ウルトラマンゼロ物語(ストーリー) in RED ZONE STAGE 作:剣音レツ
実は私・剣音レツは今年就職しまして、それにより更に忙しくなってしまいました。
…とまあ、言い訳もここまでにして(笑)、なので、今年は更新が遅れ気味なのをお詫び申し上げます。
さて今回は、あの“伝説の英雄”と謳われる、“ダイナミックな、ダイナマイトな”ウルトラ戦士が参戦します!
また、いつも通りサブタイトルも1つ隠しております。
また、ジードを見た人なら思わずクスっとなる(?)ようなシチュエーションもあります。
では、どうぞ!
(OP:ULTRA BRAVE)
桜井敏樹からの新たな刺客であり、ゼットン星人随一のゼットン使いを豪語する『ゼットン星人ゼボス』が引き連れて来た『宇宙恐竜ハイパーゼットン(イマーゴ)』『EXゼットン』『吸血怪獣ギマイラ』の強豪怪獣軍団により、敗退してしまったコスモス、ジャスティス、ギンガ、ビクトリーの4大ウルトラ戦士…。
4人の変身者は次の変身が困難になる程のダメージを受けてしまい、潮風町の人々、そして真美達は、もはや絶望に打ちひしがれ始めていた…。
そんな彼らを嘲笑うかのように、ギマイラは夕焼けの町を傍若無人に暴れ回る!
頭部の角からの稲妻状の破壊光線、その角を活かした頭突き、怪力を誇る腕や尻尾などで、次々とビル等を破壊し、踏みつぶして行くギマイラ。
そして、それにより飛び散る瓦礫などが、人々にも降りかかろうとしていた!
「みんな!!危ない!! 早く中に避難しろ!!」
佐藤宏隆が咄嗟にそう叫んだ事により、人々は一斉に廃工場内へと避難を始める。非難する人々の中には恐怖で悲鳴を上げたり、耳を塞いだりしている者もいた。
新田真美、眞鍋海羽、八橋ひかるも、人々に落ち着くように呼びかけながら避難して行く。
その時3人は、転んだ状態で泣きじゃくっている、クマのぬいぐるみを抱いた幼女を見つける!
「はっ…海羽ちゃんひかるちゃん、先に行ってて。」
「真美ちゃん!?」 「気を付けてください!」
真美は幼女の元に急行し、「大丈夫?」と声を掛けながら抱き上げようとするが、そこに破壊されたビルにより発生した小さなコンクリートの破片が飛びかかる!
「危ない!!」
宏隆は咄嗟に両腕を広げ、盾になる事で真美達を庇う。
しかし、破片の中でも大きい一つが宏隆の右肩に当たってしまう!
「…っぐはっ!」
「はっ…宏隆君大丈夫?」
「心配…いらないさ…早くその子を。」
宏隆は痛そうに右肩を押さえながらも促し、真美は幼女を連れて避難し始める。
宏隆の後輩・小河寿美江は、失意ながらもその様子をじっと見つめていた…。
「…佐藤先輩…。」
一方、その様子を宇宙空間から千里眼で見ていたゼボスは何かを思い付く。
「もうちょい戦力を増やしておけば、より多くの絶望を集められるかもなぁ…。 ギマイラ!その男も怪獣にしてしまえ!」
テレパシーでゼボスの指示を受けたギマイラは、怪我で動きが鈍っている宏隆に視線を向け、角に怪獣化光線のエネルギーを溜め始める!
「マズい…!」
それに気づいた宏隆は足を速めようとする。
「はっ…宏隆君…!」
「宏隆君危ない!!」 「佐藤先輩!!」
少女を非難させた真美、そして海羽、ひかるも呼びかけるが、光線はもう発射寸前であった!
宏隆も怪獣にされてしまうのか!? そう思ったその時!
突如、上空から手裏剣状の光弾が飛んで来てギマイラに命中して爆発する。
光線発射を妨害されたギマイラが上空を振り向いた時、更にそこから光を纏った何かが高速で飛んで来て体当たりを仕掛け、その直撃を受けたギマイラは転倒する。
飛んで来た者は着地し、やがて立ち上がると同時に纏っていた光を消滅させて姿を現す。
真美達は、眩い光で目を覆いながらも、そこから現れる巨人を見上げる。
現れたのは、青と銀のボディが特徴の戦士『ウルトラマンダイナ(ミラクルタイプ)』である!
『ウルトラマンダイナ』。それは、人類が宇宙開発に希望を求めて火星に前線基地を構築し、“ネオフロンティア”と呼ばれる大航海時代を迎えた世界『ネオフロンティアスペース』からやって来たウルトラマンである。
その世界で、ネオフロンティア計画を推進する『地球平和連合TPC』に所属する特捜チーム『スーパーGUTS』のメンバーである型破りな青年『アスカ・シン』と一体化した後、『宇宙球体スフィア』を始め、様々な怪獣や異星人等と戦い、その世界の平和を守って来た。
そして、『暗黒惑星グランスフィア』を撃破後、その際に発生したワームホールの中に消えて生死不明となるが、その後『ZAP SPACY』と出会う形で怪獣墓場での『ウルトラマンベリアル』の怪獣軍団との戦いに参戦する事で生存が判明し、その後も“フューチャーアース”でゼロやコスモスと共にバット星人の侵略に立ち向かったり、“王立惑星カノン”に迫る危機を察知して救援に駆け付けたりなど、宇宙を旅しながら様々な敵と戦い続けている。
そして今回、ゼロのウルトラサインでの呼びかけに応えてこの世界に駆け付けたのである!
「あれは…!」 「確か鎧君が言っていた…ウルトラマンダイナ!」
宏隆はダイナの登場に驚き、海羽も同じく驚きながらも名前を思い出す。
さっきまで怯えていた人々も、予期せぬ新たなウルトラマンの登場に少し表情が和らぐ。
先ほどギマイラが受けた光弾は『ビームスライサー』であり、同じく受けた体当たり技は『ミラクルロケットアタック』である。
因みにダイナを見上げる人々の中に“ウルトラマンジャイアン”だの“ウルトラマンスーパーデラックス”だのと言い間違えている人もいた気がするのだが気のせいだろう(笑)
ギマイラは新たに現れたウルトラマンを前に威嚇するように咆哮を上げ、やがてダイナも構えを取り、両者は対峙する。
ギマイラは先手として角から稲妻状の破壊光線を放つが、ダイナはそれを素早く受け身を取ってかわすと同時に接近し、腹部にストレートパンチ、一回転してのチョップを続けて打ち込む。
少し怯んだものの、大したダメージを受けた様子を見せないギマイラは、頭部を振り下ろして角を活かした頭突きを繰り出す。
ダイナはそれを両腕で受け止めた後そのまま頭部に何度も手刀を振り下ろすが、やがて振り飛ばされ、更にギマイラの右フックを頭部に喰らい吹っ飛ぶ。
ギマイラは再度、角から破壊光線を放つが、ダイナは即座に受け身を取って立ち上がり、振り向き様に両腕を突き出して光線を吸収した後、右腕を突き出して撃ち返す。
これぞ、スピードとサイキック能力に秀でたミラクルタイプの超能力の一つ『レボリウムウェーブ・リバースバージョン』だ!
撃ち返された自身の光線の直撃を受けたギマイラは大爆発する!
…しかし、爆風が晴れた先にはバラバラになった死骸らしきモノが見えず、地面は何者かが掘って潜ったかのように盛り上がっていた。
どうやら逃げられてしまったようである。
「逃げられたか!」
ダイナはアスカの意思で悔しそうに右腕を一振りする。
怪獣が撤退した事により、ひとまず静まった人々。ダイナは彼らの方を振り向き、安否を確認して頷いた後、光と共に縮小していく事で姿を消す。
海羽はダイナが立っていた場所の方向へと駆け始め、真美達もそれに続く。
しばらく走り、やがてダイナが立っていた場所に着いた時、一同は立ち止まる。
そこには、黒とグレーを中心とし、背中に“ASUKA”とローマ字が入っているツナギ式のスーツを着込んだ一人の青年が、ダイナの顔を象った変身アイテム『リーフラッシャー』を手に立っている。
「ぁ…あの…あなたはもしかして…。」
海羽が恐る恐る話しかけると、男は振り向き自己紹介をする。
「俺はアスカ・シン。 怪我は無かったか?」
そう、彼こそ、先ほどダイナに変身していたアスカ・シンであった!
予期せぬ戦士の来訪。真美達はとりあえずアスカを自分達の避難所に案内する。
春野ムサシをはじめ、人間体のウルトラ戦士達も現れたアスカに反応する。
「君は確か…ウルトラマンダイナ。」 「久しぶりだな、ムサシ。」 アスカは声を掛けるムサシに返事をする。
「あなたが、ダイナの変身者なのですね。」 礼堂ヒカルも、以前共闘はしたものの、人間体では初対面のアスカに声を掛ける。
「君たちがギンガとビクトリーか、よろしく!」
ヒカルとショウを見たアスカは、先輩っぽく気さくに挨拶をした。
「先ほどはありがとうございます。お陰で人々はひとまず落ち着きました。」
真美は丁寧にお礼の言葉をかける。
「ま、いいって事よ!」
アスカは気さくに返した後、辺りを見渡す。
「それにしても、偉い事になってるな…偶々駆け付けて正解だったぜ。」
「アスカさんも、この世界の異変を感じて来たのですか?」
海羽の問いかけに、アスカは意外な返答をする。
「いや、俺は、“あるウルトラマン”の呼びかけを受けて、ここに来たんだ。」
(…あるウルトラマン…?)
アスカの返答に、一瞬困惑する海羽を始めとする一同。アスカは続ける。
「そして、時空を超えてこの世界に来た時、ちょうどこの街からの異常な反応を感知して駆け付けたのだが…まさか、あんなバケモノ(ギマイラ)が暴れていたとはな。」
どうやらアスカが潮風町を訪れたのは偶然だったみたいである。海羽達にとっては少し嬉しい偶然なワケだが…。
「その“あるウルトラマン”とは、一体誰なのですか?」
真美が問いかけにアスカは答える。
「それは…“ゼロ”と言うウルトラマンだ。 なんでも、「ある人を助ける手伝いをして欲しい」とかなんとか言ってたような…。」
アスカの返答に真美、そして海羽は驚愕で目が見開き、そして頭に疑問が浮かぶ。
(ゼロさんが…ダイナさんを…?)
(ある人とは…一体誰なんだろう…?)
この時、二人はまだ知らなかった…。ゼロが助けて欲しいという人物は、自分達の身近にいる“ある人物”だという事を…!
真美達の疑問を他所に、ひかるは嬉しそうな表情でアスカに近づく。
「それにしても、こんな時に言うのもアレだけど光栄だな~。まさか“伝説の英雄”と言われるアスカさんに会えるなんて。」
「お? 伝説の英雄? 俺そんなに有名になってんの!?」
驚きながら反応するアスカはどこか嬉しそうである。
「なんでも、別世界で、人類を守るために宇宙に消えたみたいですからね。歴史の教科書にも載っています。 正直、まさか生存していたとは…。」
ひかるに肩を貸してもらっている宏隆も、アスカを知っていたようである。
「おいおいよせよ!俺は“不死身のアスカ”だぜ? それにしても、英雄とは照れちまうじゃねーか!」
調子を良くしてしまっているアスカにつられるように笑う一同。
早くもアスカと真美達の親睦が深まりそうになっていたその時、それに横槍を入れるような声が飛ぶ。
「へぇ~…伝説の英雄さんですか…。 じゃあ、今すぐこの状況をどうにかしてよ…あのバケモノを倒してよ…。」
さっきまでショックでうずくまっていた渕上愛紗が立ち上がり叫んだ事により、一同は驚きと共に振り向く。
「愛紗ちゃん…」 「その割には、さっきバケモノを仕留め損なってたじゃない!」
止めようとするひかるの声を遮るように、アスカに辛辣な言い方をしてしまう愛紗。
「うぅ…おいおいお嬢さん、そこは触れちゃいけない所でしょ。」 「愛紗…お前いい加減にしろよ…追い払ってくれただけでもありがたいと思えy…」」
非難されながらも気さくに返すアスカと、注意しようとする宏隆の声を遮断するように、愛紗はネガティブな発言をする。
「結局、1人程度来た所で何も変わらない。 この状況が360度コロっと変わるワケじゃないし、マコちゃんが元に戻るワケじゃないし! …おじいちゃんの家が…元に戻るワケじゃないし…。」
愛紗は再び俯いてすすり泣きを始める中、失意の寿美江が現れ、追い討ちをかけるように、魂の抜けたような声で言い放つ。
「どうせ何をしても無駄だよ…あるのはもう…絶望のみ…。」
2人の後ろ向きな発言に、言葉を失う一同。 そんな中、アスカは怒りで拳を握りしめているが、その怒りは自身を非難した愛紗に向けてではなかった。
(こんなにも人々を絶望させちまうとは…よっぽどやべー奴らが侵略してんだな…この街は。)
アスカは、辺りの避難している人々も見渡しながら心でそう呟いた。
流石は伝説の英雄。アスカは元々熱血な男なのだが、自身の世界での戦いや、長年宇宙を旅しながら戦って来た経験からの落ち着きにより、怒りを向けるべき相手がハッキリとしていた…!
その頃、宇宙空間で待機しているゼボス。
「チッ…ダイナの奴、ギリ潮風町に電磁網を張る直前に侵入してたか…。」
どうやらダイナが来る事は完全に予想外だったようである。
「お陰で予定が狂っちまったな…。 だが、人間どもが変わらず絶望してくれてるお陰でギマイラやEXゼットン、そしてハイパーゼットンのパワーが満タン直前まで来てるのは事実…。 ここからは新たな最終手段に入るとするか。」
悪そうにそう呟くゼボス。
「絶望と恐怖心はな…人間からだけではないのだよ。 そして、我が引き連れたゼットンシリーズは、まだ他にもいるのだよ…ヒヒヒ…。」
不気味に笑いながら、意味深な発言をするゼボス。 果たして、奴の新たな最終手段は何なのだろうか? そして、新たに放つ刺客とは…?
場面を地球に戻そう。
日が暮れ、夜が来ていた地球。 だが、それにより避難している潮風町の人々の不安は増大していく一方であった。
先程怪我をした宏隆も真美に治療してもらい、右腕を包帯で固定している状態である。
「良かったね宏隆くん。しばらく安静にしたら治る怪我で。」
宏隆に笑顔で話しかける海羽。どうやら幸運にも、大事には至らなかったようである。
「あぁ、真美も、サンキュー。」 「いえいえ。」
お礼を言う宏隆に、真美は笑顔で返事をした。
…しかし、これらの真美達の笑顔も所詮は作り笑顔に過ぎず、辺りを見渡す事で再び現実を突きつけられる。
「愛紗ちゃんやスミちゃんだけじゃないわ…みんな望みを失いかけている。」
「なんとか、この場を少しでも和らげる事は出来ないのかな…?」
不安に発言するひかるに、海羽は同調する。
「妙だな…ゼロを呼びたい所なのに、イマイチ繋がらねぇ…。」
アスカはゼロとテレパシーで連絡を取ろうと試みるが、電磁網のおかげで繋がらなくて苛立っていた。
「みんながこんなにも苦しんでるのに…私ってば、何してるんだろう…。」
海羽は、状況を知りながらも、トラウマから変身できなかった自分の不甲斐なさを改めて痛感していた。
…その時、海羽は何かに気づいたようであった。
「…ん?」
同じ頃、医療ボランティアのスタッフの一人が弱気になり始める。
「薬が足りない…。 (電気の)燃料も、あとどれだけ持つか…。」
そして、少女が空腹に耐えきれなくなり母親に泣きつく。
「お母さん、お腹空いたよ~。」 「もう少しだから頑張って…。」 「え~ん…。」
その時、そんな少女の元におにぎりが二つ入った小さな容器を持った手が差し伸べられる。
「どうぞ。」
優しく話しかける女性の声により、気付いた少女は泣き止んで受け取る。
「ありがとう…。」
「ありがとうございます。 あなたは…?」 母親もお礼を言い、その女性に問いかける。
「ただいま到着しました。隣町の食品ボランティアです。 元気出してね。」
女性は笑顔で答えた後、再び少女に優しく語り掛けた。
「良かったね。」 母親は喜ぶ少女の頭を撫でる。
その様子を見ていた真美と海羽は、少女に優しくした彼女を見て何かに気づく。
ポニーテールが特徴の、どこか儚げな雰囲気がある美しき女性…。
「もしかして…リリカちゃん?」
真美が恐る恐る問いかけると、その女性は微笑んだ。
「えぇ、久しぶりね、真美ちゃん、海羽ちゃん。」
彼女こそ、約1年前、故郷の惑星・S-851惑星を凶獣ルガノーガーに滅ぼされて地球に来た所、そこで出会った真美達との交流により前向きに生きる気持ちを取り戻し、地球を第二の故郷として生きていく事を決めた宇宙人の女性『リリカ』なのである(番外編「俺たちの光」参照)!
現在は会社員として働きつつ、災害ボランティアの食料班に参加したりしているという。
「まさか、ここでまた会えるなんて驚き~。」 海羽は嬉しそうな笑顔で語り掛ける。
「私も驚きだよ。」 リリカは他の人にも食品を配りながら言う。
「リリカちゃんも、人々をサポートするボランティアに参加してるのね。」と真美。
「えぇ。人を助ける団体に、いつか参加したいと思っていたから。 (小声で)もう二度と、私みたいな境遇の人を出さないためにも…。」
「リリカちゃんって、とても優しいんだね。」
海羽は感激で涙を流してしまっている。
「そんな…私はただ、人として当然の事をしているだけだよ。」
そう言いながらリリカは、泣きながら縋る海羽の頭を撫でる。 ほぼ同年代の筈なのに、海羽が小柄な事もあって、この構図はもはや親子みたいである(笑)
3人が予期せぬ再会を喜び合っている中、先程困っていたスタッフが何かに気づいて声をかける。
「新しい医療班と食品班が到着したぞ!」
その声を聞いた真美達一同も振り向く。
そして、医療班を見た真美は軽く目を見開いて驚く。
「ハルちゃん…トモちゃん…?」
「オッスまみたん、手伝いに来たよ。」 「トモも一緒で~す!」
到着した医療班の中に、真美の知り合いの『笹崎春菜』と『岡田友実』もいたのである!(友実に関しては、番外編『笹崎春菜物語(ストーリー) 若き救世主達』に初登場)
「でもどうして? 石狩で研修をしていたんじゃ…。」
「あー、ほら、最近、この近辺での怪獣事件が増えているじゃない? だから、しばらく霞ヶ崎にいるようにと命じられて来たの。」(櫂には会いたくないけどね…。)
「そゆこと~!」
真美の問いかけに春菜と友実は笑顔で答え、真美は嬉しさと安心の笑みを浮かべる。
「良かった…これで、なんとか治療が間に合いそうだ。」
現地の医療スタッフがそう言ったのを皮切りに、人々も安心の表情になり始める。
場の空気が変わりつつある中、真美は今度はある光景を目にする。
それは、先程、絶望していた少年・佐久間裕を、ある一人の少年が励ましている光景であった…。
そしてその少年はなんと、裕と同じく真美がかつてクリスマスの日に知り合った『松坂裕太』である!(番外編『新田真美物語(ストーリー) 私のクリスマス』参照)
どうやら裕太も家族でココ潮風町を訪れた際に事件に巻き込まれたみたいであり、裕とは小学校の友達同士のようである。
だが、裕太は裕とは違い、強い意志を持っていた。
「大丈夫。元気出せよ。 信じてれば、ウルトラマンはまた来てくれる!」
「…本当?」
「うん!僕もかつて、ウルトラマンに助けてもらった事があるんだ。」
そう言いながら裕太は一枚の写真を裕に差し出す。それには、勇ましくオーブカリバーを構えるウルトラマンオーブ・オーブオリジンが写っていた。
実は裕太はあの時、オーブの戦いを見ながらこっそり一枚撮っていたのである。
そして、こうした状況でも強く意思を持っていられるのも、あの時助けてくれたオーブのお陰であった!
「わぁー、凄い!かっこいい!」
オーブの写真を見た裕は、少しながら笑顔が戻り始める。
その頃、春菜と友実も早速治療に取り掛かっており、それぞれ裕の母、妹を担当し始める。
「じゃあ、私この人を診るから、トモはあの子を診てあげて。」
「しょうちのすけ!」
…流石は春奈。自分の立場を分かってらっしゃる(笑)
人々に食料を配るリリカ、他の医療スタッフと共に懸命に怪我人を診て行く春菜と友実、裕太と楽しそうにしている裕…それらを見渡しながら、真美や海羽達は笑みを浮かべて行く。
“私達には、助け合える仲間がこんなにいるんだ…”と、改めて思い始めていた。
真美は、元気を取り戻しつつある裕の元に歩み寄り、しゃがんで頭にそっと手を当てる。
「やっぱり笑ってる方が可愛いよ、裕君。」
満面の笑みでそう語り掛ける真美を見て、裕は嬉しそうな笑顔を浮かべる。
「真美さん…。」
「みんな諦めずに頑張っている…。 私達も信じよ。きっと大丈夫だと。」
「うん!」
真美は今度は裕太の方を向く。
「ありがとね、裕太君。 お陰で私も元気になったわ。」
「そんな…僕はただ、信じているだけです。ウルトラマンは、きっとまた来てくれると。 それに、お母さんと佳那…そして、今は離れてるけど…お父さんもついてるし!」
真美にお礼を言われた裕太は照れ臭そうながらも、強い意志を見せる。
真美はそんな裕太に「偉いよ。」とばかりに頭を撫でながら微笑んだ後、春菜達を手伝い始める。
「ハルちゃんとトモちゃんも、ありがとね。」
「礼には及ばないよ。私達、仲間じゃない。」 「そゆこと~!」
仲間だから、助け合うのは当たり前…そんな春菜達の意見も、真美、そして周囲の人々を勇気づけ始める。
「私も何か手伝うわ! 荷物持ちと、道具の出し入れぐらいなら出来ると思うから。」
そう言いながら海羽も駆け寄る。
思わぬ仲間との再会に喜び、とのそんな彼らと協力して行く真美と海羽を見つめる宏隆とひかる。
「先輩達…顔が広い事は知ってたけど、やっぱり凄いですね。」
「あぁ。海羽も真美も、分け隔てなく、他人のために尽くせるからな。 そして、それによって勇気づけられる人も多い。 実際、人付き合いが苦手だった俺も、あいつ(海羽)のお陰で変われたからな。」
感心するひかるに、宏隆は自身の経験も交えて二人の良さを改めて称える。
それと同時に、二人は辺りを見渡しながらある事を思い出し始める。
「思えば私も、困った時はいつも主に愛紗ちゃんが力になってくれたっけ。勿論先輩達も。」
「俺も、寿美江のサポート、そして、彼女の汐里の支えがあるから、今も快く空手の練習に取り組めるのかもな。」
(宏隆さん、彼女がいるんだ…。)
ひかるちゃん、何やら心の中では残念そう(笑)
「誰も、決して一人きりじゃない。必ず、支え合える仲間がいる。」
「だからこんな状況でも、みんな希望を捨てきらずに頑張れるのね…。」
宏隆とひかるの言葉を聞き、失意の寿美江、そして隅でうずくまっていた愛紗も何かを感じたのか、ふと彼等の方を振り向く。
「…誰も必ず…支え合える仲間が…いる…。」
愛紗は感慨深そうに呟いた。
真美達の様子を、ウルトラ戦士達も見つめていた。
「ルギエルと戦ったあの時を思い出すな、ヒカル。」
「あぁ。あの時も、みんな希望を捨てていなかった。」
ヒカルとショウは、かつての雫ヶ丘における復活したダークルギエルとの戦いを思い出す。
「あの少女も、危機的状況ながら愛する命のために一生懸命だった。」
ジュリは、自身の心を変えるきっかけとなった、自身の危険を顧みず犬を助けようとした少女を思い出す。
「紡いで来た絆の糸が、彼女たちを会わせたのかもしれないな。 こんな状況だからこそ、協力し合って超えて行くために。」
「心の絆か?」 ムサシの言葉にジュリは反応する。
「うん。 みんな一生懸命頑張っている。僕達も今出来る事をやろう。」
「そうだな、ガレット!」 「変身出来なくても俺達はウルトラマンだからな。」 「希望…か。やはり曖昧なモノではないな。」
ムサシの言葉にヒカル、ショウ、ジュリは返事をする。
その時。
「アンタはもしや、あの時の…。」
突如、一人の男性がムサシに話しかけ、四人は振り向く。
その男性は、霞ヶ崎動物園の園長であり、獏愛好家でもある『獏田睦三郎』である。
「獏田さん。久しぶりですね。」
ムサシも思わぬ再会に驚きつつ挨拶をする。
ムサシはかつて、メフィラス星人キョウの策略により超獣バクタリに変えられてしまった、動物園の名物であり、獏田と仲良しでもあるアメリカ獏の『バクちゃん』を、コスモスとして救った事があるのである(第10話参照)。
「あの時は本当にありがとうございます。お陰でバクちゃんは今も元気ですし、変わらず動物園の人気者です。」
気さくに感謝の言葉を言う獏田に、ムサシは笑顔になる。
何故潮風町にいるのかを聞くと、今日は動物園の休園日であり、ちょっとふらっとお出かけをしようと偶々潮風町訪れていたのだという。
「それで、偶々事件に巻き込まれたのですか…それは災難ですね…。」
憐れむムサシに、獏田は気さくにこう返した。
「いや。 だって俺は信じてっからよ。ウルトラマンは必ずまた来てくれるって。 あの時もそう信じていたから、バクちゃんが助かったんだから。」
「獏田さん…。」 前向きな獏田の言葉に、ムサシをはじめ他のウルトラ戦士達も笑顔になる。
「おっとそうだ。 これは、私とバクちゃんからのお礼だ。」
そう言って獏田がムサシに渡したのは、デフォルメされたバクちゃんを模したラバー付きのストラップであった。
「最近売り始めた動物園の人気商品だ。 いつかまたアンタと会った時渡そうと、ずっと持ってたんだ。」
「…ありがとうございます。 大事にします。」
ムサシは笑顔で受け取った。
その時、何処からかひっそりとギターの音が聞こえ始める。
ムサシ達や真美達、そして一部の人々も振り向くと、そこには廃車の上に座り込み、ギターを弾いているアスカの姿が。
そしてアスカは、ある歌を歌い始める。
その曲とは『君だけを守りたい』である。
アスカが歌い出した瞬間、人々も一斉に聞き入り始める。
この世界では、アスカが歴史の教科書に載っているみたいに、君だけを守りたいも、音楽の教科書に載っているのである。
そしてその歌は、いつもこの世界の人々を勇気づけて来たのである。
皆がアスカの歌を聴いている中、海羽は何かを感じたのか、そっと目を閉じて下を向き、手と手を合わせて握り、胸に当てる…。
やがて弾き語りが終わると、アスカはギターを置き、廃車から降りる。人々は一斉に拍手をしていた。
ムサシ達と真美達はアスカの元に歩み寄る。
「やっぱり、とってもいい曲ですね。」 真美は満面の笑顔で言った。
「心が折れそうになった時、そっとこの曲を口ずさめばいい。」
アスカの言葉に感慨深そうな表情になる一同。アスカは続ける。
「誰だって、辛い事に折れそうな時はある。俺だってしょっちゅうあった。 だがその時に、自分にとって大切な者の事を思うんだ。 そうすれば、限界は越えられるはず。」
それを聞いた海羽は、再び下を向いて物思いにふけ始める。
トラウマによって変身を躊躇っている自身も、大切な者、守りたい者の事を思えば、変われるのかと…。
「そして信じるんだ。世界は終わらないと。 かつて行った別の地球の人々も、そう信じてくれたからこそ、俺達ウルトラマンは戦えた。」
ここでアスカが言う“別の宇宙の人々”とは、フューチャーアースの子供達とチームUの事である。
アスカの言葉を聞いた愛紗と寿美江も、表情はそのままながらも、じっとアスカを見つめていた…。
彼女達も、少しずつながら心が動き始めているのかもしれない…。
その時、突如、激しく地響きが起こり始め、ウルトラ戦士達は即座に身構え、人々は怯え始める!
「急に何!?」 ひかるはビクつきながらも辺りを見渡す。
「またギマイラのヤローが出たのか!?」
「でも、この周辺にそれらしき気配は無いよ。」
海羽は宏隆にそう言った後、ふと何かを感じたのか、何処かへと駆け始める。
「ぅおい!?どこ行くんだよ海羽!」
「この先の高原の方に何かいそうなの!」
海羽のその言葉を聞き、宏隆、真美、ひかるも後を追い始め、ウルトラ戦士達もそれに続く。
やがて一同は、街のすぐ隣にある『潮風高原』という高原に辿り着く。
そこは徒広い自然の広場であり、近くには海の眺めも良い崖もある。
因みにここ潮風高原と潮風町の名前の由来は、海が近い事から、時折潮の香りがするという所からである。
今は夜だが、ここは夜に訪れる人のために、夜には外灯が付くようになっているため、ある程度高原の状況を把握出来る。
そこで一同は、驚愕の光景を目にする!
「…嘘だろ…。」 「マジかよ…。」 「あれって…怪獣?」
宏隆、アスカ、真美と口々にそう言う中、その視線の先にはなんと一匹の怪獣が現れていた!
その怪獣は、魚のようなフォルムに、ヒレのような四足、モンガラカワハギのような背中の模様、そして鼻先のドリルが特徴の『深海怪獣グビラ』である。
よく見たらグビラの背後に土の盛り上がりが見える事から、恐らく本来の住み家である深海を離れ、地面を掘り進んで現れたと思われる。
「そんな…どうしてここにも怪獣が…?」 真美に縋りながら問いかけるひかる。
「コイツもあのゼボスって奴が送り込んだのか!?」 そう言いながら身構える宏隆。
…そんな中、海羽はじっとグビラの様子を伺っていた。
実際グビラは暴れる様子も無く、何かを訴えるように吠え続けているのである。
…それも、かなり苦しそうに…。
「グビちゃん…もしかして…苦しんでる…?」
「クソッ…こんな時に変身出来ないとは…。」 そう言いながら悔しそうにギンガスパークを見つめるヒカル。
「それに、ここに現れたのには、何かワケがあるのだろうか…?」
かつてフューチャーアースにて、罪の無い別個体のグビラと交戦経験のあるムサシはそう言った。
「よーし! ここは俺が…!」
アスカが変身しようと、リーフラッシャーを取り出そうとしたその時。
「待ってください。」
「…どうしたんだ?」
前に現れて自身を止めた海羽に問いかけるアスカ。
「ここは、私に任せてください。」
そう言うと海羽は、グビラの元に歩み寄る。
「グ~ビちゃん♪ 一体どうしたの?」
そう言う海羽に視線を向けるグビラ。そこには、満面の笑顔で自身を見つめる海羽の姿があった。
「何だか苦しそうだね…何かあったの?」
海羽の優しい問いかけを聞いたグビラは一旦落ち着き、何やら海羽に話しかけるように声色を変える。
「ってアンタら!何当たり前のように見てんの!?」 「海羽さんは一体…!?」
グビラ(怪獣)と会話をしている海羽を、動じる事なく見つめる一同に突っ込むアスカとひかる。
「彼女はああ見えて、怪獣との交流経験が多いんだ。」 とムサシ。
「へぇ~…先輩が…。」
ひかるは、先輩の意外な一面に驚きを隠せない。
「じゃあ、あの怪獣とも仲が良いってか?」
「あぁ、確かグビラとは、最近仲良くなったばかりだと言ってた。」 とムサシ。
「うそ~ん…!」
アスカも、怪獣と仲良くしている少女を前に驚きを隠せない。
「いろんな世界を旅してると、やっぱ変わった人とも出くわすモンだな…。」
感慨深そうにそう呟くアスカ。
そんな中、海羽はグビラの訴えを聞いていた。 どうやら善良な怪獣との交流経験が多いだけあって、怪獣の言葉もある程度分かるようである。
「…ある者に…命を狙われていて…それから…逃げて来た…?」
グビラの言っている事を理解した瞬間、若干動揺の表情を見せる海羽。
これでグビラは暴れるために出て来たのではない、何かに追われてやって来たという事が分かったのだが、一体その者とは何なのだろうか…?
その時、再び地震が起こり始め、地面が激しく揺れ始める!
「うわっ!? またかよ!」 「今度は何なの!?」 「ひかるちゃん、つかまってて!」
宏隆、ひかる、真美と口々に言う中、グビラは再び何かを訴えるように吠え始める!
「…え? 急いでさがれって?」
海羽がグビラの言葉を理解した瞬間、彼女とグビラの真下の地面が一際揺れ始める!
「間違いない…下から何か来るぜ!」
アスカも、下から何かが迫って来る気配を感じ取っていた。
グビラに更に「急げ!」と言われたのか、海羽がとりあえずその場を離れ始めた時!
グビラの真下の地面を勢いよく突き破って何かが現れ、それによりグビラは空高く打ち上げられてしまう!
一同は驚きながらも、その現れた者を見上げ、驚愕する!
「あれは…ゼットン!?」
真美はそう言うが、一方で宏隆は別の名前を口にする。
「いや…キングジョーにも見えるぞ!」
そう、彼らの言う通り、現れた巨大生物は、一見ゼットンに見えるのだが、そこにキングジョーのパーツが食い込んだ、所謂“サイボーグ化したゼットン”とも言える外見が特徴であり、角や両手の爪は赤く禍々しいものになっている。
「ふっふっふっ…コレは招かれざる観客だが、見せしめには丁度いい…やれ!ペダニウムゼットン!」
何処からかゼボスの声が響く。現れたのは、キングジョーとゼットンの融合獣『ペダニウムゼットン』である!
ゼボスの指示を受けたペダニウムゼットンは、落下してくるグビラを片腕の一払いで叩き飛ばし、グビラは地面に落下する。
「あぁっ…グビちゃん!」 海羽はグビラを心配する。
「どう言う事だ! まさかゼットンとキングジョーを融合させたのか!?」
宏隆の問いかけにゼボスは不気味に笑いながら答える。
「その通りだ! 我がゼットンに、ペダン星人からこっそり盗んだキングジョー、そしてベリアルの遺伝子を融合させて作ったのだ! ゼットン星随一のゼットン使いの我には、こういうのも容易い事なのだよ。」
因みに何故ゼボスがベリアルの遺伝子を持っていたのか…それだけは不明である。
ゼボスが得意げに説明している間にも、ペダニウムゼットンは横たわるグビラを踏みつけ始める!
「あぁっ! やめて! 何て事をするの!?」
海羽にゼボスは返答する。
「フッフッフ…ゼットンの食事の絶望と恐怖心を生み出す対象、それは人間だけではないのだよ。」
ゼボスは、ハイパーゼットン等が完全になるためのマイナスエネルギーを生成するために、深海で暮らしていたグビラを狙い始めたのである!
「まさか、グビラを痛めつけて、それによって残りのマイナスエネルギーを!?」
ムサシもそれに早く勘付くが、そうしてる間にもペダニウムゼットンはグビラを踏みつけたり殴ったり等して痛めつけて行く。
「させるかよ!」
アスカが変身するためにリーフラッシャーを取り出そうとするが、ペダニウムゼットンは即座に頭部の角から赤い電撃光線を放ち、それが地面に当たって発生した爆発により、アスカをはじめ一同全員吹っ飛ぶ!
他に伏せた状態で、グビラの悲痛な叫びとも取れる鳴き声を聞いている海羽は、再び変身を躊躇い始める…。
ハートフルグラスを手に取るものの、グビラを助けたいという気持ちと、トラウマにより発生する返り討ちに遭うんじゃないかという気持ちの狭間におり、なかなか変身に踏み込めない…。
(どうしよう…。 でも、このままじゃ、グビちゃんを見殺しにしちゃう…!)
「そろそろいいだろう。 やれ!」
海羽が戸惑っている間にも、ゼボスの指示を受けたペダニウムゼットンは、グビラを蹴り転がした後、トドメを刺そうと両腕を突き出して火球・ペダニウムメテオのチャージを始める!
全てを燃やすのではないかという程大きな火球が発射され、とうとうグビラは焼き殺されるのか!?
(グビちゃん…!) 海羽も、後悔と共に半分諦めかけ、強く目を瞑る!
その時、何か鈍器のようなモノがペダニウムゼットンを殴りつけ、それにより火球のチャージが弱まる。
「や〜っ!!」
更にその隙に、何者かがペダニウムゼットンの足元にタックルをし、それによりバランスを崩したペダニウムゼットンは転倒してしまう。
「…何…?」
突然起こった出来事。海羽はとりあえずゆっくり瞼を開けてみると、一同は上を見上げて驚愕していた…!
「なんだよアレ…。」 アスカの言葉により、海羽も同じ方を恐る恐る振り向く。
「海羽さん!」 「大丈夫ですか!?」
現れたのは、いずれもかつて共通の敵との戦いを通じて海羽と交友を深めた怪獣『鬼怪獣オニオン』と『わんぱく怪獣タイショー』である!(番外編「眞鍋海羽物語(ストーリー)如月〜きさらぎ〜」、第18話「可能性の瞳」参照)
先程ペダニウムゼットンを殴ったのは、オニオンの武器の棍棒である。
海羽「オニオン君…タイショー君!」
友達の怪獣と知った瞬間、海羽は嬉しそうな表情になる。
「なんだ? あの子、あの二体とも仲良いのか?」
「あぁ。いずれも海羽ちゃんが助けた怪獣だ。」 「オニオンの時は私も一緒だったな。」
アスカの問いかけにムサシとジュリは答える。
「たまげたなぁ…。 でも、彼女ならハネジローとも仲良くなれるかもな。」
アスカはそう呟いた。
「海羽の奴…やっぱ本当に凄いんだな。」 「素敵です! 例え相手が何でも、分け隔てなく仲良くなれるなんて!」
宏隆は呆気に取られ、ひかるは感激する。
「しかしタイショーも、何故また地球に来たんだ!?」
ヒカルの問いかけにタイショーとオニオンはペダニウムゼットンと交戦しながら答える。
「久々に海羽さんに会いたくて、地球に遊びに来たんです!」 「そしたら、なんだかとんでもない事になっていて…!」
どうやら二体は、偶々地球に遊びに来た所に今回の事件に遭遇したみたいである。
また二体は、海羽がグビラと仲良くなっている事も知っていた。
「それに、この怪獣(グビラ)も、海羽さんの友達なんでしょ?」 「それなら、僕たちも守りたいんです!」
「…そこまでしてくれるの…?」 申し分なさそうに問いかける海羽に、二体は健気に答える。
「何言ってるのですか! 海羽さんの友達は、僕たちの友達でもあります!」 「それに、以前助けてくれた恩返しもしたくて…!」
「オニオン君…タイショー君…。」 二体の言葉に海羽は嬉しさで目が潤み始める。
「フンッ! 何が友達だ! ペダニウムゼットン、やれ!」
ゼボスは冷徹にも、鼻で笑い飛ばしながら指示を出す。
ペダニウムゼットンは、先陣を切って突っ込んで来たタイショーを腕の一払いで突き飛ばし、続けて突っ込んで来るグビラを足蹴りで吹っ飛ばす。
次にオニオンの振り下ろした金棒を右腕で受け止め、腹部に左足蹴りを打ち込んで後退させる。
オニオンとタイショーは同時に突っ込むが、ペダニウムゼットンはそれぞれ二体の首根っこを片手で掴んで受け止めると、そのまま持ち上げて放り投げる!
ペダニウムゼットンは三体の周囲をテレポートで移動しながら赤いレーザーや電撃を撃ち込んで行く!
光線や電撃の雨あられは三体の周囲を爆炎で包んで行き、やがて三体は大ダメージを受けてダウンしてしまう!
オニオンとタイショー、そして傷ついたグビラはペダニウムゼットンに立ち向かうが、圧倒的な力により劣勢になって行く…!
「オニオン君たちが危ない…でも…。」
友達の危機! しかし、トラウマに支配されている海羽は、ハートフルグラスを震えた手で握りながら途方に暮れていた…。
そんな海羽の元に、アスカは歩み寄る。
「アンタ、結構スゲー奴なんだな。」
「ぃ…いや…そんな…。」
「あれだけ怪獣と仲良くなれるなんて、出来る奴はそんなにいないんだぜ。」
「でも…。」
続けてヒカルとショウが歩み寄る。
「誰だって、向き合いたくないものはある。 怖い事だったり、辛い事だったり…。 だが、人間にはそれを吹き飛ばす力がある。」
「限界を超える、それが人間だからな。」
「そうだ。 そして、その限界を超えた時、初めて見えるものがある。」
ヒカルとショウ、そしてアスカの後押しを受ける海羽は、重い顔を上げ、傷つきながらもペダニウムゼットンな立ち向かうオニオン達を見つめる。
力及ばず打ちのめされているにも関わらず、自分やグビラのために奮闘している二体を見て、海羽は何かを感じ始めたのか、ハートフルグラスを持った手を震わせながら徐々に立ち上がり始める。
友達が不利ながらも頑張ってくれている。 なのに、ウルトラマンでもある自分は何を過去に囚われて怖気付いているのだろうか? …と言い聞かせながら。
まだ恐怖は残っており、涙目になっているが、海羽は目を覆う涙の幕を突き抜けるような凛とした視線を敵に向ける。
「忘れてたわ…私、ウルトラウーマンだもんね…。 目の前に…守りたいものがあるのなら、行かなくちゃ!」
その喋りには、いつもの明るさが戻っているようであった。
遂に決心を固めた海羽は、一回瞬きをし、一筋の涙を頬に伝わせながらハートフルグラスを突き出す!
「今は、あなた達だけを守りたい!」
海羽は、涙を散らしながら一回転した後ハートフルグラスを上に挙げ、目に当てる。 その姿は、華奢な体に反していつもより凛としているようであった。
赤とピンクの光に包まれ、やがて『ウルトラウーマンSOL(ソル)』へと巨大変身が完了した海羽は、気合いの声を上げる!
「キュートでパワフルなタフガール・ウルトラウーマンSOL(ソル)、爆現!!
一方オニオン、タイショー、そしてグビラは、ペダニウムゼットンの圧倒的な強さにより遂に反撃も出来ない程に弱っていた。
「さて、三匹まとめて灰にしてしまいな!」
ゼボスの指示を受け、ペダニウムゼットンは再びペダニウムメテオのフルパワーチャージを始める!
もうここまでかと悟りながらも、オニオンとタイショーはグビラを守るように腕を広げ、顔を横に背ける。
「やめなさ〜い!!」
その時、叫びとともにソルが体当たり技『ソリッドダイブ』で突っ込み、更にそれと腕をクロスさせての電撃チョップ『ライトニングハンド』を重ねた荒技を叩き込む!
相手が小柄ながらも、ソルの強烈な一撃を受けたペダニウムゼットンは、爆発と共に火球のチャージが止まると同時に地面に倒れる。
ソルは着地した後、腕や脚などを数回払いながら立ち上がり、オニオンとタイショーは嬉しそうな表情でソルの後ろ姿を見つめる。
「海羽さん…。」 「来てくれたのね。」
やがてソルは、オニオン達の元に歩み寄り、そして三体まとめて抱き寄せる。
「みんな…ありがとう…。」
そう言いながら目から緑の粒子状の涙を流していた。 オニオンとタイショーも、感謝の意も込めて抱き返す。
ソルはそのまま、三体に包み込むように回復光線『リライブ・フォース』を浴びせる。
(あの赤いオッサンと白いお猿さんは、もういなくなったんだもん…。 だから、恐れる事なんて、何も無いもんね…。)
心でそう呟く海羽。ハヌマーンはともかく、レッドマンに対してはかなり辛辣な呼び方をしてしまっている(笑)
先輩ウルトラマン達の後押し、そして友達を守りたい一心で、トラウマを乗り越えて変身した海羽。そんな彼女をウルトラ戦士達や、宏隆とひかる、そして真美も嬉しそうな表情で見つめていた。
「あの小娘共々、やってしまえ。」
そう言いながら指を鳴らすゼボス。 それと共に、何かが無数のリング状の光と共に転送される。
現れたのは、一見普通のゼットンだが、体型は太めであり、角がプヨプヨしており、体色も灰色っぽく、鳴き声も「ブモー」である。
所謂かつてバット星人が引き連れ、ウルトラマンジャックと戦った『宇宙恐竜ゼットン二代目』に酷似している。
「見た目はブサイクになってしまったが、強さはかつてジャックと戦った個体と同等だ。 正に鬼に金棒。 フフフ…。」
これから先はこのゼットンを、仮に“二代目ゼットン”と呼んで行こう。
ペダニウムゼットンも既に立ち上がっており、まだ三体を回復させているソルにペダニウムメテオを浴びせようとチャージを始め、二代目ゼットンも両腕を突き出して火炎・ゼットンナパームを発射し始める!
悪魔の火炎は高原を破壊して行き、それによりソルも集中が途切れそうになる…!
「俺も行くぜ!」
アスカはそう言うと前に出て、変身アイテム・リーフラッシャーを手に取る。
「ダイナー!!」
(ウルトラマンダイナ登場BGM)
アスカは叫びながらリーフラッシャーを斜め上に突き出す!
すると、リーフラッシャーの発光部分が展開し、クリスタル部分から眩い光が放たれてアスカを包み込む。
やがてその光の中からメタル状態のダイナが右拳を突き出して現れ、巨大化するにつれて赤、青、銀と色が付いて行き、変身が完了する!
『ウルトラマンダイナ(フラッシュタイプ)』は、光の中から飛び出て現れると同時に二代目ゼットンに飛び蹴りを叩き込み、次はその反動を利用してペダニウムゼットンに飛びかかり、渾身のパンチを顔面に叩き込む!
ペダニウムゼットンはその部位が爆発すると共に後退し、同時に火球のチャージも止まる。
着地して雄々しく立つダイナ。 ちょうどグビラ達の回復が終わったソルは、そんな伝説の英雄の背中を見つめる。
「上等だぜ! 後輩。」 ダイナは振り向いてそう言うと、ソルにサムズアップを向けた。
「うふ…イエイ!」 ソルは嬉しそうにピースを返した。
…もしかするとダイナ(アスカ)は試していたのかもしれない。ソル(海羽)の心の強さを…。
彼自身も、これまで勝って来れたのは自身、及びスーパーGUTSを始めとする共に戦った人々の強さのお陰でもあるのだから。
「君だけを守りたい…その気持ちで恐怖を超えた。 凄いよ海羽ちゃん。」
真美も満面な笑顔でそう言った。
ペダニウムゼットンと二代目ゼットンは、ゼボスからの指示を受けたのか、それぞれダイナとソルに、地響きを立てながら向かって行く!
「やってやるぜ!」 「こっちは任せて!」
ダイナとソルも構えを取った後、それぞれペダニウムゼットンと二代目ゼットンに向かって走り始める。 それぞれの戦いが始まった!
(ウルトラマンダイナ戦闘BGM)
ダイナはペダニウムゼットンに駆け寄ると同時に右足蹴りを腹部に、続けて右拳のパンチを喉元に打ち込み、その後跳躍しながらの回し蹴りを頭部に叩き込む!
打撃が決まる度に、その部位から小さい爆発と共に火花が飛び散る。
ペダニウムゼットンも負けじと反撃を始め、突っ込んで来るダイナの胸部を右手で押さえて勢いを止め、続けて左手のパンチを打ち込んで後退させ、更に右フックを叩き込んで後退させる。
更に追い打ちをかけようと接近するペダニウムゼットンに、ダイナは即座に腹部に右足蹴り、連続パンチを続けて打ち込み、更に右肘を腹部に打ち込んだ後、大きく跳躍しての飛び蹴り『フラッシュキック』を胸部に叩き込んで吹っ飛ばす!
“ダイナミック”と“ダイナマイト”が名前の由来でもあるダイナ。正にその名前に恥じない豪快な格闘戦でペダニウムゼットンと互角に戦って行く。
一方のソルは、若干体格差がありながらも、二代目ゼットンに果敢に立ち向かう。
二代目ゼットンはパンチやキックを放って行くのだが、ソルはそれを身軽にかわしながら「エイ、エイ」という掛け声と共にキックやチョップを打ち込んで行くが、一瞬の隙を突かれて二代目ゼットンの左フックを右の二の腕辺りに喰らって後退する。
「流石はゼットンの仲間ね。 でも、私には心強い仲間もいるんだから!」
そう言いながらソルは、二代目ゼットンの右フックを、前後180度開脚しながらしゃがんでかわし、その隙に待ち構えていたオニオンが棍棒で殴りつけ、怯んだ所にタイショーが背後から膝の関節部を蹴る事で膝カックンをしてバランスを崩す。
「ソリッドアイアンヒーップ!」
ソルはバランスを崩した二代目ゼットンに、赤とピンクの光エネルギーを纏った尻の打撃技『ソリッドアイアンヒップ』を跳躍して繰り出し、それを胸部に喰らった二代目ゼットンは爆発と共に地面に倒れる。
二代目ゼットンはすぐさま立ち上がり、顔の発光部位から光弾を放って反撃に出るが、今度はグビラがそれを鼻先のドリルで受け止め、逆回転させて上空に打ち上げる。
打ち上げられた光弾は上空で花火となって爆発し、グビラは自慢げに拍手のように前足を叩く。
「グビちゃん、お見事!」 ソルはグビラに首を傾げながらピースを向ける。
二代目ゼットンはめげずに今度はゼットンナパームを放つが、グビラは再度ドリルを回転させながらそれらを弾き返して行き、二代目ゼットンは逆に被弾してしまう。
「それーっ!」
怯んだ二代目ゼットンに、グビラのドリル『ダイハードドリル』での体当たりと、ソルの飛び蹴りが同時に炸裂する!
相手はゼットンの亜種だけあってかなり強力。 しかし、友情を育んだ仲間が一緒のソル(海羽)は、それに負けない強さで戦う。
ゼットン二代目は最後の手段に出たのか、体から電流を放ちながら向かって来る。
対するソルも、再度両腕にライトニングハンドを纏って向かい、両者、色とりどりの電流を放ちながら激しくパンチやチョップの欧州を始める。
互いに打撃を決めたり殴られたり、感電したりさせたりなど、一進一退の攻防を繰り広げている。
一方のペダニウムゼットンと戦うダイナ。互いに拳と拳をぶつけたり、フックを素早くしゃがんでかわしたりなどして激しいパンチの応酬を繰り広げ、やがてダイナはペダニウムゼットンの右フックを左腕で、左ストレートを右手で掴んで受け止め、そのまま両者は押し合って力比べを始める。
やがてダイナは、相手の右腕に左膝蹴りを打ち込んで離し、続けて左手のチョップを相手の左腕に打ち込む事で一旦ペダニウムゼットンを自身から引き離した後、右ストレートのパンチを顔面に打ち込み、更に横回転しながら飛び上がって足底で蹴る技・ローリングソバットを腹部に叩き込んで吹っ飛ばす!
(BGM終了)
ダイナは一旦バック転をして距離を取った後、ペダニウムゼットン目掛けて右腕を突き出してくさび形の光弾『ビームスライサー』を放つ!
しかし、ペダニウムゼットンは即座に両腕の肘から先を立てる構えでゼットンシャッターにも似たバリアを張って、手裏剣状の光弾をはね返す。
「何ぃ!?」
ダイナは続けて八つ裂き光輪に似た光のカッター『ダイナスラッシュ』、三日月状の光のカッター『フラッシュサイクラー』を放つが、いずれもバリアで防がれてしまう。
ダイナが動揺している隙に、ペダニウムゼットンはテレポートでその場から姿を消す。
辺りを見渡すダイナ。やがてペダニウムゼットンはダイナの背後に現れ、ダイナは即座に振り向きざまに回し蹴りを放つが、テレポートで避けられる。
その後もペダニウムゼットンはダイナを挑発するように、ダイナのパンチやキックをテレポートで避けては傍に現れるを繰り返し、やがてダイナの背後に現れ、それに気づいて振り向いたダイナを右フックで吹っ飛ばす。
ペダニウムゼットンは、今度はテレポートを繰り返しながらダイナに赤いレーザーや電撃、火球を連続で浴びせて行く!
ダイナはそれらをチョップで弾いたり、受け身やバック転などをして回避して行くが、次々と襲って来る飛び道具に徐々に被爆して行く…!
キングジョー、ゼットンと、最強クラスの怪獣同士の融合だけあって、キングジョー譲りの硬い装甲に、ゼットンの特殊能力を併せ持っているペダニウムゼットンは、これまで様々な戦いをくぐり抜けて来た伝説の英雄・ダイナ相手にも遅れを取らない強さだった!
二代目ゼットンと組み合っているソルも、ダイナのピンチに気づく。
「はっ、ダイナさんが! ハイスピンサンダー!!」
ソルは二代目ゼットンと組み合ったまま『ハイスピンサンダー』を発動させ、赤とピンクの電撃を流し込む!
感電して怯んだ二代目ゼットンは、幾多もの小さな爆発で火花を散らしながらソルから離れる。
「みんな! 行くよ!」 ソルの呼びかけにグビラ、オニオン、タイショーは返事をする。
まずソルが両手にライトニングハンドを纏い、「それっ!」という掛け声と共にそれを光弾にして投げつけ、グビラがそれをドリルでキャッチする。
グビラはドリルの逆回転で光弾を大きくしながら体を振るって投げつけ、タイショーがそれをキャッチする。
「行くぞ〜!」
タイショーは野球の投球のフォームでそれを勢いよく投げつけ、その先で待ち構えていたオニオンが、野球のバッターの如く棍棒を振るって打ち上げる!
“カキーン”
気持ちのいい打撃音と共に、プロ野球選手もビックリのホームランを打ち上げたオニオン! 打ち上げられた光弾は、見事上空のペダニウムゼットンに命中して爆発する!
「よしっ!」 「やったー!」 「イェーイ!」 オニオン、タイショー、そしてソルは喜びの声を上げ、グビラも再び拍手をするような仕草をする。
戦いを見守っていた真美たちも、拍手と共に歓声を上げる。
「海羽ちゃんとグビちゃん達、凄い!」 真美は満面の笑みで小さく拍手しながら言った。
「見たか!私達のウイニングショット!」
ソルは得意げにそう言いながら、首を傾げてピースを向ける。 だが、その直後にカラータイマーが鳴り始める。
今回は回復技も使ったため、いつもよりエネルギーの消費が早いみたいである。
「上出来だぜ後輩!」 ダイナは跳ね起きで立ち上がった後、そう言いながらソル達にサムズアップを向ける。
ソル達の連携技を受けて落下したペダニウムゼットン。ダイナはすかさず、腕を十字に組んで必殺光線『ソルジェント光線』を放ち、それを胸のカラータイマー状のコアに受けたペダニウムゼットンは、オレンジ色の光を発生させながら爆発する!
ペダニウムゼットンは、胸のコアを破壊されながらも立ち上がり、テレポートをしようと一定の動作をするが、その場から姿を消す事は出来ない。 どうやら破壊されたコアはテレポートやバリアなどの特殊能力の中枢だったみたいだ。
「あとはこっちのもんだぜ!」
そう言って気合を入れたダイナは、再びペダニウムゼットン向かって走り始める。
「よっしゃ! じゃあこっちもそろそろやっちゃうよ〜!」
ソルもそう言って気合いを入れると、両腕にライトニングハンドを纏って精神統一をするようにゆっくりと構えを取る。
あどけなく微笑んでいるように見える顔の特徴でもある、丸く大きい目からの鋭い視線は、二代目ゼットンの急所をしっかりと見据えていた。
やがて二代目ゼットンは両手を突き出してゼットンナパームを一斉発射し出し、ソルはそれを合図に、素早くしゃがんでそれをかわすと同時にスライディングしながら突っ込む!
「この距離なら、バリアは張れないわ! ソリッドライトブレーイク!!」
ソルは渾身の叫びと共に、スライディングしながらすれ違いざまにライトニングハンドで斬りつける『ソリッドライトブレイク』を決める!
胴体を鳩尾部から横真っ二つに斬られた二代目ゼットンは、その部位から光を放ちながら動きが止まる。
更にソルは振り向きざまに右拳を突き出して必殺光線『ミスティックシュート』を放ち、それを浴びた二代目ゼットンは大爆発して砕け散った!
「よしっ!」 「やったー!!」 宏隆とひかるを始め、真美達一同は喜びの声を上げる。
「えへへ…イエイ!」 ソルも真美達の方を振り向き、ピースマークを向ける。
そしてオニオン、タイショー、グビラとハイタッチを交わす。
「グビちゃん達も、ありがとね!」
トラウマを乗り越え、友達である怪獣と共に見事強敵を倒したソル。正に勇気と友情の大勝利である。
「あっ…ふぁぁ~…。」
だがその時、ソルの体が青白く静かに光り始め、やがて力の抜けた声と共に光の粒子状となって姿を消す。どうやらちょうどエネルギーが切れて活動の限界が来たみたいである。
真美達、そして等身大になったオニオンとタイショーは、早速変身が解けた海羽の元に歩み寄ると、そこには大の字で横になっている海羽がいた。
「おい、大丈夫か?」 「「海羽さん。」」
宏隆とオニオン&タイショーが声を掛けると、海羽はゆっくりと瞼を開いて呑気に返事する。
「えへへ…久しぶりにハッスルしちゃった…。」
疲れながらもどこか満足げな表情の海羽を見て、一同は安心する。
残った敵・ペダニウムゼットンは、バリアとテレポートを失いながらも、持ち前の怪力でダイナ・フラッシュタイプと互角に渡り合っている。
やがて両者は、互いに同時に放ったパンチが胸部に当たって後退する。
「こっちも決めるぜ!」
ダイナ(アスカ)はそう言うと、カラータイマーの前で両腕を組んで、斜め上に広げてから下に降ろす!
すると、頭部のダイナクリスタルから溢れた赤い光がダイナの体を包み、やがてそれが消えると同時に姿が変わる!
現れたのは、赤と銀で構成された筋肉質な体が特徴のパワーに秀でた形態『ウルトラマンダイナ(ストロングタイプ)』である!
(BGM:ウルトラマンダイナ)
ムサシ達ウルトラマンは既に安心の表情になっており、真美達はダイナの筋肉質な体に見入っている。
「コレはなかなか凄い筋肉だな。」 「よーし! そのままやっちゃえー!」 「ぶちかませー!!」
特に、格闘技をしている宏隆と、馬鹿力を持つひかるは、より興奮しているようであった。
ダイナはファイティングポーズを取ると、ペダニウムゼットンに向かって行く!
ペダニウムゼットンは火球、電撃を放って迎え撃つが、ダイナはそれをパンチやチョップ等で弾きながらなおも前進する。
途中、何度か電撃が体に当たるが、自慢の筋肉によりほとんどダメージを受けない。
ダイナは接近すると同時に一回転してパンチを腹部、続けて頭部に打ち込み、ペダニウムゼットンは殴られた部位から火花を散らしながら後退する。
次にダイナは、向かって来るペダニウムゼットンを軽々と担ぎ上げて地面に叩きつける!
ダイナはペダニウムゼットンを掴んで起き上がらせると、そのまま左横腹に右膝蹴りを2発打ち込み、続けて左フックを顔面に決めた後、ペダニウムゼットンの反撃の右腕のパンチを掴んで受け止めると同時に腹部に右脚蹴りを打ち込んで後退させる。
ダイナの打撃が決まる度に、その部位から小さな爆発と共に火花が飛び散る。
更にダイナは、跳躍して両足のドロップキックを繰り出し、それを胸部に喰らったペダニウムゼットンは爆発と共に大きく吹っ飛ぶ!
「凄い力ね…。」 「ホント、惚れ惚れしちゃいます!」
海羽はダイナ・ストロングタイプの力強さに圧倒され、ひかるに至っては完全に虜になってしまっている。
立ち上がったペダニウムゼットンは、ダイナ向かって駆け寄り始め、ダイナも再度ファイティングポーズを取った後、右腕を大きく振り上げて駆け寄る。
そして同時にパンチを放つ両者の腕が火花を散らしながら交差し、それぞれ拳が相手の顔面の元へ! これぞ“クロスカウンター”である!
しかし、ダイナの拳はしっかり当たっている一方で、ペダニウムゼットンのパンチは届いていなかった…。 ダイナは相手の腕をレールにして、より深く、正確にパンチを打ち込んだのである!
「よしっ!」 宏隆は思わずガッツポーズを取る。
ダイナは、怯んだペダニウムゼットンの腹部に渾身の右拳の『ストロングパンチ』を叩き込み、それにより前屈みになった所ですかさず体を掴んで持ち上げパワーボムで地面に叩きつける。
更にダイナはペダニウムゼットンの両足を掴み、そのまま『バルカンスウィング』で何度も振り回して放り投げる!
地面に叩きつけられ、転がったペダニウムゼットンはふらつきながらも再び立ち上がるが、ダイナの豪快な攻撃の連続により完全にグロッキーとなっていた。
今こそトドメの時である! ダイナは胸の前で両拳を合わせて発生させた気力を凝縮して、右パンチのアクションで放つ必殺技『ガルネイトボンバー(シューティングバージョン)』を繰り出す!
超高熱の赤色破壊光弾はペダニウムゼットンの硬い装甲をもぶち抜き、体に大きな風穴が空いたペダニウムゼットンはそのまま大爆発する!
辺りにはキングジョーのものと思われるスクラップの破片や、ゼットンのものと思われる赤い破片などが飛び散っていた。
ダイナの勝利に一同は喜びの歓声を上げ、グビラも前足で拍手をする。 そんな中、ダイナは振り向いて海羽の方を見つめる。
海羽は「ありがとう」と言わんばかりの輝かしい笑顔でピースを向け、それを見たダイナは一回頷いた後サムズアップを返す。
変身を解いて一同と合流するアスカ。グビラは海に帰る事にした。
「じゃあ、グビちゃん、また遊ぼうね!」
そう言いながら海羽は元気よく手を振り、グビラも一回瞬きをする事で返事をする。
グビラは近くの崖から海に飛び込み、泳いで帰り始める。
「バイバーイ!」 海羽はなおも手を振りながら、見えなくなるまで見送った。
グビラを見送った後、海羽は今度はアスカの方に歩み寄り、お礼を言う。
「アスカさん、ありがとうございます。 私に勇気を引き出させてくれて。」
「俺のお陰じゃねぇ。 友達を救いたい一心でトラウマを振り切ったんだろ? 間違いなくお前の強さだ。」
「えへへ…。」
アスカからそう返された海羽は、歯を見せて満面に微笑む。
アスカは続けてこう言った。
「勝利出来たのも、お前とあの怪獣達の友情のお陰でもある。 やはり育んで来た友情と、それによって芽生えた絆は裏切らないな。」
「育んだ友情と、芽生えた絆か…。」 ひかるは感慨深そうに呟く。
「きっとそれがあったから、ハルちゃんやリリカちゃん達と再会出来たのかもね。」
「そして、今はその人達と協力し助け合っている。」
「まだ、諦めるワケにはいかねーな。」
真美、海羽、宏隆も徐々に前向きになって行く。
「敵は強大だけどね…。」 海羽はトラウマを乗り越えたものの、今現在の敵の強大さからまだ少し不安があるみたいである。
そんな海羽に、アスカはこう投げかけた。
「もしまたくじけそうになったら、その時は俺の名前を思い出せ。 「俺はダイナミックなダイナ、ダイナマイトのダイナだ!」 とな。」
「そうですね! ダイナミックなダイナ! ダイナマイトのダイナ! そして…大好きなダイナ!」
「お? コイツ~。」
アスカは海羽の額を軽く突く。 そしてアスカと海羽をはじめ、一同は笑い合う。
「僕達も力を貸します!」 「出来る事は何でもするよ~!」
「ありがとう。」
オニオンとタイショーの心強い言葉も受けた事により、いつもの明るさが戻る海羽。
「必ず、EXゼットンを倒そうぜ。」 「あぁ、今度は負けない。」
「もう一度、希望を信じようか。」 「そうだな。まだ終わりじゃない。」
ヒカルとショウ、ムサシとジュリも、それぞれ決心を固めていた。
…一方、こっそりついて来ていた愛紗も、そんな彼らのやり取りを聞き、表情が同じながらも何やら感慨深そうに呟いていた…。
「育んだ友情と絆…か…。」
同じ頃、ゼットン星人ゼボスはペダニウムゼットンを使った最終段階が敗れ、救援として向かわせた二代目ゼットンも敗れた事を悔しがる。
「おのれ…ウルトラマンダイナ、まさかあれ程の強さとは…。」
だが、その一方でゼボスにはまだ余裕があるようであった。 先程の作戦で得たマイナスエネルギーにより、ギマイラは完全な力を得たからである。
「ゼットン共も、完全まであと一歩手前まで来ている…明日早朝、ギマイラを放って一気に絶望と恐怖心を集めてやる…。」
ゼボスはそう言うと、雄叫びをあげるギマイラを見上げながら、不気味に笑っていた…。
果たして、ダイナと言う頼もしい仲間も参戦したウルトラ戦士たちは、ゼボスの野望を砕く事が出来るのだろうか…?
(ED:君だけを守りたい)
〈エピローグ〉
一方、櫂が一人のプライベートを楽しんでいた霞ヶ崎はというと、ウルトラマンゼロが戦闘を繰り広げていた!
相手はなんとゼットンである!(因みに姿はノーマル)
どうやらゼボスは、潮風町以外にも各地にゼットンを放っていたみたいである。
「ったくいきなり暴れやがって! 人の迷惑とかも考えろ!」
「人様のプライベートの邪魔すんじゃねぇ!」
ゼロと櫂は、それぞれ怒りのポイントは違えど、ゼットンを倒すと言う意思は一致していた。
ゼロはゼットンと激しいパンチの応酬を繰り広げ、やがて一瞬の隙を突いて胸部に右足蹴りを打ち込んで後退させる。
次にゼットンは左フックを繰り出し、ゼロがそれを両腕で受け止めた隙に右脚蹴りを繰り出すが、ゼロは即座にそれを両腕で防いだ後、ゼットンの胸部、腹部、頭部等と様々な部分に連続でパンチを浴びせ、更に跳躍して浴びせ蹴りを頭部に叩き込んで吹っ飛ばす!
ゼットンはかつてウルトラマンを倒した程の強豪怪獣なのだが、やはり本来の強さに櫂の身体能力が加わったゼロは、それと互角以上に戦っていた。
ゼロは腕をL字に組んで『ワイドゼロショット』を放つが、ゼットンはそれをゼットンシャッターで防ぎ始める。
だがゼロは諦めず、光線を発射しているまま跳躍し、『ウルトラゼロキック』を繰り出す!
少々無茶な戦法だが、必殺光線に、必殺キックの合わせ技の前にはゼットンシャッターもガラスのように砕け散り、同時に蹴りを喰らったゼットンは吹っ飛んで地面を転がる。
ゼットンは尚も立ち上がり、今度はゼロ目掛けて一兆度の火球を連射し始める!
ゼロスラッガーを手に持ったゼロは、それらを斬り裂きながら猛接近し始め、やがてスラッガーを合わせて『ゼロツインソード』にすると、それを風車のように振り回しながら火球を全て打ち消していく!
「プラズマスパークフラッシュ!」
ゼロは光の斬撃『プラズマスパークフラッシュ』を繰り出し、すれ違い様にゼットンを斬り裂く!
横一文字に斬られたゼットンは、時間差でその部位に一筋の線を発生させ、やがて大爆発して消し飛んだ。
「決まったぜ!」
ゼットンを撃破したゼロはフィニッシュポーズを決めてそう言った後、その場に佇んで星が瞬く夜空を見上げる。
「しかし、何故ゼットンなんかがいきなり現れたんだ…?」
ゼロはふとある方角を振り向く。それは、あの潮風町へと続く方角だった。
「何者かが、何処かで暗躍しているのだろうか…?」
外部のウルトラ戦士に気付かれないように電磁網を張られている潮風町だが、ゼロは戦士の勘で僅かながら異変を感じ取っているようであった…。
霞ヶ崎のゼットンを撃破したゼロ。しかし、恐らくゼボスは他にも各地にゼットンを放っているに違いない。
きっと、それぞれの地でパトロールをしているウルトラ戦士達が迎え撃っているかもしれない…。
To Be Continued…
読んでいただきありがとうございます。
実は、このゼボスとの激闘編、最初は中盤を作らない予定でしたが、コメント欄にてダイナの登場を待ち望んでいるコメントもあったという事で、急遽ダイナを本格参戦させる形で今回の中編を作成しました。
アスカはサーガの時は若干大人びていましたが、今回のアスカの描写はダイナ本編当時も少し意識してみました。
次回はゼボス率いるゼットン軍団との激闘のクライマックスを描く後編で、ダイナも活躍する予定です!
また、海羽ちゃんがグビラと仲良くなった経緯は、現在制作中の番外編で描く予定なので、そちらもお楽しみに!
感想・指摘・アドバイス等をお待ちしています。
因みに今回隠れたサブタイトルは『ウイニングショット』(ウルトラマンダイナ第5話)でした。
あと余談ですが、私は『ウルトラマンタイガ』『ULTRA GALAXY FIGHT NEW GENERATION HEROES』が毎週の楽しみです!
タイガはいよいよクライマックスに突入しそうですね。タロウの息子だけにとてもカッコよく、またパワフルなタイタス、トリッキーなフーマも魅力的で気に入りました!
トレギアの今後の動きにも目が離せませんね。
トライスクワッド及びトレギアも、いつか私の作品に登場させようかな?(ニヤリ)
ギャラクシーファイトも、毎回大迫力のバトルにフォームチェンジと見所満載で、最近いよいよ佳境を迎え、なにより今日の配信でオーブ、エックス、ジード、ギンガ&ビクトリーが“ゼロの力を使うフォーム”になって大興奮です!(笑)
では、失礼いたしました!