影が薄くてもダンジョンを攻略する。のは間違っているだろうか?   作:ガイドライン

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どうもー!
早めの更新出来ましたー!!

さて始まりました、新しい章が!!
一体ハジメはどんな運命を辿っていくのか?





time4 無くすことを恐れず、突き進むために。
影が薄い時でも人は何か為に頑張れる。


カンカン

カン高い音が部屋全体に鳴り響く。

何度も打ち付ける鉄は赤く時間が経つに合わせて黒く染まる。

しかしその前に業火にその鉄を入れ込み、また真っ赤に染まった鉄を金槌で打ち込む。

 

それを何度も繰り返し、繰り返し、繰り返し。

いつ終わるのかときが遠くなるほど時間を費やしてもまだ打ち続ける。

 

 

そんな中、コンコンとドアを叩くが聞こえた。

その音で誰が来たのか分かったとしても振り向かずにまだ打ち続ける。

 

 

 

「なんじゃい主様。

もう一週間も経ったと言うのか?」

 

「そうよ。

ずっと打ち続けていたのね……」

 

 

 

一週間前。

椿は工房へ籠るとヘファイストスに告げていた。

それはたった一人の為の武具を作るために。

その為には誰にも邪魔をされずに集中する必要があった。

かといっていつ終わるか分からない作業を見過ごすわけにも行かずにこうして一週間後のこの日に様子を見に来たわけである。

 

 

 

 

「打ち続けなければこの鉄は死ぬからの」

 

「分かっているとは思うけど、もう貴女も限界なのよ。

一緒に心中するつもりじゃないわよね?」

 

「なわけがあるか。

……しかしもう少しなのじゃ……

やっとこの鉄に馴染んできたからの」

 

「そう。

ならこれ以上は言わないけど私も見届けさせてもらうわ」

 

 

 

そういってヘファイストスは椅子に座り椿の作業を見守る。

 

 

カンカン、カンカン

 

 

止まることない一定のリズムを刻みながら打たれる鉄に、少しずつ少しずつある素材を加え続けていた。

 

それは()()()()()()()()()()

それは燃えている鉄に触れるとまるで時間が止まったようにその部分が動きを止める。

 

椿をその場所を叩き続ける。

何度も何度も叩き続ける。

すると少しずつ、ほんの少しずつではあるが鉄に染み込んでいく。

 

 

 

 

「なかなか厄介な素材みたいね」

 

「素材の元がアレだからの

ったく、こんなに先が見えぬ物を作るのは初めてじゃ」

 

 

 

 

そういいながらも椿は嬉しそうに鉄を叩く。

今まで経験したことのないもの。

それは鍛冶師(スミス)として心踊るもの。

出来上がったものが一体どんなものになるのか打っている者すら分からない物。

だが間違いなくそれは今までの中で最高のものが出来ると確信している。

 

 

 

 

「手前は、これを打ち抜く」

 

「ええ」

 

「あやつを守るものは()()()()()と言わせる、思わせてやる」

 

「そうね」

 

 

 

鍛冶師としてプライドをズタズタにさせられた。

しかしそれ以上に見返してやりたいと思った。

今までは頼まれたもの以上のものを作ったり、自ら思い作った物を試したりした。

 

しかしこんなにも悔しくて、こんなにも高揚したことはない。

 

だからこの鉄は、この鉄を、最高の物にするために。

 

 

 

 

「手前を最高の鍛冶師(スミス)と言わせてやる!!!」

 

 

 

 

 

…………………………

 

 

 

 

 

「おはようございます」

 

「おはようございます」

 

 

 

黄昏の館、門の前。

日も昇らない朝早くからハジメとリューは待ち合わせをしていた。

リューに説教されてから毎日トレーニングをしている。

ロキ・ファミリアでもトレーニングは出来るのだが、()()()()()()()()ハジメを制御出来るのはリューしかいない。

 

正直リューとしてもこうしてハジメと入れる時間が増えて、心なしか嬉しい様子であるとバイト仲間から話が上がっているが、そのことは絶対にリューの耳に入らないように細心の注意を払っている。

 

 

バレたらツンデレ所ではない。

真っ赤になった顔が元に戻るまでモップを振り回して周りを壊してしまう。

 

 

ということで、こうして二人で誰もいないだろう時間を見計らって集まっている。

 

 

 

 

「今日は東側を走りましょう。

そのあとはいつも通りです」

 

「分かりました」

 

 

 

自分でもこの症状(行動)をどうにかしないといけないことは分かっている。

分かっているがこれはどう鍛練すればいいのかさっぱり分からない。

その前に鍛練でどうにかなるものなのか?

鍛練をするにしても精神的に鍛えるものなのか?

 

こんな風に悩み始めると周りが見えなくなるなり、ハジメが呼びかけるまで瞑想していた。

 

 

 

 

…………………………

 

 

 

 

「ふはぁ~……」

 

「おはようございます神様」

 

「おはようベル君……

……ハジメ君はまだ帰ってきてないのかい?」

 

「みたいですね」

 

 

 

寝ぼけ眼で起きたきたヘスティアに挨拶をするベル。

そこにはまだ朝の運動に出掛けたハジメの姿はなかった。

 

するとそこに勢いよく扉が開き、近くにいたヘスティアを吹き飛ばして入ってきたのは

 

 

 

「ぎゃぁっ!!!」

 

「おはようさん!!!

……なにしてんのやドチビ?」

 

「お前が僕を吹き飛ばしたんだよ!!!

なんだい朝から喧嘩でも売りにきたのかい!?」

 

「そんな暇なことはせんわ。

ウチは親切に教えにきてやっただけや」

 

 

 

そういってロキは一枚の紙をヘスティアに見せた。

そこには2つ名を決める会議が開かれると書いてあった。

 

 

 

 

「……うわっ」

 

「おいおい。

いまドチビの顔が酷いことになっとるで」

 

「いや、ベル君が()()()()()()()()ことで来るとは分かっていたけど……」

 

「なんや。

そんなに2つ名が付くのが怖いんか??

まぁ、悪いようにはせんわ」

 

 

 

あははは、と笑うロキだがヘスティアは浮かない顔のままである。

ベルもベルアップした時に聞かされており、正直ウキウキしていたのだが、ヘスティアの様子を見て何かあるのかと不安になり

 

 

 

 

「か、神様……

…そんなに酷い2つ名になるんですか……」

 

「それは僕が全力で阻止するよ!!!」

 

「ならどうしてそんな顔をされているんですか?」

 

「……いや、これで間違いなくターゲットにされるんだろうなーと思うと……胃が……」

 

 

 

 

それは2つ名が付くぐらい実力も付き、さらにベルはあのアイズ・ヴァレンシュタインのレベルアップよりも早くレベルアップしたのだ。

 

これからは狙われることになる。

それもいまよりも、色んなものに狙われる。

 

それは元より覚悟はしていた。

ベルが冒険者になってから考えていた。

 

 

だが、それでも想定出来なかったことがある。

いや、想定することを()()()()()()()が起きた。

 

 

 

 

ヘスティア・ファミリア

 

ベル・クラネル

レベル1→レベル2

 

ハジメ・トキサキ

レベル1→レベル2

 

 

 

 

「……痛い…胃が……痛い……」

 

「か、神様!!?しっかりしてください!!」

 

「まぁ、しゃあないか…

ウチも望んどったけど…これからの事を考えるとな……」

 

 

 

 

さて、何でこうなったのか……

それはハジメが全快して次の日、ステイタス更新から始まる。


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