影が薄くてもダンジョンを攻略する。のは間違っているだろうか? 作:ガイドライン
どうも。
結構早めに更新出来ました!
今後の展開もなんとなく思い付いてますので少しは(少しは)速く書けると思いますよ(多分……)
では、どうぞ。
イシュタル・ファミリア
歓楽街を牛耳るファミリア。
そしていま、ベル・クラネルを狙おうとしているファミリア。
「さっさと捕まえなッ!!イシュタル様に献上するんだよッ!!!」
「というわけで、逃げるなリトル・ルーキーッ!!!!」
「いやああああああぁぁぁッッ!!!!」
未だに逃げまとうベルと、それを追いかけるイシュタルのアマゾネス達。
戦争遊戯で目撃し、その"強さ"を知ったアマゾネス達はベルを"味見したい""食べたい"と胸が高鳴り興奮した。
そしてそのベルがこの街に、目の前にいるのだ。
どうにかして手に入れたいと望むのは本能である。
しかし神・イシュタルに引き渡すということもありいまは神の為に動いている。
しかし圧倒的な数で追い込もうとしているのにも関わらずに未だに冒険者一人も捕まえられない。
その逃げ足の速さもあるが"動物的本能"なのか罠を仕掛けてもギリギリで気づかれて回避されてしまう。
だからいまもこうして屋根の上を走ったりしているのだが
「アイシャッ!!このままだと埒があかないよッ!!!」
「だったら"向こうから来てもらうように"すればいいのさ」
その言葉の意味を理解したアマゾネス達は一斉に行動した。
アイシャ・ベルカはイシュタル・ファミリアのNo.2。
信頼できる人物だからこそ、誰もが疑わずに動いた。
そうしてアマゾネス達は"ある場所"へ誘導するために隙間なく逃げ道を塞いでベルを誘導する。それに気づいていないベルは目論見通りに動いておりそれを見ていたアイシャは呟いた。
「さぁ、楽しませてくれよ。リトル・ルーキー」
…………………………
「離してッ!!離してくださいッ!!!!!」
まんまと罠に引っ掛かったベルはとある屋敷に飛び込んだ。
逃げる道を一点に絞られたベルは仕方なくその屋敷に飛び込んだのだがそこには追いかけていたアマゾネス達が待ち構えていたのだ。
すぐに逃げようとするもすぐに押さえられたベル。
必死に抵抗するも相手はアマゾネス。
それも複数に取り押さえられては動けない。
「ベル・クラネル。いい顔してるわね」
その美しい声にその場にいたアマゾネス達は一斉に黙った。
さっきまでベルを"味見したい""食べたい"などとベルにとって恐怖しかない言葉を発していたアマゾネス達が黙った。
その声の先には階段から降りてくる麗しき女性。
そしてこの世のものではないかと思わせるその美貌。
ベルは直感した。この人は神・ヘスティアと同じ存在だと。
「嬉しいわ。こんなにも早く会えるなんて」
ドンドン近寄ってくるイシュタル。
このままだと不味いと本能が告げておるのだがどうしても逃げ出せない。
そんなことをしていると迫ってくるイシュタルへある人物が声をかけた。
「イシュタル様。"終わったら"その男を私に贈れよ」
フリュネ・ジャミール。
おかっぱ頭の2メートルを超える巨女の戦闘娼婦(バーベラ)。大きな目と裂けた口、短い手足と顔と胴体がずんぐりと太っており、モンスターと思われても無理のない体格をしていて一目見たベルが思わず声に出して悲鳴をあげたくなるほど。
そしてこのフリュネがイシュタル・ファミリアのNo.1。
「ふざけんじゃないよフリュネッ!!あんたに捕まったら男はみな"再起不能"に乗るだろうがッ!!!」
「うるさいねアイシャ。
こんな上玉をみすみす逃せというのかい?
こいつは私が"食べるんだよ"ッ!!!!!」
その口論が他のアマゾネス達まで広がりパニック状態に。
イシュタルもはぁ~とため息をつきどう収拾するか悩んでいた。
そんな中、一瞬の気の緩みかベルを拘束していた手が緩んだ。
それを見逃さなかったベルは捕まっていた手を払い、自由になった手で拘束されている手を全て払いその場から一気に駆け出した。
「何をやってるのッ!!!!!」
「逃がすんじゃないよッ!!!!!」
ベルはさっきイシュタルが降りてきた階段を一気に駆け上がる。
後ろからはアイシャとフリュネから激を食らったアマゾネス達が追いかけてくる。
もう一度捕まったらおしまいだ。
ベルは必死になって階段を駆け上ったあと廊下を走り抜け、ジグザグに、追手から逃げるために、"迷う"という概念を取っ払って走り抜ける。
そしてとある一室に飛び込み、アマゾネス達がその場から離れていく音を緊張しながら聞いていた。
幸いベルの入った部屋にアマゾネスは立ち寄らず足音も聞こえなくなった。
ひとまず安心したベルほはぁ~とため息をついた。のだが。
「あの、どちら様でございましょうか?」
そこにはこの部屋の主がいたのだった。
…………………………
「見つからないだぁ?ふざけんじゃないよッ!!!!!」
報告したアマゾネスを理不尽に殴り付けるフリュネ。
この屋敷をくまなく探しても見つからず、外に出たのかと探しているのだがいまだにベルを見つけられずにいた。
「この街は封鎖してるんだッ!!何処かに隠れてるんだよッ!!!
さっさと見つけて私の所に持ってきなッ!!!!!」
「なにいってるんだいフリュネ。あのリトル・ルーキーはイシュタル様に渡すんだよ」
「いいじゃないかい。ちょっとぐらい"味見"してもさ」
「あんたの"味見"は男を"殺す"と"同義"なんだよ」
「……さっきから舐めた口ばかりだねアイシャ。
どっちが上なのか、ハッキリさせようか?」
「私はイシュタル様が上だと思ってるわ。
それとも、そんなことして後でイシュタル様に怒られてもいいってわけなの?」
睨みあう二人。
自分勝手に動き回り男を再起不能にするレベル5のフリュネ。
アマゾネス達から信頼がありフリュネを除けばNo.1になれるアイシャ。
互いが互いを煙たがっている。
だからこそ、そんな二人を止められるとしたら一人しかいない。
「2人とも止めなさい」
それはもちろん神・イシュタルしかいない。
あのわがままなフリュネさえもイシュタルの前では大人しいのだ。
「フリュネ。アイシャが言った通りにまず私の所に連れてきなさい。その後は、貴女の好きにしたらいいわ」
「イシュタル様ッ!?」
「ありがとうございますイシュタル様」
その言葉に満足したのかフリュネはその場から悠々とした表情で去っていった。納得できないアイシャはイシュタルに
「どうしてそのような事を。フリュネに取られればリトル・ルーキーは再起不能に」
「私はね。誰も
その言葉にアイシャは理解した。
ベルは囮。もちろんベルも欲しいのだがあのファミリアにはもう一人魅力的な男がいる。
「
…………………………
「それでは
「はい。まさか春姫さんも好きだなんて」
突然現れたベルに春姫は"客"として迎えた。
しかしベルの"鎖骨"を見ただけで気絶してしまい何故かベルが春姫を介護することになった。
その後春姫に誤解していると話し、ベルがここにいること。追われていること。を話している内に打ち解けあい、世間話をするほどになっていた。
話していて思った。春姫はあのアマゾネス達とは違うと。
こんなにも優しく、見ず知らずの自分を受け入れてくれたのは。
そんのことを考えていると春姫が
「とりあえず朝になるまでここにいてください。
そうすれば人も少なくなり私が知っている抜け穴からこの街の外へ抜け出せます」
「……どうしてそこまでしてくれるんですか?」
「私は娼婦です。この身はすでに穢れてます。
でもそんな私を貴方様は一人の"女"として見てくれた。看病してくれた。
それは私にとってはとても、とても嬉しいことなのです」
ニコリと笑う春姫。しかしベルはその笑顔に曇りがあると感じた。きっと何かを抱えている。助けを求めていると。
何か出来ないかとベルはその口を開けようと
「帰りますよベルベル」
「ッ!!!??ハ、ハジメッ!!!!!」
突然二人の間に現れたハジメに驚くベル。
春姫も突然のことで後ろへとお尻から倒れてしまった。
「いい雰囲気を壊すのは野暮かもしれませんが、このまま朝待つとベルベルの貞操がなくなりそうですし」
「な、な、何言ってるのハジメッ!!!////」
「おっ。そこは理解しているんですね。よかった。
ということで、神様に怒られたくないのでベルベルは連れて帰りますね」
「は、はい……」
驚きはしたがハジメかベルの仲間だと知って安心した春姫。
そんな春姫にハジメは手を差しのべてきた。そこで自分が尻餅をついていることに気づいた春姫はちょっと慌てながらもその手を掴み起こしてもらった。
「先程は失礼しました。ベルベルと同じファミリアのハジメです」
「サ、サイジョウノ・春姫です……」
「なるほど。
……まさか、ベルベルを探して
「どういうことなのハジメ?」
命や千草から名前は聞いていなかった。
しかし特徴のある狐人、そしてこの歓楽街。
探していた人物だとするなら、ほぼ間違いはないだろう。
「ハルルは…」
「ハ、ハルル?」
「ハジメッ!!!いきなりすぎるよッ!!!」
「ハルルは、
…………………………
『ハルルは、命さんやチグーを知ってますよね?』
『どうして命様のことを!?それにチグーというのはもしかして千草様では』
『言いましたよね?』
『言ってないから…いきなりあだ名は分からないよ……』
そんな声が部屋の中から聞こえた。
すぐにでも中へ入りリトル・ルーキーとサスペンデッドを捕まえるつもりだった。しかしサスペンデッドがいったい名前は以前に春姫から聞いたことがあった。
ここより遠くの国、そこで友達だった二人の名前。
その時のことを話すときは何よりも笑顔で話していた。
だからこそ、いま春姫はその名前が出て来て驚いている。
『この歓楽街まで探しに来てましたよ。ハルルに会いに』
『お二人が……こんなところに……』
『ハルルも一緒に行きましょう。二人が待ってます』
その言葉にアイシャは思わず部屋に突撃しそうになった。
だが、まだ春姫の言葉を聞いていない。
無理やり連れていかなかったという点で、アイシャはまだハジメをただの"お人好し"程度の認識ですんでいる。
しかし無理やりでも連れていこうなら…と考えていると
『……それは出来ません』
『どうしてですか?』
『私は娼婦です。私がこの街から出るときは"死"か"身請け"だけですので……』
その言葉を聞いてアイシャは安堵した。
と、言っても春姫は"娼婦"ということをいまだにやったことがない。いつもすぐに気絶してしまい
安堵したと同時に何とも言えない感情が湧いてきたのだが
『身請け、ですか。ならベルベルが買いますよ』
『ちょっ、ちょっとハジメッ!!!!!』
『なんですか?困っている女の子を助けられないですか??
そうですか、そうですか。そんなにヘタレだったとは。仕方ありませんね。では僕が買いましょうか。リューに激おこされるかもしれませんが話せば分かって……』
『それは絶対ダメッ!!!!!』
『ベルベルに止められる筋合いはありませんよね?』
『突然だったからビックリしただけだよッ!
……春姫さん。僕は貴女を買ってここから外へ連れ出しますッ!!!!!』
言ったね。リトル・ルーキー。
…………………………
ベルが春姫を身請けすると口にした瞬間
「ずいぶんと、ウチの春姫を高く買っているみたいだね」
そこにいたのはさっきまでベルを追いかけていたアイシャ。
すぐにベルは戦闘体勢に入る。春姫は未だにベルの言葉にクラクラ来ているのか上の空。
「でも分かってるのかい?身請けにどれだけ金がかかるのか?」
「そこらの娼婦とは訳が違う」
「金額はその5倍だ」
その金額に驚くベルだったが絶対に払えない金額ではない。
「……払えます」
「そうかい。でも、残念だ。その子は身請けさせられない」
「どうしてですかッ!!!??」
「簡単さ。その子はファミリアにとって
「それが終わったら、身請けしても…」
「構わないよ。過ぎれば
「……分かりました」
「ならさっさと帰りな。イシュタル様には悪いけどリトル・ルーキーよりその子のほうが大切だからね」
そういってアイシャは塞いでいたドアから身体を離した。
本当にここから出てもいいということなのだろう。
「春姫。途中まで案内してやりな。
それと"殺生石"は手に入ったとイシュタル様から伝言だよ」
「ッッ!!!??…………分かりました」
驚く表情を見せ悲しい表情へと変わった春姫。
春姫が先に部屋を出てベルが警戒しながらそれに続く。
ハジメも一緒に出ようとしたが
「あんたはダメだ」
「ハジメッ!」
部屋出ようとしたハジメをアイシャは肩を掴み止めた。
それにベルは近づこうとしたがハジメが手を上げて制止する。
「イシュタル様がお呼びだ」
「つまりベルベルがこの街から出るには僕が言うことを聞いたほうがいい。というわけですか」
「そういうことだ」
「ベルベル。先に行っててください」
「でもッ!!!」
「いいから。真っ先にリューに帰るのが遅れるって伝えてくださいね」
その言葉にベルは悔しそうな表情をしながら頷いた。
いま自分が人質になっていることを理解している。
そしてここで抵抗するならきっとハジメに迷惑をかける。
いま出来ることはすぐにでも神様のところに帰ることだ。
「すぐに、戻ってきますッ!!!」
「期待してますよ」
そういって春姫をお姫様抱っこして駆け出したベル。
そっちの方が速いのかもしれないがお陰で春姫の顔は真っ赤になっていた。
「ずいぶんと聞き分けがいいね」
「どのみちハルルを身請けにしようとも
それに
「へぇー。頭もかなり回るようだね」
付いてきな。とアイシャに言われその後ろを付いていくハジメ。
この先何が待っているのか、というか僕の
しかし、ハジメの予想よりも遥かに上だった。
誤算はハジメ自身が
さて、イシュタル破滅フラグ。立ちました!
あっ、明日か明後日には別の小説(ONE PIECE)を更新予定!
その翌日には"とある"を予定してますよ。
どちらとももう少しで書き終えますのでお楽しみに!