ウルトラマンゼロ物語(ストーリー) in RED ZONE STAGE   作:剣音レツ

38 / 50
 お待たせしました!


 今回はVSレッドマン&ハヌマーン編三部作の第二部で、前回最後に登場したウルトラマンエックスも本格参戦します!


 サブタイトルも一つ隠しています!


あと、ちょっとした“中の人ネタ”や“名前ネタ”も含まれています(笑)


 とりあえず楽しんでいってください!(笑)


 では、どうぞ!


第32話「友よ、いざユナイト!」

 (OP:英雄の詩)

 

 

 『ウルトラマンエックス』の世界にて、エックスは『レッドマン』と戦いを繰り広げていた!

 

 

 レッドマンと組み合っていたエックスは一旦離れた後、左フック、右脚の回し蹴りを繰り出すが、レッドマンはそれをことごとくかわす。

 

 次にレッドマンは右フックを繰り出し、エックスはそれを左腕で防ぐが、その隙にレッドマンが放った左拳のボディブローを腹部に食らって後退してしまう。

 

 

 レッドマン「…怪獣はみんな敵…それに味方する奴も…みんな敵!」

 

 

 エックス「…何だって?」

 

 大地「こいつ、怪獣を憎んでいるのか?」

 

 

 レッドマンの発言に動揺している隙に、エックスはレッドマンの前蹴りを腹部に食らって後退する。

 

 

 大地・エックス「Xスラッシュ!」

 

 

 レッドマン「レッドナイフ!」

 

 

 エックスは右腕を突き出して矢じり型のエネルギー弾『Xスラッシュ』を断続的に放つが、レッドマンは即座に『レッドナイフ』を取り出してそれを防いでいく…!

 

 

 その戦いを見ていた『Xio』の女性隊員『山瀬アスナ』は、隊長『神木正太郎』からの指令を受ける。

 

 

 神木「アスナ!ジオブラスターで大地とエックスを援護しろ!」

 

 

 アスナ「了解!」

 

 

 《ターゲット、ロックオン》

 

 

 アスナはXioの携帯銃『ジオブラスター』を構えて引き金を引き光弾を連射するが、レッドマンはそれをレッドナイフを振るって全て打ち消していく。

 

 そして掴みかかってきたエックスのうでを振りほどくと、振り向きざまにレッドナイフで袈裟懸けに斬撃を繰り出し、胸部を斬られたエックスはそこから火花を散らしながら吹っ飛ぶ!

 

 

 その時、別世界から『怪獣狩人ノワール星人デニス』がレッドマンにテレパシーを送る。

 

 デニス『レッドマン、ここは一旦この世界に戻るんだ。そしてエックスを始末した後、また怪獣どもを狩りに来ればいい。』

 

 

 レッドマン「…了解…。」

 

 

 レッドマンは、エックスを後ろから左腕で首を絞めて捕えると、そのままレッドナイフで頭上の空間を切り裂き、次元の裂け目を出現させる!

 

 

 レッドマン「怪獣…それに味方する奴…みんな…始末する…!」

 

 

 そう言うと、レッドマンはエックスを連れて次元の裂け目に入っていき、更に近くにいたアスナもその吸引に巻き込まれて吸い込まれてしまう!

 

 

 レッドマンとエックス、そしてアスナを吸い込んだ後、次元の裂け目は完全に閉じてしまった!

 

 

 突然の大地、アスナ両隊員、そしてウルトラマンエックスの消失に動揺を隠せない隊員一同、そして隊長、副隊長。

 

 

 タケル「ウルトラマンエックスの反応、タイプAと共に完全に消失!」

 

 チアキ「同時に大地、アスナ両隊員からの通信も途切れました!」

 

 

 神木「大地アスナ! 応答しろ! 大地アスナ! 大地アスナ!!」

 

 

 隊長がどんなに呼びかけても、2人からの返事が返って来ることは無かった…。

 

 

 

 そして、舞台はデニスがいる別世界、すなわち、竜野櫂たちが住む世界に移る…!

 

 

 8月20日、朝の8時頃、新田真美は借家を出ると、ルンルンと鼻歌を歌いながら道を歩いていた。

 

 眞鍋海羽のお見舞いに向かっているのである。

 

 

 真美「海羽ちゃん、元気にしてるかな~?」

 

 

 そう言いながら、差し入れの手作りのおはぎを持って足軽に歩いている…。

 

 

 真美「…ん?」

 

 

 その時、真美は何かに気づいてふと立ち止まる。

 

 

 視線の先には、何やら足元に金を基調としたデバイスのような物が落ちていた…。

 

 

 真美「…これ…何だろう?」

 

 

 真美はそれを拾い上げて見つめる。すると、そのデバイスのディスプレー部がウルトラマン型に発光したかと思うと突然話しかける!

 

 

 エックス「やあ、お嬢さん。」

 

 真美「ひゃっ!?」

 

 当然ながら驚きを隠せない真美。

 

 

 エックス「あぁ、脅かしてすまない。私は、ウルトラマンエックスだ。」

 

 

 そう、真美が拾った物とは『エクスデバイザー』である!

 

 恐らく大地はこの世界に迷い込んだ際に、エックスとのユナイト解除と共に紛失してしまったのであろう…!

 

 

 真美「…ウルトラマン…エックス…?」

 

 エックス「話を聞いてくれないか?」

 

 

 真美はいきなりの展開に戸惑いつつも、とりあえずエックスからの話を聞いた。

 

 

 自分は何処から来たのか、この世界に来たきっかけなど、そして、大地という青年を探している事を…。

 

 

 そして真美は、既にレッドマンの事を知っていただけあってすぐに話を理解した。

 

 

 真美「なるほど、レッドマンはあなたの世界にも攻めて来たのね…。」

 

 エックス「君はあの赤い巨人を知っているのか?」

 

 真美「えぇ。彼は元々この世界の戦士で…光の国の罪人なの。」

 

 エックス「罪人?」

 

 

 今度は真美がエックスにレッドマンの事を話した。

 

 彼の出自、犯した罪、そして、死刑判決を受けている事などを…。そしてついでに白猿『ハヌマーン』の事もエックスに話した。

 

 

 エックス「なるほど、怪獣を憎んでいるのはそういう事なのか。」

 

 真美「彼らはもはや、この世界では脅威の存在になってるの…だから早く倒さないと、罪の無い怪獣がまた犠牲になるわ…。」

 

 

 真美からレッドマン達の詳細を聞いたエックスは、この世界のために協力する事を決めた。

 

 

 エックス「分かった。私も協力しよう。」

 

 真美「ありがとう…じゃあ、早く大地という人を探さないとね。」

 

 エックス「一緒に探してくれるのか…すまない。」

 

 

 真美「いいのよ。困っている人を放っておけないわ。」

 

 

 そう言いながら真美は輝かんばかりの満面の笑顔を見せる。

 

 

 エックス「うっ………(小声で)可愛い…。」

 

 エックスは思わず頬を赤らめていた。

 

 

 真美「あ、その前に入院してる友達の所に行ってもいい?差し入れを渡したいの。」

 

 エックス「え…あぁ、構わない。」

 

 真美「ありがとう。じゃあすぐに行くね。」

 

 

 そう言うと真美は、再び鼻歌を歌いながら病院への道を歩き始める。

 

 

 エックス(…なんて可愛らしくて、感じのいい子なんだ…。アスナもこれぐらい可愛げがあればな…。)

 

 

 

 アスナ「ヘックチッ!」

 

 大地「大丈夫?アスナ。」

 

 アスナ「えぇ…エックスが噂でもしているのかな?」

 

 大地「かもしれないな…ジオデバイザーにエックスの反応をキャッチする機能を付けといて良かったよ。」

 

 アスナ「でも…ここ何処だろう?…さっきいた街とは全然違うし…。」

 

 大地「どうやら俺たち、別の世界に迷い込んでしまったみたいだな。」

 

 

 一方で同じくこの世界に迷い込んだ大地とアスナも、銀を基調とした隊員用携帯端末『ジオデバイザー』から発せられる反応を元にエクスデバイザーを探していた。

 

 

 大地「とりあえずまずはエックスを見つけ出そう。帰る方法はそれからだ。」

 

 アスナ「えぇ、そうね。」

 

 

 再びエックス捜索のために歩き出そうとしたその時!

 

 

 アスナ「…ん?」

 

 大地「どうしたのアスナ?」

 

 

 アスナは何かに気づく。その視線の先には、医者の白衣を着込んだ、黒髪にメッシュのような白髪が混じった髪形が特徴の男性と、サイケデリックなファッションに身を包んだ高校生ぐらいの少女が。

 

 

 大地「…あの顔…?」

 

 アスナ「どこかで見たような…?」

 

 

 大地・アスナ「あーっ!」

 

 

 二人は男性の方の顔をじっくりと見てみる。そして何かに気づいたのか同時に驚いた。

 

 そして、その男性の方に駆け寄り話しかける。

 

 

 アスナ「ハヤトさん!?」

 

 

 (BGM:EXCITE)

 

 

 大我「あぁ?なんだてめーらは。」

 

 ニコ「誰?こいつら。」

 

 

 大地「あれ…よく見たら違うよ?」

 

 アスナ「あ、本当だ。」

 

 どうやら人違いだったみたいである。

 

 

 大我「ったく、いきなり話しかけといて人違いかよ。」

 

 ニコ「ほんっと、やめてよね!勘違いも甚だしい!」

 

 

 アスナ「それは失礼しました。ところで、この近くで金色のデバイス見ませんでした?」

 

 

 ニコ「はぁ?そんなの知らないし!邪魔だから早くどいて!」

 

 アスナ「何よさっきから、お子ちゃまは黙ってて!」

 

 ニコ「何よそれ!」

 

 

 大地は喧嘩になりそうな二人の間に入り込む。

 

 大地「まあまあまあ。とにかく俺らは人違いをしていたし、この人たちはデバイスの事何も知らないみたいだよ、アスナ。」

 

 

 大我「アスナ?…ポッ〇ーピポパポ、お前そんな姿にもなれるのか?」

 

 アスナ「ポッピー?…何ですかそれ?」

 

 大我「ちっ…どうやらこれも人違いみたいだな。」

 

 ニコ「早く行こ、大我。」

 

 大我「あぁ、ゲームの時間が無くなっちまうからな。」

 

 

 大地「…ゲーム?」

 

 

 大我「そう…俺たちは、終わりなきGAME、楽しむだけ。」

 

 ニコ「そゆこと。」

 

 

 大我・ニコ「(右手で銃を作って)BANG(バン)!」

 

 

 そう言うと大我という青年とニコという少女は何処かへと歩き去って行った。

 

 

 大地とアスナは結局二人が何者だったのか分からず終いであった…。

 

 

 アスナ「結局何だったんだろう?…あの二人。」

 

 大地「さぁ…でもあの男性、顔がハヤトさんそっくりだったな…。」

 

 

 アスナ「ま、それよりも早くエックスを探しましょ。」

 

 大地「そうだね。」

 

 

 大地とアスナはエックスの探索を再開した。

 

 

 

 一方、病院で入院している海羽を訪ねた真美。海羽は真美の差し入れのおはぎを美味しそうに頬張っていた。

 

 

 海羽「う~ん!やっぱ真美ちゃんの手作りのお菓子は美味しいよ!」

 

 

 真美「良かった。食べ物を普通に食べられるぐらい元気になって。」

 

 真美は満面の笑みで海羽の回復ぶりを喜んだ。

 

 

 エックス「彼女、かなり元気のいい子だな…それに何やら特別なオーラを感じる。」

 

 

 真美「…え?」

 

 

 エックスの呟きは、海羽にも聞こえていた。

 

 海羽「ん?さっき何か聞こえたような…?」

 

 

 真美「…海羽ちゃん…実はね…。」

 

 

 真美は、海羽にエクスデバイザーを見せ、そしてエックスの事を話した。

 

 

 海羽「そっか…エックスさんの世界にもレッドマンが攻めて来たなんて…。」

 

 

 その事を知った海羽は、少し暗い表情になりながらも、エックスに自分の事を話した。

 

 自分もウルトラ戦士である事、そして、レッドマン達に戦いを挑んだがまるで敵わず叩きのめされた事を…。

 

 

 エックス「驚いた…まさか君もウルトラ戦士だったとはな。」

 

 海羽「(少し舌を出して)エへ。 まだ新米だけどね。」

 

 エックス「しかも女性だから“ウルトラウーマン”か…なかなか面白いじゃないか。」

 

 海羽「え…そうですか?」

 

 

 海羽はエックスといつの間にか会話が弾んでいた。どうやら早くも仲がよくなたみたいである。流石は海羽である。

 

 

 エックス「君も散々苦労してきただろう…奴らの事は、私と大地に任せてくれ。」

 

 

 海羽「ありがとう。でも、この世界にいるウルトラ戦士は私だけじゃないよ。」

 

 エックス「え…他にもウルトラ戦士が来ているのか?」

 

 海羽「うん。例えばゼロとか、ギンガとかビクトリーとか!」

 

 エックス「おぉ、どれも顔見知りのあるウルトラ戦士だ。」

 

 海羽「そうですか?じゃあ彼らと力を合わせるのも良いかもしれないね!」

 

 エックス「そうだな。教えてくれてありがとう。」

 

 

 真美「それじゃ、早く大地さんを探しましょ。」

 

 エックス「そうだな。」

 

 

 真美「それじゃあ海羽ちゃん、また来るね。」

 

 海羽「うん。差し入れありがとう。」

 

 

 笑顔で海羽に別れを告げた真美は、病院の外を出た。

 

 

 真美「探すと言っても…どの方向を歩いたらいいのかな…?」

 

 

 とりあえずどうしようか迷っていたその時、

 

 

 アスナ「それ…エクスデバイザーですか?」

 

 

 真美「…え?」

 

 

 大地「探してたんですよ。返してもらえますか?」

 

 

 話しかけられた方を振り向くと、そこにはエクスデバイザーを探していた大地とアスナの姿が!

 

 

 エックス「おぉ!大地アスナ!探したぞ!」

 

 大地「こっちも探してたよ。エックス。」

 

 

 真美「この人が…大地さん…?」

 

 

 無事に大地とアスナと再会したエックスは、とりあえず同行していた真美を紹介し、そして真美と共にレッドマンとハヌマーンの事を話した。

 

 

 その事情を聞いた大地たちは驚きを隠せなかった。

 

 

 アスナ「そんなにヤバい奴らなんて…。」

 

 大地「怪獣を憎み続け、そのために道を誤ってしまった戦士か…。」

 

 

 エックス「あぁ、そうやら奴らを倒さないと、罪の無い怪獣が次々と犠牲になって行くみたいなんだ。」

 

 

 レッドマン達の事を聞いた大地は、共存するのは不可能だと判断し、そして遂に決心した。

 

 

 大地「エックス、こうなったら力を合わせて戦おう。」

 

 エックス「そうだな。奴らに“本当の正義”というのを見せつけて、それから葬ろう。」

 

 アスナ「私も賛成。」

 

 

 三人の意見が一致した。

 

 

 真美「本当に、ありがとね。」

 

 

 大地「いえ、俺たちもウルトラマンですから、当然ですよ。」

 

 エックス「それにこの世界に来ているウルトラ戦士とも力を合わせれば百人力だしな。」

 

 

 かくして、エックスと大地、アスナもレッドマンとハヌマーン殲滅に協力する事にした。

 

 

 エックス「ここで早速だが、ここから南西5キロメートル先に異常な電波を感じるんだ。」

 

 大地「何だって?」

 

 アスナ「もしかして、レッドマン達が関係しているのかも…。」

 

 大地「すぐに向かおう。」

 

 真美「あ、良かったら私、車を出しますよ。」

 

 大地「そうか?助かります。」

 

 

 よって一同は、真美の車で目的地へと向かった。

 

 

 因みにもうじき到着の際、「間もなく目的地周辺です」とエックスがカーナビのように喋ったという事を付け加えておこう(笑)

 

 

 目的地に到着した一行。そこは昨日レッドマンとハヌマーンが降り立った高原であり。異常な電波の正体はそこに転がる『渡り鳥怪獣バル』の卵の事であった!

 

 

 黒い球体の卵を見上げる一同。

 

 大地「異常な電波の正体はこれか…。」

 

 真美「これね…海羽ちゃんが言ってた卵は。」

 

 アスナ「え?これって怪獣の卵なの?」

 

 大地「じゃあ、もうじき孵化する可能性も…?」

 

 

 その時、卵が微かに動き始めた!

 

 

 真美「あ…卵が動き始めたわ。」

 

 驚く真美。アスナは警戒としていつでもジオブラスターを引き抜ける体勢に入る。

 

 

 大地「内部の温度が高い。それに、中のモノが動いている。 もうじき生まれる!」

 

 エクスデバイザーで内部を分析した大地は、卵がもうすぐ孵化する事を告げる。

 

 

 すると、黒い殻にひびが入る。

 

 

 そしてそこから徐々に殻を突き破りながら、一匹の雛の怪獣が現れる。

 

 

 バルの雛が無事に生まれたのである!

 

 

 大地「生まれた!」

 

 アスナ「見た感じ…鳥の怪獣?」

 

 真美「あ、本当だ、よく見たら可愛いー。」

 

 

 生まれたてのバルはその場ではしゃぐように羽をパタパタさせながら跳びはねる。

 

 

 大地「アスナ、銃を下げて。 コイツを観察してみるんだ。」

 

 アスナ「えぇ。」

 

 

 すると、バルは大地の方を向き、そしてじっくりと見つめ始める…。

 

 

 大地「…何だ?」

 

 突然見つめられて首をかしげる大地。すると、バルもそれを真似するように首をかしげる。

 

 

 大地「…コイツ、俺の真似をした…!?」

 

 

 驚く大地。それを見たバルは再び笑うように跳びはねる。

 

 

 困惑する大地。するとエックスが話す。

 

 エックス「この怪獣、もしかして大地に懐いてるんじゃないのか?」

 

 大地「俺に懐いてる?…という事は…。」

 

 

 真美「きっと、“刷り込み”ね。バルちゃんは生まれて最初に見た大地さんを親だと思ってるんだわ。」

 

 アスナ「へぇー…大地がお母さんか。」

 

 エックス「これは面白い事になったな。」

 

 

 大地「笑い事じゃないよエックス!」

 

 

 エクスデバイザーを通してエックスに話しかける大地を見て、バルもそこらの石を拾って似たような仕草を見せる。

 

 

 間違いない。バルは刷り込みにより大地を母親だと思い、懐いているのである。

 

 

 大地「えへへ…困ったなぁ…。」

 

 

 

 同じ頃、霞ヶ崎から外れたとある街のガスタンク付近にて、またしても“例の三人”が猛威を振るっていた。

 

 

 執拗に追いかけるレッドマンから必死に逃げる一匹の怪獣。今度狙われたのは『球好き怪獣ガラキング』である!

 

 

 ガラキングは丸いものや球遊びが好きな怪獣であり、かつて地球に飛来した際、ガスタンクで毬遊びをしたり、人間とバレーボールをしたりなどし、最終的には『ウルトラマンタロウ』と戦い、アタックサーブにより宇宙に送り返されている。

 

 

 恐らくガラキングは久しぶりに地球のガスタンクで球遊びをしようと飛来した所をレッドマン達に見つかってしまったのであろう。

 

 

 デニス「ホラホラ逃げんじゃないよー!!ヒャッハハハー!!」

 

 

 『怪獣狩人ノワール星人デニス』は楽しそうに高笑いしながら、パワードアーマーの左腕に装着されたビームガンをガラキングの足元に打ち込む!

 

 

 ビームガンを脚に打ち込まれたガラキングはその場で膝を付いてしまう。

 

 

 レッドマン「レッドファイッ!!」

 

 

 レッドマンは逃げ足が止まったガラキングに猛然と襲い掛かる!

 

 膝を付いたガラキングにヘッドロックをかけ、そのまま頭部に数発パンチを打ち込む。

 

 

 レッドマン「イヤッ!!」

 

 

 そして背負い投げの要領で地面に叩き付けた。

 

 

 そして同じ頃、すぐそこの空港にて、ハヌマーンはとある男三人組を追いかけ回していた。

 

 

 なんでもその三人組は離陸寸前の旅客機をハイジャックしていた凶悪犯のようであり、結果レッドマン達三人、そしてガラキングが飛来した事により飛行機はストップになった上にハヌマーンに見つかり、追いかけ回される羽目になってしまったのであろう。

 

 

 ハヌマーン「逃げても無駄だ!人々を陥れた罪は重い!お前たちを殺してやる!!」

 

 

 相変わらず物騒な言葉を発しながら、怯えて逃げ回る犯人を追いかけ回すハヌマーン…。

 

 

 ハヌマーン「どうした?どこへ行ったぁ?」

 

 

 デニス「狩るぜ狩るぜ狩るぜ~!FO~!!」

 

 

 デニスはハイテンションに叫びながら、レッドマンが羽交い締めにしているガラキングにアーマーの右腕に武装されたバルカン砲を連射して浴びせる!

 

 

 そして、それにより弱ったガラキングをレッドマンは乱暴気味に蹴り倒した!

 

 

 うつ伏せに横たわるガラキングに馬乗りになるレッドマン。

 

 

 レッドマン「レッドナイフ!!」

 

 

 “ザシュッ”

 

 

 レッドマンはレッドナイフを取り出すと、思い切りガラキングの背中をぶっ刺してしまった…!

 

 

 一旦マウントを解いて立ち上がり、レッドチェックをするレッドマン。するとガラキングは腕をわなわなと震えさせて痙攣していた。どうやらまだ死んでいないようである。

 

 流石はかつて『ウルトラマンタロウ』の『ストリウム光線』に耐えただけあって、そのタフさは侮れないモノだ。

 

 

 ガラキングの生存に気付いたレッドマンは、舌打ちをするように首を横に振ると、横たわるガラキングの腹を蹴って転がす!

 

 

 そして今度こそ息の根を止めようとレッドナイフを構え始める…!

 

 

 一方、犯人を追いかけ回すハヌマーンは、最後の一人を掴んで持ち上げていた。

 

 

 残りの二人は既に踏み潰したり、瓦礫の下敷きにして殺害済みのようである。

 

 

 恐怖におびえて暴れ回る最後の一人をゆっくりと目前まで持ち上げるハヌマーン。まるでその行動を楽しんでいるようである。

 

 

 そして、握り潰そうともう片方の手を振り上げたその時、

 

 

 “ガッ”

 

 

 突如、何者かに腕を掴まれて阻まれてしまう。

 

 

 振り向くとそこには『ウルトラマンゼロ』の姿が!

 

 

 どうした事か、竜野櫂はゼロに変身して駆け付けたのである!

 

 

 ゼロ・櫂「おーっと、人殺しだけは見過ごせねーな…。」

 

 

 偶然にもゼロと櫂の声がハモる。

 

 そしてゼロは、犯人を捕まえているハヌマーンの腕にチョップを打ち込み、それによりハヌマーンは犯人を放してしまう!

 

 

 …因みにその後地面に落下した犯人は再び逃亡を図るが、空港の先で待ち構えていた警察に取り押さえられたのは言うまでもない。

 

 

 デニス「チッ…ウルトラマンゼロか…ハヌマーン!やっちゃえやっちゃえー!!」

 

 

 ゼロに邪魔をされたハヌマーンは狙いをゼロに変え、三叉槍を片手に猿のように跳びはねながら襲い掛かる!

 

 ゼロもゼロスラッガーを取り出して応戦する。

 

 

 ハヌマーンは右手に持つ三叉槍を突き出すが、ゼロはそれを右足蹴りで弾き返して防ぐ。

 

 その後も三叉槍とゼロスラッガーが火花を散らしながらぶつかり合う。

 

 

 ゼロは、ハヌマーンが振り下ろした三叉槍を、後ろ向きで右手で逆手に持ったゼロスラッガーで受け止めて防ぐと、振り向き様に左手のゼロスラッガーで横一直線の斬撃を腹部に決めて火花を散らし、そしてハヌマーンが怯んだ隙に胸部に後ろ回し蹴りを叩き込んで吹っ飛ばす!

 

 

 一方、ガラキングに止めを刺す寸前だったレッドマンは盟友ハヌマーンの危機に気付き、そのままレッドナイフを手にゼロに襲い掛かる!

 

 

 すぐさま襲い掛かるレッドマンに気付いたゼロは、レッドマンが振り下ろしたレッドナイフを両手のゼロスラッガーをクロスさせて受け止めて防ぐと、そのまま腹部に右足蹴りを叩き込むと同時に宙返りをして距離を取って着地をする。

 

 

 再度ゼロに襲い掛かろうとするレッドマンとハヌマーン。すると、どうしたことかゼロは「待て!」とばかりに右手の平を突き出す。

 

 

 それを見たレッドマンとハヌマーンも一旦動きが止まる。

 

 

 すると、ゼロの中の櫂はテレパシーで二人に話しかける。

 

 

 櫂『…俺はお前らと喧嘩するつもりはない…。』

 

 

 すると、次にとんでもない事を話す!

 

 

 櫂『…どうだ?ここは一旦俺と手を組まないか?』

 

 

 なんと、二人と手を組む事を提案して来たのである!

 

 

 ゼロ「櫂!お前何言ってんだ!!」

 

 櫂『俺も怪獣が憎いんでね…だから俺と手を組めば、怪獣殲滅が早まると思うんだ…どうだ?』

 

 

 ゼロ「やめろ!こいつらと組んでも後々後悔するだけだぞ!!」

 

 櫂「後悔?ハッ、そんな事しないよ…だって俺、本当に怪獣が憎いんだもん…。」

 

 

 櫂の言葉を聞いたレッドマンとハヌマーンは、武器を仕舞うと、ゆっくりとゼロの方に歩み寄り始める…!

 

 

 今にも櫂の口車に乗せられそうになっているのだ!

 

 

 このまま櫂は、二人と手を組んでしまうのだろうか…!?

 

 

 デニス「お?邪魔者かと思ったが、どうやら面白い事になりそうだな~ハハァ!」

 

 

 

 だが、そこに一人の男が駆け付けた。

 

 レザーコートに身を包み、テンガロンハットをかぶっている“銀河の風来坊”が…!

 

 

 今ここに、『ウルトラマンオーブ』こと『クレナイ・ガイ』の登場である!

 

 

 ガイ「あれがレッドマンとハヌマーンだな…。」

 

 

 ゼロがレッドマンとハヌマーンと戦っていると思っている(勘違いしている)ガイは、変身を決心する!

 

 

 ガイ「ゼロさん、今、助太刀します!」

 

 

 ガイは『オーブリング』を構えて紫色の光に包まれる。

 

 

 ガイ「ギンガさん!」

 

 《ウルトラマンギンガ!》

 

 ギンガ「デュアッ!」

 

 

 ガイ「エックスさん!」

 

 《ウルトラマンエックス!》

 

 エックス「イーッサーッ!」

 

 

 ガイはギンガとエックスのカードをダブルリードし、それによりガイの両側に二人のビジョンが現れる。

 

 

 ガイは二人のビジョンと共に両腕を回転させて胸元で合わせた後、オーブリングを一旦腰に構えた後、頭上に挙げる!

 

 

 ガイ「シビれるやつ、頼みます!」

 

 

 《フュージョンアップ!》

 

 

 ガイはオーブ・オーブオリジンの姿になると、リングと共に左右の二人に合わせて青、黄と光った後に紫に輝く!

 

 

 《ウルトラマンオーブ! ライトニングアタッカー!》

 

 

 そして二人のビジョンと合体するように重なり合った後、フュージョンアップが完了し、背景に渦巻く銀河から電光が迸り、そこから細かい水色のサイバーラインとX状の水色のサイバーラインが走り、その後亜空間をバックにX状の電撃と共に右拳を突き出して飛び出す!

 

 

 現れたのは、ギンガとエックスの力でフュージョンアップした形態『ライトニングアタッカー』である!

 

 

 外見は全体的にエックスをロボットにしたようなサイバーメカニックかつフルメタルボディの趣が強く、顔や胸部、両肩、両腕にギンガ由来のクリスタルが装着されており、カラータイマーはО字にXの字がかぶさるようなものになっている。

 

 

 (ライトニングアタッカー登場BGM)

 

 

 ガイ「電光雷轟、闇を討つ!!」

 

 

 現れたオーブ・ライトニングアタッカーは、口上と共にゼロとレッドマン達の間に着地すると同時に稲妻を纏ったパンチを地面に叩き込み、その衝撃により両者を引き離す!

 

 

 数歩後退したレッドマンとハヌマーンは、新たな敵が現れたとばかりに構えを取る。

 

 

 オーブは、突然のオーブの登場に驚きを隠せないゼロの元に歩み寄る。

 

 ガイ「大丈夫ですか?ゼロさん。」

 

 ゼロ「え?…あ、あぁ、大丈夫だ。」

 

 ゼロは思わずそう答えた。

 

 

 ガイ「一緒に戦いましょう。」

 

 ゼロ「お、おぉ!」

 

 

 櫂(チッ…いい所で邪魔しやがって…!)

 

 

 ガイの勘違いのおかげでレッドマン達の仲間になるのを免れたゼロは、オーブと共に構えを取る。

 

 

 …最も、櫂は他人(ガイも含める)の前では仮面を被らなければいけない為、仕方なく良人モードになっているのだが…。

 

 

 (ライトニングアタッカー戦闘BGM)

 

 

 両者は互いに駆け寄る!

 

 そしてオーブはレッドマン、ゼロはハヌマーンをそれぞれ相手にする事にした!

 

 

 ゼロは相変わらず余裕そうに、ハヌマーンの繰り出すパンチやキックをまるで動きが読めているかのように的確にかわしたり受け止めたりしていき、逆にパンチやキック等を確実に打ち込んでダメージを与えていく。

 

 

 オーブは放った右ストレートをレッドマンの左手で受け止められ、そしてレッドマンが放った左拳のボディブローを右手で受け止める。

 

 そして両者は同時に右足蹴りを放ち、それが互いに同時に命中した事により一旦後退する。

 

 

 因みにライトニングアタッカーの放つ打撃は一撃一撃が稲妻を纏ったモノであるため、そのためかレッドマンは若干ダメージを受けたような仕草を見せる。

 

 

 その後オーブは、レッドマンが駆け寄って放った右脚蹴りを両手で掴んで受け止め、右拳で叩き落とした後、稲妻を纏った左拳を胸部に叩き込む!

 

 そしてレッドマンが怯んだ隙に続けて右、左と交互にパンチを胸部に打ち込んだ後、腹部に稲妻を纏った右足蹴りを叩き込む。

 

 

 その後、レッドマンが怯まず放った右ストレートを回転しながらしゃがんでかわすと同時に、カウンターの右拳を腹部に叩き込んで吹っ飛ばす!

 

 

 ゼロはハヌマーンのムエタイ調のキックを右脚で受け止めると、そのまま腹部に右足蹴りを打ち込み、続けて跳躍しながら一回転しての回し蹴りを頭部に叩き込んで吹っ飛ばした!

 

 

 レッドマンとハヌマーンは一旦合流する。

 

 

 オーブは上空に飛び上がり静止する。

 

 

 ガイ「アタッカーギンガエックス!!」

 

 

 オーブは空中で両手両足を広げたX字のポーズで静止して、全身から電撃を放つ技『アタッカーギンガエックス』を、地上のレッドマンとハヌマーン目掛けて放つ!

 

 

 レッドマン「レッドサンダー!」

 

 ハヌマーン「ハリケーンガン!」

 

 

 レッドマンは『レッドサンダー』、ハヌマーンは『ハリケーンガン』を即座に放ち迎え撃つ!

 

 

 二つの光線はぶつかり合って競り合い、やがて大爆発を起こしてX字型の爆炎が広がった!

 

 

 ガイ「やったか!?」

 

 

 爆炎をじっくりと見つめるオーブ。やがて爆炎は徐々に消えていく…。

 

 

 そしてその中から二人の姿が!どうやらダメージは負ったものの死んではいなかったみたいである。

 

 

 ガイ「何ッ!?」

 

 ゼロ「チィッ!」

 

 櫂(よっしゃッ!!)

 

 

 レッドマン達の生存に驚くゼロとオーブ。(そして喜ぶ櫂)

 

 

 すると、レッドマンはレッドナイフでオーブを指してこう言った。

 

 

 レッドマン「お前…なかなか面白い…。今度また…勝負しろ…。」

 

 

 ガイ「何だって…?」

 

 

 やがてレッドマンとハヌマーンは、その場から飛び去って行った…。

 

 

 ガイ「あっ…待て!!」

 

 

 するとゼロがこう呼びかける。

 

 

 ゼロ「オーブ!後の事は俺に任せて、お前はレッドマン達を追うんだ!」

 

 

 ガイ「…分かりました。ゼロさん。」

 

 

 ゼロの言葉を素直に聞き入れたオーブは、近くで戦いを見守っていた連れのピグモンを拾い上げて掌に乗せる。

 

 

 ガイ「では、あとは任せましたね。」

 

 ゼロ「おぅ!」

 

 ガイ「ピーちゃん、しっかり掴まってろよ。」

 

 

 オーブはピグモンを連れて、レッドマン達を追いに何処かへと飛び去って行った…。

 

 

 一方、レッドマン達の戦いを見ていたデニスも。

 

 デニス「へぇ~、ウルトラマン…まさかここまでやるとはな…こいつは俄然面白くなって来たぜ!」

 

 

 すると、パワードアーマーのレーダー装置が何かを捕えた!

 

 

 デニス「お!?また面白そうな怪獣反応を捕えやがったぜ~…さてと、狩りに行きますか~!」

 

 

 そう言うとデニスもまた、その場から何処かへと飛び去って行った…。

 

 

 デニス「さぁ、狩るぜ狩るぜ~!!ヒャッホーィ!!」

 

 

 果たしてデニスの次なる標的は!?

 

 

 

 一人残ったゼロ。その近くには先ほどレッドマンにやられて虫の息のガラキングが横たわっている。

 

 

 櫂「チッ…もう少しでレッドマン達を仲間につけたのに、オーブの野郎余計な事しやがって…!」

 

 ゼロ「櫂…テメーって奴は!何を考えてんだ!」

 

 

 ゼロの呼びかけも完全無視の櫂は、視線をガラキングに向ける。

 

 櫂「ま、せめてコイツだけでもぶっ倒してやるよ。」

 

 

 ゼロ(櫂の意識)は、頭部からゼロスラッガーを取り出しながらゆっくりとガラキングの方へと歩み寄る…。

 

 

 ゼロ「止めろ櫂!!いい加減目を覚ましやがれ!!」

 

 櫂「あ?目なら覚めてますよ?(指で目を広げながら)ほらこの通り。」

 

 ゼロの説得に全く聞く耳を持たない櫂。

 

 

 とうとうゼロは横たわるガラキングの目前にまで来てしまった…!

 

 

 櫂「じゃあ…死んでもらおうかなぁ…?」

 

 

 ゼロがゼロスラッガーを振り上げようとしたその時!

 

 

 ヒカル「ゼロー!」

 

 

 櫂「…はっ!?」

 

 ゼロ「おぉ、ギンガ、ビクトリー!」

 

 

 ゼロが声のした方を振り向くと、そこには二人のウルトラマンが飛んで来る様子が見えた。

 

 

 駆け付けたのは『ウルトラマンギンガストリウム』と『ウルトラマンビクトリーナイト』である。

 

 

 ギンガストリウムとビクトリーナイトは着地してゼロと合流する。

 

 最も、この時櫂はすぐさま良人モードになっているのだが…。

 

 

 ゼロ「お前らも、レッドマン達を探していたのか?」

 

 ヒカル「ああ。この辺りでレッドマン達を見なかったか?」

 

 ショウ「それに、この怪獣は?」

 

 ゼロ「それがだな…」

 

 

 その時、櫂は、

 

 

 櫂「この怪獣はレッドマン達に襲われていて、俺たちが助けてやったんだ。」

 

 

 ゼロ(コイツ…根っからの嘘を…!)

 

 

 ヒカル「そっか…ま、殺されなくて良かったぜ。」

 

 

 ゼロはとりあえずこの場を離れる事に決めた。

 

 ゼロ「コイツの事、頼んでもいいか? 俺は引き続きレッドマン達を追う。」

 

 ヒカル「いいぜ。コイツの事が終わったら、」

 

 ショウ「俺達も引き続き捜索に出る。」

 

 

 ゼロ「じゃあ、頼んだぜ。」

 

 

 ゼロはその場から飛び去って行った…。

 

 

 …しかし、そんなゼロをビクトリーは何やらじっと見つめていた…。

 

 

 ショウ(ゼロ…何やら動揺してるように見えたが…気のせいか?)

 

 

 ヒカル「おーい何やってんだショウ、早くコイツ助かるぜ。」

 

 ショウ「お、おぉ、そうだな。」

 

 

 ヒカル「ギンガコンフォート。」

 

 ギンガストリウムは『ギンガコンフォート』を発動させ、ビクトリーナイトは『ナイトティンバー』を横笛状の『ティンバーモード』にして奇跡のメロディを奏でる。

 

 

 緑と青の優しい光はガラキングを包み、レッドマン達から受けた傷などを癒やしていく…。

 

 

 やがて元気になったガラキングは立ち上がり、ギンガとビクトリーにお礼を言うように一礼する。

 

 

 ヒカル「いいって事よ!(サムズアップ)」

 

 

 するとガラキングは丸まって球体になった。どうやら宇宙に帰るようである。

 

 

 ヒカル「そっか、分かったぜ。」

 

 

 ギンガとビクトリーは球体のガラキングを持ち上げる。そして軽く宙に投げた後、アタックサーブを打ち込んで飛ばした。

 

 

 ギンガとビクトリーが見送る中、ガラキングは空の彼方へと飛んで行った。

 

 

 ヒカル「よし、じゃあ、俺たちも行きますか!」

 

 ショウ「あぁ、そうだな。 (小声で)それに…ゼロの事も気になるし…。」

 

 ヒカル「ん?どうしたショウ?」

 

 ショウ「いや、なんでもない。行こう。」

 

 

 ギンガとビクトリーは何処かへと飛び去って行った…。

 

 

 

 一方、とある人気の付かない場所にて、既に変身を解除していた櫂は苛立ちからそこらの壁を蹴りながら発狂していた。

 

 かなり荒れているようである。

 

 

 櫂「なんでだよ…なんでどいつもこいつも邪魔すんだよおおぉぉぉ!!」

 

 

 そんな櫂に怯まずゼロは話しかける。

 

 ゼロ「これで分かっただろ?奴らは悪くない怪獣の区別が出来る。出来てないのはお前だけなんだ。 いい加減理解しろ。怪獣も悪い奴ばかりじゃないという事を!」

 

 櫂「何が悪くない怪獣だ!! そもそも奴らは体がデカい…それだけでも迷惑…いや人々の脅威なんだよ!! ウサギや猫などと言った動物とは違うんだぞ!? そんな得体の知れない怪獣どもなんぞ信用できるか!!」

 

 ゼロ「だが櫂!お前は見ただろ!モロb…ピグモンなどと言った、人間と仲良くなる怪獣も!」

 

 櫂「じゃあ聞こう!今まで俺たちが戦って来た怪獣。悪い奴と良い奴、どっちが多かった?」

 

 ゼロ「うっ…!」

 

 櫂「悪い奴の方が多かったよなぁ!?レッドキングもリンドンもベロクロンもヤプールもドギューもキングギドラもアリブンタもその他諸々!!」

 

 ゼロ「…確かに、今まで戦った怪獣は悪の怪獣の方が多かった…しかしなぁ!!」

 

 櫂「怪獣なんぞ所詮害悪なんだよ…例えどんな奴だろうと、いつ俺たちの脅威になるか分からん!」

 

 ゼロ「貴様…それ正気で言ってんのか!」

 

 櫂「あぁ正気さ! 忘れんなよ…俺も真美も、怪獣に親を殺されているという事を…そいつへの復讐も考えてるからなぁ…!」

 

 

 櫂はゼロにそう言い放つと、足元の石ころを蹴飛ばしながら帰り道を歩き始めた…。

 

 

 ゼロ(櫂の奴…もう我慢ならねぇ…! こうなったら…!)

 

 

 遂に業を煮やしたゼロは、櫂にバレないようにこっそりと一筋の光を発信した。

 

 

 ゼロは、誰かに『ウルトラサイン』を発信したのである!

 

 

 果たしてサインは誰に向かって飛んでいるのであろうか…?

 

 そしてこれにより、今後櫂の正体についての何か大きな動きが起きるのであろうか…?

 

 

 櫂(フッ…こうなれば奴らを心の中で応援するしかねーか…直接俺が仲間にならんでも奴らは強い…奴らが簡単に他のウルトラ戦士に負けるワケがないからなぁ…! 邪魔なんだよ…怪獣も、俺のことを好きにならない人間も、みんな邪魔なんだよ…!)

 

 

 またしても櫂は、心の中でとんでもない事を考えていた…!

 

 

 普段は人前で好青年を演じ、自分に好意を持たない人や怪獣は排斥しようと考える本性を持っている櫂…。

 

 その悪意地の強さは、ゼロの力を持ってしても制御し難いモノであった…。

 

 果たして彼の今後の行動は?そして、彼の本性は遂に誰かに知られてしまうのであろうか…!

 

 

 ゼロ(このまま奴と一緒にいると、いつか俺の好感度が下がっちまいそうだぜ…!)

 

 

 

 場所を高原に戻そう。

 

 ひょんな事から生まれたてのバルの雛に母親だと思われてしまった大地は、とりあえず研究のためもあり、バルの面倒を見る事にした。

 

 

 大地「じゃあ、このバルの面倒は俺とアスナに任せてくれ。」

 

 真美「分かりました。あとは任せますね。お母さん。」

 

 大地「はは…(苦笑)。」

 

 

 真美は一旦大地とアスナと別れ、車を走らせて行った。

 

 

 相変わらず大地の仕草を真似しつつはしゃぐバルの雛。それを見つめる大地とアスナ。

 

 

 アスナ「まさかこの子の親たちも、レッドマン達に殺られていたなんてね…。」

 

 

 どうやらバルの事情を真美から聞いたみたいである。

 

 そう、このバルの雛は仮にもレッドマン達に殺された親たちが遺した卵から孵化したモノなのだから…。

 

 

 二人はそんなバルに対し、同情の気持ちが湧き始めていた。

 

 

 大地「そうなら、せめてこの子だけでも、しっかりと守ってやらないとな。」

 

 アスナ「で、今後どうするの?この子を。」

 

 大地「もはやこの子には親はいない…俺たちの世界に帰る時、一緒に連れて行くか検討中だ。」

 

 アスナ「…それってもしかして…。」

 

 

 大地とアスナのやり取りを心配そうに見つめるバル。

 

 それに気づいた大地は大きく手を振った。

 

 大地「大丈夫だよバル!」

 

 それを見たバルも、安心と同時に大地の真似として大きく手を振った。

 

 

 大地「全く、真似ばっかりするんだから…。」

 

 大地はそう言いながら、楽しそうつつも少し呆れるような顔でバルを見つめる。

 

 エックス「ははは、随分と懐かれてるな、大地。」

 

 

 アスナ「まるで、ユナイトしてるみたいね…。」

 

 大地「え?」

 

 アスナ「大地とあの子。大地が何かすればあの子も同じ動きをする…それって、お互い繋がってると思わない?」

 

 エックス「なるほど、親子なだけじゃなくて、信頼し合える友としてユナイトしているからこそ…か。」

 

 大地「はは…そうかもしれないね。生まれて俺を見たその時から、とっくにユナイトしていたのか…。」

 

 大地とアスナは笑顔で見つめ合った。

 

 

 大地(父さん…母さん…俺また、夢に一歩近づけた気がするよ…。)

 

 

 その時、

 

 

 ガイ「へぇ~…今度は怪獣のお母さんになったのか大地。」

 

 

 大地「はい………えっ!!?」

 

 

 突然横からガイに話しかけられた大地は、振り向くと同時に驚く。

 

 

 ガイ「よぉ、久しぶりだな大地。」

 

 

 大地「ガイさん!」

 

 エックス「久しぶりだな。」

 

 アスナ「え…この人が、大地の言ってたガイさん?」

 

 

 大地(エックス)とガイ(オーブ)は、かつてガイの世界の地球にて『宇宙魔女賊ムルナウ』の野望を阻止するために共に戦った事があるため、既に顔見知りなのである。

 

 

 大地「ガイさんもこの世界に来ていたのですね。」

 

 ガイ「あぁ、この世界にも色々と異変が起きてるからな。」

 

 

 アスナ「それにしても…どうしてピグモンも一緒なのですか?」

 

 アスナは、ガイのお供をしているピグモンが目についた。

 

 

 ガイ「え?…まぁ、色々あってな。」

 

 大地「まぁ、彼は銀河の風来坊だから、きっと旅先で出会ったんだよ。」

 

 エックス「色々あるものなんだな。風来坊は。」

 

 

 ガイ「そういう事ですエックスさん。 それより大地、何やらあの子(バル)のお母さんになったらしいじゃないか。」

 

 大地「そうなんですよ。あいつ生まれてすぐ見た俺を、刷り込みで親だと思ってるみたいなんです。」

 

 ガイ「すり…こみ?」

 

 大地「動物の赤ちゃんが、生まれて最初に見たモノを親だと思い込む現象の事です。」

 

 

 ガイ「そうか…だいたい分かった。」

 

 

 次に大地は、少しかしこまって話し始める。

 

 大地「あの子の親は、もういないんですよね…。」

 

 ガイ「もしかして、レッドマン達の仕業か?」

 

 大地「え?ガイさんもレッドマン達の事を知ってるのですか?」

 

 ガイ「あぁ、なんでも奴らは無差別に怪獣などを襲っていった事で死刑判決が出た、この世界の光の国の犯罪者らしいからな。」

 

 

 エックス「流石は銀河の風来坊…。」

 

 アスナ「何でもお見通しって事ね…。」

 

 ガイの知識に感心するエックスとアスナ。

 

 

 最も、ガイがレッドマン達の事を知っているのは、病院での櫂達のやり取りを盗み聞きしたお陰なのだが…(笑)

 

 

 ガイ「俺はさっき奴と一戦交えて来た…なかなかの手強い奴だった。」

 

 大地「実は、俺の世界にも奴は攻めて来ました…。」

 

 ガイ「何?奴が大地の世界にも?」

 

 大地「はい。俺たちは、奴に連れられる形でこの世界に来たのです…。奴はとにかく怪獣を憎み、怪獣ばかりを狙う奴でした。」

 

 ガイ「奴らは歪んだ正義により、道を誤り、今や最大の敵になってしまったからな…。だからせめて、倒す時は正義の心を存分にぶつけてやろうと俺は決めたんだ。」

 

 大地「俺もそうしようと思います。」

 

 

 大地はレッドマンと戦う前、エクスデバイザーの解析機能『ガオディクション』によりレッドマンを解析したのだが、感情のほとんどが“攻撃”や“殺意”しかなかったため、既に共存は不可能だと判断していたのだ。

 

 

 大地「倒す前に、少しでも奴に、怪獣の正義の力を感じてもらえたらなと…俺はそう思っています。」

 

 エックス「大地らしくて良い判断だな。」

 

 大地「エックス…。」

 

 エックス「じゃ、そのためにも、次戦う時は全力を出そう。」

 

 大地「そうだね。」

 

 

 大地とエックスは改めて硬く決心した。

 

 

 ガイ「ふっ…更に立派になってるな、大地。」

 

 

 その時、大地はふと父親の形見でもある『古代怪獣ゴモラ』のスパークドールズを取り出す。

 

 

 ゴモラのスパークドールズは何やらバルの方を向いてカタカタと揺れていた。

 

 どやら大地の心友でもあるゴモラは、大地と仲良くなっているバルに焼餅をやいているようである。

 

 大地「ははは、妬くなよゴモラ。今日からお前の新しい友達だ。」

 

 そう言われるとゴモラの動きが止まった。どうやら大地の言葉を素直に聞き入れ、バルを友達として認識したみたいである。

 

 

 大地「ゴモラも、「よろしく」って言わないとね。」

 

 

 大地たちのやり取りを見たガイは、バルを大地たちに任せる事に決めた。

 

 ガイ「どうやら、あの子は大地たちに任せて大丈夫そうだな。行こう、ピーちゃん。」

 

 ピグモン「ピー!」

 

 

 だが、その時!

 

 

 デニス「うっひょふお~! 狩り甲斐のある怪獣がいるじゃねーか!!」

 

 

 大地「!」

 

 ガイ「誰だ!」

 

 

 その時!突如どこからか飛んで来た数発の光弾がバルの足元で爆発する!

 

 突然の爆発にバルは驚くと同時に怯え、縮こまってしまう。

 

 

 大地「バル大丈夫か!?」

 

 

 デニス「やっぱ怪獣を撃つのは楽しいぜぇ~!」

 

 

 ガイ「…ッ!!」

 

 

 一同は声のした方を振り向く。そこには、パワードアーマーを着たノワール星人デニスが立っていた。

 

 

 デニス「よ~ぉ!初めましてだっけなぁ!」

 

 不気味なハイテンションで一同に挨拶をするデニス。

 

 

 突然の怪しい宇宙人の登場。ガイはファイティングポーズで身構え、大地とアスナはジオブラスターを引き抜いて向ける。

 

 

 ガイ「随分と荒っぽい挨拶だな!」

 

 アスナ「アンタ…宇宙人!?」

 

 

 デニス「おいおい!何俺様に物騒なモン向けてんだよぉ!」

 

 アスナ「物騒なのはアンタでしょ! いきなりバルの雛を撃って!」

 

 デニス「雛?…ハッ!アイツやはりあの卵から孵ったのか!」

 

 大地「お前…バルの雛を狙っていたのか!?」

 

 

 デニス「その通り! 生まれたての雛ほどいい悲鳴を上げるからなぁ! 狩らせてもらうぜヒャッハー!!」

 

 

 そう言うとデニスは、再びバルに光弾を連射する!

 

 

 バルは光弾が足元で爆発する中、怯えながらも逃げ回り、やがて岩崖の壁にうずくまる。

 

 

 アスナ「止めなさい!!」

 

 

 アスナは叫びながらジオブラスターを連射するが、デニスの来ているパワードアーマーは頑丈で光弾を易々とはね返してしまう。

 

 

 デニス「ふぅ~…そんなの痛くも痒くもねーなぁ~!!」

 

 アスナを挑発するように嘲笑うデニス。

 

 

 アスナ「このっ!!」

 

 

 アスナは銃をしまうと、格闘戦に切り替えてデニスに駆け寄る。

 

 アスナは駆け寄りながら右足蹴りを繰り出すが、デニスはそれを左腕で易々と受け止める。

 

 続けてアスナはハイキックを放つが、デニスは体を反らしてそれを避けた後、右足蹴りを放つがアスナはそれを両腕で防ぐ。

 

 次にデニスは右フックを繰り出すがアスナはそれをしゃがんでかわすと同時にデニスの下半身に組み付く。

 

 そしてそのまま、右足を後ろ向きに大きく振り上げてデニスの頭部に蹴りを叩き込む!これぞアスナが得意とする蹴り技『スコーピオンキック』である!

 

 

 デニス「ふぅ~…いい蹴り持ってるね~。でも、まだまだぁー!!」

 

 頭部を蹴られたデニスは思わず後退するが、すぐさま体勢を立て直し襲い掛かる!

 

 デニスはアスナに飛び掛かりつつ右膝蹴りを放つ!

 

 アスナはそれを両腕で防ごうとしたが、威力の大きさに防ぎきれず、吹っ飛んでしまう!

 

 

 大地「アスナ!」

 

 

 吹っ飛んで地面を転がるアスナ。

 

 アスナ「ぐっ…なんて強さなの…!」

 

 

 デニスは余裕そうに笑いながらアスナに接近する。

 

 デニス「このパワードアーマーはなぁ…俺様に底知れぬパワーを与えてくれんだよ!」

 

 

 アスナは反撃としてパンチを繰り出すが、デニスはその腕を掴んで受け止め、そのままねじ込み始める…!

 

 

 デニス「貴様のような小娘に、負けるはずはねーんだよ…ヒヒヒヒヒヒ…。」

 

 

 余裕の笑みを見せるデニス。その時!

 

 

 ガイ「伏せろ!!」

 

 

 突如ガイの叫びが聞こえ、デニスは思わず向こうを向き、アスナはすぐさまその場でしゃがむ。

 

 

 すると、ガイはアスナを飛び越え、デニスに強力な跳び蹴りを叩き込んだ!

 

 

 “ドガッ”

 

 デニス「ぐおはっ!!?」

 

 

 蹴りをモロ胸に喰らったデニスは吹っ飛び地面に落下するが、すぐに立ち上がる。

 

 更にその隙に、大地がジオブラスターにウルトラブースターをセットして構えていた。

 

 

 《ウルトラマンの力を、チャージします》

 

 

 大地「行っけーっ!!」

 

 

 大地は引き金を引き、反動でバランスが崩れそうになりつつも必殺光線をデニスに放つ!

 

 

 デニスはすぐさまそれを両腕をクロスさせて防ぎ、吹っ飛びそうになりつつも力ずくで光線を後ろに弾き飛ばした!

 

 弾き飛ばされた光線はデニスの背後で大爆発を起こし、大きな爆炎が立ち昇る。

 

 

 デニス「ふぅ~…危なかったぜ。」

 

 大地「そんな…ウルトライザーも効かないなんて…!」

 

 エックス「コイツのアーマーは、とてつもない強度だ!」

 

 

 動揺する大地たちにデニスは話しかける。

 

 デニス「俺様はあの怪獣を狩りに来ただけだ! 邪魔すんなっての!」

 

 

 ガイ「お前…さてはレッドマン達の仲間か?」

 

 デニス「お! 分かった? その通り! いや~流石ガイ!察しが鋭いね~!」

 

 

 大地「一つ聞こう。何故レッドマン達の仲間になり、怪獣たちを狩るんだ!?」

 

 

 デニス「決まってんだろ!? 楽しいからだよ~ん! 狩る時の快感!狩られる怪獣の悲鳴は最っ高だぜぇ~!」

 

 

 もはや清々しいほどの邪悪な本性を見せるデニスに、大地たちは怒りが沸々と湧いて来る。

 

 

 大地「最低だな!お前!」

 

 

 デニス「最低? フッハハハハ! 最っ高の褒め言葉だぜぇ~!! ヒャハハハハハ!!」

 

 

 やがてデニスは、視線をバルに向ける。

 

 デニス「おっと!こうしてる暇じゃねー…さっさとアイツ狩るとすっか! 出でよ!!レッドキラー!!」

 

 

 デニスの叫びと共に、激しい地響きと共に地面から勢いよく土砂が巻き上がり、やがて一匹の怪獣が地上に現れる!

 

 

 現れたのは、デニスの手先である怪獣兵器『ブーメラン怪獣レッドキラー』である!

 

 

 大地「怪獣まで引き連れていたのか!」

 

 

 デニス「そうだ!レッドキラーは我がノワール星の技術で作り上げた自慢の怪獣兵器だ!」

 

 

 《ガオディクションを、起動します》

 

 

 大地はすぐさまデバイスでレッドキラーを解析する。しかし、解析の結果は…

 

 

 《攻撃、殺意》

 

 

 大地「仲間なだけあって、その感情はレッドマン達と同じって事か!」

 

 

 デニス「ふっふっふ…やれ!レッドキラー!」

 

 

 デニスの指示を受け、レッドキラーは手始めに口から爆発性のあるガスを噴射する!

 

 ガスを浴びた地面は大爆発を起こし、炎上した。

 

 

 バルが爆発の炎に怯えている隙に、レッドキラーは両手に装備したブーメラン『カミソリブーメラン』を投げつける!

 

 

 レッドキラーの脳波でコントロールされるブーメランは高速回転し、複雑な軌道を描きながら飛び、やがてバルの近くの岩山に命中した!

 

 ブーメランが命中した岩山はいとも容易く切り崩れた!

 

 

 デニス「どーだ!カミソリブーメランの切れ味は!! 次は直接当てちゃうぞ~!?斬っちゃうぞ~!?」

 

 

 大地「なんて切れ味なんだ!」

 

 エックス「このままじゃあ、バルが危ないぞ!」

 

 

 バルの絶体絶命の危機!

 

 

 …その時、大地は遂に決心した。

 

 

 大地「…俺…行くよ。」

 

 

 アスナ「行くんだね…大地。」

 

 

 大地「あぁ。奴(レッドキラー)を倒すだけじゃない…バルも助けに。」

 

 エックス「大地…もしかして…。」

 

 

 ガイ「そうか…じゃあ、行って来い大地。コイツ(デニス)は俺に任せろ。」

 

 

 大地「…はい!」

 

 

 遂に大地はレッドキラーの方に向かって走り始める。

 

 この時大地は、レッドキラーと戦う事の他に、“ある事”を決断していた…。

 

 

 やがてレッドキラーの近くにまで来た大地は立ち止まる。

 

 

 大地「エックス! ユナイトだ!」

 

 エックス「よし、行くぞっ!」

 

 

 今こそユナイトの時だ!

 

 大地はエクスデバイザーの上部ボタンを押して側面のパーツをX字に展開して“Xモード”に変形させ、現れたエックスのスパークドールズを手に取ってリードする。

 

 

 《ウルトラマンエックスと、ユナイトします》

 

 

 大地「エックスー!」

 

 

 大地はエクスデバイザーを高く揚げて叫び、X字の光に包まれる。

 

 

 エックス「イーッサアアアッ!」

 

 

 《エックス、ユナイテッド》

 

 

 ナビ音声と共に、大地とのユナイトが完了したウルトラマンエックスが光の中から右拳を突き出して飛び出す!

 

 

 現れたエックスは、サイバーテイストの光と共に着地していき、そして着地時に土砂が円を描く『スパイラル着地』を決める!

 

 

 着地を決めたエックスはゆっくりと起き上り、ポーズを決める。

 

 

 デニス「現れたなぁ…ウルトラマンエックス!」

 

 デニスはガイと格闘しながら、エックスの出現に気付く。

 

 

 エックスは拳を一回地面に当てると、レッドキラー目掛けて飛び掛かる!

 

 そしてあわやバルにブーメランを飛ばそうとしていたレッドキラーに両腕をX字に組んだチョップを叩き込んで吹っ飛ばした!

 

 

 レッドキラーは体勢を立て直してエックスに襲い掛かる。

 

 エックスはレッドキラーの右フックを左腕で受け止め、右拳で叩き落とした後、続けてレッドキラーが打ち込んで来た左右から挟み込みようなパンチを両腕で受け止めると、腹部に右足蹴りを打ち込んで後退させる。

 

 レッドキラーは再度右フックを繰り出すが、エックスはそれをしゃがんでかわすと同時に後ろに回り込み、背中に右腕を叩き込む。

 

 その後エックスはレッドキラーにヘッドロックを掛け、そのまま跳躍して落下スピードを活かして地面に叩き付けた!

 

 

 エックスは更に攻撃を加えようと接近するが、隙を突かれてレッドキラーの右腕での足払いを喰らい倒れてしまう。

 

 レッドキラーはマウントを取ろうと襲い掛かるが、エックスはすぐさまレッドキラーの腹を蹴って後退させ、跳ね起きで起き上る。

 

 

 大地・エックス「Xクロスチョップ!」

 

 

 エックスは右手にエネルギーを集め、X字に斬り裂くように放つチョップ『Xクロスチョップ』を放ち、更にそこに両拳でのパンチを叩き込む!

 

 レッドキラーは爆発と共に吹っ飛び、地面を転がる。

 

 

 エックスの連撃により押され始めたレッドキラー。ガイと組み付きつつもそれに気づいたデニスは…、

 

 デニス「フッ…レッドキラーめ、手間取ってんな。」

 

 

 すると、視線をエックスを応援するバルに向ける。

 

 デニス「よーし、こうなったら!」

 

 

 するとデニスは、バル目掛けて左腕を突き出して一つの光弾を放つ!

 

 

 光弾を受けたバルは、何やら体中に紫のオーラを放ちながら苦しむような仕草を見せる!

 

 

 アスナ「どうしちゃったのバル!」

 

 ガイ「貴様!バルに何をした!」

 

 

 デニス「ふふふ…奴には一旦、操り人形になってもらいますぜ~!」

 

 

 ガイ「何だと!?」

 

 

 そう、デニスがバルに放ったのは、アーマーの左腕に装備されている、怪獣を洗脳する光弾『ダークサンダーボール』なのである!

 

 

 アスナ「バル!しっかり!」

 

 

 だが、アスナの呼びかけも空しく、やがてバルは目が赤く発光し、咆哮を上げる。

 

 洗脳され始めたのである!

 

 

 レッドキラーの頭突きを喰らい後退するエックス。それをバルが羽交い締めにするように受け止めた。

 

 

 大地「あぁ、サンキューバル。早く安全な所へ。」

 

 

 エックスはレッドキラーに向かおうとするが、バルはエックスを羽交い締めにしたまま放さない。

 

 

 エックス「何っ!?」

 

 大地「どうしたんだバル!」

 

 

 デニス「フッハハハハ!! どうだ!自分の子供に裏切られる思いは!!」

 

 

 大地「何だって!」

 

 エックス「お前!バルに何かしたのか!?」

 

 

 デニスの言葉で、大地とエックスもバルが操られている事に気付く。

 

 

 デニス「今だレッドキラー!!」

 

 

 レッドキラーはエックス目掛けて両手のカミソリブーメランを投げつける!

 

 ブーメランは飛び回りながらエックスに命中して切り裂いていく!

 

 

 しかもよく見ると、ブーメランはエックスを斬り裂くと同時にバルにも命中しているのだ!

 

 

 やはりデニスにとってバルは、今は操っているとはいえ所詮は狩る対象の怪獣…エックス共々殺してしまおうと考えているのであろうか…?

 

 

 レッドキラーは一旦ブーメランを両手にしまい、既に勝ち誇るように雄たけびを上げる。

 

 

 デニス「フハハハハハ!!ウルトラマンを殺すと同時に怪獣も殺せる! これぞ正に一石二鳥!! さぁ、怪獣のガキ共々死ぬがいい!!」

 

 

 エックスと共にダメージを受けたバルは一旦エックスを放す。

 

 

 エックス「バル、しっかりするんだ!」

 

 エックスはバルの肩に手を置き必死に語り掛けるが、バルはエックスの腕を振り払い、翼をバタバタさせながら殴り掛かるが、エックスはそれを往なしつつなお必死に呼びかける。

 

 

 大地「バル!俺だ!!分かるだろ!!」

 

 

 …すると、バルの攻撃の手が止まった。

 

 大地「…バル?」

 

 

 すると、バルはなにやら頭を抱えて苦しむような素振りを見せ始める。

 

 

 どうやら自分にとっての母親・大地の声が聞こえたバルは、少しだけ意識が戻りつつあるようである!

 

 

 エックス「やった。どうやら大地の声が届いたみたいだぞ。」

 

 大地「バルは…戦ってるんだ。自分を支配しようとする闇のエネルギーと。」

 

 

 デニス「何だと!?」

 

 自身の洗脳機能が狂い始めた事に動揺が隠せないデニス。

 

 

 ガイ「ふっ、残念だったな。今や大地とあの怪獣は強い絆でユナイトしている。」

 

 アスナ「アンタの安っぽい洗脳なんかで、簡単に途切れるはずがないのよ!」

 

 

 デニス「くっそ~こんな筈が…!」

 

 

 デニスは動揺している隙に、組み合っていたガイの右脚のハイキックを頭部に喰らい吹っ飛ぶ!

 

 

 大地「バル…待っててくれ。すぐに助けてやるから。」

 

 

 バルにそう語り掛けた大地。エックスは体勢を立て直し、レッドキラーに駆け寄る!

 

 

 エックスは駆け寄りながらの右肩での体当たりをレッドキラーの胸部に決めると、続けて腹部に右拳、左拳と交互にパンチを打ち込む。

 

 レッドキラーは反撃として左フックを放つが、エックスはそれを左腕で受け止め、そのまま右手で頭部の突起を掴んで押さえ込む。

 

 

 アスナ「一緒に行こう…ゴモラ。」

 

 アスナは、Xioがゴモラのスパークドールズを解析して得られたデータを元に作り上げたサイバー怪獣『電脳怪獣サイバーゴモラ』のサイバーカードを取り出し、ジオデバイザーにリードする。

 

 

 《サイバーゴモラ、ロードします》

 

 

 ナビ音声と共にジオデバイザーから現れたサイバーゴモラのスパークドールズをアスナは手に取り、ライブサインをリードする!

 

 

 《リアライズ!》

 

 

 ナビ音声と共に、アスナの前方にサイバーテイストのエフェクトと共にサイバーゴモラが実体化して現れた!

 

 

 アスナが脳波コントロールするサイバーゴモラは、エックスと組み合うレッドキラーに向かい突進し、頭部の角を活かした体当たりを叩き込んで吹っ飛ばした!

 

 

 アスナ「私もゴモラと共に戦うわ!」

 

 

 大地「アスナ…ゴモラ…ありがとう。」

 

 エックス「よし、一気に決めますか!大地!」

 

 大地「あぁ、こっちも行くぞ!」

 

 

 大地は、目の前に現れたエクシードXのスパークドールズを手に取り、エクスデバイザーにリードする。

 

 

 《ウルトラマンエックス、パワーアップ!》

 

 

 ナビ音声と共に現れた虹色の剣『エクスラッガー』を手に取った大地は、側面にあるパネルをスライドタッチして刀身にエネルギーを集中させた後トリガーを引く。

 

 

 大地・エックス「行くぞっ! エクシード、エーックス!」

 

 

 大地はエックスと共に叫びながら、エクスラッガーをX字に振るう!

 

 

 エックスはサイバーテイストの光と共に、黒や青の割合が増えたボディに、サイバーテイストのエフェクトを思わせる虹色のラインディテールが走っているのが特徴の姿に変わり、エクスラッガーは額に装着される!

 

 

 エックスは、大地とエックスが更に強固なユナイトを成した強化形態『ウルトラマンエクシードX』に強化変身したのだ!

 

 

 (BGM:ウルトラマンX)

 

 

 現れたエクシードXは、サイバーゴモラを横に、サイバーテイストのエフェクトを発しながらポーズを決める!

 

 

 そして、エクシードXとサイバーゴモラは共にレッドキラー目掛けて駆け始める!

 

 

 エックス・大地・アスナ「俺(私)達は一心同体!!」

 

 

 エクシードXは側転しながらレッドキラーに接近すると、腹部に前蹴りを決め、次にレッドキラーが反撃で放った右フックを右の手刀で弾き返した後、胴体に切り裂く様なチョップを流れるように連続で打ち込む!

 

 レッドキラーは両腕で殴り込むが、エクシードXはそれをかわすと同時に上空にジャンプし、そしてバトンタッチするようにサイバーゴモラが接近する。

 

 サイバーゴモラはレッドキラーの胴体に体当たりを決めるがレッドキラーはそれに耐え切り、そして両者はそれぞれ巨大な腕の爪、両手のブーメランを活かしたパンチの応酬を始める!

 

 怪獣同士の激しいパンチの応酬の末、サイバーゴモラの右フックがレッドキラーの頭部に決まり、その部位から火花が飛び散る!

 

 そしてサイバーゴモラはレッドキラーの胸部に爪を活かしたパンチを決めて後退させた後一旦しゃがみ、そしてエクシードXがサイバーゴモラの背中に手を付いて跳び越えるように跳躍し、レッドキラーの胸部に跳び蹴りを叩き込む!

 

 続けてエクシードXはレッドキラーの胸部に左右交互にパンチを決め、右足蹴りを打ち込んだ後、頭部から両腕で掴み、サイバーテイストのエフェクトを発しながら豪快に放り投げた!

 

 

 大地・エックス「エクスラッガー!」

 

 エクシードXは額に手をかざし、虹色の光と共にエクスラッガーを取り外し、ポーズを決める。

 

 

 レッドキラーは両手からカミソリブーメランを投げつける!

 

 サイバーゴモラは両腕を顔の前に立てる事でブーメランを防いだ。

 

 サイバーゴモラに防がれたブーメランは今度はエクシードX目掛けて飛ぶ!

 

 

 エクシードXは飛んで来るブーメランを、エクスラッガーをX字に振るう事で撥ね返す!

 

 

 レッドキラーの脳波でコントロールされているブーメランは、再びエクシードXに向かう!

 

 

 大地はエクスラッガーのスライドを2回タッチしてトリガーを引く。

 

 

 大地・エックス「エクシードスラーッシュ!!」

 

 

 エクシードXは、高速で何度も斬りつける技『エクシードスラッシュ』を放つ!

 

 

 残像が残るほどの高速のスピードで繰り出される斬撃は、ブーメランを滅多切りにしていき、やがて完全に破壊し爆発させた!

 

 

 自慢の武器を破壊されたレッドキラーは動揺を隠せない。

 

 

 サイバーゴモラは前転して尻尾浴びせ攻撃『大回転打』をレッドキラーの頭部に叩き込み、続けてエクシードXも前転して浴びせ蹴りをレッドキラーの頭部に叩き込む!

 

 

 そして、エクシードXとサイバーゴモラのそれぞれエクスラッガーと爪を活かした斬撃の同時攻撃を胸部に喰らい吹っ飛んだ!

 

 

 エクシードXとサイバーゴモラの連携攻撃により、完全にグロッキーとなったレッドキラー。今こそ決める時である!

 

 

 エックス「決めるぞ!大地!」

 

 大地「おぅ!」

 

 

 エクスラッガーを一旦額に収納したエックス。大地はエクスラッガーを額にかざし、逆方向にスライドタッチをし、エックスもそれに合わせて額をなぞる事でエクスラッガーに虹色の光エネルギーが溜まって行く…!

 

 

 アスナ「ゴモラ!サイバー超振動波よ!」

 

 

 アスナの指示を受けたサイバーゴモラは、エネルギーを両腕のクローと角に集め、レッドキラーに高速で接近し、ゼロ距離で『サイバー超振動波』を浴びせる!

 

 そしてある程度振動波を流し込んだ後、レッドキラーを頭上高くかち上げた!

 

 

 やがてエネルギーが完全にチャージされたエクシードX。大地はエクスラッガーのトリガーを引いた!

 

 

 大地・エックス「エクスラッガーショット!!」

 

 

 エクシードXは、額のエクスラッガーから必殺光線『エクスラッガーショット』を放つ!

 

 

 強力な虹色の必殺光線は上空のレッドキラーを直撃し、それを受けたレッドキラーは大爆発して砕け散った…!

 

 

 見事レッドキラーを撃破したエクシードXとサイバーゴモラは、爆発を背景にポーズを決め、そして互いの腕をクロスさせた。

 

 

 

 デニス「あぁっ!バカな!! 俺様の自慢の怪獣兵器レッドキラーが!!」

 

 ガイ「今だ!」

 

 ガイは、デニスが動揺している隙に、スライディングで接近しながらデニスの腹部に強力な右足蹴りを叩き込んで吹っ飛ばす!

 

 デニス「ぐはっ!! おのれー!!」

 

 デニスはガイ目掛けて光弾を発射するが、ガイはすぐさま『ウルトラマン』のカードを取り出してそれでガードし、はね返された光弾はデニスに直撃して大爆発した!

 

 デニス「ぐぉは~!!?」

 

 光弾を喰らい大爆発したデニスは爆風に包まれる…。

 

 

 ガイ「くじけない限り…俺たちウルトラマンは決して負けることは無い。」

 

 

 

 大地「ゴモラ、ありがとう。」

 

 アスナ「お疲れ様。」

 

 大地とアスナから感謝と労いの言葉を受けたサイバーゴモラは、咆哮を上げた後、消滅した。

 

 

 再びエクスラッガーを取り出したエクシードXは、なおもダークサンダーボールの力で苦しんでいるバルの方を振り向く。

 

 

 大地「今助けてやるからな、バル。」

 

 

 大地はエクスラッガーのスライドタッチを3回行い、ブーストスイッチを押す。

 

 

 大地・エックス「エクシード、エクスラッシュ!!」

 

 

 エクシードXはエクスラッガーを地面に立て、自らとバルを虹色のオーラで包む。

 

 そして高速で飛びながら、虹色に光るエクスラッガーですれ違いざまに2度斬りつけた。

 

 

 これぞ、エクシードXが最も得意とする技で、相手に宿った闇のエネルギーを無効化する究極技『エクシードエクスラッシュ』である!

 

 

 エクシードエクスラッシュを受けたバルは、紫のオーラを発散していき、やがて赤く光っていた目が元に戻った。

 

 ダークサンダーボールの力は無事完全に無効化されたのである。

 

 

 バルを元に戻したエクシードXは、光に包まれやがて通常のエックスに戻る。

 

 

 正気に戻ったバルは、あどけない表情でエックスを見つめる。

 

 

 大地はしばらく考え込んだ後、バルにこう言った。

 

 

 大地「バル…一緒に行こう。 平和の星…俺たちの世界へ。」

 

 

 …その言葉を受けたバルは、目から一粒の涙をこぼした…。

 

 まだ赤ちゃんなので言葉の意味は分からないかもだが、恐らく大地の優しさを感じたのだろう…。

 

 

 アスナ「大地…もしかして…。」

 

 

 アスナが何かを察した時、エックスは右腕を胸に当て、横に広げた後、両腕を左へ大きく振りかぶりながら左脚で踏ん張りってエネルギーを溜め、その際に足の裏から周囲にエネルギーの余波が放射される。

 

 

 大地・エックス「ザナディウム光線!」

 

 

 エックスは腕をX字に組んで光線技『ザナディウム光線』を発射する!

 

 

 これはエックスが最も得意とする光線技で、大地とエックスのユナイトが最高潮に達した際に使用可能になる。

 

 そして、相手に命中すると大爆発を起こし、その後怪獣を殺す事なく、データ化してスパークドールズに圧縮するという変わった能力を持っているのである。

 

 

 ザナディウム光線はバルに命中し、バルは大爆発を起こした後、無数の粒子状の光が一転に集中していき、やがてスパークドールズへと圧縮された。

 

 

 大地「…これでいいんだ…。」

 

 大地が変身前に決心した事とは、レッドキラーを倒し、バルを助け、そしてスパークドールズにするという事だったのである。

 

 

 

 大地はエックスとのユナイトを解除した後、バルのスパークドールズを拾い上げてアスナと合流する。

 

 アスナ「本当に、これで良かったの?」

 

 大地「あぁ、この子はもう親もいない、この世界では生きていけない存在だったんだ。だから、俺たちの

世界へ連れて行く。」

 

 エックス「なるほど、この子のいい住み家を作ってやるつもりだな。」

 

 大地「あぁ。いつか、怪獣たちの住みやすい環境が整ったら、他の怪獣たちと共にこの子も元の姿に戻すつもりだ。」

 

 アスナ「そっか…じゃあそうなるまで、頑張ろうね。」

 

 大地「あぁ。 (バルを見つめながら)待っててね…君にピッタリのいい住み家を作ってやるから。」

 

 

 大地の新たな決心を受け止めたガイも、後押しの言葉を掛ける。

 

 ガイ「頑張れよ、大地。」

 

 大地「はい!」

 

 

 ガイ「これでひとまず、一件落着だな、な、ピーちゃん。」

 

 そう言いながらガイはピグモンに話しかけるが…、

 

 

 ガイ「…あれ?…ピーちゃん…?」

 

 

 どうした事か、ガイの横にいるはずのピグモンの姿が見当たらず、ガイを始め一同は辺りを見渡す。

 

 

 デニス「ふっふっふ…まだ終わってねぇだろぉ! まだよぉ!!」

 

 

 デニスの声のした方を振り向くと、そこにはデニスが、アーマーの右腕からのレーザーロープでピグモンを捕えて立っている姿が!

 

 驚愕する一同。デニスはまだ生きていたのである!

 

 

 アスナ「デニス!?」

 

 ガイ「貴様…まだ生きていたのか!」

 

 デニス「ケッ…パワードアーマーで覆われた俺様があれぐらいで死ぬかよ!」

 

 

 そう言いながらデニスは必死にもがくピグモンを自身の所に引き寄せる!

 

 

 ガイ「ピーちゃんを放せ!」

 

 デニス「そうして欲しければ、俺様たちに勝ってみるんだなぁ!」

 

 ガイ「何!?」

 

 

 そう言うデニスの背後に、レッドマンとハヌマーンが着地する!

 

 

 大地「レッドマン!…それに、あれがハヌマーンか…!」

 

 

 レッドマンはデニスと彼が捕えたピグモンを手に乗せる。

 

 

 デニス「予告する! 明日の夜明け、陽が昇った頃に月面に来い! そこで決着を付けてやる。 俺たちに勝てなければ、コイツ(ピグモン)の命もないぜ~!」

 

 ガイ「明日の朝に決闘だと?」

 

 

 すると今度はレッドマンがガイに指差しながら呼びかける。

 

 レッドマン「今度こそ…お前…倒す!」

 

 

 デニス「という事だ!せいぜい己の技を磨いて来るんだなぁ~! ヒャッハハハハハハ~!!」

 

 

 デニスの高笑いと、ピグモンの助けを求める悲鳴が響く中、レッドマンとハヌマーンは彼らを連れて飛び去って行った…。

 

 

 ガイ「おいっ!!………くっ…!」

 

 ピグモンを攫われたガイは、悔しさから握った拳を降ろしたまま少し俯く。

 

 

 エックス「どこまでも卑劣な奴らだ。」

 

 アスナ「それに罪もない怪獣を人質にするなんて…。」

 

 

 大地「…ガイさん…戦いましょう。」

 

 

 大地の言葉に一同は反応する。

 

 

 大地「今度こそ奴らに、本当の正義と言うのを見せてやるのですよ。」

 

 

 するとガイは大地の元に歩み寄り、そして大地の胸に拳を当てる。

 

 

 ガイ「そうだな…揺るぎない強い意志…それを持ち続ければ、必ず勝機はある。」

 

 大地「ガイさん…。」

 

 

 ガイ「諦めず前を向いたその時、限界を超える…。俺たちウルトラマンはそうやって正義のために戦って来た…今こそその正義を、奴らに見せてやる時だな!」

 

 大地「はい!」

 

 

 決心を決めたガイと大地は、握手を交わした。

 

 

 大地「必ず、勝ちましょう。」

 

 ガイ「あぁ。」

 

 

 その時、

 

 

 ヒカル「それなら、俺たちも手を貸すぜ。」

 

 

 レッドマン達を追っていたヒカルとショウも駆け付けた!

 

 

 大地「あなた達は!」

 

 ヒカル「久しぶりだな、大地。」

 

 ショウ「随分と立派になったじゃないか。」

 

 

 ガイ「大地、この方たちは?」

 

 

 ヒカル「俺は礼堂ヒカル。(ギンガスパークを見せて)ウルトラマンギンガ。」

 

 ショウ「俺はショウ。(ビクトリーランサーを見せて)ウルトラマンビクトリー。」

 

 

 ガイ「おぉ!ギンガさんにビクトリーさんですか。 初めまして。俺はクレナイ・ガイ。(オーブリングを見せて)ウルトラマンオーブだ。」

 

 

 オーブは以前ギンガとビクトリーとも共闘した事があるのだが、人間体としての対面はこれが初めてであるため、互いに自己紹介をした。

 

 

 ガイ「あの時は、力を貸してくれてありがとうございます。」

 

 ヒカル「ま、いいって事ですよ。」

 

 ショウ「俺たちウルトラマンは、助け合う者でもあるからな。」

 

 

 大地「ヒカルさんとショウさんも、この世界に来ていたのですね。」

 

 ヒカル「あぁ。同じウルトラマンとして、この世界を救うためにな。」

 

 

 アスナ「嘘…ウルトラマンが、こんなにも揃うなんて…。」

 

 

 一同は話し合った。レッドマン達の事を。そして、力を合わせて奴らを倒そうという気持ちが一致した!

 

 

 ヒカル「一緒に奴らを倒そうぜ。俺たちが力を合わせれば絶対に負けない。」

 

 ショウ「奴らに、真の正義の力というものを見せてやろうぜ。」

 

 大地「それに、(ゴモラのスパークドールズを取り出して)正義の怪獣の力も…。」

 

 ガイ「悪を挫き、平和を築くのがウルトラマンだからな。共に戦いましょう…!」

 

 

 遂に集結したニュージェネレーションヒーローズ!

 

 

 果たして光の国の指名手配犯・レッドマン達を倒す事は出来るのだろうか!?

 

 

 次回に続く!

 

 

 (ED:Unite~君とつながるために~)

 

 

 〈エピローグ〉

 

 

 先ほど、レッドマン達と一戦交え、手を組もうとしたが失敗した櫂は、一人道を歩いていた…。

 

 

 櫂「あ、そうだ。海羽のやつ、あれから元気になったかな…ちとお見舞いに入ってやろっと。」

 

 そう言いながら、病院への道を歩き始める。

 

 

 …心中ではまだ、怪獣への憎悪と、それ故のレッドマン達の仲間になり損ねた事への悔しさが残っているが…。

 

 

 櫂が道を歩いていると、とある一人の男とすれ違った…。

 

 

 すると、その男は何やら腰に下げていた剣を取り出す!

 

 

 …そう、櫂とすれ違った男は『ジャグラス・ジャグラー』であった。

 

 

 ジャグラー「どうした…急に闇のエネルギーが十分に溜まったぞ…。」

 

 

 そう言いながら『蛇心剣』を見つめるジャグラー。どうやら昨日から集めていた闇のエネルギーがいきなり一杯になったみたいである…!

 

 いきなりの事に驚くジャグラーだったが、嬉しさの方が勝ったのか、不敵な笑みになる…!

 

 ジャグラー「何だか知らねーが…これで目的のモノは揃った…! ふふ…フフフ…フフハハハハハハ…!」

 

 

 ジャグラーは高笑いをしながらどこかへと歩いて行った…。

 

 

 しかし、ジャグラーはまだ知るはずも無かった…。

 

 

 先ほどいきなり蛇心剣に集まった闇のエネルギーは、先ほどすれ違った“竜野櫂”から発せられたマイナスエネルギーからによるモノだという事を…!

 

 

 To Be Continued………。




 読んでいただきありがとうございます!


 今回の話で、ようやく念願だったニュージェネレーションヒーローズを全員本作に登場させる事が出来ました!


 次回はそんなニュージェネレーションヒーローズが、レッドマン達と最後の戦いを展開する、VSレッドマン&ハヌマーン三部作の最終章です!

 お楽しみに!


 感想・指摘・アドバイス等をお待ちしています!


 今回隠れたサブタイトルは『平和の星』(ウルトラマンダイナ第33話)でした!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。