ウルトラマンゼロ物語(ストーリー) in RED ZONE STAGE   作:剣音レツ

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 今回の番外編はみんな大好き(?)眞鍋海羽ちゃんが主役です!(笑)


 今回は“二月(如月)”がテーマという事で、二月のイベント、主に節分を中心にしています。(節分の話でありながら、節分過ぎに投稿になってしまった事をお詫びします。)


 あと、今回はとある二人のウルトラ戦士が登場します!

 また、そんな彼らの登場がきっかけで、海羽(ソル)は後にゼロやコスモスを呼ぶことになるのです!

 まあどういう事かは見れば分かりますよ(笑)


 まあとりあえず細かい事は気にせずに楽しんでいただけたらなと思います!(笑)


 それでは、どうぞ!


番外編「眞鍋海羽物語(ストーリー)如月~きさらぎ~」

 これは、この世界でのウルトラマンゼロたちが来る約5ヶ月前。つまり、2月の出来事を描いた物語である、、、。

 

 

 

 (OP:英雄の詩)

 

 

 

 ハロー!みんな、元気にしてるかな?

 

 

 最近寒い日が続くね~。

 

 くれぐれも、風邪をひかないように気を付けてね。

 

 

 おっと、話が脱線しちゃった。ごめんね。

 

 

 

 私は眞鍋海羽(まなべ みわ)。

 

 

 

 兵庫県神戸市生まれ&育ちで今は女子大生で霞ヶ崎で一人暮らしをしているの。

 

 

 大学は、霞ヶ崎の難関の私立大学・麟慶大学の商学部!

 

 

 

 私、いつもどんな時も元気と笑顔を絶やさずに過ごしてるの。

 

 

 でも、ただそれだけなのに、みんなからは「かわいい」とか「元気一杯」「癒される」「海羽ちゃんといると元気になる」、更にはたまにだけど「なでなでしたい」とまで言われるの。

 

 

 私も多少は認めてるんだけど………私、割と小柄だから、多分それに元気一杯な所がマッチする事によって、無邪気な子供のような可愛らしさを感じるのかな………?

 

 それで「かわいい」とか「癒される」「なでなでしたい」とか言われるのかも、、、

 

 

 あ~ん、何だか恥ずかしくなって来たわ!(照)

 

 

 でも、これだけは言える。

 

 いつも元気でいるのは、周りの人も常に元気でいてほしいからなんだよ。

 

 だから、もし落ち込んでる人がいるのなら、真美ちゃんほど適切な助言は言えないかもだけど、せめてその人の話を聞いてあげて、そして私の明るさで笑顔にさせることが出来たらな~って思ったりしてるの。

 

 

 

 あ、それと私、実はもう一つ特別な物を持ってるんだ。

 

 

 そ・れ・は~………

 

 

 

 私、ウルトラマンに変身できるの!

 

 

 あ、私女だから正確には“ウルトラウーマン”だけどね(笑)

 

 正式名は『ウルトラウーマンSOL(ソル)』。

 

 

 ………驚いてる?

 

 まさか私みたいな華奢な女子がウルトラ戦士になるなんて、想像もつかないもんね………。

 

 

 

 ………でも………私がウルトラの力を手に入れたのにはとあるワケがあるの………。

 

 みんなにはまだ言えないんだけどね………。

 

 

 ………て言うか、あれ?………そのワケって何だったっけ?………………。

 

 

 ソルと一体化した衝撃で忘れてしまったのかな…………?

 

 

 でも、微かに覚えてるのは、一体化する際に、何か優しい声に「貴女は選ばれた」みたいな事を言われた気がするな………。

 

 

 

 でも、この世界に異変が起こりつつあるのは確かだから、とりあえす今分からない事を考えていても仕方ないから、戦っていけばその内思い出すことになるかなと自分なりに割り切って、今は目の前のやれる事を一生懸命頑張ってる………って感じかな?………。

 

 

 と言うわけで、私は今大学生活をしつつ、時には人知れずウルトラ戦士として戦っていたりしているんだ。

 

 

 

 おっと前置きが長くなっちゃったね。じゃ、ここからが本編だよ。

 

 

 

 今日は2月3日、節分の日!

 

 そしてこの日は金曜日であり、更にたまたま大学が休みという事もあって、昼間は商学部のみんなと豆まきをすることにしたの!

 

 

 前もって買っていた、豆と鬼のお面とかを持って、商学部全員体育館に集まる。

 

 

 海羽「よーし、今年も悪い鬼さんを追い出すぞー!」

 

 やる気満々の私。

 

 

 生徒A「年の数だけ豆を食べるんだろ?俺は19個食べられるわけだぜ!」

 

 海羽「んもぅ~男子ったら食べることも考えるんだから…。」

 

 生徒A「何だよ?女子だって変わらないじゃないか。

 

 海羽こそ手に持ってる豆の量は何なんだ?」

 

 

 海羽「………あ。」

 

 いつの間にか私、女子の中で一番豆の袋を多く持ってたみたい………。

 

 

 海羽「(手を額に当てて舌をちょっと出して)えへ。」

 

 生徒A「今年も豆を食べて、悪い鬼を追い出して、お腹を福で一杯にしようぜ。」

 

 海羽「そうだね!」

 

 

 その時、

 

 

 “ピシャーン ゴロゴロゴロゴロ…”

 

 

 昼間だというのに突然強い光と共に雷が鳴り出したの。

 

 

 学生たちは驚いて、中には驚いてる人も何人か出ていたわ。

 

 

 海羽「何でいきなり雷が鳴るんだろう?………まだ昼過ぎなのに………。」

 

 学生B「まあ、暦だと節分の日が冬から春への季節の変わり目と言われてるけど………月的にはまだ寒い日が続くからね。寒雷が鳴ってもおかしくはないよ。」

 

 物知りな女子学生が、雷の意味を解釈しつつ色々説明してくれる。

 

 

 海羽「私、寒雷が鳴る日は不吉な事が起こるって聞いたことがあるわ………。」

 

 学生B「(少し笑いながら)そんなの迷信だよ。さ、寒雷もおさまった事だし、そろそろ豆まき始める?」

 

 海羽「………うん!」

 

 女子学生の励ましもあって、とりあえず安心した私はみんなと豆まきを始める。

 

 

 一斉に豆をまき始める学生たち。

 

 鬼のお面をかぶる係は………学科中の人気者たちって感じかな?

 

 実は私もその人気者の一人なんだけど、なぜか私は出来なかったわ。

 

 私が鬼っぽくないからなのかな?個人的にやってみたかったのに………………。

 

 

 ま、いっか。今は豆をまいて、鬼を追い出す事に専念しよーっと。

 

 

 鬼は―外!福は―内!

 

 

 

 だが、その同じ頃、そんな海羽たち商学部が楽しそうに豆まきをする様子をこっそり伺っている一人がいた。

 

 その者は見た感じ老婆のようであり、マントのような服で身を覆い、杖を突いて歩いている。

 

 

 ???「おのれ………今年も人間どもは我が仲間を………鬼を虐めよって~………。年に一度の節分の日とはいえ、やはり許せぬ!

 

 

 ………しかし、今回の作戦が成功すれば、きっと奴らは鬼を虐めなくなるだろう…ふっふっふっふっふ…。」

 

 

 そう言うと老婆はちらっと海羽達の持つ豆袋の方へと顔を向ける。

 

 

 ???「さっき寒雷を起こらせて注意を引きつけた隙に、豆の中に“ある物”を仕込んでおいた………それがあれば、人間どもはますます鬼を恐れる。間違いない。」

 

 

 そう呟いていると、豆まきの流れ弾が老婆にふりかかる。

 

 ???「ううっ!痛い痛い………やっぱり豆は嫌いじゃ…豆には勝てん………!」

 

 

 そう言うと老婆は、その場からスッと姿を消すように去って行った………。

 

 

 果たして、その豆に仕込んだ“ある物”とは一体何なのであろうか………?

 

 そしてその老婆は一体何者なのであろうか………?

 

 

 

 私、眞鍋海羽は、商学部のみんなといっぱい豆をまいた。

 

 

 でもこの後が大変………体育館の床あちこちに豆が散らばってるからみんなで全部拾わないといけないの。

 

 でも商学部のみんなとならすぐに全部拾えそうで良かった。

 

 

 豆を拾ったら年の数だけ食べて、恵方巻を丸かぶり……楽しみだな~ 

 

 

 そう思いながら豆を拾ってたその時、

 

 私はある人に目が止まったの。

 

 

 櫂君に負けず劣らず、背が高くて、身体が引き締まってて、端正な顔つきをしている一人の男子学生が、どこか暗そうな表情で豆を一粒ずつ拾っているのを………………。

 

 

 はぁ…体格羨まし~………私と正反対………。

 

 ……あ、いけないいけない。つい見惚れてたわ(笑)

 

 

 私はその男子学生を知ってる。

 

 

 彼は『佐藤宏隆』。私たちと同じ商学部の学生………って言わなくても分かるか。豆まきに参加してるんだもんね(笑)

 

 部活は空手部に所属してるの。だからあんなに体引き締まってるのかな………?

 

 

 実は彼、後日に空手の県大会を控えてるの。だから最近は特に練習に打ち込んでるんだ。

 

 毎日真剣な顔で、汗水流して………。

 

 

 まあ、一つだけ問題があるとすれば、友達が少ない事かな?

 

 普段あまり群れてなくて、一人狼って感じがあるかな?

 

 

 普段から一人でいることが多いんだけど、今日は特に暗そうな顔してる………。

 

 

 一人でいるのが寂しいは多分ないと思うから、何か悩みでもあるのかな………?

 

 

 気になった私は、初めてだけど話しかけてみる。

 

 海羽「ひーろーたーかー君!」

 

 “ポンッ”(肩を叩く音)

 

 宏隆「うわっ!?………何だ、眞鍋か。」

 

 海羽「えへへ、どう?豆はまけた?」

 

 宏隆「あ………ぁぁ。」

 

 

 そっけない返事………やっぱり何かありそう………。

 

 

 でも私はいつもの明るさを絶やさず話す。

 

 海羽「県大会もうすぐだね。」

 

 宏隆「お、おぅ。」

 

 海羽「優勝するためにも、今日自分の中の鬼を追い払おうね。」

 

 宏隆「ああ………。」

 

 

 さっきから素っ気ない………私に心を開いてないのが丸見えね。

 

 

 海羽「私もね、私の中の鬼を追い払ったの。確信はないけれど、そう思えば何だか今年一年も楽しく過ごせる気がして、とても笑顔になれるの。」

 

 宏隆「………そうなのか…相変わらずハッピーな奴だな。」

 

 海羽「ねえ、宏隆君ここ最近、何だか暗そうな気がするな………。最近何かあった?」

 

 宏隆「………………。」

 

 

 宏隆君は黙り込んでしまった………ふふふ、図星ね。

 

 

 私は覗き込むように彼を見つめながら語り掛ける。

 

 

 海羽「ねえ、私、真美ちゃんほど適切な事は言えないと思うけど………

 

 私で良かったら、話聞くよ。」

 

 

 宏隆は、自身に話しかける海羽に自然と引き込まれるような感覚になっていた。

 

 恐らく、一匹狼のような自分に、しかも初めてだというのに人懐っこく話しかける海羽に、何処か今までにない魅力を感じているのであろう。

 

 

 因みに海羽が商学部のアイドル的存在という事は、彼自身も知っていた。

 

 

 すると宏隆は少し躊躇った後、頑なに多くを語らなかった口を開いて話し始めた。

 

 海羽の無邪気さを見て、彼女なら大丈夫だと判断したのであろう。

 

 

 私、眞鍋海羽はようやく話し始めた宏隆君の話を聞き始める。

 

 

 彼はどうやら、昔から上手く友達が作れない事が悩みみたい………。

 

 一人で過ごすこと自体は何ともないみたいなんだけど………時に数人で楽しそうに話してる他の友達を見てると、寂しい気持ちが募っていくみたい。

 

 

 その友達があまりできない原因も、どうやら自覚してるみたい。

 

 宏隆「………俺………冗談の見分けがつかなくて………。」

 

 海羽「…ほえ?」

 

 

 どうやら彼は、例え冗談でも、人から酷い言い方されるのが苦手みたい………。

 

 例えば、先輩や友達が雑談の時「お前バカだろ。」って言われるだけでも、自分が馬鹿にされてるみたいでムカってなっちゃうみたい………。

 

 

 それは親や先生の説教でも同じ。どんな思いで自分を叱ってるなんて関係なく、とにかく辛辣な事を言われただけでその人に悪意を感じて、逆恨みしてしまうみたい………。

 

 だから、親と険悪になる事も少なくないんだって………。

 

 

 そうか~………もとから真面目で、プライドがある人だなーって思ってたけど、その性格が原因でもあったなんて………。

 

 クールな一匹狼だと思ってたけど、その心中には闇があったなんて………。

 

 

 海羽「………そっか………そんなワケがあったなんて………。」

 

 宏隆「ああ、だから、思うんだ………もっと余計な事を考えず、余裕の持った心さえあれば、人間関係も上手く行くんじゃないかと………。」

 

 

 心を開いて話した宏隆。すると、海羽の顔をふと見た瞬間少し驚く。

 

 彼女はいつの間にか目に涙を浮かべていたのだ。

 

 

 海羽「はっ………私、ダメなの。」

 

 海羽はそう言うと、指で涙を拭って話す。

 

 海羽「昔からなんだけど………私、泣き虫で………ちょっとでも辛いなとか、可哀想だなと思ったり、少しでも感動したりしたら、すぐ涙を出しちゃうの………。」

 

 笑顔になった海羽は、宏隆の方を向く。

 

 

 海羽「分かったわ。力になりたい。」

 

 

 宏隆「お………あ、あぁ。サンキュー。

 

 初めてだな………俺をここまで気に掛けてくれた人は………。」

 

 

 海羽「私に任せて、宏隆君。 ねえ、これから私に対して、思った事は何でもいいからそのまま言ってもいいよ。」

 

 宏隆「………え? 何でも言ってもいいのか?」

 

 海羽「うん!ありのままを。」

 

 宏隆「……まあ、よく分からないが、じゃあ遠慮なく言わせてもらうぜ。」

 

 海羽「よろしくね、宏隆君。………あ~………名前じゃあ堅苦しいわね……… ひろにゃんって呼んでいい?」

 

 宏隆「んなっ!?流石に恥ずかしいわそんなの!遠慮するわ。 何か子供っぽいし。」

 

 海羽「あ、それそれ!そんな感じ!」

 

 宏隆「え?………こ、こんな感じで良いのか?」

 

 海羽「うん!」

 

 

 あまり分からないまま、とりあえす海羽に言われた通り、思った事をそのまま口に出すことにした宏隆。

 

 果たして、彼を救うための海羽の考えとは何なのであろうか………………?

 

 

 やがて豆全部拾い終えた後、各自年の数だけ豆を食べる。

 

 

 そして次に恵方巻を丸かぶりだ。

 

 皆恵方を向いて丸かぶりを始める。

 

 

 ………だが、海羽の場合はその小さな体と同じく口も比較的小さく、大きく開けてもあまり丸かぶりといかず、半分以上をかじるのがやっとの程だった。

 

 それを隣で見ていた宏隆は、

 

 

 宏隆「お前口も小さいんだな。子供みたいだぜ。」

 

 海羽「えへへ。やっぱ背の高い人はいいな~。」

 

 宏隆「そうか?」

 

 いつの間にか友達のようないい感じになっている二人。

 

 

 あまり友達がいなかった宏隆も、初めて本音を言い合える仲が出来たのが嬉しいのか、どこか自然な笑顔になっているようであった………。

 

 

 やがて後片付けが終わり、商学部の節分大会が終わった。

 

 

 皆各自解散していき、海羽も宏隆と一緒に体育館を出て行く。

 

 

 海羽「県大会、頑張ってね。応援してるから。」

 

 宏隆「ああ、何だか少し自信が出てきたみたいだぜ。」

 

 

 海羽「嗚呼………私も空手やってみようかな~?」

 

 宏隆「やめとけ。お前小さいから、蹴り一発で吹っ飛んじまうぞ?」

 

 海羽「あ、ひど~い。」

 

 

 宏隆「…あ、すまん。ひどい事言っちまったか?」

 

 海羽「ううん。(満面の笑みで)これでいいんだよ。思った事をそのまま言えば。」

 

 

 宏隆「どうも、思った事が無意識に出ちまうみたいだ。」

 

 海羽「それがいいんだよ。

 

 思ってたことがそのまま無意識に出るって事は、それほど相手と楽しく話してるって事なんだから………。

 

 ねえ、宏隆君は悪意あって言ってた?」

 

 宏隆「い………いや?」

 

 海羽「ね。宏隆君は、それほど私と楽しく話していて、それだからこそ思った事をそのまま私に言えたって事なんだよ。」

 

 

 宏隆「………そういう事か………。」

 

 宏隆はこの時、海羽の言った事が理解でき始めていた。

 

 

 海羽「他の友達もそう。友達と遠慮なく話し合ってるって事は、それほどお互い友達に心を開いていて、だから自然と何も考えずに思った事が言えるんだよ。

 

 もし悪意があるのなら、それこそもっと酷い事を言うはずだよ。」

 

 

 その時、宏隆は初めて理解できた。

 

 

 友達などとの会話に出てくる言葉は、それほどお互い心を開いている証。

 

 だからこそ自然に思った事が言えるのであるため、決して悪意があってではないという事を。

 

 

 宏隆「………どうやら、俺の方が頭が固かったみたいだな。」

 

 海羽「うふ、やっと分かってくれた?んもう、意外と鈍いんだから。」

 

 宏隆「お前こそ、意外と頭いいじゃねーか。」

 

 海羽「あーっ、何よそれ!」

 

 宏隆「…ふふふふふ、」

 

 二人は可笑しくなったのか、笑い合っていた。

 

 

 無事に、孤独な一人の学生を救うことに成功した海羽。

 

 

 …だが、そんな海羽の様子を遠くからこっそり伺っている一人の学生がいた。

 

 

 海羽とは幼なじみの、経済学部在学の『桜井敏樹』である。

 

 彼は海羽とは幼馴染であり、ルックス良しの好青年だが、海羽とは違って劣等生であるが故に麟慶大学に入れず、海羽とは別の低レベルの大学に通っていた。

 

 だが、その大学が理由(ワケ)あって閉校となり、学力向上等のために特別採用で麟慶大学経済学部に入学した。

 

 そして彼と海羽は大学で櫂と真美と知り合い、友達になった。

 

 

 ………だが、皮肉にも経済学部は低レベルの生徒も多かった。

 

 そのため、彼は学力の低さや人見知りの激しさを露骨に馬鹿にされ、酷いいじめに遭う日々を送っている………。

 

 

 そのため、彼は今では心を閉ざし気味であり、大学も最近休みがちになっているのである………。

 

 

 今日は海羽のいる商学部が豆まきをやると知って、ちょっとストーカー気味(?)に様子を見に来ていたのである。

 

 

 敏樹「いいな…海羽。

 

 俺と違って新しい友達ができてるぜ…。」

 

 

 そう呟きながら、羨ましそうに海羽を見つめる桜井。

 

 ………だが、その一方で彼は、そばにある鉄のフェンスを何やら震えるほど強く握っていた…。

 

 そして顔も、徐々に暗いものへと変わっていく、、、。

 

 それはまさに、心にある深い闇が溢ているようであり、またそれを必死に抑えているように見えた。

 

 

 敏樹「…どうせ俺は………誰からも恵まれないんだ………!」

 

 

 そう呟くと、桜井はそのまま何処かへと歩き去って行った…。

 

 

 

 後に、闇落ちしてしまうことになる桜井、、、。

 

 そして海羽もまた、この頃はまだ知るはずもなかった………。

 

 幼なじみの闇落ち、そして自分がソルに選ばれたのは、その事も関係している事を、、、。

 

 

 

 校門まで宏隆と一緒に歩いた海羽。

 

 ここからは別れることにした。

 

 

 海羽「じゃあ、またね。あと、県大会、頑張ってね。」

 

 宏隆「ああ。お前に言われるまでもなく、優勝してくるぜ。」

 

 海羽「ふふ、すっかり自信を取り戻したみたいね。」

 

 宏隆「ははは、これもお前のおかげだ海羽。

 

 じゃあ、俺これから自主練しに行くから、じゃあな。」

 

 海羽「うん。じゃあねー。」

 

 

 海羽は手を振りながら、歩き去って行くひを見送った。

 

 

 そして自分もまた、帰り道をルンルンと歩き始める。

 

 海羽「明日は確か晴れだったね……朝から散歩でもしよっかなー?土曜日だし。」

 

 

 “ガッ”

 

 

 海羽「!ああっ、ごめんなさい!」

 

 

 私、眞鍋海羽は、ルンルンと道を歩いていると一人の女性にぶつかってしまい、慌てて謝った。

 

 

 ???「ああ、気をつけるんだぞ。」

 

 

 でもその女性は怒ることなく、私に一言そう言って歩き去って行った、、、。

 

 

 なかなか綺麗な人で、どこか冷たい感じがするけど…悪い人じゃなさそうだね。

 

 

 でも、何だろう?………あの女性を見た瞬間、何やら妙な胸騒ぎを感じたわ、、、。

 

 まるであの人が、普通の人間じゃないみたい………。

 

 

 気のせいかな?明日が楽しみでそう感じるだけかも。

 

 私は気持ちを切り替えて、また帰り道を歩き始めた。

 

 

 明日もいい日になりますよーに♪

 

 

 

 海羽と別れたばかりの宏隆は、自主練をしようと行きつけの体育館目指して歩いていた。

 

 その時、ある事に気がついたのかふと立ち止まる。

 

 宏隆「あ、そういやあ俺、まだ豆を食ってなかったな。」

 

 そう言うと宏隆は、先ほど節分大会の際に貰った豆袋を取り出し、数粒手に出して年の数だけ数え始める。

 

 宏隆「5、6、7、…ん?何だこれ?」

 

 豆を数えてる最中、宏隆は何かに気づく。

 

 

 それは、手に数粒ある白い豆の中に、一粒だけ何やら赤い豆が紛れていた事だった、、、。

 

 

 宏隆「お、赤い豆とは珍しいな。何か縁起がいいかもしれね。

 

 よし、これを8粒目っと…」

 

 

 やがて宏隆は、年の数(19)の豆を数え終えた。

 

 

 宏隆「県大会で優勝できますように…!」

 

 

 そう言うと手に置いた豆を一気に頬張る。

 

 そしてそれを噛み砕きながら再び体育館目指して歩き始めた、、、。

 

 

 その一方で、そんな宏隆を少し遠くから見つめているのは………先ほどの老婆であった。

 

 ???「ふっふっふ…あの男、赤い豆を食べたな〜。

 

 我々鬼の、天下の時は近そうだ。 ひぇーっへっへっへー!」

 

 老婆は不気味に笑いつつ、その場から姿を消した。

 

 

 …はて、あの赤い豆とは一体何なのであろうか、、、?

 

 そして老婆は一体何を企んでいるのであろうか、、、?

 

 

 

 

 “ガラガラドガシャーン”

 

 

 その夜、霞ヶ崎とは別の街で全く突然に、どこからともなく巨大な怪獣らしきものが出現して暴れ始めた!

 

 夜空が曇り、雷と共に現れたその鬼のような姿をした怪獣は超獣であり、『鬼超獣オニデビル』である!

 

 

 オニデビルは怪力を活かした豪腕で建物を次々と破壊していく。

 

 

 一方でその様子を、またしてもさっきの老婆が逃げ惑う人々の波の中で見ていた。

 

 

 ???「ふふふ…逃げろ逃げろ。鬼をいじめた報いを受けるがいい。ひっひっひ…。」

 

 

 老婆の感情に同調するかのように、オニデビルは雄叫びをあげつつ破壊のペースを上げていく…!

 

 

 節分の日に鬼の怪物が現れる………これほど縁起の悪いことはないであろう………。

 

 

 ただ一つだけ分かったことは、この老婆は何かしらの目的でやって来た侵略者かもしれないという可能性が大きくなったと言うことだろう。

 

 

 オニデビルの猛威が逃げ惑う人々にまでに及ぼうとしたその時、

 

 

 “ドガーン”

 

 

 突如、どこからともなく飛んで来た一つの光がオニデビルに体当たりをし、それによりオニデビルは小さな爆発と共に転倒する。

 

 

 そしてその光は大きく光って人型へとなっていき、やがてその無数のリング状の光の中から一人の巨人が現れた。

 

 

 赤が主体のボディカラーにウルトラセブンを思わせる真剣な顔つき、胸部の銀のプロテクターが特徴の正義の巨人。

 

 

 現れたのは『ウルトラマンジャスティス(スタンダードモード)』である!

 

 

 ウルトラマンジャスティス。それは『ウルトラマンコスモス』と同じく別宇宙『コスモスペース』出身のウルトラマンであり、その宇宙において宇宙正義を司る存在『デラシオン』の勢力に属するウルトラマンである。

 

 嘗てデラシオンが、害悪になると予見した『異形生命体サンドロス』に2000年の猶予を与えて見逃したが、その結果サンドロスが邪悪な存在になってしまった事により、その責任感からサンドロスを倒すべく追って戦っていく内に地球で初めてコスモスと出会い、協力してサンドロスを倒す。

 

 その後、デラシオンによって今度は地球が2000年後に害悪になると予見された為に、デラシオン代理として『グローカー』と共に地球に攻め入った事もあり、その際に一時コスモスと対立している。

 

 だが、それでも諦めない地球人や地球怪獣、更に子犬を助けようとした少女の優しさに触れた事により心を動かされ、デラシオンに反旗を翻してコスモスと共にグローカー達と戦い、更にデラシオンの説得に成功した事により地球のリセットを止めたこともある。

 

 このようにジャスティスは、幾度かコスモスと共に戦った事があるのだ。

 

 

 そしてその後もコスモスペースにて、デラシオンのもとで宇宙の平和のために尽力していたと思われるが、今回何かワケがあるのか、コスモスペースからこの世界にやって来たのである。

 

 

 ジャスティスはオニデビルの方へ向いてファイティングポーズを取り、オニデビルもジャスティスに気づいて吠える。

 

 

 ジャスティスは高速で側転、バック転をしながら接近した後、右足蹴り(ジャスティスキック)、正拳突き(ジャスティスパンチ)をボディに叩き込んで牽制し、打撃が炸裂するたびにその部位に小さな爆発が起こり火花が飛び散る。

 

 オニデビルも負けじと右手でジャスティスの首を掴んで締め上げ、苦しんでる隙に左手で殴り飛ばす。

 

 仰向けに倒れたジャスティスに、オニデビルは更に攻撃を加えようと接近する。

 

 

 超獣の中でも喧嘩っ早いと言われる程短気な性格のオニデビル。戦いを仕掛けてきたジャスティスに容赦なく襲い掛かる。

 

 

 仰向けに倒れていたジャスティスは、跳ね起きで起き上がるとカウンターの右足蹴りを腹部に打ち込み、更に一回転して右腕の肘から先を右の脇腹に叩き込み、更に左拳の裏拳を顔面に叩き込む。

 

 だが、オニデビルは少し怯みつつも裏拳が顔面に当たった直後にジャスティスの左腕を掴み、そのまま数回スイングして放り投げるが、ジャスティスは空中で体勢を立て直して着地する。

 

 

 オニデビルは角を赤く光らせてそこからショック光線を放つが、ジャスティスはそれを横に跳んでよけると同時に右手を突き出して『ダージリングアロー』を放つ!

 

 光の矢はオニデビルの胸部に命中して爆発。

 

 更にオニデビルが怯んでる隙に、受け身を取って着地した後右拳を突き出して攻撃光線『ジャスティススマッシュ』を放ち、オニデビルのボディに命中させて追い打ちをかける。

 

 

 オニデビルの猛攻を回避しつつ、戦いを優位に進めていくジャスティス。

 

 

 劣勢になりつつあるオニデビルに気付いた老婆は、、、

 

 ???「えええい!このままでは分が悪い。

 

 宿那鬼!!」

 

 

 老婆がそう叫ぶと、必殺技の体勢に入ろうとしたジャスティスの前に突然、目では捉えられないほどの素早い動きで“何か”が現れ、それがジャスティスの周りを何度もすれ違い始め、その度に何やら小さな衝撃が何度もジャスティスを襲う!

 

 それはまるで、身体が何度も斬られているかのようであり、体勢が崩れたジャスティスはその場倒れ込む。

 

 

 ジャスティスを何度も斬りつけた“何か”はオニデビルの横で止まってその正体を現す。

 

 

 それは、またしても鬼のような姿をしており、頭部の表と裏に顔があるのが特徴の鬼『二面鬼 宿那鬼(すくなおに)』である!

 

 オニデビルの助太刀で現れた宿那鬼は、高速移動をしながら手に持つ刀でジャスティスを斬りつけたのである。

 

 

 オニデビルは、現れた宿那鬼と腕をクロスさせる。はて、奴らは同じ鬼だけあって仲がいいのだろうか、、、?

 

 

 ジャスティスはふらつきながらも立ち上がろうとするが、オニデビルは角からショック光線を放ち、宿那鬼も口から熱戦を放つ!

 

 

 二つの光線はジャスティスの前方や周囲で爆発し、ダメージを受けると共にその爆風により視界が塞がれる。

 

 その隙に二体の鬼は、降り注ぐ雷と共に姿を消した。

 

 

 そして爆風が消えた頃には、既に二体の鬼の姿はジャスティスの目の前にいなかった、、、。

 

 

 ジャスティス「………逃げられたか………。」

 

 

 敵に退散されたジャスティスは立ち上がり、一言そう言うと光に包まれてそのまま小さくなっていく。

 

 そしてそのまま何処かへと飛んでいく。

 

 

 

 退散するジャスティスを見つめる老婆。どこか睨みつけるような表情になっていた。

 

 

 ???「ウルトラマンめ〜…同じ宇宙人でありながら、人間の味方しおって…

 

 な〜まいき〜〜〜!!」

 

 

 …これでハッキリと分かった。

 

 この老婆は宇宙人だと言う事を………!

 

 

 先ほどの言動を見る感じでも、恐らくオニデビル達も奴が送り込んだのであろう。

 

 しかし、奴の目的は一体何なのであろうか?

 

 オニデビル、宿那鬼とどちらも“鬼”の怪獣・超獣であり、節分で鬼を追い払う(いじめる?)人間を憎んでいるため、もしかしたら奴もまた、鬼のような姿をした宇宙人なのかもしれない、、、!

 

 

 

 その頃、突然現れて暴れたオニデビルによって怪我を負った人々が次々と救急隊によって運ばれていたが、その中でも傷が重いのか、一際苦しんでいる一人の女性がいた………。

 

 その女性は苦しみながらも、何やら両手にお守りの様な物を握りしめていた………………。

 

 

 

 小さな光となったジャスティスはとある場所で止まり、そして人間の姿に変わる。

 

 

 ジャスティスはこのように『ジュリ』と言う名で地球人の姿になる事ができるのだが、なんとその姿は“女性”なのである!

 

 “ウルトラマン”でありながら人間の姿になる時は女性の姿になると言う極めて珍しいタイプでもあるウルトラマン・ジャスティス。

 

 

 果たして彼(彼女?)の本当の性別は男なのか?女なのか?………ここがある意味ジャスティス最大の謎である、、、。

 

 

 ジュリは手に持っているバッジ状のアイテムを左胸に付ける。

 

 これはジュリからジャスティスの姿に戻る際に使用する変身バッジ『ジャストランサー』であり、中央にカラータイマーのような形の青い石が埋め込まれていて、左側に羽状のパーツが一枚あるのが特徴である。

 

 

 するとジュリは、精神統一するようにそっと目をつむる。

 

 そして、テレパシーで誰かと話を始めた。

 

 

 ジュリ『………すまない。また奴らに逃げられてしまった。』

 

 

 すると、ジュリとは違う場所にいるその者はテレパシーに応える。

 

 

 ???『そうか………引き続き捜索を続けていてくれ。

 

 私は引き続き、“奴”を探すことにする。』

 

 

 ジュリ『分かった。宇宙正義に基づき、必ず奴らを捕える。』

 

 

 ???『すまないな。私の任務に協力してくれて。』

 

 

 ジュリ『奴は偶々とはいえ、コスモスペースを荒らした………私はただ、その制裁を与えるために追っているだけだ。』

 

 

 ???『どんな理由であれ、平和のために行動しているのは私も君も同じだよ。

 

 考えは違えど志しは同じ。それが私たちウルトラ戦士というモノだよ。』

 

 

 ジュリ「………志しは………同じ…か……。」

 

 ジュリは男の意味深気味な言葉を考えるように、上を向いて呟く。

 

 

 ???『では、引き続き頼むぞ、ジュリ。』

 

 

 ジュリ『了解した。』

 

 

 ジュリはテレパシーを止め、そのまま何処かへと歩き去って行った………。

 

 

 しかし、ジュリと話していた男とは何者なのであろうか………?

 

 そして、彼の探している“奴”とは一体何なのであろうか………………?

 

 

 

 そして翌日、そんな昨夜の出来事を知る事もない海羽は目を覚ました。

 

 

 私、眞鍋海羽は新しい朝に目を覚ました。

 

 

 ベッドから起き上がってカーテンを開けると、そこから射し込む日差しで確信する本日快晴!

 

 今日もいい一日になりそうな予感。

 

 

 朝食を取ってパジャマから着替えて、早速外に出掛けて散歩を始める。

 

 まだ2月という事もあって肌寒いけど、比較的日が照ってるから少し暖かくて気持ちいいわ。

 

 

 河川敷を歩くと、そこを下ったところの川の近くの草むらでは、親子でキャッチボールをしてたり、サッカーをしているグループとかがいたりと楽しそうな光景が続いていて見ているこっちも楽しくなれる。

 

 

 小鳥の鳴き声も歌っているように聞こえ、今日一日、皆が楽しく過ごせる平和な一日になる!

 

 

 ………そう思ったその時、

 

 

 海羽「ん?」

 

 

 私は、前の遠くから誰かが歩いて来るのに気づいて反応をする。

 

 何だか、どこかで見たことあるような人だわ………。

 

 

 やがて、その人が近くまで歩いて来ると、私はその人が誰なのか気づく、

 

 昨日親しくなった佐藤宏隆君だわ。

 

 

 海羽「あ、宏隆君。おはよ~。」

 

 

 私は元気よく挨拶をしてみる………

 

 

 ………でも、宏隆君はどこか元気無さそうな表情で俯いていて、何やら両腕を押さえていたわ………。

 

 

 どうしたんだろう?………昨日とはまるで違う雰囲気の宏隆君が気になった。

 

 

 海羽「どうしたの?元気無さそうだけど………。」

 

 

 すると、宏隆君は思わぬことを言い出したの………!

 

 

 宏隆「眞鍋すまない………

 

 俺………………県大会出られないかもしれない………………。」

 

 

 海羽「………………え?」

 

 

 意外過ぎる発言に私は驚愕する。

 

 昨日までは前向きだった宏隆君が、何でそんな事を言うんだろう?

 

 

 宏隆君はそのまま話を続ける。

 

 

 なんでも昨日から腕に力が入らなくて、物を持ち上げるだけでも一苦労な状態が続いているみたいなの。

 

 その異変は空手の練習の時に気付いたみたいで、普段は拳で割るのが容易いはずの瓦十枚も、力が入らずに一枚も割ることが出来ず、組手でもしっかりと相手を掴むことが出来ずに結局練習中断を余儀なくされたみたいなの。

 

 

 その後病院に行って診てもらうと、腕の筋肉が弾力を失っていて、細胞が死んでいる状態になっているみたいなの。

 

 

 入院せざるを得ない状態みたいなんだけど、県大会を近くに控えた焦りからかその事が受け入れられずに、一日だけ猶予を貰うことが出来たみたいだけど、それでも良くならなかったら入院して、県大会も棄権せざるを得ないという約束になってしまったみたい………。

 

 

 今も鞄を持っているけど、腕で持つことは出来なくて、肩にかけるのが精一杯みたいなの。

 

 

 

 宏隆君を襲った突然の謎の不幸。

 

 腕が突然力を無くした事に疑問を感じるけれど、それよりも私は宏隆君が可哀想で仕方が無かったわ。

 

 昨日、あんなに張り切ってたのに………。

 

 

 宏隆「チクショウ………県大会まであまり日はないのに………。」

 

 

 海羽「………大丈夫?宏隆君。」

 

 宏隆「大丈夫じゃねえからこんな顔してんだろ………。」

 

 

 いけない!暗くなりかけてる………!

 

 

 海羽「………大丈夫よ。ほら、まだ一日は半分以上あるし、これから頑張ればきっと………」

 

 

 宏隆「何で気安く言えんだよ………。」

 

 

 海羽「………え?」

 

 

 宏隆「頑張れば何とかなるとでも言いてえのかよ!」

 

 

 私の必死の励ましも空しく、宏隆君の苛立ちは募っていく………。

 

 

 海羽「だって、折角猶予を貰えたんだから、そんな大切な時間を使って頑張ろうよ。」

 

 宏隆「何説教臭い事言ってんだよ………時間使って頑張ろう?どう頑張りゃあいんだよ言ってみろよ!!」

 

 

 ………………完全に自暴自棄になってるわ………………。

 

 

 逆ギレで怒鳴られた事には驚いたけど…それよりも気持ちが分かるからこその可哀想な気持ちの方が強く、今にも私は泣き出しそうになっている………。

 

 ほら、さっきも言ったように、私、泣き虫だからね………。

 

 

 宏隆「どうしてだよ………!どうしてこうなっちまったんだ………チクショー!!」

 

 

 そう叫びながら宏隆君は足元の石ころを一つ思い切り蹴り飛ばす。

 

 

 “カツンッ”

 

 

 ???「!!痛っ!」

 

 

 すると、飛んで行ったその石ころが何かに当たる音がしたかと思うと、その方向から何かの声が聞こえる。

 

 それに気づいた私は、思わず泣きそうになるのが止まってその声のした方向へと目を向けてみる。

 

 

 そこには、何かがうずくまっているのが見えて来て、しかもよく見てみるとそれはまるで人間じゃないような感じがするの………。

 

 

 私は恐る恐る歩み寄ってみる。

 

 

 海羽「………あ、あの~………もしもし?」

 

 

 私が話しかけた瞬間、それは驚いたのか一気にこっちを振り向く。

 

 

 やっぱりそれな人間じゃなくて、まるで鬼そのものの姿をした未知の生物だったの!

 

 

 ???「!!!」

 

 

 海羽「!!!」

 

 

 生物は驚き、海羽もまた未知の生物がいきなり振り向いたことに驚き、お互い同時に悲鳴を上げる。

 

 

 ???「ああっ!ごめんなさい!お願い助けて!殺さないで!…」

 

 海羽「ああっ、待って!大丈夫大丈夫、殺したりはしないから…!」

 

 海羽はすぐさま正気に戻り、パニックになっている生物を宥める。

 

 

 ???「………え?」

 

 鬼のような生物も、顔を覆っていた手を恐る恐る離して海羽を見つめ始める。

 

 その開けた視線の先には、自身に向かって微笑みかける海羽の顔があった。

 

 

 そして生物も、海羽の笑顔を見て彼女が自分に害をもたらす者ではないと確信したのか顔を上げる。

 

 

 海羽「うふ、鬼なのに結構可愛い顔してるじゃん。」

 

 海羽は笑顔のままその生物に語り掛ける。

 

 

 ???「………君も、可愛い………妖精みたいだ………。」

 

 

 海羽「!?えっ!?」

 

 

 海羽は突如生物から言い返された予想外の褒め言葉(?)に、顔を赤らめて驚く。

 

 

 海羽「そっ………それよりも、貴方は誰?地球人じゃないみたいだけど………。

 

 私は眞鍋海羽。」

 

 海羽は照れ隠しも含めて自己紹介し、その生物に対しても尋ねる。

 

 

 その生物は話し始めた。

 

 

 名前は『鬼怪獣オニオン』。

 

 そう、かつて『惑星アップル』のリンゴを食い荒らしているところを、そこに生息していた苦手なニワトリに追われて地球に逃げ込み、地球でも果物を食い荒して人々を困らせていたが、その時地球で活躍していた『ウルトラマンレオ』との対決になり、最後は巨大なリンゴの木に変えられた、あのオニオンなのである。

 

 上記の通り、奴は果物が大好物なのである。

 

 

 しかし、リンゴの木にされた筈のオニオンが何故またこうやって元に戻っているのであろうか………………?

 

 

 それはさて置き、オニオンの自己紹介を聞いた海羽は少し微笑む。

 

 海羽「ふふふ、鬼の姿でオニオン………なかなか面白いじゃない。」

 

 オニオン「え?………僕の事、何とも思わないの?」

 

 海羽「何が?」

 

 オニオン「だって、僕、こんな姿だし、それに怪獣だし………。」

 

 

 海羽「そんなの関係ないよ。」

 

 オニオン「………え?」

 

 海羽「なんとなく分かるの。貴方の顔を見てると、そう思えるの。」

 

 

 実際、オニオンはさっき海羽の顔を見た際も襲い掛かる様子はなく、素直に自己紹介をしている。

 

 そういう点からも、海羽はオニオンが悪い奴じゃないと確信していたのである。

 

 

 すると海羽は、オニオンの体の数か所の傷に気付く。

 

 

 海羽「いけない、酷い傷。 すぐに手当てした方がいいかもね。」

 

 オニオン「手当てを………してくれるのですか?」

 

 海羽「うん!私の家に来るといいよ。」

 

 

 海羽の誘いを聞いたオニオンは、さっきまでの不安な表情から、嬉しそうな表情を浮かべる。

 

 

 また、その様子を見ていた宏隆も、未知の生物にも寄り添う海羽の優しさに触れたのか、表情が和らぐ。

 

 

 そして、オニオンに肩を貸して立たせている海羽のもとに歩み寄り、反対側の腕を自身の肩に回す。

 

 

 海羽「………宏隆君?」

 

 宏隆「い…いやあ………お前を見てると、俺までこうしたくなっちまったよ………。」

 

 宏隆の少し照れくさそうに言う様子を海羽は少し可笑しく感じたのか、ふと微笑む海羽。

 

 海羽「相変わらず照れ屋さんね、宏隆君は。」

 

 宏隆「お前こそ、相変わらずお人好しだな。」

 

 改めて思った事をそのまま言い合う二人は笑い合う。

 

 宏隆「さっきは…八つ当たりして悪かったな。」

 

 海羽「………ううん。気にしてないよ。」

 

 宏隆「オニオンだっけ?さっきは石をぶつけて悪かったな。」

 

 宏隆の謝罪を聞いたオニオンは、再び笑顔になる。

 

 恐らく、こんなにまで地球人に親切にしてもらったのは初めてだからであろう。

 

 

 宏隆(みんなが、「眞鍋と友達になりたい」って言う気持ちが何となく分かる気がするぜ………。)

 

 宏隆は心でそう呟きながら、海羽と共にオニオンを海羽のアパートへと案内し始める………。

 

 

 

 一方で、そんな三人の様子を少し遠くから見つめている一人の男がいた。

 

 彼は、昨夜ジュリとテレパシーで会話していた人と同一であった。

 

 

 すると、男は目を光らせて三人を見つめる。

 

 そして呟く。

 

 ???「やはり、あの少女はこの世界のウルトラマンか………いや、性格にはウルトラウーマンか。」

 

 なんと海羽がウルトラの力を持っている事を見破ったのである!

 

 だが、男はその後海羽たちのもとに行く様子はなく、歩き去って行く三人を見つめていた。

 

 

 ???「しばらくは、あの少女に任せてみるか………。」

 

 

 そう言うと男は、何処かへと去って行った………………。

 

 

 宏隆とオニオンを部屋に入れた海羽は、二人を別々のソファーに座らせ、オニオンの手当てを始める。

 

 生憎宏隆は今腕が使えないため、ソファーでその様子を見ているしかなかった。

 

 

 手当てをしてもらうオニオン。すると、海羽の表情に気付く。

 

 それは、まるで何かを哀れむかのような表情であった。

 

 

 海羽「酷いわ………誰がどんな理由でやったか分からないけど、ここまで傷つけることないのに………。」

 

 

 手当てをしながら、海羽は同情からまた泣き出してしまった。

 

 それを少し困惑気味に見つめるオニオン、そして宏隆。

 

 

 海羽「ぁ………ごめんね………こんな事になるはずはなかったの………。」

 

 海羽は慌てて涙を拭き、再度手当てに取り掛かる。

 

 

 すると、

 

 

 オニオン「ありがとう、海羽さん。」

 

 自分を気に掛けてくれる海羽に、オニオンは礼を言う。

 

 

 それを聞いた海羽は、再び笑顔になった。

 

 

 やがて手当てが終わり、次に何か食料を与えよと考えた。

 

 海羽「何か食べる?」

 

 

 それを聞いたオニオンは考えながら当たりを見渡す。

 

 すると、机の上の数種類の果物が入った籠に目が止まる。

 

 

 オニオン「あれがいい!」

 

 オニオンは嬉しそうに籠に指を差す。

 

 海羽「あ、オニオン君果物好きなんだっけ。オッケー。」

 

 籠の果物を食べ始めるオニオン。リンゴは、食べやすいように海羽が包丁で皮を剥き、うさぎ型に切ることにした。

 

 鼻歌を歌いながらリンゴを切る海羽。その様子を見ていた宏隆は、心の中で思う。

 

 

 自分もこんな風に、海羽のようにどんな者とでも仲良くなれるような人になりたいと………。

 

 

 そう思った瞬間、宏隆の表情が変わった。

 

 それはまるで、何かを打ち明ける決心をしたかのようなモノだった。

 

 

 海羽「はい、宏隆君もどうぞ。」

 

 宏隆「え?ああ、サンキュー。」

 

 海羽が皿に入れて差し出したリンゴを受け取る宏隆、その後、リンゴを食べながら海羽に話しかけ始める。

 

 

 宏隆「…なあ、眞鍋。俺、お前にいう事があるんだ。」

 

 海羽「ん?」

 

 

 海羽が耳を傾けようとしたその時、

 

 

 オニオン「ぅ………うう………。」

 

 

 海羽は、オニオンの何かに苦しんでるかのような声を聞いて、その方へと振り向く。

 

 そこにはバナナの皮を剥けずに手こずっているオニオンの姿があった。

 

 普通バナナは簡単に皮が剥けるものである。

 

 だがしかし、オニオンはどんなに力を入れても皮が剥けずにいた。

 

 

 海羽「剥けないの?私が剥いてあげよっか?」

 

 

 海羽が手を差し伸べようとしたその時、オニオンは突然バナナを机に置き、

 

 

 オニオン「やっぱりだ………手に力が入らない………………。」

 

 

 海羽「………へ?」

 

 宏隆「ん?」

 

 

 二人はオニオンの気になる発言に反応する。

 

 

 海羽(宏隆君みたいな事言ってる………。)

 

 宏隆(俺みたいな事言ってる………。)

 

 

 海羽は恐る恐る問いかけ始める。

 

 海羽「………腕に、力が入らないの?」

 

 

 すると、オニオンはこう言った。

 

 オニオン「実は、数日前からこうなんだ………。」

 

 

 海羽たちが少し驚く中、オニオンは語り始める。

 

 

 ウルトラマンレオによってリンゴの木に変えられ、その姿のままやむなく過ごしていたオニオン。

 

 

 しかしある日、何者かが全く突然に、オニオンをリンゴの木から元の姿に戻したのである。

 

 

 いきなり元の姿に戻れたことに困惑しつつも、オニオンは大喜びし、そしてリンゴの木に変えられた事で懲りて反省したのか、同時に改心したのだ。

 

 もう二度と、人の果物を勝手に食べて迷惑をかけないと………。

 

 

 だが、改心したその時、とある老婆が自身に詰め寄って来たと言う………!

 

 

 〈回想〉

 

 ???「さあ、そこの鬼の坊や、改心した褒美にこのリンゴをあげよう。」

 

 

 突如オニオンの前に現れた老婆は、オニオンに改心したお礼だとリンゴを差し出す。

 

 

 オニオン「ほ………本当?おばさん。 ありがとう!」

 

 果物大好きのオニオンは、何も警戒することなく老婆からリンゴを受け取り、ムシャムシャと食べ始める。

 

 

 すると、

 

 

 オニオン「…ぅ?………うぅぅ………。」

 

 突如、オニオンは食べかけのリンゴを落とし、どこか苦しそうに両腕を押さえ始める。

 

 

 オニオン「う………腕の力が………………。」

 

 リンゴを食べた瞬間、自身の腕の力が抜けていく異変を感じ始めたのである。

 

 

 これじゃあまるで、“〇太郎”というより“白〇姫”である(笑)

 

 

 すると、さっきまで優しい表情だった老婆が、一気に悪そうな表情に変わる。

 

 ???「ふっふっふ………まんまと罠にかかったみたいだねぇ、坊や。」

 

 突然の表情変化にオニオンは少し怯える。

 

 ???「さあ、大人しく我が鬼連合の仲間になれば、命の保証だけはしてあげるわよ~。」

 

 オニオン「鬼連合………何だ?それは。」

 

 ???「毎年節分の日に我々鬼を虐める人間どもに仕返しをするために結成された、我ら鬼怪獣の軍団だよ。」

 

 オニオン「人間に………仕返し?」

 

 ???「そうだ。節分の日に攻めればより効果的だ。“豆”という果物なんかよりもずっと美味しいものだって食べれるんだぞ~。

 

 豆は、人の肉の味がするんだ。」

 

 老婆はオニオンを誘い込むため、苦手なはずの豆をオニオンが大好きな果物よりも美味しいと大噓を言ってハメようとする………。

 

 

 ???「君だって、鬼として嫌な気分がするだろ~?

 

 それなら、我が軍に入って、人間どもを懲らしめて、鬼の強さを見せつけようではないか。」

 

 

 オニオン「………僕、そんな軍に入りたくない。」

 

 ???「な~にぃ~?」

 

 オニオン「人間が鬼を怖がるのは、あなた達みたいな鬼がいるからじゃないですか?」

 

 ???「何だとぉ~?」

 

 オニオン「鬼だって人間に対して優しくなれば、人間たちもきっと鬼を見直してくれますよ。

 

 僕はそのためも含めて、これからは人間に迷惑かけず、心を入れ替えると決めたんだ!」

 

 オニオンの決心は固かった。老婆の巧みな誘い込みを全く受け付けず、連合加入を頑なに否定する。

 

 

 だが、それにより老婆は怒りを感じ始める。

 

 ???「きいいぃぃー!同じ鬼だというのに人間の味方をするというのか!?なーまいき~!」

 

 老婆はそう叫びながら顔を手で覆う。

 

 そしてその手を一気に放した瞬間、なんと老婆の顔がさっきよりもガラリと変わってしまった!

 

 

 それは、いかにも悪鬼の如く不気味な亡霊を思い起こされるような顔をした怪人のようなモノである。

 

 

 きさらぎ星人「このきさらぎ星人に刃向かうとは身の程知らずめ!」

 

 

 遂に自身の名を名乗った『鬼面宇宙人きさらぎ星人』は、口から火炎を吹き出してオニオンを攻撃し始める!

 

 

 きさらぎ星人。奴は以前にも節分の日に別の地球に攻め入ったことがあり、その時に同じ宇宙人でありながら鬼を虐める人間の味方をする『ウルトラマンタロウ』(当時地球を守っていたウルトラ戦士)をも憎み、豆の中に閉じ込めて人間に食べさせようとした事がある。

 

 その陰謀は失敗し、タロウに地球から追い出される形で退散したのだが、あれから42年後、この世界の節分の日に再び逆襲しに来たのである。

 

 

 オニオンは怯えながら必死に火炎攻撃から逃げ始める。

 

 そして、地球外へと逃げ出そうと巨大化をした。

 

 

 それを見たきさらぎ星人もまた、光に包まれて変身・巨大化をする。

 

 きさらぎ星人の姿は巨大化と共に変わり、『オニバンバ』という鬼のような姿となった!

 

 

 オニオン「おっ………おばさんも鬼だったなんて………!」

 

 

 オニバンバ「ひっひっひ…驚くのはまだ早い!

 

 オニデビル!宿那鬼!」

 

 

 オニバンバがそう叫ぶと、奴の左右に雷と共にオニデビル、宿那鬼が現れる!

 

 奴らは鬼連合軍構成のために、きさらぎ星人により怪獣墓場から蘇ったのである!

 

 

 オニオン「ぁ………はわわわわわ………。」

 

 

 オニオンは、自身の目の前に現れた鬼連合軍に怖気づいてしまう。

 

 

 オニバンバ「鬼連合軍の一員として、怪獣墓場から蘇らせた鬼怪獣たちだ! さあ………奴を捕えろ~!!」

 

 

 オニバンバの合図と共に、鬼連合はオニオンを捕えようと一斉にかかり始め、オニオンも必死に逃亡を始める………!

 

 

 こうして、オニオンと鬼連合軍の、宇宙をまたにかけた壮大な“鬼ごっこ”が始まったのである。

 

 

 オニバンバの火炎、オニデビルの怪力、宿那鬼の剣での攻撃を受け傷を負いつつもオニオンは必死に逃げ続け、そして逃げ続けた末にこの地球に辿り着いたというわけである。

 

 〈回想終了〉

 

 

 オニオンから事情を聞いた海羽は驚きを隠せなかった。

 

 海羽「なるほどね…悪い人に追われてるんだ………。」

 

 オニオン「はい………僕は奴らから攻撃を受けつつも逃げ続け、なんとかこの地球まで逃げて来れたんです………。」

 

 海羽「それでこんな傷を………酷い事をするものね…。」

 

 宏隆「え、~と…“オニババア”………だっけ?そいつから渡されたリンゴを食べた瞬間に、腕の力が抜けたのか?」

 

 オニオン「そうです………あ、あと“オニバンバ”です。」

 

 宏隆「おっとそうだった。 いや実はな、俺もお前と同じなんだ。」

 

 オニオン「宏隆さんもですか?」

 

 宏隆「ああ。昨日節分大会の後、その節分の豆を食べた直後に腕が力を無くしたんだ。

 

 でも、俺はその原因に心当たりがあるかもしれない………さっき海羽にそれを言おうとしたんだ。」

 

 海羽「え?宏隆君何か知ってるの?」

 

 オニオン「豆………あ、そう言えばあの時リンゴをかじった時、何か別の物がリンゴに入ってた感じがしたんです。」

 

 海羽「何かが?」

 

 オニオン「ええ…何か小さな粒を嚙み砕いたような………最初はリンゴの種かなと思ったけど味的に違っていて………。」

 

 

 宏隆「やはりな。」

 

 

 海羽・オニオン「え?」

 

 宏隆「これで繋がった………脳細胞が、トップギアだぜ!」

 

 宏隆は遂に原因が分かったのか、何やら決め台詞のような発言をする。

 

 

 海羽「何か分かったの?………て言うか、何でトップギア?」

 

 宏隆「い、いや…自動車部という事もあってちょっとノリでな。」

 

 海羽に軽く突っ込まれてしまった(笑)

 

 因みに宏隆は空手部だけでなく自動車部も兼部しているのである。

 

 

 宏隆「それより、遂に分かったんだよ。腕力を無くした原因が………

 

 それは、“豆”だ!」

 

 オニオン「え?」

 

 海羽「豆?」

 

 宏隆「ああ。実は昨日眞鍋と別れた後、豆を数えて食べたんだ。

 

 その時、その豆の中に、赤い豆が一粒紛れていたんだ………。」

 

 海羽「赤い豆?」

 

 宏隆「ああ。俺は縁起が良いと思って、その豆も数に入れて食べたんだ。

 

 すると、噛み砕いて飲み込んだ直後に、腕の力が抜けていって………。」

 

 海羽「そうだったんだ………。」

 

 宏隆「間違いない………あの赤い豆は、食べた者の腕力を奪う毒の豆なんだ。

 

 オニオン、お前が食べたリンゴにも、その赤い豆が入ってたんだ。」

 

 

 宏隆が推理したその時、

 

 

 “ゴロゴロゴロ、ピシャーン”

 

 

 海羽「きゃっ!?」

 

 突如、外から雷のような音が聞こえ、思わず海羽は驚く。

 

 窓から外を見てみると、さっきまで晴れ渡っていた空が雨雲に覆われていた。

 

 

 オニオン「奴らが………奴らが来る!」

 

 海羽「え?」

 

 オニオンが気になる事を言った瞬間、

 

 

 《ふっはっはっはっはっは~! よく分かったなあ!その通りだ!》

 

 

 突如、何処からか老婆のような声が響く。

 

 きさらぎ星人の声だ。

 

 オニオン「この声………きさらぎ星人!」

 

 海羽「この世界に来たって事?」

 

 

 《彼の言う通り、お前の食べた赤い豆はオニデビルの超能力によって生み出した、食べた者の腕力を無くす毒の豆なのだよ!》

 

 海羽「やっぱり………宏隆君の推理は当たってた!」

 

 宏隆の推理通り、宏隆やオニオンが食べた赤い豆は、オニデビルによって生み出された毒の豆なのである。

 

 オニデビルはかつても節分の豆に赤い豆を混ぜて人々に矢部させた事があり、きさらぎ星人がオニデビルを復活させたのはこの能力を見込んだからというのもあるのだ。

 

 

 海羽「なんて酷い事を………!」

 

 《よく聞けオニオン! 我らは今、お前がいる所の隣の町で暴れている!

 

 大人しく出て来い………でなければ、我ら鬼連合軍が街を襲撃し、人間どもを襲わせるぞ!》

 

 

 きさらぎ星人の声を聞いたオニオンは、慌てて海羽の家から外に出ようとする。

 

 それに気づいた海羽は慌ててオニオンの腕を掴んで止める。

 

 海羽「ああっ!待って!どこに行くの?」

 

 オニオン「だって、僕が行かなきゃ多くの人間が…!」

 

 海羽「でも、折角逃げてこの星まで来たのに…!それに傷もまだ癒えてないんだから!」

 

 

 その時、宏隆が語り出す。

 

 宏隆「オニオン! お前をみすみす行かせるわけにはいかないな。」

 

 オニオン「………え?」

 

 宏隆「………実は俺、さっき病院にいた時、腕の力よりもショックな事があったんだ………。」

 

 

 彼、佐藤宏隆にとって、腕よりもショックだった事。

 

 それは、さっき行ってた病院で、とある一人の女性が入院している事であった………。

 

 

 その女性はベッドの中でも、眠りながらお守りを大事に両手で握っていた………。

 

 そう、その女性は昨夜オニデビルの襲撃によって重傷を負い、苦しみながらお守りを握りしめながら運ばれて行った女性であったのだ。

 

 

 彼女の名は『長田汐里』。

 

 宏隆とは高校の時に知り合い、仲良くなって一緒に勉強やったり弁当を食べたり、仲間内で一緒に遊んだりしていく内に互いの事を理解し合っていったという。

 

 そして彼らは今では相思相愛な関係である。

 

 だが大学生になると、麟慶大学に行った宏隆と違い汐里は浄京大学という別の大学に行くことになったため、彼らは離れて暮らさなければならない事になったのであった。

 

 だが、大学入学後も互いに連絡を取ったり電話をしたり、時折手紙を送ったりしていたため、宏隆は汐里と電話をする事が週2~3回の楽しみであり、大学生活及び部活を頑張れる支えになっていたのだ。

 

 

 だが、そんな汐里が重傷を負い、意識不明の状態でベッドに寝込んでいたのである。

 

 恐らく、腕の力を失って県大会も危うくなった状態に恋人の重傷が重なり、そのために余裕を失って先ほど海羽に八つ当たりをしてしまったのであろう。

 

 隣町での出来事であったため、汐里は超獣(オニデビル)の襲撃により重傷を負ったという事など、宏隆は知るはずもなかった。

 

 

 宏隆「…汐里がベッドで寝ているのを見た時、俺スゲーショックだった………ショックでたまらず自分を失いかけそうにもなった………

 

 だが、そう思ってる一方で、俺は“もうこれ以上、他の者が、俺たちみたいになって欲しくない”とも思った………。

 

 だからオニオン、お前をみすみす奴らに渡してたまるか。」

 

 宏隆は、腕の力を失って苦しむ自分を知り、そして恋人の重傷を知り、もうこれ以上誰かが自分たちのようになって欲しくないと強く思うようになったのだ、

 

 それは友好的であれば、オニオンのように異生物でも例外ではなかったのだ。

 

 

 宏隆の思いを聞いたオニオンは嬉しそうな表情を浮かべる。

 

 ここまで人間に愛されたのは恐らく初めてだからであろう。

 

 

 宏隆「それに………汐里へのプレゼントも、もう買ってるんだ。」

 

 海羽「…え?」

 

 宏隆「実は彼女、今月の14日が誕生日なんだ。」

 

 海羽「14日って………バレンタインデーじゃない!?」

 

 宏隆「ああ。そして俺の県大会の翌日でもある。

 

 だから、その日に俺はあいつと遊園地で会う約束をしているんだ。

 

 もちろん、サプライズとして渡したいから、単に「遊ぶため」に会うことにしてるけどね。それにあいつも、毎年の事だから俺のためにチョコレートを用意してくれてるだろうし…。」

 

 海羽「はぁ〜…素敵な話ね。愛し合う男女が、バレンタインの日にプレゼントを交換し合うなんて…!」

 

 

 宏隆「でも………汐里は今入院していて、医師によるとどんなに頑張っても全治最短1週間………。果たして約束は果たせるだろうか……………。」

 

 

 その時、海羽は宏隆の肩に手を置く。

 

 

 海羽「………大丈夫。きっと約束の日に会えるよ。だって、愛し合う男女は一際絆も強いんだから。」

 

 宏隆「………絆?」

 

 海羽「うん、“心の絆”だよ、宏隆君。それがある限り、きっと思いは通じるよ。

 

 宏隆君が今汐里さんの事を思ってるように、きっと今でも汐里さんも宏隆君の事を思ってるはずだから。」

 

 宏隆「………そうだな。腕の事もそうだが、前を向いていくぜ!」

 

 宏隆はようやくいつもの調子を取り戻しつつあった。

 

 

 海羽「宏隆君、病院に行って、汐里さんの様子を見てきてあげて。」

 

 宏隆「ああ。海羽はどうするんだ?」

 

 

 海羽「オニオン君の事は私に任せて。」

 

 宏隆「………………分かった。へますんじゃねーぞ?」

 

 海羽「ふふ、いつまでも子供扱いしないの。」

 

 宏隆「ふっ、そうだったな。じゃあな。」

 

 

 かくして、宏隆は海羽の家を出て病院へと向かい始めた。

 

 

 オニオンと二人きりになれた海羽。

 

 海羽「オニオン君………実は私、こういうモノなの。」

 

 海羽はそう言いながら、懐からハートフルグラスを取り出してオニオンに見せる。

 

 そして、自身がウルトラウーマンである事を明かしたのだ。

 

 オニオン「海羽さんが………ウルトラ戦士?」

 

 海羽「うん、だから絶対、オニオン君は渡さない。

 

 約束するよ。」

 

 海羽がウルトラ戦士だと知ったオニオンは少し安心するような表情を浮かべる。

 

 

 海羽「でも………隣町までどうやって行こう………?」

 

 オニオン「あ、それなら僕の瞬間移動“ドロンパー”で行こう。」

 

 海羽「えっ?オニオン君そんな事もできるの?」

 

 オニオン「奴らから逃亡する旅をしてる最中に知り合った“酔っぱらい怪獣ベロン”君から教わったんです。」

 

 海羽「“酔っぱらい怪獣”なんてのもいるなんて………宇宙は広いわね………………

 

 …まあとにかく、分かった。お願いするね。」

 

 

 かくして、海羽はオニオンの“ドロンパー”という瞬間移動で隣町に向かい始めた………。

 

 

 

 そして二人は隣町に着く。

 

 そこには既にオニデビルと宿那鬼が猛威を振るっており、人々は逃げ惑い、きさらぎ星人はそれを不気味に笑いながら見つめていた。

 

 

 海羽「いけない!…早く行かないと…」

 

 海羽がハートフルグラスで変身しようとしたその時、

 

 

 きさらぎ星人「ふっふっふ…やっと来たなオニオン。」

 

 いつの間にか目の前に現れていた老婆の姿のきさらぎ星人に気付き立ち止まる。

 

 

 海羽「あなたね…オニオン君に酷い事をしたのは。」

 

 きさらぎ星人「酷い事?我らの言う事を聞かないオニオンが悪いのだよ。

 

 さあオニオン、考えは変わったかね?」

 

 オニオン「嫌だい!僕は絶対、お前らみたいな乱暴はしない!」

 

 きさらぎ星人「!何だとっ!?………また痛い目に遭いたいのか!?」

 

 オニオン「大丈夫だい!このお姉ちゃんが守ってくれるもん!」

 

 きさらぎ星人「何ぃ!?」

 

 

 オニオンがそう言うと、海羽は颯爽と一歩前に進み、右手にハートフルグラスを持つ。

 

 海羽「これ以上罪の無い者への乱暴は許せない!

 

 (指を差して)覚悟しなさい!きさらぎ星人“オニババア”!」

 

 

 きさらぎ星人「がくっ!(ずっこける)

 

 “オニババア”じゃない!“オニバンバ”じゃあ!!」

 

 海羽「………あ、間違えちゃった…。

 

 (右手を後頭部に当てて首をかしげて)ごめんちゃい、オニババロアさん。」

 

 きさらぎ星人「余計に違うわ!!」

 

 海羽「あ、また間違えちゃった…(少し舌を出して)てへっ。」

 

 決めたはずが盛大に間違えてしまい、少し照れる海羽。

 

 

 きさらぎ星人「ええい、生意気な小娘め!オニオンももはや使えない。

 

 オニデビルよ、やってしまえ!」

 

 きさらぎ星人がそう言うと、オニデビルは角を光らせてショック閃光を海羽たち目掛けて放つ!

 

 海羽はオニオンを庇いつつ、周囲に爆発が起こる中逃げ始める。

 

 爆発により土砂や石のつぶてが飛び散る中、海羽は怯えるオニオンを連れて必死に逃げ続ける。

 

 しかし、やがて爆発が自分たちの間近に起こり、それにより二人とも吹っ飛んで地面を転がる。

 

 

 きさらぎ星人「よしそこだ。宿那鬼よ、止めを刺せ!」

 

 きさらぎ星人の指示を受け、宿那鬼は刀を構えて横たわる海羽たち目掛けて前進する。

 

 

 万事休すと思われたその時、

 

 

 海羽たちの横に、一人の女性が現れる。

 

 それは、昨夜オニデビルを迎え撃ったウルトラマン・ジャスティスの人間態・ジュリであった。

 

 海羽はそのジュリを見上げると、驚くように目を見開く。

 

 

 海羽「あっ………貴女は!昨日の………!」

 

 

 そう、実は、海羽が昨日ぶつかった女性はこのジュリだったのである!

 

 

 きさらぎ星人「ジャスティスか!? ここまで追って来おって、しつこい奴だ!」

 

 海羽「………ジャスティス?」

 

 

 すると、ジュリは海羽の方を向く。

 

 ジュリ「ここは私に任せろ。」

 

 

 ジュリはそう言うと変身を決意し、胸に付けているジャストランサーを右手に取る。

 

 すると、ジャストランサーの羽が二枚に展開し、青い石から『正義の光』が溢れる。

 

 ジュリはそのままジャストランサーを胸の中心に当て、それによって正義の光に包まれて巨大化する。

 

 

 海羽やオニオン、そしてきさらぎ星人がその光に目を覆う中、その無数のリング状の光の中から一人のウルトラ戦士が現れる。

 

 ジュリはウルトラマンジャスティス(スタンダードモード)へと変身完了したのだ。

 

 

 海羽「…あのお姉さん…ウルトラマンだったの?」

 

 海羽は現れたジャスティスを見上げて驚愕する。

 

 

 オニオン「他にもウルトラマンがいたなんて………。」

 

 

 宿那鬼とオニデビルもジャスティスに気付いて構える。

 

 ジャスティスは構えを取ると、二体目掛けて駆ける。

 

 

 ジャスティスは接近しながら宿那鬼の突き立てた刀を横にそれて避けると同時にその腕を掴み、そのまま回転しながら宿那鬼の背後にいるオニデビルに左脚蹴りを決める。

 

 次に掴んでいた宿那鬼の腕を叩き放した後、胸部に二発パンチを打ち込んだ後顔面に右拳を叩き込んで吹っ飛ばす。

 

 その隙に背後からオニデビルが殴り掛かるがジャスティスは背を向けたまましゃがんで回避すると同時に後ろに回り込み、右足蹴りを背中に打ち込んで転倒させる。

 

 宿那鬼は駆け寄ると同時に刀を振るうが、ジャスティスはそれを跳躍して宙返りをしてかわし、宿那鬼の後頭部に蹴りを決めた後着地する。

 

 オニデビルは右フックを繰り出し、ジャスティスはそれを左腕で受け止めると同時に右拳を胸部に打ち込み、続けて右肘を胸部に打ち込んだ後、跳躍して右足蹴りを胸部に叩き込んで後退させる。

 

 宿那鬼は袈裟懸けに刀を振るって斬りかかり、ジャスティスはしゃがんでかわすと同時に腹部に右脚蹴りを打ち込み、次に宿那鬼が繰り出す横降りの斬撃をしゃがんでかわして後ろに回り込むと背中に右脚蹴りを叩き込む。

 

 そして背後から右手で頭部、左手で腰部を掴み、そのままジャスティスホイッパ―で大きく放り投げた。

 

 

 ジャスティスは持ち前のパワーを活かした攻撃で戦いを優位に進めている。

 

 

 それを見かねたきさらぎ星人は、

 

 きさらぎ星人「えええい小癪な!こうなれば我も自ら行き、捻り潰してくれるわ!」

 

 

 そう言うときさらぎ星人は巨大化して戦闘形態・オニバンバの姿になる。

 

 

 オニバンバ「さあ、覚悟しろ!ウルトラマンジャスティス!」

 

 ジャスティス「貴様は意図してなかったとはいえ、コスモスペースを荒らした………宇宙正義に基づき、貴様にはそれなりの制裁を受けてもらう。」

 

 オニバンバ「ほざけ!」

 

 

 オニバンバの乱入により三対一の戦いに持ち込まれたジャスティス。だがそれでも怯まず立ち向かう。

 

 オニバンバは金棒を豪快に振り回して殴り掛かるが、ジャスティスはそれをことごとくかわしていき、やがて地面にめり込んだ金棒を踏み台にして跳躍すると、そのまま落下スピードを活かして上からジャスティスパンチを打ち込もうとする。

 

 だが、その隙に背後からオニデビルのショック閃光を受けてしまい、ダメージを受けると共にバランスを崩して地面に落下してしまう。

 

 そして宿那鬼は横たわるジャスティス目掛けて刀を突き立てる。

 

 ジャスティスはそれを即座に転がってかわすが、その後も宿那鬼は刀を何度も突き立て続け、ジャスティスはそれを転がり続けてかわしていく。

 

 刀を避けられる宿那鬼は今度は攻撃を熱戦へと切り替え、地面を転がっていたジャスティスはそれを喰らってしまいダメージを受ける。

 

 ジャスティスは立ち上がって、接近してきた宿那鬼と組み付くが、その隙に無防備となった腹部に右脚蹴りを喰らってしまい吹っ飛ぶ。

 

 

 鬼連合軍の連携により、徐々に不利な状況になっていくジャスティス。

 

 ジャスティスは体勢を立て直した後上空に飛び上がる。

 

 そして上空に静止したまま、ガッツポーズのようなポーズを取ってエネルギーを溜め、両手を前に突き出して衝撃光線『ビクトリューム光線』を放つ!

 

 これはジャスティス(スタンダードモード)最強の必殺技であり、かつてコスモス(エクリプスモード)の必殺光線・コズミューム光線との同時発射でサンドロスを撃破した事があるのだ。

 

 

 光線はオニバンバ目掛けて飛んで行く。ここで勝負が決まるか!?

 

 

 だが、しかし!

 

 

 オニバンバ「ふんっ、はあっ!!」

 

 

 “ズゴーン”

 

 

 ジャスティス「何っ!?」

 

 

 なんと、オニバンバは迫り来るビクトリューム光線を金棒の一撃で弾き飛ばしてしまたのだ!

 

 必殺光線が弾き返されるという想定外の出来事に驚愕し、動揺するジャスティス。

 

 

 その隙に、オニデビルのショック光線と宿那鬼の熱戦の同時攻撃を受けてしまい、爆発すると共に地面に落下する。

 

 

 うつ伏せに倒れるジャスティスは、何とか立ち上がろうと右膝、左足を地面に付くが、背後からオニバンバに背中を蹴られてバランスを崩し、その隙に背後から金棒で首を絞められ始める!

 

 

 オニバンバ「はっはっはっは!この金棒は強化されている!そんな光線にやられる、オニバンバ様ではないわ~!」

 

 

 ジャスティスを痛ぶるオニバンバは高笑う。

 

 

 ………しかし君、強化しているとはいえジャスティスの必殺光線を弾き返すとは………………どんだけ自身と金棒を鍛えて来たんだ!?(笑)

 

 

 

 海羽「はっ、ジャスティスさんが危ない!」

 

 ピンチに陥るジャスティスを見る海羽も変身を決意してハートフルグラスを取り出し突き出す。

 

 

 だがその時、

 

 海羽「いっ!………。」

 

 海羽は何やら苦しむように右腕を押さえ、そのはずみでハートフルグラスを落としてしまう。

 

 オニオン「………海羽、さん?」

 

 どうやら海羽は、先ほどオニデビルの攻撃からオニオンを庇いながら逃げていた時、転んだ際に打撲によって右腕を痛めてしまったようである!

 

 

 

 同じ頃、病院で寝ている汐里の傍で手を握っている宏隆は、何やら妙な胸騒ぎを感じていた。

 

 宏隆「海羽………!」

 

 

 

 腕を痛めている海羽。だが、それでも笑顔でオニオンの方を向き、

 

 海羽「大丈夫………オニオン君は、私が守るから!」

 

 

 海羽はそう言うと、地面に落ちたハートフルグラスに向かってうつ伏せに倒れる形でハートフルグラスを目に装着。

 

 そして赤とピンクの光に包まれて巨大化していきウルトラウーマンSOL(ソル)へと変身する!

 

 

 しかし、ソルは現れるや左手で右腕を押さえている。やはり痛みは変身後も残るようである。

 

 

 オニバンバ「うぬっ!?新たなウルトラ戦士か!やっつけてやる!」

 

 

 オニバンバの叫びを合図とし、オニデビルと宿那鬼がそれぞれ腕と刀を振り回して襲い掛かる。

 

 ソルは痛みに耐えつつそれらを持ち前の身軽さでかわしていく。

 

 

 オニオン「海羽さん………!」

 

 海羽「オニオン君、早く安全な所に…」

 

 

 “ドガッ”

 

 

 海羽「!!うぎゃっ!!」

 

 

 ソルは、心配するオニオンに声を掛けている最中にオニバンバの金棒の一撃を右肩に喰らって吹っ飛んでしまう!

 

 しかもそれにより右腕の痛みが更に増してしまい、もはや戦いに集中するのもままならない状態にまでなっていた。

 

 

 ジャスティス「いかんっ!」

 

 オニバンバ「おーっと!お前の相手はこの私だー!」

 

 ジャスティスは助太刀に向かおうとするが、オニバンバの妨害により向かえない。

 

 その隙にオニデビルと宿那鬼がソルに襲い掛かる!

 

 

 ソルは宿那鬼の大きく振り下ろす斬撃をなんとかしゃがんで後ろに回り込むことでかわすが、その後に宿那鬼の振り向き様の一直線の斬撃を右横腹に受けてしまい、その斬られた部位は爆発して火花が飛び散る。

 

 次にオニデビルがソルの腹部に右拳を打ち込み、そのまま右手だけで持ち上げて思い切り放り投げる!

 

 ソルは数回回転しながら地面に叩き付けられる。

 

 

 一方のジャスティスもオニバンバに苦戦しており、金棒の一撃を胴体に喰らって爆発と共に火花を散らしながら吹っ飛ぶ。

 

 

 ジャスティスとソルは合流するように同じ場所に落下する。

 

 

 オニバンバは金棒で思い切り地面を叩く。

 

 すると、その金棒の当たったところから、EXレッドキングのフレイムロードよろしく、爆発のような衝撃波が一直線に走り、オニバンバ前方にいるジャスティスとソルに直撃する。

 

 続けてオニデビルがショック閃光、宿那鬼が熱戦を発射し、ジャスティスとソルはそれが周囲で爆発したことにより、更なるダメージを受けて倒れ伏せてしまう。

 

 

 ソルより前に変身して戦っていたジャスティス。エネルギーをだいぶ消耗したのか胸のカラータイマーが赤に点滅を始める!

 

 

 オニバンバ「そろそろ終わりにするぜ~!」

 

 

 勝ち誇るオニバンバ。

 

 

 ソルはもはやここまでと、戦意を喪失しかけていた………。

 

 

 オニオン「ああっ、海羽さーん!!」

 

 

 その時、オニオンの叫びを聞いてソルはふとその方向を向く。

 

 

 そして、ある事を思い出す。

 

 海羽(………そうだ………約束したんだった………………オニオン君は、私が守るって………………。

 

 それに………宏隆君も、自分と汐里ちゃんのために今前向きになってるんだもん………………。

 

 だから、………私も絶対に諦めない!)

 

 

 ソルが心でそう叫んだ時、

 

 

 ???『そうだ………最後まで諦めない事………その心があれば、必ず道は開ける………!』

 

 

 どこからか別の声が、ソルの心中に語り掛ける。

 

 

 海羽「ん?誰?この声は………。」

 

 

 

 ソルが辺りを見渡しているその時、少し離れた場所で一人の男がその戦いの様子を見上げていた。

 

 

 その男はどこか真剣な目つきで見上げている。まるで戦いに向かう戦士であるかのように。

 

 

 ???「この世界のウルトラマンよ…、」

 

 

 男は遂に決心したのか、そう言うと懐からとあるアイテムを取り出す。

 

 

 赤いゴーグルの形状をしたそのメガネ上のアイテムこそ、彼が光の戦士である証。

 

 

 そのアイテムの名は『ウルトラアイ』。

 

 

 彼こそ、『ウルトラセブン』の人間体『モロボシ・ダン』なのだ!

 

 

 ウルトラセブン。それはM78星雲・光の国出身のウルトラ戦士であり、ウルトラ兄弟の一員でもある。

 

 彼はかつては恒点観測員340号として太陽系で活動していたが、その最中に地球を訪れた際に地球が数々の侵略者から狙われている事を知り、勇敢な地球人・薩摩次郎の行動に心を打たれ、彼をモデルに「モロボシ・ダン」の姿となって防衛軍・ウルトラ警備隊に入隊し、侵略者の魔の手から地球を守り抜いた。

 

 怪獣や侵略者と戦い続けた事による過労から一度は地球を去るが、後にウルトラ兄弟の3番目に加えられ、その後も他の兄弟たちのサポートをしたりなどして度々地球を訪れている。

 

 

 ついでに、再び地球防衛の任務に就いた際、敵の攻撃により変身能力を失い、ダンとして宇宙パトロール隊・MACアジア支部の隊長となって活躍し、当時地球を守っていたウルトラマンレオを地獄の鬼特訓により鍛え上げたという事も、付け加えておこう。

 

 

 そして今回、オニバンバの暗躍を阻止するために活動し始め、この世界にやって来たのである!

 

 

 ダン「私も行くぞ!」

 

 

 (BGM:ウルトラセブン(full))

 

 

 ダンはそう言うと、右手に持つウルトラアイを前に突き出す。

 

 

 ダン「デュワッ!」

 

 

 そして、掛け声と共に目に装着する。

 

 

 “ギュイイイイウウウゥゥゥゥゥン”

 

 

 そして特徴的な効果音と共にウルトラアイのレンズ部分に火花が回転し、やがてダンの全身が頭部から順にウルトラセブンの姿に変化する。

 

 そして完全に変身が完了した後、両腕でガッツポーズのようなポーズを取って巨大化する!

 

 

 

 オニバンバ「………ああん?」

 

 ジャスティス「………ん?」

 

 海羽「………あれは………?」

 

 

 オニバンバにジャスティス、そしてソルが気付いて目を向けた先には、現れた一人の巨人が雄々しく立っていた。

 

 

 全身が赤く、首周りから肩にかけてのプロテクター、六角形の目を持つ真剣な顔つきに頭部に装着した宇宙ブーメラン『アイスラッガー』が特徴の光の戦士。

 

 

 今ここに、ウルトラセブン参上!である。

 

 

 ジャスティス「来てくれたか…ウルトラセブン………。」

 

 

 海羽「………何だろう?………あの姿………まるで貫禄が違う………………!」

 

 ソルは一目見ただけでセブンから何やら特別な威厳を感じていた。

 

 それもそのはず、彼はウルトラ戦士だと二番目に地球に来ている、所謂ソル達よりも昔から地球を守ってきているため、正にソルにとっては大先輩なのである。

 

 

 オニバンバ「邪魔者が増えたか!? なら倒すまでだ、かかれ~!」

 

 ソルがセブンに感心する中、鬼連合軍はセブンを攻撃しようと一斉にかかり始める!

 

 

 セブン「デュッ!」

 

 セブンは掛け声と共にファイティングポーズを取ると、先手を切って斬りかかってきた宿那鬼の斬撃をすれ違いざまにかわし、次の宿那鬼の斬撃を背を向けたまま逆手持ちのアイスラッガーでそれを防ぐ。

 

 そしてそのまま左足の後ろ蹴りで刀を蹴り上げた後、振り向き様に右脚蹴りを腹部に打ち込んで吹っ飛ばす。

 

 次にオニバンバの横降りの金棒での打撃を跳躍して受け前転で身を取ってかわした後、側転して接近して右脚の横蹴りを打ち込む。

 

 オニバンバは怯まず金棒を振り下ろすがセブンはそれをかわすと同時に後ろに回り込み両手で背中を突き飛ばす。

 

 オニバンバ「おのれっ!」

 

 オニバンバは振り向き様に口から火球を発射して攻撃するが、セブンはそれを横にジャンプしてかわすと同時に、左手を胸に当てて額から光線『エメリウム光線(Bタイプ)』を発射!

 

 光線が胸部に命中したオニバンバは爆発と共に吹っ飛ぶ。

 

 

 次にオニデビルがセブンに襲い掛かろうとする。

 

 セブンは片膝を付いた状態で両手を頭部に当てた後一気に振り下ろす。

 

 するとオニデビルは一回転して転倒した。

 

 これはセブンが体得している能力『ウルトラ念力』であり、このように怪獣を投げ飛ばす他に、気象を変化させることも可能なのだ。

 

 

 立ち上がったオニデビルは反撃でショック閃光を放ち、セブンはそれを跳躍してかわすと同時に宙返りしてオニデビルの前に着地。

 

 

 セブン「ヤーッ!」

 

 

 “ドガッ”

 

 

 そして両足のドロップキックを叩き込んで吹っ飛ばした!

 

 セブンのキック力はダイナマイト200発分の威力があるため、それを喰らったオニデビルは数十メートル吹っ飛んでしまっている。

 

 

 

 ソル「………すごい………。」

 

 感心するソルたちの元にセブンは歩み寄る。

 

 

 セブン「君が、この世界のウルトラ戦士か。よく頑張ったな。ここからは協力と行こう。」

 

 

 そう言うとセブンは両手を額に当ててビームランプから照らすライトのような光線を発射し、それを浴びたソルはカプセルの様な光に包まれ、そしてその光が消えた後にソルはとある変化に気付く。

 

 それは、さっきまで痛んでた右腕が治っていたのだ!

 

 

 海羽「…はぁあ、腕が治ってる!」

 

 

 先ほどの光線は『ウルトラカプセル光線』であり、かつてオニデビルとの戦いで両腕の力を失い足を負傷したウルトラマンエースを治した事もあるのである。

 

 

 セブンは今度は同じポーズでジャスティスに別の光線を照射する。

 

 光線をカラータイマーに浴びたジャスティスはエネルギーが回復したのか、カラータイマーが青に戻る。

 

 恐らくこれはウルトラ戦士にエネルギーを与える『ウルトラチャージ』であろう。

 

 

 かくして、セブンにより力を取り戻したジャスティスとソルはセブンをセンターに横に並び立つ。

 

 

 海羽「ありがとうございます。セブンさん(ピース)。」

 

 セブン「行けるか?君たち。」

 

 ジャスティス「もちろんだ。」

 

 海羽「オッケーです!」

 

 

 オニバンバ「えええいおのれ! 人間の味方する者はみんな痛めつけるまでだ~!」

 

 

 オニバンバも左右にオニデビルと宿那鬼を並ばせて構える。

 

 

 それを見ていたオニオンは、

 

 オニオン「僕も………僕も海羽さんの役に立ちたい………!」

 

 

 ソル(海羽)の力になりたい………そう言う想いが強くなったオニオンは巨大化する。

 

 

 海羽「………オニオン君!」

 

 オニオン「海羽さん………これを使ってください!」

 

 オニオンはそう言いながら、ソル目掛けて自身の武器でもある金棒を投げる!

 

 自身は腕の力が無いために、自身の分まで頑張ってほしいという思いもあってソルに託したのである。

 

 

 海羽「………分かった。使わせてもらうね。」

 

 それを悟った海羽は、金棒を拾い上げて構える。

 

 

 これで戦闘準備は整った………。

 

 

 両組は数秒睨み合った後、互いに一斉に駆け寄り始める!

 

 

 セブンは宿那鬼、ジャスティスはオニデビル、そしてソルはオニバンバを相手することにした!

 

 

 セブンはアイスラッガーを手持ちに宿那鬼と激しい斬り合いを展開する。

 

 両者ともに一歩も譲らない剣劇。時にはジャンプし、時には背を向けたまま防いだりなど激しさを増していき、刀同士がぶつかる度に金属音と共に火花が飛び散る。

 

 

 だが、実はセブンはその間に、宿那鬼の隙を探していた。

 

 やがて、宿那鬼が真上から振り下ろす斬撃を刀を両手持ちで水平にして受け止めた隙に、無防備となった腹部にパンチを打ち込み、怯んだ隙に体を両手で掴んで大きく放り投げる。

 

 放り投げられた宿那鬼は着地に成功する。

 

 

 セブンは両手を額に当てて『エメリウム光線(Aタイプ)』を放つ!

 

 宿那鬼がそれを刀で防ぐことでエメリウム光線は撥ね返されるが、セブンは即座にアイスラッガーを頭上に投げる。

 

 すると撥ね帰って来たエメリウム光線はアイスラッガーに当たる事で反射し、再び宿那鬼の方へと飛んで行く!

 

 予期せぬ戦法により、エメリウム光線を胸部に受けた宿那鬼は爆発と共に吹っ飛ぶ。

 

 

 流石は昭和時代から長年戦ってきただけあって、セブンの戦闘センスはなかなかのモノである。

 

 

 

 オニデビルと戦うジャスティスは、さっきの名誉挽回とばかりに猛反撃をする!

 

 ジャスティスは右脚の前蹴りでオニデビルを後退させた後、バック転をして一旦距離を取る。

 

 そして両腕を左右に伸ばした後それを顔の前に持って行った後に下に降ろす。

 

 するとジャスティスの身体は金の光に包まれ、徐々に変わっていく。

 

 

 全身を包んでいた光が消えて現れたのは、金色のプロテクターが特徴のジャスティスの強化形態『クラッシャーモード』である!

 

 

 モードチェンジを完了したジャスティスは構えた後、猛スピードで側転、バック転をしながらオニデビルに接近し、左右交互のパンチを腹部に打ち込んだ後右脚の横蹴りを左脇腹打ち込み、更に左足の前蹴りを胸部に叩き込んで吹っ飛ばす。

 

 いずれも目にも止まらぬ速さである。

 

 逆上したオニデビルは右フックを繰り出すが、ジャスティスはそれを難なく両手で掴んで受け止め、そのまま背負い投げの要領で放り投げる!

 

 

 ジャスティスが真の正義を貫くときに発現すると言われ、スタンダードモードを上回る絶大なパワーを持つクラッシャーモードの前には、さしもの力自慢のオニデビルも敵ではないのだ!

 

 

 

 そしてソルは、オニオンから託された金棒でオニバンバと金棒同士の激突を始める。

 

 だがソルは金棒を使うのに慣れていないのか、がむしゃらにやや小刻みな打撃を繰り出すのが精一杯であり、オニバンバはそれをことごとく弾いていく。

 

 

 海羽「え~…まるで歯が立たないよ~!」

 

 オニバンバ「ふんっ!小娘ごときに、金棒が使えるものか!」

 

 

 既に勝ち誇るオニバンバは金棒を振り下ろし、ソルは両手持ちで水平にすることでなんとか受け止める。

 

 

 オニバンバ「どうやら勝負はついたみたいだな! 鬼を虐めた罰を受けよ!」

 

 

 オニバンバはそのまま更に力を入れて抑え込んでいき、ソルは受け止めたまま膝を付いてしまう。

 

 

 しかし、そんな中でも海羽の脳裏には浮かんでいた………。

 

 実際には見えなくても、今でも宏隆が、オニバンバたちによって怪我を負った汐里についてあげていることが………。

 

 

 海羽「………あんたみたいな鬼がいるから、悪い者扱いされるのよ………!」

 

 ソルは静かな怒りと共に語り出す。

 

 

 オニバンバ「ああん?」

 

 

 ソル「(オニオンの方を向いて)鬼にだって、良い鬼がいるんだもん………。」

 

 オニオン「海羽さん………。」

 

 

 海羽「(宏隆や汐里の事を思いながら)自分がされて嫌な事は………他人(ひと)にもしないものだよ………。」

 

 ソルはなおも語りつつ、湧いて来る力によって逆に抑え込みながら立ち上がる。

 

 オニバンバ「ど………どこにそんな力が………?」

 

 

 海羽「だから………虐めてほしくないなら、オニオン君みたいに良い鬼になって……出直しなさい!」

 

 

 ソルは遂に力を振り絞ってオニバンバを押し飛ばす!

 

 

 オニバンバ「くっ! 生意気な小娘め!いい加減に身の丈を知れー!」

 

 

 オニバンバはソル目掛けて火球を連射する。

 

 ソルはそれを金棒で弾きつつかわしていくが、数の多さに徐々に押されていく………!

 

 

 オニバンバ「はっはっは!そろそろ終わりにしてやる!」

 

 オニバンバは止めを刺そうと金棒を振り上げて襲い掛かろうとしたその時、

 

 突然後ろからだれかにしがみ付かれ動きを止められる。

 

 

 オニバンバを止めたのは、なんとオニオンであった!

 

 オニバンバ「んなっ!?なぜだ!?貴様は腕の力がない…筈!」

 

 オニオン「友達の事を思うと、勝手に体が動いたんだ!」

 

 オニバンバ「なん…だと?」

 

 オニオン「海羽さんは、最初にできた人間の友達………だから、いじめるなー!」

 

 

 “クシュンッ!”

 

 

 オニオンが力を入れたその時、口からくしゃみのように勢いよくガスが噴射される!

 

 

 海羽「うわッ!?………何?このガス………。」

 

 

 その時、オニバンバは目を押さえて苦しみだす。

 

 しかも何やら涙を流して………。

 

 オニバンバ「ぐおおおぁぁ~! 何だ!?この玉ねぎの臭いは!?涙が止まらぬ!」

 

 

 オニオンが吐き出したガスは、彼の武器でもある玉ねぎの臭いがする催涙ガスであった。

 

 

 それを浴びてしまったオニバンバは目が沁みてしまっていたのだ。

 

 

 オニオン「やった!これで隙が出来ましたよ、海羽さん!」

 

 オニオンがソルの方を向いたその時、

 

 

 海羽「私も~…。」

 

 ソルも多少目に沁みてしまっていたのか、目から涙(正確には滴のような緑色の光)を流していた。

 

 

 オニオン「あ、ごめん…海羽さん…。」

 

 海羽「(目を拭きながら)ううん。ありがとね。 オニオン君は早く安全なところへ。

 

 よーし、反撃開始だ!」

 

 

 ソルは涙を拭いた後、オニバンバ目掛けて駆け始める。

 

 オニオンとの友情が、彼女に逆転のチャンスをもたらしたのだ。

 

 

 オニバンバ「くっ…おのれっ!おのれおのれ~!!」

 

 オニバンバは沁みる目を拭きつつ金棒を闇雲に振り回すが、ソルはそれを身軽な動きでかわしていく。

 

 そして後ろからしがみ付いて、右足で右膝を踏んで膝を付かせた後、「それっ!」という掛け声と共に顔面にヒップアタックを打ち込んで吹っ飛ばした。

 

 

 オニバンバ「くっ…まさか鬼が人間の女の尻で攻撃される日が来るとは………!」

 

 

 

 セブンとジャスティスは止めを刺す時が来た。

 

 ジャスティスは空高くジャンプした後、急降下しながら『クラッシャーハイキック』を放つ!

 

 破壊力抜群のキックは一撃でオニデビルの頭部の角をへし折った!

 

 ジャスティスは着地した後接近しながら右足の後ろ回し蹴りをオニデビルの胸部に叩き込んで吹っ飛ばす。

 

 

 そしてバック転をして距離を取った後、両腕を左右に伸ばし、大きく回して上に揚げてエネルギーを溜めた後、それを前に突き出して『ダグリューム光線』を放つ!

 

 これは驚異的威力を誇るジャスティス(クラッシャーモード)最強の必殺光線である。

 

 

 光線を浴びたオニデビルは身体を発光させながらその場に倒れ、大爆発して砕け散った。

 

 

 

 セブン「ヤーッ!」

 

 セブンは右脚蹴りを宿那鬼の腹部に叩き込んで後退させると、両手を頭部に当ててアイスラッガーを投げつける!

 

 セブンの脳波でコントロールされるアイスラッガーは宿那鬼の周囲を飛んで攪乱しつつ身体を切り裂いてダメージを与えていく。

 

 

 そしてセブンは一旦戻って来たアイスラッガーを自分の手前に空中で静止させた後、両手を握手する様に組んでそのまま後ろに引く。

 

 

 セブン「ヤーッ!」

 

 

 そして引いた腕を前に突き出すと同時にアイスラッガーにハンディショットを当てることでアイスラッガーを威力やスピードを数倍に高めて放つ!

 

 

 これぞかつてガッツ星人を母艦ごと撃破したセブンの合わせ技『ウルトラノック戦法』である!

 

 

 “ガキーン”

 

 

 宿那鬼はそれを防ごうと刀を咄嗟に自身の前に立てるが、高速で白熱化して飛ぶアイスラッガーはそのまま刀を、そして宿那鬼の身体を貫く!

 

 

 気がつけば刀は折れていて、宿那鬼の身体には風穴が開いていた。

 

 

 セブンは動きが止まった宿那鬼目掛け、腕をL字に組んで必殺光線『ワイドショット』を放つ!

 

 

 セブン最強の光線を浴びた宿那鬼はその場に崩れ落ち大爆発して砕け散った。

 

 

 かくして、オニデビルと宿那鬼は再び怪獣墓場に送られる事になったのである。

 

 

 セブンとジャスティスによって子分の怪獣たちが倒され、自身もソル相手に劣勢となっているオニバンバ。

 

 ソルはオニバンバを横に投げて転倒させると、そのオニバンバ目掛けて「よいしょー!」という掛け声と共に跳躍して座り込むようにのしかかる。

 

 これぞ彼女の得意技・ヒップアタックの応用・ヒッププレスである。

 

 

 するとオニオンはソルに歩み寄り、ある物を手渡す。

 

 オニオン「これを。」

 

 海羽「これは……豆?」

 

 オニオンから渡されたのは、枡一杯の節分の豆であった。

 

 海羽「どうして、これを?」

 

 オニオン「昨日、海羽さんが出てきたとある建物(麟慶大学の体育館の事)の近くに落ちてたから、拾ってお守りとして持ってたんだ。

 

 オニバンバは豆が苦手。これを撒くんだ。」

 

 海羽「…分かった。ありがとね、オニオン君。」

 

 

 オニバンバ「くうぅ…まだ来るのか〜!?」

 

 再び立ち上がり戦闘態勢を取るオニバンバ。

 

 

 海羽「さあ、これで顔でも洗って、反省しなさい!」

 

 ソルは、何故か某変身ヒロインのように言った後、オニバンバに狙いを定めて枡から豆を掴んで投げつけ始める。

 

 

 今ここに、ウルトラウーマンSOL(ソル)の豆撒きが始まった!

 

 

 オニオンと共に「鬼はー外!福はー内!」という節分おなじみの台詞を言いながら豆を撒いていくソル。

 

 オニバンバ「い、痛いっ!……痛い、痛いよ〜!」

 

 豆を浴びていくオニバンバはたまらず痛がり出す。

 

 

 ……ってちょい待てアンタ、いくら弱点とは言えジャスティスの光線は撥ね返せて節分の豆は撥ね返せないってどういう事だってばよ!?

 

 …そんな我々の突っ込みもよそに、尚もオニバンバは豆を浴びて苦しみ続ける。

 

 

 その光景を、少し離れた場所でセブンとジャスティスがじっと立ち尽くして見つめていた。何ともシュールである(笑)

 

 

 オニバンバ「やっ………やっぱり豆は苦手じゃ………。」

 

 やがてオニバンバは戦意喪失して力が抜けてきたのか、手に持っていた金棒を力なく手放して落としてしまう。

 

 ソルは豆撒きをやめ、オニバンバが落とした金棒を拾い上げる。

 

 

 海羽「さーあ、大人しくお家に帰りなさい!」

 

 その時、横には同じく金棒を持ったオニオンが。

 

 オニオン「海羽さん、一緒にやりましょう!」

 

 海羽「あ、あれ?オニオン君いつの間に腕が………ま、いっか。

 

 んじゃ、いっくよ〜!」

 

 ソル、そしてオニオンはオニバンバの後ろに回り込み、そして同時に金棒を振るう!

 

 

 海羽「せ〜の!」

 

 

 海羽・オニオン「飛んでけー!」

 

 

 “ズコーン”

 

 

 二人の金棒の打撃を尻に受けたオニバンバは、その勢いで空の彼方へと飛んでいく………。

 

 海羽「(手を振りながら)お達者で〜!」

 

 どうやら今年も、ウルトラ戦士から追い出される形で退散する事になってしまったようである。哀れ。

 

 

 オニバンバ「チキショー!! 来年また来てやるからなー!! それまで覚えてろーーー!!」

 

 

 オニバンバは飛んで行きながら捨て台詞を叫んだ。

 

 これぞまさに負け犬ならぬ負け鬼の遠吠えと言ったところであろうか、、、

 

 

 ソルは手に持っていたオニバンバの金棒をハンマー投げの要領で振り回し、空高く放り投げる。

 

 

 海羽「(両手をメガホン代わりにして)お〜い!わっすれものだよ〜!」

 

 

 “ゴーン ゴーン”

 

 オニバンバ「いてててててっ!」

 

 金棒は無事にオニバンバの元に飛んで来たものの、どうやら飛んで来た金棒はオニバンバの顔や頭にぶつかってしまったようである。

 

 

 やがてオニバンバは空の彼方へと飛び去って行った………。

 

 果たして奴は来年もやって来るのであろうか………?

 

 それは誰も知るはずもない…て言うか、知らなくていいだろう(笑)

 

 

 鬼連合軍が去ったと共に、空も黒雲が晴れて青空が戻って来る。

 

 

 海羽「あ〜あ、行っちゃったね。」

 

 オニオン「だね。」

 

 

 戦いを終えた3人のウルトラ戦士とオニオンは合流する。

 

 海羽「助かりました。セブンさん、ジャスティスさん。」

 

 セブンとジャスティスは無言で頷いた。

 

 

 オニオン「僕の方からも、ありがとうございました。」

 

 セブン「ああ。オニオンも無事で良かった。」

 

 海羽「…え?お、オニオン君セブンさんと知り合いなの?」

 

 

 3人は人間体に戻り、ダンとジュリは海羽に事情を話し始める。

 

 どうやらセブンは宇宙をパトロールしていた時、オニオンがオニバンバたちに追われている事を知り、オニオンを救うためにそれを追跡していたのだという。

 

 そしてその追跡はいくつかの別宇宙までに及び、それによりジャスティスのいるコスモスペースにも訪れたのだ。

 

 オニバンバはオニオンを追い続けるあまりに、コスモスペースのいくつかの星を荒らしてしまったのだ。

 

 幸いムサシ(コスモス)たちの惑星ジュランには来なかったものの、その行為によりジャスティスは宇宙正義に基づき制裁を加える事を決め、またそれによってセブンとジャスティスは出会い、共にオニバンバたちを追う事を決めたのだ。

 

 そしてその後も追跡を続けていくうちに、この地球にたどり着いたのだという。

 

 

 海羽「なるほど………相当苦労なさってたんですね。お疲れ様です。」

 

 ダン「だが、追い続けた甲斐もあって、無事にオニオンを救うことができた。それはソル、君のためでもある。ありがとう。」

 

 海羽「い!いえいえ!礼を言うのは私の方です!

 

 私なんて無力で…セブンさんとジャスティスさんがいなかったら今頃どうなってたかと思うと…。」

 

 ダン「何を言ってる。オニオンと友達になることで、彼の心を救った。それだけでも立派なことだよ。」

 

 ジュリ「実際オニオンは君に協力したろ?それが何よりの証拠だ。」

 

 オニオン「うん!僕、海羽さんと仲良くなって、とっても嬉しかった。」

 

 海羽「(嬉しそうな顔で少し目を潤めて)オニオン君………。

 

 あ、そういえば前まで腕の力がなかったのに、どうしてさっきは金棒が持てたの?」

 

 ダン「恐らく、オニデビルを倒した影響だろう。それにより、奴の作った赤い豆の毒素も効果を無くしたんだ。」

 

 海羽「ああ、なるほどです。」(なら、きって宏隆君も今………。)

 

 

 

 海羽の予想通り、病院にいる宏隆も自分の腕が治っていることに気付いていた。

 

 

 宏隆「………腕に…力を感じる………?」

 

 

 宏隆は試しに正拳突きを数発打ってみる。

 

 すると、確かに風邪を切る音が聞こえた。これぞ腕の力が戻った証である。

 

 

 宏隆「………やった………腕の力が戻った………!

 

 よっしゃラッキー!!」

 

 宏隆は嬉しさの余りに大声を上げるが、自分が今病室の中だという事を思い出し慌てて口をふさぐ。

 

 

 宏隆「これで県大会に出れるぞ。汐里。」

 

 

 宏隆はそう言いながらベッドで眠る汐里の元に歩み寄って微笑みかける。

 

 

 よく見てみると、寝ている汐里の顔もどこか笑っているようであった。

 

 

 

 海羽「お二人はこの後どうするんですか?」

 

 

 ダン「私は一旦元の世界に戻る事にする。この世界に僅かながら異変が起きているらしいから、とりあえず仲間たちに知らせ、様子を見ることにするよ。」

 

 

 ジュリ「私はコスモスペースに戻る。奴ら(鬼連合軍)に制裁を加えることは遂行出来たからな。

 

 しかし、奴(オニバンバ)が二度と悪さをしない保証も無いからな、そうだな………

 

 よし、奴に猶予を与えよう。2000年ぐらいな。」

 

 

 海羽「に…2000年も~!?

 

 あ、でももし2000年後でも悪さをやっていたら?」

 

 

 ジュリ「その時はデラシオン次第だが、最悪処刑する可能性もある。

 

 まあ最も、2000年後も奴が生きてれば、の話だがな。ふっ(少し笑顔になる)。」

 

 

 海羽「…あ、あははは、そうですね~。」

 

 

 完全にオニバンバを年寄り扱いするジュリ(笑)

 

 はたしてオニバンバは2000年後、サンドロスの二の舞になるのであろうか?

 

 まあ、あまり心配する事でもないか?(笑)

 

 

 海羽「ねえ、オニオン君はどうするの?」

 

 オニオン「僕は………とりあえず平和な所で過ごしたいです。 あ、でも、海羽さんの家に泊めてもらうのも悪いし………。」

 

 ダン「それなら、アニマル星とかはどうだ?あそこなら果物の木もいっぱいあるし、君なら我がカプセル怪獣とも仲良くなれそうだ。」

 

 ダンが勧めるアニマル星。それは彼の所有するカプセルに入っている彼の仲間・カプセル怪獣のアギラの出身星である。

 

 ジュリ「ジュランとかもいいぞ。あそこは人間と怪獣が共存する惑星だ。きっと君にとってもいい場所だと思うぞ。」

 

 オニオン「う~ん…どちらもいいとこそうだし迷うな~。」

 

 ダン「それじゃあ、とりあえず一旦ウルトラの星に来るか? まずはその傷を治すべきだし。

 

 どこに住むかはその時に決めるのはどうだ?」

 

 オニオン「それじゃあ…そうします!」

 

 海羽「そっか………行っちゃうんだね、オニオン君…。」

 

 オニオンは、少し残念そうな顔をする海羽の元に歩み寄る。

 

 オニオン「(海羽の両手を握って)大丈夫海羽さん。また遊びに来るから。」

 

 海羽「オニオン君………約束だよ!」

 

 オニオン「うん!」

 

 海羽はオニオンとまた会う約束を交わし、互いに微笑み合う。

 

 

 ダン「それじゃあ、私たちはそろそろ旅立つ。

 

 もし、戦いが今後も激しさを増し、一人でもどうしようもなくなったら、“あいつ”を呼ぶといい。」

 

 

 海羽「あいつ?」

 

 

 ダン「その名は“ウルトラマンゼロ”だ。 まあ最も、私の息子だがな。」

 

 

 海羽「え˝え˝っ!?………セブンさん子供がいたんですか?」

 

 

 ダン「(少し照れくさそうに)ああ。

 

 あいつはまだ若いが、最大級の強さと無限の可能性を秘めている。

 

 きっと、頼もしいはずだ。」

 

 

 海羽「それで、そのゼロさんは今どこに?」

 

 

 ダン「………きっと今も、宇宙の平和のために旅をしているだろうな。

 

 私はあえてアイツにあまり干渉しない。アイツのやりたいようにやらせている。」

 

 

 海羽「へぇ~、息子さんの好きにさせてるんだ。優しいんですね、セブンさん。」

 

 ダン「ははは、なに、ただアイツが破天荒なだけだ。」

 

 

 ジュリ「私の戦友で“ウルトラマンコスモス”というのがいるのだが、彼を呼ぶのもいいかもしれない。」

 

 

 海羽「ウルトラマンコスモス?」

 

 

 ジュリ「ああ、怪獣とて悪い奴らだけじゃない。彼は怪獣たちの善悪を見分けることが出来、そんな怪獣たちと共存するという夢を叶えることに成功している。

 

 すなわち、真の優しさと強さが分かる奴だ。きっと、頼もしい力になってくれるはずだ。」

 

 

 海羽「へぇ~…二人とも凄そう!」

 

 

 ダン「辛い事もあるかもしれない。だがそんな時は無理せず、他のウルトラ戦士を呼ぶといい。

 

 そして信じるんだ。“例え離れていても、知らない者でも、私たちウルトラ戦士は繋がってる”と。」

 

 

 ジュリ「そしてその繋がりは、決して切れない事をな。」

 

 

 海羽「“心の絆”………ですね!」

 

 

 ダン「ああ。それじゃ、元気で頑張れよ!」

 

 

 海羽「はい!」

 

 

 ダンとジュリは海羽に別れを告げると、それぞれウルトラアイとジャストランサーでセブンとジャスティスに変身・巨大化する。

 

 そしてそれぞれ片方ずつオニオンの腕を掴み、飛び立ち始めた。

 

 

 海羽「またね~!オニオン君!」

 

 オニオン「うん!また遊びに来るから!」

 

 

 やがて二人はオニオンを連れて、空の彼方へと飛び去って行った………。

 

 

 

 セブンとジャスティス、そしてオニオンを手を振って見送った海羽は、ルンルンと道を歩き始める。

 

 

 しかし、怪獣と言う異生物とも仲良くなれるとは………正に、商学部のアイドル的存在であり、誰とでも仲良くなれる人気者の海羽ならではである。

 

 

 海羽「ゼロにコスモスか………あの二人が勧めてくれたんだもん。きっとすっごい強いんだよな~ 」

 

 

 そう言いながら歩いていてその時、誰かからの着信が来る。

 

 海羽「ん?何かしら?」

 

 

 スマホを確認してみると、宏隆からの着信だった。

 

 

 『病院まで来てくれ。凄いモノを見せてやる。』

 

 

 海羽「凄いモノ?………何だろう?」

 

 

 とりあえず海羽は、ハートフルグラスを目に付けてのテレポートで自分の街に戻り、病院へ向かう。

 

 

 

 海羽が病院の入り口近くに着くとそこには何やら宏隆が胴着姿で仁王立ちをしていた。

 

 彼の傍には、何やら十枚に重ねてある瓦がある………。

 

 

 宏隆「おーう!よく来たな海羽。」

 

 海羽「な、何?凄いモノって………。」

 

 宏隆「まあ見てなって。」

 

 

 宏隆は得意げにそう言うと、十枚に重ねた瓦の後ろに立ち、目をつぶって拳を腰に当て、一回深呼吸をして精神統一をする………。

 

 

 そして!

 

 

 宏隆「せいやっ!」

 

 

 “ドバキャッ”

 

 

 気合の叫びを上げた後、右肘の一撃で瓦十枚を一気に叩き割った!

 

 

 宏隆「(手を数回払った後指を差して)どうよ?」

 

 海羽「おおぉ~!」(拍手をする)

 

 

 宏隆は、自分の腕が元に戻った事を見事にアピールしたのである!

 

 

 海羽「腕の力が戻ったんだ。良かったね!」

 

 宏隆「ああ。これで県大会に出れるぜ。」

 

 海羽「でも、何でいきなり治ったのかな?」

 

 

 宏隆「さあな………まあ多分、俺自身が強いからじゃねーか?

 

 なんせ俺は、鍛えてますから!シュッ(敬礼のようなポーズを取る)。」

 

 

 海羽「ふふふ、もう、宏隆君ったら、すぐに調子に乗るんだから…。」

 

 宏隆「ははは、………………

 

 海羽………ありがとな、色々と。」

 

 海羽「県大会頑張ってね!(サムズアップ)」

 

 宏隆「おうよ!」

 

 宏隆も海羽にサムズアップを返した。

 

 

 海羽との交流を経て、閉ざしていた心を開き、自身を取り戻した宏隆。

 

 海羽もそんな一人の男を救えた事に安心し、宏隆が心を開いた事への嬉しさで一杯であった。

 

 

 そしてこの一件でのセブンとジャスティスとの出会いがきっかけで、後にソル(海羽)はゼロやコスモスを呼ぶことになるのである………………。

 

 

 

 (BGM:High HOPE)

 

 

 あれから9日後、バレンタインデー前日の事である。

 

 

 海羽は大学の友達、竜野櫂と新田真美と帰り道を歩いていた。

 

 

 海羽に関してはバレンタイン前日という事もあって、いつも以上にハッピーな気分のようだ。

 

 

 海羽「はぁ~楽しみだな~!明日のバレンタイン 」

 

 歌を口ずさむような喋り方で、時折ステップを踏んだりくるくる回ったりと正に超ハッピーモードの海羽を、櫂と真美は後ろから苦笑しながら見つめていた。

 

 

 櫂「おいおいなんだよ、随分と楽しそうだな海羽。」

 

 すると、海羽は全速力で櫂に駆け寄る。

 

 櫂「うおあっ!?」

 

 海羽「だってだって!明日はバレンタインデーなんだよ~!

 

 はぁ~!バレンタインデーにホワイトデー、私はこの日を楽しみにしてたんだ~!

 

 男の子と女の子が、チョコを交換して愛を分かち合うんだもん!正に、一年で一番ハッピーな日だよ~!あはははは~ 」

 

 どうやら真美がクリスマスが一年で一番ハッピーだと思うのに対し、海羽にとってはバレンタインデーとホワイトデーが一年で一番ハッピーな日であるようだ。

 

 

 櫂「でもお前人気者だから、渡すチョコも結構あんじゃねーのか? (少しからかうような顔で)大丈夫なんか?そこは。」

 

 海羽「ああ、それならもう準備できてるよ?」

 

 櫂「って早っ!!?」

 

 

 海羽「もちろんチョコを溶かして型を取ったりした手作りだけどね。

 

 やっぱ愛情を届けたいなら手作りでないと!

 

 もちろん櫂君の分も準備してるからね(ウィンク)。」

 

 

 櫂「(苦笑しながら)…お、おう、サンキュー。」

 

 真美「うふ、気合が入ってるね海羽ちゃん。私もあと十人分ぐらい作らないとな~。

 

 もちろん櫂君の分も準備してるよ。」

 

 櫂「おお、そうか、サンキュー。(ひっそりと不敵な笑みを浮かべる)」

 

 

 最も、学園内で多くの学生から信頼を集めている櫂の事だから、真美と海羽の他にも彼に渡す女の子は結構いそうな気はするが………(笑)

 

 

 櫂「もちろん、お前らホワイトデーはちゃんと返すからな。」

 

 海羽「うわー本当!?ありがとう!」

 

 真美「ありがとね櫂君。私、チョコ好きだから楽しみだなー…。

 

 あ、出来たらとろけるやつでお願いね。」

 

 櫂「へぇ~、真美はトロトロ派か。

 

 俺はチョコはパリパリ派だな。」

 

 真美「ふふ、櫂君歯ごたえあるもの好きだもんね。」

 

 櫂「ははは、まあな。」

 

 

 いつの間にか二人きりで話が弾んでいるパリパリ派の櫂とトロトロ派の真美。

 

 そんな二人も他所に、海羽はなおも一人ハッピーな気分でいるが………。

 

 

 その時、海羽はふとある事を思い出す。

 

 海羽「あ、そう言えば今日、宏隆君の試合の日でもあるっけ………

 

 宏隆君、どうなったのかな~………。」

 

 

 海羽がそう思ったその時、海羽のスマホが振動する。

 

 

 確認してみると、それは宏隆からの着信だった。

 

 海羽「あ、宏隆君だ!」

 

 

 『県大会、優勝できましたー!』

 

 

 文の初めはこれだった!

 

 

 海羽「おおっ! いーよしっ!(小さくガッツポーズ)」

 

 

 更に下の文には、

 

 

 『あと、汐里も昨日無事、退院できましたー!』

 

 

 その文の下には、大会の優勝トロフィーを持つ宏隆と、無事に退院出来て笑顔でピースを決める汐里の写真が添付されていた。

 

 

 それを見た海羽は、様々な嬉しさが重なり遂に感極まったのか、その場で泣き崩れ始める。

 

 

 櫂「!?何だ何だ!?」

 

 真美「どうしたの海羽ちゃん?」

 

 それに気づいた櫂と海羽は少し慌てて歩み寄る。

 

 海羽「え、えへへ、ごめんごめん。嬉しすぎてつい………。」

 

 櫂「ったくしょーがねー奴だなー。ほんじゃあ早く帰ろうぜ。早く明日になるためにもな。」

 

 真美「じゃあ、行こっか。」

 

 海羽「…うん、そうだね。」

 

 

 海羽は、櫂と真美と一緒に他愛もない話をしながら帰りながら、心で呟いた。

 

 

 

 海羽(良かったね、宏隆君。)

 

 

 

 そして翌日、バレンタインデー当日。

 

 

 霞ヶ崎の遊園地の観覧車の一つの部屋の中で一組の男女が少し照れくさそうにも互いを見つめて話をしていた。

 

 

 そう、この二人こそ、バレンタインデーの日の今日この遊園地で待ち合わせをする約束をしていた佐藤宏隆と長田汐里の二人であった。

 

 汐里が昨日無事に退院できたことで、約束通り遊園地で待ち合わせをすることが出来たのである。

 

 

 長田汐里。体つきはスマートで髪形はポニーテール、丸っこい小顔にぱっちりとした目、あどけない表情が可愛らしい女の子である。

 

 

 宏隆「とにかく、無事、汐里が退院出来て良かった。」

 

 汐里「宏隆君こそ、優勝おめでとう。」

 

 宏隆「はは…サンキュー。」

 

 宏隆と汐里は、ややぎこちないものの会話を楽しみ、笑顔で見つめ合う。

 

 会話がぎこちないのは恐らく、久しぶりに会ったからというのと、初めての二人きりで遊びに来たから気持ちが上がっているからという事が考えられる。

 

 

 汐里「あ、そうだ。」

 

 そう言うと汐里は鞄からあるものを取り出す。

 

 

 汐里「今日バレンタインだよね。はい、これ。」

 

 

 汐里が鞄から取り出して宏隆に差し出したのは、四角い透明ケースに入った星型に象られていて、カラフルなスプレーなどでデコレーションされているチョコだった。

 

 宏隆の思っていた通り、汐里は例年通り宏隆のためにバレンタインのチョコを作って用意していたのだ。

 

 

 宏隆「あっ………あ、、ありがとう。」

 

 宏隆は少し頬が赤くなりつつも、それを受け取る。

 

 

 汐里「良かった。」

 

 バレンタインのチョコを受け取ってもらえた汐里は嬉しさから笑顔になる。

 

 

 宏隆「じ、実は俺からも、渡すものがあるんだ………。」

 

 汐里「ん?」

 

 

 そう言うと宏隆は、鞄からオシャレな紙で包装されたリボン付きの箱を取り出し、照れくさそうに差し出す。

 

 

 汐里「………え?」

 

 

 宏隆「…ほ、ほら、汐里、今日誕生日だろ? だから………。」

 

 

 そう、それは宏隆から汐里への誕生日プレゼントであった。

 

 

 汐里はそれを受け取ると、包装している髪をはがして箱を開ける。

 

 

 その中には緑色のマフラーが入っていた。

 

 

 宏隆「汐里、確か新しいマフラーが欲しいとか言ってたよな?………

 

 それに、今寒い季節だし、どうかなと思って………。」

 

 

 汐里は数秒プレゼントのマフラーを見つめた後、顔を上げて宏隆の顔を見つめる。

 

 その顔は嬉しさで一杯の満面な笑みを浮かべていた。

 

 

 汐里「ありがとう。」

 

 

 汐里にプレゼントを喜んでもらえた宏隆も笑顔を返した。

 

 

 こうして、宏隆と汐里のサプライズプレゼント交換は見事に成功したのである。

 

 きっと彼らは今後このまま彼氏・彼女の関係へと発展していくのであろう………………多分。

 

 

 

 だが、そんな一方で彼らの一つ後の観覧車の部屋では、一人の青年が宏隆たちの様子をじっと見つめていた。

 

 

 桜井敏樹である。

 

 

 桜井「けっ………いいよな………空手ができるあいつはチョコを一杯もらえて………

 

 俺なんて海羽と真美にしかチョコを貰ってないのに………!」

 

 やや憎しみのこもった声色でそう呟く桜井。

 

 

 このように彼のマイナスエネルギーはどんどん集まって行き、やがて闇堕ちに繋がってしまうという事は、まだ誰も知るはずもなかった………………。

 

 

 

 (ED:ULTRA SEVEN)




 読んでいただきありがとうございます!いかがでしたか?


 私的には色々詰め込んでしまった感じはありますが、楽しんでいただけたでしょうか?

 とりあえず、ラストに長ったらしい恋愛ドラマみたいなシーンを入れてしまってすいません(笑)


 それはさておき、今回のゲストウルトラ戦士は、恐らく一番ゼロとコスモスと縁のあるセブンとジャスティスでした!

 彼らとの出会いがきっかけで、ソル(海羽)は後にゼロやコスモスを呼ぶことになるのです。

 セブンは昭和の中ではタロウと同率で一番好きなので今回登場させることが出来て嬉しいです。

 ジャスティスも個人的に大好きなウルトラマンです。

 最近コスモスの映画を見返して惚れ直してしまいました(笑)


 因みに今回登場したウルトラ戦士の中で、純粋な男なのはセブンだけだったりします(笑)


 そして今回の登場怪獣たちは、節分メインという事で鬼怪獣たちでした。

 余談ですが、思えば私、オニバンバの「豆は人の肉の味がする」という発言に思わずツボってしまった事があります(笑)(オニバンバのエピソード自体面白かったですけど)


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