※1修正点:【投影・剣】→【ソードフル】
※2変更点:『セイバー』→『ペンドラゴン』
「ここが僕らのファミリアだよ」
そう言って指された場所は、年期が入った今にも崩れそうなボロい教会だった。これが『ヘスティア・ファミリア』の拠点のようだ。
矮小なファミリアだから仕方ないのかな、と思いつつ空を見上げ、ほんの数分前の出来事を思い出す。
ギルドにやってきた俺は、ギルド職員のエイナさんと対話していた。その時、彼女がアドバイザーとしてついている兎カラーの冒険者がやってきた。
そこで、エイナさんは名案だとばかり、彼の所属しているファミリア、『ヘスティア・ファミリア』を推したのだ。
そこで俺は、二つ返事で入団申請を出した。
その反応に2人は、驚きの表情を浮かべる。
「推した私が言うのもなんだけど...本当にそれでいいの?」
勢いで言ってみた、みたいな感じで言わないでくださいよ、エイナさん。
「ええっ、ほ、本当にいいんですか?僕のところかなり小さいですよ?」
おい、自分のファミリアをそんな風に言ってもいいのか。主神が泣くぞ。
「それは承知している。何より元々、小規模なファミリアに入ろうと思っていたところだしね」
直感的なものだが、何かをそのファミリアに...ベルと呼ばれる少年に感じた。あと、彼が苦労人であるということも要因の一つだ。散々苦労した彼というヒトなら仲良くやっていけそうな気がする。
「そっか...それならいいけど。.....折角だし、ベル君から直接アッシュ君にファミリアのことを教えてあげて貰おうかな」
「あっ、はい!任せてください!」
張り切ってるなぁ。後輩が出来たからかな?そう思っていると、ファミリアに向かいながら話しましょう、と誘われたので頷き、彼の背に着いて行く。
ギルドを出る直前に振り返り、エイナさんに向けて感謝の意を込めてお辞儀をする。これから色々とお世話になると思うし。
そんな俺、いや俺たちにエイナさんは手を振って見送っていた。
ファミリアに着く間、彼と様々な話をした。
彼はベル・クラネルと言う名前で人種はヒューマン。年齢は14歳で、地元はここから少し離れた田舎で、つい8日前にここオラリアに到着し、そこから3日後、神ヘスティアと出会い、眷属入りしたそうだ。
ファミリアの場所は、北西のメインストリートと西のメインストリートに挟まれた区画にあるらしい。確か、豊穣の女主人があるもの西のメインストリート沿いだったような気がする。意外と近かったんだな。
主神の名はヘスティア。性別は女で、容姿は歳近い妹で通るレベルの幼さらしい。そして、胸がデカイらしい。(ベルは顔を真っ赤にして言っていた)ロリ巨乳と他の神々に呼ばれているようだ。マスコットかよ!
そんなこんなで俺たちは、ファミリアのホームへとたどり着いたのだった。
「ただいま!神様」
扉の無い玄関をくぐり、教会の中に入る。そのまま歩みを止めず突っ切り、祭壇の前にある小部屋にたどり着くと、そこには地下へと続く階段があり、下りきるとドアが出現する。そのドアを開け放ち、ベルは男にしては珍しい少し高めの声で未だ姿の見えない主神に向かった声をかける。
すると、奥の方から小さな人影がトテトテ音を立てながらやって来た。
「お帰り、ベル君。今日は早いね。ダンジョンに行ったんじゃない...の?」
ベルの声に元気よく答えたヘスティアだったが、俺の姿を目視すると、固まった。
そしてベルに質問を投げかける。
「あの、ベル君?このヒトは?」
ヘスティアの言葉にベルは待ってましたとばかりにより一層ハキハキした声で言った。
「神様!新しい入団希望者ですよ!」
その言葉にヘスティアは数秒間フリーズした後、漸く状況を理解したのか口をパクパクし始めた。
その様子に困惑したベルが声をかける。
「あの、神様?大丈夫ですか?」
「い」
「「い?」」
「イ、ヤッッタァァァーーーーーーーーーー!!!!!」
ヘスティアから発せられた爆音が、辺り周辺に響き渡ったのだった。
「フゥゥ〜」
「落ち着きましたか?神様」
「ああ、もう大丈夫だ。心配してくれてありがとうね、ベル君」
興奮が一応冷めたのか、神ヘスティアはソファーに座ってお茶を飲んでいる。これで漸く話が進む。
まずは簡単な自己紹介を交え、挨拶を済ませる。
「そうかい、よろしくね、アッシュ君。.....ちょっと長いかな?うーん、そうだなぁ.....」
と言って唸り始めた。別にアッシュでいいのに。何かこだわりでもあるのだろうか?
「.....よし、決めた!アッ君と呼ぶことにしよう!」
てれれれってれー
神ヘスティアからアッ君と呼ばれるようになった!
.....おっと、くだらないことを考えてしまった。
「アッ君、ですね...分かりました」
「ではアッ君、キミをこの『ヘスティア・ファミリア』に入ることを認める!ボクはキミを歓迎するよ!」
「そんな簡単に決めていいんですか?」
別に不満があるわけではない。が、少し疑問に思ったのだ。幾ら人数が少なかったとしても、そう簡単に決めて良いのだろうか。
「目を見れば分かるのだよ、アッ君」
やはりベテランは違うようだ。見た目に合わないが。
「ベル君もそれでいいね?」
「はい!アッシュとなら楽しくやっていけそうです!」
おっ、意外と好印象だったようだ。良かった良かった。
「それじゃあ、これからよろしくね、アッ君!」
「はい!こちらこそ、よろしくお願いします」
こうして入団が決まった。すると神様は、立ち上がって俺に服を脱いでベットにうつ伏せになるよう求めた。俺はそのことを既に知っていたので別段驚きもせず、言われた通りにした。
「これから君の背中に
そういって神様はベットに飛び乗り、俺の尻辺りに座り込んだ。そして針を取り出し、自身の指先に針を刺し、滴る血を俺の背中に落とした。
すると、赤い血はみるみるうちに波紋を広げ、背中へと染み込んでゆく、気がする。
背中全体に広がり終わると、神様は血を落とした場所を中心に指でなぞり始め、左からゆっくりと"刻印"を施してゆく。その途中で神様の手が、ピクリと止まる。その様子を後ろで見ていたベルは、心配そうに神様に声をかける。
「あ、あの、神様?どうしたんですか?」
その言葉に神様はピクッと体を一瞬震わせる。が、何事も無かったかのようにベルに返答する。
「え?あ、ああ。な、何でも無いよ」
そのやり取りに顔を埋めたまま、俺は苦笑する。
普通ではあまりありえない現象が背中に出ているのだろう。恐らく、例の特典が背中に反映されているのだと思う。
神様は一通り終えると、紙に神聖文字だったものを
アッシュ・ペンドラゴン
Lv.1
力:I10
耐久:I5
器用:I15
敏捷:I3
魔力:I0(D600)
《魔法》
【ソードフル】
・
・詠唱式『投影、開始(トレース・オン)』
《スキル》
・任意発動(アクティブトリガー)
・超越存在を除き全てを読み解くことが可能。
・任意発動(アクティブトリガー)
・魔力に補正。
・任意発動(アクティブトリガー)
・異世界の剣が夢の中にある異空間で出現。
・剣の担い手もその空間に現れる。
紙に書かれた内容を読んだ途端、魔法とスキルの基本的な使い方が頭の中に流れてくる。そして、それが与える影響も例として浮かび上がった。
.....なるほど。魔法が俺の要望の1つ目、剣に関わること。スキルの3つの上の二つが魔法を使うのに必要なもの。そして最後の3つ目が師匠がいる空間、って訳だ。
正直使ってみないことには分からないが、恐らく強いのだろう。
そう考えていると、神様は俺の袖を引っ張りながら部屋の端に移動し、ベルに声を聞かれないよう小さな声で話しかけてきた。
「これはどういうことだい?」
神様の表情は真剣そのものだ。
...さて、どうしたものか。
スキルもそうだが、魔法の方ががかなり不可解なのだと思う。
豊穣の女主人でアルバイトしていた時にも、表の方から冒険者の客が「魔法が出ない」だとか、「2つ出たらファミリアでめちゃくちゃ重宝される」という声がちらほらと聞こえてきていた。そこから考えるにかなり珍しいのだろう。それこそ、始めから持っているヒトなどごくごく僅か。それなのにただのヒューマンが元々持っていたら可笑しなものだ。
そう考えていると案の定、神様は魔法について口にした。
「スキルは...まあともかくとして、魔法はどういうことだい?元々持っているヒトなんて聞いたことも無いよ。それこそあるとしたら、魔法が得意なエルフぐらいだよ」
ですよねー。マジでどうしよう。ここは必殺・記憶喪失で行くか...?
「......まさかアッ君、
「魔導書?なんですかそれは?」
「いわば、魔法の
真っ白になるねぇ、そんなもの読んだっけなぁ..........あっ
「あっ」
つい口に出てしまった。まさか
「あっ、てアッ君!キミ読んだことあるのかい!?」
確かあれは、5日前。
豊穣の女主人の二階にある俺用に空けてくれた部屋で寝泊まりしていた俺は、朝起きると近くのテーブルに一冊の本が置いてあるのを見つけた。気になって開いてみると、そこには綺麗な文字で「特典です」と一言書いてあった。すると意識が朦朧としてきて、ハッとして目を開けると俺はいつしか横になって眠っていた。
そしてもう一度本を開くと白紙のページになっていた。
疑問に思いつつも、まあいっかと気持ちを切り替え、仕事場に向かった。
ということは、あの本はこの【ソードフル】を発現させるためのトリガーだったのだ。
「.....読みました」
「なっ、なんだって!あんな高いものをどうして.....」
ここは誤魔化すしかない。そう思い、家を出る時にたまたま出てきたので読んだ、と理由をかこつけた。また、例の記憶があやふやということと、親は既にどちらも他界しているというのも付け加えた。
その言葉に神様はある程度理解してくれた。
「分かった、そういうことにしとくよ。その記憶があやふやな部分で何かしらの出来事があったんだろう。スキルもそれが影響して発現したと考えれば辻褄も合う」
神様を騙しているようで心が痛いが、「転生したんです」なんて言ったら違う意味でもっと痛い。
「でも、これはベル君には見せられ無いね。無いとは思うけど、嫉妬して関係が悪くなるかもしれないしね」
それが一番いいと思う。まだ俺とベルは数十分の関わりしか無い。ある程度仲を深めてからではないと受け止めきれない可能性がある。
「ベル君には魔法とスキルを隠して見せるね」
その言葉に俺は深く頷いた。
ベルとステイタスの見せ合い(俺は一部隠しながら)や食事をして親交を深めた。隠しながらというのが少し気がひけるが、仲を崩さないためだと、そしてもっと仲良くなったら見せる、と心に言い聞かした。
そうして、その日は終わりを告げる。
「ううぅーかなり特殊な、というか"イレギュラー"な子が来たなぁ。ボク、やっていけるかなぁ〜」
心配げなロリ巨乳神の声を残して。
漸く、4つの特典を出すことができました。残りの2つのうちの1つは、原作4巻目か5巻目で登場します。最後の1つはかなーーーり先です。
今話で日付が多く出てきたので簡単にまとめたいと思います。
転生初日
<主人公>
・空腹でぶっ倒れる
・リューさんに拾われる
・夜に目覚める
<ベル>
・オラリアに到着
・ファミリア探し開始
転生二日目
<主人公>
・アルバイト開始
<ベル>
・ファミリア探し中
転生三日目
<主人公>
・アルバイト中
・魔導書を読む
<ベル>
・ヘスティアと出会う
・ヘスティア・ファミリア加入
転生四日目
<主人公>
・アルバイト中
<ベル>
・ギルドに冒険者登録をしに行く
・エイナと出会う
・エイナがアドバイザーとなる
・エイナのダンジョン講座を受ける
転生五日目
<主人公>
・アルバイト中
<ベル>
・エイナのダンジョン講座を受ける
転生六日目
<主人公>
・アルバイト中
<ベル>
・初ダンジョン
転生七日目←今話ココ
<主人公>
・ミアお母さんに許可を貰う
・ギルドに向かう
・エイナと出会う
・ベルと出会う
・ヘスティア・ファミリアに入団
・特典4つ入手
・親睦を深める
<ベル>
・ダンジョンに向かう
・途中で切り上げ、ギルドに向かう
・主人公と出会う
・主人公を拠点に案内
・親睦を深める
こんな感じです。どこか疑問があったり、おかしいと思ったところがあれば、ズバズバ言ってください。
あと、特典についてですが、細かい説明を活動報告に載せるつもりです。と言ってもネタバレ部分は書かないので本編で出てき次第、随時更新します。いわばまとめです。
長くなりましたのであとがきはここまで!閲覧ありがとうございました。
ではまた!
追伸:Twitter始めました。