ウルトラマンゼロ物語(ストーリー) in RED ZONE STAGE 作:剣音レツ
第1話「銀色の再来者」
(OP:TAKE ME HIGHER)
西暦2015年、場所は、私たちが住んでいる所とはまったく違う別宇宙の地球。ここはかつて49年前、怪獣や侵略者の脅威にさらされていた。人々の笑顔が失われそうになったその時、遥か彼方、光の国からウルトラ戦士たちがやって来た。彼らの活躍により、地球は平和を取り戻してきた。
そして、2012年にウルトラマンゼロが地球を守ったのを最後に、完全なる平和が訪れ、三年の年月が過ぎようとしていた。
そんな地球の中の『日本』と言う国の中に『霞ヶ崎』と言う都内の町がある。ここは高層ビルやマンション、民家など様々な建物がぎっしり並んでいて、そのすぐ横には森林が広がっていて、その奥には自然に恵まれた大きな渓谷『露金(つゆがね)渓谷』が立っている。
この様に都会ながら大自然のおかげで空気も清潔なその町の人々も平和に暮らしており、怪獣頻出期の恐怖すら完全に忘れ去られた様にも見えた。
だが、そんな平和な町『霞ヶ崎』の中心に突如、何の前触れも無く巨大な生物が姿を現した。その生物は、サボテンの如く全身に無数の棘が生えており、赤い花の様な赤くて四つに分かれた不気味な口を持っている。この生物はサボテンとハリネズミが合体した超獣『さぼてん超獣サボテンダー』だ。
サボテンダーは咆哮を上げると、全身の棘をミサイルの如く発射して暴れ始めた。ビルやマンション等が次々と破壊され、人々は突然の怪獣出現にパニックを隠せず我先にと逃げ惑う。
怪獣頻出期が去った後も、僅かながら残っていた地球防衛軍の戦闘機が出動し攻撃を仕掛けるが、相手は怪獣のさらに上を行く超獣。地球の通常兵器は全く効き目が無く、逆にサボテンダーのトゲミサイルにより瞬く間に全機が撃ち落されてしまった。
サボテンダーは戦闘機を全て撃ち落した後、何かに目を付けたのか、ビルを薙ぎ倒しながら一方向へと進んでいった。その先には、町と森林を繋ぐ草原の中を逃げ回る一組の若い男女三人組がいた。彼らは大学生であり、大学へ向かう途中であった。
「うわあぁぁぁぁ‼何でいきなり怪獣が出て来るんだよぉ‼」
情けない叫びを上げながら逃げる彼は『ドン・ドッゴイヤー』で、パーマの金髪な髪型が特徴である。彼は頭脳明晰だが、臆病な所があり、尻込みしやすい。また、学力抜群で、コンピューターにも強く、様々なメカの修理もできる等、「博士っぽい」所がある事から「ハカセ」と言うあだ名を持っている。
「そんなのこっちが知りたいわよ‼」
強気に叫びながら逃げる彼女は『ルカ・ミルフィ』で、端正な顔立ちに茶髪のショートヘアをしている。男勝りで活動的な女子大生で、良くも悪くも考えるより先に行動するタイプだが、その性格故に面倒見が良く、ハカセ等の草食系男子の世話焼き役に回ることもしばしばである。また、金目の物に目が無い一面もある。
「違いますよドンさん!あれは『怪獣』の上を行く存在『超獣』ですよ!あれは確か『サボテンダー』と言って…」
「今解説してる場合じゃないだろー‼」
狙われているにも関わらず、逃げながら熱心にそしてどこか嬉しそうに解説をする笑顔が眩しい茶髪の青年にハカセは突っ込みを入れる。彼は『伊狩鎧』。お調子者かつハイテンションな性格で、自称『誰よりもウルトラ戦士を愛する男』。そのため、過去に登場したウルトラ戦士や怪獣たちに非常に詳しいと同時にウルトラ戦士達を尊敬しており、、今の様に時に状況関係無く我を失い、ウルトラマンや怪獣を熱心に語りだす事もしばしばである。因みにルカ達より一つ下の後輩だが、彼らとは同級生の様に仲が良い。
ハカセは無駄に手を振りとにかく一心不乱に逃げ、鎧は現れた本物の超獣を前に興奮しているのか、ちょいちょい振り向いてサボテンダーを見ながら逃げており、ルカはそんなモタモタする鎧を力ずくで引っ張りながら逃げていた。
「あーもう!何で私達を付け狙うのよっ‼」ルカは半ば八つ当たり気味に叫ぶ。
「僕達だけ草原で逃げてるから多分目立っちゃったんだよ~‼」
ハカセはヘタれた声でそれらしい返事をする。
「しかし…どういう事だろう…怪獣も超獣も宇宙人も、ウルトラ戦士の皆さんの活躍で全て倒された筈なのに…」鎧は必至で逃げながらルカ、ハカセに疑問を投げかける。
そうしている間にもサボテンダーは、三人に追い付こうとしている所まで近付いていた。サボテンダーは三人に向けてトゲミサイルを乱射し始めた。トゲミサイルの雨あられにより、自分達の周りをはじめ、草原のあちこちで爆発が起こる中、三人は必死で逃げ続けた。
だが、爆発により捲れた地面にルカは足を挫かせて転倒してしまった。ハカセと鎧は立ち止まり、ルカに駆け寄る。
「大丈夫ですか!?」鎧はルカの腕を自分の肩にかけて起こしながら聞く。
「ええ、これしきの傷…」ルカは強気に答える。
だが、安心するのも束の間、サボテンダーは立ち止まった三人を見てチャンスとばかりに止めの一発を発射しようとしていた!
「もうだめだ~‼」ハカセは既に諦めモードだった。
ハカセを始め、三人は目をつぶり、死ぬことを覚悟した。
___その時、不思議な事が起こった。
突如、空から白い光弾が飛んで来て、サボテンダーの頭部に命中した。いきなりの被爆に怯み少し後ずさりをするサボテンダー。目をつむっていた三人もいつの間にか目を開けてその光景を見つめていた。
「一体……何が起こってるの?」とルカ。
「………さあ。」とハカセ。
すると、鎧が何かに気付いた。
「はっ……あれを見てください‼」
ルカ達も、鎧の指差す方向へ視線を向けた。三人の視線の先には、約2〜3キロ先の場所で赤く光る球体が浮かんでいる。
「…何なの?あの球体は…。」
「もしかしたら、あいつの仲間の怪獣⁉︎」
「赤い球体……もしかして!」
ハカセとルカが不安そうな口調で言う中、鎧は早くも何かに勘付いたようだった。サボテンダーも球体に対し、警戒の体勢に入っていた。
すると、赤い球体は青白く輝いた後、次第に人型へと変わって行き、やがて巨人の姿となった。
「……あれは……!」
その巨人を見た瞬間、鎧は目を見開いた。そこに立っていたのは、赤と銀で構成された筋肉質のボディにトレードマークと言えよう青い瞳を持つ光の巨人『ウルトラマンパワード』だ!
彼は過去にアメリカで防衛チーム『W.I.N.R』の勇敢な青年『ケンイチ・カイ』と一体化し、迫り来る怪獣や侵略者と戦い抜いてきた。最終決戦ではカイの身を案じ、分離してゼットンと対決。倒す事に成功するが、自らも力尽き、迎えに来た仲間の光球と共にカイ達に別れを告げ、M78星雲へと帰還した。だが今回は、地球の新たな危機を感知したのか、再び地球に駆け付けたのだ。
(BGM:ウルトラマンパワード)
「あーーーーーっ‼︎あれは……ウルトラマンパワードじゃないですか‼︎」
鎧は、超獣に続き、ウルトラマンも登場した事で、興奮のボルテージがさらに上昇。まるで子供の様に騒ぎ始めた。
「うそ……マジで?」
ルカは目の前に起きていることが信じられないのか、興奮する鎧をよそにハカセ共々呆然としていた。因みに先ほどサボテンダーが受けた光弾は、パワードの技『エナジーナックル』である。
パワードはゆっくりと構える。そして、行くぞとばかりに地面を蹴ってサボテンダーに勢いよく跳びかかる。そして、その勢いで右の掌で腹部を押さえるように突き飛ばした!
サボテンダーは数十メートル吹っ飛び、ビルに激突した。だが、これぐらいでは勢いが劣らないのが超獣のタフネス。サボテンダーは瓦礫を振るい落としながら立ち上がり、体勢を立て直し、パワードに向かって走り出した。
パワードとサボテンダーが組み合う。そして、互角で激しいパンチの応酬を始めた。あまりにも激しい戦いのため、両者の周りの地面は小さな爆発が連続で起こり、土煙が舞い上がっている。
サボテンダーは右フックを繰り出すがパワードはそれを左手で受け止め、サボテンダーの腹部に連続で右拳を打ち込む。サボテンダーは今度は左フックを放つが、パワードはそれを素早くしゃがんでかわし、サボテンダーの腹部に左アッパーを決める。そして、一回転し左ハイキックを頭部に打ち込んだ!
サボテンダーがよろけた隙に、パワードは胸部に前蹴りを決め、距離を取るためその反動を利用して宙返りをしながら後ろへ跳んだ。流石はアメリカで数々の強敵を倒してきただけあって、パワードの強さは侮れないものだ。
「………強い…!」
「相手は超獣だよね!?」
ハカセもルカも、パワードの強さに呆然としながらも感心している。
「まあ見てくださいって。ここからが見物ですよ。」
鎧は嬉しそうな表情で言った。
サボテンダーはパワードを捕えようと、赤い花の様な口からパワード目掛けて長い舌を勢いよく伸ばし始めた。だが、パワードは全く動じる事無く右手を前に突き出して、丸のこぎり型の光輪『パワードスラッシュ』を発射!サボテンダーの舌を瞬く間に切断した。
さらに怒ったサボテンダーは、全身のトゲミサイルを一斉に発射し始めた。パワードは少し身構えた後、迫り来るトゲミサイルをキック、チョップで次々と撥ね始めた。サボテンダーはなおも発射し続けるが、パワードは慌てる事無く次々と確実に撥ねていく。撥ねられたトゲミサイルは全てパワードの背後の空で爆発した。それはまるで、夏の花火大会のフィナーレのようだ。
だが、トゲミサイルを全て撥ね終えた時、サボテンダーの姿はパワードの眼前から既に消えていた。トゲミサイルを撥ねている間に後ろに回り込んでいたのだ。サボテンダーはチャンスだと思ったのか、身体を球状に変形し、体当たりをしようとパワードに向かって勢いよく飛び始めた。だがどうしたことか、パワードは後ろからサボテンダーが迫って来るにも関わらず、微動だにせずじっと立ち尽くしている。
「ちょっと何やってんの!?危ないよ‼」
「うわ~ぶつかる~~~‼」
ルカ・ハカセは慌てるが、鎧は慌てるどころか嬉しそうな表情を崩さず見続けている。
サボテンダーが10~20メートルぐらいにまで近付いたその時、パワードは地面を蹴り、地面に背を向けるようにジャンプし、オーバーヘッドキックを繰り出す!蹴りは見事、球体のサボテンダーにヒットし、サボテンダーは球体のまま上空に吹っ飛んでいく。そのファインプレーには三人も思わず歓声を上げていた。
「すごい………!」感心するハカセ。
「ジョージ先輩もビックリのナイスシュートですね!」と鎧。
ちなみにジョージとは、彼らと同じ大学の先輩で、サッカー部の部長である。
パワードは跳ね起きで起き上った後、上空の球体サボテンダー目掛けて両腕を十字に組んで『メガスペシウム光線』を放つ!十字のまばゆい青白色の光線は一直線に飛び、球体サボテンダーを貫く!サボテンダーはまるで薬玉が割れる様に四つに分裂し、やがて跡形も無く爆散した。
サボテンダーの爆破を確認した後、パワードは青白い光に包まれ、そして段々と小さくなっていく様に姿を消した。
「行ってみましょう‼」
三人は鎧の言葉を合図にパワードが消えた場所へと急いで駆け出し始めた。その場所に着いた時、そこには見た感じ二十代前後か三十代前半ぐらいの男性が細長いカプセルの様なアイテムを持って立っていた。三人は男性を見てふと立ち止まる。そしてハカセが恐る恐る話しかけた。
「あの……あなたは一体…?」
すると男性はハカセ達の方を向いて答えた。
「……俺はケンイチ・カイ。またの名を、ウルトラマンパワードだ。」
「じゃあ……さっきの巨人はあなたが変身したもの……?」
「教えて。この町、いや、この地球に何が起こ……」
ドンッ!
鎧は質問するハカセとルカの声を切り裂く様に勢いよく二人を押しのけ、カイに勢いよく駆け寄った。
「光栄ですぅ~~~‼まさか、ほ、本物のケンイチ・カイさんに会えるなんて~~‼」
鎧は強引に握手する様にカイの片手を両手で握り、大げさに上下に振る。鎧はもはや本物のカイに会えたことの興奮で前が見えないようだった。だが、困惑するようなカイの顔や、呆れ気味の二人の顔を見て、少し我を取り戻す。そして、仕切り直すように話し始めた。
「………………おっと、申し遅れました。俺は伊狩鎧。そしてこちらが仲が良い先輩のドンさんにルカさんです!さっきはありがとうございましたぁ~‼……あ、そうだ。よ、良かったらこのノートにさ、サインをお願いしま~す‼」
鎧は、元気良くカイにサインペンとノートを突き出した。落ち着いたとは言え、鎧の嬉しさのボルテージは高いままだった。
「も~鎧ったら…まずは事情を聞き出すのが先だろ。」
ハカセは少々呆れた様な口調で突っ込んだ。カイは変身アイテム『フラッシュプリズム』を胸元にしまい、鎧からサインペンとノートを受け取りながら答え始めた。
「俺は再び宇宙からやって来たパワードと一体化し、この町にやって来た。彼の話によると、謎の声に導かれてこの地球にやって来たのだという。」
「謎の………声?」
カイの言葉を疑問に思うルカ。カイはサインを書きながら落ち着いた口調で話を続けた。何でも、パワードは宇宙をパトロールしていた所、突如どこからか女性の助けを求める声が響いた。そして、ここ『霞ヶ崎』と言うようにと告げられたと言う。
「そんな訳で、俺はパワードと再び一体化し、この町に飛んで来たんだが……その時、さっきの怪獣が暴れてたから撃退した……と言う訳だ。」
カイは話を終えたと同時にペンとノートを鎧に返した。鎧は眩しいほどの嬉しそうな顔で受け取る。
「何か……信じ難いわね。」とルカ。
「どうやらその声の主は君じゃ無いみたいだな。君達、さっきの怪獣以外で最近何か変わった事とかは無かったか?」
「い…いいえ、特に何も。」とハカセ。
「そうか……まあいい。俺はしばらくこの町を探索する。今後もし何か変わった事があったらどんな事でもいいから俺に知らせてくれ。」
「分かった」
カイはハカセとルカが返事したのを確認た後、鎧の方を向く。
「あと、鎧君、そのサイン、大事にするんだぞ。」
「はい!僕たちも、全力であなたをサポートしま~す‼」
鎧は、サインを貰った嬉しさか、上機嫌で返事をする。それを見たカイは少し笑った後、何処へ走り去っていった。
三人は走り去るカイの後姿を見つめながら話す。
「この星に……また侵略者が攻めに来たと言う事かしら。」
「分からない…でも、僕達も今後、用心する必要があるね。またさっきの超獣みたいな奴が攻めて来るかもしれないし。」
「そうですよ!ドンさん、ルカさん。地球は再び狙われている……俺達も、ウルトラ戦士の皆さんのお役に立てるよう、力を合わせましょ~~~‼」
鎧はハイテンションで喋りながら、ルカ達の肩に手を回した。
「そ…そうだね。とりあえず今は大学に行こう。マーベラスとジョーとアイムが待ってるし。」
「おっと…そうでした。じゃ、行きましょう!」
三人は、取り留めないお喋りをしながら歩き去って行った………。
一方、カイと三人が話していた場所の近くで、白いワンピースを着たショートヘアの可憐な少女が憂鬱そうな顔でそのやり取りを見ていた。
「……やっと一人来てくれたのね……でも、まだ足りない。早く来て……勇者達……」
そう言うと少女はその場を立ち去って行った。
(ED:この宇宙のどこかに)
読んでいただき有難うございます。
感想・指摘・アドバイス・リクエスト等お待ちしております。
※本作のウルトラマン達は本作の舞台の地球がある宇宙ではなく元の宇宙から来たウルトラマンという設定です。
※主人公が初登場するのは構成上第3話の予定にしています。
次回はウルトラマンゼロが初登場です。