迷宮都市の投影者【ストーリー修正中】   作:ドライグ

2 / 9
※変更点:『セイバー』→『ペンドラゴン』



転生
空腹という名の悪魔


目を開けるとそこは家々に挟まれた少し暗めの場所だった。

そこから察するに裏路地のようだ。

確かに表通りにいきなり人が現れたら問題になるもんな。

 

そう思いながら表通りに足を進め、裏路地から出るとそこは活気溢れる商店街だった。

しかし、そこまではいい。

問題は異人がいるのだ。

 

ちっこいヒトや、小太りのヒト。耳の長いヒトや、褐色の肌を持つヒト。そして俺と同じようなヒト。

 

あれか。所謂俺は、ファンタジーな世界に飛ばされたのか。

なんというか...

 

「夢、みたいだなぁ」

 

 

 

 

 

 

まずは情報集めだ。重要な施設は高くてデカイというのが相場で決まっているのでそれに向かうとする。

しかしながら、一つの問題、いや大問題が発生する。

 

「ハラが、減った...」

 

そう、食糧問題だ。

所持金は全く無し。持っているのは身体を覆っている服のみ。

これはマズイ。詰んだか。

まさかここまでサバイバルなものとは思わなかった。

そんな俺の心情を表すかのように雨が降り始める。

気温はどんどん低下し、俺の体温は急速に低下していく。

おいおい、前世の最期が猛烈な熱さで、今世の最期が芯まで冷えるほどの冷たさとか笑えねぇ。

笑えねぇけど、もう限界だ。

それを表すように俺の身体は地面に倒れる。

ハハッ、無様だな。神様がせっかく選んでくれた特典を見ずに終わるのか。本当、ついてないな。

瞼がゆっくりとゆっくりと落ちてくる。閉じるか閉じないかの境目で、人影を認識する。

最後の力を振り絞り、現状を伝えようと口を開く。

 

「お腹が減って、力が出ない...」

 

某ヒーローの如き言葉を口にすると、俺の意識は闇に落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ん?柔らかい。

おかしいな、さっきまで固い固い石畳に寝転がっていたような。

今じゃ、柔らかいものに包まれている。それと不思議と暖かい。

そんな先程までとは打って変わった状況に俺は瞼を上げる。

 

そこはとある民家のようだ。それも二階。下から声が聞こえてくるのが分かる。

民家にしては騒がしいから、ここは...

 

「酒場、かな...?」

 

「はい、その通りです」

 

「!?」

 

予想外の返答の言葉に俺はガバッと身体を起こす。なんだかデジャブを感じる。

視線の先には女性がいた。

元いた世界ではありえない銀色の髪。この部屋は少し暗めなので分からないが、明るいところに出ればその髪は輝くであろう。

そして顔。今の俺の年齢は15歳なので恐らく彼女は俺よりも年上。しかしながら、若干の幼さを感じさせる。うん、普通に美人」

 

「初対面のヒトに美人と言われるのは初めてですね。少し照れちゃいます」

 

「えっ!.....口に出てましたか...?」

 

「は、はい//」

 

なんということだ。恥ずかしすぎる。穴があったら入りたい。

顔を埋め、悶々としていると上から声がかかる。

 

「あの...大丈夫ですか?この雨の中、倒れていたそうですが」

 

「あっ、はい、問題ないです。ありがとうございま.....ん?『そうですが』?ってことは助けてくださったのは、違うヒトですか?」

 

「あ、はい、そうです。今は交代して、下で働いています」

 

ということは世話をしていてくれたのだろう、俺みたいな初対面のヒトに。なんという優しさ。あっ、目から汗が...

 

「ど、どうしましたか?」

 

おっと、涙が溢れたことで心配させてしまったようだ。

 

「大丈夫ですよ。少し、優しさに触れて感極まってしまいました」

 

前世ではあまり考えられないような行為だしね。

 

「改めてありがとうございます」

 

「いえいえ、助けたのはリューですから、リューに言ってあげてください」

 

「貴方がお世話をしてくれたのには変わりないですから、感謝させてください。勿論、そのリュー、さん?にも後で感謝を述べます。...して貴方は?」

 

流石に貴方で話を続けるのはいささか失礼であろう。

彼女は意図を察してくれたのか、答えてくれた。

 

「私は"シル・フローヴァ"です。気軽にシル、って呼んでください。あと、因みに18歳です」

 

完璧に外人チックな名前だ。でもね、シルさん。年齢を言うのはあまりよろしくないのでは?

まあ彼女から言ってくれたのだから良しとしよう。

プロフィールを見覚えたところで、自分も名乗る。

 

「俺の名前は...名前は.....」

 

あるぇ、知らんぞ。今世の自分のプロフィールも年齢以外知らんし、前世の名前も覚えてない。

急に黙った俺を見兼ねてシルさんが「どうしましたか?」と心配の声をかけてくる。

マズイな。このまま黙りっぱなしだとかえって不審がられる。

ここはよくある(?)記憶喪失で突き通すか...

そして口に出そうとした瞬間、頭に声が流れる。声的に例の神様のようだ。

 

『申し訳ありません。伝え忘れていました。貴方の今世の名は、龍を統べる者の性を持つ、"アッシュ・ペンドラゴン"です。その他は記憶があやふやということで通してください。では。』

 

と言って声は途絶えた。

なんとまあ適当な、と思いつつ、今初めて聞いた自分の名を復唱するように名乗る。

 

「アッシュ・ペンドラゴンです。よろしくお願いします、シルさん」

 

 

 

 

 

その後、記憶があやふやという理由を付けてこの世界について大まかに教えてもらった。

この都市はオラリアと呼ばれるところで、中心地に迷宮(ダンジョン)と呼ばれるモンスターがいる建造物があるそうだ。その迷宮に潜り、モンスターを倒してドロップする魔石と呼ばれるものを売って生計を立てている職業を冒険者と言うようだ。

その冒険者は、眷属(ファミリア)と呼ばれるものに属しており、その眷属は驚くことに神様が経営しているようだ。

曰く、天界での変凡な生活に痺れを切らした神々は、下界に降臨し、子供たちに力を与え、成長を見ているようだ。因みに子供たちというのは神様以外の俺たちヒトのことのようだ。

 

成る程。つまり俺は冒険者となるわけだ。特典は恐らく戦闘系だし。

ということは、シルさんが説明してくれた眷属(ファミリア)なるものに入らなければならないようだ。

なんでも、モンスターと闘うことで経験値(エクセリア)というものを得られ、強くなることができるようだ。ならば、それを利用するほかない。

早速、その眷属(ファミリア)を統率する管理機関(ギルド)に向かおうとするが、シルさんに止められる。

何事かと思い振り向くと、何やら申し訳なさそうな表情を浮かべている。

嫌な予感を感じながら問うと、その予感は的中する。

 

「その...ミアお母さんが二階で休んでいる変わりに、この店で少しの間働け、と言っていました。あっ、因みにミアお母さんは、この店の店長さんです」

 

なん、だと...

 

と、お決まりの言葉を言ってみたが、勿論本心ではない。

わざわざ見知らぬ俺を泊めてくれたのだ。この恩を返すのは当たり前であろう。

 

「はい、分かりました」

 

肯定の意を伝えると、シルさんはキョトンと驚いた表情を浮かべていた。

 

「? どうしましたか?」

 

「いえ...二つ返事で返してくれるとは思ってもいなかったので」

 

「いやいや、ここに泊まらせてくださったのですから、この恩はしっかりと返しませんとね。その恩を働くことで返せるのならば、喜んでしましょう」

 

とは言ってみたものの、どれくらい働かされるのだろう。別に長くても構わないが、正直早くファミリアに入りたいという気持ちもある。

...まあいっか。自分のことよりも他人の方が大事だしな。

そう思い、その思考を停止させる。

そして、シルさんに案内してもらうことにした。

 

 

 

 

 

一階のお店は雨なのにも関わらず多くのヒトで賑わっていた。

シルさん曰く、殆どの客が冒険者のようだ。

店内を一通り見て、あることに気づく。

 

「あれ?店員さん全員女じゃね?」

 

かなり問題がありそうなことを口にすると、シルさんは頭をコテンと傾けてこう言った。

 

「特に問題無いと思いますけど...?」

 

大有りだよ、おい。

心の中で盛大にツッコミをかます。

でも、もう承認しちゃったから仕方ないか...

 

「あのカウンターで立っているのが、ミアお母さんです」

 

シルさんに示された方向に目を向けると、そこには美人が...とは言いにくいヒトがそこにはいた。

...成る程、確かにお母さんと呼ばれるだけある。そんなオーラを醸し出している。

俺はカウンターに歩み寄り、声をかける。

 

「えっと...どうも、ミアさん。上を使わせてもらっていた者です」

 

「ほう...あんたかい、図々しく二階を使っていたのは」

 

うぐっ、痛いところを突かれた。

 

「すみません...」

 

「...まあいいよ。けどその分しっかりと働いて貰うからね!」

 

「はっ、はい!」

 

この様子じゃ、解放されるのはいつになることやら...

 

その後、盛大に腹の音をぶちかましたことで、渋々賄い飯をもらって本格的に働くのは明日からということになった。

 




名前が判明しましたね。まあ特に深い意味は無いのですが...
追記1:↑嘘です。滅茶苦茶意味あります。
追記2:性を『セイバー』から『ペンドラゴン』に変更しました。

時系列的にはベルがオラリアに来た時、ぐらいですかね。

ヒロインは未定なので、こんな感じで色々なヒトと関わりを持たせていき、決定したらその関わりから発展させたいと思います。

恐らく次話か次次話でファミリア加入です。お楽しみに!

それではまた!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。