影が薄くてもダンジョンを攻略する。のは間違っているだろうか?   作:ガイドライン

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あれ?
タイトルの「余念」の使い方あってるかな?
まぁ、いいか。
それではどうぞ!!!!






影が薄くても準備に余念はありません。

「いや、『改宗(コンバージョン)』はさせない」

 

「なっ!!?

どうしてなんだいソーマ!!

君にとっても悪い条件ではないはずだ!!!」

 

 

 

まさかの返答に驚くヘスティア。

ティオネ、ティオナも驚いているなかでヘスティアがソーマに理由を聞こうと躍起になる。

 

 

 

「これだけのドロップアイテムがあるのに……」

 

「あったとしてもさせられない。

リリルカは私の眷族だ。

それだけで十分ではないのか?」

 

 

 

それを言われると何も言えない。

きっと同じ状況におかれたら同じ事をいうと思ったのだ。

そしてそれだけ眷族を愛している。

 

だがソーマは違う!!

なんて言葉を並べてもそれは証明出来ない。

もしかしたら眷族を…と思うと何も言えなくなる。

 

するとソーマがゆっくりと立ち上がり

 

 

 

「しかしそれではヘスティアも納得しないのだろう?」

 

「あ、あぁ…」

 

「リリルカに聞かないと分からないが、もし抜けたいとリリルカがいうなら……ある条件で『改宗(コンバージョン)』してもいいだろう」

 

 

 

…………………………

 

 

 

 

「えっ?」

 

「言った通りだ。

リリルカ・アーデ、ヘスティアの元へ『改宗(コンバージョン)』したいのか?」

 

 

 

突然現れたソーマとヘスティア達に驚いているリリは、さらにソーマからの言葉に驚きを隠せないでいた。

 

 

 

「そ、それは……」

 

「正直に話すんだリリルカ・アーデ」

 

「……ヘスティア・ファミリアにいきたいです」

 

「理由を話してもらおう」

 

 

 

何が目的なのか分からないがどうせ神様の前では嘘は分かってしまう。

なら自分が思っていることを話そうと決めたリリは

 

 

 

「私は、私はベル様に、ハジメ様に救われました。

小人族(パルゥム)と、サポーターいうだけで蔑んだ人達と違い、私を見て私と話してくれて、私を助けてくれた。

リリはそんなヘスティア・ファミリアの元へ行きたいのです!!!

 

お願いです、ソーマ様!!

リリをヘスティア・ファミリアの元に行かせてください!!!!」

 

 

 

思いのこもった言葉をソーマにぶつける。

するとソーマは無言で部屋から出て行き、少したったら何かを持って戻ってきた。

 

 

 

「これを飲み、同じことが言えるかリリルカ・アーデ」

 

「こ、これは、神酒(ソーマ)……」

 

 

 

神の名が付くほどの名酒。

そのほどこの酒は人を狂わす。

一口飲んだだけで()()()()何もかも捨ててでもこの酒を飲もうと躍起になる。

そしてそれは命を落とす結果になろうともだ。

 

ソーマ・ファミリアはこの神酒を基盤に動いている。

誰も彼もが酒を飲みたいがために動いている。

 

そんな酒をリリが飲む。

人を狂わせる酒を飲めとソーマが言う。

 

これを飲み、同じような言葉を、思いを言えるか?

人を狂わせる神酒の飲み意識を保てるか?

 

 

そんな無謀なことをリリにさせようとしている。

 

 

しかし飲まなければ何も変わらない。

なにより自分を変えるために飲むしかない。

そう決めたリリはソーマから神酒を受け取り、杯に酒をつぎ

 

 

 

「頂きます」

 

 

 

酒を口に含んだ。

次の瞬間、全身からこの神酒を飲みたいと求める欲求と酒に溺れてしまうほどの幸福感、意識を保てなくなるほどの目眩が一気に襲いかかってきた。

 

どうしようもなくふらつく身体を必死に堪えて、深い霧で抜け出せなくなる位に意識を持っていかれそうになる。

 

 

 

 

(………リリ…は、……リ、リは……)

 

 

 

それでも意識を保とうするのは消え行く意識の中にベルとハジメの顔が浮かんできたか。

それを掴もうと必死にリリはもがいて、足掻いて、手を離してしまいそうになる意識を繋ぎながら、

 

 

手を伸ばす二人の手に向かって、その手を伸ばして

 

 

 

 

「………い、か……」

 

「!!!??」

 

「……行かせて…ください……」

 

 

 

 

はっきりと聞こえた、リリの思いが。

神酒に打ち勝ちいま求めている思いをソーマへと。

 

 

 

「………ヘスティア」

 

「なんだい、ソーマ」

 

「これは取引だ。

私はヘスティアが持つ()()()()()()()()()()()()

代わりにヘスティアが望むリリルカ・アーデを差し出そう」

 

「……いいのかい、ソーマ?」

 

 

 

何も言わずに頷く事をみて安心したのかリリはそのまま倒れこんだ。

すぐさまティオネとティオナが介抱に向かい、ハジメはリリのもとではなくソーマの前にたち

 

 

 

「もう一つ取引をお願いします」

 

「まだ私から奪う気か」

 

「いいえ。

僕がやってしまった貴方の眷族への仕打ちを帳消しにして欲しいだけです。

もちろん、僕もその神酒を飲みます」

 

 

 

そういってソーマから神酒を奪い取り、瓶ごと一気に口に流しこんだ。

「何をやっているんだ!!」と止めるヘスティアを無視してハジメは最後の一滴まで神酒を飲む干した。

 

ハジメの行動に驚き言葉も出せずにいたソーマへ

 

 

 

「意外に甘い感じなんですね、神酒というのは」

 

 

 

平然と、ただ水を飲んだように、言葉を放った。

その姿に思わず笑いだしたソーマ

 

 

 

「アハハハハハッ!!!!」

 

「ソ、ソーマ……」

 

「面白い眷族を持ったものだなヘスティア。

いいだろう、我が眷族への仕打ち手を引こう。

しかし、間違いなく戦争遊戯(ウォーゲーム)は参加し仕返しと狙ってくるぞ。

 

それを分かって提案しているのだな?」

 

「元々戦うわけですので問題ありません」

 

「そうか、ならばもう言うまい」

 

 

 

そういってソーマは部屋から出ていこうとしたが立ち止まり振り向かずにリリへと

 

 

 

「いままで、悪かったなリリルカ」

 

「……ありがとございました、ソーマ様」

 

 

 

 

…………………………

 

 

 

 

「規格外だとは思ってましたが想像以上でした。

まさかあんないっぱいドロップアイテムを集めるなんて……

それに神酒をイッキ飲みして平気なんて……」

 

「普段お酒飲むときは無意識に一時停止解除してますけど、流石神酒というだけのものですね」

 

 

 

 

なんで上から目線なんですか!?とツッコミを入れたかったが、入れたら負けだと思いグッと堪えた。

 

 

 

「しかしどうやってあんなに沢山のドロップアイテムを集めたんですか?」

 

「集めたのは私達なんだからね!!」

 

「そう、ハジメはただモンスターを倒していただけ」

 

「いやいや、ただモンスターではなくウダイオスは迷宮の孤王(モンスター・レックス)ですよね!!?」

 

 

 

ティオナに背負われて帰宅している四人。

ヘスティアは用事があると一人でどこかへ向かったがすぐ近くだからと護衛をつけずに走り去った。

 

そしてドロップアイテムの経緯を聞いたら本当に想像以上のことで頭が痛くなるリリである。

 

 

 

「……あぁ~そうだったねー」

 

「……なんか、ハジメといると全部ただのモンスターに見えてくるのよねー」

 

「遠い目をしないでください!!!

現実逃避はダンジョンでは命取りですよ!!!!」

 

「大丈夫大丈夫!!

ほら、攻撃がきても全然痛くないし」

 

「私達はただドロップアイテムを集めれば……」

 

「ハジメ様!!!!

お二人に何をしたんですかああああああぁぁぁ!!!!!」

 

 

 

間違いなくこの姉妹にトラウマ的な何かが生まれたと言える。

 

 

 

…………………………

 

 

 

 

「どうしたのかしら、ヴェルフ?」

 

「お別れを告げにきました」

 

 

 

ヴェルフはヘファイストスのいる部屋に入り、用件を手短に確実に伝わるように言い放った。

それをヘファイストスは分かっていたように驚きもせずにゆっくりと立ち上がり、ヴェルフの前に立ち問いかける。

 

 

 

「来るとは、思っていたわ。

でもそんな事許すとでも思う??」

 

「ここで行かなければ貴女はきっと叱りつけてくるでしょう。

俺を【ヘスティア・ファミリア】にの元へ行くことを許してください」

 

 

 

改めてハッキリと口に出して告げた。

それに対してわざと聞かせるかのようにため息をついたヘファイストスは

 

 

 

「どうしてそこまでするの?

今回の戦争遊戯(ウォーゲーム)は『改宗(コンバージョン)』せずとも参加することが出来る。

どうして私も元を去ってまでいく必要があるのか説明してくれるのよね?」

 

 

 

負けた場合のペナルティを差し引いても、『改宗(コンバージョン)』する必要はない。

ヘファイストスの問いにヴェルフは笑い、

 

 

 

「友のため」

 

 

断言された言葉に、ふっとヘファイストスも笑みをこぼす。

 

 

 

「いいわ。許しましょう」

 

 

 

ヘファイストスはいくつもの金槌(ハンマー)が並べられた棚に近づく。

自身の髪、そして瞳の色と同じ、紅の鎚を彼の眼前に突き出す。

 

 

 

「餞別よ。持っていきなさい」

 

 

 

鍛冶師(スミス)(ぶんしん)を差し出し、送り出すヘファイストスに、ヴェルフはもう一度笑みを浮かべ

 

 

 

「お世話になりました」

 

 

 

ヴェルフは迷いない足取りで部屋を後にし、崇敬する女神のもとを発った。

 

 

 

 

…………………………

 

 

 

 

「もっと渋るかも思ったがの」

 

「趣味が悪いわよ椿」

 

 

 

ヴェルフが去ったあとに入ってきたのは椿。

そしてヘファイストスはどこか嬉しそうに微笑んでいた。

 

 

 

「それは悪かったの。

聞くつもりはなかったのだが」

 

「それだけじゃないでしょう。

あの子、目に迷いがなかったわ。

今までずっと迷い苦しみ、もがき続けたあの目が輝いていた。

一人じゃあの迷いは抜け出さなかったはずよ」

 

「それはヴェル吉をバカにしすぎじゃ。

あやつならきっと自分自身で越えれた壁。

手前はちょっと後押ししただけじゃ」

 

「そういうことにしてあげるわ」

 

 

 

 

…………………………

 

 

 

 

「ほ、本当かいタケミカヅチ!!!」

 

「あぁ、助けてもらった礼だ。

全団員とはいかないが一人、どうしても恩を返したいと言ってくるものがいてな」

 

 

 

狭い街路に面して建てられた古ぼけた集合住宅。

そこには六名の団員達と慎ましやかに暮らしている派閥(ファミリア)本拠(ホーム)の中で、ヘスティアは一人である交渉にきていた。

 

 

 

「今回の戦争遊戯(ウォーゲーム)、『改宗(コンバージョン)』せずとも参加出来る。

もちろん同じように団員を奪われる可能性がため、人数は限られてくるがそれでもいいのか?」

 

「もちろんだ!!!」

 

「そうか、では(ミコト)!!!」

 

「はい、タケミカヅチ様!!!!」

 

 

 

立ち上がった女の子はタケミカヅチ・ファミリアは、ついこの前というよりも昨日ヘスティア・ファミリアに助けられたのだ。

 

 

 

「ハジメ殿に救われたこのご恩、精一杯やらせてもらいます!!!!」

 

 

 

多くのモンスターに囲まれていたところをハジメが助けた。

本人としては「何かあったのかな?」と興味本位で助けただけなのだが、命にとっては大恩義を感じているのだ。

 

 

 

「それじゃよろしく頼むよ命君」

 

「はい、よろしくお願いします!!」

 

「ヘスティア、人数も必要だが勝てる秘策などはあるのか?」

 

「どうなんだろうね。

でもなんだろう、ハジメ君なら何かしてくれるだろうと思ってるんだよね」




あれ、ソーマって本編より明るい感じというか話が分かる人にになったかな?
その分、眷族が眷族だからなー

それと命、どう関わらせようかなーと思ったけどなんかヴェルフォードみたいに簡潔に終わったな。
しかし命とハジメか……
なんか水と油みたいに合わなそうなイメージがある。

まぁ、なんかなるでしょう(笑)



~追記
リリルカ・アーデを、リリカル・アーデと何度も間違えましてすみませんでした。


リリ「ハジメ様と同じようにわざとではないのですか!!!?」

ハジメ「わざというか真剣です」

リリ「たちが悪ですよ!!!」


みたいなやり取りがあってますが、作者として本当にすみませんでした。





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