影が薄くてもダンジョンを攻略する。のは間違っているだろうか? 作:ガイドライン
お久しぶりです。
さて次の展開、誰が予想できたか…
書いた本人も予測出来なかった(笑)
それを踏まえて読んでくださいね。
「本当にスゴいですね神様ッ!!!」
「そうだろう、そうだろう!」
「別に神様が何かしたわけではなく、頼んでここまで仕上げてもらったので感謝するならそちらにいうべきではないかと。ちなみに無駄遣いしないように管理したのは僕とリーリですが、そこに関してはいうことはありませんか?」
「……ありがとう、ございます!!!」
館内を散策して全員が集まった大広間。
気分よく誉められたと思ったら横から大きな落とし穴に落ちていき気分が落ち込んだヘスティア。
実際この館にかかった費用はヘスティアがバカみたいに金をつぎ込んだ金額の約1/3は削減されたのだ。本当に感謝してもらいたい。
そしてその残りのお金は
「しかし…ハジメ様が気づいてくれて助かりました…
まさか…1億5000ヴァリスもあるなんて……」
「そ、それは個人的な借金だから…」
「何を言ってるんですかッ!!!
神ヘスティアはこのヘスティア・ファミリアの顔になるんですよ!!いくら個人の借金でも周りからしたらファミリア全体の借金だと思われるぐらい分からないんですかッ!!!!!」
「リリッ!!落ち着いて!!!」
キレても仕方ないと思う。
「はぁはぁ……はぁ~……
…本当にハジメ様に感謝してくださいね。全部返済しきれなかったとはいえ、
「……ねぇ、ヴェルフ。一般的な借金の金額っていくら?」
「したことねぇからな……」
「そこッ!!!いまそんな問題じゃないんですから私語は謹んでください!!!」
「「はいっ!!!!」」
リリはいままで貧しい生活をしていたのでとってもお金のことに関してシビアになっている。それを見込んでハジメがお金の管理をしてくださいといったかは分からないが…いい方向へ向かってよかったなーと感じていると
「あのですね、のんびりと聞いているようですがハジメ様。
豊穣の女主人で頂いている給料はどうされているんですか?」
「必要に応じて使ってますが」
「必要に応じてですか…そうですか、そうですか……
なら聞きますが……」
スタスタと部屋の扉の奥へ消えたリリは、ガラガラと何かを引きずりながら部屋に戻ってきたのだが、その引きずりながら持ってきたものは
「これは、なんですかッ!!!??」
「リリの洋服一式。季節別バージョン」
「これが、無駄遣いだと、分からないんですかッ!!!!!」
そこには彩りの洋服があり、その洋服一点一点がいままでリリが着たことのない良いものばかり。もちろん高額とはいわず一般的より少しいいぐらいだがそれでも数が多い。50着以上はあるんじゃないかと思うぐらいに。
「リューやシル姉、エイナ嬢に聞いたのですが女性は着飾ってやっと一人前の女性になると聞きました。
リーリは早く大人になりたいといってました。だから僕はお手伝いを」
「余計なお世話です!!!」
あれ?と首を傾げるハジメ。
本気で悪いことをしたと思っていない。
「でもよく買い物をしているときによく服屋さんの前で立ち止まって最近の流行りである服装を見て……」
「だあああああっ!!!!
分かりました!!分かりましたからそれ以上言わないでくださいー!!!!!」
はぁはぁと息をつかせるリリ。
深呼吸をして気持ちを落ち着かせたあと
「……まぁ、ハジメ様が働いて稼いだお金です。
ダンジョンとは別の収入ですし、とやかく私が言うべきではなかったかもしれません。
ですが……服を買うときは私に一言言ってください
私にも、好み、というものがありますので」
「分かりました」
(((買ってもらって嬉しいんだ……)))
表情に出さないようにしているが誰が見ても嬉しさ爆発しているように見える。これまでちゃんとした服を着れなかったから尚更だろう。
「とにかく当面は借金をコツコツと返していきましょう。あとは入団希望者ですかね……」
そういいながらカーテンを開けて窓の外を見ると門の前に人だかりがあった。そうこれはヘスティア・ファミリアに入団したいと希望している冒険者達。
実はロキ・ファミリアにいたときにも数名ぐらいヘスティア・ファミリアに入団したいと言ってきた
それはそうだろう。
ロキ・ファミリアの敷地なのだ。そしていくらヘスティア・ファミリアがあの戦争遊戯で活躍したとはいえロキ・ファミリアは格上である。そんな格上であるロキ・ファミリアを差し置いて「ヘスティア・ファミリアに入団したい」なんていってくるやつ。
と、ハッキリ言ってやったそうです。
で、こうして館を手にしたことでこんなにも入団希望者が集まったのだが手放しで喜べない。
いまこうして入団希望者は「ハジメがスゴい」という一点しか見てない。そうベルやリリ達もいるのに全く見えていない。
それでは入団したとしてもチームとして成り立たない。
ということで、
「各チームに別れてダンジョンにいってもらいます。
ヘスティア・ファミリアに入りたかったら「僕達が欲しいもの」を持ってきて証明してください。
もちろん個人でも、複数でも、チームとしてもいいですよ。
ただし
そう言って門の前に集まった入団希望者はチームごとに集まり、そのチームにいる先生の言うことを聞きながら欲しいものを探してくる、という意外と単純な入団試験となった。
ただ
「いいかテメェら!!!
ハジメの言うことなんぞ聞く事態嫌だが、アイツとの再戦がかかってるんだッ!!!!!なんでもいいからさっさと見つけてこいッ!!!!!」
「「「「は、はいぃぃぃぃぃッ!!!!!」」」」
1チーム目、先生「ベート」
「酒やッ!!!!!絶対に酒に決まっとる!!!
ウチはダンジョンに入れんが絶対にダンジョンに究極の酒を作るための材料があるはずや!!!
ええか、絶対にベートよりも早く見つけてこいー!!!」
「「「「は、はいぃぃぃぃぃッ!!!!!」」」」
2チーム目、先生「ロキ」
「……階層主、倒すから……」
「……う、う、う、うおおおおおっー!!!!!!!」
3チーム目、先生「アイズ」
「……ナニコレ?」
「入団試験ですけど」
ダンジョン入り口前で困惑するヘスティア。
それはそうだろう。ハジメが「入団試験、いい方法を思い付きました」といってさっさと出ていったのだ。
追いかけてみればいつの間にか見慣れたもの達が、それぞれチームの先生というかリーダーとして気合いを入れている。
「いや、なんでロキがいるのさ?」
「僕達が審査するとなると甘くなる、というのがロキ様の発言で、なら審査お願いします、一つ出来ることを叶えますよと言ったらアイズやベートも寄ってきたので、ならチーム対抗にしようと………ノリで」
「ノリでッ!!!??
……もう、ここまできたら仕方ないけど……」
仕方ないですむんだな~と呑気に考えているリリとヴェルフ。そしてさっきから気になっていた命がいる。
「……あの、命様。どうして貴女様は今日の朝からまるで同じファミリアのようにいるのですか?」
「そ、それは……タケミカヅチ様から「しばらくヘスティアの元で修行してこい」と言われまして……私も強くなりたいと思ったので……」
「なので朝からお風呂に入ったと」
「……すみません……」
「いいじゃねえか。別に」
「まぁ、ハジメ様の行動に比べたら…そうですね」
そんなことを考えているとどうやら入団試験が始まるようだ。
「あと、僕以外の団員からこの赤いハンカチを取れたら入団を認めますのでー!!!」
「「「「ふ、ふざけるなー!!!!」」」」
勝手に試験に組み込まれた三人。
ベルはちょっと放心状態だったので安静のためにそのままにしていたが、このとんでもない言葉のせいで目が覚めたようだ。
そして自分は巻き込まれてないとホッとしている命に
「あっ、命さんもよろしくです」
「いやややややぁぁぁぁぁ!!!」
巻き込まれた。簡単に。
こうして10分前にダンジョンに入ったベル達。
そして10分後にダンジョンに入る入団希望者と先生。
そしてそれを見守るヘスティアが一言
「……やっぱりナニコレ?」
「ですから入団試験ですよ」
「いや、大丈夫なの!!ベル君達は!!!??
あれ間違いない無くしてしまう単独で行動してるよ!!!
ダンジョンで一人なんて!!!」
「僕もよく一人でしたよ」
「君とベル達を一緒にしないッ!!」
「ですけど、普通に中層手前までなら楽勝ですよ。
といいますか、普段から個人で動き回ってますし」
「……僕の知らないところで……強くなりすぎだよ……」
正確にはハジメが作ってくれた武器(規模の低い爆弾とかよく切れる紙とか)を持たせているので楽勝なだけでまだ個人で中層前までいくには早すぎるのだ。
それでも文句の一つも言わないで(??)行くのはベル達もずいぶんハジメに染められたようだ。