ウルトラマンゼロ物語(ストーリー) in RED ZONE STAGE   作:剣音レツ

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 お待たせしました。大学のレポート等で忙しい中完成させることが出来ました。

 後半戦第1話です。とりあえず楽しんで読んでもらえれば幸いです。

 今回は比較的ウルトラマンレオの要素が多いです。

 また、男性陣と女性陣それぞれの活躍もあります。

 また、13話以来にあの二人が再登場です。

 あと、ソルちゃんの新技も登場します。


〈後半戦〉第3章「加速するレッドゾーン」
第18話「可能性の瞳」


 (OP:英雄の詩)

 

 8月1日、ヤプールの総攻撃を破ったウルトラマンゼロたちウルトラ戦士と竜野櫂たち麟慶大学生。

 

だが、その後の記念の飲み会では大半の学生がはしゃいで飲みまくって酔い潰れてしまったため、翌日に予定していた『麟慶大学夏休みライブ』の続きは明後日の8月3日に変更となった。

 

その内の竜野櫂も、久々に飲みまくって酔ったため、その夜千鳥足で帰り道を歩き、下宿先に帰った途端、倒れこむようにベッドで眠りについたんだとか。

 

櫂はシャープなイケメン顔とは似合わず、結構酒を飲む一面があるのだ。

 

一方での新田真美は、酒に弱いため少量しか飲めないが、その分スレンダーな美ボディとは似合わず大食いな一面もある。

 

そのため、飲み会では久々に食べまくって満足したんだとか。

 

因みに真美には「太れない」という羨ましすぎる悩みがあるんだとか(笑)

 

何はともあれ、その日学生たちは夕方から夜にかけて飲み会で大はしゃぎし、その後ほとんどの人がぐっすり眠れた。

 

 

 

 ???「助けてくれよ~!」

 

 

 だが同じ頃、遠い宇宙の彼方から一つの不思議な壺が地球目掛けて飛んでいて、その壺からは不思議な声が響いていた。

 

 地球目前の宇宙空間に浮遊している宇宙船『テライズグレート』からその壺を眺めている少年『桜井敏樹』は、髭を生やしたがたいの良い屈強そうな男と話していた。

 

 敏樹「なるほどな、今回の作戦もなかなかの刺激を味わえそうだ。」

 

 ???「でしょ~?見てーてください。強大な闇を生み出す自信がありまぜ。」

 

 敏樹「………良いだろう。お手並み拝見といこう。地球へ向かえ!」

 

 ???「待ってました~!そのお言葉。弱い者いじめ大好き俺様のプライドにかけて!」

 

 そう言うと男は宇宙船を出て地球に向かって行った。

 

 ………だが、敏樹はそんな男をどこか冷ややかな目で見つめながらそっと舌打ちをしていた………。

 

 敏樹「“弱い者いじめ”か………悪趣味もいいとこだ………!」

 

 敏樹はドスの利いた声で呟いた。

 

 一体、何が癇に障ったのだろうか………?

 

 

 

 翌日の8月2日、早朝既に酔いが醒めていた櫂は、昨日の戦いの疲れと酔いを完全に醒まそうと朝の散歩をしていた。

 

 そこで、偶然にも同じく朝の散歩をしている稲葉健二と居合わせ、一緒に歩いていた。

 

 健二「櫂さん、昨日は大活躍でしたね。お疲れ様です。」

 

 櫂「ああ、サンキュー。だが、俺だけが得た勝利ではない。」

 

 健二は疑問で少し首をかしげる。

 

 櫂「共に戦うウルトラ戦士たち、それから真美達学生達。みんなの強力あってこその勝利だ。」

 

 健二は納得の表情を見せる。

 

 ゼロ「こいつは学生達全員に招待を知られてしまったワケだが…逆にそれによって信頼もより深まったワケだ。」

 

 健二「櫂さん、本当に信頼が深いんですね。」

 

 櫂「ハハハ、まあな。(ひっそりと不敵な笑み)」

 

 櫂はなおも健二と歩きながら話し続ける。

 

 櫂「それに、自分が特に大切だと思うモノや愛する者、それらを想えば、より強さを引き出せるのさ。」

 

 ゼロ「ハハッ、櫂、お前だいぶ成長したんじゃねーのか?」

 

 櫂「フッ、そうかもな。」

 

 健二「……そうですね。俺も、さなちゅんとの仲がより深まって、それによって前よりも強くなれた気がします。すべてあなた達ウルトラ戦士のおかげです。」

 

 健二は改めて櫂に先日(第11、12話参照)のお礼を言う。

 

 因みに稲葉健二と小野早苗は彼氏と彼女の関係なのだが、お互いを“ケンちゃん”、“さなちゅん”とあだ名で呼びあっているのだ。

 

 櫂「ま、良いって事よ!」

 

 櫂は気さくに健二の背中を叩き、二人は笑い合う。

 

 だが、心の中では………

 

 (そう………それによって俺と真美の距離は縮まったワケだ……この調子だぜ………。)

 

 櫂がそんな考え事をしていたその時、

 

 “ガッ”

 

 櫂「⁉ギャハッ!」

 

 “ドサッ”

 

 櫂は何かに躓いて転んでしまった。

 

 健二「大丈夫ですか?櫂さん。」

 

 櫂「イテテテテ……何だ?」

 

 櫂は起き上り、自身が躓いた物を拾い上げる。

 

 櫂「何だこれ?」

 

 健二「壺……ですかね?」

 

 見てみるとそれは壺であった。だが今どきのおしゃれさは無く、茶色い表面に周囲には赤、青、黄、緑など様々なダイヤルらしきものが付いている、見た目は小学生の工作の様な物だった。

 

 健二「落とし物…ですかね?」

 

 櫂「落とし物にしてはかなりぼろっちいな。でも、ちゃんと交番に届けた方がいいかもな。」

 

 櫂たちは壺を届けようと交番へ行こうとしたその時、

 

 “ガシャーン”

 

 「キャ~‼」

 

 突如、何処からか物音と女性の悲鳴が聞こえる。

 

 櫂「⁉何だっ!」

 

 櫂たちは急いで声のする方へ駆けて行く。

 

 そこには、銀行の近くで一人の若い女性に襲い掛かり首を絞めあげる屈強な男がいた。先ほどの物音は女性が襲われ始めた際の銀行のガラスが割れる音である。

 

 櫂「健二、これを頼んだ!」

 

 櫂は急いで壺を健二に手渡し駆け始める。

 

櫂は駆けながら男の右肩に跳び蹴りを打ち込んで吹っ飛ばし女性と引き離す。

 

 櫂「大丈夫か⁉早く逃げろ。」

 

 「ええ、ありがとうございます。イケメンに助けてもらえて嬉しいです!」

 

 女性は櫂にお礼を言って逃げて行った。

 

 「何するでーい貴様!」

 

 男は斧を振るいながら櫂に殴りかかる。櫂は振り下ろして来た斧を両腕をクロスして受け止める。

 

 櫂「か弱い女に乱暴する奴に言われたくないね。」

 

 そう言うと櫂は受け止めていた腕を叩き落とし腹部に右拳を打つが、なんと奴は腹筋で耐えてしまった。

 

 櫂が驚いている隙に男は右腕を掴んで放り投げるが櫂は宙返りして着地し、跳躍しての右回し蹴りを顔面に打ち込み振り下ろしてきた右腕を掴んで受け止め腹部に右横蹴りを連続で叩き込む。

 

 更に櫂は左手で右腕を掴んだまま右脇腹に右肘を叩き込んで、その後跳躍しての右後ろ蹴りを胸部に叩き込んで吹っ飛ばす。

 

 すると男は壺を大事に持っている健二に視線を向ける。そして、次なる標的を健二に決め駆け寄り始める。

 

 櫂「!しまった…」

 

 男は健二に駆け寄りながら拳を振り上げる。

 

 その時、

 

 “ドガンッ”

 

 「⁉ガハッ!」

 

 突如、男は何者かからの跳び蹴りを左肩に喰らい吹っ飛ばされる。蹴りを打ったのは礼堂ヒカルだった。

 

 ヒカル「早く非難するんだ。」

 

 健二「は…はい。」

 

 ヒカルは健二を逃がした後、櫂と共に男に挑む。

 

 櫂とヒカルはそれぞれ左右方向からパンチ、キック等を放つが男も負けじと二人の攻撃を往なしていく。

 

 そして櫂とヒカルはそれぞれ左右同時に右前蹴りを放つが男はそれを両手で受け止め、振り払う形で放り投げるが、二人は空中で一回転して着地する。

 

 「おっと、お前らの相手してる暇ないのだ!あいつを…あいつを探さねば………!」

 

 男はそういうと急いでどこかへ去って行った。

 

 櫂「……チィッ、逃げられたか。」

 

 ヒカル「でも、襲われる人を救えて良かったですね。」

 

 櫂「ああ。それよりもあいつ、すごい力だったな。」

 

 ヒカル「確かに。まるで人間ではないな……」

 

 櫂「それに、探している“あいつ”とは……」

 

 ヒカル「後を付ける必要がありそうですね。」

 

 櫂「そうだな。」

 

 健二「僕も行きます!」

 

 櫂達三人は男の後を付ける事にした。

 

 

 

 一方、新田真美、眞鍋海羽、そして小野早苗は他愛も無い話をしながら朝の散歩“ガールズウォーキング”をしていた。

 

話の内容はもちろん、昨日の激戦の事である。

 

早苗「じゃあ、真美さんのサポートあるからこそ、櫂さんも海羽さんも戦えるんですね。」

 

真美「ええ。それに、戦いにはそれに向かう者と、戦い傷つく戦士を癒す者が必要でしょ?私は後者の者として尽力してるの。」

 

海羽「流石は真美ちゃん!でも、私は真美ちゃんならウルトラ戦士としても戦えると思うけどな〜。」

 

真美「え?」

 

海羽「だって真美ちゃん、みんなを助けたい想いを持ってるんでしょ?それだけでも十分素質あると思うけどな〜。きっと真美ちゃんなら、櫂君に負けないファイトができると思うよ。」

 

海羽はにこやかに話す。

 

真美「ありがと海羽ちゃん。でも…私は櫂君ほど身体能力は無いし、それに…………だから、やっぱり私は戦士をそっと見守る方が向いてるかな(笑顔で)。」

 

 その時、早苗は真美の右肩に手を置く。

 

 早苗「今すぐに答えを出さなくても、今は海羽ちゃん達に任せて、可能性を信じて考えてみようよ。」

 

 真美「……可能性?」

 

 早苗「うん。ウルトラ戦士である海羽ちゃんが言うんだもん。きっと真美ちゃんはウルトラ戦士になれる可能性に満ちてるんだよ。」

 

 真美「可能性に満ちてる……?」

 

 海羽「うん。特に真美ちゃんの、そのキラキラした瞳にね。」

 

 真美「私の…瞳?」

 

 海羽「うん!真美ちゃん、普段からキラキラしてるけど……最近目の輝きが増した気がするんだよね~。」

 

 海羽の意味深気味な言葉に真美は少し困惑する。

 

 真美「それが、可能性とどう関係あるの?」

 

 海羽「う~ん…何となく……かな?(笑顔で)」

 

 真美「プフッ………何それ?(笑顔)」

 

 三人は笑い合った。

 

 三人が笑いながら歩いていたその時、

 

 早苗「………ん?」

 

 早苗は何かに気付き反応する。

 

 真美「どうしたの?」

 

 真美たちも早苗が見ている方へ顔を向ける。

 

 そこには何かがうずくまっているのが見えていた。だがよく見てみるとそいつは人間ではないようである。

 

 三人は恐る恐るも歩み寄ってみる。

 

 早苗「あ…あの~………どうかされましたか?」

 

 早苗が話しかけた瞬間、そいつは驚くように早苗たちの方を振り向く。

 

 そいつはやはり人間ではなく、ピョコピョコと上下する目に身体にはトゲのようなイボが生えている、怪獣にもゆるキャラにも見える生物だった。

 

 ???「!!!!」

 

 早苗「!!!!」

 

 生物は驚き、早苗も異形の生物が突然振り向いたことにより驚き、お互いに悲鳴を上げる。

 

 ???「ごめんなさい!お願い!殺さないで~!」

 

 真美「ま…待って。私たちは敵じゃないから……」

 

 生物は何やら怯えている様である。真美は気持ちを切り替え話しかける。

 

 だが、生物は慌てて逃げようとする。

 

 真美「待って……」

 

 “ガッ”

 

 真美「!キャッ!」

 

 “ドサッ”

 

 真美は追いかけようとするが、躓いて転び尻もちをついてしまう。

 

 海羽と早苗は慌てて真美に駆け寄り、生物もそれを見てふと立ち止まる。

 

 早苗「!真美さん。」

 

 海羽「真美ちゃん大丈夫?」

 

 真美「イテテテテ……」

 

 真美が尻もちを付いて痛がっている時、誰かが手を差し伸べるのに気づく。

 

 ???「………大丈夫ですか?」

 

 手を差し伸べたのは、生物だった。真美は嬉しさや、その生物が悪い奴ではない事への安心もありふと笑顔を見せる。

 

 

 

 その後、三人は事情を聞いた。

 

 彼の名は『(わんぱく怪獣)タイショー』。なんでも彼は怪獣小学校の四年生であると言う。だが、彼は勉強が苦手で学校をさぼる日も多く、学力は低い。

 

 一ヶ月前、とある悪者に襲われ母親が負傷し、自身は緊急避難用の壺のようなカプセルに入って宇宙を漂っていた所、地球にたどり着いたと言う。

 

 真美「とある悪者?」

 

 タイショー「うん。そいつによってお母さんは怪我をして家で寝込んでいるんだ………でも、それだけじゃないんだ………。」

 

 そう言うとタイショーは、右手を震わせながら小指を立てる。

 

 タイショー「………殺されたんだ…。」

 

 タイショーの手話と言葉に三人は察する。………そう、タイショーは母親が負傷しただけではなく、恋人も殺されてしまったのだ。

 

 真美「………そんな………。」

 

 海羽「何て酷い事を………。」

 

三人が深刻になる中、タイショーはなおも話し続ける。

 

彼は上記の学力イマイチに加え体力もあまり無い事からいじめられる事が多く、そして母親が負傷した事により、父親はタイショーをこれ以上いじめられ無いように本格的に強く賢い子に育てようと尽力してきたという。

 

だが、タイショーは普段からいじめが多い上に母親が怪我をし、恋人も殺されてしまった事から完全に腑抜けになってしまい、それを見兼ねた父親により「心身ともに強くなれ」という想いから、お仕置きとして壺に閉じ込められ宇宙を漂っていた………。

 

という訳なのである。

 

真美「そう……それは可哀想に。」

 

話を聞いた真美は哀れむ顔でタイショーの頭を撫でる。

 

海羽はと言うと…完全に同情として泣き出していた。彼女は良くも悪くも泣き虫な一面があるのだ。

 

早苗「タイショー君……。」

 

早苗もほぼ言葉が出ない状態だった。

 

タイショー「おいら、お仕置きされる際に嫌で泣いたんだけど、そしたら父ちゃんが「その目は何だ⁉︎その涙でお前が強くなれるのか…?自分が守れるのか?」って言われて……でも、すぐに強くなれたら苦労なんてしないよ……。」

 

タイショーは弱音を吐きつつ涙目になる。

 

その時、早苗はタイショーの元に歩み寄る。

 

早苗「分かった。私たちが力になってあげる。」

 

そう言うと早苗はタイショーにハンカチを差し出し、タイショーは顔を上げる。

 

早苗「まずは勉強面を鍛えようよ。苦手な教科は何?」

 

タイショー「……算数。」

 

早苗「そう。じゃあ私が教えてあげる。」

 

早苗はタイショーの学力強化のために勉強を教える事にした。

 

海羽「勉強なら真美ちゃんもいるよ。(真美に手を向けてウインク)」

 

タイショー「……ありがとう。お願いします。」

 

真美「これで涙拭くといいよ。」

 

真美は嬉し泣きをするタイショーにハンカチを差し出した。

 

 

 

早速、三人は早苗の家でタイショーの学力強化を始める事にした。

 

子供とはいえ怪獣を家に入れる訳だが、早苗の両親は仕事で不在なため丁度いいタイミングだった。

 

勉強を教えるのは主に早苗で、真美はそのサポート、海羽は紅茶を入れたり、休憩時のマッサージなどを担当する事になった。

 

え?なぜ早苗がメインで教えるかって?彼女は勉強できる他に、将来小学生の先生を目指しているため、今のうちに経験を積んでおこうと思ったからである。

 

タイショーの勉強特訓が始まった。早苗は丁寧に教えていく。

 

タイショーも理解力が高く、教えてもらってる内容を次々と吸収していく。

 

その様子に海羽と真美も安心の表情を浮かべた。

 

 

 

同じ頃、男性陣(櫂、ヒカル、健二)は大男探索を続けていた。

 

健二「そういえば、今朝の新聞に妙な記事が載ってました。」

 

櫂「何だ?」

 

健二「なんでも、昨夜だけで百数人の人が謎の怪物に襲われ大半の人が死んだんだと…。その怪物は毛むくじゃらの怪物だったらしいです。」

 

健二の言葉に櫂達はあの大男への疑惑を深める。

 

櫂(そういえばさっきの木偶の坊も、毛むくじゃらな服を着ていた。もしや……)

 

ヒカル「とにかく、今はあの男を探しましょう。」

 

櫂「ああ。見つければ何か分かるかもしれないしな。」

 

櫂達は再び駆け始めた。

 

 

 

それから約二時間後、早苗たちはタイショーに勉強を教えた後、おさらいとしてテストを作って回答させた。

 

 その結果……なんとタイショーは82点を記録したのだ!早苗たちの教えがいいのかタイショーの理解力がいいのか、それはともかく三人は最終的に良い結果を残せたことを喜び合った。

 

 ………だが、当の本人のタイショーはどこか浮かない顔をしている、それどころか再び泣き始めていた。

 

 早苗「…どうしたの?タイショー君………ん?」

 

 早苗はタイショーのテスト用紙を見て何かに気付いた。

 

 それは嬉し泣きではなく、問題文に書かれていた『お母さんと別れた~』と言う部分を見て、母親が怪我したことや恋人が殺されたことがフラッシュバックした事による泣きだった。

 

 早苗「……思い出しちゃったのね…よしよし、もう泣かないで。」

 

 早苗はタイショーの背中を摩る。だが、よく見てみると嬉し泣きも少し混ざっている様だった。

 

 早苗「こんな思いをしながらも、よく頑張ったね。」

 

 真美「オセロでもする?勝たせてあげるから。」

 

 タイショー「やらない。」

 

 海羽「じゃあ、紅茶で一息入れる?」

 

 タイショー「いらない。」

 

 真美と海羽は気晴らしを提案するが、タイショーはことごとく拒否してしまった。

 

 早苗「じゃあ、ちょっと散歩でもしましょうか?」

 

 早苗の言葉にタイショーは顔を上げる。

 

 早苗「外の空気でも吸ってスッキリしましょ?」

 

 タイショー「………うん。」

 

 かくして、三人はタイショーを連れて昼の散歩に出かけた。

 

外の空気を吸ったおかげか、タイショーは落ち着いていた。

 

 早苗は歩きながらタイショーに語り掛ける。

 

 早苗「タイショー君、やっぱり君は可能性に満ちてるよ。」

 

 タイショー「え?」

 

 早苗「私たちが教えてあげる時は目を輝かせてたし、お母さんの事を思い出したときは泣いてたでしょ?それがその表れだよ。」

 

 早苗は意味深も込めて話し続ける。

 

 早苗「タイショー君は、自分はもっと偉くなりたい、お母さんが元気になってほしい、それは願いだけではなく、そう言った可能性を信じてるからこそ瞳は輝いたり涙を流したりできるんだよ。」

 

 海羽「可能性の信じ様によって、瞳は様々な反応を示す……て事だね。」

 

 早苗「逆に、悪い可能性ばかり信じてると、瞳は輝きを失ってしまうわ。だからその調子で良い方への考えを忘れないでね。」

 

 早苗の言葉に再びいい方への可能性を信じる思いが強くなったのか、タイショーの瞳は再び輝いてるように見えた。

 

 真美「じゃ、ウルトラマンに頼んでお家に連れて帰ってもらう?」

 

 タイショー「え?そんな事できるのですか?」

 

 真美「うん。だってウルトラマンは、私の………」

 

 真美が言おうとしたその時、

 

 「み~つけた!」

 

 突如、早苗たちの前に大男が立ちはだかる。早苗たちは思わず身構える。

 

 早苗「あなた誰?」

 

 「引っ込んでろ!俺はそいつに用があるんだ!」

 

 その時、タイショーは何やら驚いてるようだった。

 

 早苗「この子に何をする気!?」

 

 「いいからどいてろ‼」

 

 “ガッ”

 

 早苗「キャアッ!」

 

 大男はあろうことか右横振りの右拳で早苗を殴り飛ばし、タイショーに歩み寄り始める。

 

 海羽と真美はその光景に驚愕しながらも咄嗟にタイショーと横たわる早苗の前に回り込み身構える。

 

 「お前らも邪魔するのか?……なら容赦はせんぞ!」

 

 大男は真美達を先に潰そうと拳を振り上げる。

 

 真美達はこれまでかと目をつぶった………!

 

 その時、

 

 健二「俺のさなちゅんに何しやがんだあああぁぁ‼」

 

 “ガシャーン”

 

 「‼ガハッ⁉」

 

 間一髪、大男を見つけた健二が早苗を殴られた怒りと共に突っ込み、大男の頭に思い切り壺をぶつける!

 

 健二の怒りの力が強かったのか、大男が石頭だったのか、壺は割れてしまったが効果はあったみたいで大男は頭を抱えて痛がる。

 

 櫂「真美達に手え出すんじゃねえええ‼」

 

 “ドガンッ”

 

 続いて櫂が、真美達を潰されそうになった怒りと共に突っ込み、跳躍しての右足蹴りで大男を吹っ飛ばす。

 

 かくして、大男を追っていた櫂、ヒカル、健二『男性陣』と、タイショーの面倒を見ていた真美、海羽、早苗『女性陣』が合流した。

 

 真美「櫂君。」

 

 海羽「ヒカルさん!」

 

 早苗「ケンちゃん…。」

 

 女性陣は、男性陣の登場に嬉しさを含めて反応する。

 

 ゼロ「やっと見つけたぜ。」

 

 櫂「そこまでだ!この外道野郎!」

 

 ヒカル「罪のない者を殺す事は許せない!」

 

 健二(タイショーの方を向いて)「愛する者を失う辛さ、分かります。」

 

 健二の言葉に女性陣は少し驚く。何故かと言うと健二の言葉がまるでタイショーの事を知ってるかのようであるからだ。

 

 早苗「ケンちゃん……何で知ってるの?」

 

 早苗は問いかける。

 

 ヒカル「ああ、大男とは違う特殊な反応を『ギンガスパーク』で感知して、念のためその反応のする場所の様子をギンガスパークの力で伺ったってわけ。」

 

 櫂「そして、そちらの様子を伺いながらでくの坊を追っていた所、奴はそれと同じところに向かっている事を知り、それによって大男とその生物(タイショー)が何かの関係があるのではないかと感づいたわけだ。」

 

 櫂達の戦士としての見事な勘に、女性陣は感心した。

 

 真美「戦士としての勘、流石だね。」

 

 海羽「そうだね!……あ、でもそれって、盗聴と同じなんじゃ………」

 

 櫂「おーっと!待て待て皆まで言うな。後でお詫びでクレープ奢ってやっからさ。」

 

 海羽「え?本当?やったー!」

 

 櫂「お前らもタイショーの為に一生懸命頑張ってらからな。ま、「お疲れ様」って事よ。」

 

 櫂は、事情が事情とはいえ盗聴したことを詫び、後で奢りをすることを約束する。………………………密かに舌打ちしながら。

 

 「お前ら、何処までもこのドギュー様を邪魔しやがって~‼」

 

 大男は逆上しながら立ち上がり、遂に自分の名を名乗る!櫂達は身構える。

 

 謎の大男の正体は、弱い者いじめが大好きな宇宙の嫌われ者怪獣『牡牛座怪獣ドギュー』が人間に化けた姿だったのだ。

 

 奴は宇宙で狼藉を働いていた中、ひ弱と見たタイショー一家も襲撃し、母親に重傷を負わせ、地球に迷い込んだタイショーをも殺そうとやって来たのである。

 

 ゼロ「ドギュー……お前の事は親父(ウルトラセブン)から聞いている………やっぱお前は反吐が出そうなほどのゲス野郎だぜ!」

 

 ドギュー「!!何だとッ!」

 

 事情を知った櫂は怯えるタイショーに歩み寄る。

 

 櫂「安心しろ。こいつは俺達がぶっ倒してやる。」

 

 櫂の言葉にタイショーは少し落ち着く。

 

 ドギュー「ハッ⁉お前らがこの俺を倒すだと⁉笑わせやがって!」

 

 櫂「笑ってんじゃねえ………」

 

 櫂は呟きながらゆっくり立ち上がり、そして鋭い視線でドギューの方を振り向く。

 

 櫂「何笑ってんだ!この木偶の坊‼」

 

 ドギュー「!!ッ何だと~!!」

 

 櫂は怒りのこもった声で怒鳴り、ドギューは逆上する。

 

 ヒカル「タイショーはすげえよ…お前なんかよりずっとな!」

 

 ドギュー「何ッ⁉」

 

 健二「愛する者を殺されても、希望を捨てずにさなちゅん達の助けで少しながら強くなったからな。」

 

 ゼロ「それに比べてお前は、その顔…その目は何だ⁉ 「俺はこの後も、もっと多くの者を殺せる」みたいな目をしてるぜ!」

 

 ドギュー「うっ!………」

 

 どうやらドギューは図星を突かれたみたいだ。

 

 ドギューも少し怯むほど、男性陣の怒りは凄まじいモノである。何故ならみんな愛する者がいるもの同士。それ故に愛する者を失った者の気持ちが誰よりも分かるからである。

 

 健二「でもタイショーは、愛人を殺され、家族が重症になっても、希望を捨てず、少しずつ強くなっている。」

 

 櫂「だから………「これからも多くの命を奪える」………そんな負の可能性しか信じてないお前なんか、タイショーの足音にも及ばねーんだよ‼」

 

 櫂達の言葉に、タイショーは嬉そうに手を合わせて櫂達を見守る。

 

 ドギュー「えーいごちゃごちゃうるせー!少しずつが何だ!力では俺様が上だ~!!」

 

 ドギューは逆上し、拳を振り上げ櫂達に襲い掛かる。

 

ドギューは右拳を振り下ろすがヒカルは咄嗟にギンガスパークでそれを防ぎ、腹部に数発左拳を決めて右前蹴りで吹っ飛ばす。

 

 続いて櫂が側転、バク転で近づいた後に右後ろ蹴りを胸部に打ち込む。

 

 ドギューは怯まず拳を振るって反撃するが、櫂はそれをことごとく両腕で防ぎ、ドギューの右膝に左ローキックを打ち込んでバランスを崩させた後に右膝蹴りを胸部に打ち込んで転倒させる。

 

 そして櫂はドギューの右腕を掴み、一本背負いで投げ飛ばす。ドギューは地面に落下した。

 

 ドギュー「おのれ……このドギュー様をコケにしやがって……うおああぁぁぁ‼」

 

 立ち上がったドギューは、人間体では不利と見たのか、雄たけびと共に黒いオーラの様な物を発散させながら巨大化していき、牛と熊を合わせたような外見が特徴の本来の姿『牡牛座怪獣ドギュー』となった!

 

怪獣体となったドギューは咆哮を上げながら、鋭い爪を活かした剛腕でビルを崩して暴れつつ櫂達を踏みつぶそうと近づく。

 

特に頭の角を活かした突進は強烈で、一撃で高層ビルが崩れてしまうほどである。

 

 海羽「これ以上タイショー君を泣かせはしないんだから!」

 

 海羽はドギュー向けて叫んだ後、タイショーの方を振り向く。

 

 海羽「………ちょっと待っててね。」

 

 そう言うと海羽はドギューの方へ駆け出し、走りながら懐から『ハートフルグラス』を取り出し目に当てる。

 

 海羽は赤とピンクの光に包まれ巨大化し『ウルトラウーマンSOL(ソル)』への変身を完了する。

 

 ドギューもソルの登場に気付き襲い掛かる。

 

 ソルはドギューの振り下ろして来た右腕を即座に掴み、そのまま右膝を踏み台にし、肩車をしてもらうように飛び乗り「エイ、エイ、エイ、エイ、……」と掛け声を上げながら頭部に小刻みのパンチを連打するが、ドギューは前方に身体をかがめてソルを振り落とす。

 

 ドギューは仰向けのソルに襲い掛かるがソルはドギューの顔面を蹴りながらの跳ね起きで起き上り、直ぐに左脇腹に右横蹴りを打とうとするがドギューはそれを左腕で掴んで受け止める。

 

 だがソルは怯まず、そのまま跳躍し左横蹴りを頭の右側面に打ち込む。

 

 蹴りはクリティカルヒットだった………だがしかし、ドギューはそれでもソルの右脚を掴んでいる左腕を放さない。

 

 ソルが驚いている隙にドギューは自慢の怪力でソルを振り回し投げ飛ばす。

 

 ソルは地面に落下するが、転がり起き上りながら右手を突き出し『ゴッドスラッシュ』を発射する。しかしドギューは頭部を振るってゴッドスラッシュを角で弾いてしまった。

 

 その後ドギューは、動揺するソル目掛けて「甘いわ!」とばかりに角を活かした突進を繰り出す。巨体の怪獣の突進を喰らったソルはたまらず数十メートル吹っ飛びビルに激突した。

 

 弱い者いじめ大好きで暴力的な嫌われ者だけあり、ドギューは女の子であるソルを力の差を見せつけるかのように痛めつける。

 

 ドギューに苦戦するソルを心配そうに見守るタイショーと健二と女性陣。

 

 その時、櫂はヒカルに語り出す。

 

 櫂「フッ………海羽に先を越されたな。」

 

 ヒカル「え?」

 

 櫂「昔、女子(おなご)は戦いに出る男の帰りを待つ者だった………。だが今では、このように女子も男と同じように戦えるようになっている………。(ヒカルの方を振り向いて)俺達も、ますます負けてられないな!」

 

 (そう………女なんかに負けてられないからな………。)

 

 櫂はひっそりと不敵な笑みと共に心で不吉な事を呟く。

 

 ヒカル「………おう!俺達も、愛する者を失った者(タイショー)の気持ちに応えてやらないとな!」

 

 ゼロ「二人とも………上等だ!」

 

 櫂とヒカルは決意に満ちた表情で見つめ合う。そして、タイショー達を背に横に並び立つ。

 

 二人の顔を見た健二は安心の表情に変わる。恐らく決心をした二人の眼差しに、あの強敵(ドギュー)を倒せる可能性………いや、確信を見出したのであろう。

 

 ヒカルは懐から『ギンガスパーク』を、櫂は左腕のウルティメイトブレスから『ウルトラゼロアイ』を出現させる。

 

ヒカルはギンガスパークの側面のスパークブレードを展開させることで出現させたギンガのスパークドールズを掴み取り、伸ばした腕を8の字を描くように振った後正面でギンガスパークにリードする。

 

 《ウルトライブ!ウルトラマンギンガ!》

 

 櫂「レッツ、ゼロチェンジ‼」

 

 櫂の掛け声と共にゼロアイは櫂の目にくっ付く。

 

 ヒカル「ギンガー‼」

 

 ヒカルはギンガスパークを高く揚げる。二人は眩い光に包まれ、中から『ウルトラマンゼロ』と『ウルトラマンギンガ』が登場し、土煙を上げて着地する。

 

 今ここに、乱暴者の怪獣に怒りを燃やす新ウルトラタッグが降り立った。

 

 ソルも二人の登場に気付く。

 

 海羽「来てくれたのね………。」

 

 ドギューは再びソル目掛けて角を突き立てた突進をするが、ソルは即座に右にそれる事で避け、それと同時に「よいしょ!」という掛け声でドギューの顔面にヒップアタックを決める。

 

 ドギューはバランスが崩れ転倒した。横からの攻撃とはいえドギューの突進を崩すとは、彼女の尻はどんだけ強いのだろうか………(笑)

 

 ソルはゼロ達の元へ駆け寄る。そしてゼロ、ギンガとソルはゼロをセンターに並び立つ。

 

 もはや怖い物無し、ここから逆転開始だ!

 

 と思ったその時、

 

 突如、上空から赤黒い渦のような光線が降り注ぎ、それがタイショーに直撃する!

 

 健二と早苗、真美が光線が降り注いだ衝撃で吹っ飛ばされ、光線を浴びたタイショーは赤黒いオーラや稲妻の様な物を発散しながら巨大化していく。

 

 そして巨大化したタイショーは我を失ったのか、雄たけびを上げて暴れようとする。

 

 突然の出来事にウルトラ戦士、そして真美達は驚愕する。突如降り注いだ光線は一体何なのだろうか………?

 

 何はともあれ、タイショーも止めなければならない………ソルは数秒間、暴れるタイショーを見つめた。

 

 海羽「タイショー君は私に任せて。二人はドギューを頼むわ。」

 

 海羽はタイショーを救う事を決め、ゼロと数秒見つめ合う。

 

 ゼロ「………分かった。頼んだぜ。」

 

 ゼロとソルは拳をかわした。ソルはタイショーに向かって駆け始める。

 

 ゼロとギンガはドギューの方を向き、構えを取る。

 

 ゼロ「ここからは男と男の戦いだぜ。櫂。」

 

 櫂「ああ。行こうぜゼロ。」

 

 ヒカル「ここからは俺達のステージだ‼」

 

 (BGM:DREAM FIGHTER)

 

 二大ウルトラマンVSドギューの戦いが始まった!

 

 ギンガは上空に飛び、ゼロはドギューに接近する。

 

 ゼロはドギューが振り下ろして来た右腕を右腕で掴み、同時に左手で角を掴んで抑え込む。

 

 ヒカル「ギンガサンダーボルト‼」

 

 ゼロがドギューを抑え込んでいる間に上空からギンガが右手を突き出し『ギンガサンダーボルト』を放つ!

 

 電撃が直撃してドギューが怯んだ隙にゼロは腹部に二発右横蹴りを打ち込み、顔面に右側面に左拳を叩き込む。

 

 ドギューは鋭い爪を活かして腕を振り回して反撃するがゼロはそれをバク転でかわした後、両手で頭部のゼロスラッガーを飛ばす。

 

 二本の宇宙ブーメランは複雑な軌道を描きながら飛び、瞬く間にドギューの頭部の二本角を切り落としゼロの頭部に収まる。

 

 ゼロは再びドギューに駆け寄り右ヘッドロックをかけてそのまま地面に叩きつける。だがその直後隙をつかれて爪を活かしたパンチを胸部に二発喰らい火花を散らして吹っ飛ぶ。

 

 ドギューは倒れるゼロを掴んで起き上らせ、更に攻撃を加えようとするが、ゼロは腹部に左右パンチを打ち込み、それによってドギューが手を放した後さらに顔面の左右側面にパンチを浴びせる。

 

 そしてゼロはドギューの左腕を掴んで一本背負いで地面に叩きつけた。ドギューは地面を転がって起き上った後、不利と見たのかゼロから逃走しようと駆け出す。

 

 だが、そんなドギューの行く手をふさぐ様に、前方にギンガが着地する。

 

 ギンガはドギューに駆け寄った後、腹部に右横蹴りを打ち込み胸部に二発パンチを決め、更に腹部に右横蹴りを二発打ち込み、顔面の右側面に左拳を叩き込んだ後背部に左横蹴りを打ち込んで転倒させる。

 

 ギンガはドギューがうつ伏せに倒れた所に追い打ちをかける様に跳躍して踏みつける様に右膝を叩き込む。

 

 今度はゼロがうつ伏せに屈むドギューに左横蹴りを打って転がし、更に左腕を掴んで起き上らせた後胸部に右拳を打ち込み、更に一回転しての右足蹴りを胸部に叩き込む。

 

 ゼロはドギューの背中を蹴りギンガの方へ飛ばす。ギンガは顔面の右側面に左拳を打った後一回転して右拳を腹部に叩き込む。

 

 ドギューがふらついたところでゼロとギンガはそれぞれ左右から同時に足払いを決めて転倒させる。

 

 そしてそれぞれ左右の腕を掴んで起き上らせた後、ゼロは左足、ギンガは右足の前蹴りを同時に打ち込んで吹っ飛ばす。

 

 二大ウルトラマンタッグにフルボッコされ完全に劣勢となったドギュー。しかし奴は運が悪かった。何故ならゼロにギンガと二人の強力なウルトラマンの怒りを買ってしまったのだから。

 

 まあ、奴はこれまで様々な命を奪い、弱い者を泣かせてきたのだから、それに相応しい報いを受けたと言えよう。

 

 ゼロ「(右腕の肘から先を回しながら)さ~て、そろそろ決めるぜ!」

 

 ゼロは空高く飛び上がり空中で静止する。

 

 ドギューが上空のゼロに気を取られている隙にギンガは『ギンガスパークランス』を持って駆け寄り、先端を腹部に突き立て、力一杯上空にかち上げる。

 

 その後ギンガは両腕を前方で交差させ、S字を描くように左右に大きく広げた後L字に組む。

 

 ヒカル「ギンガクロスシュート‼」

 

 ギンガは上空のドギュー目掛けて必殺光線『ギンガクロスシュート』を放ち、それと同時にゼロも両腕をL字に組んで必殺光線『ワイドゼロショット』を放つ!

 

 上空で二つの光線はドギューを挟み込むように直撃。二つの光線に文字通り“挟み撃ち”にされたドギューは空中で大爆発。

 

 ゼロ「(右親指で口元を擦りながら)ヘッ………汚ねえ花火だぜ。」

 

 ギンガと共にドギューを撃破したゼロは気障なセリフを吐いた後着地し、ギンガと共にソルの戦いを見守り始める。

 

 一方ソルは、殴り飛ばされたりなどタイショーに意外と苦戦していた。恐らく説得するために攻撃を控えているからであろう。

 

 海羽「お願いタイショー君、目を覚まして!」

 

 ソルはタイショーに掴みかかり必死に呼びかけるが、タイショーは「離せ!」とばかりにソルを叩き始める。洗脳されたが最後、誰の声も届かないのであろうか………?

 

タイショーは左肩を掴んでいたソルの腕を振り払い、顔や胸を叩いて吹っ飛ばした。

 

ソルは地面に落下した後即座に立ち上がり構えを取る。何か良い方法は無いのであろうか………?

 

 その時、海羽は何かが語り掛けているのを感じ始める。海羽はその声に耳を傾け始める。

 

 ???「も………もう………だめだ……体が勝手に………。」

 

 海羽「!タイショー君⁉」

 

 それはタイショーの声だった。どうやら善の心は完全に失ってなかったようだ。そのわずかに残った善の心がソルの心中に入り海羽に話しかけているのであろう。

 

 タイショー「やっぱり僕は、落ちこぼれの、ダメ怪獣だ………強くなれず、良いように扱われる運命なんだ………。」

 

 海羽「タイショー君は、ダメ怪獣なんかじゃないよ!!」

 

 タイショー「え?」

 

 海羽の叫びにタイショーは反応する。

 

海羽「タイショー君は、全然ダメ怪獣じゃないよ! だって……尻餅ついた真美ちゃんを心配してくれたじゃない! 怪我しているお母さんを心配してたじゃない! それに、学力も付いてきてるじゃない!………私、タイショー君は優しいし理解力もあるからとても凄いと思うよ!」

 

海羽の必死の呼びかけにタイショーは動きが止まる。気が付いたらソルは目から涙のような光が溢れ出ていた。

 

海羽は良くも悪くも涙もろく、それはソルに変身しても変わらないのである。

 

タイショー「……泣いてるの?僕のために。」

 

ソルは慌てて涙(?)を拭く。

 

海羽「うん。あなたはもっと強くなれるわ。その可能性を信じてるからこそ涙が出ちゃう……それに、女の子だもん。」

 

海羽の言葉を聞き、ソルの瞳を見たタイショーは再び自身の可能性を信じる気持ちが強くなったのか、完全に動きを止める。徐々に善の意識が戻りつつあるみたいだ。

 

ゼロ「…よくやったな海羽。」

 

ゼロはソルの元に歩み寄り肩に数回手を当てる。

 

海羽「ありがとう。」

 

ゼロ「今なら元に戻せるぜ。」

 

海羽「私に任せて。コスモスさんをヒントに新技が出来たから。」

 

そう言うとソルは数本前に出た後、両手を目に当てて優しい光を溜め、その両手を突き出してオーロラのような光線に変えて発射する。

 

海羽「ゴッデスピュアリファイ。」

 

ゴッデスピュアリファイ。それはソルが『ウルトラマンコスモス』の鎮静技『フルムーンレクト』をヒントに新しく身につけた技であり、オーロラのような優しい光で包み込み、怪獣の興奮を鎮めたり善の怪獣に取り付いた悪のエネルギーのみを消し去ったりなど様々な奇跡の効果を発揮するのだ。

 

 オーロラのような光に包まれたタイショーは赤黒いオーラを発散しながら小さくなっていく。そして元の等身大の姿に戻った。

 

 ゼロ「すごいじゃないかソル!」

 

 海羽「(自身の後頭部を撫でながら)エヘヘ……。」

 

 

 

 三人のウルトラ戦士は変身を解いた。そして真美達と合流する。

 

 真美達は別れを惜しみつつも、ウルトラマンにタイショーを送ってもらう事を決めた。

 

 タイショー「ありがとうございました。おかげで自分に自信がつきました。」

 

 真美「次合う時は、もっと強く、偉くなれてるといいね。」

 

 海羽「また遊ぼうね!(首かしげてピース)」

 

 タイショーは、特にお世話になった真美、海羽、早苗に礼を言う。

 

 早苗「タイショー君ならきっとなれるわ。だから、自分の可能性を信じて忘れないでね。」

 

 タイショー「うん!」

 

 その時、タイショーの目はいつもの輝きを取り戻しているように見えた。

 

 それは間違いなく、櫂達男性陣の勇気と、真美達女性陣の優しさが、彼に再び自信を持たせることに成功した証であろう。

 

 海羽は再びハートフルグラスを目に当てソルに変身する。そしてタイショーを掌に乗せ宇宙へ飛び始めた。

 

 櫂達は手を振り「さよなら」を言いながらタイショーを見送る。

 

 櫂「あいつ、学校をさぼってたらしいな。今後ちゃんと真面目に勉強するのだろうか…」

 

 早苗「大丈夫ですよ!タイショー君ならきっと。」

 

 早苗は櫂の方を振り向く。

 

 櫂「なぜそう言い切れる?」

 

 早苗「だってさっき勉強教えた時、ちゃんと理解してくれてましたから。それに、別れ際のタイショー君の瞳は輝いてました。きっと彼、「自分はもっと偉くなれる」という可能性を信じる気持ちが強くなったのですよ。」

 

 櫂「成る程、『可能性の瞳』か。ま、例え落ちこぼれでも、努力次第でやり直せる。それには人間も怪獣も無いって事だな。」

 

 櫂は早苗の言葉に納得する。

 

 ゼロ「櫂、お前の目も輝いてるぜ。お前きっと「悪を殲滅できる」という可能性を信じてるんじゃないのか?」

 

 櫂「え?……ま、まあ、そうだ。ゼロ、今後も頑張ろうぜ!」

 

 ゼロ「おう!」

 

 櫂はゼロと話した後、ひっそりと真美を見つめ始める………。

 

 真美「どうしたの?櫂君。」

 

 櫂「え?い、いや、何でも。」

 

 真美「そう。(笑顔で)お疲れ。」

 

 櫂は真美に「サンキュー。」とばかりにサムズアップを向けた。

 

 

 

 その頃、ゼロとギンガはどこか白い空間に立っていた。ギンガは何やらゼロに話があるらしくギンガスパークを通じてゼロアイの中のゼロを呼び出したのだ。

 

 ゼロ「ギンガ、何だ?話って。」

 

 ギンガ「君が今共に戦っている青年(竜野櫂)。彼からは何となくだが僅かに邪悪な物を感じる気がするんだ。」

 

 ギンガの思いがけない言葉にゼロは驚く。

 

 ゼロ「邪悪なものだと⁉」

 

 ギンガ「ゼロは特に何も感じなかったか?」

 

 ゼロ「ああ。奴は正義感高く人思いの好青年にしか思えないが………。」

 

 ゼロはどうやら、まだ櫂の二面性に気付いてないみたいだ。

 

 ギンガ「そうか………。だとしたら私の思い違いかもしれない………。」

 

 ゼロ「まあ、とにかく、今後も共に頑張って行こうぜ。」

 

 ギンガ「ああ………。」

 

 ゼロとギンガは分かれ、それぞれ変身アイテムへと戻って行った。

 

 ゼロアイに戻った後もゼロはモヤモヤが収まっていなかった。

 

 突然ギンガがあんなことを言い出すなんて………もしかしたら何かあるのかもしれない………。

 

 櫂「ゼロ?どうした?おーい。」

 

 ゼロ「⁉おっと、どうした?櫂。」

 

 櫂「お前も戦い疲れてるんだな。ま、今日は休もうぜ。明日はライブだし、今後襲って来る敵にも備えてな。」

 

 ゼロ「……おう、サンキュー。」

 

 やはり、この青年が邪悪なはずがない。ゼロはそういう確信を持ち続けていた。

 

 ヒカル「俺はこれからショウと合流しようと思います。」

 

 櫂「ああ。じゃあ今日はひとまずここで。」

 

 櫂はヒカルと別れを告げ、真美と共に帰り道を歩き始めた。

 

 

 

 [エピローグ]

 

一方、宇宙船テライズグレート内では、桜井敏樹が何やら宇宙人と話をしていた。

 

 敏樹「ドギューめ、口ほどにもない奴だ。しかし今回で、お前の能力とやらをじっくり拝見することが出来たぜ。」

 

 ???「この光線を浴びれば、どんなに善良な怪獣も思いのままですぞ!」

 

 敏樹「今回は破られてしまったが、なかなかの効力だな。」

 

 ???「でしょ~?今後はこの能力も有効に使えると思いますぜ。我が『アクマニア念力』は。」

 

 敏樹と交渉している宇宙人。それは緑の丸っこい身体に巨大な一つ目が特徴の『宇宙悪霊アクマニア星人』である。

 

 先ほどタイショーを暴れさせた光線は彼の洗脳光線『アクマニア念力』である。

 

 敏樹「良いだろう。今後も頑張りたまえ。僕の刺激のためにもね。」

 

 敏樹はアクマニア星人の能力を見込んだのか、新たな幹部宇宙人として働くことを許可した。

 

 アクマニア星人「光栄ですぞ。必ずしもウルトラ戦士どもを、フフフフフフ………。」

 

 新たな刺客が増えた敵勢。今後も激しい戦いが続きそうである。

 

 

 To Be Continued………。

 

 

(ED:ウルトラの奇跡)




 読んでいただきありがとうございます。

 今回は後半戦第1話と言う事で比較的シンプルなものに仕上げ、ウルトラマンも本作の主役でもあるゼロとギンガのタッグの活躍を描きました。

 また、健二君と早苗ちゃんは今後も櫂たちの協力者として登場するかもしれません。

今後もウルトラ戦士達のタッグマッチ、驚きの展開や驚きのゲスト、敵キャラ等が登場していくと思いますので期待はほどほどに(笑)楽しみにしていてください。

 これからも本作をよろしくお願いします。

 ところで時事の話題ですが、ウルトラマンゼロとセーラー〇ーズが遂に結婚しましたね(笑)

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