ウルトラマンゼロ物語(ストーリー) in RED ZONE STAGE   作:剣音レツ

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皆さん、お待たせしました!


今回の主役は、本作でも特にアツアツ(?)の高校生カップル、稲葉健二君と小野早苗ちゃんです!

また、今回はあの“地球のウルトラマン2人”も参戦します。

そしてこの2組の出会いが、とびっきりの奇跡を起こります!


また、そのウルトラマン2人が初登場ということで、そのウルトラマンの主題歌を思わせるセリフも入れてみました!是非探してみてください(笑)


また、いつものようにサブタイトルを1つ隠しており、あと隠しネタとして私の大好きな“とある戦隊”のセリフも散りばめられています(笑)


それでは、どうぞ!


第27話「地球の目覚め」

 (OP:英雄の詩)

 

 

 礼堂ヒカル(ウルトラマンギンガ)と眞鍋海羽(ウルトラウーマンSOL(ソル))達が、八幡那須ヶ岳村と大熊地獄ヶ岳に平和を取り戻したほぼ同じ頃、

 

 竜野櫂と新田真美は、引き続き二人きりのショッピングを楽しんでいた。

 

 二人は先ほど服屋に寄っており、真美は何かお気に入りの服でも見つかって買ったようであり、手に持つハートなどで可愛らしく仕上がっている紙袋の中を覗き込みながらルンルンと歩いていた。

 

 

 櫂「良かったな真美。目星の物が見つかって。」

 

 真美「うん!櫂君に協力してもらったおかげだよ。試着に付き合ってくれてありがとね。」

 

 櫂「えっ?…ま、まあ、俺はちょうどしっくり来るものがなくて暇してたから、それなら真美にお似合いの服を見つける手伝いでもしようかな〜って思っててね。あはは…。」

 

 お礼を言う真美に、櫂は少し照れ臭そうに返した。

 

 真美「でも櫂君、ホントに見る目があるよ。このコーデ、私でも思いつかなかったわ。」

 

 櫂「そうか?真美も結構いい線ついてたけど思うけどな〜。」

 

 

 …とまあ、こんな感じで楽しそうに会話をしながら歩く櫂と真美。

 

 

 その一方で櫂と一体化し、櫂の左腕のウルティメイトブレスレットに宿っているウルトラマンゼロは、何やら考え事をしていた。

 

 ゼロの脳裏に、先ほど真美とぶつかった男の姿が浮かび上がる。

 

 ゼロ「さっきの男…さては“あいつ”なのか?…まさかあいつも、この世界に来てたとはな…。」

 

 どうやらゼロは、彼と以前面識があるみたいであり、既に誰なのか見当がついているようであった。

 

 

 そんなゼロの考え事も他所に、なおも櫂と真美は楽しそうに話しながら歩く。

 

 真美「それにしてもお腹すいたな〜。時間的にもちょうどいいし、お昼にしようよ。」

 

 櫂「それもそうだな。さ、て、どこで食べようか…」

 

 真美「私は今日パスタの気分だな〜。」

 

 櫂「そうか。俺はなんだかピザ食いてーし、じゃあイタリアンにするか!」

 

 真美「(満面の笑みで右腕を挙げて)賛成ー!」

 

 意見が合致した櫂と真美は、昼ご飯の時間にすることにした。

 

 櫂「確かこの近くにイタリアンのレストランがあったはず…。」

 

 

 

 櫂と真美をはじめ、多くの人々が歩き回る晴天に恵まれた都会の街並み。

 

 

 だが、そんな平和な街に魔の手が迫ろうとしていた…!

 

 

 突然、晴れ渡った空がヒビ割れ、そこから緑色に爛々と怪しく光る複眼のような物が現れる。

 

 そして何かを探すようにぎょろぎょろと街を見渡し始める…。

 

 

 怪しげな眼は、まるで人々のみを見つめているようであった…。

 

 

 しばらく人々を見続けていると、やがてとある人物に狙いを定めた!

 

 

 それは、櫂と楽しくデートしている女性・新田真美だった!

 

 

 『この娘だ…!』

 

 どこからか怪しげな声が響く…。

 

 

 一方で櫂と真美は、近くのイタリアンレストランの位置をググって調べていた。

 

 櫂「お、真美、こっから10分程度のところにあるみたいだぞ。」

 

 真美「そう。それじゃ、行きましょー♫」

 

 

 真美が陽気に鼻歌歌いながら行こうとしたその時!

 

 

 “ズゴゴゴゴゴ…”

 

 

 真美「!?、きゃーっ!」

 

 

 突如、真美の足元の地面が崩れ始め、真美はその中へと引きずり込まれ始める!

 

 

 真美「櫂君ー!」

 

 櫂「はっ、真美っ!」

 

 突然の出来事に驚く櫂。真美は助けを呼ぶように櫂に呼びかける。

 

 

 まるで蟻地獄のような砂の渦は、なおも容赦なく真美を引きずり込んでいく!このままでは真美が地面の底へと沈んでしまう!

 

 

 櫂「一体どうなってんだ!?これは…、」

 

 

 ゼロ「櫂!それよりも早く真美を助けるぞ!

 

 

 お前が誰よりも守りたい女なんだろ?」

 

 

 ゼロは若干皮肉を込めて櫂に呼びかける。

 

 櫂「ちっ、こんな時に都合のいい事言いやがって…! まあいい、今行くぞ真美!」

 

 

 櫂が真美を助けようとゼロに変身しようとしたその時!

 

 

 “ピキーン”(所謂光が現れる音)

 

 

 突如、砂の渦の中心から発行音と共に赤い光が現れる、、、!

 

 

 櫂「…何だ?これは…。」

 

 真美「一体何?…ひゃっ!?」

 

 突如現れた光に驚きや戸惑いを隠せない櫂と真美。すると、砂に飲み込まれそうになってた真美はその光に掬い上げられるように宙を浮く。

 

 そして、地上の櫂の横におろされた。

 

 櫂「…大丈夫か?真美。」

 

 真美「私は大丈夫…それより、何だろう?あの光…。」

 

 二人は砂の渦の中心から現れた光を見つめる…すると、やがて砂の渦はその赤い光を飲み込むように消滅し、元のコンクリートの地面に戻った。

 

 

 突如起こっては何事も無かったかのように消えた目の前の一瞬の出来事に戸惑いを隠せない櫂と真美。

 

 櫂「何だったんだろうな?今のは。」

 

 

 健二「櫂さん!真美さん!」

 

 その時、突然声をかけながら走ってくる一人の少年に二人は反応する。

 

 それは櫂たちの知り合いの高校生・稲葉健二であった。

 

 櫂「おお健二、久しぶりだな。」

 

 健二「ええ、櫂さんこそ、お元気そうで。」

 

 真美「あら?今日は一人?」

 

 健二「ええ、さなちゅんは別の用事があって。」

 

 因みに彼、同級生で幼馴染の小野早苗とは彼氏彼女の関係であり、お互いの事をケンちゃん、さなちゅんと呼び合っている。

 

 

 健二「それよりも、先ほどこの辺で妙な蟻地獄のようなモノを見ませんでしたか?」

 

 健二が二人に問いかけた事、、それはまさにさっき目の前で起きた事であった!

 

 櫂「ああ、見たも何もさっき真美がそれに飲み込まれそうになってな、一瞬焦って助けようとしたら、今度はそこから赤い光が現れてよ。」

 

 真美「うん。その光のおかげで私は助かったんだけどね。」

 

 

 健二「…やっぱりですか…。」

 

 櫂・真美「え?」

 

 健二「いや、実は最近ニュースも取り上げてるんですけど、何でも、近頃この辺で謎の女性失踪事件が起きているんですよ。」

 

 櫂「ああ、それなら俺も最近ちょっとニュースで見た気がする。」

 

 真美「あんまりじっくりは見れてないけどね。」

 

 健二が語り出した事。それは、最近霞ヶ崎の至る所で突然女性が失踪するという謎の現象が起こっており、それは正に間違いなくさっき櫂の目の前で起こった事なのである。

 

 更に、それを目撃した者は必ず「蟻地獄を見た」と言うのだが、警察側では決定的な証拠が掴めておらず、今現在ではホログラフィーを使った誘拐事件として捜査が進められているという。

 

 

 ゼロ「なるほど、そんな怪事件が、ここ霞ヶ崎で起こってるのか。」

 

 真美「何だか不気味だわ。女性だけが次々と蒸発していくなんて…。」

 

 真美は少し寒気を感じたかのように身震いする。

 

 櫂「だな。きっと誘拐犯は相当な変態かエロおやじに違いないぜ。早く見つけてとっちめてやんねーとな。」

 

 健二「それがですね、女性が消えた。問題はそこだけじゃないんですよ。」

 

 

 すると健二は、真美にある質問をする。

 

 健二「真美さん、貴女は何型ですか?」

 

 真美「えっ?…私は、O型だけど…?」

 

 突然血液型の質問をされ、少し疑問を感じつつも自分はO型だと答えた真美。

 

 すると、健二の表情が更に真剣になった。

 

 健二「やっぱり…。」

 

 櫂「ん?何だ?失踪事件と真美の血液型が何か関係してるのか?」

 

 健二「ええ…実は最近事件の事をググって知ったんですけど、消えた女性はみんなO型という事が一致してるんですよ。」

 

 その発言に二人、特に真美は驚きを隠せなかった…!

 

 

 櫂「女性はO型限定か…ますます謎だ。」

 

 真美「どうしてだろう?犯人はO型の輸血が必要なのかな?」

 

 流石は医学部らしい推測をする真美。

 

 ゼロ「それにしてはやり方が乱暴過ぎないか? 健二、お前は何か心当たりはないのか?」

 

 健二「分かりませんね…とにかく、その事件の事が気になった俺は、最近この辺を探索してるんです。何か手掛かりが掴めたり、運良ければ犯人を見つけられるかなと思いまして。」

 

 櫂「そうなのか…まあくれぐれも気をつけろよ。あと犯人を見つけたら一人で無理せずすぐ警察に知らせるんだぞ。」

 

 ゼロ「そしてその犯人が宇宙人か怪獣だったら、櫂に知らせるんだ。」

 

 ゼロがそう言うと同時に櫂は左手のウルティメイトブレスレットを健二に見せるポーズを取る。

 

 

 櫂「どんな怪獣や宇宙人だろうが、俺がゼロと共に倒してやるぜ!(サムズアップ)」

 

 

 健二「分かりました。櫂さんと真美さんも引き続きデートをお楽しみくださいね。

 

 櫂さん、もしまた真美さんが危なくなったら頼みます。」

 

 

 櫂「おう!俺に任せろ。」

 

 爽やかな表情で返事をした櫂だが、その一方でひっそりと不敵な笑みを浮かべていた…。

 

 櫂(今の俺にはゼロの力もある…誰が真美を狙おうと、俺がこの力で…。)

 

 

 健二「それじゃあ俺はこの辺で。」

 

 櫂「じゃあなー!」

 

 真美「ちゃおー!(訳:さようなら)」

 

 手をふながら走り去る健二を見送る櫂と真美。

 

 

 櫂「んじゃ、気を取り直してお昼にしようぜ。」

 

 真美「(満面の笑みで)うん、そうだね。行きましょ。」

 

 手を繋いでレストラン向かって歩き始める二人。

 

 

 櫂「…真美…。」

 

 

 真美「…何?櫂君。」

 

 

 櫂「心配する必要、無いからな…例えお前に危機が迫っても、俺がマッハ全開で守ってやる。 ゼロと共に。」

 

 

 真美「(満面の笑みで)ありがとう。櫂君。」

 

 

 自身を守ってくれる櫂の言葉に、真美は嬉しさであどけない笑顔を見せる。

 

 

 一方、ゼロの方はというと、

 

 

 ゼロ(ちっ、櫂のヤツ、都合の良い事ばかり言いやがって…まあどんなに本心ドス黒かろうが、人々を守りたい気持ちに変わりはねーがな………それに真美を守ることが、コイツにとってアイデンティティーの一つみたいなもんだしな…。)

 

 

 やはり櫂の本心を知ってるが故に、複雑な心境に陥っていた…。

 

 

 

 やあ、俺は稲葉健二。

 

 俺は最近、この辺りで頻発している女性失踪事件の手掛かりを掴むために探索をしている。

 

 

 俺は実際、数日前から目の前で女性が一人ずつ砂の渦に飲み込まれていくところを目撃している。

 

 

 突如、女性の足元から蟻地獄のような砂の渦が広がり、引きずり込み始める…。

 

 助けを求める声を叫びながら必死に這い上がろうとする女性。しかしもがけばもがくほど砂の中に飲み込まれていき、やがて完全にその中へと沈んで姿を消す…。

 

 

 ある時は遊園地のティーカップ、ある時はアパートに入る前の空き地…。

 

 突然現れては消える謎の蟻地獄は一体何処から、そして何者が起こしているのだろう…?

 

 そして女性が失踪する度に、その遺族やカップルの男性の悲しむ姿がテレビに映し出される…。

 

 これ以上、誰かの涙も見たくない俺は一行も早く在り処を掴もうとしているのだが、その俺の焦りを嘲笑うかのようになおも被害が広がっていく…。

 

 

 だが、飲み込まれそうになった女性の中には助かった者も何人かいた。

 

 砂の渦の中に飲み込まれそうになった時、突如その中心から赤い光が射し込み始め、女性を掬い上げて地面に降ろす…。

 

 そして、赤い光は砂の渦と共に消滅する…。

 

 

 地面から現れる光…地底の中にもウルトラマンがいるのだろうか…?あり得ない気もするが。

 

 ビクトリーは地底人が変身するウルトラマンと聞いたことがあるが、あの光はビクトリーとはちょっと違った気がする…。

 

 謎な現象の連続…。

 

 でも、その時俺は、その光の中で何かを見た気がしたんだ…。

 

 

 光の中で見たビジョン…それは、とある赤茶けた砂漠のような大地で、大きな蟻のような怪獣、そしてそれと戦う赤い光を纏った巨人…。

 

 あまりはっきりしてなかったからよく分からないけど…その光景はウルトラマンと怪獣の戦いのようにも見えた…。

 

 

 謎の失踪に幻覚…とにかく謎な事が多いこの頃。

 

 とりあえず俺は、怪事件が多発する霞ヶ崎を駆け、手掛かりを突き止めることに専念していこうと思う。

 

 

 

 違う場所で頑張ってる、さなちゅんのためにも…!

 

 

 

 一方、そんな健二の彼女・小野早苗はというと。

 

 

 こんにちは。私は小野早苗。

 

 私は今、霞ヶ崎から離れた県にある海辺・蛍ヶ原海岸にいるの。

 

 

 え?水着で海に泳ぎに来たかって?

 

 

 違う違う(笑)私は、ある手掛かりを探しにここに来たの。

 

 

 ただっ広い純白の砂浜に足跡を残しながらよちよち歩く蟹、そこに静かに撃つ波、一直線を描いてどこまでも広がる青い海…これだけを見ると何事も無いように見えるんだけど…、

 

 

 問題は、ここから少し離れた場所での出来事。

 

 

 今私が歩いている砂浜から見える、数百メートルぐらい離れた海岸沿いの道路のある崖。

 

 

 一見何事も起こらない車が快調に走る道路に見えるけど…近づいてみるとそこには信じられない光景が待ち構えているの。

 

 

 道路の横のガードレールは何やら車が突っ込んだかのように破れていて、その先の空き地には車の残骸と思われる鉄くずに、なんと人の骨があちこちに転がっているの…!

 

 

 唐突に信じがたい怖い事言っちゃってごめんね…でも、これは事実なの。

 

 

 この奇妙な光景は最近ニュースも取り上げ始めていて、私はそのニュースを見て知って来てみたんだけど………その光景は実際に見てみると予想以上に惨いモノだわ…。

 

 ただ一つ分かるのは、何者かの仕業でこの道路を通る車やそれに乗っている人が襲われているという事だね。

 

 

 それにもう一つ気になる事が。

 

 現場に近づいてみると、何だか凄くアルコール臭い臭いがするの…飲酒運転の事故かな?と一瞬考えたんだけど、それにしては人が白骨化してたりと不自然な所があるからすぐに違うと気づくことが出来た。

 

 

 ガードレール破れた先に車の残骸や骸骨が散らばり、アルコールの臭いが漂う謎の光景…。

 

 一体誰の仕業なのか?それを突き止めるために私はこの海岸に来たの。

 

 

 早苗「よーし、必ず突き止めるぞー。」

 

 水色のワンピース姿に潮風でさらさらと靡く髪をかき上げて気合十分な私。あ、別に「事件よ起これ」と言ってるわけじゃないけれど、もし今私の目の前で事が起きたとして、それがもし怪獣とかの仕業なら、ウルトラマンに変身できる櫂さんや海羽さんに連絡できるからね。

 

 

 …でも、じーっと見つめてても一向に何かが起こりそうにない…。

 

 今日は何も起こらないのかな?…それはそれで平和っていう事でいいんだけれども…。

 

 私はやがてただ車が通り過ぎていく海沿いの道路を見つめていく内に暇になっていき、その場でしゃがんで砂浜を歩く蟹を指で突いたりなどして遊び始めている。

 

 

 気がついたら、とっくに昼を過ぎていた。

 

 早苗「あーあ、来るだけ損だったのかなー?」

 

 しゃがんで指で突いている蟹に語り掛けるようにそうぼやく私。

 

 早苗「ここまで来るのに電車片道1時間以上かかったのに…このまま帰るのもあれだしなー…。」

 

 

 とまあこんな感じで色々ぶつぶつ独り言を言ってたその時、

 

 

 賢「ヘい、か~のじょ!」

 

 

 早苗「!…へっ?」

 

 早苗は突然後ろから誰かに話しかけられて少し驚いて振り向く。

 

 

 賢「お困りのようですねぇ。」

 

 

 そこにいたのは、早苗と同じくらいの男女4人組と、三人の子供たち(男の子2人、女の子1人)だった。

 

 

 早苗「えっ、え~と…あなた達は?」

 

 突然見ず知らずの人に話しかけられた事に少し動揺する早苗。

 

 

 明人「ほら、彼女困ってんじゃねーかよ。」

 

 輝雄「だからやめとけって言ったのに…。」

 

 明人「賢はシスコンで女好きだからな~彼女いるのに…。」

 

 賢「んなっ!?……う、うるへー! 人をスケベでシスコンみたいに言うなっ! だって彼女めっちゃ困ってるみたいだったから話しかけただけだ!」

 

 明人「何だよ~賢がスケベでシスコンってズバリ正解じゃねーかよ~!」

 

 

 いつの間にか早苗そっちのけでいつものやり取りになってしまっている三人。早苗はそんな三人を少し困惑の表情で見つめる。

 

 

 愛「んも~お兄ちゃんったら…すいません、私たちは…。」

 

 

 愛という女性は代わって自分たちの事を早苗に話し始める。

 

 

 皆さん既にお気づきかもしれないが、彼らはフルータ星人…じゃなかった(笑) 古田兄妹(賢・愛)と、彼らの友人の鈴木明人、坂口輝雄なのである。

 

 彼らはとある事情により、“フルータ星人”を名乗ってヒカルと海羽から変身アイテムを奪い、トンダイルにさらわれた賢の妹・愛とその他の人々を取り戻そうとした高校生の若者たちである。(前回、前々回参照)

 

 

 最終的にギンガ達の活躍もあって、無事に愛やその他の人たちを助けることが出来た彼らは、ペナルティという意味も含めて子供たちを家に送る事になったのである。

 

 正にその真っ最中であった。

 

 

 早苗「そうですか…この子達のお家に。」

 

 賢「そ!あとはこの3人のお家がこの近くにあるみたいなんだ。」

 

 早苗「頑張ってくださいね。フルータ星人…ぷふっ…。」

 

 早苗は冗談交じりで賢たちをフルータ星人と呼んだ瞬間吹き出してしまう。

 

 賢「んなっ!?…なにがおかしんだよ〜!」

 

 早苗「だって…フルータ星人ってネーミング…安直で面白いんだもん…。」

 

 どうやら早苗は、フルータ星人がツボにはまってしまったみたいである。

 

 やがて早苗は、普段の物静かなイメージとはかけ離れるくらい爆笑し始める。

 

 

 輝雄「…こんなの…初めてだ…フルータ星人でここまで笑う人。」

 

 明人「良かったな賢!女の子にウケてもらって。」

 

 そう言いながら賢の背中を叩く明人。

 

 賢「いっ、いやあ、笑ってもらえたのはいいんだけど…複雑だぁ〜…。」

 

 少し困惑してしまう賢。だがすかさず気持ちを切り替え、何やら爆笑する早苗を見つめ始める…。

 

 

 賢「…夏の砂浜で、水色のワンピース姿で爆笑する儚げな美少女…いい…これはいい…いい画(え)になるぜっ…!」

 

 一人でボソボソそう言いながら、こっそりとカメラを構え始める、、、!

 

 

 明人「いや!なに撮ろうとしてんね〜ん!!」

 

 “スパーン”(所謂ツッコミのチョップ)”

 

 賢「?!っ、あうちっ!…ってーなああっ!!」

 

 賢…アンタ相当ヤバい奴かもしれない…?(汗)

 

 

 

 早苗とフルータ星人たちが楽しく話してる間にも、日が暮れそうになり始めていた。

 

 するとそこで、気になった輝雄が早苗に問いかける。

 

 輝雄「そういえば、早苗さんってどこから来たのですか?」

 

 早苗「あっ…。」

 

 ここで早苗はふと思い出す。自分は本来何しに霞ヶ崎から何駅も離れたこの海岸に来たのかを…。

 

 改まった早苗は自分がどこから来たのかを話し、ついでに何の目的で来たのかも話した…。

 

 賢「そうか…でも、なんの手掛かりも掴めないまま1日が終わろうとしてるわけだな。」

 

 早苗「えぇ…折角霞ヶ崎から来たのに…無駄な事だったみたい…。」

 

 明人「でも、諦めるのはまだ早いんじゃねーのか?」

 

 輝雄「そうそう、俺もそれニュースで知ってから興味を持ってたんだ。」

 

 二人の言葉に、諦めようとしていた早苗の心は揺れ動き始める。

 

 賢「そろそろ日が暮れるし…俺たちも実は霞ヶ崎出身でな、この子達を近くの家に帰したら、そこの民宿で宿泊しようと思ってんだが、良かったら一緒に泊まろうぜ。」

 

 そう言いながら賢は、数十メートル離れた先の別荘のような民宿を指差す。」

 

 早苗「えっ?…でも…あそこ宿泊費とかはどうなってるんですか?」

 

 明人「ああ、それなら問題ない。あそこは無人の宿泊施設でな、入り口に貯金箱があってそこに200円入れればOKだぜ。」

 

 

 早苗はしばらく考え悩んだ…そして、やがて決心した。

 

 

 早苗「では、お言葉に甘えて。」

 

 賢「よーし、決まりだな。」

 

 輝雄「一晩だけかもしれないけど…よろしくね。」

 

 明人「よろしく。…あ、でも、着替えとかはどうすんだ?」

 

 早苗「あ、それなら心配いりません。実は私、野宿覚悟で着替え一式、それから寝袋も持って来てるので…。」

 

 さらっと凄い事を言ってのける早苗に少し唖然となるフルータ星人一同。とても現役JKとは思えない考えである…汗

 

 彼女は物静かな一方で、強い意志も持っているのである。

 

 

 賢「お…おお、そっか。じゃあ問題ねーな。」

 

 愛「よろしくね。早苗さん。」

 

 早苗「よろしく。これで安心して操作ができるから嬉しいわ。」

 

 明人「おう。それに、夜になったら何か分かるかもしれねーし。」

 

 輝雄「俺たちも出来る限り協力するよ。」

 

 

 賢「とりあえず、まずは俺たちがこの子達を家に帰してくるから、ちょっと1時間ぐらい待っててくれ。悪いな。」

 

 早苗「いえいえ、大丈夫ですよ。」

 

 愛「一人にするのもあれだから…私、一緒に留守番するよ。早苗さんとも色々話してみたいし。」

 

 早苗「…(満面の笑みで)うん。」

 

 

 かくして、賢、明人、輝雄の3人のフルータ星人は子供達を家に帰すために連れて行き始め、早苗は愛と一緒に留守番をする事になった、、、。

 

 

 二人っきりになった瞬間、早速ガールズトークを始めている早苗と愛。

 

 そんな中、早苗は再び強く決心していた…。

 

 

 早苗(絶対に突き止めてみせるわ…。あの悲惨な光景は、一体誰の仕業なのかを…!)

 

 

 

 一方、先ほど櫂たちと別れ、謎のO型女性失踪事件の手掛かりを探している健二は、

 

 健二「くそっ…今日も何も分からないまま1日が終わるか…。まあいい。続きは明日にしよう。」

 

 そう言うと、捜査を打ち切って帰り道を歩き始める。相当走り回ったのか、汗をかいて息切れを起こしてしまっている。

 

 

 健二「必ず何かあるはずだ…突然現れては消える蟻地獄…その中から時たま現れる赤い光…幻覚かもしれんが、実際俺はその光の中のビジョンを目にしている。…そして確信したんだ。これはただ事ではないと…!」

 

 

 相当な強い執念を見せる健二。果たしてこの難事件、そして突如現れた赤い光についての手掛かりを掴む事が出来るのであろうか…?

 

 

 

 その夜、早苗はフルータ星人たちと一緒に民宿でバーベキューをしていた。

 

 因みにご飯は、賢持参の飯盒で炊いたものである。

 

 明人「いや〜それにしてもいいね〜!こう男女交えての夜のバーベキューって。」

 

 輝雄「それな。何だか合宿って感じが出でいいよな〜。」

 

 賢「お前ら分かってんじゃーん!」

 

 肉や野菜の刺さった串をがっつきながら、完全に場酔いで盛り上がっている男子3人。

 

 女子2人はジュースの入った紙コップを手に、座り込んで話し合っている。

 

 愛「あはは…んも〜お兄ちゃんったら…。」

 

 早苗「愛ちゃんのお兄さんって、面白い人だね。それに妹思いだし、とってもいい人だわ。」

 

 愛は少し嬉しそうな顔になる。早苗が兄・賢の事を褒めるのが嬉しかったのだろう。

 

 愛「それにしても早苗さんに既に彼氏がいたんなてね〜…いいなー、私も早く出会いが欲しい。」

 

 早苗「愛ちゃんならきっと出来るよ。しっかりしていて、優しいし。」

 

 愛「ありがとう早苗さん。私、頑張るわ。」

 

 

 だが、

 

 

 賢「うぉーい!!?愛は誰のもんでもねー!俺のもんだ!他の男には絶t…!」

 

 明人「まあまあ落ち着けよ賢。」

 

 シスコンの賢の猛烈な突っ込みを抑える明人、輝雄。そしてそれを少し困惑するように見つめる妹・愛と早苗…。

 

 

 …ダメだ、賢のやつ、場酔いが酷いとこまで行ってしまっている…汗

 

 

 早苗「ふふふふふ…面白いわね。賢さんたち。」

 

 愛「うん。ドキドキ愉快な人たちでしょ。お兄ちゃんたち。」

 

 改めて早苗が賢たちといる事に楽しさを感じ始めたその時、

 

 

 愛「…ん、わあすごい!」

 

 突然愛が何かに気づいて指を差し、早苗、残りのフルータ星人もその方向を振り向く。

 

 

 その先に見えたのは、海岸沿いの道路辺りの所に沢山の光る物が飛び回っている光景。

 

 

 見た感じその沢山の光は蛍である。

 

 

 早苗「本当だ。蛍があんなにいっぱい…。」

 

 

 明人「しっかし珍しいな。あんなにいっぱい飛ぶ蛍見た事ないぜ。」

 

 輝雄「ああ。夜の闇に飛び交う光。幻想的だねえ。」

 

 愛「凄いね、お兄ちゃん。」

 

 賢「おぅ!何だかいい感じになって来たぜ…。 (両手をメガホンにして)たーまやー!!」

 

 明人「(ツッコミのチョップを入れながら)いやいや、それ花火を見る時に言う事だから!」

 

 

 早苗「ホント、綺麗ね~…ん?」

 

 飛び回る蛍に見惚れていた早苗は、その光景をじっくり見ていく内にふとある事に気付く。

 

 

 早苗「…何だろう…あの白い煙…。」

 

 海岸沿いの道路の骨が転がってる辺りの所に飛び交う蛍の群れ、その近くには何やら白い煙のようなモノが浮かんでいたのである。

 

 

 少し怪しんでその煙と蛍の群れをじっくり見つめる早苗。だが、特に何か起こりそうな気配はなかった。

 

 

 早苗「他に近くでバーベキューしている人たちがいるのか、それとも誰かが何か燃やしているのかもね。」

 

 そう思い、早苗はやがて考えるのを止めた。

 

 

 

 やがてフルータ星人一同は早苗と一緒にバーベキューを片付け、風呂は近くの銭湯で済ませた。

 

 

 そして就寝の時間が来る。

 

 もちろん、部屋は男子と女子で別である(笑)

 

 

 賢「チクショゥ…今夜は早苗と寝れねーのか…。」

 

 明人「まあ、しゃーねーさ。折角二つ部屋があんだから、女子は女子で安眠せようぜ。」

 

 輝雄「それに賢寝相悪しい、寝るのが賢と一緒だと、早苗何されるか分からんからね~。」

 

 賢「ああ!言ったなぁ~!?」

 

 やがて男子部屋は枕投げを始めてしまっていた…。

 

 

 

 女子部屋の方はというと、二人とも一応寝袋の中なのだが…、

 

 

 早苗「ねえねえ、愛ちゃんってクラスに好きな人とかいるの?」

 

 愛「う~ん…気になる人はいたりするんだけどね。〇〇君もいいし、〇〇君もいいし…。」

 

 

 とまあこんな感じで、まるで修学旅行の消灯時間後の布団の中での密かなガールズトークのような会話を楽しんでいた。

 

 

 愛「ねえ、早苗さんの彼氏ってどんな人なの?」

 

 

 早苗「う~んそうだな~…

 

 彼はとても真面目で…」

 

 

 

 健二「へくしゅ…!」

 

 

 

 早苗「それ故に神経質で…」

 

 

 

 健二「へくしゅ!、へくしゅ!」

 

 

 

 早苗「でも、誰よりも人の事を思えるとてもいい人。」

 

 

 

 健二「ぶェっくしょーん!!」

 

 

 

 早苗が噂する度に、それに同調するようにくしゃみをする健二。

 

 

 

 健二「…何だ?今日は俺疲れてんのかな…?」

 

 

 

 愛「へぇー…とてもいい人と出会えたんだ。」

 

 早苗「出会えたって言うか…彼と私は幼なじみだったからそれらしい感情は前からあったりはしたんだけどね…。」

 

 愛「いいな~…私も早く良い男と出会いた~い。」

 

 

 

 一方、先ほどの海岸沿いの道路では、今でも大量の蛍らしき光が飛び回っており、その近くからは白いガスのようなモノが吹き出ていた。

 

 よく見てみるとそのガスは崖の岩壁から吹き出ており、更にそこからは何やら不気味な咆哮が鳴り響いていた…。

 

 蛍たちもよく見てみると大量にいるにも関わらず特定の位置しか飛んでいなく、その様子はまるで何かを待ち構えているようであった…。

 

 

 特定の方向しか飛ばない蛍、岩崖から吹き出ある謎の白いガスとそこから鳴り響く不気味な咆哮…これらから成るあまりにも不自然な光景は、裏で何者かが暗躍している可能性の方が大きいであろう。

 

 

 すると、数台の車やトラックがその道路を通過しようと走って来る…!

 

 このまま走り続けると車やトラックは謎のガスを浴び、蛍の群れと接触してしまう…!

 

 

 その時、

 

 

 “ピキーン”(所謂光が現れる音)

 

 

 突如、謎のガスが吹き出ている岩崖から発光音と共に謎の青い光が現れる。

 

 その光が現れた瞬間、さっきまで飛び回っていた蛍の群れは瞬く間に何処かへと散って行き、謎のガスも徐々に消えていく…。

 

 

 やがてガスや蛍は完全に姿を消し、射し込む青い光だけが残された道路を車たちは通過する。

 

 

 そして青い光も、車が通過した後ゆっくりと消えていく………まるで車が無事に通過するのを見守ってから消滅している様にも見えた…。

 

 

 

 やがて水平線から真っ赤な太陽が海を染め、真っ暗だった空を照らしながら登っていき、朝が来た。

 

 

 愛「ふぁぁぁぁ~…おはよう早苗さん。」

 

 

 早苗「う…うぅぅん…。」

 

 

 気持ちよさそうに背伸びをしながら早苗に朝の挨拶をする愛。しかし早苗の方はどこか冴えない様子。

 

 

 愛「どうしたの?あまり寝れなかった?」

 

 早苗「えっ?…い…いや…寝れたは寝れたんだけどね…。」

 

 愛「悪い夢でも見ちゃった?」

 

 

 早苗「悪いというか…とても不思議な夢を見たんだ…。」

 

 

 

 早苗が見たという不思議な夢。

 

 それは、いつもの様に彼女が謎の白骨化事件の手掛かりを掴もうと海岸から海沿いの道路を見つめていた時、その崖から一斉に白いガスが噴射され始め、それを浴びた車は次々とクラッシュしていく。

 

 それはまるで毒ガスでも吸って意識を失ったかのように。

 

 

 次々とクラッシュしていく車に、そこから聞こえてくる人々の悲鳴………そんな地獄絵のような光景に早苗は居ても立っても居られなくなり単身突っ込んで行き始める…!

 

 だが、案の定彼女一人でもどうすることも出来ず、やがて彼女も謎のガスを吸ってしまい生命の危機に瀕し始める…!

 

 

 もう駄目か!?そう思ったその時、突如遠くの海の方から例の青い光が現れたかと思うと、その光が射し込むところから海が真っ二つに割れていく。

 

 そしてよく見てみると、その割れた海の間に青い光に包まれた巨人がしゃがんだ状態で現れ、やがてこちらを見つめながら雄々しく立っていく姿が見えたという…。

 

 

 

 以上が、早苗が見たという夢である。

 

 

 愛「へえ…海が割れてそこから現れる巨人か…なんだか神秘的。」

 

 早苗「うん…その夢を見てから、なんだか変な気分なんだ…場所もこのビーチだったし、そう遠くないうちに本当に起こりそうな感じで…。」

 

 愛「正夢…って事?」

 

 早苗「いや…まだ実際に起きてないから分からないけど…本当にそうなりそうな感じがするの…。」

 

 不思議な夢を見てからどこか不思議な気持ちになっている早苗。それはどんなモノなのか自分でも分からない感覚であった。

 

 

 愛「まあとにかく、ここで考えても何も始まらないよ。ほら!」

 

 そう言いながら愛は元気よくカーテンを開け、そこから日差しが射し込む光に二人は一気に残っていた眠気が覚める。

 

 愛「今日もとってもいい天気だよ。それにほら、例の道路も今のところ車が快調に走ってるし。」

 

 愛が指差す海岸沿いの道路を見てみると、確かに何か起こりそうな感じはなく車が快調に走っていた。

 

 早苗「本当だ…。」

 

 愛「ねえ、朝食取ったら、折角だし海で遊ばない?私水着持って来てるの。海岸沿いの道路なら、海で遊びながらも見えるし監視も出来るから一石二鳥じゃない?」

 

 早苗「…そうだね。私も水着持って来てるし、賛成ー!」

 

 愛の提案にとりあえず考えるのを止め、今日初めて笑顔になって賛成する早苗。

 

 やがて二人は、すでに起きていた男子陣の待つ一階へと降りて行った…。

 

 

 早苗が見た不思議な夢。実際、早苗がそれを見ていた夜も、海岸沿いの道路で不思議な現象が起きていた…。

 

 この二つの出来事に何か関係でもあるのだろうか…?

 

 

 ただ一つ言えるのは、昨日の夜の出来事からあの場所に何かがあるのは間違いない事である…。

 

 

 

 そんな同じ頃、健二は例のO型女性失踪事件の手掛かりを掴もうと早速霞ヶ崎の街を駆けていた。

 

 

 それもどうした事か、昨日よりもどこか慌ててるような表情で…既に汗も流していた。

 

 

 

 そのきっかけは今朝6時ぐらいの事。妙な胸騒ぎを感じて目を覚ました健二は何かに導かれるようにある場所へと急行した。

 

 とあるアパートが数件建つ場所に辿り着き、そこで目にしたのは警察数人がなにやら穴を掘っていて、その近くでとある男性が慌てるように警察の一人に縋っているという妙な光景だった…。

 

 

 警察1「本当にここで間違いないんですか?」

 

 男性「はい、間違いないです。」

 

 警察1「ここで間違いないんですね?」

 

 男性「間違いありませんよ!」

 

 男性の証言が半信半疑なのか、何度も確認を取る警察。

 

 

 ここで男性の証言を基に、回想する。

 

 

 〈回想〉

 

 それは昨夜の深夜に起こった出来事だった…。

 

 とある一組の男女の乗った車が、アパートの前に止まる。

 

 その車の中から一人の女性が降りた。

 

 

 女性「今日はありがとう。とっても楽しかったわ。」

 

 男性「おお、また今度一緒に行こうな。」

 

 どうやら二人はカップルで、その日デートをしていたようである。

 

 

 やがて男性にお礼を言いながら自分のアパートに向かい始める女性。

 

 男性「またな!」

 

 女性「じゃあねー!」

 

 

 女性が振り向いて手を振りながらお礼を言ったその時!

 

 

 “ズゴゴゴゴゴ…”

 

 

 女性「きゃーっ!! 助けてー!助けてー!!」

 

 

 突如、女性の足元が崩れ始め、そこから蟻地獄のような砂の渦が広がっていき女性はその中へと沈んでいく。

 

 

 男性「はっ!?」

 

 男性は慌てて駆け寄るが、蟻地獄のような砂の渦は悲鳴や助けを求める声を上げながら這い上がろうとする女性を容赦なく引きずり込んでいく…!

 

 するとやがて女性が砂の渦の中心までに近づくと、そこから何やら昆虫の牙のようなモノが現れ、女性を挟み込み地中へと引きずり込んでしまった…。

 

 

 女性が地中へと姿を消したと同時に蟻地獄も姿を消し、何事も無かったかのように元の地面に戻った。

 

 

 突然謎の現象と共に姿を消してしまった彼女。男は動揺しながらも急いで警察署へと急行したのだという…。

 

 〈回想終了〉

 

 

 近くで見つめながら男が警察に言っていた証言をこっそり聞いていた健二の表情に戦慄が走る。

 

 更に警察が消えた女性はO型だったと発言したことで確信する。

 

 健二「間違いない…例の事件と同一のものだ…!」

 

 

 なおも穴を掘り続ける警察。しかし5メートルぐらい掘っても何も見つかる様子はなく、一時引き上げざるを得なくなった。

 

 警察2「駄目です。どんなに掘ってもそれらしきものは見つかりそうにありません。」

 

 警察1「ふむ…これ以上掘っても無駄なようだな…。」

 

 男性「じ…じゃあアッキーは?…僕の晶子は、どこへ!?…ねえ!僕の晶子は…!?」

 

 男は動揺と絶望感から完全に混乱し、彼女の行方を警察に問い詰める………。

 

 

 この一連の光景を見つめていた健二は決心したのだった。

 

 健二「よーし、今日こそ必ず手掛かりを掴む!…そして、二度とこんな事が起こらないようにする…!」

 

 

 

 あの後健二は、少しでも早く手掛かりを掴もうと現場を離れてすぐに街を駆けて探索を始めているのである。

 

 

 健二「はぁ…はぁ…はぁ…どこだ犯人!?…どこにいる!?…。」

 

 必死に走り続けているため既に息切れを起こしてしまっているが、それでも必死に駆け続ける。

 

 

 健二「出て来い犯人!!隠れるなんて卑怯だぞ!!この根暗野郎ーぅ!!」

 

 焦りや犯人への怒り、いらだちから、立ち止まって叫びを上げる健二。

 

 

 だが、流石に無理をし過ぎたのか、走り続けたことによる疲れに夏の暑さが重なってめまいを感じ始める。

 

 健二「…ち…ちくしょう…こんな…時に…早く犯人…を…捕まえなきゃいけ…ない…の…に…。」

 

 

 段々と意識が遠のっていき、やがてその場に倒れ込もうとしたその時、

 

 

 “ガッ”

 

 

 健二「…え?」

 

 

 突如、健二は倒れ込みそうな自分の体を誰かが腕で支えるのに気づきふと顔を上げる。

 

 

 櫂「ったく、無茶し過ぎだっての。」

 

 顔を見上げた先には自信を見つめている櫂の顔が見えていた。

 

 

 間一髪、櫂は倒れ込みそうになった健二の体を腕で受け止めて支えたのである。

 

 

 真美「大丈夫?健二君。」

 

 更にその横にいる真美が、心配そうな表情で話しかける。

 

 どうやら櫂と真美は、今日も2人っきりでお出かけしているようである。

 

 

 健二「…櫂さん…真美さん…。」

 

 心配する2人の顔を見た健二は、少し安心の笑みを浮かべた後、そのまま櫂に支えられた状態でぐったりしてしまう。

 

 

 バテている健二にゼロも語りかける。

 

 ゼロ「にしても、まだ午前中だというのに今日1日頑張りましたみたいな疲れ様だな。無茶なやつだぜ。

 

 んま、俺がかつて共に戦った仲間にもいたな…そういう無茶の出来る奴が。」

 

 

 一方、フューチャーアースにて。

 

 ???「ぶぇっくしゅーん!?」

 

 とあるスーパーGUTSの隊員服を着た青年がくしゃみをしてしまっていた。

 

 ???「誰か…俺の事噂してんのか…?」

 

 

 真美「また女性が1人消えたんだって?、さっきニュース速報で流れてたわ。」

 

 健二「…はい…ですから僕は、これ以上犠牲者が出て欲しくないから…一刻も早く犯人を見つけ出そうと…。」

 

 櫂「人のために頑張るのもいいが、まずは自分を大事にしねーと元も子もないぞ。」

 

 健二「あ、はい…すいません…。」

 

 なおも息を切らせながら焦りを見せる健二を櫂は諭す。

 

 

 真美「これから夏本番で益々熱くなることだし、水分補給もしっかりしないとね…。

 

 ねえ、近くの喫茶店に行きましょ?あそこはクーラーも効いてるし、アイスティーとか飲んで一息入れようよ。」

 

 水分補給もろくにしてなかったために熱中症寸前の健二に真美は一息いれる提案をする。

 

 櫂「お、それいいな真美。健二確か朝から何も食べたり飲んだりしてないんだろ?一度美味いスイーツと冷たい飲みもん飲めば、絶対に道は開けるぜ。」

 

 健二「えっ?、いや、なんか悪いですよ…僕なんかのためにお二人さんに気を使わせちゃってるみたいで…。」

 

 真美「(健二の両肩に手を置いて笑顔で)気にしないで。健二君最近頑張ってるんだもん。」

 

 二人に悪いと思っている健二に真美は笑顔で優しく話す。

 

 櫂「俺と真美もちょうどそこに行こうとしていた所なんだ。お前も少しは羽を伸ばせよ。」

 

 櫂(ふん…ホントは俺と真美の時間を邪魔されたくないんだが…真美を襲おうとした犯人を見つけようと頑張ってることだし、今回ばかりは許してやるか。)

 

 

 健二「…でも…どんなに走っても何も進展はないし…。」

 

 

 ここ数日どんなに走っても何も掴めない事に心が折れそうになっている健二。その時、

 

 

 真美「スマイルスマイル。一度涼しい所でくつろいで頭を冷やせば、必ず道は開けるよ。」

 

 真美は健二の頬を軽くつねりながら満面の笑顔で優しく語り掛ける。

 

 

 思わぬ事をされて少し動揺する健二だが、目の前の真美の明るい笑顔を見つめると自然と焦る気分が落ち着いていく。

 

 

 健二「じ…じゃあ、お言葉に甘えて、ちょっと休んじゃおっかな…。」

 

 このままでもらちが明かない事に気付いた健二はひとまず一休みする事を決めた。

 

 

 真美「それがいいよ。」

 

 

 健二「でも僕お金が…。」

 

 櫂「心配無用っスよ!俺が奢ったるからさ。」

 

 健二「ほ、本当ですか?ありがとうございます。」

 

 櫂「よーし、それじゃあ決まりだな。早く行こうぜ真美。」

 

 真美「うん。私何食べよっかなー 」

 

 

 かくして、櫂と真美は疲れた健二を連れて近くの喫茶店に向かい始める。

 

 

 だが、櫂と真美に連れられながらも健二の不安は消えていなかった。

 

 健二(渦に飲まれそうになった女性を助けていた例の赤い光…だが、その光の救出も追い付かないほどに早く、広範囲に被害が広がりつつある…。犯人は例の光の妨害や僕の捜索に気付いて焦り始めたのだろうか?…悠長にしてられないのは確かだな…。)

 

 

 

 赤い巨人の幻覚を見た健二と、青い巨人の夢を見た早苗…半信半疑でいる二人だが、実は気付いていなかった…。

 

 この大地、そして海にて、それぞれ二人の光の巨人が目覚めつつあるという事を…。

 

 

 

 一方早苗の方はというと、既に朝食を終えてフルータ星人たちと海遊びを楽しんでいた。

 

 

 海パン姿の賢たち男子陣が海辺で水のかけ合いなどをして遊びはしゃいでいる頃、水着姿の愛・早苗の女子陣は砂浜でゆったりと山を作ったりなどして遊んでいた。

 

 

 だが、愛と一緒に山を作っている早苗の表情はどこか上の空で明後日の方向を向いており、砂山を叩く手も機械的な動きになっていた。

 

 愛「…早苗さん?」

 

 愛は呼びかけながら早苗の顔の前で手を軽く振る。

 

 早苗「…ッへッ!?」

 

 ようやく気付いたのか少し裏声で驚く早苗。

 

 愛「さっきからボーっとしちゃって、どうしちゃったの?」

 

 早苗「い、いや…なんでも…今日は暑いから、ついボーっとしちゃって…、」

 

 愛「とてもそうには見えなかったよ~?」

 

 早苗「…ぇ…?」

 

 何となく誤魔化すように振る舞う早苗だったが、愛は既に何かお見通しのようであった。それにより早苗は図星を突かれたかのように反応する。

 

 愛「話してよ~…私たち、もう友達じゃない?」

 

 

 …あどけなく話しかける愛。自分の事を“友達”と言いながら…。

 

 早苗「…ありがとう、愛ちゃん。」

 

 それにより早苗は心を動かされ、やがて少しずつ曇っていた表情に明るさを取り戻し、やがて心の内を話し出す。

 

 早苗「私、こうやって呑気にビーチで遊んでていいのかな~?って思ったりしてたの。」

 

 愛「…ん?」

 

 早苗の出だしの発言に疑問を感じる愛。早苗は続ける。

 

 

 早苗「わざわざ離れた街から電車でここまで来たと言うのに、出来てるのはただじーっと現場を見つめてるだけ。

 

 結局何も手掛かりを掴めていないまま、こうやって呑気に遊んでばかりいる…。

 

 …あ、別に愛ちゃんたちに出会ったのが間違いってわけじゃないよ?愛ちゃんたちと遊ぶのはとっても楽しいし…

 

 …ただ…ただの人間の女の子の私が大事件の手掛かりを突き止めようなんて、やっぱり無駄な事だったんじゃないかなー?って思ったり…。」

 

 

 早苗の心の悩み、それは、自分がやっていたことは無駄な事だったんじゃないかという事であった。

 

 

 思わぬ本音を聞いた愛は少し驚くような表情を見せ、やがて少し黙り込んだ後、、、

 

 

 愛「…私…早苗さんのやった事は、無駄じゃないと思うけどな…。」

 

 早苗「…え?」

 

 

 愛「まず、わざわざ別の地域からここまでやって来る…それだけでも凄い事だよ。行動力高いね、早苗さん。」

 

 早苗「…愛ちゃん…。」

 

 自分の行動自体から褒める愛。それに早苗は少し嬉しそうな表情になる。

 

 

 愛は話を続ける…二人の友達と一緒に子供のように海辺で遊ぶ兄・賢を見つめながら。

 

 

 愛「実は私の兄ね、私を助けるために無茶をした事があるの。

 

 怪獣に襲われた私を助けるために、ウルトラマンからアイテムを奪ってまでして向かって行ったの。」

 

 

 早苗「え?あなたのお兄さんが?」

 

 海辺で友達とプロレスをしたりバックドロップ等をしたりして子供のように遊び回る賢の方を振り向きながら、早苗は驚きの反応を見せる。

 

 

 愛「最後はウルトラマンの助けもあったんだけどね。でも、お兄ちゃんは私を助けるために諦めなかった。

 

 

 その時、私はお兄ちゃんを初めてヒーローだと思った。

 

 

 確かに、ウルトラマンの力を持ってない私たちは無力かもしれない…でもね、例えただの人間でもそれなりに頑張れば、必ず何かに繋がるんだなーってあの時思ったの。」

 

 

 早苗「諦めず…それなりに頑張る…?」

 

 

 愛「早苗さんも、まだ望みが消えたわけじゃない。(海沿いの道路を指差して)ほら、現場はここからも見えるわけだし、おかげで遊びながら監視ができるし、一石二鳥じゃない。

 

 (早苗の両手を握って)私たちも出来る限りのサポートはするから。だから頑張ろう?

 

 (両手のガッツポーズを振りながら)ファイトーファイトー!」

 

 

 愛の励ましを受けた早苗は、閉ざしかけていた心に再び光を取り戻した。そして表情もいつもの明るさを取り戻す。

 

 

 早苗「ありがとう愛ちゃん。」

 

 

 愛と早苗は笑顔で見つめ合う。

 

 

 …だが、そこに空気を読まない男子陣が…

 

 

 “バシャーン”

 

 

 愛・早苗「!?きゃっ!!」

 

 

 突然冷たい海水をかけられた女子陣はその冷たさに思わず驚く。

 

 

 賢「おーい愛早苗!なにいつまで日向ぼっこやってんだー!?」

 

 明人「いっしょに遊ぼうぜー!」

 

 

 愛「んもう、お兄ちゃんったらー!」

 

 早苗「やったわねー!?」

 

 そう言いながら女子陣も海辺に向かって駆け始める。

 

 そして男女交えての海水のかけあいが始まった。

 

 

 愛の励ましにより、もうひと頑張りする事を決めた早苗。

 

 

 

 場所は変わって喫茶店にて話し合いながら一息ついている健二と櫂、真美。

 

 クーラーの効いた場所で一息ついたためかさっきまで焦っていた健二もだいぶ落ち着き、櫂と真美と他愛もない話をしながらアイスティーを飲んでいる。

 

 

 因みにテーブルをよく見てみると、何やら真美の近くだけ食後の皿が多く重なっていた…?

 

 

 健二「真美さん…結構食べるんですね…。」

 

 

 櫂「だよな…(指折りしながら)ワッフルだろ? パンケーキだろ? アイスを御代わりして…そしてチョコパフェだろ?

 

 よく食うよな~。」

 

 真美「私、次はフレンチトーストをいただこっかな〜♪」

 

 櫂「…って!?まだ食うのかよ? お前ホントにスゲえな~。」

 

 櫂と健二は真美の意外な大食いぶりに呆気に取られている。

 

 因みにそれぞれパンケーキ+コーヒー、ワッフル+アイスティーをいただいている。

 

 真美「あはは…今日は特にお腹空いてたからね。大丈夫。自分で食べた分は自分で払うから。」

 

 健二「それにしても、その美貌やスタイルでよく食べる。それに加え運動もできますからね…真美さんは本当に健康的女子ですね。」

 

 完全に調子が良くなった健二はその勢いもあってか真美を褒めちぎり、真美は少し照れくさそうに笑う。

 

 

 健二「それにしても、櫂さんと真美さんは今日もデートしてたんですね。」

 

 櫂「い…いや、デートと言うか、真美が昨日行き忘れた服屋さんがあるって言うから俺はその付き添いで行ってるだけだよ。」

 

 少し照れながらも櫂は今日出かける意味を話す。

 

 健二「へぇ~…真美さんのためにですか…男らしいですね櫂さん。あ、それとも、女の買い物に早速振り回されちゃってるんですか〜?」

 

 健二は昨日に引き続き真美とデートしている櫂を軽くからかう。

 

 櫂「ははは、そんなんじゃねーよ。なんでも今から行く服屋さんは真美1人じゃ判断に困るほど品揃いがいいみたいなんだ。だから、俺も一緒に行っていいコーディネートを考えてやるって事よ。」

 

 櫂(ふんっ!この俺が…女に振り回されるほどヤワなわけねーだろ…!)

 

 櫂は心で黒い呟きをしつつも、表面で笑って受け流す。

 

 

 真美「そうなの。櫂君の服のコーディネート、とってもいいセンスしてるのよ。」

 

 真美も笑顔でチョコパフェをスプーンで掬って食べながら櫂を褒めちぎる。

 

 健二「相変わらず凄いですね…櫂さん…体力あって、勉強できるだけじゃなくて、それ以外もそつなくこなすなんて凄過ぎです。

 

 …それに比べ俺は…はぁ…。」

 

 健二は櫂の才能を賛美しつつも、それと比べるかのように自分の無力さを嘆くように呟く。

 

 櫂「なーに言ってんだ健二。お前だって過酷な状況を突破して、自分の闇にも勝ったじゃねーか。それだけでも立派だぜ?」

 

 櫂は健二のネガティヴ発言を否定し、以前自分の闇に勝つことができた健二の努力を褒める。(第11、12話参照)

 

 …最も、今でもドス黒い本性を隠している櫂が言うものだからこちらとしては少し複雑な感じではあるが…。

 

 真美「そうだね。あの頃の健二君を思い出すと、今じゃすっごく成長してると思うよ。あれからいろんな事件にも協力してくれたし。」

 

 真美も健二を褒めながら、いつの間にか次のオーダー・フレンチトーストをいただき始めていた(笑)

 

 健二「成長…ですか。そうですかね~?」

 

 若干照れ臭そうな感じになっている健二。

 

 櫂「ああ、間違いないさ。今だってこんな暑い中、謎の失踪事件の犯人を突き止めようと頑張ってる。それも立派な証拠の一つさ。」

 

 健二「そうですか…でも…俺まだ何も手掛かりを掴めてなくて…俺のやっている事なんて意味なかったんじゃないかと思うと、少し…。」

 

 再び少し俯く健二。そこに真美が半分に切ったフレンチトーストを差し出しながら優しく話す。

 

 真美「決して無駄じゃないよ健二君。その頑張りは絶対に裏切らないわ。少しあげるから、これでも食べて元気出して。」

 

 真美の優しい言葉を聞いた健二は俯いていた顔が上がり、暗くなりそうになってた表情も治っていく。

 

 健二「真美さん…俺…嬉しいです。」

 

 再び元気を取り戻した健二は真美から貰ったフレンチトーストを頬張りながらこう宣言する。

 

 

 健二「なら俺、ギリギリまで頑張ってみます!」

 

 

 真美「…え?」

 

 櫂「なんだって?」

 

 健二の思わぬ宣言に櫂と真美は少し困惑のような反応をする。

 

 健二「犯人の足の先、もしくは髪の毛でもいいですから、とにかく何かが分かるまでギリギリまで頑張ってみせますよ。

 

 そして何かが分かって、それが宇宙人か何かだったら、その時こそ櫂さん、ウルトラマンに頼るのです。」

 

 健二の決心の意味。それはまさにアツいものであった。

 

 ゼロ「…健二…。」

 

 その言葉には、櫂の左腕のウルティメイトブレスレットに宿るゼロも感心を示していた。

 

 真美「そう…頑張ってね。あと、無理はしないでね。」

 

 意味を知った真美はそっと応援の言葉を送る。

 

 すると、健二は更に決心の意味を深く語る。

 

 健二「ウルトラマンというのはそもそも、俺みたいな人間がギリギリまで頑張って、それでもピンチの連続な時に手を差し伸べてくれる光。俺はそう思っています。

 

 ですから、俺はまず人間としての力でやれるところまでやってみたいんです。そしてこの頑張りを続けて何かに繋がったその時、俺自身も更に変わることができるとなんとなく思うんです。

 

 ですから、俺はギリギリまで頑張って、踏ん張ってみせます!」

 

 櫂「…そうか、そこまで言うなら、やれるところまで頑張って来い!」

 

 健二の熱い語りを聞いた櫂と真美は、彼の頑張りを応援する事にした。

 

 ゼロ「お前…ウルトラマンの極意を分かってんじゃねーか。ホントに成長したんだな、健二。」

 

 ゼロもフィニッシュポーズを決めながら健二の成長を改めて認める。

 

 最初からウルトラマンに頼るのではなく、まずは人間の力でギリギリまで頑張ってそれでもどうにもならない時はじめて頼る。それが彼のポリシーのようである。

 

 最も、ウルトラマンの力を求めてゼロと一体化した櫂は内心少し複雑な気持ちではあったが…。

 

 

 ゼロ「それにしても健二、お前初期よりもだいぶ男らしくなったなあ。お前もしかしたらウルトラマンになる資格、あるんじゃねーの?」

 

 健二「ぇ…えぇ!? そうですかね~?」

 

 ゼロ「ま、困った時は遠慮なく俺たちに頼れ。いつでも飛んで行ってやる。」

 

 櫂「応援してるぜ、健二。」

 

 健二「はいっ!」

 

 

 櫂(そう…君にはせいぜい頑張ってもらわないとねぇ〜………真美を拐おうとした何者かをブチのめすためにも、ふふふ…。)

 

 櫂は健二を応援しつつも、またしてもひっそりと不敵な笑みを浮かべつつ内心私怨のこもった呟きをしていた…。

 

 

 

 同じ頃、一旦砂浜に上がって愛たちと一休みをしている早苗も。

 

 

 早苗「決めたの! 私、ギリギリまで頑張る。」

 

 

 愛「ギリギリまで…」

 

 賢・明人・輝雄「頑張る?」

 

 

 早苗「うん。私、事件の手掛かりを掴むために、自分に出来ることをやる事にしたの。

 

 一人の人間として、やれる事を全力で頑張れば、きっと何か見つかるはず。私はそう信じるわ。」

 

 

 早苗の決心を聞いたフルータ星人一同は、それに感心する。

 

 

 賢「驚いた…こんなにガッツのある女の子初めてだ…。」

 

 明人「そう言って、そんな子も魅力的とか思ってんじゃないの?賢君。」

 

 輝雄「立派だな。早苗。」

 

 賢「決して無理すんじゃねーぞ?俺たちもいるんだから。」

 

 早苗「うん。ありがとうみんな。あと…」

 

 

 次に早苗は愛の方を振り向く。

 

 

 早苗「ありがとう、愛ちゃん。」

 

 

 愛「頑張ってね、早苗さん。」

 

 

 愛・早苗「いえーい!」(両手ハイタッチ)

 

 

 明人「ん?何だ何だ?」

 

 輝雄「早苗に何か言ったのか?愛ちゃん。」

 

 愛「ふふふ、言っちゃおっかな~?」

 

 輝雄「何だよ気になるじゃねーか!」

 

 明人「言えよ~!」

 

 愛「どうしよっかな~?」

 

 いつの間にか追いかけっこを始めてしまっている明人・輝雄と愛。

 

 

 賢「俺たちも行くぞ早苗! ダッシュ豪快だ~!」

 

 賢も早苗と共にその後を追い始める。

 

 

 そして賢は、自分の隣で髪をさらさらと靡かせながら笑顔で走る早苗を見つめながら心の中で呟いていた。

 

 

 賢「しかし、仮に犯人が宇宙人か怪獣だとしても、今ここにウルトラマンはいない…ヒカルさんと海羽さんも連れて来りゃあ良かったかなー?

 

 …でも、今じゃガッツの塊の早苗…彼女ならもしかして…?」

 

 

 

 仲間の励ましにより、再び頑張る気力を取り戻し、新たな決心を固めた健二と早苗。

 

 

 …だが、そんな彼らの決心をも嘲笑うかのように、新たな事件が起ころうとしていた…!

 

 

 それはとあるショッピングモールにて。

 

 

 そこのとある一階の福屋にて、とある子連れの母親が選んだ服を持って試着室に入ろうとしていた。

 

 その母親は見た感じ結構若い感じであった。

 

 

 母「じゃ、ちょっと待っててね。」

 

 女の子「うん!」

 

 

 母親は女の子にそう言うと試着室に入っていき、熊の縫いぐるみを持った女の子は元気に返事をした後隣のおもちゃ屋さんへと駆けて行った。

 

 

 試着室内にて、服を試し着しようとする母親。

 

 

 その時、

 

 

 “ゴゴゴゴゴゴ…”

 

 

 突如、何処からか妙な物音がしてきて母親はそれに気づく。

 

 

 母「…何の音かしら…?」

 

 

 すると!

 

 

 “ズゴゴゴゴゴ…”

 

 

 母「!!?きゃー…」

 

 

 突如、母親の足元から激しい土煙と共に例の蟻地獄が現れ、母親を引きずり込んで悲鳴ごと飲み込んであっという間に姿を消してしまった…。

 

 

 一瞬にして現れては一瞬にしてまた一人女性を飲み込んで姿を消した蟻地獄…。

 

 

 

 同じ頃、例の海沿いの道路にて。

 

 とある一台の赤いスポーツカーに乗ったカップルがそこを通り過ぎようとしていた。

 

 運転中だというのに車のステレオで音楽をガンガン鳴らしながらワイワイ騒いで盛り上がっており、ラフな格好でサングラスをかけているその男女二人。正によく見る今どきの若者である。

 

 

 ワイワイ盛り上がっていたその時、運転していたカップルの女性が突然何かに気付いて車を止める。

 

 カップル男「ったく何だよ?…ん?」

 

 突然の急ブレーキに愚痴りそうになっていた男性も、目の前の何かに気付く。

 

 

 二人の視線の先には、昼間にも関わらずなんと大量の蛍が飛んでいるのである!

 

 

 目の前の蛍のような光の群れにカップルの男女は

 

 カップル男「何だありゃ?」

 

 カップル女「めっちゃいっぱい飛んでるやん! 蛍ちゃうあれ?」

 

 カップル男「バカ言え、蛍が昼間に飛ぶわけねーだろ?」

 

 カップル女「それもそうか。それじゃあ、誰かのいたずら?」

 

 カップル男「そうかもしれねーな…舐めやがって。なあ、いっちょエンジン飛ばして一気に吹っ飛ばしちまおうぜ!」

 

 カップル女「賛成ー!よっしゃかっ飛ばすぞ~!」

 

 

 カップルの女は再びエンジンをふかせてスポーツカーを走らせ始める。

 

 さっきよりもスピード前回のスポーツカーは蛍の群れを次々と撥ね飛ばしていく。

 

 カップル男「イヤーッホウ!!いいぞやれやれー!!」

 

 

 だが、二人が調子に乗り始めたその時、

 

 

 今度はスポーツカーが通り過ぎようとしている海沿いの道路の崖から、勢いよく白いガスが噴射し始める!

 

 

 カップル女「…今度は何?」

 

 カップル男「霧か何かか?」

 

 カップル女「でも、こんなに一気に広がるものかな~?」

 

 

 白いガスがカップルの乗るスポーツカーを包んだその時!

 

 

 カップル男「…!?うぐっ!?、、げほげほっ…何だか息苦しくないか!?」

 

 カップル女「げほげほ…しかも、げほ、何?このアルコールの臭いは…げほげほ……子供の次はおやじのいたずら!?」

 

 突如、ガスを吸った瞬間呼吸困難に襲われるカップル。息苦しさにハンドルを回す手も覚束なくなっていき、それにより車もクラッシュ寸前までにふらつき始める。

 

 

 すると今度は、先ほどの大量の蛍が一斉にカップルに飛び付き始める!

 

 

 飛び付く蛍に体のあちこちを噛まれているのか、カップルはその場でのたうち回りながら悲鳴を上げる。

 

 

 やがてカップルを乗せたスポーツカーはガードレールを突き破ってクラッシュし、それにより車から放り出されたカップルは地面に叩き付けられる。

 

 

 大量の蛍が纏わり付く横たわるカップルのその姿は、既に死んでいるようであった…。

 

 

 

 その頃、海に浸かった状態でフルータ星人とビーチバレーを楽しんでいる早苗は、

 

 

 早苗「…はっ?」

 

 

 突如何かを感じたのか、ふと動きが止まって自分に飛んで来たボールを落としてしまう。

 

 

 賢「どうした?早苗。」

 

 愛「何かあったの?」

 

 心配して賢と愛が話しかける。

 

 

 早苗「…今、何か胸騒ぎを感じたの…。」

 

 

 賢「何だって?」

 

 早苗「何かを感じたの…それはとっても不吉なモノ…。」

 

 そう言いながら早苗は、例の道路の方を指差す。

 

 

 早苗「…あそこで、何かが起こってる…?」

 

 

 

 立て続けに怪事件が発生した今、一旦場面を健二の方に戻そう。

 

 真美「はぁ~、今日もっぱい食べたし、スマイル満開だね。」

 

 満面な笑みを浮かべて満足そうな真美。

 

 櫂「んじゃ、そろそろ行こっか。」

 

 真美「そうだね。」

 

 健二「それじゃあ俺は、改めて探索を始m…」

 

 

 櫂と真美は会計を済ませ、健二は二人と別れて再び探索を始めようとしたその時、

 

 

 「ねえねえ、また人が消えたんだって?」

 

 「怖いわね~。」

 

 

 近くの席に座っている女子高生二人の気になる会話が耳に飛び込む。

 

 櫂はこっそりと女子高生のスマホ画面を覗いてみると、そこにはニュース速報で、五分前に近くのショッピングモール・イサンモールで女性が一人消えたという記事が開かれていた。

 

 

 イサンモール…それは正に今から櫂と真美が向かおうとしているショッピングモールである!

 

 

 気が付くと、外ではパトカーがサイレンの音と共にそのショッピングモールの方向に向かって走り去って行った。

 

 

 真美「櫂君…もしかして…?」

 

 櫂「ああ、行こう真美!」

 

 健二「ああっ!俺も行きます!」

 

 不吉な胸騒ぎを感じた三人は喫茶店を出て駆け足でイサンモールに向かい始める。

 

 

 やがて三人がイサンモールに着くと、案の定駐車場にはパトカーが止まっていた。

 

 

 更に中に入ってみると、一階のとある福屋の試着室周辺に警察が数人集まって何やら捜索をしており、周りの客たちはその光景を群がって傍観している。

 

 

 因みにこの福屋は櫂と真美が行こうとしていた店であったため、特に二人は驚きを隠せなかった。

 

 

 真美「一体何があったのかな?この店で。」

 

 櫂「聞いてみようぜ。」

 

 

 二人は警官の一人に事情を聞いてみた。

 

 なんでもこの試着室に入っていた女性が突然姿を消してしまったのだという。

 

 しかも目撃者の証言によると中から砂が吹き上がるような音が聞こえたというのだ。

 

 

 話を聞いた三人は例の蟻地獄による失踪事件がまた起こったのだと確信した。

 

 

 試着室の入り口の傍では一人の女の子がうずくまって泣きじゃくっており、三人はその子が消えた女性の子供だという事も確信する。

 

 

 目の当たりにした残酷な現実。櫂は静かに怒りを感じながら拳を強く握り、真美は心の痛さに顔を背ける。

 

 

 そして健二は下ろした両手をわなわなとさせながらひきつった表情で下を向く。

 

 今回の事件の責任は自分にあると痛感しているのだろうか…?

 

 

 やがて健二は数秒下を向いた後、力なく震わせていた両手を握り拳に変え、震えるほど強く握り始める…。

 

 

 健二「櫂さん…真美さん…。」

 

 

 真美「…ん?」

 

 櫂「何だ健二。」

 

 残酷な事件により、苛立ちを感じている櫂と涙目になっている真美は健二に呼ばれて振り向く。

 

 

 二人の視線が注ぐ中、健二は真剣な顔をゆっくりと上げる。

 

 

 健二「俺…地下鉄に乗ってきます…。」

 

 

 真美「へっ…?」

 

 櫂「何だって?」

 

 健二の思わぬ発言に二人は少し驚く。

 

 

 話を続ける健二。

 

 

 健二「今まで俺…陸上で捜査をしていたから空回っていたのかもしれません…。

 

 ですから、直接地下に行けば、犯人を見つけられるかもしれません。」

 

 

 健二の新たな決心。それは、自ら直接地下に行って犯人を見つけ出すという事であった。

 

 

 櫂「危険だぞ健二。いくらギリギリまで頑張るからって。」

 

 真美「健二君にもしもの事があったら大変…」

 

 

 健二「もうこんな惨事は見たくないっっ!!」

 

 

 健二は自身の身を案ずる櫂と真美の声を遮るように叫んだ。

 

 

 健二「…すいません。…でも、このままじゃ、被害が広がる一方なんです…。」

 

 

 真美「健二君…。」

 

 

 健二「犯人があっちが顔を見せないのなら…こっちから炙り出すまでです。

 

 大丈夫です。櫂さんと真美さんのくれた勇気で、必ず暴いて見せます!」

 

 

 櫂「…そうか…なら、行ってこい健二。」

 

 

 再び健二の熱い思いを聞いた櫂は、彼を送り出すことにした。

 

 

 櫂「いいか、ちゃんと命だけは持って逃げるんだぞ。」

 

 

 健二「…はい!もしもの時は、よろしくお願いします。」

 

 

 健二は二人に敬礼をすると、その場から走り去って行った。

 

 

 真美「健二君…大丈夫かな?」

 

 真美は泣きじゃくる女の子を優しく抱いて背中を摩りながら、健二の身を案ずる。

 

 櫂「なに、彼は大きく成長した。彼の力を信じるんだ。」

 

 

 櫂((健二を見送りながら不敵な笑み)そうだ…君が犯人を見つけた時が、俺がそいつを完膚なきまでにブチのめす時だ…ふふふ…。)

 

 

 櫂が心でそう呟いたその時、

 

 

 ゼロ「…櫂…何か不吉な気配を感じるぞ。」

 

 ゼロはいち早く何かを察知し、それを櫂に知らせる。

 

 櫂「何だと?」

 

 

 その時、

 

 

 ???『…ふははははは…我が超獣に単身で挑むとは、あの少年も馬鹿な奴め!』

 

 

 突如どこからか声が聞こえてゼロも櫂も驚愕する。

 

 

 ゼロ「ッ!?誰だっ!」

 

 

 ギロン人「ふはははは、我が名はギロン人!新たな刺客として動き出した地底エージェントだ!」

 

 

 ゼロと櫂にテレパシーで話しかけている者、それはテラ軍の新たな刺客として送り込まれた『地底エージェントギロン人』であった!

 

 

 ゼロ「もしや…謎の失踪事件は貴様の仕業なのか!?」

 

 

 ギロン人『そうだ。我がペット・超獣アリブンタに食事をさせていたのだよ。

 

 アリブンタはO型の血液が好物でなあ!おかげで、たくましい超獣に成長してくれた。

 

 東京は餌が多い、絶好の飼育場だ!ふははははは…!』

 

 

 謎の失踪事件の正体。それはギロン人が引き連れた超獣『大蟻超獣アリブンタ』の食事で会ったのだ!

 

 アリブンタはO型の血液が好物であり、それを持つ女性を四次元蟻地獄で引きずり込んで捕食していたのである。

 

 

 ギロン人のやり口を知った二人は怒りが一気に湧いて来る。

 

 ゼロ「人間を餌呼ばわりしやがって…ふざけんな!」

 

 

 櫂「ってことは…真美を狙ったのもそのために………許せねえ…!」

 

 またしても激しい怒りにより震えるほど拳を握る櫂。最愛の真美をも奪おうとした事件の正体を知った今、激しい怒りと殺意は完全にギロン人の方に向いている櫂。

 

 だが、そのギロン人は現時点姿を見せておらず、場所も特定できていないため、倒しに行こうも行けない事に更なる苛立ちを感じる。

 

 

 それはゼロも同じであった。

 

 ゼロ「どこにいるんだ?姿を見せやがれ卑怯者!!」

 

 ギロン人『ふふふふふ、嫌なこった! それより、卑怯とかラッキョウとか言ってる間にも、更なる被害が増えるかもよ〜?』

 

 ゼロ「何っ?どういう事だ!」

 

 ギロン人『本当の地獄はここからだ!ふははははは…!』

 

 ギロン人の高笑いがフェードアウトしていき、やがて聞こえなくなると共にテレパシーも聞こえなくなった。

 

 

 櫂「ヤロー…必ず見つけ出してぶっ殺してやる…!」

 

 既に殺る気満々の櫂は、指をポキポキ鳴らしていた。

 

 

 ゼロ「奴め、本当の地獄とは一体何のことなんだ…?いち早く見つけてぶっ倒してーが、まだ奴の居場所が特定できねー…それに敵の正体が知った今、櫂の奴も怒りが心頭だ…こりゃあまた暴走しちまいそうだぜ…。」

 

 

 ゼロはそう呟きながら「やれやれ」とばかりに片手で頭を抱える。

 

 

 ゼロ「それと、真美を含め、時たま攫われそうな人を助けていた謎の光…あれからは微かだが、俺たちウルトラ族と同じ力を感じた…。

 

 この世界の地球の大地に、ウルトラマンが宿っているというのか…

 

 はっ、もしや!?」

 

 

 ゼロは、謎の赤い光について遂に何かを勘付いたようだった…。

 

 

 一方で、何処かに潜んでいるギロン人も、

 

 ギロン人「それにしても、アリブンタの食事を邪魔していた奴が目障りだな…

 

 ま、奴の救出も間に合わない程に、アリブンタの食事ペースは速かったがな。姿を現したが最後、やっつけてやるぜ。」

 

 ギロン人は、謎の光の正体が既に何なのか知っているようであった。

 

 

 ギロン人「さーて、そろそろアリブンタが、あの小僧(健二)を殺るところかな…?ふふふ…。」

 

 

 

 その頃、遂に健二は地下鉄に乗り込んだ。

 

 健二と大勢の人々を乗せた地下鉄はいつもの様に暗い道を照らしながら線路を走っていく。

 

 つり革につかまったまま居眠りをする人、集って漫画を読み合う女子高生、楽しそうに話すカップルなど、地下鉄の中は平和そのものだった。

 

 

 だが健二は、席に座ってくつろぎながらも真剣な表情で窓の外を眺めていた。

 

 

 健二「絶対にもう誰も亡くしたり、悲しませたりはしたくない…。」

 

 

 これまで謎の事件により消えていった人やそれにより悲しむ遺族の事を考えながら、健二は静かに湧き上がる怒りと共にそっと呟いた。

 

 

 

 一方の早苗側。

 

 

 謎の胸騒ぎを感じた早苗は海から上がり、水着姿のまま駆け足で例の海沿いの道路の崖の方へと向かって行く。

 

 それに賢たちフルータ星人もついて行く。

 

 

 一同は遂に、妙なガスが漂っている現場に辿り着く。

 

 早苗「確かこの辺のはず…。」

 

 愛「それにしても不気味ね~…。」

 

 明人「にしても凄いアルコールの臭いだな~。」

 

 輝雄「でも、ガードレールが破れてる。何か起こったのは確かだな。」

 

 賢「よし、探ってみよう。…ん?」

 

 賢は何かに気付き、他の者もそれに気づく。

 

 そこには何やら蛍らしきものが飛び回っているのだ。

 

 だが、今の午前の明るいときに蛍が光を発して飛ぶはずが無い。一同はそうすぐさま違和感に気付く。

 

 愛「何だろう…これ。」

 

 輝雄「やっぱ蛍なんじゃねーの?小さくて光ってて飛び回ってるし…。」

 

 明人「でも、こんな明るいときにこんなに光って飛ぶなんておかしくないか?」

 

 

 賢「…どうした?早苗。」

 

 賢は何やら妙に身震いする早苗に気付く。

 

 早苗「なんだか…すごい胸騒ぎがするの…。

 

 まだはっきりとは分からないんだけど…これから不吉な事が起きそうで、更に自分が違うモノになるような気がして…。」

 

 直接現場に来た早苗は突然様々な予感を感じ胸騒ぎを感じていたのだ。

 

 

 賢「なに、気のせいだよ。なにしろアルコールの臭いがして、午前なのに蛍が光って跳び回る、奇妙な場所に来たんだからn…」

 

 

 愛「きゃーっ!!」

 

 

 賢「!!どうした愛?…うわっ!?」

 

 

 突然愛が悲鳴を上げ、賢をはじめ一同は彼女が見ているものの方を振り向く。

 

 

 そこにあったのは、大破した車体、そして二人分の人骨だった!

 

 恐らくこの人骨と残骸は先ほどドライブをしていたカップルと彼らが乗っていたスポーツカーのモノであると思われる。

 

 

 目を覆わんばかりの凄惨な光景。それを見た一同は驚愕する。

 

 

 そして今までテレビ越しで見ていた早苗も初めて生で見て驚く。

 

 早苗「…やっぱり惨いわ…テレビで見るよりも…。」

 

 

 凄惨な光景を見たと同時に一同は確信を始めていた。

 

 明人「…これは間違いねえ。」

 

 輝雄「誰かが暗躍しているんだよ、きっと。」

 

 賢「ていうか、そうとしか考えられねえ!」

 

 愛「早苗さん、これはチャンスかもよ。犯人は近くにいるかもしれないわ。」

 

 早苗「うん。それにこの辺に蛍が飛んでるのも何か気になるし、探ってみよう。」

 

 

 

 遂に探していた手掛かりに近づいてきた早苗たち。

 

 

 だが、そんな彼女たちの様子を海沿いの道路の崖の上から見下ろしている者がいた。

 

 

 常時奇妙な効果音を発しているその者は人間ではなく地底人。『地底超人アングラモン』である。

 

 

 恐らく奴こそが、ここ海沿いの道路で暗躍している者なのであろう。

 

 

 アングラモン「いかん、我々の暗躍がとうとう人間どもに暴かれようとしている。」

 

 やはりそうだ!

 

 アングラモン「特にあの小娘。あやつは中々のガッツがある。用心せねば。」

 

 特に昨日から自分の暗躍を探っていた早苗への警戒は大きい様であった。

 

 

 アングラモン「こうなったら少々手荒だが、やむを得ん。あの者たちを皆殺しにし、ついでに破壊工作といこう。

 

 出て来い、出て来い!ホタルンガ!!」

 

 

 アングラモンの叫びが崖に響いたその時、早苗たちの周囲を飛んでいた蛍の群れが束になって飛び回り始める!

 

 

 早苗とフルータ星人一同はその光景に驚きつつも見つめる。

 

 賢「な、何だ!?」

 

 愛「何が起こってるの!?」

 

 

 早苗「…さっき何か声が聞こえたような…。」

 

 

 飛び回る蛍の群れはやがて一か所に集中し始める。

 

 

 そしてそれらが合体した時、一匹の超獣が現れる!

 

 

 蛍のような外見が特徴の、蛍と宇宙怪獣が合体して誕生した超獣『大蛍超獣ホタルンガ』の登場だ。

 

 

 超獣の出現に一同は驚愕する。

 

 早苗「蛍たちがっ!?」

 

 賢「おかしいと思ったんだ!やはり怪獣だったのか!」

 

 

 アングラモン「“怪獣”じゃない。“超獣”ホタルンガだ。」

 

 ちゃっかり訂正するアングラモン(笑)

 

 

 アングラモン「人間を捕食し続けたホタルンガは十分に逞しく成長した。今ならそやつらを潰す事など容易いはずだ。 馬鹿な奴らめ。無謀にも我々の暗躍を暴こうとするからこうなるのだよ。 “飛んで火にいる夏の虫”とは正にこの事だな。ふははははは。

 

 ホタルンガ!捻り潰せ。」

 

 

 謎のガスで弱った人間を捕食していた謎の蛍の群れの正体は、このホタルンガが無数の蛍に化けて分裂した姿だったのである。

 

 ギロン人がアリブンタにO型の女性を捕食させていたように、アングラモンもまた引き連れてきたホタルンガに人間を捕食させていたのである。

 

 

 これにより健二と早苗、それぞれが追っていた怪事件の正体が明らかになった!

 

 

 アングラモンの命を受けたホタルンガはハサミ状の両手で崖を崩し、早苗たちはそれにより降りかかる岩を避けながら必死に逃げていく。

 

 

 愛「私たちここで終わっちゃうの~!?」

 

 賢「んな事ねえ!早く逃げるぞ!」

 

 

 怖気づく愛の腕を無理矢理引っ張りながら逃げる賢。

 

 流石はどんな時でも妹を見捨てないシスコンな兄である……なんて言ってる場合じゃない。

 

 

 ホタルンガは今度は頭部から爆発性のある溶解液を噴射して攻撃していく。

 

 溶解液が周囲で爆発する中、早苗たちは必死に逃げ続ける。

 

 

 明人「怪獣災害、一難去ってまた一難かよ~!!」

 

 輝雄「とにかく今は走るぞ!止まったら終わりだ!」

 

 早苗「早く!」

 

 “ズドーン”

 

 早苗「きゃーっ!!」

 

 

 絶体絶命の状況までに追い込まれている早苗たち。

 

 

 

 一方で健二の乗っている地下鉄にも危機的状況が訪れようとしている。

 

 

 運転手「…!あれは何だ!?」

 

 

 運転手は何かに気付く。

 

 その先には、トンネルという筒の先に何かが暴れているのが見える。

 

 

 運転手「あーっ!」

 

 

 運転手は異変に気付いて慌てて急ブレーキをかけるが時すでに遅し、やがてその筒を抜けた時、その先で待ち構えていた巨大な生物の猛威が襲い掛かる!

 

 

 トンネルという筒を抜けた先には線路は無く、地下鉄の車体は奇怪な巨大な怪物が待ち構える地面へと落下する!

 

 

 驚き窓から見上げる乗客たち、そして健二の視線の先に立っていたのはギロン人の言っていた超獣アリブンタであった!

 

 

 突然超獣に襲撃された地下鉄の乗客たちは「怪獣だ!」等とパニックになって騒ぎながら狭い車内を我先に走り回って逃げ始める。

 

 健二もそんな乗客たちに半ば押し込まれながらもとりあえず逃げていく。

 

 

 健二「こんな所に怪獣が!?…マジかよ!」

 

 

 ギロン人「“怪獣”じゃない。“超獣”アリブンタだ。」

 

 同じくちゃっかり訂正をするギロン人(笑)

 

 

 ギロン人「さあ、仕上げと行こう!生意気にも我の暗躍を探っていた小僧(健二)への見せしめのためにも、そこの人間どもを皆殺しにしてしまえ!」

 

 

 ギロン人の命を受けたアリブンタは、落下のショックで動きが止まった地下鉄に接近。そして両手のハサミで車体の上部を切り裂いたり、口からの蟻酸で車体を溶かしたりなどしながら中の人々を剥き出しにしていく!

 

 車体が壊れ、超獣が目前にまで迫って来た事により人々は更にパニックになっていく。

 

 同じく中にいた健二も、驚きと同時にある事に気付く。

 

 

 健二「蟻みたいな外見だな…はっ!もしや霞ヶ崎を蒸発都市にしたのは奴なのか!?」

 

 

 アリブンタの外見により、女性失踪事件の犯人が奴(アリブンタ)である事に気付く!

 

 

 健二「やっと犯人を突き止めた…しかし…もうここまでなのか…ッ!」

 

 健二はアリブンタの猛威が自身にまで及ぼうとして来たことにより自身の努力が水の泡になってしまうのではないかという事に途方に暮れそうになっていた…!

 

 アリブンタの猛威は周りの乗客にも襲い掛かろうとしている…!

 

 

健二「そんなっ!…全部、無駄だったと言うのか!?…俺がやってきた事は…。」

 

 

 

 健二が地下鉄もろともアリブンタに襲われている正に同じ頃、早苗もフルータ星人たちと共にホタルンガの攻撃により絶体絶命の危機に追い込まれていた!

 

 

 やがて必死に逃げていく内に、愛が足を挫いて転んでしまう!

 

 

 賢「愛っ!」

 

 早苗「大丈夫!?」

 

 愛「ちょっと、挫いちゃったみたい…。」

 

 

 愛の無事を案ずる早苗たち。だが、そうしている間にもホタルンガの猛攻は目前にまで迫っていた!

 

 

 明人「チクショ…!」

 

 輝雄「もう駄目だ~!」

 

 賢「愛っ…!」

 

 愛「お兄ちゃん…!」

 

 

 早苗「私の所為だわ…私が無謀な探索を続けた所為で…みんなが…。」

 

 早苗も自分の努力が結果他人を巻き沿いにしてしまったのではないかという罪悪感もあって途方に暮れ、今にも絶望しそうになっていた。

 

 

健二は急いでスマホを取り出して櫂に連絡しようとするが、自分も乗っていた地下鉄は電波の届かない域に落ちているのか、残酷にも画面には“圏外”と表示されていた…。

 

 

もはや打つ手なし…健二はやるせなさから叫んだ。

 

 

 健二「どうしたらいいんだあぁぁーーーーーー!!!!!!」

 

 

 

 場所は違えど、同時に周りの人々共々絶体絶命の危機に追い込まれた健二と早苗。

 

 

 だが、彼らは微かでもまだ希望を捨ててはいなかった…!

 

 

 

 ギリギリまで頑張って、ギリギリまで踏ん張った彼らは、更にその先の奇跡を信じ始めたのだ…!

 

 

 

 早苗「もう…どうにも、こうにも…。」

 

 

 健二「どうにもならない…。」

 

 

 そんな時!

 

 

 

 健二・早苗「ウルトラマンが、、、欲しい!!」

 

 

 

 場所は違えど二人の声が重なった!

 

 

 

 そしてその時、大いなる奇跡が訪れる!

 

 

 

 “ピキーン”

 

 

 健二「うわっ!? なっ、何だ!?」

 

 

 健二は突如、自身の目の前に現れた赤い光に驚く。

 

 

 健二「…また…赤い光…?」

 

 

 

 一方の早苗の方も同じく、海から青き光が差し込んでいた。

 

 早苗たちはもちろん、ホタルンガも思わず攻撃の手が止まりその光の方を向いている。

 

 

 早苗「あれは…青き光…?」

 

 

 愛「…何?あれは…。」

 

 明人「もしや、新たな敵か!?」

 

 賢「冗談じゃねーぞ!」

 

 

 その時!

 

 

 早苗「?!えっ?、ち、ちょっと…!?」

 

 早苗は突如青き光に掬い上げられるかのように宙を浮く。

 

 

 愛「…早苗さん?」

 

 賢「お前…どうなっちまってんだ?」

 

 

 古田兄妹が驚くのも束の間、宙を浮く早苗は青き光に引き寄せられるかのように海向かって飛んで行く!

 

 早苗「うわっ!? きゃーっ!」

 

 

 やがて早苗は海の中へと姿を消してしまった…。

 

 

 突然の出来事に唖然とするしかないフルータ星人一同。

 

 輝雄「早苗が…海に、喰われちまった…。」

 

 明人「馬鹿言うなよ…一体、どうなっちまってんだ…?」

 

 

 

 早苗「水っ!水っ! 溺れる〜!」

 

 海の中に放り込まれた早苗は慌てて必死にもがく。

 

 

 早苗「…あれ?溺れない…?」

 

 …だがしかし、やがて溺れる気配がしない事に気付き、それどころか自身は海中とは違うどこか不思議な空間の中にいる事に気付く早苗。

 

 早苗「ここは…どこだろう…?」

 

 

 しばらく辺りを見渡して行くと、やがて早苗は何かを見つけた!

 

 早苗「はっ!…あれは…?」

 

 

 

 同じ頃の健二の方はというと、例の赤い光が現れた瞬間、周囲の自身以外の時間が止まり、それどころか彼もまた、瞬く間に不思議な空間へと誘われる。

 

 そしてそこであるモノを見上げていた…。

 

 

 健二「…あれは…。」

 

 

 見上げる視線の先にある巨大なモノ。

 

 

 それは先ほどのアリブンタではなかった。

 

 

 赤い光に全身を包んだ巨人が雄々しく立っていたのである!

 

 

 更に健二は、その巨人の胸に付いている逆三角形の青く光るランプに気付き、そして咄嗟に呟いた。

 

 

 健二「…ウルトラマン…?」

 

 

 

 一方の早苗も、健二と同じく目の前に現れた巨人を見上げていた。

 

 その巨人も胸に青く光るランプを付けているのだが、全身は青い光に包まれていた。

 

 

 早苗「。ウルトラマン…?」

 

 彼女もまた、その巨人を見た瞬間咄嗟に呟く。

 

 

 突然自身の前に現れた巨人をウルトラマンと確信した健二と早苗。

 

 

 健二「もしかして…赤い光と共に見守ってくれてたのは、君なのか?」

 

 早苗「…あなたなの?」

 

 2人の問いかけに、2人の巨人はゆっくりと頷いて答える。

 

 それにより、2人の確信はより強まった。

 

 

 健二「そうか…なあ、お願いがある。今、みんなが危ないんだ!

 

 (先ほどアリブンタにより恋人を失った男性や、母親を失った女の子を浮かべながら)もうこれ以上、誰かの涙は見たくない。

 

 俺は、みんなを…助けたい。」

 

 

 早苗「私は…みんなの力になりたい!」

 

 

 2人の願いを聞いた2人の巨人は、ゆっくりと頷いた後、そっと両手をかざす。

 

 

 健二・早苗「俺(私)を…試しているの(か)?」

 

 

 すると、赤と青の巨人は光の粒子になり、それぞれ健二と早苗を包み込むように周囲に拡散する。

 

 光に包まれる2人は戸惑いながらもそこから不思議な力を感じ始める。

 

 

 健二「…この光…とっても暖かくて…俺を包んで……いや…光が、俺の中に、」

 

 

 早苗「光が、私の中に、」

 

 

 健二・早苗「入ってくる…!」

 

 

 やがて2人は、それぞれ赤と青の眩い光に包まれる!

 

 

 

 地下鉄の方は止まっていた時間が動き出したのか、乗客に襲い掛かろうとするアリブンタ、そして地下鉄内を逃げ回る乗客たちが再び動き始める!

 

 

 アリブンタは地下鉄の目前までに迫っており、乗客たちもほとんどが諦めかけていたその時!

 

 

 “ピキーン”

 

 

 突如、アリブンタと地下鉄の間に赤い光の柱が射し込み、アリブンタは思わず後ずさりをし、地下鉄の乗客たちもその眩しさに目を覆う。

 

 

 「…何?あの光…。」

 

 

 人々は突然現れた光を目を覆っていた手を少しずつ離しながら見つめ始める。

 

 

 アリブンタも目を覆っていた徐々に手を離しながら光を見つめ始める…。

 

 

 “ジュワッ!”

 

 

 “ガッ”

 

 

 その時、光の中から何かが頭部に掴みかかり、それに驚くアリブンタ。

 

 

 人々も目を覆っていた手を完全に離した時、目の前の光景に驚く。

 

 

 (BGM:逆転のクァンタムストリーム)

 

 

 それは、何やら赤い光に全身が覆われている巨人が、アリブンタと組み合っていた。

 

 

 人々は驚愕するが、見つめていくうちにその巨人が自分たちを守って戦っている事に気付き始めていく。

 

 

 やがて巨人はアリブンタを力任せに放り投げた後、地下鉄の方へと歩み寄る。

 

 

 そして地下鉄の全車両を両手で掴んで拾い上げると、そのままアリブンタが地上から掘ってきたと思われる穴を伝って地上に向かって飛び立つ。

 

 

 やがて地上に到着して着地すると、掴んでいた車両を地上に降ろし、「もう大丈夫」と言うように一礼する。

 

 

 地下鉄の乗客たちは警察等の指示で急いで車両から出て行き、そして自分たちを助けてくれた巨人に礼を言う。

 

 

 人々の無事を確認した巨人は立ち上がる。

 

 

 

 やがて後を追って来たアリブンタも激しい土砂や土煙を巻き上げて地面を突き破って地上に現れる。

 

 

 巨人はアリブンタの方を振り向くと、その場から高く跳躍する。

 

 そして空中で一回転しながら全身の赤い光を更に光り輝かせ、やがてその全身の光を消滅させながら着地していく。

 

 

 そして全身の光が完全に消えて姿を現すと同時に両足を付いて着地。

 

 

 “ズドーン”

 

 

 着地の瞬間、その衝撃で巨人の周囲の地面から土煙や土砂が天高く巻き上がる!

 

 それはまるで地球の大地と巨人が、互いに力の呼応をしているかのようである。

 

 

 そう、ド派手な着地で現れたのは、地球の大地の赤い光の巨人、『ウルトラマンガイア』だ!

 

 

 彼は地球の大地より授けられた赤い光で変身するウルトラマン。すなわち、他のウルトラマンとは異なり出身地は“地球”であるため、正に彼は“地球の化身”なのである。

 

 彼の着地は正にそんな地球の化身の登場に地球の大地自身がその力に応えているようなものなのである!

 

 

 大地から地上を見守っており、時たまアリブンタの捕食を阻止していた光の正体も彼なのである。

 

 恐らくこのガイアはこの世界の者、即ちパラレルワールドのガイアであり、かつて同じウルトラマンのアグルと共に宇宙から襲来する人類の滅亡を望み怪獣などを送り込んだ存在・根源的破滅将来体などと戦い抜いた後、恐らくかつての変身者『高山我夢』と分離して長い間大地に帰っていたのだが、今回地底から暗躍する者の存在に気付いたことにより邪悪な者の存在を知り戦う決心をしたのであろう。

 

 今回登場したガイアは赤・銀で構成されたボディに胸部の金のフレームが特徴の『ウルトラマンガイア(V1)』であるが、これは恐らく初めてウルトラマンになった人物が戦い慣れていない健二であるが故に、まだアグルから授かった力を引き出せていないからであろう。

 

 

 人々はガイアの登場に歓声を上げる。

 

 

 櫂「…あれは何だ!?」

 

 真美「新たな…ウルトラマン?」

 

 櫂と真美も、先ほどの女の子を連れながらガイアを見上げていた。

 

 

 現れたガイアはアリブンタと対峙しながら何やら自身の両腕を見つめたりしている。

 

 健二「…これは…この姿は一体…?」

 

 それはガイアに変身した健二自身の動揺する動きであった。

 

 

 健二は大地のガイアの光に選ばれたのである!

 

 

 

 一方フルータ星人の方はと言うと、ホタルンガ共々光り輝く海の方を見つめていた。

 

 

 すると、その海が更に輝き、その瞬間海がモーゼの十戒のごとく割れ始める!

 

 

 愛「…何?あれ…。」

 

 明人「…すっげ~!」

 

 賢「一体…何が起こってるんだ?」

 

 

 フルータ星人一同は驚きと共にその光景に何やら神秘的なものを感じていた。

 

 

 輝雄「はっ!何かいる!」

 

 

 輝雄はその割れた海の中に何かを見つけ、賢たちも目を凝らす。

 

 

 (BGM:アグル降臨)

 

 

 そこには、割れた海の間に青く輝く巨人が、両腕の肘から先を顔前に立てた状態でしゃがんでいた。

 

 

 賢たちがそれに驚愕する中、その巨人はそっと健たちの方を向いて一回頷く。まるで「もう大丈夫」と言っているようである。

 

 

 賢「あれ…もしかして早苗…なのか…?」

 

 早くも賢は何かを察していた。

 

 

 青い光の巨人はゆっくりと立ち上がり、それと共に身体の青い光も消えて姿を現す。

 

 

 現れたのは海の青い光の巨人『ウルトラマンアグル』である!

 

 

 彼はガイアと同じく地球出身のウルトラマンであるため“地球の化身”のようなものであり、割れた海こそ正に彼と地球の海の力の呼応なのである。

 

 

 海沿いの道路で謎のガスとホタルンガ捕食の妨害をしていた光の正体も彼であり、彼もまたかつての戦いの後、変身者『藤宮博也』と分離後海に帰っていたのだが、海の傍で暗躍する者の存在に気付き邪悪な者と戦う決心をしたのであろう。

 

 

 早苗「…これは一体…?」

 

 アグルもまた、自身の腕などを何度も見つめていた。

 

 変身した早苗が、自分の姿に戸惑っているのである。

 

 

 早苗は海のアグルの光に選ばれたのである!

 

 

 恐らくこのアグルもパラレルワールドの存在であり、登場した形態は青・黒・銀で構成されたボディの『ウルトラマンアグル(V1)』である。

 

 

 

 それぞれガイアとアグルの光に選ばれた健二と早苗。

 

 恐らくガイアとアグルは地上を見守っていく内に、彼らの自らの危険を顧みず人間としてギリギリまで頑張る姿に共感してウルトラマンとして戦えると見込み、そして彼らが危機に瀕した事もあってそれぞれ光を授けたのであろう。

 

 

 

 早苗「えっ?…こ、これが私?あり得ない!?」

 

 動揺が続く早苗は、ふと下を見てみる。

 

 早苗「何これ?うわぁぁあ!?たっか〜!?私いつの間にこんな高い所にいるの〜!?」

 

 ウルトラマンとなって巨大化したが故に目線も上がり、下の景色が小さく見える早苗は自分がいつの間にか高い所にいるのかと少し驚き勘違いをしていた。

 

 なおもアグルに変身した自身の姿に動揺する早苗。

 

 

 だがその時、ふと見上げた視線の先には今にもフルータ星人一同に襲い掛かろうとするホタルンガが見えた。

 

 

 早苗「はっ!…愛ちゃん達が…危ないっ!」

 

 

 “デュアッ!”

 

 

 早苗=アグルは愛たちの危機に気付き、咄嗟にその場から飛び立ちホタルンダ目掛けて接近する!

 

 アグルが飛び立つと同時にさっきまで割れていた海も元に戻って行く。

 

 

 アグルはホタルンダに勢いよく飛び付き、両者は海沿いの道路の崖に激突する。

 

 そしてそのまま組み付いたまま離さない。恐らくフルータ星人たちを襲わせないように押さえ込んでいるのであろう。

 

 

 輝雄「…俺たちを…守ってる?」

 

 明人「やっぱり、あれは早苗なのか!?」

 

 自分たちを守るアグルの姿にフルータ星人は更に強く確信する。

 

 

 アングラモン「ええい!想定外の事態だ!…止むを得ん…ホタルンガ!場所を変えるぞ。まずはその巨人を叩き潰せ!」

 

 主人の命を受けたホタルンがはアグルと組み付いたまま背中の羽を羽ばたかせ始め、やがてそのまま飛び立ち始める!

 

 アグルもホタルンガに連れられる形で飛び始め、やがて両者は何処かへと飛び去って行った…。

 

 

 遠く飛び去って行くアグルとホタルンがを呆然と見つめるフルータ星人一同。

 

 愛「…早苗さん…どうなっちゃったの…?」

 

 

 賢「…カッコよすぎる…!」

 

 

 

 アリブンタと対峙する健二=ガイアはというと、

 

 

 健二「これが…ギリギリまで頑張った末に俺に授けられた力なのか?…」

 

 まだ自分の姿に戸惑いながらも、早くも自身に与えられた力の意味を理解し始めていた。

 

 彼は悪としてとはいえ一度は妄想ウルトラセブンとして巨大変身したことがある(第11話参照)。そのためかガイアとして巨大変身した今も比較的飲み込みが早いのであろう。

 

 

 だが、そうこう考えてる間にもアリブンタが既に目前にまで迫っていた…!

 

 

 健二「うっ、うわあっ!?ちょと待て〜!!」

 

 

 いきなりの奇襲に驚き慌てる健二。

 

 アリブンタはハサミ状の両腕を振るって殴りかかるが、ガイアはそれを何とか両腕で掴んで受け止める。

 

 アリブンタは今度は牙を突き立てた頭突きを連続で繰り出すが、ガイアはそれを顔を左右にそらして避け、両者はそのまま組み合ったまま地面を転がり始める。

 

 ガイアはアリブンタにマウントを取られる形になってしまい、アリブンタは再び頭突きを繰り出すが、ガイアはそれを何とか両手で掴んで受け止め、そして右足でアリブンタの頭部を蹴り、それによりアリブンタが少し後ずさった事で何とかマウントを逃れる。

 

 だが、マウントを逃れたのも束の間、立ち上がろうとしている最中に背後から体当たりを食らってしまい再び転倒してしまう!

 

 

 やはり健二は実戦経験があまり無いため戦い慣れていないのか、とりあえず手探りで目の前の敵と戦っていくのだが苦戦を強いられる。

 

 

 健二「やはり…いきなりの実戦は、ちょっときついな…。」

 

 

 その時、健二=ガイアは何かに気づいたのかふと上を向く。

 

 そこには上空から何かが落下して来るのが見えていた…。

 

 

 “ズドーン”

 

 

 そしてやがて、ガイアたちの近くに落下する!

 

 それは、先ほどの海沿いの道路付近の海岸から飛んで来たアグルとホタルンガであった!

 

 

 健二「あ…新たなウルトラマン!?」

 

 

 驚愕する健二。櫂と真美もその光景に驚いていた。

 

 櫂「また1人ずつ、ウルトラマンと怪獣が来た…!?」

 

 真美「一体どうなってるの!?」

 

 ゼロ「櫂、真美。彼らはウルトラマン。ガイアとアグルだ。」

 

 ゼロは2人にウルトラマンの名を教える。

 

 櫂「ガイア…?」

 

 真美「アグル…?」

 

 ゼロ「ああ。彼らはそれぞれ、大地と海の光のウルトラマンだ。」

 

 真美「…大地と海……って事は、」

 

 ゼロ「ああ。彼らの出身地は、ここ地球ってワケだ。」

 

 櫂「…驚いたなぁ…まさか地球産まれのウルトラマンがいたなんて…!」

 

 櫂も真美も、ガイアとアグルの出身が地球という事は初耳のようである。

 

 

 真美「それにしても…あの2匹の怪獣、どちらも昆虫のような見た目ね。」

 

 アリブンタとホタルンガを見つめた真美は二体の外見的特徴に気付く。

 

 櫂「ああ。だから真美、健二が追っていた謎のアリ地獄怪事件の犯人は、奴らなのかもしれないぞ。」

 

 櫂は先ほどギロン人からテレパシーで伝えられたという事を少しぼかして真美に真実を伝える。

 

 

 真美「じゃあ…この子のママを殺ったのも…。」

 

 犯人に気付いた真美。犯人を知った二人はより深刻な表情でガイア達の戦いを見つめる。

 

 

 ガイアとアグルはそれぞれアリブンタとホタルンガと戦うが、変身者がどちらも戦い慣れていない人間であるがために苦戦を強いられている。

 

 

 それを見ていたゼロも、何かに気付きつつあった。

 

 ゼロ「あの二人…あんな覚束ない戦い方じゃないはずだが…。」

 

 

 そしてアグルの方を向いて、

 

 ゼロ「…あのアグル…妙に動きが女っぽいな…?」

 

 

 ガイアとアグルはそれぞれアリブンタとホタルンガと組み合い、それと同時に激しく土煙や土砂が巻き上がる。

 

 だが、二人とも怪獣よりも強い超獣のパワーに押されていき、やがて押し倒されてしまう。

 

 

 アリブンタは仰向けに倒れているガイアにマウントを取って手のハサミをを突き立てたパンチを繰り出し、ガイアはそれを顔を反らすことでかわしていく。

 

 ガイアはやがてアリブンタの腕を掴んで受け止め、両脚で頭部を挟み込んで頭部にがむしゃらにチョップを打っていくが、アリブンタはそのままガイアを持ち上げて放り投げる。

 

 

 アグルはホタルンガ向かおうとするが、威嚇するように腕を振るって来るホタルンガに腕を伸ばそうとしては引っ込める等の繰り返しでなかなか近づけないでいる。

 

 その様子はまるで生身の人間が熊か何かの獣に立ち向かっている様である。

 

 やがてアグルはホタルンガの頭部からの爆発性の溶解液を浴びて爆発して吹っ飛んでしまう。

 

 

 アリブンタは口から蟻酸を噴射してガイアに浴びせる。

 

 蟻酸を顔に受けたガイアは苦しみながらも何やら強烈な臭いを感じたのか鼻をつまむような仕草も見せる。

 

 ガイアはその場から受け身をとって蟻酸攻撃から逃れるが、その隙にアリブンタは両手のハサミから火炎を放射し、ガイアはそれをモロ胸部に受けて爆発と共に吹っ飛ぶ。

 

 アリブンタは倒れたガイアに接近し、右手のハサミで首を挟んでそのまま絞めつけ始める。

 

 ハサミで首を絞められたまま立ち上がったガイアはなんとかそれを力ずくで振りほどくが、その直後にアリブンタの頭突きを腹部に喰らって遠く吹っ飛んでしまう。

 

 

 アグルはホタルンガに苦戦しながらも何とか大勢を立て直す。

 

 早苗「ここでくじけるワケには、いかないんだから!」

 

 

 その時、何かの衝撃が早苗の脳裏に走った。

 

 早苗「…イメージが浮かんだ!」

 

 

 アグルは両腕を斜めに広げる。すると両手の間に光の帯が走り、やがてそれが一つの光弾に変わる。

 

 アグルは必殺技の一つ『リキデイター』を放とうとしているのだ!

 

 

 唐突に早苗の脳裏に浮かんだイメージは必殺技の発射ポーズだったのである。

 

 

 …だが、ホタルンガはそれに気づくや辺りを見渡し始める。そして真美と少女を見つけるとそちらの方向に尻尾を向ける。

 

 

 真美「…何をするつもりなの…?」

 

 

 ホタルンガは蛍の如く尻尾の下部を発光させ始める。

 

 すると、なんと真美と少女はそれに引き込まれるかのように宙を浮き始める!

 

 

 真美「ひゃっ!?何これ!?」

 

 

 櫂「!真美!!」

 

 

 真美「櫂くーん…!」

 

 

 櫂も異常事態に気付くが、それも束の間、真美と少女は瞬く間にホタルンガの尻尾に吸い込まれ、中に取り込まれてしまった…。

 

 

 早苗「…はっ!?真美さん!」

 

 

 今まさにリキデイターを打つ動作に入っていた早苗(アグル)もそれに気づき、思わず手をそらせてしまう!

 

 それにより、光弾はホタルンガとは全く違うあさっての方向へと飛んで行ってしまった…!

 

 

 アングラモン「ふふはははは!どうだ!貴様がホタルンガを倒せば、あの小娘共の命も無いぞ!!」

 

 早苗「はっ!?」

 

 

 アグルは声のする方を振り向くと、そこにはいつの間にか巨大化していたアングラモンの姿があった。

 

 

 ガイアもふと振り向いてみると、そこには同じく巨大化したギロン人の姿があった。

 

 

 健二「まさか…!」

 

 早苗「裏で超獣たちに指示を出してたのって、あなた達なのね!」

 

 ギロン人「理解が早いねえ。その通り。 我々はあるお方の命を遂行するためにも、ウルトラマンは邪魔なもんでねぇ。」

 

 アングラモン「ホタルンガ達の食事を邪魔した報いのためにも、ここで死んでもらうぞ!」

 

 

 どうやらギロン人とアングラモンは何者かの命を受けて侵略工作にやって来た仲間内のようであり、それぞれ超獣の生育という下準備の最中にガイアとアグルという思わぬ邪魔が入ったため、まずは彼らの排除として二体の超獣に命を出していたのである。

 

 

 アングラモン「ホタルンガに人質を取らせておいた。これで奴らは手出し出来まい。」

 

 ギロン人「下手に手を出してみろ。今ホタルンガが取り込んでる小娘を、我がアリブンタのご馳走にしてやるぜ。」

 

 早苗「そんな…私たちを倒すために、真美さんを巻き込むなんて…!」

 

 健二「なんて卑怯な奴らだ…!」

 

 ギロン人「卑怯もラッキョウもありませんよ。ふふふ…。」

 

 

 その頃、宇宙船・テライズグレートでは、

 

 メフィラス星人キョウ「それ僕のぉ…。」

 

 

 健二「チクショウ…一体どうすれば…。」

 

 早苗「真美さんに何かあったら…!」

 

 アングラモンの巧妙な人質作戦により、益々下手に手を出しづらくなったガイア(健二)とアグル(早苗)。

 

 

 ギロン人「さあアリブンタ、思う存分痛ぶってやれ!」

 

 アングラモン「今こそトドメの時だ!」

 

 

 アリブンタは動揺するガイアに猛然と襲い掛かっていく!

 

 下手に手を出せないガイアはアリブンタのハサミのパンチなどを食らい徐々にダメージを受けていく…!

 

 

 ホタルンガは尻尾の先端のハサミで動揺するアグルの首を挟み込み、そのまま尻尾を光らせてショックを浴びせる!

 

 強烈なショック攻撃を食らったアグルはその場で崩れ落ちるように倒れ込む…!

 

 

 やがて、二人の胸のランプが危険を知らせるように赤く点滅を始める…!

 

 ガイアとアグルは他のウルトラマンとは違い、地球出身であるが故に制限時間が無く、胸のランプもカラータイマーではなく『ライフゲージ』と言われている。

 

 これはエネルギーの残量やダメージを受けた事を知らせるために点滅するのであって、今まさに敵の策略によりピンチに陥った二人への危険信号として点滅を始めたのだ!

 

 

 アングラモン「ふははははは!愉快!痛快!」

 

 ギロン人「さあ、一気に止めを刺せー!!」

 

 

 

 …だが、この危機を“ある男”が黙って見ているはずが無かった…!

 

 

 “最愛の者”を襲われかけたどころか、今まさに人質に取られている事に、激しい怒りと殺意を燃やす“あの男”が…!

 

 

 櫂「レッツ…ゼロチェンジ…!!」

 

 

 櫂は、静かにどこか殺気を感じるドスの利いた声で掛け声を言い、それと共にウルティメイトブレスレットから出現させていたウルトラゼロアイは櫂の目にくっ付く。

 

 

 “ピシャイィィン ギュイイイイィィィィン”

 

 

 櫂は赤と青の光と共に『ウルトラマンゼロ』へと巨大変身した!

 

 

 ギロン人とアングラモン、そしてガイアとアグルもゼロの登場に気付く。

 

 

 健二「…櫂さん…。」

 

 早苗「来てくれたのね…。」

 

 健二と早苗は櫂が助太刀に来てくれたんだと思い、そっと安心感と共に呟く。

 

 

 最も、櫂はそのためだけに変身したのではないが…。

 

 

 ギロン人「ふっ、ゼロか…今更現れた所で何になるってんだ?」

 

 アングラモン「貴様も人質のためにここで死ぬがいい!!」

 

 

 そう言うとギロン人は両手のハサミからギロン光線を、アングラモンは胸部から地震光線を、それぞれ同時にゼロ向けて放つ!

 

 

 “ズドーン”

 

 

 二つの光線はゼロに命中し、大爆発を起こす!

 

 

 健二「はっ、櫂さん!?」

 

 

 ギロン人たちはゼロを倒したと確信して高笑いする一方、健二たちは心配そうに見守る。

 

 

 …だが、彼らは完全にゼロを侮っていた。

 

 

 “ガッ”

 

 

 ギロン人「…うっ!?」

 

 

 ギロン人は突然何かに頭を掴まれる感覚を感じて驚く。

 

 

 上を向いてみると、なんとゼロが右手で自身の頭を掴み、そのまま逆立ちをしていた!

 

 

 ゼロ「当たらなきゃ意味ないぜっ!?」

 

 かつてダークロプスゼロにも言った同じ事を言い放つゼロ。

 

 だが、櫂の意識が表に出ている故か、その声色は殺気に満ちていた…。

 

 

 ゼロは手を放し、空中で一回転しながらギロン人の後頭部に蹴りを決めて吹っ飛ばした。

 

 強力な蹴りを誰しもの弱点に打ち込むという中々えげつない戦法。櫂の彼らへの憎しみが伝わって来る。

 

 

 ギロン人「くうっ!…お、おのれゼロ!」

 

 

 ゼロ「てめーらクズをぶっ殺す前に…、」

 

 そう言うとゼロ(櫂の意識)は、ガイアと組み合っているアリブンタの方を振り向く。

 

 そして頭部のゼロスラッガーを一つ取り出し、思い切りアリブンタ目掛けてぶん投げる!

 

 

 “ブスッ”

 

 

 思い切りぶん投げたゼロスラッガーはアリブンタの背中に刺さり、アリブンタは痛みや驚きでガイアを手放す!

 

 ガイアをアシストするためとはいい、自身の武器を相手の体に思い切りぶっ刺すという…もはやこれは単に戦法とは言えず、暴挙とも言えるだろう(汗)

 

 ゼロは怯んでいるアリブンタに接近し、刺さったゼロスラッガーを引き抜くと同時にアリブンタを蹴り倒した。

 

 

 櫂「今のは真美を襲おうとした事への借りだ…!」

 

 

 健二「…櫂さん…。」

 

 健二(ガイア)は、自分を助けてくれたゼロ(櫂)に感謝の視線を向ける。

 

 

 だがその時、

 

 

 『…無様だな…それでも選ばれし者か。』

 

 健二「…えっ?」

 

 突然、ゼロからのテレパシーが健二の元へと届く。

 

 

 『お前は光に選ばれたんだ…なら、その光を使い、愛する者のために頑張れ…!』

 

 その言葉を最後に、ゼロのテレパシーは聞こえなくなった。

 

 健二「…愛する者を…守る…。」

 

 最初は戸惑っていた健二だが、次第にその言葉により勇気が湧いて来るようであった。

 

 

 …実は先ほどのテレパシーは、ゼロ自身ではなく私怨の篭った櫂からのものとは知らずに…。

 

 どうやら櫂は、既にゼロの力でガイア達の正体が健二達だという事を見抜いていたようである。

 

 櫂の目的はあくまで真美を襲おうとしたギロン人たちをぶっ倒す事であり、そのためにも健二たちを奮い立たせようとしているだけなのである。

 

 

 ゼロは、右手にゼロスラッガーを持ったまま今度はアグルを苦戦させるホタルンガに後ろから接近。そして真美達を閉じ込めている尻尾を左手で鷲掴みする!

 

 ホタルンガは驚きながらも振りほどこうともがくが、櫂の憎しみに満ちたゼロの力はそれを放さない。

 

 

 ゼロは、右手に持ったゼロスラッガーを振り上げて…、

 

 

 櫂「真美を…返せーーーっ!!」

 

 

“ガイイィィィン”

 

 

 “ザブシュッ”

 

 

 ホタルンガの尻尾を、根元から斬り落としてしまった!

 

 ホタルンガは転倒し、斬られた断面からは体液(血?)と思われる黄色い液体が飛び散る!

 

 

 早苗「!?ひゃっ!」

 

 早苗(アグル)はその光景に驚愕するが、その直後にゼロが、切り落とした尻尾から真美たちを救出する所を見て安心する。

 

 

 早苗(櫂さん…やっぱりあなたはいい人です。)

 

 純粋な早苗は、櫂の本性を知る事も無く心でそう呟いた。

 

 

 ゼロは、救出した真美と少女を地面に降ろす。

 

 女の子「…お姉ちゃん…!」

 

 真美「良かった~、もう大丈夫だよ。」

 

 少女は怖かったのか、安心と共に泣きながら真美に縋り付き、真美はそれを抱きしめて優しく語り掛ける。

 

 

 その光景を見たゼロもひとまず安心する。

 

 ゼロ「ひとまず安心だな、櫂。」

 

 櫂「ああ…ここからは真美も戦いを見守る。 スマートな戦いで、奴らに怒りをぶつけようじゃないか?ゼロ。」

 

 ゼロ「ふんっ!…今回ばかりは同意だぜっ!櫂!」

 

 

 久しぶりに、ゼロと櫂の意見が合致した!

 

 

 ゼロ(と櫂)は、怒りの眼差しを向けながらギロン人達の方を振り向く。

 

 ゼロ「待たせちまったなぁ! (ファイティングポーズを取りながら)今度こそぶっ倒してやるぜ…!」

 

 

 ギロン人「ふんっ、随分と自信満々だな。」

 

 アングラモン「その自信、今にへし折ってやる!」

 

 

 ギロン人とアングラモンはそれぞれゼロの左右に挟み込むように立つ。

 

 

 アングラモン「いつまでも舐めた真似しやがると…」

 

 

 “ドゴンッ”

 

 

 アングラモン「ぐぉはっ!?」

 

 

 ギロン人「んなっ!?」

 

 

 ゼロに啖呵を切ろうとしたアングラモンだが、ゼロに御構い無しとばかりに顔面を殴られてしまう。

 

 

 アングラモン「…貴様っ…!」

 

 しばらく両手で顔を押さえて痛がった後、ゼロに怒りの視線を向ける。鼻からは血が垂れていた。

 

 

 ゼロ「お前らなぁ、俺を見くびり過ぎだっての。」

 

 

 アングラモン「んなっ…なんだとー!!」

 

 ゼロに煽られた事に逆上した二人はそれぞれ左右からパンチを放つが、ゼロはそれを両腕で易々と受け止める。

 

 そしてゼロはアングラモンを膝蹴りで軽く弾き飛ばし、その後ギロン人を足払いで転倒させる。

 

 

 ゼロ「さあ来いよ。俺に腹立ってんだろ?」

 

 ギロン人「こいつ…舐めんなー!」

 

 挑発されて更に逆上したギロン人とアングラモンは同時にゼロに襲い掛かる。

 

 ゼロは右からのギロン人の蹴りを右手で防いだ後腹部に右肘を打ち込み、その後アングラモンの左からの右フックをしゃがんでかわすと同時に腹部に右脚蹴りを打ち込む。

 

 その後しゃがんだままギロン人の足を掴み、そのままジャイアントスイングで地面に叩き付ける。

 

 そして立ち上がったギロン人を渾身の右横蹴りでサッカーボールの如く蹴飛ばし、続けて左後ろ蹴りでアングラモンを同じくサッカーボールの如く蹴飛ばした!

 

 

 ゼロに励まされるようにアシストされ、更にゼロの勇姿を目の前にし、そして自分たちを応援する真美たちを目にしたガイア(健二)とアグル(早苗)は、徐々に勇気を取り戻しているようであった。

 

 そして、再びアリブンタたちにより不幸になった人々の事を思い出しながら、怒りと共に立ち上がる。

 

 

 早苗「そうよ…今ここで、やられるわけにはいかない…!」

 

 

 健二「櫂さんだって、人々、そして、愛する者のために戦っているんだ。」

 

 

 早苗「負けない…真美さんも、私たちの勝利を信じてくれているから。」

 

 

 健二「だから…これ以上、愛さえ知らずに育ったモンスターなんかに、皆の笑顔を汚されてたまるか!

 

 

 …うぬぼれるなよ…邪悪な願いを持つ者め……最後の力が枯れるまで、ここから一歩もさがらない!」

 

 

 健二・早苗「俺(私)は、ウルトラマンなんだ!!」

 

 

 (BGM:ウルトラマンガイア!)

 

 

 遂に勇気が満ちた二人。ガイアとアグルは構えを取った後、それぞれアリブンタとホタルンガ向かって駆け始める。

 

 走る際、一歩一歩地面を踏む度に土砂が巻き上がる。それはウルトラマン、そして大地の怒りが呼応しているようである。

 

 

 ガイアは走る勢いでアリブンタに体当たりを決め、次にアリブンタのパンチを弾いて防いだ後胸部にがむしゃらに連続でパンチを打ち込み、腹部に右脚蹴りを決める。

 

 その後アリブンタの反撃の右フックを両腕で掴んで受け止めると、そのまま振り回した後右脚で蹴飛ばし、続けて両手同時にパンチを腹部に叩き込む。

 

 

 アグルはホタルンガの殴り込みをしゃがんで避けると同時に腹部にラリアットを決め、その後右腕を掴んで腹部に右脚蹴りを決めた後、横に放り投げる。

 

 立ち上がったホタルンガは頭部を振り下ろして頭突きを繰り出し、アグルはそれを両手で受け止めた後に頭部にチョップを繰り出し、その後左脇腹に連続で右脚蹴りを打ち込み、更に跳躍して両足蹴りを胸部に叩き込んで吹っ飛ばす。

 

 

 アリブンタと組み合うガイアは、自身の腕に組み付くアリブンタの腕を振りほどいた後、胸部に右肘を叩き込み、続けて腹部に左膝蹴り、胸部に左脚蹴りと連続で蹴りを打ち込む。

 

 そして跳躍して落下スピードを活かした右膝蹴りをボディに叩き込んで吹っ飛ばした!

 

 

 先ほどのゼロの(櫂の私怨が籠った)攻撃を受けたアリブンタとホタルンガは、初心者が変身したガイアとアグルと互角に戦えるほどまでに劣勢になっていたのである。

 

 

 ギロン人とアングラモンを圧倒するゼロも、善戦し始めたガイアとアグルをどこか安心の表情で見つめている。

 

 櫂(ふふふ、いいぞ。その調子でぶっ倒せ…! 真美を襲おうとしたクズ野郎をな…!)

 

 …最も、櫂はあまりよろしくない考えをしているが…。

 

 

 アグルは再度ホタルンガの頭突きを受け止め、そのまま腹部に膝蹴りを二発打ち込んだ後、跳躍して右脚での横蹴りを頭部に叩き込み、蹴りが命中すると同時に爆発が起こりホタルンガは吹っ飛ぶ。

 

 

 ガイアは右足の前蹴りを胸部に叩き込み、続けて頭部にチョップを叩き込んだ後、胸部に力強くパンチを連続で打ち込み、そして最後に渾身のボディブローを叩き込んで吹っ飛ばした!

 

 

 ギロン人「ああっ!アリブンタ!」

 

 アングラモン「ホタルンガ!」

 

 ゼロ「おめえら!よそ見してる場合じゃねーだろ!」

 

 自身の配下の超獣が押されてる事に動揺するギロン人達だが、ゼロはそんなの御構い無しとばかりに猛攻を続ける。

 

 ゼロはギロン人の腕を掴んで自身の前に軽く放り投げた後、腹部に右足の前蹴りを打ち込み、その後回し蹴りを頭部に叩き込み、ギロン人は回転しながら吹っ飛んで地面に叩きつけられる。

 

 次に、バック転をしながらアングラモンに接近すると同時に逆立ちでの両足蹴りを顔面に打ち込み、続けて腹部に水平チョップ、首筋に空手チョップを決め、その後両手で大きく持ち上げて力一杯放り投げた!

 

 

 超獣、そして地底人たちを圧倒するウルトラマン3人。

 

 どれも邪な心がある、無い関係なく人々を、そして愛する者を守るために戦っている。

 

 そしてその想いは、例えどんな者であろうと、力任せの邪悪な願いを持つ者には決して負けないのである!

 

 

 アグルはホタルンガの首を掴んでジャンプし、落下スピードを利用して地面に叩き付ける。

 

 続けてはホタルンガに接近すると同時に、一回転しながらの後ろ蹴りを胸部に叩き込んで吹っ飛ばす。

 

 

 アグルは再び広げた両手の間に光弾・リキデイターを作り出し、それを両手を突き出すことでホタルンガ目掛けて放つ!

 

 光弾はホタルンガの胸部にクリーンヒット。爆発し、完全にグロッキーとなったホタルンガ。今こそ止めだ!

 

 

 アグルは両腕を上下広げて頭部のランプ・ブライトスポットに光の刃を垂直に伸ばし、そして腕を振り下ろすと同時にそれを必殺光線『フォトンクラッシャー』にして放つ!

 

 

 アグル最強の必殺技を浴びたホタルンガは大爆発し、木端微塵に吹き飛んだ!

 

 

 ホタルンガを撃破したアグルは必殺技ポーズを解いてゆっくりと立ち上がる。

 

 

 アリブンタはガイア目掛けて渾身の蟻酸攻撃を吹き付けるが、ガイアは両手を突き出して光の円形のバリヤー『ウルトラバリヤー』を張ってそれを防ぐ。

 

 そしてその場からバリヤーを残したまま高くジャンプし、アリブンタの頭部に強力な急降下キックを浴びせる!

 

 蹴りを頭部に受けたアリブンタは爆発と共にたまらず吹っ飛ぶ。

 

 続いてアリブンタの頭部を掴み、そのまま駆け込みながら跳躍して顔面を地面に叩き付けるフェイスクラッシャーを決める!

 

 更に倒れ込んで怯んだアリブンタを、重量により少しふらつきながらも頭上に持ち上げ、力一杯放り投げて地面に叩き付けた!

 

 

 ガイアの強力な連続攻撃を受けて大ダメージを受けながらも、なおもふらつきながらも立ち上がって向かって行こうとするアリブンタ。

 

 

 健二「…よし、浮かんだ!これで決めてやる!」

 

 早苗と同じく突然衝撃と共に頭に必殺技のイメージが浮かんだ健二。今こそ止めだ!

 

 

 ガイアは腕をT字型に組んでエネルギーを溜め、右腕をL字型に構え直して左腕を右腕の関節に乗せて必殺光線『クァンタムストリーム』を放つ!

 

 光線はアリブンタに直撃して爆発する。

 

 アリブンタは大ダメージを受けて怯むが、まだ絶命する様子はなく、ふらつきながらもなおも襲い掛かろうとする。

 

 流石はかつて『ウルトラマンA』の必殺光線『メタリウム光線』や、『ウルトラマンビクトリー』の連続ウルトランス、『ウルトラマンヒカリ』の光の剣『ナイトビームブレード』にも耐えた程であり、アリブンタの耐久力は侮れないものがある。

 

 

 だが、健二(ガイア)は決して諦めない。今こそギリギリまで頑張る時だ!

 

 

 クァンタムストリームを耐えられたガイアは、「これならどうだ!」とばかりに次の必殺技の体勢に入る。

 

 

 両腕を水平に伸ばした後、額に当ててエネルギーを溜めながら屈み、立ち上がりつつ額から鞭のようにしならせながら光の刃を放つ。

 

 

 これぞガイアのもう一つの必殺技『フォトンエッジ』だ!

 

 

 光の刃はアリブンタの体を切り裂く様に直撃!アリブンタは赤の光に切り刻まれるエフェクトを出しつつ、しばらくもがき苦しみながら後退し、やがて倒れ込んで大爆発し木端微塵に吹き飛んだ。

 

 

 最後までギリギリまで頑張って二大超獣を撃破したガイアとアグルは合流し互いに見つめ合い、頷き合う。

 

 それはまるで、互いに誰なのかを理解し合い、「お疲れ様」を言い合っているようである。

 

 

戦いを見守る真美たちも、ガイアたちの勝利を喜ぶ。

 

真美「…ウルトラマンが仇を取ってくれたんだよ。あなたのママの。」

 

真美は、まだ少し泣いている女の子に優しくそう語りかけながら、背中を優しくさする。

 

 

 ゼロはギロン人とアングラモンを同時に投げつける。

 

 

 アングラモン「こ…こんなことが…!」

 

 ギロン人「まさかゼロが…こんなにも強力なウルトラ戦士だったとは…!」

 

 二人は散々ゼロ(と櫂)の怒りの攻撃を受けたのか、既にふらついていた。今こそトドメのチャンスである!

 

 

 ゼロ「止めだ!」

 

 櫂「地獄に落ちろ!」

 

 真美が見ているために比較的平静を保っているとはいえ、怒りに燃えているが故に相変わらず物騒な物言いをする櫂(笑)

 

 

 ゼロは右の手刀を燃え上がらせる。そして右腕を振り上げ、二人目掛けて飛びかかる!

 

 

 ゼロ「てめーらが俺を倒そうなんざ…二万年早いぜっ!! ビッグバンゼロ!!」

 

 

 “ズドーン”

 

 

 ギロン人・アングラモン「うおおぉぉあああああー!!」

 

 

 ゼロは二人の足元に炎の手刀『ビッグバンゼロ』を叩き込み、二人は爆風と共に土砂や土煙を巻き上げながら大爆発するその場から空高く吹っ飛ばされる!

 

 

 ゼロは上空高く打ち上げられる二人に鋭く視線を向け、狙いを定めながら左腕を水平に伸ばす。

 

 

 ゼロ「ワイドゼロショット!!」

 

 

 そして技名を叫ぶと共に両腕をL字に組んで必殺光線『ワイドゼロショット』を放つ!

 

 

 強力な必殺光線は上空の二人目掛けて一直線に飛んで行き、やがて直撃する!

 

 

 ギロン人「ぐおおおおあああぁぁぁ!!?…なっ…なぜだああぁぁぁー…!」

 

 

 “ズドーン”

 

 

 やがて二人は上空で大爆発した。

 

 

 ゼロ「決まったぜッ!!」

 

 ゼロは爆風を背に振り向いてフィニッシュポーズを決める。

 

 

 櫂「へッ…汚ねぇ花火だ。」

 

 櫂は上空の二人の地底人の爆発を見つめながら、不敵な笑みで呟いた。その表情は正に、倒した二人を「ざまあみろ!」と小馬鹿にしているようであった…。

 

 

 地底人を撃破したゼロは、ガッツポーズのようなポーズで光に包まれながら櫂の姿に戻る。

 

 そして変身を解いた櫂は、真美たちと共にガイア(健二)の戦いを見守り始める。

 

 

 真美「(満面の笑みで)櫂君、お疲れ様。 そして…ありがとね。」

 

 櫂「ああ。真美たちも無事だったようで何よりだ。………(ガイアたちの方を振り向いて)よく頑張ったな…新米。」

 

 

 櫂はそう呟きながら、不敵な笑みと共に勝利したガイアとアグルを見つめた。

 

 

 櫂の援護、叱咤激励によりなんとか初勝利を制したガイア(健二)とアグル(早苗)。最も、櫂はあくまで憎い奴をぶっ倒すために自分たちを利用したに過ぎないとも知らずに…。

 

 

 

 やがて変身を解除したガイアとアグル。その数分後、

 

 

 健二「…いや~、それにしても驚いたよ。まさかさなちゅんがウルトラマンになっちまうなんて…。」

 

 早苗「ふふ、それを言うならケンちゃんもでしょ?」

 

 

 とある海岸にて楽しそうに話し合う健二と早苗のカップル。どうやら二人は既に互いにウルトラマンになった事を打ち明け合ったみたいである。

 

 最初は当然二人とも驚いたのだが、それぞれ既に変身した頃から何となく勘づいていたようであり、つまり半分は案の定という事なのである。

 

 

 早苗「でも不思議ね…どうして互いに分かっちゃったのかな。」

 

 健二「それは…俺たちがそれほど一緒にいてきたから…じゃないかな。」

 

 早苗「…え?」

 

 健二「思えば俺たち、昔からずっと一緒だった…かつて過酷な環境にいた時も、一緒に頑張って来たもんな。」

 

 早苗「確かに。ケンちゃん一度は闇に落ちかけた(第11話参照)けど、それを振り切ることが出来たしね。」

 

 健二「あの時は櫂さんに真美さん、それからショウさんがいなかったらどうなってたことやら(第12話参照)…でも、そのお陰で本当の強さ、自身を取り戻せた。」

 

 早苗「そして今じゃ正義のウルトラマン。何だかそう思うと、感動だな。」

 

 

 健二「本当の強さや自身が分かった今だからこそ、変身、敵の撃破に繋がったのだと思う…

 

 俺もお前も、自分の力を信じて飛び込んだ。だから、勇気の光をつかめたんだ。」

 

 

 二人とも、自分がウルトラマンに選ばれたのは何故なのかを見いだせていた。

 

 

 健二「…今後も頑張っていこうな。ギリギリまで頑張った末に授かったこの力で。」

 

 早苗「ええ。いつか追い付こうね。櫂さんや海羽さんに。」

 

 

 健二「ブレイク限界しようぜ。どんな困難も。」

 

 早苗「ええ。このキラキラ世界(地球)を、守るために。」

 

 二人は決心を決め、笑顔で見つめ合いながら互いに腕をクロスする。

 

 

 早苗「んじゃ、そろそろ戻りますか。」

 

 健二「ああ。さなちゅんの新しい友達がどんな人なのか楽しみだ。」

 

 

 そう言うと二人は手を繋ぎ、砂浜を駆け始める。

 

 

 しばらく走った先には、古田兄妹とその友達、所謂フルータ星人一同が待っていた。

 

 

 二人は早苗がいた海岸まで飛んだ後に変身を解いたのである。

 

 

 賢「ん?おう、早苗!」

 

 愛「早苗さん!」

 

 賢と愛をはじめ、一同もそれに気づく。

 

 

 早苗「ただいま~。ごめんね勝手にいなくなっちゃって。」

 

 明人「ったくホントだぜ。」

 

 輝雄「今までどこ行ってたんだよ?」

 

 早苗「い、いや…ちょっと色々あってね…。」

 

 

 賢「…彼は誰なんだ?」

 

 賢は早苗と一緒にいる健二に気付く。

 

 

 早苗「ああ、紹介します。 私の彼氏の稲葉健二です。」

 

 

 健二「は、あはは…突然だけど、よろしく。」

 

 

 愛「…え?」

 

 

 輝雄「か」

 

 明人「れ」

 

 賢「し?」

 

 

 フルータ星人一同「彼氏~~~!!?」

 

 

 …驚くのも当然である。突然いなくなってしばらくして戻ったかと思うと、唐突に彼氏まで連れてくるのだから…。

 

 

 賢「へぇ~…まさか彼氏を連れてくるために突然消えたのか?」

 

 早苗「い、いやいやそれだけじゃないんだけどね…。」

 

 輝雄「俺たちの心配も知らないで、呑気な人だな~。」

 

 愛「へぇ~なかなかいい人そうだね。」

 

 健二「お、おお、サンキュー。 君たちがさなちゅんの新しい友達か。なかなか賑やかだね。」

 

 早苗「うん。みんなとってもいい人たちなんだよ。」

 

 

 賢「一体何がどうなってんだ?怪獣は現れるし、それに立ち向かう巨人、そして早苗は突然消えたかと思えば彼氏連れてくるし…。」

 

 

 早苗「ま、まあ、事情はあとで話すよ。 とりあえずまだ昼間だし、遊ぼ。 ねえ、ケンちゃんね、金槌な私と違って泳げるんだよ~。」

 

 健二「お、おいやめろって。」

 

 賢「マジか?」

 

 愛「へぇ~、確かに運動できそう。見てみたーい!」

 

 明人「よーし、俺と勝負しようぜ!」

 

 

 健二「あー、その前に…

 

 初対面でいきなりすまんが、ちとマッサージしてくれないか?」

 

 

 フルータ星人一同「え?」

 

 

 早苗「そういえば私も、体じゅう筋肉痛~。愛ちゃん、ごめんけど揉んでくれる?」

 

 

 …やはり二人は、初めてのウルトラマンとしての戦いで体じゅう筋肉痛になっていた(笑)

 

 

 フルータ星人一同は困惑しつつもとりあえず健二と早苗をマッサージし始めた。

 

 

 新たにウルトラマンの力を手に入れた二人の若者。まだまだ未熟だが、きっと今後もいろんな困難にぶつかっていくだろうが、きっと協力して超えていくだろう。

 

 

 ゼロやソルなどの心強い仲間たちもいるのだから…。

 

 

 (ED:Lovin'You Lovin' Me)

 

 

 

 [エピローグ]

 

 

 健二と早苗が、ガイアとアグルとして戦う決心をしたのも束の間、とある満身創痍な怪人がふらつきながらも歩いていた。

 

 

 アングラモン「ハァ…ハァ………お、おのれウルトラマンゼロ…!」

 

 

 その怪人とはなんとアングラモンである!

 

 

 実は奴は先ほどのゼロとの戦いでトドメを刺される際、辛うじてギロン人を盾にする事で逃れることが出来たのである!

 

 即ち、先ほどのギロン人の断末魔の「何故だ」は、仲間であるはずのアングラモンに盾にされた事に対しての無念の叫びだったのである。

 

 

 自身が不利になると仲間を見捨てる…正に、極悪非道の証である。

 

 

 アングラモンはやがてとある工業地帯前に辿り着くと、何かを呼びかけ始める。

 

 

 アングラモン「出て来い、出て来い!ギタギタンガ!!」

 

 

 アングラモンがそう叫ぶと、突然地面から土砂や土煙が勢いよく噴き上がり、そこから一匹の超獣が現れる!

 

 

 アングラモンの下僕超獣『地底超獣ギタギタンガ』だ!

 

 

 アングラモンはホタルンガの他にも超獣を怪獣墓場から引き連れていたのである!

 

 

 現れたギタギタンガは咆哮を上げる。

 

 

 アングラモン「暴れろギタギタンガ!今こそ地球人を全滅させるのだ!」

 

 

 アングラモンの命を受けたギタギタンガは工業地帯で建物を崩して暴れ始める!

 

 工業地帯の人々が逃げる中、ギタギタンガは頭部の角から白いガスを噴射する。

 

 すると、それを吸った人は苦しみだす。

 

 

 これは、ギタギタンガの武器であるアルコールの臭いがする酸欠ガスなのだ。

 

 即ち、早苗が探索していた海沿いの道路の崖から噴射していたアルコールの臭いがする白いガスの正体は、奴の酸欠ガスだったのである!

 

 ギタギタンガはホタルンガの餌の人間を捕らえるべく、地底に潜みながらガスを噴射する事でホタルンガの捕食の手伝いをしていたのだ。

 

 

 ギタギタンガはなおも暴れ続ける。工業地帯は今に全滅しそうになっていた…!

 

 

 アングラモン「ふははははは!まずは一つ、全滅させそうだぜ…!」

 

 

 既に勝ち気でいるアングラモンは高笑いをする。

 

 

 その時!

 

 

アングラモン「…ん?」

 

突如、何処からかハーモニカの音色が聞こえ始め、アングラモンはそれに気づく。

 

 

それはどこか物悲しい印象を受ける独特なメロディである。

 

 

アングラモン「…!?ぐっ………この音は…?」

 

 

ハーモニカの音色を聴いた瞬間アングラモンは苦しみだす。

 

 

邪悪な者が聞くと苦しむハーモニカの音色。これが聞こえたということは…“あの男”が帰って来た証!

 

 

アングラモン「…っ!」

 

 

アングラモンはふと振り向いてみると、その視線の先には1人の男が立っていた!

 

 

「…よお、派手に暴れてるみたいだな。」

 

男はそう言いながらハーモニカを懐にしまう。

 

 

アングラモン「貴様何者だ…動くな!」

 

警戒するアングラモンが攻撃の体勢に入ろうとした時、男は咄嗟に手に持つラムネの瓶を投げつける!

 

 

“カツンッ”

 

アングラモン「!ぐぉわっ!」

 

ラムネの瓶が、自身の弱点でもある胸に直撃したアングラモンはたまらず吹っ飛ぶ。

 

 

男は深々とかぶっていた帽子を取り、素顔を露わにする。

 

 

そう、レザーコートに身を包み、ハーモニカをクールに吹き鳴らす彼こそ、かつてこの世界のクリスマスイブに攻め込んで来た『グローザ星系人グレイザー』の軍団から人々を救った風来坊。

 

 

『ウルトラマンオーブ』に変身する『クレナイ・ガイ』なのだ!

 

 

彼はクリスマスの事件終息後、一度自分の世界に戻っていたのだが、また謎の反応を感知したのか、再びこの世界にやって来たのである!

 

 

ガイはその場からジャンプして一回転し、暴れるギタギタンガの前に着地する。

 

 

ガイ「おーっと!ここから一歩も通さないぜ?…俺が相手だ。」

 

 

ガイは変身アイテム『オーブリング』を取り出して前に突き出し、光に包まれる………。

 

 

To Be Continued………。




読んでいただきありがとうございます!いかがでしたか?


今回はガイアとアグルの参戦回でした!

ストーリー構成的には、ウルトラマンA第5話とウルトラマンガイア第1〜2話を組み込んだ感じにしてみました。


…さて、健二と早苗の高校生カップルが、ガイアとアグルの光を授かって戦うという今回の展開に驚愕した方もおられるかと思います。(特にガイアファンの方)

賛否あるかと思いますが、とりあえずガイアファンの方すいません!(特にアグルファンの方笑笑)


気を取り直して、ガイア、アグルも大好きなウルトラマンであるということで、今回ようやく参戦させる事が出来ました。

今回登場したのはV1ですが、もちろん今後V2やスプリームヴァージョンも登場させますので楽しみにしていてください!


また、今回久々に櫂(主人公)と真美ちゃん(ヒロイン)もガッツリ登場させる事が出来、またゼロ様のスマートな戦闘も久々に書けたので、自画自賛ではないですがそこも私的には良かったかと(笑)


今回隠れたサブタイトルは、

『蒸発都市』(ウルトラセブン第34話)でした!


あと最後に、遂に『ウルトラマンジード』が始まりましたね!

どの形態も最高にカッコいいし、更にゼロ様も参戦したので今後の展開がとても楽しみです! いつか機会があれば、ジードも本作に登場させたいですね〜(ニヤリ)

第3の姿・アクロスマッシャーの参戦も楽しみだし、キングやベリアルの行方も気になるところですね。


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