影が薄くてもダンジョンを攻略する。のは間違っているだろうか? 作:ガイドライン
「う、う……ん………」
「ベル様!?ベル様!!!!」
「……リ、リリ……」
ボヤける視界、その先には涙をボロボロと溢しているリリの姿が見えた。
体を起こそうとするがまるで鉄のように重たくて指一本動かせない。
「無理しない方がいい。
ついさっきまで生死の境をさ迷っていたんだ。
いまはゆっくり休むといい」
確かにいまベルは何も出来ない。
だけどまだ、まだ、やることがある。
「ハ、ハジメを…ハジメを探さないと……」
「気持ちは分かるがいまは安静だ。
ベート達がハジメを探している」
「だけど……」
「とにかく見つかるまでは安静することだ。
それにいま君が行ったところで何が出来るんだい?」
「………分かりました……」
理解はしたが納得していない。
それは明らかに分かっていた。
だが、いま行かせるわけにはいかない。
「フィン、その指……」
「あぁ、かつてないほど震えているよ……
……この階層でなることはまずない。
ならいまハジメがここにいないことと関係していると思って間違いないだろう」
「それほどの敵と……」
その瞬間、いや刹那、ダンジョンの壁が大きな音をたてて爆発し、衝撃に目を開けていられないフィン達の横を何がものすごいスピードで通りすぎた。
それは壁にぶつかり止まったが、そこにいたのはさっきまで探していた
「ハジメ!!!??」
「……くっ、ベ、ベル……」
そこにいたのは
あり得ない状況だった。
ハジメが吹き飛ばされたというだけでも衝撃的なのに、あのハジメがダメージを受けているなんて…
「おい‼ なんださっきの爆発音は!!!」
「ハ、ハジメ!!?
ええ!!? もしかして怪我してるの!!」
「信じられない……」
「ハジメが……ケガ……」
爆発音で戻ってきたベート達はケガをしているハジメを見て驚きを隠せないでいた。
それはそうだ。
いままで一回も攻撃が通ることもなく、ましてやケガなんて見たこともなかった。
なのにいま目の前にはケガしているハジメがいる。
「アイズ姉にベベート……
……皆さん…ここから…逃げてください……」
「おい‼何があっ…」
最後まで言葉を言い終わる前に先ほどハジメが飛び出てきたダンジョンの壁が、瓦礫の山が吹き飛ばされ粉塵の中から何かがこちらに近づいてくるのが見える。
そして粉塵も晴れていき少しずつ姿が見え始めると、その者は身体を覆うマントからでも分かる華奢な体つきで、顔が見えないほど深くフードを被っていた。
一体誰なのか分からないが近づいてくるその者に警戒していたのだが、誰かが近づこうとしたのか、後退りしたのか分からないがその一歩が
「なっ!!?」
「これ、って…」
「………き…ました…」
世界が遅くなった。
いや、違う自分達が遅くなったんだ。
それに気づくのにはそんなに時間はいらなかった。
何故なら経験しているからだ。
ここよりも深い階層で、こんな風に経験した。
「だ、団長……」
「…あ、あぁ…」
「こいつは…キツイの……」
「以前よりも…強い……」
フィンやベート達と同じようにあの時動けたアイズとリヴェリアさえも今動けずにいる。
指一本動かすのにも出来ない状況。
そしてそんな中をフードを被った者は何事もなかったように歩いている。
「……あれが……」
「……元凶って…わけね…」
「…くそ…が……」
「……うぅ……」
誰もが動けない中をフードの者はハジメに近づいていく。
阻止をしようにも動けない体を動かそうとするが筋肉の痙攣さえも起こせないほど動かない。
「無理に動かない方がいいわよ。
一時停止とは違って
とはいえ、そんな事が出来るわけもなく相手を睨み付けるしか出来ない。
フードの者はそのまま進みハジメの前に後何歩かというところで、
「………くっ……」
「……べ、ベル…??
……何を…やって……」
ふらふらになりながらもベルを
「この影響化でも……
……そう、貴方がその子と同じファミリアなのね」
何か考える顔をしている仕草だったが表情はフードによって見れない。
ベルも警戒を緩めないようにしてきたのだが
「でも、いまは邪魔よ」
手を前に、ベルに向けて、でも掌は完全向けられてはおらず、どちらかというと地面に向けているかのように……
そんな動作をした瞬間にベルの体がまるで地面に押さえつけられるかのように、上から何かで押さえつけているかのように叩きつけられた。
「ガアッ!!!」
体を動かそうにも
そしてフードの者はその掌を右へと向けるとベルの体もそれに合わせるかのように、地面を抉りながら壁に激突するまで吹き飛ばされた。
「…べ、ベル……」
もう限界だったベルは壁に激突したあとまだ押さえつける力に抵抗したが力尽き気絶してしまった。
ベルの事を気にしていた間に2つの大きな音が聞こえてきた。
その方向を見るとハジメの近くにいたアイズとベートも壁に吹き飛ばされた。
「…く、くそが……なんだ、これは…」
「……うごけ、ない……」
一級冒険者でもその力に逆らえない。
それでも必死に動かそうとするが更にその力に押し潰される。
「邪魔しないでほしいわ。
私はまだこの子に用があるの」
そういってフードの者はハジメに近づく。
そしてハジメも力を振り絞って立ち上がろうとするが、体はふらふらしており立ち上がるのさえも限界ではないかと思わせる。
「手足の骨を粉々にしたのに…
そういう
「……舐めないで…ください……」
分かっている。
戦っている時に何度も何度も骨が砕ける音が、衝撃がきたことを。
それでもすぐに一時停止で無理矢理繋ぎ止めているが
そして激痛は自動による一時停止で止めているが体力的にも精神的にもハジメはもう限界に近かった。
それでも立ち向かうのは冒険者だからなのか?
自分でも答えを見いだせないがいまは戦うだけだと、ポケットから薄い紙を取り出した。
「……はぁ、無意味って分からないかしら?」
相手が言っていることは分かるが抵抗しないわけがない。
紙を一時停止で硬直させて手首のスナップで相手に向けて飛ばす。
その時衝撃を解除させて回転とスピードを強化された紙はあらゆる物に突き刺さり、物によっては切り裂き貫通させるほどのもの。
だが、
「私は貴方と
紙はフードの者に近づくにつれてスピードを落として行く。
そして一メートル手前で、僅かに動いているだけ。
空中で、回転しながら、ゆっくりと。