ウルトラマンゼロ物語(ストーリー) in RED ZONE STAGE   作:剣音レツ

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 明けましておめでとうございます!

 お待たせしました!年末年始特別編第2弾です。

 今回の主役は竜野櫂の息子・竜野慧で、登場するウルトラマンはあの“赤と青の兄弟ウルトラマン”です。

 とりあえず楽しんでもらえたら幸いです(笑)

 そして宜しければ、今年も本作やその他の作品、そして私・剣音レツをよろしくお願いします!

 では、どうぞ!

 ※ウルトラマンR/B最終回以降のネタバレも含まれています。


番外編「朝日の照らす家族」

 (BGM:英雄の詩)

 

 

 

 これは、とある未来から来た1人の青年とその相棒宇宙人のコンビと、とある兄弟とその妹の、出会いの物語…。

 

 

 

 やあ、みんな。元気にしてるかい?

 

 

 僕は竜野慧(たつのけい)。

 

 

 苗字でも分かるように、僕は2042年の時代からやって来た、竜野櫂(たつのかい)の息子なんだ。

 

 

 年は現在19歳。だから現在は、元気に楽しく大学生活を謳歌している!

 

 

 …本来はそのハズなんだけど、実は僕、今時空を気ままに旅しているんだ。

 

 

 僕の住む時代を攻めた後、父さんが『ウルトラマンゼロ』として戦っていた時代に行った『時空生命体ガルキメス』率いる時空怪獣軍団を、その時代の父さん達と協力して壊滅させた(第24話参照)後、僕は相棒の『マゼラン星人アニー』と共に、様々な時代を旅しながら自分の時代に帰り途中。

 

 

 帰ったら、エイリアン軍団の残党の殲滅や、壊された街の復興に専念しようかと考えているんだけれど…過去の時代でガルキメス軍団を滅ぼしたし、あとはその時代の父さん達の頑張り次第で僕の時代は変わっているかもしれない…。

 

 と密かに望んでいたりもするんだ。

 

 

 …何より、奴らの襲撃で…母さんと妹の爽(さわ)が…。

 

 

 …いけないいけない。後ろ向きな事を考えちゃ…。

 

 そもそも未来とは、常に複雑なモノ…それに、良いようにも悪いようにも変える事が出来る…。

 

 だから、ガルキメス軍団が滅んだ今、もしかしたら未来は少し変わっているかもしれない。僕はその可能性を信じているんだ!

 

 

 (因みに慧は、若い頃の父・櫂が、かなりドス黒い本性の持ち主であった事は実は全く知らないのである…!)

 

 

 おっと、前置きが長くなったね。それじゃあ、本編に入るよ。

 

 

 タイムワープのペンダントの力で自分達の時代に帰りながら時空を旅していた僕とアニーは、とある時空の世界に降り立った。

 

 僕達が降り立った場所は、ある山の中の緑が広がる広場のようで、そこはたくさんの人々がピクニックに訪れたりしている。

 

 

 「とりあえず、この世界で一休みしよっか。」

 

 「そうね。ペンダントの力を回復させるためにも。」

 

 僕は赤いルビー、アニーは青いサファイアが埋め込まれたペンダントを手に乗せる。タイムワープのペンダントはこうして休みながら使わないとオーバーヒートを起こしてしまう恐れがあるんだ。

 

 

 「それにしてもいい天気ね。みんな休日を思い思いに過ごしているみたいだし。」

 

 「そうだね。」

 

 アニーは楽しそうに広場でピクニックを楽しんでいる人々を見渡して笑顔で話し、僕はそれに相槌を打つ。

 

 

 因みに近くにある看板を見てみると、白いスーツを着込んだいかにも陽気そうな女性の写真と共に『アイゼンワンダーランド』と書かれていた。

 

 なるほど、それがこの広場の名前か。

 

 

 その時、僕達の元に一つのビーチボールが飛んで来た。

 

 僕がそれを咄嗟にキャッチすると同時に1人の少年が駆け寄って来る。このボールの持ち主かな。

 

 「はい、どうぞ。」

 

 「ありがとう。」

 

 僕は笑顔でしゃがんで少年にボールを渡し、それを受け取った少年は元気よくお礼を言った。

 

 

 すると少年は、興味深そうに僕達をじっと見つめ始める。

 

 「どうしたの?僕。」

 

 「お兄ちゃん達、変わってるね。」

 

 「え?」

 

 少年の言葉に僕達はふと困惑する。まぁ、無理も無いか。子供にとって、それぞれオレンジと純白のレザーコートを着ている男女はさぞ目を引くものであろう。

 

 「キワムちゃーん。」

 

 「はーい! お兄ちゃんお姉ちゃん、ありがとう。」

 

 やがて、母親の呼ぶ声を聞いた“キワム”という少年は、改めて僕達にお礼を言った後、母親の元へと駆けて行った。

 

 

 母親と楽しそうにしている少年を見て、僕は何かを思い出してふと俯き出す。

 

 「慧君、どうしたの?」

 

 「い、いやあ…仲良さそうな親子だなーと思ってね…ちょっと、昔を思い出しちゃった。」

 

 「そ、慧君も、昔ああやってお父さんとお母さんと遊んでたんだね。」

 

 「うん。まぁ父さんは多忙だったけど…でも、遊べるときはしっかりと遊んでくれた。」

 

 家族との思い出を語っていく内に、またフラッシュバックしてしまった…ガルキメス軍団によって家族が壊滅状態になってしまった事、そして、これから帰る先の未来で、僕の家族はどうなっているのかと言う不安な気持ちが…。

 

 …いけないいけない!ブルーになっちゃ…良い方向に考えないと…。

 

 

 不安で顔が曇り始めたその時、ふと僕の口の中に一欠片の板チョコが入り込む。

 

 「…んん?」

 

 僕は少し驚くと共に俯いていた顔を上げて振り向く。僕の口にチョコを入れたのはアニーだった。

 

 「辛い時こそ、チョコレートは甘いよ。」

 

 アニーはそう言いながら、無邪気な笑顔でチョコレートを口に入れる。

 

 「…そうだね。ありがとうアニー。お陰で元気を取り戻したよ。」

 

 母さんが、大好物でいつも携帯していたミルクチョコレート。僕とアニーも今はそれを携帯していて、特に辛い時、元気が無くなった時に一欠片食べると不思議と元気が湧いて来るんだ。

 

 それのお陰で再び元気になった僕は、再び前向きな気持ちでアニーと共に歩き始める。

 

 

 家族は絶対に大丈夫だ…決して、絆を諦めない。 そして信じなきゃ、その先の輝きを。

 

 

 僕とアニーは下山をしてしばらく歩くと、ある街に辿り着く。どうやらこの街は『綾香市』と言うらしい。

 

 

 (綾香市。それは、首都近郊のベッドタウンであり、1300年前に、現れる度に人々を恐怖させていたと言い伝えられている魔神・偶龍璽王(グルジオ)が潜んでいたと言われる星・妖奇星(あやかほし)が墜落したという事でそう呼ばれるようになり、更にアイゼンテックが拠点を移してから急激に整備が進み、現在は企業城下町の様相を呈している。

 

 最も、その伝説の正体は、1300年前にとある二体の巨人と一体の怪獣が、とある強大な敵に立ち向かった後に共に地球に落下したモノなのだが…。)

 

 

 ビルや民家が並び立っていながら、何処か田舎の名残りも感じる、何だか居心地が良さそうな街だね。遠くを見てみると何やらヘンテコなタワーのようなビルが建っているけど…。

 

 (そのヘンテコなタワーのようなビルこそ、拠点を置いた事で綾香市が田舎から企業城下町として発展するきっかけとなった巨大ベンチャー企業『アイゼンテック』の本社ビルである。)

 

 

 僕達は、通り過ぎる人に挨拶をしながら街を歩いている。

 

 「とてもいい街そうだね。ここ。」

 

 「あぁ。平和だな。空気も美味いし。」

 

 

 その時、僕達の前からある二人の青年が他愛もない話をしながら歩いて来て、やがてすれ違った。

 

 それぞれ赤のジャケットと青のパーカーを着ている。それに、あの二人は兄弟かな?

 

 何故分かったって? それは1人が「カツ兄」と呼んでいたからね。それに会話の雰囲気的にもなんとなく。

 

 その兄弟とすれ違いつつ、仲良さそうな様子を見つめながら、僕はまたふと思い出していた。思えば僕も、妹の爽とああやってよく他愛のない話をしていたっけ…。

 

 「…うっ?」

 

 その時、その兄弟とすれ違った瞬間、僕の頭に軽く衝撃が走る。

 

 「…慧君?」

 

 「…アニー…今、僕の脳裏に衝撃が走った…。」

 

 「本当?」

 

 驚くアニー。それもそのはず、僕の脳裏に衝撃が走るのは、近くにあるモノがいる時だけだ。

 

 それは、“特別な力を持った者”。

 

 「あの二人…もしかして…。」

 

 ある心当たりを感じた僕は、先ほどすれ違った兄弟らしき二人の方を振り向く。

 

 

 そしてそれは、その兄弟も同じであった。

 

 「それにしても腹減った~。」

 

 「そうだな。今夜はすき焼きだっけ。帰って材料買いに行こうぜ。」

 

 「それじゃあカツ兄は荷物持ちね。」

 

 「え?嫌だよ、イサミも持てよ。」

 

 このように他愛もない会話をしながら慧とアニーとすれ違ったその時、二人は何かに気づき、懐からあるモノを取り出す。

 

 二人が取り出した、青を基調とした、両側にレバー、中央にジャイロが付いているのが特徴のアイテムが、それぞれ赤と青に点灯していた。

 

 「カツ兄…これは?」

 

 「ジャイロが光り出した…一体何故…?」

 

 赤いジャケットの青年は突然の出来事を不思議がりながらも、ふと先ほどすれ違った慧達の方を振り向き、青いパーカーの青年もそれに続く。

 

 「まさか…あのカップルが…?」

 

 「カップルかは知らないけど…確かにあの二人、この街で見かけた事が無いな…。」

 

 「追ってみようぜカツ兄。」

 

 「え?でもそれストーカーになるんじゃ…。」

 

 「大丈夫だって、たまたま行く道が同じだったって誤魔化せばいいんだよ。」

 

 「ったくしゃーないな…。」

 

 二人は、こっそりと慧とアニーの後をつけることにした。

 

 

 僕・竜野慧は、さっきすれ違った二人、そして脳裏を走った衝撃が気になりながらも、アニーと一緒に街を歩いていた。

 

 「そうだ。折角来た事だし、何かお土産買って行かない?」

 

 アニーが良い提案をしてくれた。そうだね。父さん、そして、未来で生きているであろう母さん、爽に何か買って帰ろう。

 

 「そうだね、行こう。」

 

 

 家族にお土産を買う事にした僕達は、近くのお土産屋さんに立ち寄る。

 

 「どれにしようかな~…?」

 

 実に品揃えが良いお土産屋さんだが、それ故に結構迷う僕達。

 

 その時僕達は、近くで楽しそうにワイワイ話し合っている女子高校三人を見かける。

 

 「あの子達に聞いてみようかな、アニー。」

 

 「JK? ぇ~慧君そういう趣味だったの~?」

 

 「バッ…バカッ!そう言う意味じゃねーよ!」

 

 「フフフ…冗談よ冗談。」

 

 「な~んだ、ハハハ…。」

 

 

 僕とアニーは笑い合った後、その女子高校三人に声を掛けてみる。

 

 「あの~、ちょっとすいません。」

 

 他愛も無い会話をしていた女子高校三人は僕の声に気付き振り向く。その瞬間!

 

 「あなたは誰ですか?カッコいいかも~!」

 

 「ヤバい!超イケメン!」

 

 「それに美女も一緒だ~!」

 

 「背も超~高いですよ~!」

 

 僕とアニーを見た三人ははしゃぎ始める。 イケメンか…照れちゃうな(笑)

 

 「とても目の保養になりました! お礼にはい、飴ちゃん!」

 

 女子高生の一人が僕達に飴玉を一つずつ手渡し、僕達は困惑しつつもとりあえずそれを受け取る。

 

 「あ…ありがとう。 ちょっと聞きたい事があるんだけど、いいかな?」

 

 僕は気を取り直して三人に尋ねる。

 

 

 「ここで、お土産におススメの物とかあるかな?」

 

 僕の質問に、先ほど飴玉をくれた子が応えてくれる。

 

 「あ、それならこれとかおススメですよ!」

 

 そう言いながらその子が取り出した一つの箱。それには『綾香市銘菓 あやかほし饅頭』と書かれている。

 

 なるほど、お饅頭か…悪くないかもね…そう思ったその時。

 

 「おぉ!饅頭!?」

 

 突然、アニーのテンションが上がる。 そうか…そう言えばアニーは地球の食べ物ではお饅頭が好物なんだっけ…。

 

 「ぉ…お姉さん、お饅頭が大好きなのですか?」

 

 「えぇ!大好き! “好き”じゃなくて、“大好き”!」

 

 アニーの目はキラキラと光っていた。

 

 

 すると、突然妙な音楽と踊りが始める。

 

 「あ~やか あ~や~か~♪

 

 あ~やか あ~や~か~♪

 

 あ~やか あ~や~か~♪

 

 あやかほし饅頭~ ワンダバ~♪」

 

 アニーと飴玉の子が笑顔でノリノリで歌って踊る中、僕もぎこちないながらもそれに合わせる。

 

 

 それでは、気を取り直して。

 

 「それじゃあ、これにしようかな。」

 

 「あやかほし饅頭か~、食べるのが楽しみ~!」

 

 テンションが上がっているアニーはどうやら二箱買うつもりのようだ。よほど饅頭が好きなんだな…。

 

 僕はそんなアニーをちょっとおちょくってみる。

 

 「しかし饅頭って、外装が違うだけで、中身は食べれば同じなんじゃないのかな?」

 

 「違う! 饅頭をバカにするな~!」

 

 案の定の反応だ(笑)

 

 「饅頭ってのはねぇ!それぞれ違う風味があって素晴らしいんだから! 栗饅頭は栗の香ばしさ、黒糖饅頭は大人の甘さ、卵饅頭は子供が大好きな甘さ…どれも違ってどれもいいんだからね~!」

 

 「ハハハ、ごめんごめん、冗談だって。」

 

 饅頭を熱弁し始めるアニーを笑いながら軽く鎮める僕。 しかし、こんなアニー始めて見たなぁ(笑)

 

「きっとこのあやかほし饅頭も、これにしか無い味わいがあるんだわ〜きっと!」

 

「あ…あはは、そうかもね。」

 

 

 そんな僕達のやり取りを見ていた飴玉の子は、クスクスと笑い始める。

 

 「仲が良いのですね。お二人さん。」

 

 「あ…あはは…。」

 

 その子を見た時、僕もアニーも自然とつられて笑い始める。

 

 「ありがとね。よさげなお土産を教えてくれて。」

 

 「いえいえ、今日はたまたま学校が早く終わった日なので、私達もたまたまこの店に寄っていたのです。」

 

 お礼を言った僕に、笑顔で返してくれる飴玉の彼女。 なんて明るくて、感じのいい子なんだ…。

 

 

 僕達は会計を済ませるが、その際にレジの人から妙な話を聞く。

 

 なんでも最近、ここ綾香市以外の日本の各地で、様々な謎の被害が勃発しているらしい。

 

 「謎の被害…ですか?」

 

 「あぁ。なんでも、巨大な怪獣が暴れ回ったとかそういう噂が出回ってるんだよ。」

 

 

 一人の未来人が、訪れた別世界の町の人から聞いた一つの気になる事件。

 

 なんでも約3日ぐらい前から、ここ綾香市以外の日本の各地にて、巨大生物により町が破壊されているという噂が飛び交っているというのだ。

 

 実際、破壊された町がニュース等でも取り上げられており、その壊れ様からも何者かが暴れて壊したとしか思えないのだと言う…。

 

 更にその事件とほぼ同時期に、日本各地の若い女性が何者かによって重傷を負わされるという事件も勃発し始めたという…。

 

 なんでも被害者の女性はどれも刃物によって斬られたかのような痛々しい傷を負っているとの事。

 

 

 そして、その人々の噂は実際の事であった…!

 

 まず、綾香市外のとある街では、ある国立競技場周辺にて二体の巨大生物が暴れている。

 

 一体は青、もう一体は赤い体をしており、前者は強靭な力や口からの泡状の溶解泡で、後者は細く8の字に絡み合った尻尾や口からの火炎で、ビルなどを崩していく。

 

 この二体の怪獣はいずれも3億5000年前の超古代文明に恐れられた存在であり。青い一体は“青い悪魔”と言われる『青色発泡怪獣アボラス』、赤い一体は“赤い悪魔”と言われる『赤色火炎怪獣バニラ』である!

 

 奴らはかつては国立競技場にて激闘を繰り広げた、所謂敵対する者同士のはずだが、今回は戦い合う様子は無く暴れ回っている事から、何者かが怪獣墓場から復活させて操っている可能性が高い。

 

 

 そして一方で別の街にて。こちらでも二体の怪獣が我が物顔に暴れ回っていた。

 

 この二体は外見が非常に似ており、緑色の体をしている。見分ける方法は、頭部に赤いトサカのような角が付いているかいないかである。

 

 実はこの二体は兄弟怪獣であり、角の生えた方は『兄怪獣ガロン』、もう一体は『弟怪獣リットル』である!

 

 凶悪かつコンビネーション抜群なこの兄弟怪獣は、かつても破壊の限りを尽くして甚大な被害を出し、『ウルトラマンレオ』をも敗北寸前にまで追い詰めた程の強敵である。

 

 その時はレオと『アストラ』の兄弟に敗れた事から、この二体も何者かが復活させたと思われる。

 

 

 口から火花やロケット弾を撒き散らしながら、ビル等を崩しつつ進撃する兄弟怪獣。そんな二体を、少し離れた場所から一人の宇宙人が見つめていた。

 

 黒いタイツを着たような体に、金髪にマスクを付けた顔、そして右腕の巨大なサーベルが特徴の宇宙人『サーベル暴君マグマ星人』である!

 

 「俺を不快にさせる町など、壊れちまえばいい。ガロン、リットル、アボラス、バニラ。その調子で暴れるのだ。」

 

 奴の台詞から見るに、どうやら暴れている四体の怪獣は奴の配下のようである。

 

 「お、また一人、良さげな者達を見つけたぜ~。」

 

 マグマ星人はそう言うと、体を光らせて何処かへと去って行った…。

 

 突如、四体の怪獣を引き連れて攻めて来た奴の目的とは一体何なのか…?

 

 

 更に、そんなマグマ星人と配下の怪獣達の様子を、宇宙空間から紫のオーラと共に伺っている者がいる!

 

 骨と肉が逆転したような外見に、扇のような形状の左手が特徴のその宇宙人は、恐らくマグマ星人達の親玉的存在であろう。

 

 「どうやら俺様が出る程でもないみたいだなぁ…。 フッフッフ…。」

 

 その宇宙人は不気味に笑いながら余裕を見せる。そして遂に名を名乗る。

 

 

 「手始めにこの宇宙の地球から破壊してやるよ…この俺様、デスレ星雲人ジェノアがなぁ!」

 

 

 その宇宙人は、かつて『暗黒宇宙大皇帝エンペラ星人』に仕える“暗黒四天王”の一員であった『策謀宇宙人デスレム』や、『暗黒大皇帝カイザーダークネス』に仕える“ダークネスファイブ”の一員である『炎上のデスローグ』の同族である“デスレ星雲人”『ジェノア』である!

 

 

 このように、綾香市民、そして慧達が知らない間にとんでもない奴らが攻めて来ていたのだ!

 

 果たして奴らの侵略の目的は何なのだろうか…?

 

 

 そんな大変な事が起こっているのをまだ知るはずもない慧達。とりあえずその人の言った事を心に留めておく事にした。

 

 そして会計を済ませた後、僕達は飴玉の子に改めてお礼を言う。

 

 「改めてお礼を言うよ。ありがとう。」

 

 「早く食べるのが楽しみだな〜!」

 

 「いえいえ、人のハッピーの為なら、私は何でもしますから!」

 

 「…ハッピー?」

 

 「はい! ハッピーがあれば、何でも出来ます。そして、そのハッピーは世界を救う事も出来るのです!」

 

 突然、謎の持論を語り出す飴玉の子。とりあえず彼女はハッピーと言う言葉が好きみたいである。

 

 「そ…そっか。正直何だかさっぱりだけど、“ハッピー”は“幸せ”。確かに世界のみんなが幸せになれば、平和が来るかもね。」

 

 「はい!そういう事です!」

 

 無理矢理答えを出した僕だったが、彼女は納得してくれた。

 

 

 「あ、自己紹介まだだったね。僕は竜野慧。」

 

 「私はアニー。」

 

 「私は、湊アサヒって言います。」

 

 「アサヒちゃんか…素敵な名前だね。」

 

 「わぁ!イケメンに名前褒めてもらってハッピーです~!」

 

 飴玉の子の名前は『湊アサヒ』か…本当にいい名前だ。 まるで平和な家庭を照らす太陽のよう…。

 

 しかし、またイケメンと言ってくれた…僕もハッピー(笑)

 

 

 (最も、そのアサヒには大きな秘密があるのだが、それは後ほど…。)

 

 

 一方、慧とアニーを尾行していた例の2人は、お店の外からその様子を伺っていた。

 

 「アサヒのやつ、あの二人とすっかり仲良くなっちゃって。」

 

 「いいじゃないかイサミ。ハッピーと飴玉で誰とでも仲良くなれるのがあいつの良い所だ。それにあの人達も、見た感じ悪い人達じゃなさそうだ。」

 

 「それより聞いたかカツ兄。あのレジの人の話。」

 

 「あぁ。やはりあの事件は怪獣や異星人の仕業の可能性が高いか…。」

 

 「またこれを使う時が来そうな気がするな。」

 

 「そうだな。」

 

 そう言いながら二人は、ふと例のジャイロ状のアイテムを取り出し見つめる。

 

 どうやらこの二人も例の事件は既知のようであり、それが怪獣の仕業じゃないのかという考えも持ち始めていた。

 

 

 ここで、この二人を紹介しておこう。

 

 会話の呼び名でも分かるようにこの二人は兄弟であり、赤いジャケットを着た方は『湊カツミ』、青いパーカーを着た方は『湊イサミ』である。

 

 そして名前でも分かるように、彼らはアサヒの兄でもあるのだ。

 

 

 ジャイロ状のアイテムを見てある程度察しがつくかもしれないが、彼らにも大きな秘密があるのだが、それについても後ほど…。

 

 

 「それじゃ、行こっかアニー。」

 

 「えぇ。早くあやかほし饅頭食べたいな~!」

 

 「私達も行きましょうか。」

 

 アサヒがそう言いながら振り向くが…。

 

 

 …どうしたことか、アサヒと同行していた友達の『えりな』、『ななか』の姿は見当たらなかった。

 

 「…あれ? 二人ともいないです。」

 

 それに気づいた僕、竜野慧とアニーも驚く。

 

 「本当だ。さっきまで一緒にいたのに…。」

 

 「トイレにでも行ってるのかな?」

 

 

 「…ん?」

 

 一同が店を出て辺りを見渡していたその時、僕は何かに気づく。

 

 それは、店の向かい側にある公園のベンチに、一人のツインテールの髪形が特徴の幼い少女が、どこか悲しそうな顔で座っている。

 

 「あの子…どうしたのかな…?」

 

 気になった僕は無意識にその少女の方へと向かい始める。

 

 「あぁ、慧君?」

 

 それを見たアニー、そしてアサヒちゃんもそれに続く。

 

 

 近くまで来てみると、その子はいかにも泣き出しそうな感じだった。

 

 「お顔がハッピーじゃないですね…。」

 

 ついて来ていたアサヒちゃんも心配そうである。僕はその子に優しく声を掛けてみる。

 

 「ねぇ、どうしたの?」

 

 その子は顔を上げて僕の顔を見たかと思うと、再び無言で俯いてしまう。

 

 僕はその子の目線までしゃがんで引き続き声を掛ける。

 

 「お父さんかお母さんとはぐれちゃったの?」

 

 質問を変えてみたけどその子は無言で首を振る。

 

 「じゃあ、帰り道が分からなくなっちゃったとか?」

 

 再び無言で首を振る。

 

 これでもないのなら、一体何で悲しんでるんだろう?この子…。

 

 とにかく、困っている人を放っておけない僕は、また余計な世話を焼いてしまった(自覚しています(笑))。

 

 

 (慧君ったら…相変わらずお節介なんだから…。)

 

 少女に懸命に声を掛ける慧を見て、アニーは呆れながらもどこか笑みを見せながら心で呟く。

 

 恐らく、慧の世話焼きな性格を前からよく知っているからであろう。

 

 彼の優しさは恐らく母親譲りだと思われる。

 

 

 僕、竜野慧は、悲しそうにしている少女に声を掛けてみるけど、彼女は一向に何があったのか話してくれない…。

 

 「はぁ…一体何があったんだろう…。」

 

 困り果てた僕。その時、アサヒちゃんがその子に声を掛ける。

 

 

 「もしかして、親と喧嘩でもしちゃったのですか?」

 

 

 それを聞いた少女は、しばらく黙り込んだ後、ゆっくりと頷いた。

 

 

 その子の表情を見ただけで、一発で何があったのかを当てたアサヒちゃんに、僕もアニーも驚く。

 

 「凄い…。何故、分かったの?アサヒちゃん。」

 

 「私も、前にお父さんと喧嘩して、家出してしまった事がありますから…。その時の私も、この子と同じ顔をしていました。」

 

 「そうなのか…。」

 

 僕としては意外だった…。いつも明るそうなアサヒちゃんも、こんな表情をする時があったんだなって…。

 

 

 「もしよろしければ、私達に言ってみてください。」

 

 アサヒちゃんもその子の目線までしゃがみ、笑顔でそう語り掛ける。

 

 

 慧の優しさに加え、アサヒの明るさを見た少女は、遂に話す決心をした。

 

 彼女の名は『木下佐希恵』。シングルマザーである母と、妹の『万智』との三人暮らしである。

 

 彼女の母は、彼女が幼い頃に父と離婚してしまったため、女手一つで自分を育ててくれている母を彼女は愛していた。

 

 しかし、しばらくして妹が生まれた後である。母は、生まれたばかりの妹の世話で大忙しであり、自分は放ったらかしにされる事もあり、時には妹と喧嘩をした際に母が妹の味方をする事もあったのだと言う。

 

 母は自分よりも妹が好きになってしまったのだろうか?そう思った彼女はある日、その事への不満を言った事がきっかけで母と喧嘩をしてしまう。

 

 

 そしてその際に、思わずこの一言を言ってしまったのだと言う…。

 

 「お母さんの子供になんて、生まれてこなけりゃ良かった!」

 

 

 結局その日は、母と口を利けずに終わってしまったが、後に彼女はその発言への罪悪感を感じ始めていた。

 

 その数日後、母の誕生日が来たのだが、なんとその日母は、みんなで何処かへ食べに行こうと言ったのである。

 

 あんな酷い事を言った自分を誘ってくれるの…? 佐希恵はそう思いながらも、妹・万智も入れた三人で何処かへ出かけたのだが…

 

 

 …その際に、怪獣が現れたのだと言う…。

 

 

 幸い自分と妹は無事で済んだのだが、怪獣が暴れた影響で母が重傷を負ってしまい、病院に搬送されてしまった。

 

 

 そして唯一の親である母が入院してしまった事により、母が退院するまでは妹共々綾香市のおじいちゃん、おばあちゃんの家で過ごす事になったのだという。

 

 

 佐希恵の悲惨な事情を聞いた一同は胸が苦しくなる。

 

 「そっか…それは辛いよね。」 慧は佐希恵に寄り添う。

 

 「思い出しちゃったよね…それなのに話してくれてありがとう。」

 

 そして、フラッシュバックして涙目になる佐希恵の背中を摩りながら労いの言葉を掛ける。

 

 

 「この世界にも…怪獣が現れたなんてね…。」

 

 アニーは、佐希恵の家族を襲った怪獣の事が気になっていた。

 

 「それにしても…平和な家族の幸せを奪うなんて…。」

 

 そして、その怪獣への静かな怒りが込み上がって来る。

 

 

 「きっと、お母さんがあんな目に遭ったのは私のせいだ…。」

 

 慧に背中を摩ってもらっていた佐希恵は涙声でそう言った。

 

 「…ぇ?」

 

 「私が、お母さんの子供になんて生まれなきゃよかったなんて言ったから、お母さんがあんな目に…!」

 

 どうやら佐希恵は、母が重傷を負った事へのショックもあってか、罪悪感を通り越して自虐的になりかけているようだ。

 

 それを聞いた慧は、咄嗟に佐希恵を抱きしめる。

 

 「違う…佐希恵ちゃんのせいじゃないよ。」

 

 慧に優しく抱きしめられた佐希恵は、少し落ち着いているようであった。慧は引き続き優しく語り掛ける。

 

 「悪いのは、佐希恵ちゃん達を襲った怪獣。だから佐希恵ちゃんは何も悪くないよ。」

 

 慧は佐希恵の肩に手を当て、引き続き語り掛ける。

 

 「それに、あの発言が悪いって事に気づけたんだよね。それだけでも十分偉いよ。お母さんが、愛情もって育てた証拠だね。」

 

 「お母さんが…?」

 

 「うん。佐希恵ちゃんは、お母さんは自分より妹の方が好きなんだと思ってたみたいだけど、むしろ佐希恵ちゃんが好きだからこその対応だったんじゃないのかな?」

 

 「私が…好きだから…?」

 

 「うん。まだ独身の僕が言う事でも無いと思うけど…子育てってとても大変な事なんだ。特に、子供が2人以上いる家庭や、子供がまだ生まれて間もない家庭はね。 だから、時にはある程度生きている先に生まれた子よりも、色々躾けたり教え込まないといけない生まれて間もない子の方に力が入ってしまう事もあるんだよ。」

 

 「私が…ある程度生きたから…?」

 

 「うん。実際、妹が生まれる前、お母さんは佐希恵ちゃんの面倒を一生懸命見てくれたんでしょ? そして妹が生まれた後も、お母さんは佐希恵ちゃんの面倒を見てくれてるんだよ。」

 

 「でも、最近は万智ばかりなのに…分からない…分からないよ、私。」

 

 

 「それはね、佐希恵ちゃんが、ある程度立派に育ったからじゃないかな?」

 

 

 「…え…?」

 

 慧の思わぬ言葉に驚きを隠せない佐希恵。慧は続ける。

 

 「お母さんはこれまで佐希恵ちゃんの面倒をしっかり見てきて、そして妹が生まれた時に判断したんじゃないのかな? “しばらく妹の方に集中しても、佐希恵は大丈夫”ってね。

 

 先に生まれてある程度生きた佐希恵ちゃんの方が、ある程度色んな事が出来るし、知識もある。だから喧嘩をした時も、どうしても佐希恵ちゃんの方が勝ってしまって、場合によっては泣かしてしまう恐れがある…だから、どうしても弱い方を守りたくなっちゃうだけなんじゃないのかな?」

 

 「…。」

 

 佐希恵は、慧の言葉を徐々に理解してきているのか、大人しくなって聞いているようであった。

 

 「だから、お母さんは決して佐希恵ちゃんが嫌いになったんじゃないと思うよ。ただ、ある程度生きてきた佐希恵ちゃんよりも色々と教えないといけないし、危険な目に遭わせたくない妹の方にどうしても力が入っちゃうだけだと思うよ。」

 

 「…お母さんは…いつでも私の事が…好きだった…?」

 

 「うん。実際妹が生まれた後も、学校行く時雨の心配してくれたよね? 一緒にお風呂入ってくれたよね? ご飯も…食べさせてくれたよね?」

 

 「…うん…。」

 

 「(満面の笑みで)じゃあ、それが何よりの証拠だよ。 いつだって、誰もが誰かに愛されてる。佐希恵ちゃんがお母さんを愛してるみたいに、お母さんも佐希恵ちゃんと妹の万智ちゃん、両方を愛してるんだよ。」

 

 慧の考察による優しい説得を聞いた佐希恵は、遂に前も今でも母に愛されているという事を思い出した。そして、嬉しさもあって涙を流す。

 

 「…ぐすんっ…うっ…また…お母さんの…ご飯が食べたいなぁ…。」

 

 涙ながらにそう言う佐希恵を、慧はそっと抱き寄せて語り掛ける。

 

 「きっとまた出来るよ。 決して、絆を諦めない限り…。」

 

 今でも続く母の愛情に気づき、母に謝る決心をした佐希恵。だが…。

 

 「ねぇ、絆って…何?」

 

 「え?」

 

 どうやら小学生である佐希恵は、絆という言葉をまだ知らなかったみたいである(笑)

 

 

 「慧さん…素敵です。」

 

 アサヒは、持ち前の優しさで佐希恵を諭した慧に感激している。

 

 「まぁ、言い換えればお節介、もしくはお人好しね。慧君ったら、昔からああなの。例え見ず知らずの人でも、困っている人を放っておけなくて…。」と、若干呆れ気味に話すアニー。

 

 「それでも素敵ですよ。イケメンだし、優しいし、子供の扱いも上手い…きっと私の学校に来たらモテモテで、女子の間で取り合いが起こりますよ。」

 

 「うふ、そうかもね。」

 

 アニーとアサヒは笑い合う。

 

 

 そして、アサヒは佐希恵の方に歩み寄る。

 

 「よく気づきましたね。そんな偉いあなたに、はい、飴ちゃん。」

 

 アサヒは佐希恵に飴玉を手渡した。それも2つ。

 

 「ありがとう…2個もくれるの?」

 

 「1つはお母さんのです。仲直りして、ハッピーになりましょう。」

 

 笑顔でそう言いながらアサヒは、右手で親指と小指を立ててハッピーのポーズを見せる。

 

 「…ハッピー。」

 

 それを見た佐希恵も、ふと笑顔でポーズを真似り、それを見たアサヒは微笑む。

 

 

 アサヒは慧に1つの疑問を投げかける。

 

 「しかし、慧さんは何故そんなにも母と子の事が分かるのですか?」

 

 「…実は、僕にも妹がいるんだ。 だから昔、喧嘩で妹を叩いて泣かしてしまった時、よく父さんに怒られてたよ。“女を殴って泣かす者は、男以前に人間としてクズだ!”ってね。」

 

 慧の思わぬ発言にはっと驚く表情を見せるアサヒ。

 

 「でも、その発言も愛情故だったんだとすぐに分かったよ。 実際僕の方が年上で、しかも男だから、どうしても力が強いからね。 だから、妹を危険な目に遭わせたくないのと同時に、僕にも間違った人間に育って欲しくないという想いからだったんだとすぐに気づいた。」

 

 「慧さんの親御さんも、とても子供思いなのですね。」

 

 「あぁ。母さんもいつも優しかったし…だから僕は、おかげで力を正しい事に使い、困っている人を助ける人間になろうと思えるようになった。 そして同時に、どんな形であれ、親は子供の事を思っていると思うようにもなったんだ。」

 

 「慧さんの家も、素敵な家庭ですね。」

 

 「えへへ…。」

 

 アサヒに自分の家庭を褒められて、慧はとても嬉しそうであった。

 

 

 …しかし、妙である。実際に女性に暴行した事がある櫂が、そんな事を言うとは…。

 

 一体彼は、大学生時代から慧の父になるまでの間、何があったのだろうか…?

 

 

 そして、こっそり慧達の後を付けていたカツミとイサミも、そんな一部始終を見ていた。

 

 「あの慧って青年の言う通りだな。家族というのはいろんな形がある。それがみんないいってな。」

 

 カツミも慧の言葉に共感している。

 

 「父さんも、普段はダサTシャツばかり作ってるけど、実際俺達にこんなカッコいい服作ってくれたし、それだけでも愛情感じるよな。」

 

 そう言いながらイサミは自分のパーカーを見つめ、カツミも自分のジャケットを見つめる。

 

 

 その頃、湊家の家でもある綾香市のセレクトショップ『クワトロМ』にて、カツミ・イサミ・アサヒの父親である湊家の大黒柱の『湊ウシオ』は…。

 

 「へっくしっ!! …なんだなんだ?今誰か、俺の噂をしてるのか?」

 

 

 「しかしこれでハッキリと分かったな。あの慧っていう人は、悪い人ではない。」とイサミ。

 

 「あぁ。むしろ好青年だ。いっそアサヒの彼氏でもいいかもな。」

 

 「へぇ~カツ兄がそんな事言うなんて意外。」

 

 「なんだよ、アサヒもそろそろ彼氏が出来てもいいとふと思ったそれだけだよ。」

 

 いつものやり取りになるカツミ・イサミ兄弟だが、どこか楽しそうであった…。

 

 

 そして気を取り直して、ある決心をする。

 

 「しかし、あの子の発言ではっきりと分かったな。怪獣が現れたと。」とカツミ。

 

 「あぁ。早い所やっつけた方がいいかもな。 もしこの町にでも現れたら、俺達兄弟の力を見せてやろうぜ。」

 

 「おぅ!」

 

 カツミ・イサミ兄弟はハイタッチを交わした。

 

 

 「私、これからお母さんに誕生日プレゼント買うんだ。」

 

 若干元気を取り戻した佐希恵はそう言った。

 

 「お、そうか。いいプレゼントが見つかるといいね。」と慧。

 

 「お母さん…Tシャツが欲しいと言ってたような…。」

 

 「あ、それなら家に来てみてはどうですか? 家、セレクトショップなので、Tシャツとかも沢山種類がありますよ。」

 

 「行く! せれくと…なんとかはよく分からないけど。」

 

 アサヒの提案に賛成した佐希恵。

 

 

 「じゃあ、僕達も行ってみようか、アニー。」

 

 「そうね。」

 

 慧達も同行する事にした。

 

 

 出発しようとしたその時、アサヒが慧に語り掛ける。

 

 「兄弟って…やっぱいいものですね。」

 

 「…え? もしかしてアサヒちゃんも兄弟がいるの?」

 

 「はい。お兄ちゃんが二人います。 お兄ちゃん達も昔よく喧嘩してたと、お父さんが言ってました。」

 

 「“言ってました”?…まるで、兄弟なのに、自分は今まで知らなかったみたいな言い方だね…。」

 

 アサヒの言い回しにふと引っかかる慧。

 

 

 その時!

 

 

 「フッフッフ~! 見ぃつけたぜ!」

 

 突如、何処からか謎の声が聞こえ、一同はその方へと振り向く。

 

 

 その視線の先には、なんとマグマ星人が右腕に付けたサーベルを撫でながら立っていた!

 

 

 「貴様は…マグマ星人!」

 

 マグマ星人が邪悪な宇宙人である事を知っている慧は警戒するように身構え、佐希恵は怯えて慧にしがみ付き、アニーもアサヒを守るように身構える。

 

 「お?俺の事知ってんのか? 俺も有名になったもんだね~!」

 

 「貴様…何しに来たんだ? 見つけたって…何をだ!?」

 

 「その表情や喋り方からして、何か良い事は考えて無さそうね。」

 

 軽々しい喋り方をするマグマ星人に対し、慧とアニーは真剣に返す。

 

 

 「そう怖い顔すんなよ。 俺が欲しいのは、その娘だ。」

 

 

 そう言いながらマグマ星人が指差した先は…アサヒだ!

 

 「えっ?…わ、私?」

 

 「そうだ。お前でちょうど3人目になる。俺の嫁候補がなぁ!」

 

 「嫁候補だと? 一体何を企んでいる!?」

 

 「いいだろう。どうせお前らはここで死ぬんだから教えてやる。」

 

 

 マグマ星人の企み。それは、デスレ星雲人ジェノアと共に様々な世界の地球を破壊する事だが、その前に自分の嫁候補を3人捕える事である!

 

 なんでも奴は、まずは宇宙一美しいと言われている怪獣『宇宙鶴ローラン』に告ったのだが振られてしまった事があるのだという。だが、同じ失敗を繰り返さないときっぱりとローランを諦めた奴は、地球人女性の美しさを知った事により、それに目を付けたのだと言う。

 

 

 そう、つまり奴は、かつてローランに振られた事に逆上して彼女を殺そうとした所を『ウルトラマンレオ』に倒されてしまったあの“ストーカーマグマ星人”が蘇ったモノなのである!

 

 

 (つまり、先ほど慧が言った父・櫂の言葉は、間接的にこのマグマ星人をディスった事になる(笑))

 

 

 様々な世界の地球の破壊は、父の復讐をしたいと言うジェノアの企みであり、そして同じくジェノアによって怪獣墓場から蘇ったアボラス・バニラ・ガロン・リットルと共に攻めに来たのだという。

 

 

 実はジェノアは、暗黒四天王の一員だったデスレムの息子なのである!

 

 

 つまり今回は、家族(父)を失った者の復讐の侵略なのである!

 

 

 マグマ星人の企みを知った慧達は、更なる怒りが込み上がる。

 

 「仕返しのために、関係ない人達まで巻き込むなんて…許されるはずが無いだろ!」

 

 「そんなの知った事か! いいから、そこの小娘! さっさと俺の所に来い!」

 

 慧の怒りの言葉を一蹴したマグマ星人はアサヒに高圧的に呼びかける。

 

 「いやです!」

 

 もちろん、素直に行くはずが無いアサヒ。

 

 

 「ほ~ぅ、この俺に逆らうのか? お友達がどうなってもいいのかな~?」

 

 そう言いながらマグマ星人はある方向にサーベルを指し、一同はその方へと振り向く。

 

 「はっ!」

 

 それを見たアサヒは驚く。なんとそこには、鎖で縛られた状態で気を失っているえりな、ななかの姿が!

 

 「フッフッフ、俺の嫁候補の内の2人だ。 こいつらはお前のお友達なんだろ? こいつらの命がどうなってもいいのか?えぇ?」

 

 そう言いながらえりなとななかにサーベルを向けるマグマ星人。

 

 完全に人質を取られてしまった慧達一同は、下手なことが出来ないとばかりに何も出来なくなってしまう。

 

 「隙あり!」

 

 その隙に、マグマ星人はサーベルの先端から怪光線を発射し、それが足元で爆発した慧達は吹っ飛んで地面を転がる。

 

 「立てォラア!」 「いやっ!」

 

 そしてマグマ星人はその爆風に紛れて、転倒したアサヒの腕を掴んで無理矢理起き上がらせる。

 

 遂にアサヒは捕えられてしまった!

 

 

 「ジェノア様ー!! 遂に嫁候補を3人捕えたぞー!!」

 

 マグマ星人がジェノアを呼び出し、それにより上空に紫のオーラと共にジェノアが現れる。

 

 「それでは、後はこの世界を破壊するだけだな?」

 

 「そゆことー!」

 

 マグマ星人が嫁候補を3人見つけた事により、あとは地球を破壊するだけとなった!

 

 

 「さぁ、今こそ一斉に呼び出せ!」

 

 「かしこまりー! 出てこいやぁぁぁ!!」

 

 そう叫びながら口笛を吹くマグマ星人。その瞬間、激しい地響きと共に、それぞれ4か所から激しく土砂を巻き上げながら4体の怪獣が地上に現れる!

 

 アボラス・バニラ・ガロン・リットルだ!

 

 

 「あれ…! 私達を襲ったのは、あれ!」

 

 佐希恵はそう言いながらガロン・リットル兄弟の方を指差す。どうやら彼女の家族を襲い、母親に怪我をさせたのは、その兄弟怪獣だったようだ!

 

 「何だって!?」 驚愕する慧。

 

 

 「さぁ暴れろ! 手始めにこの町から破壊するのだ!」

 

 マグマ星人の合図により、4体は一斉に暴れ始める!

 

 アボラスは溶解泡、バニラは火炎放射、ガロン・リットル兄弟は火花やロケット弾をそれぞれ吹きながら、怪力でビル等を崩しながら暴れて行く!

 

 「俺様も行くぜぇ!」

 

 そしてジェノアも地上に降り立ち、左手から火炎や火球を放ち、デスレムクローでビルを崩しながら暴れる!

 

 綾香市の市民は突然の怪獣出現にパニックとなり、我先にと逃げ惑い始める!

 

 

 「ヒャハハハハハ!! これでこの世界はおしまいだ! この世界を皮切りに、様々な世界の地球を破壊してやるぜ~!!」

 

 高笑いをするマグマ星人。慧とアニーは悔しそうにマグマ星人を睨み付け、佐希恵は恐怖から泣き出しそうになっている。

 

 

 綾香市はこのまま地獄と化してしまうのであろうか…!?

 

 

 …だが、アサヒだけ違った。彼女は絶望するどころかどこか余裕な表情である。

 

 「…ん?どうした? 世界が終わるからショックで頭が可笑しくなっちまったか?」

 

 「…違います。まだ希望があるからです。」

 

 「何だと? こんな状況で、まだ希望があると言うのか!?」

 

 

 「はい。 それは…お兄ちゃん達です!」

 

 

 アサヒがそう言ったその時!

 

 

 「!? ぐぉはっ!!」

 

 

 突如、何処からか勢いよく飛んで来た物がマグマ星人の頭部に命中し、それによりマグマ星人は捕えていたアサヒを手放してしまう!

 

 そして、マグマ星人が手放したアサヒをアニーが受け止めた。

 

 「大丈夫?アサヒちゃん。」

 

 「はい。ありがとうございます。」

 

 「しかし…急に何なんだろう…?」

 

 そう言いながらアニーはふと地面に転がっているある物に気付く。

 

 

 それは、一つの野球ボールであった!

 

 

 「野球ボール…?」と、アニーが首を傾げたその時。

 

 

 「あ!あそこ!」

 

 アサヒが指差した方を振り向く慧とアニー、佐希恵。

 

 

 「チィッ! 誰だ!!」 同じくマグマ星人も振り向く。

 

 

 その先にいるのは、カツミ・イサミ兄弟であった!

 

 「カツ兄ナイスピッチング!」 「よっしゃーっ!」

 

 先程マグマ星人の頭を直撃したのは、カツミが投げた豪速球であった!

 

 カツミは幼少期から野球が得意であり、今でも草野球チーム『ホワイトベアーズ』のピッチャーとして活躍している程である。

 

 

 「カツ兄! イサ兄!」

 

 助けに来てくれた兄達に嬉しそうに反応するアサヒ。

 

 「アサヒ!大丈夫か?」 「あとは俺達に任せろ!」

 

 カツミとイサミも、アサヒの無事を確認する。

 

 

 「あの人達が…アサヒちゃんのお兄さん…?」

 

 アサヒが叫んだ呼び名により、二人が彼女の兄だという事に気づく慧。

 

 

 「貴様ら、この俺にボールをぶつけるとは大した度胸じゃねーか。」

 

 自身を牽制した兄弟に怒りを見せるマグマ星人。

 

 「最近噂になってた謎の町破壊事件の真犯人はお前だったんだな!」

 

 そう言いながらマグマ星人を指差すカツミ。

 

 「大人しく帰った方が、身のためだと思うぜ!?」

 

 イサミもそれに続く。

 

 

 「フッ、何をほざくか! 俺は復讐として様々な世界を破壊する! そして、この可愛い子ちゃん達のどれかと結ばれるのだ!」

 

 「その通りだ! 親父の仇としても、様々な世界を破壊して我々のモノにして、いずれウルトラ戦士に復讐してやる!」

 

 マグマ星人は改めて自分達の企みを宣言し、ジェノアもそれに続いた。

 

 

 「ふざけやがって。お前らの好きにはさせるかよ!」とイサミ。

 

 「それに、俺達の可愛い妹を、お前らなんかに渡すか!」とカツミ。

 

 そんな兄弟に、ジェノアとマグマ星人は更に言い返す。

 

 「貴様らがどうほざこうと無駄だ! この世界はもはや俺様たちのモノ! 貴様らは死ぬだけだ!」

 

 「ただの人間ごときが、俺達を止められるワケがない!」

 

 

 「ただの人間? …ところがどっこい、そうじゃないんだよな~。」

 

 「何だと?」

 

 イサミの余裕な発言に反応するマグマ星人。

 

 「この町に来たのが間違いだったな!」

 

 カツミの発言と共に、二人は懐から例のジャイロ状のアイテムを取り出す。

 

 

 「そのアイテムは…!?」

 

 「お前らは…一体!?」

 

 慧やマグマ星人の問いかけに、兄弟は叫んだ!

 

 

 「「俺達は、ウルトラマンだ!!」」

 

 

 そう、この湊カツミ・イサミ兄弟はウルトラマンであり、このアイテム『ルーブジャイロ』でそれぞれ『ウルトラマンロッソ』、『ウルトラマンブル』に変身するのである!

 

 

 ロッソ・ブルという二人のウルトラマン。それはルーブジャイロと、各属性を宿したメダル状のアイテム『ルーブクリスタル』を用いて変身するウルトラマンであり、かつて『惑星O-50』にて力を授かった先代が『コスモイーター ルーゴサイト』の脅威に立ち向かった際に戦死し、現在はカツミ・イサミ兄弟がその変身能力を受け継いでいるという状態である。

 

 最初はいきなり力を得た事により戦いに慣れてなく苦戦も多かったが、経験を積んで行ったことで連携力も増していった事で様々な敵との戦いを潜り抜けて行き、最後は家族との協力や絆の力によって、先代が果たせなかったルーゴサイト撃破に成功している。

 

 

 かつて自分達をウルトラマンとして否定していた先代ウルトラマンの妹『美剣サキ』(本名は『グリージョ』)から最終的に認められた事もあり、今では立派なウルトラマンとして成長した二人。そんな二人が、綾香市の危機に再び立ち上がる時である!

 

 

 「何ィ!! ウルトラマンだとぉ!?」

 

 「ケッ、厄介な者たちが現れたモノだぜ!」

 

 この世界にウルトラマンが存在していたという想定外の出来事に、ジェノアもマグマ星人も驚きを隠せない。

 

 

 「なるほど…あの二人とすれ違った際、妙な衝撃が走ったのはそういう事だったのか。」

 

 「この世界に、ウルトラマンが二人もいるなんてね。」

 

 慧は先ほどの現象の事を納得し、アニーはこの世界にウルトラマンが複数存在している事に驚く。

 

 

 「だが、ウルトラマンが二人出て来た所で、我が軍団に勝てるかな~!?」

 

 なおも余裕ぶった態度を見せるマグマ星人。

 

 

 そんな奴に、兄弟は静かな怒りを見せる。そしてカツミ・イサミと順に語って行く。

 

 「お前達だけは許さない…! お前達のせいで、どれだけの命が犠牲になったと思う…! どれだけ罪の無い家族が悲しんだと思うんだ!」

 

 「(佐希恵をチラッと見ながら)現にここにだって…。 復讐か何か知らねーが、悪の家族のために、平和な家族が壊されてたまるかってんだ!」

 

 「だから俺達は負けない…! …家族であるこの地球の人々を守る為にも…! ウルトラマンの名のもとに!」

 

 「「お前たちをぶっ倒す!!」」

 

 

 遂に変身を決心した二人は、暴れ回るジェノアと怪獣軍団の方を振り向く。

 

 

 「ふんっ!変身させるかってんだ!」

 

 そう言いながらマグマ星人は兄弟にサーベルを向け、怪光線を発射しようとする!

 

 その時、横から慧が突っ込み、右足蹴りでサーベルを蹴り上げると、続けて左足での後ろ回し蹴りを胸部に叩き込んで後退させ、更に携帯銃『ハイパーガン』(未来で開発された銃型の武器)による光弾数発を腹部に打ち込んで吹っ飛ばす!

 

 未来で父・櫂に鍛えられたためか、飛び抜けた身体能力を持つ慧はマグマ星人の相手を引き受ける事にした。

 

 「慧君!受け取って!」

 

 そう言いながらアニーは慧に自身のハイパーガンを投げ、慧はそれをキャッチする。

 

 「サンキュー、アニー。 借りるぜ。」

 

 アニーに礼を言いながら、二丁拳銃で構えを取る慧。

 

 

 「コイツは僕に任せて、行け!ウルトラマン!」

 

 

 慧の言葉を受けたカツミ・イサミ兄弟は頷く。遂に変身の時が来た!

 

 

 二人はそれぞれ腕を上下に振って拳を当てた後にハイタッチを決めた後、ルーブジャイロを前に突き出す!

 

 

 「「オレ色に染め上げろ! ルーブ!!」」

 

 

 カツミ・イサミは『ルーブクリスタルホルダー』からそれぞれ火のエレメントを宿した『タロウクリスタル』と、水のエレメントを宿した『ギンガクリスタル』を取り出す。

 

 

 「「セレクト、クリスタル!」」

 

 

 そして掛け声と共にそれぞれクリスタルの二本角、一本角を展開し、ルーブジャイロにセットする。

 

 

 《ウルトラマンタロウ!》

 

 《ウルトラマンギンガ!》

 

 

 音声と共にカツミとイサミの背後にそれぞれウルトラマンタロウとウルトラマンギンガのビジョンが現れ、やがてそれぞれ火と水の紋章に変わる。

 

 

 「まとうは火! 紅蓮の炎!」

 

 「まとうは水! 紺碧の海!」

 

 

 二人はルーブジャイロを揚げて口上を上げた後、グリップを三回引いてそれぞれ火と水の力を解放する!

 

 

 《ウルトラマンロッソ! フレイム!》

 

 《ウルトラマンブル! アクア!》

 

 

 「「はーっ!!」」

 

 

 カツミとイサミはそれぞれ火と水を纏い、やがて『ウルトラマンロッソフレイム』『ウルトラマンブルアクア』へと変身が完了してそれぞれ右拳と左拳を突き出して飛び出す!

 

 

 「シュワーッ!」

 

 「ハァーッ!」

 

 

 遂に登場した二大ウルトラマンは、土砂や砕けたコンクリートを巻き上げながら着地し、それに気づいたジェノアと怪獣軍団は一斉に振り向く。

 

 そして、ロッソとブルはゆっくりと立ち上がってポーズを決める。

 

 因みに両者とも一見シルエットが似ているが、それぞれ頭部の形状がロッソは二本角、ブルは一本角なのが特徴である。

 

 

 「わぁ! ウルトラマンだ!」

 

 さっきまで怯えていた佐希恵は、ウルトラマン達の登場に嬉しそうに反応し、そんな彼女にアニーは声を掛ける。

 

 「うん。ウルトラマンが助けに来てくれた。だからもう大丈夫だよ。さ、一緒に応援しよっか。」

 

 「うん! 頑張れー!」

 

 

 「頑張ってください! カツ兄! イサ兄!」

 

 アサヒも元気よく応援し始める。

 

 

 交戦中の慧とマグマ星人も、組合ながらロッソとブルを見上げる。

 

 「あれが、この世界のウルトラマンか!」

 

 「忌々しい! 怪獣ども!潰してしまえ!!」

 

 

 「この世界のウルトラマン。貴様らの力がいかなるものか、お手並み拝見だぜ。」

 

 ジェノアはどうやらまずは怪獣軍団に任せ、自身は少し離れて見物するようである。

 

 

 町の人々の歓声が飛び交う中、対峙するロッソ・ブルのウルトラマン兄弟と、アボラス・バニラ・ガロン・リットルの怪獣軍団。

 

 「さて、変身したはいいものの、4対2でどう戦えばいいやら…。」

 

 「確かに、これは前例無い事だよな、カツ兄。」

 

 どうやら2人は、初の4対2の戦いに若干不安を感じているようだ。

 

 「でも、やるっきゃないでしょ! それにただの4対2なんかじゃない。 アイツらは破壊と殺戮以外何も無い。 しかし俺達は(アサヒの方を向いて)家族がいる…。 (応援してくれる佐希恵や綾香市民の方を向いて)守るべき者達がいる…。 それが俺達のアドバンテージだ!」

 

 「そうだな。だから俺達は負けない。 絶対に!」

 

 

 その時、アイゼンテックのビルから放送が聞こえ始める。

 

 《カツミ! イサミ! 母さんも手を貸すわ!》

 

 放送でカツミ達に呼びかけているのは、彼らの母親であり、現在はアイゼンテックの3代目社長でもある女性『湊ミオ』である!

 

 初代社長の『愛染マコト』も2代目社長の美剣サキもいなくなった今、新たな社長として綾香市の復興と更なる発展のために励んでいた彼女。そして今回、再び訪れた綾香市の危機に息子達に手を貸そうと駆けつけたのである。

 

 因みに、先ほどのアイゼンワンダーランドの看板に載っていた写真の女性も、彼女である。

 

 

 「母さん!」

 

 「ありがたい!」

 

 カツミとイサミは母ミオに感謝の言葉をかける。

 

 

 「さぁ! 親子で綾香市を守るわよ! ハイ、ダーリン! ビームを撃ちまくっちゃって!」

 

 「ハイハイ〜! 怪獣拘束システム発動!」

 

 ミオはアイゼンテック社の秘書AI『ダーリン』に指示を出し、それを受けたダーリンは『怪獣拘束システム』を発動させ、本社ビルから怪獣を拘束する光線『トラクタービーム』を連射し始める!

 

 ガロン・リットル兄弟がそれに対抗し始め、ビームを受けてもそれを持ち前のタフさで耐えながら、口からの火花やロケット弾などで相殺していく。

 

 

 母ミオとダーリンがガロン・リットル兄弟を引き受けている間に、ロッソとブルはアボラスとバニラを相手にする事にした。

 

 「よし、行くぞイサミ!」

 

 「あぁ!2対2なら行けるっしょ!」

 

 手と手のタッチを決めた後、一斉に駆け始める兄弟ウルトラマン。

 

 アボラスは溶解液、バニラは火炎を吹いて迎え撃つが、ロッソは手からの火炎、ブルは手からの水流でそれぞれ打ち消しながら向かって行き、やがて接近すると同時にロッソは後ろ回し蹴りをアボラスの胸部に、ブルは一回転してのパンチをバニラの腹部に打ち込んで後退させる。

 

 

 ロッソとアボラスは組み合い、アボラスは怪力で抑え込もうと力を入れる。

 

 力で押さえられるロッソは膝を付きそうになるが、なんとか踏ん張ってアボラスの腹部に前蹴りを叩き込み、更に怯んだ隙に左右交互のパンチを胸部に、右フックを顔面に打ち込んだ後、跳躍しての上段回し蹴りを頭部に叩き込む。

 

 だがアボラスも負けてなく、蹴られた勢いを利用して回転しながら尻尾を振るい、それをロッソは咄嗟に両腕で防ぐが、威力の高さに少し後退する。

 

 

 ブルはバニラの右フックをかわした後、胸部に右脚蹴りを打ち込み、その後もがむしゃらにパンチやキックを連続で撃ち込んで行く。

 

 やがてブルはバニラと組み合って力比べとなり、怪力により押さえ込まれそうになるが、咄嗟にそのまま跳躍して両足蹴りを胸部に叩き込んで後退させる事で逃れる。

 

 バニラは後退しながらも口から火炎を吹いて反撃に出る。

 

 「アクアジェットブラスト!」

 

 ブルは手を突き出して強力な水流『アクアジェットブラスト』を噴射し、火炎を打ち消すと同時にバニラにもぶつけて吹っ飛ばす!

 

 

 ブルに吹っ飛ばされたバニラは、同じくロッソに蹴飛ばされたアボラスと合流する。

 

 アボラスとバニラは同時にロッソとブルに襲い掛かるが、ロッソとブルは同時に2体の間に飛び込み、X字を描くように前転をして受け身を取って2体の背後に回り込む。

 

 そしてロッソはバニラの、ブルはアボラスの尻尾を掴み、それぞれ同時に引っ張る事で2体を激突させる!

 

 アボラスと激突させられた事で怯んだバニラに、ロッソとブルは同時に右足蹴りを胸部に叩き込んで転倒させた!

 

 

 アボラスは持ち前のスタミナで立て直すと、再び兄弟ウルトラマンに向かって行く。

 

 ロッソとブルはアボラスの突進を正面から胸部にそれぞれ右拳と左拳のパンチを打ち込む事で受け止め、そしてそのままもう片方の掌を胸部に打ち込む事で後退させ、更にそれ右足、左足でのキックを腹部に打ち込んで怯ませた後、跳躍して落下の勢いも加えてのパンチを胸部に叩き込んで吹っ飛ばした!

 

 

 「まずはお前から片付けてやるぜ!」

 

 そう言うとイサミは『オーブリングNEO』を取り出す!

 

 オーブリングNEO。それは、かつてウルトラマンの力を求めて地球にやって来て、愛染マコトに憑依していた『憑依生命体チェレーザ』が開発し、『ウルトラマンオーブダーク』(因みに自称は『ウルトラマンオーブダークノワールブラックシュバルツ』)に変身する際に使用していたアイテムであり、R/B兄弟はこれを使用して『ウルトラマンオーブ』の必殺技を放つことが出来るのだ。

 

 

 イサミはオーブリングNEOのスイッチを上にスライドして“R/Bモード”にした後、中央部のボタンを押して必殺技を発動させる。

 

 《スペリオン光線!》

 

 音声と共にブルは両腕をL字に広げてエネルギーを溜めた後、腕を十字に組んで『ウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオン』の必殺技でもある必殺光線『スペリオン光線』を放つ!

 

 アボラスは光線の直撃を受けるが、多少ダメージを受けたものの数秒間の直撃に耐え切った!

 

 流石はかつて『ウルトラマン』の『スペシウム光線』を2度も耐えただけはあり、かなりの頑丈さである。

 

 

 だが、ロッソ達の攻撃を受けた事もあって、だいぶ弱っているのは確かである。ここで一気に止めだ!

 

 「こいつ、かなりタフな奴だな。」

 

 「それなら、その倍の威力をお見舞いしてやる!」

 

 そう言うとイサミは、R/BモードのオーブリングNEOのボタンを長押しした後にルーブジャイロにセットし、グリップを3回引いて合体技を発動させる!

 

 《トリプルオリジウム光線!》

 

 音声と共にロッソとブルはそれぞれ右腕と左腕を挙げ、2人の背後に『ウルトラマンオーブ オーブオリジン』の幻影が現れ、そして2人の前方にリング状のエネルギーが現れる。

 

 「「トリプルオリジウム光線!!」」

 

 ロッソとブルは巨大なオーブオリジンの幻影と共に、腕を十字に組んで合体光線『トリプルオリジウム光線』を放つ!

 

 太い青白い光線の周りを赤と青の光線が渦巻く形の巨大な集束光線はアボラスの体を直撃!アボラスはそれすらも耐えようと踏ん張ったが、ロッソとブル、そしてオーブオリジンの力を合わせた強力光線の前には耐え切れず、やがて胴体に大きな風穴を開けた後大爆発して砕け散った!

 

 

 「わぁー、すごーい!!」

 

 「えぇそうね。」

 

 見事怪獣を一体撃破したロッソとブルを見て佐希恵は無邪気にはしゃぎ、アニーはそれに同調する。町の人々からも歓声が飛び交っていた。

 

 

 「ほほ〜ぅ…。」

 

 ジェノアは兄弟の意外な強さにどこか関心するかのような反応をする。

 

 

 「まさか! ウルトラマンどもにあんな力があるとは!?」

 

 「フッ、ウルトラマンの力、舐めない方がいいよ?」

 

 マグマ星人はウルトラマン達の思わぬ力に驚き、慧はそれに余裕の軽口を投げつける。

 

 「フンッ! そんなの、貴様を倒した後にジェノア様と共にぶっ潰してやるぜ!」

 

 「出来るものならやってみる? 行くぞ!」

 

「おのれ青二才がああぁぁぁ!!」

 

 慧とマグマ星人は互いに雄叫びを上げながら駆け寄る。両者の戦いはこれから激しくなりそうだ。

 

 

 一方、ガロン・リットル兄弟は、連続で迫り来るアイゼンテックのトラクタービームに対し、一方が火花で受け止めている間にもう一方がロケット弾で打ち消したりなどの絶妙なコンビネーションで対応していた。

 

 

 「母さん、サンキュー。 もういいぜ。」

 

 「あとは俺達に任せてくれ。」

 

 カツミ達は、協力してくれた母ミオにお礼を告げ、あとは自分達に委ねるよう頼む。

 

 

 「ハイ、ダーリン…怪獣拘束システムを解除して。」

 

 「いいんですか? まだ3対2と比較的不利な状況です。 息子さん達が心配じゃないのですか?」

 

 怪獣拘束システム解除を命じるミオに疑問を投げかけるダーリン。そんなダーリンにミオは落ち着いて応える。

 

 

 「…あの子達は、もう自分で考えて行動出来るんだよ…。」

 

 

 兄弟ウルトラマンの母であるミオのその言葉に何かを察したダーリンは、解除を決める。

 

 「怪獣拘束システム、解除。」

 

 

 息子達に後を託した母ミオは、笑顔で語り掛けた。

 

 「後は任せたわよ…自慢の息子達。」

 

 

 アイゼンテックのビーム攻撃が止まった事により、ガロン・リットル兄弟、そしてバニラは標的をロッソ・ブル兄弟に変えて咆哮を上げながら構える。

 

 ここからは、兄弟VS兄弟+αのバトルの始まりだ!

 

 

 「ここからは、俺達兄弟の戦いだな、カツ兄。」

 

 「あぁ。一気に決めて行こうぜ!」

 

 「「オレ色に染め上げろ! ルーブ!!」」

 

 

 正義の兄弟の本領を発揮する時! カツミとイサミはルーブクリスタルホルダーからそれぞれ土のエレメントを宿した『ビクトリークリスタル』と、風のエレメントを宿した『ティガクリスタル』を取り出す。

 

 

 「「セレクト! クリスタル!」」

 

 

 掛け声と共にそれぞれクリスタルの二本角と一本角を展開してルーブジャイロにセットする。

 

 

 《ウルトラマンビクトリー!》

 

 《ウルトラマンティガ!》

 

 

 音声と共にカツミとイサミの背後にそれぞれウルトラマンビクトリーとウルトラマンティガのビジョンが現れ、やがてそれぞれ土と風の紋章に変わる。

 

 

 「まとうは土! 琥珀の大地!」

 

 「まとうは風! 紫電の疾風!」

 

 

 2人はルーブジャイロを揚げて口上を上げた後、グリップを三回引いてそれぞれ土と風の力を解放する!

 

 

 《ウルトラマンロッソ! グランド!》

 

 《ウルトラマンブル! ウインド!》

 

 

 「はーっ、シュワッ!」

 

 「はぁーっ!」

 

 

 カツミとイサミはそれぞれ土と風を纏い、やがて『ウルトラマンロッソグランド』『ウルトラマンブルウインド』へと変身が完了してそれぞれ右腕を、両腕を挙げた状態で飛び出す!

 

 

 (BGM:Hands)

 

 

 金と紫の光と共に現れたロッソグランドとブルウインドは、それぞれ手から岩状と風状のエネルギー弾を放ちながらガロン・リットル兄弟に駆け寄る!

 

 

 慧VSマグマ星人も、マグマ星人が慧の2丁拳銃の銃撃をサーベルを振るって弾き返したり、慧がマグマ星人のサーベルによる斬撃を足技で弾き返し、逆に跳躍しての回し蹴りを顔面に叩き込んだりなど、戦いは激しさを増していた!

 

 

 「頑張れー!! ウルトラマーン!!」

 

 (負けないで…慧君…!)

 

 佐希恵は元気よくウルトラマンを、アニーは心で祈るように慧を応援し始める。町の人達も歓声に拍車がかかる。

 

 

 そしてアサヒは、信じてる故の笑顔で2人を応援する。

 

 「頑張ってください…世界中の皆さんの、ハッピーを守るために!」

 

 

 先陣切ったロッソグランドは、同じく先陣切ったリットルにすれ違いざまに右足蹴りを打ち込んで転倒させてそのままガロンとバニラに向かって行き、ブルウインドはリットルに向かって行く。

 

 ロッソはガロンの腹部に両拳のパンチを打ち込み、続けてガロンの右フックを受け流すと同時に胸部に右足蹴りを叩き込み、続けて背後から迫っていたバニラに右足の後ろ蹴りを叩き込む。

 

 ガロンとバニラはそれぞれ左右方向からロッソを挟み撃ちにしようと駆け寄るが、ロッソが即座に後ろに跳んで回避した事により、二体は激突してしまう。

 

 互いにぶつかった事により揉めそうになる二体。その隙にロッソは跳躍し、バニラの顔面に右拳、ガロンの顔面に左足蹴りを同時に叩き込んで吹っ飛ばす!

 

 フレイムを上回る剛力で、一撃一撃重い攻撃を確実に決めて行くロッソグランド。一方のガロンとバニラは、やはり兄弟でもない、“赤の他人”ならぬ“赤の他獣”同士では上手く連携が取れないみたいである。

 

 

 ブルはリットルの左フックを回転しながらしゃがんでかわすと同時に右足蹴りを腹部に打ち込み、その後リットルの突進をかわすと同時にヘッドロックをかけて頭部に数発パンチを打った後、頭部をアッパーでかち上げ、更に後ろ回し蹴りを胸部に叩き込んで後退させる。

 

 そしてブルは、跳躍して大きく右脚を振り上げ、蹴りをリットルの頭部に叩き込んで吹っ飛ばした!

 

 スピードがより強化されたブルウインドは、吹き抜ける紫の風を放ちながら素早い動きで攻撃を決めて行く。

 

 

 ガロン・リットル兄弟、そしてバニラは一旦合流し、ロッソ・ブル兄弟も合流する。

 

 三体の怪獣は、ロッソ・ブル兄弟に向けてそれぞれ火花とロケット弾、火炎を同時に噴射する!

 

 「ストームシューティング!」

 

 ブルは、頭上に発生させた竜巻を光線として撃ちだす『ストームシューティング』を放って火花・ロケット弾・火炎との押し合いを始める!

 

 「グランドエクスプロージュン!」

 

 その隙にロッソは、上空に巨大な岩の塊を作り上げて相手に投げつける『グランドエクスプロージュン』を放ち、三体の一斉攻撃を完全に相殺する!

 

 

 大爆発により起こった粉塵に紛れて、兄弟は次のクリスタルチェンジに入る。

 

 《ウルトラマンロッソ! ウインド!》

 

 《ウルトラマンブル! フレイム!》

 

 今度はロッソが風のクリスタルで『ウルトラマンロッソウインド』、ブルが火のクリスタルで『ウルトラマンブルフレイム』へとチェンジする!

 

 

 それぞれ粉塵の中から、ロッソは上空に飛んで両手に発生させた竜巻を打ち込む『ストームフリッカー』を放ち、ブルは走って現れながら両手から炎の光線を放つ『フレイムバーン』を放つ!

 

 ガロンは火花でストームフリッカーを、バニラは火炎でフレイムバーンをそれぞれ相殺していき、その間にリットルが背後からブルに体当たりを放って転倒させる。

 

 そしてガロンがブルを起き上らせて羽交い締めにし、そこにリットルがドロップキックを放とうと駆け始める!

 

 流石は兄弟怪獣だけあり、ガロンとリットルの連携は見事を言わざるを得ない。

 

 しかし、キックを打とうと跳躍したリットルを、上空からロッソが急降下キックを叩き込んで打ち落とした!

 

 そしてガロンが動揺している隙にブルはガロンの腹部に右肘、顔面に右拳を打ち込み、更に右足の後ろ蹴りを叩き込んで後退させる。

 

 

 「サンキュー、カツ兄!」

 

 「おぅ!」

 

 ロッソとブルはタッチを交わした後、突進して来るリットルに対し、ロッソは右拳を胸部に、ブルは倒れ込んで回避すると同時に右足蹴りを腹部に叩き込んで後退させる!

 

 更に怒ったリットルは、ロッソとブル目掛けて渾身の火花を噴射する!

 

 

 「ロッソサイクロン!」

 

 「パイロアタック!」

 

 ロッソウインドは竜巻をスローイングの要領で投げつける『ロッソサイクロン』を、ブルフレイムは掌から炎を放つ『パイロアタック』を放ち、それらを合わせて生み出した炎の竜巻『ファイヤートルネード』という合体技を放つ!

 

 炎の竜巻はリットルの火花攻撃を打ち消していき、やがてリットルを直撃して上空高く巻き上げる!

 

 炎の竜巻に巻かれたリットルはしばらくもがき苦しんだ後、断末魔を上げて大爆発して消滅した!

 

 

 弟を倒されてしまったガロンは、怒りと共に突進して行き、ロッソとブルは即座にそれをかわす。

 

 やがてガロンとバニラに挟まれてしまうロッソとブル。ガロンはブル目掛けてロケット弾を、バニラはロッソ目掛けて火炎を同時に放つ。

 

 

 《ウルトラマンロッソ! アクア!》

 

 《ウルトラマンブル! グランド!》

 

 ロッソとブルは前後入れ替わりながら、それぞれ水のクリスタルで『ウルトラマンロッソアクア』、土のクリスタルで『ウルトラマンブルグランド』へとチェンジする!

 

 

 ロッソは横に跳びながら水の力を秘めた光弾『スプラッシュボム』をバニラに投げつけ、ブルは横に跳びながら黄金の光弾『ロックブラスター』をガロンに放つ!

 

 水の光弾はバニラに着弾後、包み込むように展開して爆発し、黄金の光弾を受けたガロンは吹っ飛んで地面に落下する。

 

 苦手な水の攻撃を受けた事により、バニラはしばらく動きが鈍り始める。

 

 「しばらく大人しくしてろ!」

 

 そう言うとロッソはブルと共にガロンに立ち向かう。

 

 

 「ルーブスラッガーロッソ!」

 

 「ルーブスラッガーブル!」

 

 ロッソとブルは頭部から大小二振りの剣『ルーブスラッガー』を取り出しながら駆ける。

 

 ロッソのスラッガーは赤い刀身で二刀流が特徴の『ルーブスラッガーロッソ』、ブルのスラッガーは青い刀身で一振りの大剣が特徴の『ルーブスラッガーブル』である。

 

 

 ロッソはガロンの左フックを順手持ちの右手の剣で受け止めた後、ガロンの腹部を逆手持ちの左手の剣で斬りつけ、更にブルが一直線の斬撃を叩き込んでそれに続く。

 

 そしてロッソとブルがそれぞれ左右斜めから斬撃を放ってX字を描くように斬りつけた後、同時にすれ違い様に腹部に斬撃を決めながら後ろに回り込み、更に同時に跳躍して振り下ろした剣を背中に叩き込んで吹っ飛ばした!

 

 斬撃が決まる度に、その部位から火花が飛び散る。ロッソ・ブル兄弟の息の合った連携による斬撃を受けたガロンは完全に弱り切っている。今こそトドメだ!

 

 

 《ウルトラマンゼロ!》

 

 《ウルトラセブン!》

 

 

 カツミとイサミはそれぞれ“烈”の『ゼロクリスタル』と、“刃”の『セブンクリスタル』をスラッガーにセットして必殺技を発動する!

 

 

 「ゼロツインスライサー!」

 

 「ワイドショットスラッガー!」

 

 

 ロッソアクアはスラッガーを振るって水の属性を宿した二本の破壊光刃『ゼロツインスライサー』を、ブルグランドはスラッガーを振るって土の属性を宿したアイスラッガー状の破壊光刃『ワイドショットスラッガー』を放つ!

 

 まずはワイドショットスラッガーがガロンの体を貫き、そして前方からゼロツインスライサー、背後から反転したワイドショットスラッガーが同時にガロンの体を斬り裂く!

 

 計三つの破壊光刃により体を斬り刻まれたガロンは、その場で大爆発して砕け散った。

 

 

 

 「馬鹿なッ!? 俺達の怪獣軍団が、こうも簡単に…!?」

 

 自身の怪獣軍団が次々とやられていく事に更なる動揺を隠せないマグマ星人。慧は言葉を投げつける。

 

 「見たか! あれがウルトラマンの、そして、決して絆を諦めない兄弟の力だ!」

 

 「あり得ない! そんなモノなどに…!」

 

 事実を受け入れられないマグマ星人は逆上し、サーベルを振るいながら慧に襲い掛かる!

 

 慧はサーベル攻撃をしゃがんでかわすと同時に二丁拳銃の銃口をマグマ星人を腹部に当ててゼロ距離で光弾を連射して後退させ、一回転して体勢を立て直した後、更に二丁拳銃の光弾を打ち込んでダメージを与える。

 

 そして怯んだマグマ星人に、跳躍して跳び蹴りを胸部に叩き込んで吹っ飛ばした!

 

 

 「罪の無い者達の笑顔を奪う貴様らなんかに、負けはしないんだ!」

 

 着地した慧はマグマ星人にそう言い放った後、ロッソ・ブル兄弟の方を振り向く。

 

 「この町は…もう大丈夫だな。」

 

 

 怪獣軍団で最後の一体となったバニラは、負けるかとばかりにロッソとブル目掛けて渾身の火炎放射を放つ!

 

 「アクアミラーウォール!」

 

 ロッソは円形状の水のバリア『アクアミラーウォール』を展開して火炎を防ぎ始める。

 

 「アースブリンガー!」

 

 そしてその隙にブルが地面を叩いて地中からの衝撃波『アースブリンガー』を放つ!

 

 地中からの衝撃波を受けたバニラは上空高く打ち上げられてしまう。

 

 

 「仕上げと行きますかカツ兄!」

 

 「あぁ!」

 

 「「セレクト!」」

 

 ロッソとブルはクリスタルチェンジをし、それぞれロッソフレイム、ブルアクアへと変わる。

 

 

 そして二人は腕を広げてそれぞれ火と水の力を解放した後、腕を8の字を描くように回した後にそれぞれ十字に、L字に組む!

 

 「フレイム!」

 

 「アクア!」

 

 「「ハイブリッドシュート!!」」

 

 ロッソは炎のエネルギー光弾『フレイムスフィアシュート』を、ブルは水のパワーの破壊光線『アクアストリューム』を放ち、それを収束させて放つ合体光線『フレイムアクアハイブリッドシュート』を上空のバニラに浴びせる!

 

 強力な合体光線を受けたバニラは、上空で大爆発して砕け散った!

 

 

 (BGM終了)

 

 

 見事に怪獣軍団を撃破したロッソとブル。それを見た町の人々は更なる歓声を上げ、佐希恵も無邪気に喜んで行く。

 

 「あのウルトラマン達すごーい!!」

 

 「そうね…あれが、兄弟の絆の力。」

 

 そう悟ったアニーに、アサヒは嬉しそうにこう言った。

 

 「そうです! 兄弟が力を合わせれば、何でも出来るのです!」

 

 

 「あり得ない…こんな事が…!」

 

 なおも動揺するマグマ星人に、慧はこう言った。

 

 「貴様らの負けだ。 大人しく帰って、罪を償ったらどうだ?」

 

 

 だが、マグマ星人が素直に聞くはずが無い。

 

 「ふざけるな! こうなったら俺自ら行ってやる! そしてジェノア様と共にあの兄弟どもをぶっ倒した後、世界の破壊を再開するのだー!!」

 

 そう叫びながら、マグマ星人は巨大化してロッソとブルの前に立ちはだかる。

 

 「さぁジェノア様! 我々で一気にやっちゃいましょうぜ!」

 

 「フッ、仕方がない。 よくぞここまでやったな兄弟ウルトラマンども! だが、ここで終わりだ!」

 

 ジェノアは共闘に賛成し、ロッソ・ブル兄弟に啖呵を切る。そして、マグマ星人と共に構えを取る。

 

 

 だが、決して心が揺るがない兄弟は、自分達を応援してくれる慧達や町の人々を見て、啖呵を切り返す。

 

 「俺たちは負けない! ウルトラマンを信じてくれる、みんながいる限り!」

 

 「俺たちも、とっておきを見せてやる!」

 

 

 R/B兄弟は最後の変身に入る!

 

 《キワミクリスタル!》

 

 「「セレクト! クリスタル!」」

 

 カツミは、ルーブクリスタルの力を結集した究極のクリスタル『キワミクリスタル』を起動させ、イサミと共に口上を上げた後に展開する。

 

 《兄弟の力を一つに!》

 

 七色に光るキワミクリスタルをルーブジャイロにセットすると、カツミとイサミの背後に『ウルトラマン』と『ウルトラマンベリアル』、そしてタロウ、ティガ、ギンガ、ビクトリーのビジョンが現れ、やがて七色の光と共に極の紋章に変わる!

 

 「「まとうは極! 金色(こんじき)の宇宙!」」

 

 カツミはキワミクリスタルをセットしたルーブジャイロを揚げ、イサミと共に口上を上げた後、グリップを三回引いて極の力を解放する!

 

 

 《ウルトラマンルーブ!》

 

 

 キワミクリスタルの力でロッソとブルは『ウルトラマンルーブ』へと合体変身し、七色の光の中から右拳を突き出して飛び出す!

 

 「デュアッ!!」

 

 

 黄金の輪っかのような光を発しながら現れたウルトラマンルーブは構えを取る。

 

 金、銀、黒が基調の神々しい姿に、ロッソ・ブルの時よりも凛とした顔つきが特徴のその姿は、それを見ただけで希望を感じる人も出て来る程である。

 

 

 「わぁ…金と銀がすごく綺麗でかっこいい…!」

 

 「すごーい! がんばれー!!」

 

 アニーはルーブの神々しい姿に見惚れ、佐希恵は更なる応援の声を掛け始める。

 

 

 「マグマ星人、まずはお前から行ってみろ。」

 

 「イエッサー! お任せくだせぇ!」

 

 ジェノアの命を受け、マグマ星人は余裕綽々にサーベルを構えてルーブに駆け寄る。

 

 「どんな姿になろうと関係ねぇー!」

 

 

 (BGM:Ready To Beat)

 

 

 人々の歓声を背に、ルーブも戦闘を開始する!

 

 ルーブはマグマ星人向かって颯爽と駆け始め、振るって来たサーベルを左腕で受け止めて右肘を胸部に打ち込み、続けて胸部に右足蹴りを叩き込んで後退させる。

 

 「ぐっ!…ヤロー!」

 

 怯まずマグマ星人は突撃しながらサーベルを突き立てるが、ルーブはそれを避けると同時にマグマ星人の背中に左脚蹴りを決め、続けて腹部に右脚蹴りを打ち込んで屈ませた所に更に左脚を大きく振り上げて強力な踵落としを背中に叩き込んで地面に叩きつける!

 

 

 無駄の無い余裕な動きで相手の攻撃を受け流し、ロッソ・ブルの時よりも大幅に上がった攻撃力で確実な一撃を決めていくルーブの戦闘スタイルの前に早くもダウンさせられたマグマ星人。

 

 「クッ…こうなったら俺様がぶちのめしてやるぜ!」

 

 遂に業を煮やしたジェノアは自らルーブを倒そうと、左手から火球を連射し始める。

 

 ルーブはそれらをかわしたりチョップで弾き飛ばしたり等しながらジェノアに駆け寄り、やがて接近すると同時に右足蹴りを胸部に叩き込む!

 

 ジェノアは負けじと左腕のデスレムクローを振るって殴りかかるが、ルーブはそれを右腕で受け止めて左拳で叩き落した後、ジェノアの胸部に左右の拳交互にパンチを連打していき、更に強力な右拳での一撃を顔面に叩き込んで吹っ飛ばす!

 

 

 カツミ・イサミ兄弟の意思が合致した時に変身可能であり、極を纏っているだけあって圧倒的な力を持つルーブは、湊家、そしてその他の家族(世界中の人々)への思いを胸に、邪悪な宇宙人達を圧倒していく!

 

 そんなルーブを見つめながら、慧は心で呟いた。

 

 (たとえ絶望が襲って来ても…決して絆を、明日を諦めない限り、希望は開ける…。 それをあの兄弟と妹のアサヒちゃん、そして、佐希恵ちゃんが気づかせてくれた気がするな…。)

 

 慧はそう心で呟いた後、湊兄妹たちへの感謝の表れでもある満面の笑みを見せながらルーブを応援する。

 

 

 「頑張れ、兄弟ウルトラマン。 君達なら負けない。」

 

 

 ルーブは再度襲って来たマグマ星人のサーベルによる突きや斬撃をことごとくかわしていき、やがてサーベルを左手で掴んで受け止めると、そのまま跳躍して落下の勢いも加えた左の手刀を叩き込んでへし折る!

 

 「うぉわっ!? 俺のサーベルが…!」

 

 激しく火花を散らしながら折れた自身のサーベルに動揺するマグマ星人に、ルーブは胸部に右足蹴りを叩き込んで吹っ飛ばす!

 

 

 次にルーブは、振り向き様に上段回し蹴りをジェノアの頭部に叩き込み、次にジェノアが放ったデスレムクローでの殴り込みを左腕を掴む事で受け止め、そのまま頭上高く担ぎ上げて放り投げる!

 

 投げられたジェノアは、マグマ星人の近くに落下した後、立ち上がる。

 

 

 「「ルービウム光線!」」

 

 

 ルーブは両腕を回転させてエネルギーを集中させ、十字に組んで黄金の必殺光線『ルービウム光線』を放つ!

 

 ジェノアは、迫り来る光線に気付くや、あろうことか近くにいたマグマ星人を前方に突き飛ばして盾にしてしまう!

 

 正に「近くにいたお前が悪い」とはこの事である。

 

 「そんなぁぁぁ!! そりゃ無いっスよ旦那ああぁぁぁ!!」

 

 哀れ盾にされたマグマ星人は、光線の直撃を受けて大爆発した。その爆発の中から現れる形で、ジェノアは上空に飛び立つ。

 

 

 「何て卑劣な奴だ!」

 

 「あんな奴には絶対に負けない!」

 

 カツミとイサミは、仲間を平気で切り捨てたジェノアに更なる怒りを見せる。

 

 

 「「ルーブコウリン!」」

 

 カツミは円形の万能武器『ルーブコウリン』を取り出して6枚刃を展開し、それによりルーブもカラータイマーに手を当ててルーブコウリンを手に取って上空に飛び立つ!

 

 

 「ルーブコウリンブル!」

 

 まずはイサミが手にして“ルーブコウリンブル”となり、上空で超スピードで移動しながらジェノアにすれ違い様に斬撃を叩き込んで地面に落下させる。

 

 

 「ルーブコウリンロッソ!」

 

 次にカツミが手にして“ルーブコウリンロッソ”となり、接近した後にジェノアに左右袈裟懸けに斬撃を決め、更に下から振り上げる形の斬撃を下半身から胸部にかけて叩き込む!

 

 ジェノアは斬られた部位から爆発と共に火花を散らしながら吹っ飛んだ。

 

 

 「ぐっ…何故だっ! …暗黒四天王の一人だったデスレムの血を引く俺様が、何故兄弟ごときに!」

 

 自分の不利を認められないジェノアに、R/B兄弟は答えた。

 

 「俺達には、俺たちの守るべきものがある!」

 

 「お前は、仲間を平気で切り捨てた!」

 

 「「それだけの違いだー!」」

 

 

 ルーブはジェノアが立ち上がったところで大きく跳躍しながら接近し、ルーブコウリンによる落下の勢いも加えた強力な一撃によりデスレムクローを叩き折った!

 

 そこから更に左右横降りの斬撃を胸部に決め、左脚蹴りを腹部に打ち込んだ後、パンチの要領で放つルーブコウリンでの渾身の一撃を胸部に叩き込み、その部位から火花を散らしながら吹っ飛ばす!

 

 

 ルーブの猛攻、そしてルーブコウリンによる斬撃を連続で受けたジェノアは、遂に弱ってきていた。そして、ルーブもカラータイマーが赤く点滅を始める。

 

 今こそトドメの時だ!

 

 

 「よっしゃ! 決めるぜ!」とイサミ。

 

 その時、カツミ・イサミ兄弟の前に、優しい光と共に一人のオーラが現れる。

 

 そのオーラの正体は湊アサヒであった。

 

 

 「カツ兄…イサ兄…私も一緒に。」

 

 二人にそう語り掛けるアサヒ。実は彼女の正体は、人を思いやる気持ち、ハッピーな心の集合により生まれたと思われるクリスタルであり、ルーブジャイロがカツミ・イサミ兄弟の元に現れたと同時に誕生したのである。

 

 妹でありながら、家族との思い出の記憶が曖昧なのはそのためである。

 

 

 彼女はかつてルーゴサイトとの最終決戦の際、湊兄妹の絆による『マコトクリスタル』を作り出す原動力になり、兄達の逆転勝利に貢献している。

 

 そして今回も、兄達の勝利のためにマコトクリスタルを起動しようと現れたのだ。

 

 

 しかし、兄達の反応は違った。

 

 「サンキュー、アサヒ。でも大丈夫だ。」

 

 「お前は、(佐希恵の方を向きながら)一人の心を救うために十分頑張ってくれた。」

 

 「だから、あとは俺達に任せてくれ。 コイツとは、俺達二人がケリをつける!」

 

 アサヒの労を労い、二人で決着を付ける事を決めていたカツミ・イサミ兄弟。そんな兄達の言葉を聞いたアサヒは、満面の笑みと共にその場から消え慧達の元に戻る。

 

 

 アサヒの協力を断ったカツミ・イサミ兄弟。アサヒはかつてマコトクリスタル起動と引き換えに一度消滅した事があるため、恐らくそれが再び起きないための意図もあったのだと思われる。

 

 

 「終わりにしてやる! 喰らえぇぇぇ!!」

 

 ジェノアはそう叫ぶと、左手から全力を込めた火炎放射を放つ!

 

 

 遂にジェノアとの決着を付ける時が来たルーブはルーブコウリンを構える。

 

 《高まれ、究極の力!》

 

 カツミは、キワミクリスタルのスイッチを押した後、音声と共にキワミクリスタルをルーブコウリンにセットし、ルーブコウリンの後部スイッチを押す事で必殺技を発動する!

 

 

 「「ルーブボルテックバスター!!」」

 

 

 ルーブはエネルギーを溜めた後、突き出したルーブコウリンから必殺光線『ルーブボルテックバスター』を放つ!

 

 「「はああああぁぁぁ!!」」

 

 七色の破壊光線は、兄弟の気力の高まりと共に威力を増していき、やがて火炎を全て押し切った後ジェノアに直撃する!

 

 「ぐぉわああぁぁっ!! お…俺様…の…野望も…ここまでなのか…? 残念無念~!!」

 

 ジェノアは最期にそう叫ぶと、大爆発して消し飛んだ。

 

 

 (BGM終了)

 

 

 遂に、邪悪な侵略者の軍団を倒したR/B兄弟。戦いを見守っていた町の人々は一斉に感謝の歓声を上げ始め、慧達も喜び合う。

 

 「やったー!ウルトラマンが勝ったー!」

 

 「良かったね!」

 

 元気よく喜ぶ佐希恵に、アニーは同調する。

 

 「この世界は、もう大丈夫そうだな。」

 

 兄弟ウルトラマンの強さを見届けた慧も、安心の表情でそう呟いた。

 

 

 「カツ兄、イサ兄、ありがとうございます。 ハッピー!」

 

 アサヒは笑顔で兄達に感謝しながら、ハッピーのポーズを決めた。

 

 

 そして、友達でもあった美剣サキの形見でもあるオレンジが基調のルーブジャイロ(美剣サキ仕様)取り出して呟いた。

 

 「また、お兄ちゃん達がやってくれましたよ。ツルちゃん…。」

 

 

 戦いを終えて、変身を解除して戻って来たカツミ・イサミ兄弟を慧達、そして妹のアサヒが迎える。捕えられていたえりな、ななかも無事に解放された。

 

 

 僕、竜野慧は、凄いモノを目撃した。

 

 この世界にもウルトラマンが存在し、しかもそれが兄弟であり、更に町の人々みんな“家族”と見て、それらとの絆を諦めない力で戦い抜いたのだから…。

 

 絆を諦めない。それが家族…。そんな彼らを見て僕は決めた…。僕も、決して家族との絆を諦めない事を…。

 

 

 それに、まさかアサヒちゃんがクリスタルの化身だったとは驚きだなぁ…。どうりで彼女からも何処か特別なオーラを感じたワケだよ。

 

 でも、例えどんな存在でも家族として、妹として受け入れた湊家。 なんて度量が大きい一家なんだろう。 それに、湊家関連で誕生した者だから家族である事に変わりは無いんだろうな。

 

 

 何はともあれ、この世界の危機が救われ、そして佐希恵ちゃんも元気を取り戻してくれた。これで一件落着だね!

 

 

 「カツミ君、イサミ君、そしてアサヒちゃん…君達は、本当に素晴らしい兄妹だ。」

 

 「君達なら、どんな困難も超えて行けそうね。」

 

 僕とアニーは湊兄妹に労いの意も込めて言葉をかける。

 

 

 「慧さん達こそ、未来人…別の世界の人でありながら、この世界のためにありがとうございます。」

 

 「あなた達に会えてハッピーでした!」

 

 カツミ君とアサヒちゃんが感謝の言葉を返してくれた。嬉しいな。

 

 

 「しかしスゲェよな!まさか未来人が来るなんて…ちょっと、そのペンダント調べてもいいですか?」

 

 「ほらイサミ、いつものクセが出てんぞ。」

 

 イサミ君は未来から来た僕達に興味津々であり、それにカツミ君が突っ込みを入れる。

 

 …まぁ、確かに未来人が来るのって普通に考えて驚きだし、そりゃあ興味も湧いて来るよね(笑)

 

 

 次に僕は、佐希恵ちゃんの方へ。

 

 「佐希恵ちゃん。君は本当に素直で偉い子だよ。 だからこれからもお母さんを…家族を大事にね。」

 

 「うん! 今日は本当にありがとう。慧さん。」

 

 改めて元気を取り戻した佐希恵ちゃんを見た僕は、自然と笑顔になれた。

 

 

 その時、僕達の元に1人の女性がやって来る。カツミ君達の母さん・ミオさんだ。

 

 かなりのべっぴんさんだなぁ…。それに、さっきはあのビル(アイゼンテック)にいたのにもうここに来るなんて、凄い行動力だ。

 

 「カツミ、イサミ。今日は本当にお疲れさん!」

 

 ミオさんは気さくにそう言いながらカツミ君とイサミ君の背中を叩く。

 

 「あはは…ありがとう母さん。」

 

 カツミ君は苦笑しながら母ミオさんにお礼を言う。

 

 

 「…この人達は?」

 

 次にミオさんは僕達に気づく。アサヒちゃんは紹介してくれる。

 

 「私達の新しい友達、竜野慧さんとアニーさんです!」

 

 「ほほーぅ、なかなかの美男美女じゃない!」

 

 そう言いながらミオさんは僕達の背中も叩く。 綺麗でパワフルなお母さん…なかなか魅力的な人だな。

 

 

 そしてミオさんは、カツミ君達にこう言った。

 

 「今夜はすき焼き! 母さんはもう少しアイゼンテックでやる事があるから、お疲れな所悪いけど、帰りに豆腐とネギ、白滝を買って来てね! うーたんも、お腹を空かせて待ってるハズだから。」

 

 「分かったよ、母さん。」 「先に準備しておくね。」

 

 カツミ君もイサミ君も笑顔で応えた。

 

 

(因みにカツミ達の両親は、互いに“うーたん”、“みーしゃん”と呼び合っている。 かなり仲良しな夫婦みたいだ。)

 

 

 すき焼きか…思えば僕の母さんも、よくすき焼きを作ってくれてたっけ…。

 

 「良かったら、慧君たちもどう?」

 

 「あと、佐希恵ちゃんも、万智ちゃんと一緒に!」

 

 ミオさんとアサヒちゃんは僕達、そして佐希恵ちゃん達も誘ってくれる。

 

 「…え? いいのですか?僕達まで…。」

 

 「折角だから呼ばれようよ。この世界での、一つの思い出として。」

 

 「…そうだね。じゃあ、お邪魔します。」

 

 アニーの背中押しにより、僕は呼ばれる事にした。

 

 「わーい!すき焼き楽しみ!」

 

 佐希恵ちゃんも無邪気に喜ぶ。

 

 

 「じゃあ、いつもの倍は材料買わないとね。 と言うワケで荷物持ちよろしくな、カツ兄。」

 

 「え?嫌だよイサミも持てよ。」

 

 「いや俺無理〜だってルーブジャイロ持ってんだもん。」

 

 「いやそれは俺も同じだろ。」

 

 気がつけばいつものやり取りを始めているカツミ・イサミ兄弟を見つめて笑いながら、僕達は彼らの家に向かい始める。

 

 

 そして、すき焼きの買い出しをした後、僕達は湊家の家でもあるセレクトショップ・クワトロMに着く。佐希恵ちゃんはそこでお母さんへの誕生日プレゼントのTシャツを買う事にした。

 

 この店はTシャツの他にも帽子やコート、サングラス等、色んな物が置いてあって実に品揃えがいい店だ。

 

 そしてこの店のオーナー・湊ウシオさんが出て来て迎える。

 

 「お、お帰りカツミ、イサミ、アサヒ。 あれ?みーしゃんは?」

 

「まだアイゼンテックでやる事があるってさ。」

 

ミオさんがいない事に疑問をかけるウシオさんにイサミ君は答えた。

 

「ん?この人たちは誰だ?」

 

 ウシオさんも僕達に気付いて興味を持ち始める。またしてもアサヒちゃんが紹介してくれる。

 

 「私の新しい友達です。」

 

 「竜野慧と言います。」 「私はアニー。よろしくお願いします。」

 

 「アサヒ…お前、いつの間に新たに二人も出来たんだ?」

 

 ウシオさん…意外と親バカなのかな?(笑)

 

 

 「今日ですよ。」

 

 「ほほぉ、なかなかいい感じの二人じゃないか。 そんな二人には、これだ!」

 

 ウシオさんはそう言いながら、新作と思われるTシャツを僕達に見せる。

 

 「父さんまたTシャツ作ったのかよ。」

 

 イサミ君が若干呆れながらも笑いながら言った。なんでもウシオさんはブランド『UshioMinato』を手掛ける服飾デザイナーで、特にTシャツのデザインは毎日行っているのだが、いつも独特なセンスであまり評価が良くないらしい…(苦笑)

 

 Tシャツにはそれぞれ大きく“美男女”という文字が、それぞれ美が金色、男が青色、女が桃色でプリントされている。

 

 「これはなかなか…。」 「絶妙なTシャツですね。」

 

 僕とアニーは少し困惑しながらも、その独特なセンスのTシャツをとりあえず褒める。 て言うか、また“美男美女”って言ってもらえた…嬉しいな(笑)

 

 「父さんまた間違えてるよ。 “美男女”じゃなくて“美男美女”。」

 

 「え? そうだっけ?」

 

 カツミ君が突っ込みを入れた事で、場が笑いに包まれる。 ウシオさん、ドジな一面もあるのか…結構面白いお父さんだな。

 

 

 他にも彼がデザインしたTシャツを見てみると…“I♡綾香市”や、“親知らず”、“汗染み”、“もう、おしまいです”、“大円団”etc…。

 

 う~ん、どれも実に独特なセンスだな…(苦笑) (中には“父の背中を超えていけ”などと比較的マトモな事を書いているのもあったが…。)

 

 「私、これにする!」

 

 そんな中、佐希恵ちゃんは決めた。青と黄色の鮮やかな色合いが特徴の“☆いとしいHAPPY&BLUE”だ。

 

 なるほど。これは女性も好きそうな可愛らしいデザインとカラーリングだ。

 

 「(笑顔で)いいんじゃない?」とアニー。

 

 

 「ねぇ、折角だから私達も何か買って行かない? この世界からの自分へのお土産として。」

 

 「え? そうだな~…。」

 

 アニーの提案を受けて、僕は困惑しつつも全種類のTシャツを見渡してみる…。

 

 

 その時、僕はある一つのTシャツに目が止まった。

 

 

 それは、“うちゅ~ん”とデザインされたTシャツである。

 

 

 「じゃあ、これにしよっかな。」

 

 これもなかなか独特なセンスなのだが、何故か僕はこのフレーズが気に入ってしまった(笑)

 

 「お!慧君だっけ? 君なかなかお目が高いね~!」

 

 どうやらこの“うちゅ~んTシャツ”は、ウシオさんのイチオシだったみたいである。

 

 因みにアニーは「かわいいから」という理由で“にゃんちゃって”Tシャツに決めた。

 

 

 「良かったな~父さん。今日はTシャツが三着も売れて。」

 

 「なんだよ! 普段だって売れてんだろ?」

 

 「なな、今度は俺たちにもデザインさせてくれよ、絶対父さんよりいいの書ける自身がある。」

 

 「おいおいおい!父さんのこの素晴らしいセンスを超えるなど至難の業だぞ~!」

 

 「よく言うよ自分で!」

 

 カツミ・イサミ兄弟がおちょくったのがきっかけで、何処か楽しそうに他愛もない言い合いを始める湊親子。そんな様子を僕とアニー、佐希恵ちゃん、そしてアサヒちゃんは笑いながら見つめた。

 

 

 その夜、僕達は湊家で晩御飯のすき焼きを呼ばれた。

 

 湊家五人に僕達四人を加えた計九人での食事は実に賑やかで、ワイワイと色んな人と色んな話を楽しみながらすき焼きを頂いた。

 

 この賑やかさも、正に“家族”って感じでやっぱりいい感じだな…。すき焼きもとても美味しかったし。

 

 まぁ、僕は僕の母さんのすき焼きが一番好きだけどね。これだけは譲れない(笑)

 

 

 そしてご飯を呼ばれ、湊兄妹や木下姉妹とカードゲーム等をして楽しんだ後、僕達は未来に帰る事にした。

 

 

 「それじゃあ、お元気で。さようなら!」

 

 「またいつでも遊びに来てくださいね!」

 

 「友達になれてハッピーでした!」

 

 

 「またいつか遊びに来るね!」

 

 「ご馳走さまでしたー!」

 

 手を振りながら別れの挨拶をする湊兄妹に、僕達も歩き去りながら手を振る。

 

 

 「それじゃ、帰ろっか。」

 

 「えぇ、そうね。」

 

 そして、湊家が見えなくなった所で、僕達は力が回復したタイムワープのペンダントを起動させ、それにより発生した時空移動空間の入り口に入った。

 

 

 入り口は僕達が入ると同時に閉じる。 今日も別世界でいい体験をしたな…。

 

 あめ玉とおまんじゅうを通じてアサヒちゃんと仲良くなり、それに続く形で一人の少女の心を救い、そしてウルトラマンの兄弟に出会えたのだから…。

 

 

 そして彼らのおかげで、“決して絆を諦めない事”の大切さに気付いた…。

 

 

 だから僕も諦めない…。帰った先の未来で、元気な家族が待ってくれているのを…。

 

 

 

 やがて未来(自分の時代)に帰った僕は、アニーと別れた後、自分の家に辿り着く…。

 

 

 ガルキメス軍団の襲撃で死んだ事になっていた母さんは…妹の爽はどうなっているのだろうか…。

 

 

 不安が募って行く中、僕は“男は度胸だ!”!とばかりに遂にドアをオープンさせて家の中に入った。

 

 

 そして、恐る恐る帰宅の挨拶をした。

 

 

 「…ただいま!」

 

 

 玄関から力の入った挨拶が家中に響いた後、数秒間沈黙が続いた…。

 

 

 …やはり何も変わらなかったのか…そう思ったその時、台所がある大部屋から、一人が姿を現して僕を見つめた。

 

 

 …なんとその人は女性であり、僕は一瞬目を疑った!

 

 

 …そしてその女性は、柔らかい笑顔、優しい声で僕にこう言った…。

 

 

 「…お帰り。」

 

 

 …間違いない。僕を迎えてくれたのは、母さんだ!

 

 

 (ED兼BGM:夢飛行(1番+2番サビ~))

 

 

 湊兄妹が教えてくれた決して絆を諦めない気持ちが、不安定な未来をいい方向へと変えてくれた!

 

 

 そう確信した慧は、嬉しさの余り思わず母に抱き付き、嬉し涙を流し始める。

 

 「…良かった…本当に良かった…。」(この瞬間…起こった奇跡…それはきっと、嘘じゃない…!)

 

 「ちょっと…どうしたのよ…。」

 

 息子の思わぬ行動に少し困惑しながらも、母は優しい表情で息子・慧の頭を撫でる。

 

 

 その時、誰かが一人、家に帰って来る。

 

 「あれぇ? お兄ちゃん泣いてるの?」

 

 ブレザーの制服姿で帰って来たのは、現在高校生の妹・爽である。

 

 

 「ちげーよ。ゴミに目が入っただけだ。」

 

 慧は焦りの余りに“目にゴミが入る”を言い間違えてしまう。

 

 「ゴミに目? ふふっ、お兄ちゃん何言ってるのよ!」

 

 可笑しくなった慧と爽、そして彼らの母は笑い合う。

 

 そして、同時に慧は嬉しさが増した。 未来が変わったから、こうやって賑やかな家族の雰囲気が戻って来たのだと…。

 

 

 更に家族らしい会話がしたくなった慧は、晩御飯の話に入る。

 

 「ねぇ母さん、今日の晩御飯は何?」

 

 「今日は爽ちゃんの好きなハンバーグよ。」

 

 「やったー! さっきまで疲れてたけど元気出る~!」

 

 「じゃあ、今日は僕も手伝うよ!」

 

 「そう? じゃあ、まずは買い出し頼もうかしら。」

 

 「あ、じゃあ私も行くわ!」

 

 「それじゃあ、僕はスーパーで玉ねぎや人参、パン粉を買って来るから、爽は肉屋さんでミンチ買って来て。」

 

 「オッケー!」

 

 晩御飯の買い出しを引き受けた慧と爽は、買い物袋を手にそれぞれの方向へと出かけて行った…。

 

 

 そして道を歩きながら、慧は嬉しそうに青空を見上げながら呟いた。

 

 「この平和がいつまでも続くように…僕達も頑張るよ。 兄弟ウルトラマン、アサヒちゃん。」

 

 

 そしてカツミ達の世界で数週間後のある日、カツミはいつものように大学に向かうイサミと、高校に向かうアサヒを見送っていた。

 

 「それじゃ、行って来るわ。」

 

 「行ってきますカツ兄。」

 

 「行ってらっしゃい。今日もお互い頑張ろうな。」

 

 「おぅ!」

 

 カツミとイサミはタッチを交わした。

 

 

 その時、アサヒのスマホに着信が入る。 木下佐希恵からだ。

 

 どうやらあれから母親と和解することが出来、プレゼントも気に入ってもらえたみたいである。そして母親は無事退院出来たのだと言う。

 

 「佐希恵ちゃん、お母さんと仲直りしたんだな。」

 

 「これで本当の一件落着だね。」

 

 それを知ったカツミとイサミは安心する。

 

 「はい!ハッピーです! この事を慧さんにも知らせよっと♪」

 

 

 そして慧の世界にて。スマホのLINEによりアサヒからの報告を受けた慧も、安心の表情になる。

 

 「良かった…佐希恵ちゃんの家族も元に戻って。」

 

 因みに慧の使っているスマホは未来の技術により、別の世界の人とも連絡が取り合える非常に万能な機能が備わっているのだ。

 

 住んでる世界が違うアサヒとLINEのやり取りが出来るのもそのためである。

 

 慧はアサヒに返信した。“これでみんなハッピーになったね!”と。

 

 

 その時、小柄でポニーテールとシュシュ、小顔ながらぱっちりとした目が特徴の一人の可憐な女子が慧に話しかける。

 

 「何してるの?慧君。」

 

 「え? 友達とLINEしてたんだよ。」

 

 「へぇ~、とてもそうには見えなかったな~顔からして。」

 

 「なっ…何変な事言ってるんだよ。」

 

 「ふふふ、冗談よ冗談。さ、授業が始まるよ。」

 

 「そうだね。行こっか。」

 

 「はぁ〜、授業の後学食で何食べよっかな~?」

 

 「今日は唐揚げのおろしポン酢が食べたいかも。」

 

 「はぁぁ!それいいね〜!」

 

 慧はその女子と一緒に他愛もない会話をしながら授業が行われる教室に向かい始める。

 

 

 未来がいい方向に変わった事により、慧はまた大学生活が送れるようになったのである。

 

 慧が通っている大学の名前は、父・櫂の母校・麟慶大学だ。

 

 

 因みに慧と一緒にいる女子は、名前は『眞鍋美桜』(まなべみお)である。

 

 苗字で大体分かると思うが、皆がよく知る“あの人物”の娘である。

 

 小柄でニッコリしてて元気一杯な性格…確かに、とても母である“あの人物”によく似ている。

 

 

美桜と一緒に教室に入り、窓際の机に座った慧は、ふと笑顔で窓の外の青空を見上げる。

 

別の世界で頑張っているカツミ・イサミ・アサヒの姿を思い浮かべながら…。

 

 

僕、竜野慧は、数週間前に別の世界で出会った湊家を決して忘れる事は無いであろう。

 

彼らのおかげで、僕達家族の物語は再び始まったのだから。

 

湊家の物語、そして僕達竜野家の物語はこれからも終わる事は無いであろう。

 

みんなが、決して絆を諦めない限り!

 

 

竜野櫂の息子・竜野慧の物語はひとまずハッピーエンドとなった。

 

これからも彼は、父譲りの強さと、母譲りの優しさで、正しく生きて行けるであろう。

 

 

〈完〉




 読んでいただきありがとうございます!いかがでしたか?


 ウルトラマンR/Bはニュージェネシリーズの中でもコメディ色が強かったし、後半は先の読めない展開になったりなど、結構楽しめた作品でした。

 主題歌担当もオーイシマサヨシさん、三森すずこさんと豪華さが増した気がしましたね。

 また、愛染マコトや美剣サキ、ルーゴサイト等、様々な敵との戦いが展開された所も面白かったですね。

 そして“兄弟”の、そして“家族”の物語でもあったR/Bと絡めるため、今回は櫂の息子の慧を主役にしました。


 劇場版はジードの他にも、新悪のウルトラマンのトレギア、新ウルトラウーマンのグリージョ、そして新合体ウルトラマンのグルーブと、新しいウルトラ戦士がいっぱい登場するのでとても楽しみですね。


 因みに余談ですが、私の推しは湊カツミで、彼のジャケットを購入しました(笑)

 あと、ウルトラマンだとロッソ派、属性だとフレイムとウインド、ウシオさんのTシャツだと“うちゅ〜ん”Tシャツ、エピソードだと「さよならイカロス」が特に好きでしたね。

 今回も後書きが長くなって申し訳ありません。


 今年も時間を見つけては作品を制作して行こうと思いますので、宜しければ今年もよろしくお願いします。


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