ウルトラマンゼロ物語(ストーリー) in RED ZONE STAGE   作:剣音レツ

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 今回は、ちょっとした箸休めとして製作してみました。

 今回はみんなのアイドル・眞鍋海羽ちゃんが主役です。

 また、去年初登場した“ある戦士”が登場し、海羽ちゃんと共演します!(因みにウルトラシリーズの戦士ではありません)

 とりあえず楽しんでもらえたら幸いです。

 では、どうぞ!


番外編「ベストマッチな出会い」

 霞ヶ崎とは全くかけ離れたとある街にて、2匹の巨大生物が破壊の限りを尽くしていた。

 

 一体は兎のような外見が特徴の超獣『満月超獣ルナチクス』、もう一体は文字通り戦車の上に恐竜が乗っかったような姿が特徴の怪獣『戦車怪獣 恐竜戦車』である。

 

 

 ルナチクスは兎のように飛び跳ねながら口からの火炎やミサイルのように発射する目玉で、恐竜戦車はキャタピラで豪快に駆け回りながら目からのレーザーや戦車部の三連戦車砲、強力な尻尾で次々とビルなどを破壊していく…!

 

 もはや二体によって全滅するのかと思われた…!

 

 

 だが、そんな傍若無人に暴れ回る怪獣、超獣の前に、2人の戦士が立ちはだかる!

 

 ジャック「ここでも怪獣達が暴れていたか。」

 

 カイ「早い所止めた方が良さそうだな。」

 

 現れたのは、しばらくゼロ達と別れ、2人でこの世界の捜索に出ていた『ウルトラマンパワード』と『ウルトラマングレート』、もとい『ケンイチ・カイ』と『ジャック・シンドー』である!

 

 

 カイ「行くぞ!」

 

 カイの掛け声と共に2人はそれぞれ変身アイテム『フラッシュプリズム』と『デルタ・プラズマー』を手に取る。

 

 カイはフラッシュプリズムを高く揚げてスイッチを入れ、ジャックはデルタ・プラズマーを左掌に乗せて精神統一を始める。

 

 2人は眩い光に包まれ、やがてその中でそれぞれパワード、グレートへと変身完了した2人は飛び出す!

 

 

 あわやルナチクスによって破壊されそうになるオフィスビル。中にはまだ逃げ遅れたサラリーマンやOL等が取り残されている!

 

 だが間一髪、現れたパワードがルナチクスに飛び蹴りを打ち込んで転倒させた事により事なきを得た。

 

 ルナチクスに飛び蹴りを決めたと同時に着地したパワードは、右脚を一払いした後立ち上がり構えを取る。

 

 

 こちらも、あわや進撃する恐竜戦車のキャタピラで潰されそうになる民家。そこに現れたグレートが正面から恐竜戦車を受け止めて押さえ込む。

 

 そして押し合いの末、グレートはそのまま恐竜戦車を力一杯持ち上げて放り投げた!

 

 恐竜戦車を投げ飛ばしたグレートは両手を2回払った後構えを取る。

 

 

 今ここに、パワードVSルナチクス、グレートVS恐竜戦車の戦いが始まった!

 

 パワードはルナチクスの放った右フックを左腕で受け止め、右掌で腹部を押し飛ばし、次にルナチクスの放った左フックをかわすと同時に右脚蹴りを胸部に叩き込んで後退させる。

 

 その後ルナチクスはパワード目掛けて突進攻撃を繰り出すが、パワードはそれをすれ違いざまにかわすと同時に首筋にチョップを叩き込んで転倒させる。

 

 パワードは仰向けに倒れるルナチクスに馬乗りになって連続でチョップを浴びせるが、そこにルナチクスが至近距離で放った火球攻撃を受けてしまい吹っ飛ぶ。

 

 

 グレートは恐竜戦車の背中に跨って頭部にチョップを連打するが、背後からの尻尾攻撃で叩き落とされる。

 

 その後体勢を立て直したグレートは恐竜戦車に駆け寄り、背中を土台に横向きに一回転する形で後ろに回り込み、尻尾を両手で掴んで引っ張り始め、恐竜戦車も負けじとキャタピラのエンジンを吹かして振りほどこうとする。

 

 力比べの末、恐竜戦車は大きく尻尾を振るってグレートを振り飛ばす。

 

 

 恐竜戦車は目からレーザーを放って攻撃を仕掛け、グレートはすぐさま『トライアングルシールド』を張ってそれを防ぐが、その隙に恐竜戦車の三連戦車砲の砲撃を腹部に受けてしまい、爆発と共に吹っ飛ぶ。

 

 グレートのピンチを見たパワードは、組み合っていたルナチクスを押して引き離し、跳び蹴りを胸部に叩き込んで転倒させた後、グレートを跳び越えながら掌から『エナジーナックル』を恐竜戦車の頭部に打って牽制する。

 

 ジャック「助かった、パワード。」

 

 カイ「いいって事よ。」

 

 パワードのアシストを受けたグレートは体勢を立て直して立ち上がる。

 

 

 恐竜戦車は再び三連戦車砲から砲撃を放つが、グレートはそれを両手で吸収し、凝縮して撃ち返す『マグナムシュート』を発動!

 

 撃ち返した砲撃は恐竜戦車の戦車砲を破壊した!

 

 怯んだ恐竜戦車に、グレートは跳躍して飛び蹴りを叩き込んで吹っ飛ばす。

 

 

 ルナチクスはパワード目掛けて火炎を噴きつけるが、パワードはそれを両腕を突き出して『ハンドシャットアウト』で防ぐ。

 

 続けてパワードは、ルナチクスがマシンガンのように連射する目玉を受け身を取ってかわしつつ『パワードスラッシュ』で相殺していき、やがてパワードスラッシュの一つがルナチクスの片耳を切り落とす!

 

 パワードは怯んだルナチクスを両腕で頭上に揚げ、『パワードリフター』で投げ飛ばして地面に叩き付けた!

 

 ふらつきながらも立ち上がるグロッキー状態のルナチクス。パワードは腕を十字に組んでトドメの『メガスペシウム光線』を放ち、それを胸部に受けたルナチクスは大爆発して消し飛んだ。

 

 

 グレートは恐竜戦車の尻尾を両腕で掴み、ジャイアントスイングで振り回した後放り投げて地面に叩き付けた。

 

 立ち上がった後、最後の力を振り絞って突進を繰り出す恐竜戦車。グレートは刃状のエネルギー『グレートスライサー』を両腕に発生させ(所謂『ダブルグレートスライサー』)、構えて精神を統一させた後駆け出し、すれ違い様に恐竜戦車を十字に斬りつけた!

 

 スライサーを消して立ち尽くすグレートの背後で、恐竜戦車は大爆発して砕け散った。

 

 

 ルナチクスと恐竜戦車を撃破したパワードとグレートは合流し、戦いを見守っていた人々のお礼の歓声を受けながら互いの腕をクロスさせた。

 

 

 変身を解除した二人(グレートに関しては“人間体になった”と言った所か)。

 

 カイ「とりあえずこの街は大丈夫そうだな。」

 

 ジャック「あぁ。次を回るとしよう。 しかし、ここの所世界各地での異変が急増している。これは新たに何かが起こりそうな予感だ。」

 

 カイ「あぁ。我々も気を引き締めて行かないとな。」

 

 

 新たな決意を固めた二人は、守り抜いたその街を後にする事にした。

 

 カイ「しかし、何故“兎と戦車”の怪物だったのだろう…?」

 

 ジャック「…さぁな。」

 

 

 場所を霞ヶ崎に変えよう。

 

 

 ハロー! みんな元気かな? 『眞鍋海羽』でーす!

 

 今日はいい天気だから、私は朝から散歩に出かけてまーす!

 

 それにしても日差しと言い風当たりと言い、気持ちいいわ! だから思わず鼻歌まで歌っちゃってる。

 

 

 あ、因みに私、最近好きになった子がいるの。

 

 

 …あ、“男”じゃないよ!“男”じゃ! “怪獣”でね!

 

 

 海羽「いや~んグビちゃん可愛い~!」

 

 そう、好きになった怪獣は『深海怪獣グビラ』!

 

 『春野ムサシ』さんの話でこの子が出て来たのがきっかけなんだけど、それが凄く可愛いの! はんぺんみたいな体つきで模様も綺麗だし~、両手のヒレもキュートだし~♪

 

 だから私、散歩しながら時折スマホの画像アプリでグビちゃんの写真を眺めたりしているの。

 

 

 海羽「もしいつかグビちゃんに会えたら、背中に乗らしてもらって一緒に海を渡りたいな~。」

 

 そう言いながら海羽が頭でイメージしているのは、『ウルトラウーマンSOL(ソル)』の姿でグビラの背中に乗って、楽しそうに海を渡っている自身の映像であった。

 

 

 海羽「グビちゃん、いつか櫂君や真美ちゃんにも紹介しよーっと。」

 

 …海羽…真美はともかく、櫂に紹介するのだけは止めておいた方がいいぞ?

 

 もはや“怪獣絶対殺すマン”である彼に紹介したら、密かにゼロに変身して海まで捜索に行って、爆殺する可能性だってあり得るのだから…(汗)。

 

 

 それに、陽気な海羽はあるモノに気づいていなかった…。

 

 それは、遠くをよく見渡してみると、何やら街の向こうに巨大な壁が立っており、更にその上空は相当の高さまで赤い光が伸びているという事を…。

 

 

 この巨大な壁を、なんでも人々はこう呼んでいるという…。

 

 

 “スカイウォール”と。

 

 

 尚も散歩を楽しんでいる私・眞鍋海羽。その時、目の前にあるモノが現れて一旦立ち止まる。

 

 海羽「…ほえ?」

 

 目を凝らして見てみると、それは人間じゃなくて…白と黒の色合いで…モコモコしていて…熊さんみたいな…。

 

 

 …嘘? え、夢じゃないよね?

 

 

 目の前にパンダが現れるなんて…!

 

 

 目を疑いながらも恐る恐る近づいて見つめてみたけど、間違いないわ。この毛並み、のそのそした動き…本物のパンダだわ!

 

しかも小柄だから多分子供ね!

 

 

 海羽「わぁ!本物だ!本物のパンちゃんだ!可愛い~!」

 

 私は突然の事に驚きながらも、本物のパンちゃんに会えた事への嬉しさの方が勝っていた。

 

 今まで本物のパンちゃんは動物園で見た事はあるけれど、こうやって間近で会えたのは当然ながら初めてだからね。

 

 

パンちゃんって可愛いよね! モコモコしてるし〜、白と黒の模様がとってもキュートだし〜♪

 

…でも、どうしてこんな所にいるんだろう?…野生だなんて考え難いし、近くに動物園は無いから逃げて来たワケでも無さそうだし…。

 

 

海羽「ねぇ、パンちゃんは何処から来たの?」

 

私は膝に手を当てて屈んだ姿勢でパンちゃんにそう聞いてみたけど…無反応だわ…。

 

やっぱり人間の言葉は分からないのかな…?

 

 

とりあえず私は、パンちゃんが可愛いあまり撫で撫でをしようとした…その時、パンちゃんは何やら反射的に避けるような動きを見せる。

 

海羽「ひゃっ…パンちゃん…?」

 

驚いた私は戸惑いつつもパンちゃんを見つめてみると、なにやら私を見つめながら警戒するように身構えている…まるで何かに怯えているみたいだわ…。

 

 

そして目元をよく見てみると…この子、泣いてる…?

 

 

子パンダの怯えるような様子、そして目元が濡れている事から泣いている事に気付いた海羽は、言葉が通じないと分かりながらも問いかけてみる。

 

海羽「…どうしたの? 何を泣いてるの?」

 

優しくそう語りかける海羽だが、子パンダは尚も警戒している。

 

海羽「(両手をゆっくり前に突き出して)大丈夫。大丈夫だよ。 私、何も悪い事しないから…。」

 

海羽の懸命な呼びかけに、子パンダは徐々に警戒態勢を解いていく。

 

海羽「だから安心して。」

 

満面の笑みで優しく語りかける海羽を見て、彼女の優しさと、その笑顔から溢れる純真な心に気づいたのか、子パンダは完全に警戒心を無くした。

 

そして、必死に鳴き声を発しながら海羽に語り掛け始める。

 

 

海羽「…僕はもう…ママに会えない…寂しい…寂しいよー…。 どういう事なの?それ…。」

 

子パンダの語り掛けが何故か翻訳出来た海羽。

 

 

海羽「…え?嘘? 私、パンちゃんが何言ってるか分かってる!?」

 

突然の自身の予想外の能力に驚きながらも、海羽は子パンダの話を聞いた。

 

 

なんでも、元は中国の竹林で親と一緒に過ごしていたのだが、突然怪しい人に攫わらてしまったのだと言う。

 

だが、日本に着いた所でなんとか隙をついてその人の元から逃げ出す事が出来たのだが、その後当てもなく彷徨っていた所、海羽に出会ったのだと言う。

 

 

海羽「そっかー…攫われて、お母さんと離れ離れになっていたなんて…。」

 

子パンダから事情を聞いた海羽は、可哀想だという思いから目が潤んでおり、その状態で子パンダを抱き寄せた。

 

海羽「それは辛いよね…ごめんね、すぐに気づいてあげられなくて…。」

 

そう語り掛けながら、潤んだ目から一筋の涙を流す海羽。子パンダは彼女の優しさを、優しい声と抱き寄せられる暖かさで感じたのか、嬉し涙を流しいるようであった。

 

 

海羽「でも、もう大丈夫。私が、お母さんの元に帰してあげるわ。」

 

その言葉に子パンダは「そんな事が出来るの?」みたいな反応を示す。

 

海羽「うん! 実は私、あっと言う間に遠くまで行ける力を持ってるんだよ〜。」

 

そう言いながら海羽は、変身アイテム『ハートフルグラス』を子パンダに見せる。

 

海羽「だからもう大丈夫。すぐにお母さんに会えるわ。 ほ〜ら、悲しくないよ〜♪」

 

そう言いながら子パンダになでなでをしながら満面の笑みを見せる海羽。子パンダも海羽の笑顔を見てもう大丈夫だと確信したのか、海羽にじゃれ付いている様子から、僅かながら元気を取り戻しているようであった。

 

海羽「あはは、くすぐったいよ〜。」

 

 

出会ってわずか数分で、子パンダと心を通じ合わせた海羽。そもそも明るくて人がいい彼女は人間だけでなく、善良な怪獣とも仲良くなれるのだから、尚更動物とも簡単に仲良くなれるのであろう…。

 

それに麟慶大学内での『友達になりたい人ランキング』でも、櫂や真美を差し置いて1位になったりする程なのだから…。

 

 

海羽「それじゃ、行きましょ。」

 

そう言いながらハートフルグラスを取り出し、変身しようとしたその時。

 

 

スチール星人「そうはさせねーよ!」

 

海羽「!…誰?」

 

 “ズガガーン”

 

 海羽「きゃあっ!!」

 

 突然、謎の声と共に黄色い光線が飛んで来て、海羽達の周囲で爆発する!

 

 

 海羽「…誰!?」

 

 子パンダを庇うように身体を伏せた後、海羽は光線の飛んで来た方を振り向き問いかける。

 

 

 その視線の先には、何やら黒と黄色を基調としたボディに、長く伸びた人差し指、頭部に丸のこぎりのような三つの突起物が付いているのが特徴の怪人が立っていた。

 

 その怪人は『宇宙超人スチール星人』である!

 

 先ほど海羽達を襲った光線は、スチール星人が頭部の突起物から放った破壊光線である!

 

 

 海羽「まさか…宇宙人?」

 

 スチール星人「探したぜ…そいつを返してもらうぞ!」

 

 海羽「そいつって…パンちゃんの事?」

 

 案の定、子パンダはスチール星人を見て怯えるように海羽に縋り付いている。間違いない。こぱ子パンダはスチール星人に攫われて日本に来たのであろう。

 

 スチール星人「そうだ。さぁ、良い子だから、こっちにおいで。」

 

 海羽「ふざけないで! どうしてパンちゃんを攫ったの?」

 

 

 スチール星人「貴様に話すまでもないが…俺はヤプール様の命を受けてそいつを攫ったのだ。なんでもヤプール様はパンダで超獣を作りたいみたいだしなぁ!」

 

 海羽「この子を怪物にするなんて…そんな事しようとする奴なんて、くしゃくしゃのポイだよ!」

 

 

 海羽はハートフルグラスを目に当てて赤とピンクの光に包まれ、やがてウルトラウーマンSOL(ソル)へと変身が完了する。

 

 今回は相手に合わせ、等身大である。

 

 

 海羽の変身に驚く仕草を見せる子パンダ。ソルは子パンダの頭を優しく撫でながら語り掛ける。

 

 海羽「大丈夫だよ…あなたは私が守る。そして、お母さんに会わせてあげるからね。」

 

 

 スチール星人「小娘め…捻り潰してくれる!」

 

 ソル目掛けてスチール星人は破壊光線を放つが、ソルは即座に両手を突き出して銀の光のバリア『リフレクションダイヤー』を張ってそれを防ぐ。

 

 そしてバリアを残したままソルは高く跳び上がり、スチール星人に肩車をしてもらうように跳び付き、そのまま「エイ、エイ、エイ…」という掛け声と共に頭部に小刻みの連続パンチを打ち込む。

 

 スチール星人は自身の上に乗っているソルにパンチを放つが、ソルは即座に飛び上がって避けた事で逆に自身の頭を殴ってしまう。

 

 そしてスチール星人が怯んだ隙に、ソルは落下のスピードも加えたヒップアタックをスチール星人の顔面に叩き込む!

 

 海羽「それーっ!」

 

 “ボーン”

 

 スチール星人「うぉわっ!」

 

 スチール星人はたまらず吹っ飛び地面を転がるが、受け身を取って即座に立ち上がる。

 

 

 スチール星人「くっ…小娘め、意外にやるな。」

 

 海羽「あんたみたいな誘拐犯は、(手でピストルを作ってポーズを決めて)逮捕しちゃうぞ! なーんてね。」

 

 

 ソルが再びスチール星人に向かおうとしたその時!

 

 海羽「うっ!?」

 

 突如、誰も触れていないというのにその場で身体が固まって動けなくなってしまった。それは子パンダも同じである。

 

 海羽「な…何これ?…動けない…。」

 

 どんなに体を動かそうともがいても、腕一本ですら一センチも動かす事が出来ない。

 

 

 その時、突如ソルの目の前に開いた異次元空間から一人の人影が歩いて現れる。

 

 その姿は白衣を身に纏った女医のような姿に、顔には何やら白い能面を付けている。

 

 

 海羽「ぁ…あなたは…一体…?」

 

 ???「だらしが無いぞ、スチール星人。」

 

 海羽の問いかけを他所に、女はスチール星人に冷たく言い放つ。

 

 スチール星人「も、申し訳ない女ヤプール様。この小娘が邪魔しに入ったもので。」

 

 

 ???「…フッ、こんな私の念動力で動きが止まっちゃう程度の奴に手こずるとはな。」

 

 海羽「何ですって!」

 

 

 能面の女の正体は、ヤプールの生き残り『異次元人 女ヤプール』であった!

 

 ウルトラ戦士への報復を狙う彼女は、手始めにパンダで新たな超獣を作り出そうと、配下のスチール星人にパンダを連れて来るように命じていたのである。

 

 

 彼女の台詞でも分かるように、今ソルが身動きが取れないのは、女ヤプールが彼女にかけている念動力の影響である。

 

 

 女ヤプール「一刻も早く、報復への準備を進めなければならないのだ。スチール星人、早くパンダを連れてって行きなさい。」

 

 スチール星人「了解しましt…」

 

 女ヤプール「…ん…待てよ。」

 

 ふとソルを見た女ヤプールは何かを思い付き、スチール星人も思わず動きが止まる。

 

 

 女ヤプール「あの小娘も捕えるのだ。人間も素材にして、二体の超獣を作ってやろう。」

 

 スチール星人「お!それいい考えっスね!」

 

 海羽「そんな…!」

 

 

 その時、女ヤプールの念動力により動けずにいたソルは突然自由の身になる。

 

 海羽「はっ…念動力を…解いた?」

 

 女ヤプール「動けないままの貴様を痛ぶっても面白くない。だから敢えて自由の身にしてやった。 その代わり、我が連合軍に勝てるかな?」

 

 

 女ヤプールがそう言い放った時、ソルを取り囲むように瞬く間に無数の怪人が現れる!

 

 海羽「何ですって…!」

 

 

 現れたのは『地底エージェントギロン人』、『宇宙怪人レボール星人』(赤・青・黄の三体)、『凶悪宇宙人ドルズ星人』、『侵略宇宙人ナターン星人』の計6人である!

 

 いずれも女ヤプールの配下の怪人である。

 

 

 海羽「…絶対に負けない…パンちゃんを守る為にも!」

 

 自身を囲む怪人軍団にも怯まず、ソルは果敢に戦いを挑む!

 

 

 ソルはまずは先陣切ったドルズ星人の左フックをしゃがんでかわし、「えいっ!」という掛け声と共に両手で突き飛ばし、続けてギロン人とナターン星人のそれぞれ左右からの殴り込みをそれぞれ左右の腕で防ぎ、そのまま「やーっ!」という掛け声と共に跳躍して大きく開脚して二人同時に蹴りで吹っ飛ばす。

 

 ソルは着地した後、後ろから殴り掛かるドルズ星人の腕を振り向き様に素早く受け止め、そのまま「エイ、エイ、エイ…」という掛け声と共に胸部に連続蹴りを打ち込み、その後ドルズ星人の頭突きとして振り下ろして来た頭部を素早く避け、「それーっ!」という掛け声で顔面にヒップアタックを打ち込んで吹っ飛ばす。

 

 

 一人一人がそれ程戦闘力が高くない為に戦いを優位に進めていたソルだが、やがて数の暴力に押され始める。

 

 三人のレボール星人は「レボール…レボール…」と不気味に発しながらソルの周囲を身軽に跳び回り始める。

 

 海羽「うぅ…目が回る…。」

 

 

 そしてソルが攪乱された隙に、ギロン人は両手からの散弾状の光線、レボール星人はレーザーガンからの光線、ドルズ星人とナターン星人は両手からの光線を、それぞれ一斉に放つ!

 

 怪人軍団の一斉攻撃を成す術もなく浴びてしまったソルは大ダメージを受けて倒れ伏してしまう。

 

 

 海羽「ぐっ…やっぱりこの人数…一人じゃキツイよ…。」

 

 女ヤプール「フッ…やはりその程度だったか。」

 

 倒れたソルに嘲笑うかのように言い放つ女ヤプール。

 

 

 女ヤプール「スチール星人!今の内にパンダを連れて来い。 この場で超獣に改造してやる。」

 

 スチール星人「イエッサー!ヤプール様!」

 

 海羽「はっ、ダメー!」

 

 急いでソルは止めに向かおうとするが、それぞれギロン人とナターン星人に左右から捕まれて動きを止められる。

 

 

 スチール星人「ホラ大人しくしやがれ!」

 

 嫌がる子パンダを、女ヤプールの元に連れて行こうと無理矢理掴み上げるスチール星人。

 

 

 海羽「お願いやめて! ヤプール、あんた、昔からもこうやって罪の無い動物を超獣にして来たの!? こんな酷い事はもうやめて!」

 

 

 女ヤプール「昔話に興味は無いし、モルモットの顔などいちいち覚えてない。」

 

 海羽の必死の懇望も冷たく一蹴する女ヤプール。

 

 

 スチール星人に連れられ、今にも女ヤプールの手に渡りそうになっている子パンダ!

 

 

 海羽「パンちゃん!!」

 

 

 その時!

 

 

 “ズキュキューン” “ズガガッ”

 

 

 スチール星人「ぐおわっ!?」

 

 海羽「!?」

 

 

 突如、何処からか弾丸が飛んで来てスチール星人、そしてソルを取り押さえていたギロン人とナターン星人に命中し、そのショックでそれぞれ二人はソルを解放してしまい、スチール星人は子パンダを放り投げる形で手放してしまう。

 

 スチール星人が手放した子パンダはソルが両腕でキャッチする。

 

 

 女ヤプール「何だと?」

 

 スチール星人「誰だっ!」

 

 海羽「はっ!」

 

 

 ふと振り向くと、ある一人の青年が謎の銃を片手に、不思議な外見のバイクを駆りながらこちらに向かって来ていた。

 

 そして間近まで来ると、大きく車体を旋回させながらレボール星人三人とドルズ星人に体当たりを決めて吹っ飛ばした。

 

 ???「よっと!」

 

 

 青年は怪人たちを吹っ飛ばした後バイクを止め、ソルに歩み寄る。

 

 ???「大丈夫か?君。」

 

 海羽「あ…はい…ありがとうございます、おじさん…。」

 

 ???「…いいかよく聞け。“おじさん”じゃない。“お兄さん”だ。」

 

 そう言いながら青年はヘルメットを取り、端正な顔立ちのイケメン顔を露わにする。

 

 海羽「はっ…(全力で頭を下げながら)ごめんなさい!お兄さん!」

 

 海羽(ヤバい!…超イケメンかも!?)

 

 青年のイケメン顔を目の当たりにしたソル(海羽)は、慌てて謝り、訂正する。

 

 

 ???「分かればよし。」

 

 青年は女ヤプール率いる怪人軍団の方を振り向く。

 

 ???「しかしコイツらは何なんだ?…“スマッシュ”とは違うっぽいし、“ファウスト”とも関係無さそうだな…。」

 

 海羽「すまっしゅ?…ふぁうすと?…よく分からないけどお兄さん気を付けて! パンちゃんを怪物に改造しようとした悪い奴らなの。」

 

 ???「何だって?」

 

 

 女ヤプール「邪魔をするな! 私は復讐のために、そいつを生物兵器・超獣に改造するのだ!」

 

 ???「超獣? 何の事だかさっぱりだが、生物を怪物に改造する辺り、どうやらやってる事はファウストと変わり無いようだな。」

 

 

 ソルに抱かれている子パンダは、不安を吐露するように鳴き声を上げる。

 

 海羽「パンちゃん…ごめんね…。」

 

 ソル(海羽)は、抱いている子パンダにそう優しく語り掛けながらそっと抱き寄せる。

 

 海羽「怖いよね…泣きたいよね…こんな思いをさせて、本当にごめん…。」

 

 ソルは子パンダに語り掛けていく内に、目から緑の光の粒子状の涙を流し始めており、それを少し浴びた子パンダは僅かながら落ち着きを取り戻しているようであった。

 

 海羽「でも、信じて欲しい。私がついてるよ。何が襲って来ても、必ずパンちゃんを守り抜いてみせる。 だから安心して。ねっ?」

 

 ソルの優しい語り掛けを聞いた子パンダは、涙目から嬉しそうな顔に変わる。

 

 

 ???「…アンタ、とても良い奴だな。」

 

 青年は子パンダに優しくするソルを見てそう言いながら微笑んだ。

 

 

 海羽「(子パンダの頭を撫でながら)ここで待っててね。私が、あんな奴らちゃっちゃとやっつけて来るから。」

 

 ソルは子パンダを安全な場所まで連れて行って置いた後、青年と合流する。

 

 

 女ヤプール「邪魔をするなら、例え力の無い人間でも容赦はせんぞ。」

 

 女ヤプールの言葉と共に、怪人軍団も一斉に威嚇するように構える。

 

 海羽「お兄さん、早く逃げて。あんな奴ら、私がちゃっちゃt…」

 

 

 ???「いや。逃げないね。」

 

 

 女ヤプール「…何だと?」

 

 海羽「どう…して?」

 

 

 ソル達が困惑する中、青年は不敵な笑みで懐からとあるアイテムを取り出す。

 

 

 そのアイテムは、何かを入れ込むようなスロットが二つ、そして右側に手動回転式のレバーが付いている。

 

 

 海羽「それは…何ですか?」

 

 女ヤプール「貴様…一体何者だ?」

 

 

 ???「やれやれ…まだ知らない人がいたとはな…。 正義のヒーロー・“仮面ライダー”であり、“天才物理学者”であるこの俺・桐生戦兎を!」

 

 

 そう、海羽たちの前に現れたこの青年こそ、『仮面ライダービルド』に変身する青年『桐生戦兎』であるのだ!

 

 

 そして彼が持っているアイテムこそ、ビルドに変身するベルト『ビルドドライバー』である!

 

 (因みに戦兎が駆って来たバイクはビルドの専用バイク『マシンビルダー』、戦兎が持っていた銃はビルドの専用武器『ドリルクラッシャー』である。)

 

 

 女ヤプール「仮面ライダーだと?」

 

 

 海羽「仮面ライダー? …何ですかそれ?」

 

 戦兎「え?君仮面ライダーも知らないの? この世界の正義、そして、ラブ&ピースのために戦うヒーローの事さ。」

 

 海羽「へぇ~、正義のヒーローか…じゃあウルトラマンと同じね!」

 

 戦兎「ウルトラ…マン? 何だそれ?」

 

 海羽「あなたの言う仮面ライダーと同じ、(手をハート形にしたりダブルピースをしながら)ラブ&ピースのために戦う正義の戦士だよ。」

 

 戦兎「へぇ~…ん?じゃあもしかして君は、仮面ライダーではない?」

 

 海羽「うん!私はウルトラマン! …あー、私の場合は女子だから“ウルトラウーマン”だけどね。 名前は“キュートでパワフルなタフガール・ウルトラウーマンSOL(ソル)”!」

 

 戦兎「天才の俺ですら知らない正義のヒーローがいたとはな…だが、そういうのと共闘するのも悪くない。最高だ!」

 

 海羽「イエーイ! じゃ、一緒にやっちゃいましょ!」

 

 初対面ながらも同じ正義のヒーローである事から意気投合した戦兎とソルは互いに腕を合わせる。

 

 

 女ヤプール「何二人でコソコソやっている…お前達、やってしまえ!」

 

 苛立って来た女ヤプールは怪人たちに指示を出し、怪人たちは威嚇するように構える。

 

 戦兎「じゃ、コイツらは俺に任せろ。君はあの能面野郎を。」

 

 海羽「オッケー!」

 

 

 ソルは跳躍して一回転をした後、女ヤプールの前で着地する。

 

 海羽「よくもパンちゃんを泣かしてくれたわね! 許さないんだから!」

 

 女ヤプール「フッ、ほざけ。返り討ちにしてくれる。」

 

 女ヤプールはソル目掛けて両手から光弾を連射し始め、ソルはそれらを赤とピンクの稲妻エネルギーを纏った両手『ライトニングハンド』で斬り飛ばしつつダッシュで女ヤプールに接近する!

 

 海羽「それーっ!」

 

 そして目前まで近づくと、女ヤプールの放った殴り込みをしゃがんでかわすと同時に腹部に右足蹴りを叩き込む!

 

 女ヤプール「ぐっ…なんだと?」

 

 海羽「私が、その程度の奴じゃないって所、見せてあげるわ!」

 

 

 

 ソルが女ヤプールと交戦する中、戦兎は怪人軍団を前にビルドドライバーを装着し、二つのボトル型アイテム『フルボトル』を取り出して構える。

 

 

 戦兎「さぁ、実験を始めようか。」

 

 

 そう言うと戦兎は、自身の周囲にあらゆる数式を発生させながらフルボトルを上下に振った後、上部のキャップを回し、スロットに装填する。

 

 

 《ラビット! タンク! ベストマッチ!》

 

 

 相性の良いラビットとタンクのフルボトルを装填した事により、ドライバーのベストマッチ判別の音声が鳴る。

 

 

 次に戦兎はドライバー右側のレバーを回す。

 

 《Are you ready?》

 

 コールと共に戦兎の周囲に小型ファクトリー・スナップライドビルダーが展開し、それぞれ前後にラビットとタンクのハーフボディが生成される。

 

 

 戦兎「変身!」

 

 

 戦兎の変身ポーズでの掛け声の後、前後のハーフボディが戦兎の身体と結合し、変身が完了する!

 

 

 《鋼のムーンサルト! ラビットタンク! イエーイ!》

 

 

 変身が完了した後、フレミングの右手の法則にも似たポーズを決める。

 

 

 戦兎が変身したのは、ラビット(兎)とタンク(戦車)の力を宿したビルドの基本形態『仮面ライダービルド・ラビットタンクフォーム』である!

 

 

 海羽「わぁ…! ヤベーィ! スゲーィ! カッコいいかも!」

 

 女ヤプール「あれは…!」

 

 ビルドを始めてみたソル(海羽)はテンションが上がってはしゃぎ、女ヤプールは驚愕する。

 

 

 (BGM:Be The One(full))

 

 

 スチール星人「何だあれは? おめーら!行くぞー!!」

 

 スチール星人は怪人軍団に指示を出し、一斉にビルドに襲い掛かる!

 

 

 戦兎「勝利の法則は決まった!」

 

 ビルドは戦車の砲身のようなアンテナを指で撫でた後にポーズを決め、怪人軍団に立ち向かう!

 

 

 ビルドはまずは先陣を切ったスチール星人の殴り込みをかわすと同時に左拳でボディブローを決め、次にギロン人のハサミ状の腕の殴り込みを後ろ回し蹴りで弾いた後、そのまま一回転して振り向くと同時に顔面に右拳でのパンチを叩き込んで吹っ飛ばす。

 

 次にビルドはドルズ星人の突進をかわすと同時に後ろに回り込み、背部に左脚蹴りを叩き込んで転倒させる。

 

 その隙にナターン星人は大きく跳躍して飛び掛かろうとするが、ビルドはバネが内蔵されたラビットの左足で地面を蹴ってナターン星人のいる位置まで大きく跳び上がり、キャタピラ状の右足で強烈な跳び蹴りを腹部に叩き込む!

 

 上空で蹴りを喰らったナターン星人はたまらず地面に落下し、続けてビルドは着地する。

 

 ドルズ星人は再びビルドに襲い掛かるが、ビルドは即座にドリルクラッシャーを取り出し、ドルズ星人の右フックをしゃがんでかわすと同時にブレードモードで腹部を斬りつけ、続けて胸部に突き立てて後退させる。

 

 

 《Ready go! ボルテックブレイク!》

 

 戦兎「はっ!」

 

 ビルドはドリルクラッシャーのスロットに海賊フルボトルを装填して『ボルテックブレイク』を発動させ、音声と共に青い波状の衝撃波を飛ばし、それを足元で受けたドルズ星人は上空高く打ち上げられる。

 

 

 《Ready go! ボルテックフィニッシュ!》

 

 ビルドは再度ドライバーのレバーを回して必殺技『ボルテックフィニッシュ』を発動させ、助走を付けて左脚で跳躍し、グラフを模したエネルギーの滑走路に沿って、右脚でキックを放つ!

 

 戦兎「はーっ!」

 

 “ズガーン”

 

 グラフのX軸で拘束されたドルズ星人は、ビルドの必殺キックを受けて大爆発して吹き飛んだ。

 

 

 戦兎「次はこれだ!」

 

 ビルドは怪人たちの攻撃を往なしながら、次のフルボトルの装填に入る。

 

 

 《ゴリラ! ダイヤモンド! ベストマッチ! Are you ready?》

 

 戦兎「ビルドアップ!」

 

 ビルドはゴリラとダイヤモンドのフルボトルを振った後ドライバーに装填してレバーを回し、それにより生成されたハーフボディが身体と結合してフォームチェンジが完了する。

 

 《輝きのデストロイヤー! ゴリラモンド! イエーイ!》

 

 次に変身したのは、ゴリラの怪力とダイヤモンドの硬度を持つパワーに特化した形態『ゴリラモンドフォーム』である!

 

 

 スチール星人「このやろ…!」

 

 “ガキーン”

 

 スチール星人「…ッ! 痛って~!」

 

 スチール星人は再度ビルドに殴り込むが、その拳がビルドが即座に向けたダイヤモンドを模した左肩に当たってしまい、逆に自身が痛がり始める。

 

 戦兎「ほい!」

 

 “ズドーン”

 

 スチール星人「ぐぉあっ!」

 

 その隙にビルドは右腕の巨大ナックル『サドンデストロイヤー』でスチール星人にアッパーを打ち込んでかち上げる。

 

 その後も続けて襲い掛かって来るナターン星人、レボール星人をことごとく右腕のパンチで吹っ飛ばしていき、ギロン人の放つ両手からの光線をダイヤモンドの左手で反射する形で弾き飛ばしつつ接近し、一回転の遠心力を加えたサドンデストロイヤーでのパンチを叩き込んで吹っ飛ばす!

 

 スチール星人は再び接近しようとするが、ビルドはサドンデストロイヤーで地面を一殴りし、その衝撃で足元が爆発したスチール星人は吹っ飛ぶ。

 

 

 ビルドは襲い掛かるギロン人をパンチで往なしつつレバーを回してボルテックフィニッシュを発動する。

 

 《Ready go! ボルテックフィニッシュ!》

 

 ビルドは戦いの影響で砕けたアスファルトやコンクリートをダイヤモンドに変化させてギロン人を拘束し、サドンデストロイヤーでライダーパンチを叩き込む!

 

 ギロン人は自身を拘束していたダイヤモンドと共に粉々に砕け散って消滅した。

 

 

 《タカ! ガトリング! ベストマッチ! Are you ready?》

 

 戦兎「ビルドアップ!」

 

 ビルドはタカとガトリングのフルボトルを振った後装填してレバーを回し、次なるフォームチェンジに入る。

 

 《天空の暴れん坊! ホークガトリング! イエーイ!》

 

 次にチェンジしたフォームは、タカの飛行能力とガトリングの連射機能が合わさっており、背中の翼“ソレスタルウィング”が特徴の形態『ホークガトリング』だ!

 

 

 ナターン星人はビルド目掛けて突進を繰り出すが、ビルドは翼で浮遊しながら連続でキックを放って吹っ飛ばす。

 

 次にレボール星人三人衆が連続で跳躍を初めてビルドを攪乱しようとする。

 

 戦兎「そんな虚仮威しは通じないよ?」

 

 戦兎(ビルド)はそう言うとホークガトリング専用武器『ホークガトリンガー』を取り出して飛び立つ。

 

 ビルドは上空を飛び回りながらホークガトリンガーから弾丸を連射していき、瞬く間に三体のレボール星人を撃ち落とした!

 

 地上からスチール星人とナターン星人がそれぞれ破壊光線を同時に放って撃ち落とそうとするが、ビルドは上空で旋回しながらそれらをかわしていき、逆に弾丸を数発放ってダメージを与える。

 

 

 ビルドは急降下してナターン星人に体当たりを叩き込んで上空にかち上げ、続けて真下から連続でキックを打ち込んで更に空高く打ち上げる。

 

 そしてホークガトリンガーのリボルマガジンを10回分動かしてボルテックブレイクを発動し、球状の特殊フィールドにナターン星人を隔離する。

 

 《フルバレット!》

 

 戦兎「はーっ!」

 

 “ズガガガガガ…”

 

 “ズドガーン”

 

 ビルドはナターン星人に100発の弾丸の雨あられを撃ち込み、蜂の巣にされたナターン星人は大爆発して吹き飛んだ!

 

 

 《忍者! コミック! ベストマッチ! Are you ready?》

 

 戦兎「ビルドアップ!」

 

 ビルドは落下しながら次のフォームチェンジに入り、今度は忍者とコミックのフルボトルを振った後装填してレバーを回す。

 

 《忍びのエンターテイナー! ニンニンコミック! イエーイ!》

 

 忍者の技とコミックの実現能力を持つ形態『ニンニンコミック』になったビルドは、4コマ状の図柄が存在する刀身が特徴の忍者形態専用の刀型武器『4コマ忍法刀』で落下の勢いも加えた斬撃を繰り出し、それを喰らったスチール星人は斬られた胸部から爆発で火花を散らしながら吹っ飛ぶ。

 

 スチール星人は怯まず破壊光線と火炎を駆使して反撃を繰り出すが、ビルドは忍者の如く軽い身のこなしでそれらを回避していき、やがて全て避け切った後、スライディングをしながらスチール星人に接近し、すれ違い様に腹部を斬りつけてダメージを与えた。

 

 

 レボール星人三人衆はビルドを取り囲み、それぞれ三方向から同時にパンチを繰り出す。

 

 《隠れ身の術! ドロン!》

 

 ビルドは4コマ忍法刀のトリガーを4回引いて隠れ身の術を発動し、周囲に煙幕を発生させて姿を消し、ビルドを見失ったレボール星人三人衆はあたふたし始める。

 

 《風遁の術! 竜巻斬り!》

 

 隙を突いてビルドは風遁の術を発動し、レボール星人三人衆に竜巻を纏った斬撃を繰り出してまとめて吹っ飛ばした!

 

 

 体勢を立て直したレボール星人三人衆は再びビルドに襲い掛かる。

 

 《分身の術!》

 

 ビルドはトリガーを1回引いて分身の術を発動し、自身の分身を2体出現させ、それぞれ1人1体レボール星人に立ち向かう。

 

 《火遁の術! 火炎斬り!》

 

 戦兎「「「はーっ!」」」

 

 そして3人のビルドは同時にトリガーを2回引いて火遁の術を発動し、それぞれ1人1体レボール星人に火炎を纏った斬撃を叩き込む!

 

 レボール星人三人衆は同時に大爆発して吹き飛び、ビルドは分身を消滅させた後スチール星人の方を振り向く。

 

 

 スチール星人「馬鹿な…まさか貴様にこれほどまでの強さが…!」

 

 戦兎「そうだな~…お前はパンダを泣かしたから、これで行くぜ!」

 

 次々と怪人達が倒されていく事に動揺するスチール星人を他所に、ビルドは次のフォームチェンジに入る!

 

 

 《ロケット! パンダ! ベストマッチ! Are you ready?》

 

 戦兎「ビルドアップ!」

 

 ビルドは今度はロケットとパンダのフルボトルを振った後装填してレバーを回し、ロケットとパンダのハーフボディを身体に結合させて変身完了する。

 

 《ぶっ飛びモノトーン! ロケットパンダ! イエーイ!》

 

 次に変身したのは、ロケットとパンダの力を宿した形態『ロケットパンダフォーム』である!

 

 

 スチール星人「おぉ!大好きなパンダが…だが容赦はせんぞ~!」

 

 スチール星人はビルドに接近すると軽い身のこなしでパンチやキック等を放って行くが、ビルドはそれらをかわしたり防いだりしていき、やがて隙を突いて右腕の巨大な爪『ジャイアントスクラッチャー』で身体を2回引っ掻き、更にロケットを模した左腕で噴射の勢いを加えたパンチを叩き込んで吹っ飛ばす!

 

 スチール星人は高く跳躍してビルドに跳び蹴りを繰り出そうとする。

 

 ビルドはロケットの噴射を利用してスチール星人の位置まで飛び上がると、スチール星人に渾身の引っ掻き攻撃を打ち込み、更にロケットのアーマーを射出してぶつけて撃ち落とす!

 

 

 スチール星人「ぐうぉぉあっ! まさか…俺も、ここで終わりなのか!」

 

 戦兎「そう、ここで終わりさ。 これで決める!」

 

 満身創痍のスチール星人。ビルドは再度レバーを回してトドメのボルテックフィニッシュを発動する。

 

 

 《Ready go! ボルテックフィニッシュ!》

 

 ビルドはグラフを模したエネルギーの滑走路に沿って飛び、急降下と共にジャイアントスクラッチャーでの一撃を叩き込む!

 

 スチール星人「ぐぉぉぉぉあああっ!! 女ヤプール様…ごめんなさああぁぁい!!」

 

 “ズドガガーン”

 

 スチール星人は断末魔の叫びを上げた後、大爆発して吹き飛んだ。彼は皮肉にも、自身の大好きなパンダの力を持つフォームで倒されてしまったのであった…。

 

 

 戦兎「ま、こんなもんか。」

 

 

 

 女ヤプール「まさか!…私の怪人軍団がこうも簡単に…!」

 

 ソルと交戦中の女ヤプールは、自身の配下の怪人軍団の全滅に動揺を隠せない。

 

 海羽「あれ~、よそ見している場合かな?」

 

 ソルに背後から肩をツンツンされた女ヤプールは体勢を立て直してソルに右フックを繰り出すが、ソルは脚を180度開脚させる形でしゃがんでそれをかわし、続けて女ヤプールが放った蹴りを横に転がってかわす。

 

 ソルは立ち上がると、女ヤプールのパンチをかわすと同時に肩車をしてもらう形で跳び付き、「エイ、エイ、エイ…」という掛け声と共に連続で頭部に猫パンチを放つが、女ヤプールは何とか身体を前方に振って振り落とす。

 

 立ち上がったソルは女ヤプールが放った回し蹴りをバレリーナの如く回転しながらかわした後、再度パンチを放った女ヤプールの腕を掴みそのまま「エイ、エイ、エイ…」という掛け声と共に連続で腹部に右脚蹴りを打ち込み、それにより相手が前屈みになった所で「それっ!」!という掛け声と共に背中に上から肘打ちを打ち込んで更に体を屈ませる。

 

 海羽「ソリッドアイアンヒーップ!」

 

 ソルは大きく前屈みになった女ヤプールの顔面に、赤とピンクの光エネルギーを纏った尻での打撃技『ソリッドアイアンヒップ』を叩き込む!

 

 “ズドーン”

 

 “バリーン”

 

 女ヤプール「ぐぉわっ!」

 

 強烈な打撃を顔面に喰らった女ヤプールは、それにより顔につけていた能面が粉々に砕けてしまった。

 

 

 女ヤプール「うっ…うぅ…。」

 

 顔を両手で押さえながら覚束ない足取りで後ずさりをする女ヤプール。やがてその両手を離して剥き出しになった顔を露わにする。

 

 その顔は正に巨大ヤプールそのものであった!

 

 

 海羽「やっぱりヤプールだけに、乙女でもその素顔は醜いモノね!」

 

 女ヤプール「おのれ…私の素顔を見たからには、生かしてはおけぬ!」

 

 

 戦兎「それはこっちの台詞だね。今度こそお前を倒す!」

 

 ビルド(戦兎)はソルと合流しながら啖呵を切る。

 

 海羽「ビルドさん、一緒にやりましょう!」

 

 戦兎「あぁ。種類の違う戦士同士の共闘。これは面白い実験になりそうだ。」

 

 海羽「イエーイ! 本邦初公開!仮面ライダーとウルトラウーマンの共闘ね!」

 

 戦兎「あぁ。というワケだ。 覚悟しろ!」

 

 ビルドは女ヤプールに指を差し、ソルもそれに乗じて指を差す。

 

 

 女ヤプール「黙れ!例え貴様らが勝っても、勝った者は常に負けた者の怨みと怨念を背負って生き続けるのだ!」

 

 女ヤプールはビルドとソルに(負け惜しみにも聞こえる)呪いの言葉を投げかける。

 

 戦兎「そんな非物理的なモノ、俺達が吹き飛ばしてやる。」

 

 そう言い返すと、ビルドは缶型強化アイテム『ラビットタンクスパークリング』を取り出し、振った後、プルタブ型のスイッチを入れて起動させてビルドドライバーに装填する。

 

 《ラビットタンクスパークリング!》

 

 音声が鳴った後、ビルドはレバーを回し、それにより前後にハーフボディが生成される。

 

 《Are you ready?》

 

 海羽「オケーィ!」

 

 戦兎「ビルドアップ!」

 

 周囲に炭酸のようなエフェクトを散らしながらハーフボディはビルドの身体と結合し、変身が完了する!

 

 《シュワッと弾ける! ラビットタンクスパークリング! イエイ! イエーイ!》

 

 ビルドが次に変身したのは、ラビットタンクの強化版でもある強化形態『ラビットタンクスパークリングフォーム』である!

 

 

 海羽「わぁ~! かっこいい~!鮮やか~!超ギザギザだし、ウサギちゃんも可愛い~!」

 

 ソルはビルド・ラビットタンクスパークリングフォームに見惚れ、はしゃぎながら体の各所や兎の形状の左目やアンテナ等を触り始める。

 

 戦兎「嬉しいが見惚れるのは後。今はコイツを倒すぞ。」

 

 海羽「イエース!」

 

 

 戦兎「勝利の法則は決まった!」

 

 海羽「決まった!」

 

 ビルドとソルは、口上を上げながらそれぞれタンクの砲身状のアンテナと猫耳状の頭の突起を指で撫でた後にポーズを決める。

 

 

 女ヤプール「黙れええぇぇぇ!!」

 

 逆上した女ヤプールは、手からの光弾を乱射しながらソル達を攻撃するが、ソルはそれらを赤とピンクの稲妻を纏った腕『ライトニングハンド』によるチョップで相殺していき、その間にビルドが『ラピッドバブル』による泡の破裂を活かした高速移動で女ヤプールの目前までに近づき、左足蹴りを腹部に打ち込んで後退させる。

 

 女ヤプールは闇雲に両腕を振るってビルドに殴り掛かるが、ビルドはそれらを易々と往なしつつ、女ヤプールの右腕を左腕で受け止めると同時に右の掌を胸部に打ち込み、続けて右足蹴りを腹部に、一回転しての左脚での上段回し蹴りを頭部にと決めて行き、更に軽く跳躍しての右足蹴りを胸部に叩き込んで吹っ飛ばす!

 

 ビルド・ラビットタンクスパークリングの打撃が炸裂する度に、発生する『インパクトバブル』の破裂により同時に衝撃波が発生される為、相手に的確なダメージを与えて行く。

 

 

 ビルドは弓型の武器『カイゾクハッシャー』を取り出し、女ヤプールの連射する光弾を避けながら各駅電車、急行電車、快速電車、海賊電車とそれぞれのエネルギー供給による射撃を撃ち込んで行き、それと同時にソルも矢尻型の光弾『ゴッドスラッシュ』を連射して撃ち込んで行く。

 

 そしてビルドとソルはそれぞれ左右から女ヤプールに駆け寄り、それぞれカイゾクハッシャーによる斬撃、ライトニングハンドによるチョップを同時にすれ違い様に叩き込んで大ダメージを与える!

 

 

 女ヤプール「何故だっ…何故ヤプールの怨念を背負った私が、貴様らごときにっ!」

 

 大ダメージで膝を付いた女ヤプールは、自身の押される状況を受け入れられずにいる。

 

 戦兎「教えてやるよ。実験の結果、どうやら俺達はベストマッチみたいだからさ。」

 

 海羽「つまり…私達は、相性の良いコンビって事ね!」

 

 戦兎「一気に決めるよ。プリティーガール。」

 

 海羽「イエース!」

 

 

 ビルドは再び高速移動で女ヤプールに接近し、スライディングタックルで宙に浮かせ、更に地面に手を付いての真下からのキックで上空高く打ち上げる!

 

 女ヤプールをかち上げたビルドも地面を蹴ってジャンプし、女ヤプールよりも高い位置までに跳び上がる。

 

 

 《Ready go!》

 

 ビルドはドライバーのレバーを再度回して必殺技『スパークリングフィニッシュ』を発動させ、ワームホールの様な図形を出現させてその中に女ヤプールを拘束する。

 

 そしてソルも地上で胸の前で両手を合わせ、脚は左膝を曲げ、右足は後ろに伸ばす。そして上からハートを描くように腕を振った後、両手を合わせて右腰に持って行き、赤とピンクのエネルギーを溜めて行く…!

 

 

 海羽「ミスティックシュート!!」

 

 《スパークリングフィニッシュ!》

 

 戦兎「はーっ!!」

 

 ソルは地上から右掌を突き出して必殺光線『ミスティックシュート』を放って上空の女ヤプールに浴びせて行き、更にビルドが上空から急降下しながら無数の泡と共にライダーキックを叩き込む!

 

 

 女ヤプール「ヤプールはいずれまた怨念と共に蘇る…必ず…復讐せん…!」

 

 女ヤプールはそう言い残すと、上空で大きな爆風を発生させながら大爆発して砕け散った…!

 

 

 初対面ながらも見事な連携で女ヤプールを撃破した2人。ソルは必殺技の体勢を解き、ビルドも着地してソルと合流する。

 

 

 (BGM終了)

 

 

 戦兎「やったな!」

 

 海羽「うん!ハッピー!」

 

 ビルドとソルは勝利のハイタッチを交わした。

 

 

 変身を解除した2人。

 

 戦兎「へぇ~、こんな華奢な美少女がヒーローやってるなんてビックリだな。」

 

 初めてソルの変身前・海羽と対面した戦兎は驚きを隠せない。

 

 海羽「エへ。仲間達のお陰もあって、何とかやって来れてる感じだけどね。あと、私女子だから“ヒロイン”ね。」

 

 戦兎「その変身システムも、開発したモノなのか?」

 

 海羽「カイハツ?…う~ん違うなぁ…なんと言うか…光に選ばれた…みたいな?」

 

 戦兎「何?その非科学的な感じ…ウルトラマンの変身システムは仮面ライダーとは違うんだな。」

 

 

 海羽「まぁね。それよりも仮面ライダービルド、カッコいい! もしかして戦兎さんが発明したモノなの?」

 

 戦兎「そ。言っただろ?天才物理学者だって。このビルドドライバーも、ベストマッチウェポンも、全て俺が発明したモノなんだ。」

 

 最も、正確に言えばビルドドライバーは元々『葛城巧』(戦兎の正体)の父『葛城忍』が設計・開発を行っていたモノなのだが…。

 

 海羽「これら全てあなたが発明したの?すっご~い!戦兎さんって本当に天才なのですね!」

 

 戦兎「…本当にそう思う!?」

 

 海羽に天才と言われた瞬間、戦兎は突然気分が高揚し、髪の毛の一部がアホ毛のようにピョンとはねる。

 

 戦兎「そうでしょ?…凄いでしょ?最高でしょ?天才でしょ?」

 

 海羽「うん!いいな~…その頭脳、私も半分欲しい程だよ。」(櫂君や真美ちゃんとどっちが頭良いだろう…?)

 

 海羽が褒めちぎった事により、戦兎は益々調子に乗ってしまう。

 

 

 しかし良かったな戦兎。相手が素直な性格の海羽ちゃんで…。

 

 これがエゴイストでもある櫂君だったら間違いなく目の敵にされていたであろう…。

 

 

 戦兎「いや~俺を天才ぶりが分かるとはなかなかいいね君。 オマケに愛想が良くて可愛らしい。 どっかの“筋肉バカ”や、無愛想な女とは大違いだ。」

 

 海羽「(照れ臭そうに両手を頬に当てて)いや~んそれ程でもないよ~。」

 

 

 一方、『nascita』(ナシタ)という喫茶店にて。

 

 “ブーッ!!”

 

 コーヒーを飲んでいた『万丈龍我』は、突然コーヒーを吹き出してしまう。

 

 紗羽「ひゃっ!? ちょっとどうしたのよ…またコーヒーが不味かったの?」

 

 万丈「それだけじゃねぇ!…なんか、誰かが俺を馬鹿にした気がして…。」

 

 『滝川紗羽』は机にかかった万丈の吹き出したコーヒーを拭き取る中、あるモノに目が止まる。

 

 それは、『石動美空』が何やら不機嫌そうな表情で手に持つ糸切り鋏をチョキチョキ言わせている光景だった…。

 

 紗羽「美空ちゃん…どうしたの?」

 

 美空「何だか分からないけど…刻みたい気分…。」

 

 

 気を良くした戦兎は、海羽に秘密にするのを条件にビルドドライバーやフルボトルの事を詳しく話した。

 

 専門用語を多用する戦兎の説明に海羽は時折首をかしげていたが、おおよその事は理解しているようであった。

 

 海羽「へぇ~…凄いです。様々なボトルの組み合わせで多様な戦闘が出来るなんて。 それに、フルボトルも兎とかパンダとかいろんな種類があって面白いな~。」

 

 戦兎「でしょ? そして、俺が最初に発見したベストマッチが、ラビットタンク。このラビットとタンクのフルボトルで変身するんだ。」

 

 そう言いながら戦兎は海羽にラビットとタンクのフルボトルを見せる。

 

 

 海羽「すごーい。兎と戦車のフルボトルだ…私にも触らせてください!」

 

 戦兎「ダメだ。君にはまだ早いよ。」

 

 海羽「え~!いいじゃないですか~。」

 

 やがて戦兎と海羽は追いかけっこに発展する。

 

 海羽「触らせてくださ~い!」

 

 戦兎「いやダメだってば。」

 

 海羽「もうズルいです~!」

 

 フルボトルを巡って追いかけっこをする2人。だがその表情はどこか楽しそうであった…。

 

 

 やがて戦兎と海羽は別れる時が来た。海羽はこれから子パンダを中国へ連れて行くつもりである。

 

 海羽「今日はありがとうございました。戦兎さん。」

 

 戦兎「いやいや。俺の方こそ嬉しかったぞ。君みたいな魅力的な美少女と出会えて。」

 

 海羽「エヘヘ。 じゃあ、私はこれからこの子をお家に送って行きますね。」

 

 そう言うと海羽はハートフルグラスを目に当てて等身大のウルトラウーマンSOL(ソル)に変身する。

 

 海羽「それじゃ、またいつか会いましょうね。」

 

 戦兎「あぁ、それじゃ、またな。」

 

 海羽「はい! それじゃあパンちゃん、行きましょ。」

 

 ソルは子パンダを抱き上げて、中国に向かって飛び去って行った…。

 

 

 戦兎「眞鍋海羽…ウルトラウーマン…か。 またいつか一緒に戦う日が来るといいな。」

 

 そう言うと戦兎はマシンビルダーに乗り込む。

 

 戦兎「…ところで、万丈とアイツ…俺にとってどっちの方がベストマッチなんだろう? …ま、どうでもいっか。」

 

 戦兎はヘルメットを被り、マシンビルダーを駆って何処かへと去って行った…。

 

 

 海羽「ヤホーィ!」

 

 子パンダを連れて空高く飛ぶソル。

 

 海羽「楽しい?パンちゃん。」

 

 海羽に問われた子パンダは、楽しそうな素振りを見せて返事をした。

 

 

 海羽「そう!良かった! アハハハハハ…」

 

 ソルは尚も笑いながら、子パンダと一緒に楽しそうに飛行を続けていた…。

 

 

 

 …だが、次の瞬間、笑い続けていく内に徐々に視界が暗くなって行き、それと同時に意識も遠のいて行く…。

 

 

 そして、やがてうっすらと気が付き始める。

 

 

 

 海羽「ぅ…ぅぅ…ん?」

 

 目を覚ますと、自身はベッドの上で横になっていた。

 

 

 そして寝起きでまだ虚ろな意識の中、辺りを見渡した後、海羽は確信する。

 

 

 海羽「あぁ…夢か…。」

 

 そう、先ほど海羽が子パンダと出会った事、怪人軍団と戦った事、そして桐生戦兎(仮面ライダービルド)と出会った事等々…全て夢の中の出来事だったのである。

 

 

 しかし、よくもまぁ凄い夢を見たモノである。

 

 

 海羽「夢だったなんて、ちょっぴり残念。 それにしても仮面ライダービルド…そして桐生戦兎さん…カッコ良かったなぁ…。現実にもいてくれたらいいな…。」

 

 

 夢の余韻に浸る海羽。だが、意識がハッキリし始めた瞬間、ある事を思い出す…。

 

 

 海羽「…そっか…私、赤と白の2人にやられて…。」

 

 そう、海羽が寝ているのは正確に言えば病院のベッドなのである。

 

 

 現在の海羽は、先ほどレッドマンとハヌマーンに完膚なきまでに痛めつけられ重傷を負い、病院で入院中なのである。

 

 

 それに気づいた瞬間、一気に悲しみがこみ上げ始める…。

 

 その悲しみは入院している自身の不甲斐なさ、(相手が悪かったというのもあるが)レッドマンとハヌマーンに手も足も出せずに負けた悔しさ、華麗な活躍したと思えば夢だったという残念さ、病室で一人という寂しさなど、様々な思いからであった。

 

 

 海羽「…いけないいけない…ブルーになっちゃ…ハッピーな事考えなきゃ…。 苺のショートケーキ…カスタードプリン…カシス味のマカロン…。」

 

 なんとか大好きなスイーツの事を考えて持ち直そうとするものの、既に日も暮れて夜に入っていたという事もあり、益々悲しみは深まって行く…。

 

 海羽「私も…もっと櫂君達みたいに強くなりたいなぁ…。」

 

 涙声でそう呟いたその時、誰かが病室のドアをノックする音が聞こえる。

 

 

 海羽「はーい。」

 

 急いで涙を拭いた海羽は返事をする。ドアを開けたのは看護師であった。

 

 

 看護師「眞鍋さん、お友達がお見舞いに来てくれましたよ。」

 

 海羽「…え?お見舞い?」

 

 

 愛想良く海羽に呼びかけた後、看護師はそのお見舞いに来た人を病室に入れて去って行く。

 

 

 お見舞いに来たのは新田真美であった。

 

 真美「こんばんは。海羽ちゃん。」

 

 海羽「真美ちゃん…また来てくれたんだね。」

 

 満面の笑顔で挨拶をする真美に、海羽は無理に笑顔を作って返事をした。

 

 真美「体の方は、大丈夫?」

 

 海羽「ぅ…うん。今は何ともないよ。先生の言う通り、もう一日安静にすれば大丈夫かも。」

 

 真美「それなら良かった。私、海羽ちゃんに元気になって欲しいから、海羽ちゃんの大好きなスイーツ買って来たの。」

 

 そう言いながら真美は手に持っていたコンビニのビニール袋の中身を見せる。

 

 中には先ほど海羽が呟いていたスイーツ全てが入っていた。

 

 海羽「わぁ! ありがとう真美ちゃん!」

 

 真美から差し入れを受け取った海羽は、僅かながら元気を取り戻しているようであった。

 

 

 しかし、まだ悲しい気持ちである事には変わり無いため、改まって真美に語り掛ける。

 

 海羽「…真美ちゃん…少し、話してもいい?」

 

 真美「いいよ。どうしたの?」

 

 

 海羽は真美に話したい事を全て話した。お見舞いに来てくれた事への感謝の気持ち、先ほど凄い夢を見た事、そして、悲しい思いをしている事…。

 

 真美は親身になって丁寧に相槌を打ちながら話を聞いた。そして海羽が全てを話し終えた後、無言で優しい眼差しで海羽の肩にそっと手を置いた。

 

 その温かい感触に触れた海羽は、遂に感極まって泣き出しそうになる。

 

 真美「海羽ちゃんはよく頑張ったと思うよ。」

 

 海羽に労いの言葉をかける真美。だが、なおも泣くのをこらえ続ける海羽。そんな海羽を真美はそっと抱き寄せる。

 

 真美「内緒にしておくから、泣いても大丈夫。」

 

 その優しい言葉に安心を覚えた海羽は、すすり泣きを始める。嬉しい気持ちだけを残し、今の悲しい気持ちを全て洗い流すかのように…。

 

 

 海羽がある程度泣いて落ち着いた後、真美はある話を持ち出す。

 

 真美「そういえばさっき私、面白い人の話を聞いたの。」

 

 海羽「…誰?」

 

 真美は海羽の病室に付く直前に、知り合いでもあるこの病院の看護師に偶然出会い、その人から、内緒にするのを条件にある患者の話を聞いたのだという。

 

 

 その患者の名前は『佐藤太郎』。

 

 なんでも彼は最近結成されたばかりのバンド『ツナ義ーズ』のメンバーであり、“バンドが売れたら女子アナと結婚して牛丼卵付き100杯食べて、ビル1000件買う”と言うのが夢の、非常にハイテンションなチャラ男のような性格の男性だという。

 

 

 〈回想〉

 

 彼がこの病院に入院する事になった原因はと言うと、同じメンバーの『岸田立弥』の車の送迎によりバイト先に向かった時である。

 

 

 昨日の昼頃。やけに荒っぽい運転の立弥の車は、佐藤太郎のバイト先に着くと停車する。

 

 佐藤太郎「Fo~!」

 

 立弥「アニキ!行ってらっしゃ~い!」

 

 ハイテンションで車から降りて行く佐藤太郎と、そんな佐藤太郎を車窓から見送る立弥。

 

 

 すると、佐藤太郎は入り口前で大きく体を後ろに反らせて…。

 

 

 佐藤太郎「夜は焼き肉っしょぉぉぉ!! アッハッハッハッ…」

 

 

 言ってる事は意味不明だが、どうやらその日は給料日だったようである。

 

 その時!

 

 

 “グギッ”

 

 

 佐藤太郎「!!? ヴエ˝エ˝エ˝エ˝ェェェ!!!」

 

 

 …どうやら体を反り過ぎて腰をヤってしまったようである…実に間抜けな話である。

 

 “ピーポー ピーポー”(所謂救急車の音)

 

 立弥「アニキ~!大丈夫っスか!」

 

 佐藤太郎「ママ~! ママ~!」

 

 〈回想終了〉

 

 

 まだ若者ながら、変なポーズでうっかり腰を痛めてしまった事により入院せざるを得なくなってしまった佐藤太郎の話を聞いた海羽は、さっきまで悲しんでいたのが嘘のように爆笑し始める。

 

 真美「ね?彼には申し訳ないけど笑えるでしょ?」

 

 真美もつられて笑い始める。

 

 真美「この話はここだけの内緒にしようね。」

 

 海羽「うん、分かった…それにしても、焼き肉で腰痛めてしかも「ママ~」だなんて…プフッ、ハハハハハハ!」

 

 

 …しかし、海羽は知るはずも無かった…その佐藤太郎は、顔が夢で出会った桐生戦兎とそっくりだという事を…。

 

 

 ある程度笑い合った後、海羽は真美に礼を言う。

 

 海羽「今日は本当にありがとう、真美ちゃん。」

 

 真美「また何かあったら遠慮なく言ってね。私に出来る事は何でもするから。」

 

 海羽「うん、それじゃあね。」

 

 真美「明日も来るから。おやすみ。」

 

 海羽「おやすみ~!」

 

 満面の笑顔で、真美は病室を後にした。

 

 

 海羽「私、もっと強くなるわ。そのためにも、今はしっかり休まないとね。」

 

 真美の優しさのお陰で元気を取り戻した海羽は、差し入れのスイーツを見ながら前向きに決心した。

 

 

 海羽「これからも櫂君や、ウルトラマンさん達と力を合わせて行くんだ。愛と平和のため、そして、トシ君(桜井敏樹)を取り戻すためにも…。」

 

 海羽はスイーツを頂きながら窓から星空を眺める。

 

 海羽「…とりあえずレッドマン達は任せたよ。櫂君、みんな…。」

 

 

 と言うワケで、海羽が戦兎と出会って共闘した事は、夢の中の出来事だったのである。

 

 何故海羽が人間なのにパンダの言う事が分かったのか、何故女ヤプールの配下の怪人の中にヤプールとは無関係の宇宙人もいたのか、何故霞ヶ崎にスカイウォールがあったのか、そして何故霞ヶ崎に桐生戦兎がいたのか…。

 

 …もはやそれらを突っ込むのは野暮な話である。何故なら全て夢の中での出来事なのだから…。

 

 

 だが、実際現実に起こった事が二つある。

 

 それは、パワードとグレートがルナチクスと恐竜戦車と戦った事、そして、最近海羽がグビラにハマり始めたという事である。

 

 

 〈エピローグ〉

 

 

 ひょんな事から、麟慶大学ではハロウィンパーティーが開催されていた。

 

 どうやら今年もハロウィンの日が来たみたいである。

 

 

 海羽「ハッピーハロウィ~ン!!」

 

 イベント事が大好きな海羽は、案の定テンション高くはしゃいでいた。

 

 櫂「ったく海羽のやつ、相変わらずイベント大好きだな。」

 

 真美「ふふ、いいじゃない。今日は楽しみましょ。」

 

 櫂「そうだな。」

 

 櫂と真美も一緒であった。

 

 

 因みにハロウィンという事もあり、学生全員が吸血鬼や魔女、ミイラなどと仮装しているのだが、櫂は『ウルトラマンベリアル・アトロシアス』(段ボール等で作ったギガバトルナイザー付き)、真美は『超大魔王獣マガタノオロチ』、海羽は『虚空怪獣グリーザ』と、何故かニュージェネシリーズのラスボスに仮装していた。

 

 流石に他の仮装と比べると少々浮いている所はあるが、皆を惹きつけるカリスマ性を持つ櫂がベリアル、良スタイルな反面食べるのが大好きな真美がマガタノオロチ、そしていつも笑顔で笑っている海羽がグリーザに仮装していると考えるとある程度は納得が行くモノである。

 

 

 実験、学園で人気の高い三人の完成度の高い仮装姿に、多くの学生が釘付けになっていた。

 

 最も、その中には海羽の仮装を見て「みーたんだぁ~!」とはしゃいでいる人もいたのだが…恐らく海羽のファンであろう。

 

 

 櫂「んじゃ、いろいろ回りますか。」

 

 真美「そうだね。」

 

 海羽「早くトリックオアトリートしましょ!トリックオアトリート!」

 

 三人が移動しようとしたその時。

 

 

 ???「素晴らしい…実に素晴らしい…!」

 

 突如、何処からか男性の声が聞こえ、三人は振り向く。

 

 

 そこには眼鏡をかけていて、スーツを着込んだ男性が、どこか狂気をも感じる笑顔で杖を両手持ちにして立っていた。

 

 

 櫂「誰だ?あいつ。」

 

 真美「私も見かけた事が無いわね…。」

 

 海羽「商学部でも見覚えが無いし…。」

 

 どうやら麟慶大学の学生では無いみたいである。

 

 

 ???「実に素晴らしい仮装姿だ…!」

 

 海羽「そ…それは、どうも。」

 

 仮装姿を褒められたため、とりあえず礼を言う海羽。

 

 

 その時!

 

 

 ???「ハーッハッハッハッハ!! ならば! 答えは一つ!」

 

 “バキッ”

 

 男性は、突如狂ったかのように笑った後、両手持ちにしていた杖を膝でへし折る。

 

 

 ???「あなたに…忠誠を…誓おおおおおぉぉぉぉー!!」

 

 

 海羽「えええぇぇぇ~!!?」

 

 

 その時。

 

 

 海羽「はっ!」

 

 一瞬意識が飛んだかと思うと、海羽は気が付いて目を覚ました。

 

 自身は病室のベッドの上、窓からは朝の日差しが射し込んでいる…どうやら夢だったみたいである。

 

 

 海羽「何だ夢か…。ハッピーハロウィンで楽しい夢だったけど、変な男の人も出て来て不思議な夢だったな…。」

 

 

 先ほど見た夢を不思議がりながらも、目が覚めた海羽は両腕を広げて体を伸ばした。

 

 海羽「う~ん…よし、今日も元気に体を休めるぞ~。」

 

 

 日付は8月20日。そう、この日海羽は、再度お見舞いに来る真美を通じて、ウルトラマンエックスや大空大地達と出会う事になるのである…。

 

 

 〈完〉




 読んでいただきありがとうございます!


 今回登場した戦士は“仮面ライダービルド”でした!

 実は私、ビルドが結構気に入ってしまって(笑)、終わってしまった事でロスが起こってしまっている程です。(まぁ、現在放送中のジオウも楽しんで見てますが)


 また、今回はビルドを登場させるかつやりたい放題やるというテーマと言う事もあり、ビルドが登場するのは海羽ちゃんの夢の中の世界と言う設定にしました。

 あと、投稿日が投降日と言う事もあり、最後にちょっとだけハロウィンネタも入れてみました。

 仮面ライダーとウルトラウーマンの共闘、いかがでしたか?


 因みにビルドのフォームはベストマッチだけでもかなりの数があるという事もあり、今回は登場させるフォームを6つに絞りました。

 ジーニアスフォームやクローズ、グリス、ローグ等の登場を期待されていた方、申し訳ございませんでした。(因みに私はクローズも大好きです)


 因みに私の好きなビルドのフォームは結構あるのですが…三つに絞るのならラビットタンク、ホークガトリング、ラビットタンクスパークリングです。


 感想・指摘・アドバイス等をお待ちしています。


 因みに今回は仮面ライダーが登場する特殊な回であるため、OP、ED、サブタイトルを探せ!はナシにしました。
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