アルマちゃんのクロスボウ   作:芋一郎

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十話 隠密4

「快晴だな…」

 

澄み渡る青空を仰ぎ、マルコが言った。

マルコの父はブルッフ子爵の馬の世話をする馬屋住みの男であった。

貧しく学もなかったが、しかし清貧を良しとした、幼いマルコにとっては自慢の父親だった。毎日両手を真っ黒にして馬の体を磨く寡黙な父の横顔をみて、マルコは、将来己もこのような男になりたいと、偽りなくそう思ったものだった。

しかし、父はそうは考えていなかった。いち早く我が子の優秀さに気が付くと、当時ブルッフ領内で名の通っていた知識人の元へと奉公に出し、その才を磨かせたのだ。

マルコはその者の下で良く働き、良く学んだ。そしてやがて時が来ると、ブルッフ子爵家の元で事務官として働くようになり、気が付けば、この歳まで勤め上げるに至っていた。

 

「マルコ殿! 鷹の団団長より『一時休憩、指揮権見直しの必要有り』との知らせです!」

「ほう。そのような殊勝な男でもあるまいに。何を考えているのやら…」

「は、はぁ。それで、返答の程は」

「当然、貰えるものは貰っておきます。鷹の団には了解の意を伝えなさい」

「はっ!」

 

伝令役の兵が前方へと駆けていくのを見て、マルコはひとつ嘆息を吐いた。

 

「まったく、この歳であのような傑物を相手取ることになるとは…」

「…? マルコ殿、傑物とは?」

 

そう問いを投げかけてきたのは、ブルッフ子爵兵団の兵士長を務める、本来ならこの討伐作戦に当たり全軍の指揮を司っていたはずの男、ベッカーであった。一平卒からの叩き上げでここまで出世した腕のある剣士で、彼もまた、他の兵士たちと同じようにマルコのことを父のように慕っていた。

 

「……いえ、何も。それよりベッカー。前を行く傭兵団に追い付き次第、全軍に進軍停止の号令を」

「はっ」

 

若いベッカーは素直にそう返事を返すと、前を進む、鷹の団の後塵を見た。

子爵兵団は兵士長であるベッカーとその副官、そして子爵家の重鎮マルコを除き、残る全員が歩兵である。騎馬隊である鷹の団と共に行軍すると、やはり、両者には少々の間隔が開くのは必然。

未だ行軍中にある子爵兵団に対し、身軽な鷹の団は既に休憩の構えに入りつつあった。

 

「……しかしマルコ殿、子爵様も、随分と面倒なことをしてくれましたね」

 

声を抑えつつ、しかしその内にこもる侮蔑は隠そうともせず、ベッカーが言った。

 

「口には気をつけなさい」

「ですが、あの豚が迂闊にも傭兵の口車に乗せられたせいで、尻拭いの為、マルコ殿が盗賊の討伐などに…」

「ベッカー」

 

ピシャリと遮ったマルコに対し、ベッカーは尚も不満気にブツブツと呟く。

 

「……そもそも、我が領内に子爵様を慕っている者など一人たりともおりません……実質ブルッフ領をまとめ上げているのはマルコ殿です。それにも関わらず、子爵様はいつまでたってもマルコ殿を邪険にして……マルコ殿はもっと大きなことをされるべきです。あなたは、あんな暗愚の下で金勘定だけをして終わっていい方じゃない」

「私をここまで取り立てて下さった先代への恩というものがあります……ベッカー、あまり困らせないで下さい」

「……申し訳ありません」

 

不承不承といった風に頭を下げるベッカーを見て、今朝からの行軍で初めて、マルコが穏やかに表情を緩めた。

 

「何も悪いことばかりではありませんよ。現に、先ほどなどは思わぬ出会いがありました」

「出会い……あの少女の事ですか」

「ええ。まるで、アニータが戻ってきたようだった…」

 

節くれだった皺だらけの手の平を胸に当て、マルコが祈りの言葉を口にする。その瞳はうっすらと潤んでいて、何かに耐えてもいるようにも見えた。

父と慕う男の、その痛々しくも安らいだ姿を見て、ベッカーもまた、従軍中にも関わらず優し気な笑みを漏らす。

 

「アニータ。お孫さんでしたね」

「……流行り病で二年前に。結局、馬の乗り方は教えてやれませんでした」

「そうでしたか…」

 

しばらく沈黙が続いたのち、ベッカーが気遣わし気に口を開いた。

 

「お孫さん……そんなに似てたんですか、あのアルマって子に」

「いや。髪の色から背格好まで違っていましたね。だが、あの子は早くに両親を亡くしていて……いつも、暗い目をしていた。もしかしたら、そこが重なって見えたのかもしれませんね」

「……そうでしたか。では、あの少女も…」

「…………」

 

鷹の団の後列にようやく追いつき、全軍に停止命令がかかる。

 

「晴らしてあげたかったですね。彼女の抱える闇を」

 

その数分後、どのからともなく飛来した一本の矢によって、ブルッフ領の潔人と呼ばれたマルコの生命は絶たれた。

 

 

 

風の吹きすさぶ草原。

鷹の団と子爵兵団が、共に不安げな顔を寄せ合い、入り混じって、グリフィス、ベッカー、そしてマルコの遺体を中心にして集まっている。

 

あの後、子爵兵団は大混乱に陥った。

幸いにも、卑怯にもマルコを隠れ撃った下手人は、傭兵グリフィスの手によって迅速に始末された。しかし、長年に渡り子爵兵団の信用を集めていたマルコの死は、当然ながら、兵達に多大な精神的ダメージを与えていた。

 

「……グリフィス殿」

 

ベッカー兵士長は頬を涙に濡らしながら父と慕った男の遺体を抱え、見事仇を討ってくれた傭兵団団長、グリフィスに向かって言った。

 

「大恩、感謝の言葉もない」

「いえ。マルコ殿のような高潔なる方の、その気高い生命が汚い手段で絶たれてしまったこと。それが許せず、気が付けば義憤のままに体が動いていました」

 

目を伏せ、静かに黙祷を捧げながらそう言うグリフィス。

粗野な傭兵稼業でありながら、自分たちが仕える子爵などよりも余程騎士然としたその姿に、束の間悲しみを忘れ、子爵兵団一同は「ほう」と感嘆の溜息を溢す。突然の襲撃に動揺を隠せないでいた鷹の団の面々も、自分たちの団長の堂々とした姿に胸を張って答えた。

 

「ありがたい。貴方という人がこの場に居合わせてくれたことは僥倖だった。……それでは、残念ですが、本作戦は一時中止。屋敷へ戻り、マルコ殿の遺体を安置した後、子爵様の判断を仰ぐことに致しましょう」

 

ベッカーがそう提案して、兵士長として兵たちに撤収の号令を出す。

対し、鷹の団の団長たるグリフィスといえば、その整った柳眉にシワを寄せ、静かにマルコの遺体を見据えていた。

 

「どうしたのですグリフィス殿。さぁ、貴方も部下にーー」

「ベッカー殿。本当に討伐隊を退かせるおつもりで?」

「……? 同然でしょう。我らが編成軍の長となるべき人が倒れた。となれば、それは討伐隊が総崩れになったも同然」

 

グリフィスの顔に、失笑が宿る。

 

「……グリフィス殿。何が可笑しいのです」

「ふふっ……失礼。あまりにもマルコ殿が忍びなく思い、つい…」

 

再び、静かな笑い声を漏らすグリフィス。そのあまりに不謹慎な態度に、恩を忘れ、ベッカーは顔を真っ赤にして怒鳴ろうとして……目の前の傭兵の、その瞳の奥に宿る失望の色に気がついた。

 

「ベッカー殿、質問です。この暗殺者の男……一体どこの者かお分かりになりますか?」

「……さて。我らがブルッフ子爵殿は領民へ多くの恨みを買っておる故な。検討もつかん」

「では、死体を改めてみてはいかがでしょう」

「…………」

 

ベッカーが何人かの部下に指示を出し、暗殺者の身体を隈なく調べさせる。

 

「ーー! ベッカー兵士長! これを!」

 

やがて、作業に当たっていた一人が暗殺者の死体から、乱暴に折り畳まれた羊皮紙を見つけ出した。

部下から受け取ったそれに目を通したベッカーは、しばらくしてから、驚愕の声を上げることになる。

 

「馬鹿な! 盗賊どもに、我ら討伐隊の出兵が知られていただと!?」

 

その羊皮紙には、汚い字で、近くブルッフ子爵が盗賊の討伐隊を結成することと、その際に用いるであろう街道、そして討伐隊指揮官の暗殺を依頼する旨が、確かに書き連ねてあった。

 

本来ならばこの編成軍で指揮権を持つのはグリフィスであるが、まさか傭兵たちを率いる若者にその大役が任されていると考える者はいまい。

ブルッフ子爵家の重鎮たるマルコが狙われたのは、至極当然の事と言えた。

 

「やはり盗賊どもの手の者でしたか……このタイミングでの犯行、そうでないかと思っていました」

 

狼狽えるベッカーを尻目に、グリフィスが確認するようにしてそう呟いた。

 

「それで、ベッカー殿。この一件の黒幕が明らかになった上で、貴方は尚も討伐隊を退かせるべきだとおっしゃるのですか?」

「む…」

「もう理解しておいででしょう。情報をリークした者がいる。盗賊どもにはこのような仕事を生業とする者たちへのツテがある。であるなら、事態はまた引き起こされるーー流石の子爵殿も、今回の話を聞けば容易に想像できるでしょう……次に狙われるのは、自分であってもおかしくないと」

「……っ」

 

ベッカーが、グリフィスの煌々と輝く瞳を見る。

 

「そうなれば……あの保身に長けた子爵殿のことだ。討伐隊はブルッフの屋敷を守る守兵隊へと早変わりすることでしょう。少なくとも、兵士長として信用を寄せられている貴方は、二度と討伐隊として出兵できる立場にはならない。マルコ殿を亡き者にした憎き賊どもへ憤怒の炎を燻らせながら、事が収まるまで豚の世話係を拝命することになる」

 

ベッカーの頭に、今グリフィスに言われた通りの情景が浮かび上がる。

 

父とも思っていたマルコが殺されたにも関わらず、その首謀者は野放しにされ、自身はあの豚のお守り。

再度討伐隊が結成されても同行は許されず……それどころか、賊どもがいつまでもブルッフ領に留まっていることさえ疑わしい。

 

「今なのですよ、ベッカー殿」

「い、今…」

「その通り。いま、今日このとき……貴方が自らの手でマルコ殿の仇を打ちたいと願うなら、その千載一遇の機会は今なのです」

 

グリフィスが、マルコの震える両肩にその手を乗せる。

 

「僭越ながら、鷹の団がそのお手伝いを致しましょう。我ら討伐隊の指揮を執るのは亡きマルコ殿でも、子爵から指揮権を託された私でもない…」

 

「ーー貴方ですよ、ベッカー殿」

 

感情のスイッチを無理やり切り替えられたようだった。ベッカー兵士長の涙に濡れた瞳に、一瞬にして力強い光が宿る。

 

「……グリフィス殿」

「感謝の言葉なら必要ありません。大義の為ゆえに」

「〜〜!」

 

ベッカーが濡れた頬を拭い、面を上げる。そこには自身と同じ悲しみ、そして怒りを共有する勇士たちの姿があった。

 

「傾注!」

 

剣を振り上げて、ベッカーが叫ぶ。

 

「たった今、賊どもの卑劣な行いによって、我らの父、マルコ殿の命が無残にも散らされた! これが許せるか!」

「「「否!」」」

「ここで逃げ帰り、喪に服することのみが死者へと弔いとなり得るか!」

「「「否!」」」

「ならば戦おう! さすれば我らの正義の刃が、愚劣極まる悪賊どもを一人残らず討ち倒すであろう!」

「「「応!!」」」

 

ベッカーの鼓舞に、両団共に拳を振り上げて応える。

編成軍はここに真に一丸となって、勇ましく馬鉄を踏み鳴らしながら、盗賊団討伐のため進軍を再開した。

 

 

 

戦いは一方的だった。

 

まず編成軍は、盗賊団が根城にしていた森の中にある古い廃屋へと辿り着くため、何人かの見張りを躱す必要があった。

そしてここで役立ったのが、投げナイフの名手である傭兵ジュドーと、そして何と言っても、未だ幼い容貌の少女、アルマだった。

アルマは先行して行った索敵により見つけ出された敵見張り兵を、山猫の身のこなしで声も上げさせず殺し周り、見事グリフィスの期待に応える仕事振りを見せた。これには鷹の団、子爵兵団ともに目を見張って驚き、拍手喝采を惜しまなかった。

 

アルマがそうやって森の中にいた四人を倒し、その後、進軍中に遭遇した二人を投げナイフでジュドーが撃破。

討伐隊は、目と鼻の先に敵の本拠地を確認できる距離まで、敵に最低限の戦支度さえ許さないまま接近することを成功させた。

 

そして開戦。

本来の作戦なら鷹の団が先行して敵と当たっていた所だったが、グリフィスの「騎馬隊は横からの奇襲が最も効果的」との発言によって、鷹の団騎兵六十は三十ずつに分けられ、予め森の中に伏兵として隠されることになった。

 

突然の襲撃である。

寝耳に水とばかりに廃屋の前で武器を持って固まる敵八十人に対し、まず子爵兵団の歩兵百が突撃を敢行。その後一当たりしたとほぼ同時に、鷹の団が両翼からはさみ込むようにして、盗賊団の腹を切り裂いた。

これにより敵兵の戦意はガタ落ちし、何とか形だけは保っていた陣形も崩れ、武器を捨て敗走する者が続出。鷹の団は、奇襲後は主にこの敗走兵を馬上から狙い倒すことで安全に戦果を上げた。

 

戦局はそのまま討伐隊優勢で進んだ。

しかし、それでも盗賊たちも必死である。廃屋から隠れて矢を放ち、石を投げ、虎の子の火薬まで持ち出してくる。

結局、森から喧騒が消えた後。実に子爵兵団二十四名が、変わり果てた姿で地へと横たわっていた。重傷軽傷を負ったものも多数いる。

 

対し、鷹の団はこれといった被害のないまま、勝利を掴みとることができたのだった。

 

 

 

夜。

討伐隊の面々は見事討伐成功を果たし、少々の捕虜と共にブルッフの屋敷へと帰還していた。

今、鷹の団の天幕群では団員全員が火を囲み、祝杯を上げている最中。

そこらかしこで活力ある笑顔が弾け、皆、これ程の戦果を上げながら無傷である自分たち鷹の団と、そして団長グリフィスに乾杯の音頭を飛び交わせていた。

 

「グリフィスの策はドンピシャだったなぁオイ、リッケルトちゃんよォ!」

「コ、コルカス…! 声が大きいよっ……もし聞こえたりしたら大変じゃないかぁっ……でも、うん。オレたちの作戦はーーグリフィスが土壇場で作戦を変更。鷹の団が伏兵、子爵兵団が主力になって、安全に褒賞を手に入れるーーっていう本当の作戦は、見事に大成功だった。流石はグリフィスだよね」

「実際、あのマルコとかいうオッサンが付いてきた時と、グリフィスが指揮権の見直しなんて言い出した時にゃあ、オレァ、頭に来ておかしくなりそうだったけどよ…」

「……うん。まさか、殺されちゃうなんて…」

「……チッ、暗くなっちまったな。奴さんのお陰で、俺たちゃ今日も美味い飯が食える。それでいいじゃねぇか……っと、それよりもだ! オイ、アルマ!」

「ーー! あ、うん。なに?」

 

ゆらゆらと揺れる火を見ながら、意識が何処かへ飛んでいたらしい。

声がした方へと振り向くと、炎の明かりに当てられ、顔をオレンジ色に明るさせたコルカスとリッケルトが、笑顔で俺を見ていた。

 

「この千両役者が! テメェがあんなこと出来たなんて知らなかったぜ!」

「凄かったよ。これで鷹の団全員が、グリフィスが何故アルマを重用するのか、理解したと思う」

「……? あんなこと?」

 

思わず、キョトンとして返してしまう。

今日は色んな事があり過ぎたから、具体的に言って貰わねば、あんなことが何を指すのか分からなかった。

 

「とぼけんじゃねーよ。森の中で……お前があっちゅー間に見張り四人をぶっ殺しちまったことだ」

「……ああ」

 

コルカスに言われて、ようやく思い出す。

マルコを撃ったことが重すぎて印象に残らなかったが、そういえばその後に四人殺したのだった。

 

「大したことねぇよあんなの」

「謙遜する必要ないよ。みんな感謝してたんだから。オレたちの被害が少なかった理由の一つは、アルマが次々と見張りを倒して、ギリギリまで見つからずに接敵できたお陰だって」

「まっ、ほとんどグリフィスの成果ってのには変わりねぇけどな」

「コ、コルカス〜…」

 

二人のやりとりが面白くて、思わず吹き出してしまう。

 

「何だ。笑えんじゃねぇか」

「……え?」

「あー、なんだ。お前、あのオッサンと仲良さそうにしてやがったからな。その、落ち込んでやがったら鬱陶しいなーと思ってだな…」

 

コルカスがゴニョゴニョとそう言って、照れ臭そうにソッポを向く。

この自己中を絵に描いたような男が見せた意外な一面に、俺とリッケルトは少々驚いて顔を見合わせた。

 

「ど、どうしちゃったのコルカス……悪いものでも食べた?」

「う、うるせぇ! 食ってねぇよ! オレが仲間を気遣うのがそんなに不思議か!? ええ!」

「いいさ、リッケルト。追求してやるな。俺が魅力的すぎるのが全て悪いのさ…」

「ちっげぇよ!! 誰がこんなチンチクリンのクソ餓鬼にチンコおっ勃てるってんだよ!」

「……何ぃ…?」

 

久々に、カチンと来た。

 

「俺がチンチクリンならテメェはクリチンチンだ! このマロンサイズ野郎が!」

「オ、オレさまのチンチンが栗並みだァ!?」

「おーそうさ! それもむき栗じゃねぇ! 皮ひっ被ったヘナチョコ包茎マロンだよ!」

「よーしアルマァ! てめぇソコで大人しくしてろ! 本当にオレのが一口サイズで済むか、その小ちゃな口ん中ぶち込んで試してやらァ!!」

「も、もう! 止めなよ二人とも! みっともないって!」

 

気がついたら、三人で押し合いへし合いしながら怒鳴り合っていた。

そんな俺たちを酒のつまみにして、周囲からは楽し気な野次と笑い声が飛んで来る。

それに釣られて、俺たちも馬鹿を続けながら笑ってしまう。

 

「だいたいテメーは女の癖に、もっとお淑やかに出来ねーのか!」

「お淑やかって言葉がテメェのデカイ口から出るとは思わなかったよ!」

「やめなってー!」

 

喧騒は続き、乾杯は止まない。

この日、俺は本当の意味で鷹の団の一員となったような気がした。

 

 

「…………」

 

視界の端で、グリフィスが楽しげに俺を見ている。

 

マルコのことは、もう気にならなかった。

 


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