迷宮都市の投影者【ストーリー修正中】   作:ドライグ

3 / 9
※1誤字訂正:白い紙→白い髪
※2変更点:『セイバー』→『ペンドラゴン』


白兎との出会い

転生2日目。

心優しいヒトたちに救われ、なんとか1日目を生き抜くことが出来た俺。

起床して早速仕事を言い渡された。

 

「掃除をやれ」

 

椅子は全て机の上に置かれた状態の店内の中、俺は掃除用品一式(箒・ちりとり・モップ・バケツ・雑巾)を渡された。

その様子を他の女性店員たちは眺めている。その手の中は空。つまり俺一人でやれということのようだ。

また、使えるのかどうかも見極めるのだろう。全ての視線が俺に注がれる。

ここで使え無いと判断されたら即つまみ出されるだろう。ならば本気を出さねば。前世で培った執事スキルを存分に発揮して!

 

「さてと...始めますか」

 

衣食住(生き残り)をかけた掃除(戦い)を ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「す、凄い...」

「驚いた。ここまで出来るとは...」

「マジかニャ...」

 

一同からお褒めの言葉を受け取る。この様子だと合格のようだ。

フゥ、と一息つき、腕で額の汗を拭う。

15分もかけずに全て終わらせた俺は、達成感に包まれていた。

ふと、横から声がかかる。

 

「へぇ...やるじゃないか。男でここまで出来る奴は珍しいよ」

 

おっ!ミアお母...じゃなくて、ミアさんからもお褒めの言葉を頂いた。よっしゃあ!

まさかあの一週間の修行がこんなところで役に立つとは...ありがとう、お嬢様!

 

「合格だ。早速今日から働いて貰うよ...っと、そうだ。あんた、その様子だと料理も出来る口かい?」

 

「あっ、はい。ある程度レシピを教えてもらったら、作れると思います」

 

この言葉は決して嘘ではない。例のお嬢様の執事に無茶振りな料理要求を何度かされた経験がある。そこで身につけた特技みたいなものだ。

 

「そうかい。それじゃあ、開店したら裏の仕事を頼むよ」

 

「はい!」

 

こうしてここ『豊穣の女主人』にてアルバイト生活が始まるのだった。

 

 

 

 

 

あっ、勿論冒険者志望ですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

合格してから5日が経った。

仕事にも慣れ、店員さんたちとはある程度距離を縮めることが出来た...と思いたい。

特にシルさんと金髪エルフのリューさんとはよく話す。助けてくれた恩を返そうと無意識のうちに近くに寄ったり、手助けをしたりしていたからだ。

始めリューさんは、なんというかピリリとくるオーラを発していたため話しかけずらかったが、まあ一週間も経てば普通に会話できるくらいにはなった。これも執事スキルの賜物なのかもしれない。

このようにある程度慣れたということもあり、俺は意を決してミアお母さん("さん"と呼んでいたら、変えろと言われて、お母さんになった)に許可を貰いに赴いた。

そう、それは、『ファミリア探し』だ。

その意を伝えると、うーん、と唸りながらこう返してきた。

 

「まああんたは十分やってくれたよ。裏の仕事をしてくれたおかげで、店の回転も上がったしね。許可を出して上げてもいいと思っている.....けど、」

 

「...けど?」

 

「なんでそこまで冒険者に拘る。あんたはこっちの方が向いているような気もするよ」

 

確かにミアお母さんが言う通り、恐らく俺にはこの仕事が合っているのだろう。元々冒険者になりたいというのも、特典を利用したい見てみたい、という気持ちがあったからだ。

...けど、今は違う。

 

「.....憧れ、ですかね。ここで働いてて、色々な冒険者を見てきて、その思いが強くなりました。

モンスターを倒したい。仲間と共に強くなりたい。強敵を打ち倒したい.....そんな子どもみたいな夢です。なんと言いますか、こう、心に火が着いちゃったんです。だから俺は、この思いを無駄にしないで突き進んでみたいんです」

 

よく考えてみれば、異世界に転生しようとした理由も憧れのようなものだ。子どもの時に描いた夢。それは、妄想でもあり、渇望でもあり、そして憧れでもある。

絶対に叶わないと思っていたものなんだ。今の平凡な俺では、どこのファミリアにも入れないかもしれない。けれど、小さな可能性があるのならば、全力で掴んでみたい。いや、掴んでみせる。そう、この一週間で決意した。

 

「..........そうかい。じゃあ止めないよ。あんたならやって行けそうだ。言葉と目で熱い意思が伝わってきたよ」

 

「ほ、本当ですか!」

 

「ああ、嘘はつかないよ。ただし、アタシにここまで言わせたんだ。躓いたら許さないからね」

 

「は、はい!ありがとうございます!」

 

こうして俺のファミリア探しが漸く始まるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「デカイなぁ」

 

あの後、店のヒトたちに見送られながら中心地に存在する『バベル』に向かった。

バベルというのは通称"ダンジョンの蓋"と呼ばれ、昔にモンスターたちを封じ込めるため建造されたものだそうだ。そこには、とあるファミリアとギルド本部とお店がくっついているそうだ。

俺の目的はギルドだったので、ここバベルに来たわけである。

 

ギルド内部を覗くとそこには多くのギルド職員と思われるヒトと冒険者がいた。

ギルド本部では魔石の換金や冒険者に対してギルド職員がアドバイスを行っているそうで、かなりの冒険者がいる。

キョロキョロしていると一人の女性と目が合った。位置的に、受付嬢と思われるそのヒトは、耳が長かった。

 

(リューさんと同種かな?)

 

その容姿的にエルフだと思われる。が、少々リューさんとは違うような気もする。

そんな思考を巡らせていたので、彼女の接近に全く気づかなかった。

 

「何か用かな?」

 

「うわっ!.....っとと。失礼しました」

 

いきなり声をかけられたので、思わず驚いてしまった。が、直ぐに冷静を取り戻し、謝罪の意を伝える。

 

「ううん、私こそいきなり声をかけてごめんね。ジッと入り口からギルドないを見てたから、気になって声をかけたの」

 

ですよねー。第三者から見れば、完全に怪しいヒトだわ。

...ん?でも、よく考えてみたら、今ってギルド職員と話せる絶好のチャンスじゃないか?これを無駄には出来ない!

そう思い、思い切って話を続ける。

 

「あの俺、冒険者志望なんですが、ファミリアを紹介していただけませんか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在俺は、ギルド内の一角にあるスペースに先ほどの受付嬢エルフと向かい合って座っている。

先ほどの一言で、彼女の雰囲気が変わり、真剣な表情の中俺をここに導いた。所謂、仕事モードに入ったというべきか。

両者座って数十秒が経過した頃、彼女は口を開いた。

 

「はじめまして。私の名前は、"エイナ・チュール"。ここで受付兼アドバイザーをしてます。よろしくね」

 

「こちらこそよろしくお願いします。アッシュ・ペンドラゴンと申します、チュールさん」

 

聞きなれない単語が出てきたがそこはスルーしておこう。説明してくれるだろうし。

 

「エイナ、でいいわよ。私もアッシュ君って呼ばせてもらうから」

 

「じゃあそうさせていただきます、エイナさん」

 

名前呼びを許可されたが、流石に呼び捨てで呼ぶのは気がひける。初対面っていうこともあるけど、年上のヒトにはある程度丁寧な言葉を使わないとね。

 

「じゃあ早速だけど...なんで冒険者になろうと思ったの?」

 

やはりそれが来たか、と内心思いつつ、ミアお母さんに語ったように自身の決意を口にした ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.....ありがとう、聞かせてくれて。正直、生半可だったら止めたかもしれないけど、君の目が真剣だったから大丈夫そうだね」

 

「目、ですか?」

 

ミアお母さんと同じようなことを言うなぁ。やっぱり、分かるヒトには分かるのだろうか?

 

「職種柄こうやって冒険者と関わっていると、大体目を見ると分かるの、そのヒトの熱意とかそういうのが」

 

成る程。経験のなせる技、ということか。何にせよ、OKを出して貰って良かった。

ホッとしたのも束の間、話は次の段階へ進む。

 

「それでファミリアの事なんだけど、普通は自分からファミリアに出向いて加入希望を出すの。君みたいなヒトは珍しいかな」

 

「そうなんですか!?全く知りませんでした」

 

ここ出身じゃないしね。そもそも世界が違う。

 

「うーん...基本的に大手のファミリアは、武術とか剣術とかをある程度かじっているヒトじゃないと、門前払いを食らうのよね。私の担当の子も、ポイポイ締め出されたみたいだしね」

 

予想はしていたが、やはりそうか。大手になればなるほど、ヒトも多くなり、競争が激しい。新規に入れるヒトは、ある程度力を持っていないとファミリアを圧迫するし、足手まといになる。どこの世も、弱肉強食なのだ。

 

「見たところやってないようだけど、どう?」

 

「少しやっていた時もあったのですが、ブランクがあるので多分ダメだと思います」

 

「そっかー...それだと小規模のファミリアになるけど...」

 

「まあ、入れればいいので、全然問題ないです」

 

色々死活問題なので、贅沢は言っていられない。贅沢は敵だ!

 

「それじゃあ......」

「エイナさぁーーーーーん」

 

エイナさんの言葉を遮るようにして、一人の少年の声が響く。

 

「この声は"ベル君"かな。今日も無事だったんだね..........あっ!そうだ!」

 

心配そうな、それでいて安心したような声がエイナさんから聞こえてくる。そこから察するにベル君というやつは、担当している冒険者の事のようだ。

と、考えていると、エイナさんは閃いたと言わんばかりの声を上げた。

 

「ベル君、ベル君、こっち来て」

 

エイナさんは立ち上がり、その冒険者を手招きして呼び寄せた。

そして驚くべき事を言い放つ。

 

「ベル君!キミのファミリアに入団希望がいるよ!」

 

!?なんですと

 

「えっ..........ほ、本当ですか!」

 

いや、えっ、ちょ、おま

 

「本当だよ!」

 

そう言って俺を指した。

 

「アッシュ・ペンドラゴン君。キミたち"ヘスティア・ファミリア"の入団者だよ!」

 

.....どうやら俺の入るファミリアは決定したようだ。

やれやれ、といった感じで立ち上がると、白い髪に赤い目をした兎のような冒険者に向かって手を差し出し、こう言った。

 

「君のファミリアに入団希望のアッシュだ。これからよろしく頼む」

 

その言葉にベル君と呼ばれる少年は、開花したように子どもらしい無邪気な笑顔を浮かべた。

 

 

 

これが、転生者アッシュ・ペンドラゴンと冒険者ベル・クラネルの初めての出会いであった。

 

 

 

 

 




ベル君、登・場!

と言うわけで皆さんこんにちは、ドライグです。
原作主要メンバー三人が登場しました。
まあリューさんは登場はしたものの、一言も喋ってないですけどね。一週間しか経ってないので、まだ口数も少ないんですよ、きっと...

少々強引に思うかもしれませんが、ヘスティア・ファミリア入団決定です。漸く歯車が回り始めます。

次は正式に入団です。まだこの話では仮ですからね。
それと共に、主人公の特典が数個出ます。お楽しみに!

それではまた!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。