来ない。それはハジメがこの階層にいなければ意味はないがあの短時間で抜けるとは思えない。

 

なら、ハジメが来ないのは………

 

 

(ち、違う!!ハジメが…ハジメに限って!!)

 

「儂が時間を…稼ぐ……

あの娘は……抱えてゆけば重りに、重荷になる…

……冒険者となった時から分かっておるはずじゃ…儂らは……いつか……こうなることを……」

 

(ダメだ!!……諦めるな!!……思考を…思考を止めるな!!!)

 

「なら一番助かる可能性のある手前が生き残るのが筋じゃ……ヘファイストス様に…「世話になった」だけ言ってくれ……」

 

(……生き残るんだ…生き残るんだ!!

みんなで……みんな一緒に……)

 

 

「……頼むぞ……()()()()()()()……」

(生き残るんだあああぁ!!!)

 

 

椿が一歩踏み出した瞬間、ベルはその倍を、いや数倍先を進んでミノタウロスに突っ込んだ。

 

 

「やめるんじゃ!!!!」

 

 

椿の必死の訴えも聞かずに未だに視界を奪われ暴れまわるミノタウロスの攻撃範囲に近づく。

 

いま出来る事を、全員が生き残るために、

ベル持っている手札で、活路を見出だす。

 

暴れまわるミノタウロスの、じたばたさせる手足を、一度でも当たれば致命的になるその攻撃を、ベルはこれまでにもなく集中を行い、

 

 

(少しでいい!!懐に、ミノタウロスの懐に入れば!!!!)

 

 

僅かな、ほんの僅かな隙を見つけたベルはその体を無理矢理押し込めるイメージで突っ込んでいった。もちろんその隙はミノタウロスの手が足が動き回る僅かな隙間。

直撃とは言わなくとも掠めた攻撃はまるでオークの攻撃をマトモに喰らったような衝撃

 

 

「ぐっ!!!」

 

 

グッと堪えたベルは上手くミノタウロスの懐に入り込むことができた。しかし流石のミノタウロスも自分の懐に入られたりすれば視界を奪われても攻撃は出来る。

つまりさっきの混乱の攻撃ではなく、死を与えるための攻撃がベルに向かってくる。

 

だがその前にベルを片手をミノタウロスの腹部に向けて大きく息を吸い込みあの言葉を叫ぶ。

 

 

「ファイアボルトオオオオオオオオォォォ!!!!」

 

 

掌から放たれた炎雷(えんらい)は至近距離からミノタウロスの腹部へ直撃する。それにより攻撃をしようとした手は、体はその衝撃に耐えきれずに吹き飛ばされる。もちろんベルも衝撃に耐えきれずに吹き飛ばされるがゴロゴロと地面に叩きつけられながら勢いを殺して、体が止まったところで再びミノタウロスに向かって駆け出した。

 

ベルがミノタウロスに追い付いた時には、ミノタウロスの体は丁度地面に仰向けの状態で叩きつけられたタイミング。マウントポジションを取るためにミノタウロスの頭部へジャンプをして、

 

 

「ファイアボルトオオオオオオオオォォォ!!!!」

 

 

噛み千切られると分かっていながらベルのミノタウロスの口へとその手を突っ込み、その瞬間に魔法名を叫んだ。

先程の腹部にぶつけた時とは違う。分厚い肉の塊でダメージが通らない訳でもない。

 

()()()()()()()()()()

 

咄嗟に機転を効かせたのだ。マトモにやれば負ける。

でも自分にはこのスピードと魔法があると。

 

 

思った通りベルの放った魔法はミノタウロスの内側から壊していった。顎を、喉を、鼻を、目を、耳を、あらゆる箇所から炎雷が飛び出て、そして最後は頭部全てを吹き飛ばした。

 

 

「………はぁはぁ……ぐっ、はぁはぁ……」

 

 

ふらふらになりながら何とか立つことが出来ているベル。そしてその姿を、まるで夢を見ているかのような光景を椿が目撃した。

 

 

「あ、ありえん……なんじゃアレは……

……あれが本当に、駆け出しの冒険者というのか……」

 

 

話は聞いていた。ベルがフィンやガレスなどの一級冒険者に特訓をつけてもらっていたことを。

だが本当にそれだけで、一級冒険者でも危険と感じたミノタウロスを倒すことなんて出来るのか??

 

 

………ベル・クラネル、そして、ハジメ………

 

 

一体この、このファミリアは何なのだ………

 

 

戸惑う椿の共へベルはゆっくり近づいてくる。

そしてたどり着いたところで力尽きたように倒れこむベルを咄嗟に椿が受け止めた。

 

 

「…こ、これで、みんな………帰れます…」

 

「て、手前は……手前は……バカじゃ……」

 

「……ハジメよりも……ですか……」

 

「………いや、ハジメ方がバカじゃ…」

 

「……そうかもしれんの……」

 

「ですから……生きてますよ…ハジメは……」

 

「………なら、探さなければっっっっ!!!??」

 

 

何かおぞましいものを見たかのような衝撃と表情をする椿。その直後ベルも感じた、背後から甦るかのように殺気が充満していることに。

 

恐る恐る背後にある何かを確認するために振りかえるが頭ではあり得ないと考えているが、心ではずっと警戒音が鳴り響いている。

 

そしてその警戒音は正解となした。

ぶっ飛んだはずの、ベルのファイア・ボルトで跡形もなくぶっ飛んで死んだはずのミノタウロスが、

 

 

ミノタウロスの上半身が起き上がっていた。

 

 

確かに体は、全身地面に付いていてそして殺したはず。なのにいま目の前にはミノタウロスが首なしで上半身だけ起き上がっているのだ。

 

それだけでもあり得ない筈なのに、まるで生きているかのように、不自然さも無いかのように立ち上がったのだ。

 

 

そして無いはずの首から嫌な音が、不快に、気持ち悪くさせるような音が。

そして無いはずの首から吹き出す血が、マグマのように、冷えて固まるかのように、何かを形成するかのように。

 

その異常な出来事に時間が経つのを忘れてしまったのか、目の前で起きている出来事なのにいつの間にか無くなっていたはずのミノタウロスの頭部が生えていた。

 

 

「……なっ、なんで……」

 

「再生するモンスターは知っておったが……あり得ん!!頭部が再生など、ましてや、こんなにも早く!!!」

 

 

動揺を隠せない二人に対してミノタウロスは意識がハッキリしたのか二人を視界に入れると威嚇するかのように激怒し雄叫びをあげる。

 

 

『ヴォオオオオオオオオオオウッ!!!!』

 

 

そして体力も気力もない二人はその場から動けない。

ミノタウロスは生まれ変わったためか先程のダメージなど関係無いかのように、そしてベルを襲うとした時のように恐怖を与えるためにゆっくり行動するわけでもない。

 

ライオンがウサギを刈るかのように、

全力で目の前のものを殺るために、

一瞬で、刹那で、気づいたときには振り下ろされる拳。

 

椿は未だに抵抗するかのように目を見開き、ベルも諦めずにこの現実を受け止めるのように目を見開いて、迫り来る攻撃を受け止めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…大丈夫??」

 

 

しかしその攻撃は当たらなかった。

キチンと目を開いていたから何があったのか分かっていた。それでもこれは現実なのかと疑っている自分がいるが、

 

 

「ア、アイズ…さん……」

 

「もう、大丈夫だから。あとは、まかせて」

 

 

確かにこの目に映る人は、ベルが憧れているアイズ・ヴァレンシュタイン本人だった。


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