影が薄くてもダンジョンを攻略する。のは間違っているだろうか?   作:ガイドライン

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こちらではお久し振りです。
ダンまち8をやっと読み終わり「書きたくなったな~」という気分でひさしぶりです。
うん、9巻?? アハハ!!!!いつ読み終わるやら~❗
それでは、よろしくどうぞ 


影の薄さがついに主人公なしでストーリーを進めます。

時間は遡り、大通りに面する喫茶店、その二階。

通りを一望できる窓際の席には長い紺色のローブを羽織っている『美の神』フレイヤと、淡色の朱髪にシャツとパンツというどこかだらしない男のような印象のロキと、鞘を収めた剣を携えロキの護衛するかのように位置に立っている金髪金眼の少女アイズがいた

そしてこの神同士が集まっている理由は、

 

 

 

「率直に聞く。何をやらかす気や」

 

「何を言っているのかしら、ロキ?」

 

「とぼけんな、あほぅ」

 

 

ロキはその細い目を猛禽類のように鋭くフレイヤを睨む

 

 

 

「最近動き過ぎやろ、自分。興味ないとかほざいておった『宴』に急に顔を出すわ………今度は何を企んどる」

 

「企むだなんて、そんな人聞きの悪いことを言わないで?」

 

「じゃかあしい」

 

 

 

視線の応酬が続くなか、おもむろにロキは脱力し、それまでの雰囲気を霧散させ、確信した口調で声を打つ。

 

 

 

「男か」

 

「……」

 

 

女神は答えない、ただフードの奥で微笑を称えるのみ。

だがロキはその笑みを肯定と取ったようだ。

呆れたように長く大きなため息をつく。

 

 

 

「はぁ………つまりどこぞの【ファミリア】の子供を気に入ったっちゅう、そういうわけか」

 

 

 

フレイヤの多情……いわゆる男癖の悪さは、神々の中でも周知の事実だった。

気に入った異性───もっぱら下界の子供達────を見つけてはすぐにアプローチを行い、その類ない『美』を用いて自分の()()とする。

そして今回目をつけたのは恐らく他【ファミリア】の構成員。

 

 

 

「ったく、この色ボケ女神が。年がら年中盛りおって、誰だろうがお構いなしか」

 

「あら、心外ね。分別ぐらいあるわ」

 

「抜かせ、()()どもも(たぶら)かしとるくせに」

 

「彼等と繋がっておけば色々便利だもの。何かと融通が利くわ」

 

 

かっ、とロキは喉を鳴らす。

しばらく間が空いたが再びロキが

 

 

 

「で?」

 

「…………?」

 

「どんなヤツや、今度自分の目に留まった子供ってのは?いつ見つけた?」

 

 

 

教えろ、とロキは口端を吊り上げる。

 

 

 

「…………」

 

「そっちのせいでうちは余計な気を使わされたんや、聞く権利くらいあるやろ」

 

 

 

強引な理由を振りかざすロキに、フレイヤは頬を左手、窓側に向けた。

メインストリートを行く大勢の子供達を眼下に置く。あたかも過ぎ去ったいつかの光景を思い出すように、フードの奥の銀瞳が遠い目をした。

 

 

 

「…………強くは、ないわ。貴方や私の【ファミリア】の子と比べても、今はまだ頼りない。少しのことで傷付いてしまい、簡単に泣いてしまう……そんな子」

 

「でも、綺麗だった、透き通っていた。

あの子は私が今まで見たことのない色をしていたわ」

 

「見つけたのは本当に偶然。たまたま視界に入っただけ」

 

「あの時も、こんな風に……」

 

 

 

 

日の光にが霞む早朝、西のメインストリート。

通りの向こうから、あの少年がこちらへとやって来て。

そう、たった今、視界の中を走り抜けていったように。

 

 

 

 

「────」

 

 

 

その銀の視線が、冒険者の防具を纏った『白い髪の少年』に釘つけとなった。

ひしめく人の群れに縫って時には減速しながら、時には足を止めながら、先へと駆けていく。

そんな中、その少年と同じように人の群れを抜けて、いや、「人が何故か避けて出来た、人と人の隙間」が並走しているように見えた。しかしそこには誰もいない。それもすぐに隙間はなくなり人で溢れる

ただの偶然だろう、とフレイヤは思った。

身を隠す物は存在し、それを使っている可能性もあるが、それがどうしても少年を追いかけていると判断出来ない。あの少年はまだ弱い。その少年ファミリアは小さく自分以外が目をつけることはあり得ないと自覚しているからだ。なので、そんな考えはすぐに消え再び少年の背中を見つめる

その足が向かう先は闘技場、怪物祭。周囲の流れに同伴するように少年は円形の巨大施設に進路を取る

その背中を見つめるフレイヤは、ゆっくりと、蠱惑な笑みを浮かべた。

 

 

 

「ごめんなさい、急用が出来たわ」

 

「はぁっ?」

 

「また今度会いましょう」

 

 

 

ローブでしっかりと全身を覆い隠し、店内を後にする

その場には残されたロキとアイズだけが残された。

 

 

 

「何や、アイツ。いきなり立ち上がって

ん? アイズ、どうした?何かあったん」

 

「……いえ」

 

 

 

何も、と続く言葉とは裏腹に、アイズは外を見続けていた。

彼女の金の瞳は、奇しくも女神の銀の瞳と同じように、見覚えのある白い髪を追っていた。

そして女神の銀の瞳が追うのを止めた()()も一緒に。

 

 

 

 

 

……………………………………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

ヘスティアはヘファイストスから作ってもらった『神の(ヘスティア)ナイフ』を手に、『怪物祭(モンスターフィリア)』が開かれている東のメインストリートに向かっていた。

しかし東のメインストリートを目前にして一気に人の密度が増したために馬車が進まなくなった。その為裏道を使いメインストリートに向かっていたヘスティアの前に

 

 

 

「あれ、もしかして、フレイヤかい?」

 

「………ヘスティア?」

 

「君も怪物祭を見にきたのかい? こんな道を通るなんて、随分と急いでいるようじゃないか」

 

「……ええ。人通りが激しいところは堂々と出歩けないから、こうして人目を忍びながら先を急いでいるの」

 

「あー、『美の神』も大変だねぇ」

 

 

 

美の化身とも言える彼女が表通りを闊歩すればそれだけで周囲は大混乱だ。

フードの下で微笑するフレイヤに、ヘスティアはうんうんと頷く。

 

 

 

「あっ、そうだ。フレイヤ、ボクの【ファミリア】の()()を見なかったかい?今探しているところなんだ」

 

「…………」

 

「白い髪に赤目をしたヒューマンで………そうそう、こう、兎っぽい!」

 

 

 

手を振らながら嬉々とベルのことを説明するヘスティアに対し、フレイヤは一時の間笑みを消し、黙る。

だがすぐに再び微笑みを浮かべ、自分が辿ってきた道を示した。

 

 

 

 

「そういえば見かけたような気がするわ。この先の東の大通りで」

 

「本当かい!?」

 

「ええ。真っ直ぐに闘技場を目指していた様だから、この道を左に曲がれば、上手く先回り出来るんじゃないかしら」

 

 

 

嬉色満面にヘスティアは笑顔で「ありがとうー」と伝え、彼女の言葉を鵜呑みにする。

クスリと笑いヘスティアと別れるつもりだったフレイヤだが、ふっとヘスティアのある言葉が気になり立ち止まりヘスティアに問いかける

 

 

 

「一つ質問してもいいかしら?」

 

「な、なんだい……君がそんなことを言うときは決まって厄介事だからね………」

 

「そんな邪険に扱わなくてもいいじゃない。私は貴方に情報をあげた、ならわたしに一つくらい質問してもいいんじゃないかしら?」

 

「ぐっ……分かったよ………でもベルについては何も話さないからな!!!!」

 

 

 

それはそれで知りたかったことではあるが、今はそれ以上のものがある。始めは気のせいだと思っていたが何故か気になってしまったのだ。()()()()()()()……

 

 

 

 

「さっき【ファミリア】の()()って言ったわよね。この前の宴の時は一人しかいないように言っていたけど」

 

「ああ……いや…まぁ……そうだね……」

 

 

 

歯切れの悪いヘスティアにフレイヤは確信した。

ヘスティアの【ファミリア】には白い髪の少年以外に()()()()いることに

 

 

 

「別に隠さなくてもいいじゃない。冒険者ならいずれバレるのだから」

 

「……そうかもしれないけど…いや、あの子なら()()()()()()()()()()……」

 

 

 

その言葉に気になっていたものが一気に膨れ上がった。

今すぐにでも聞き出したい思いを押さえ込み冷静に気にしていたことを言葉に出す

 

 

 

「教えてくれるわよね?ヘスティア」

 

「いつにも増して笑みに凄みがあるよフレイヤ……

………分かったよ、別に隠している訳じゃないし…それに教えたところでどうにも出来ないしね」

 

 

 

どういうことなのかと首を傾げるフレイヤにヘスティアはふぅーと息を吐いて答える

 

 

 

「早くベル君の所に行きたいし簡単に言うよ。

確かに僕の【ファミリア】にはベル君ともう一人トキサキ・(ハジメ)という子がいる

ただその子は影が薄くてね…僕の【ファミリア】に入って契約を結んだときに………その、なんだい、スキルが発現してね…それからは見えなくなったんだハジメ君が」

 

 

 

その事実に衝撃が走る。普段は落ち着いているフレイヤの表情は明らかに何かを欲している。しかしフードのお陰でヘスティアには見えなかった。自分の表情に気づいたフレイヤはすぐに表情を戻して

 

 

 

「いいのヘスティア?他の【ファミリア】にそんな重要なことを話しても?」

 

「構わないよ。そのスキルは常に発動しているから隠しようがないし、それにさっきも言ったけど誰にも見えない、認識できないからね」

 

「それじゃヘスティアと【ファミリア】以外は見えないわけね」

 

「そういうわけじゃないけど……とにかく君が知りたい事は教えたから僕は行くよ!!くれぐれもハジメ君のことは他言しないように頼むよ!!あくまでもこれは情報の交換だからね!!!!」

 

「ええ、もちろん」

 

 

 

本当に頼んだからね!!と捨て台詞を吐くかのように走り去っていくヘスティア。その背が消えるまで見届けたフレイヤはフードの奥で微笑し

 

 

 

「言うわけないじゃない、誰にもね」

 

 

 

新たな玩具を手にしたような喜びが溢れ出す。まだ見たこともない少年と見ることも出来ない少年。自分のものにしたい衝動を押さえながらフレイヤもまた裏道から姿を消した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁはぁ………どこに行ったんだろう…」

 

 

 

ベルは闘技場周りを走り回っていた。途中からハジメを見失っていたベルは手掛かりもなしに手探りに探し回っていた。もちろんシルも一緒に探しているがどちらかというと影の薄いハジメを先に探しておきたい。

一度息を整えてもう一度探そうと考えていた所で突然に視界が真っ暗になった。

 

 

 

「だれーだ!!」

 

「え、えっ、ええ!!神様ですか!!??」

 

「なんだよベル君、もう少し「ええ~誰かな~」とか戯れてもいいじゃないか」

 

「す、すみません……というかどうして神様がここに!?」

 

「別にいいじゃないかベル君!それよりベル君、せっかくのお祭りなんだ僕とデ」

 

 

 

「モンスターが逃げ出したぞおおおぉぉぉぉ!!!!!」

 

 

 

叫び声と共に地響きが鳴る。周りの人達も慌てて逃げ出す様子を見るととても危険な状況だと理解できる

そしてその一体、シルバーバックがどういうわけかベル達に向かってくる

 

 

 

 

「に、逃げますよ神様!!」

 

「ベ、ベル君!!いやデートを!!!!」

 

「何を言ってるんですか!!逃げますよ!!!!」

 

「ベル君とのデートがああああぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 

 

きっとこれはフレイヤのせいだ!!と内心で叫びながらシルバーバックに追われる羽目になった





内容ではハジメは出てきましたが、本人なしでもストーリーは進められるようですね。
しかし、やり過ぎると「なんだこの小説は!?」と思われるので次からはちゃんと出ますよ。

というか、今回はただヘスティアがベルとデート出来ずに落ち込むさまを書きたかっただけです(笑)
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