ウルトラマンゼロ物語(ストーリー) in RED ZONE STAGE   作:剣音レツ

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 新年、明けましておめでとうございます!


 まず最初に、去年は様々な事情があって一話しか投稿できなかった事をお詫び申し上げますm(__)m


 今回は年末年始特別編と言う意味も込めた番外編で、登場するのは去年活躍されたあの“ゼロの弟子”でもあるウルトラマンです!

 相変わらず文才は無いですが、とりあえず楽しんでもらえたら幸いです(笑)


 そして宜しければ、今年も本作やその他の作品、そして、特撮ヒーロー(特にウルトラマン)大好きな私・剣音レツをよろしくお願いします!


 では、どうぞ!


番外編「真に美しい者たち」

 とある夜の街。

 

 各所で光っている外灯が、黒い建物や道路などをいい感じに彩っているその夜の街にて、戦いが繰り広げられていた。

 

 

 その巨体を振わせ、激しくコンクリートの道路を崩す勢いで足踏みしながら進撃する一体の怪獣は、『宇宙古代怪獣エラーガ』である!

 

 

 それを迎え撃つのは、一見『宇宙ロボットキングジョー』に見えるが、色合いは白と黒のモノトーンになっており、胸部には青のプロテクターが付いているのが特徴である。

 

 エラーガと戦っているのは『特空機3号 キングジョー・ストレイジカスタム』だ!

 

 

 『ストレイジ』。 それは、日常的に出現する怪獣に対抗するために結成された、地球防衛軍日本支部(GAFJ)の対怪獣ロボット部隊である。

 

 正式名称は『対怪獣特殊空挺機甲隊』(STORAGE(Special Tactical Operations Regimental Airborne and Ground Equipment))であり、対怪獣特殊空挺機甲(通称:特空機)という巨大ロボットを駆使して、災害を巻き起こす怪獣などに立ち向かうのだ。

 

 

 このキングジョー・ストレイジカスタムも、かつて『海賊宇宙人バロッサ星人』が襲撃の際に使ったキングジョーのボディを回収し、解析・カスタマイズしたものである。

 

 

 キングジョーはロボットモードの姿で突如現れたエラーガと交戦しており、お互い馬力を活かした殴り合いを展開していた。

 

 やがてエラーガを右腕の砲身で殴って怯ませた隙に、折り畳み式の左腕を伸ばして攻撃する近接鉄拳攻撃システム・ペダニウムハンマーを叩き込んで後退させるが、エラーガが即座に頭部から放った光線を浴びて大爆発してしまう!

 

 

 《キングジョー・ストレイジカスタム タンクモード!》

 

 

 だが、キングジョー・ストレイジカスタムは大破しておらず、即座に爆風に紛れて自走多目的兵装型・タンクモードへと変形していた。

 

 キングジョー・ストレイジカスタムのタンクモードはエラーガの周りを走行しながら、全砲門からの一斉射を浴びせて行く。

 

 だが、エラーガも負けておらず、闇雲に振るった尻尾の一撃で動きを止めると、再度頭部から光線を放って反撃する。

 

 キングジョー・ストレイジカスタムは即座にコアシップ、ヘッドファイター、ブレストタンク、レッグキャリアーの4機に分離するセパレートモードになる事でそれを回避すると、それぞれ多連装ペダニウム誘導弾、ペダニウムハンマー、等を四方八方から浴びせて行く!

 

 

 キングジョー・ストレイジカスタムの変形を駆使した攻撃に完全に怯んだエラーガ。

 

 キングジョー・ストレイジカスタムは再度ロボットモードに変形すると、エラーガに至近距離から砲身を向けてエネルギーを溜めて行き、やがてそこから強力なビーム・26口径750mmペダニウム粒子砲を放つ!

 

 至近距離からビームに押される形で吹っ飛ぶエラーガは、やがて大爆発して地面に叩き付けられた!

 

 そしてしばらく痙攣した後、そのまま絶命する…。

 

 

 見事、エラーガを倒したキングジョー・ストレイジカスタムは、その場で堂々と立ち尽くす。

 

 だが、反撃により多少ダメージも受けたみたいである。

 

 とりあえずキングジョー・ストレイジカスタムは、その場から飛び立ち、基地に向かって飛び去って行った…。

 

 

 …しかし、飛び去って行くキングジョー・ストレイジカスタムを、とあるビルの屋上から一つの影が見上げていた…。

 

 「フッ…まあいい。 ここからが本番だ…。」

 

 黒ずくめの衣装に身を包んだいかにも不気味なその影はそう言うと、紫のオーラと共にその場から姿を消した…。

 

 

 一体、奴は何者なのだろうか…?

 

 

 そしてこの世界で、一体何が起ころうとしているのだろうか…?

 

 

 (OP:ULTRA BRAVE)

 

 

 皆さん、ご機嫌よう。

 

 私は新田真美。

 

 麟慶大学を無事卒業し、国家試験に合格した私は、晴れて近くの街の病院『日向クリニック』の看護師になる事が出来たの。

 

 …と言っても、まだ研修生の段階だけどね。

 

 大学の医学部にいた頃は、ある程度看護師の仕事を分かったつもりでいたんだけど…実際に現場に臨んでみると、私が想像してたのとだいぶ違っていたわ。

 

 切り替わる予定、迅速に対処しなきゃいけない状況、様々な形で不安がったり文句を言ったりして来る患者への対処など…。

 

 まだまだ学ばなきゃいけない事がいっぱいあるみたいだわ。

 

 ま、言っちゃうと私はまだ半人前…いや、“三分の一人前”と言った所かな?(笑)

 

 それに、辛い事だけど、医者も看護師も決して神様じゃないのは分かっている。

 

 だから私は、手の届く範囲で守れる命は一生懸命守って、それでもどうしても守れなかった命があったら、その存在を絶対に忘れない…そう言う心意気でやって行こうかとも思っているの。

 

 

 今日も、いつものように忙しい研修を午前中に終えた私は、近くのコンビニへとランチを買いに出かけた。

 

 

 …でも、その道中に、何やら奇妙な光景を見かけたの…。

 

 昨夜倒されたと言われている怪獣の死体の周囲に大勢の人が集まって、何やら一斉に両手を挙げてるわ。

 

 あまりハッキリ聞こえなかったけど…何やら一斉に脱力したような声で呪文のようなものを喋っていたわ…。

 

 なんか、どっかの宗教の団体みたい…。 昨日のあの怪獣といい、最近は謎の飛行機墜落事故も頻発して、その患者も私の病院に流れて来るし…一体何が起ころうとしているんだろう…?

 

 まぁ、とりあえず分からない事をじっくり考えても仕方ないと、私はお茶とサンドイッチの入った袋を手に、足早に病院へと戻って行ったわ。

 

 

 ランチを食べた後、私はしばらく病院内を見学する事にしたの。

 

 看護師として働く以上、病院の事をもっと知っておかないとね。

 

 それに12月に入ったという事でもうすぐクリスマスでもあるし、彼のためにm…おっと、こっから先は私のプライベートだね(笑)

 

 

 白衣の姿で院内の様々な部屋を回っていたその時、私は何かに気づく。

 

 視線の先のとある廊下の椅子に座っている小学生ぐらいの1人の男の子が俯いていたの。

 

 見てみると、目には涙を浮かべて泣いているわ…。

 

 院内見学自体、私が勝手にやってるだけだし、一旦中断して、私はその子の元へと歩み寄る。

 

 「ねぇ…。」

 

 真美は少年に静かに声をかけてみる。 少年は少し驚くように、涙目のまま視線を上げる。

 

 「大丈夫?」

 

 更に真美は、少年の目線までしゃがんで優しく話しかける。

 

 少年は、知らない人に話しかけられたという事で少し戸惑ったが、看護師の優しさを表すような白衣の姿、そして優しい表情で見つめる真美の顔を見て、話しても大丈夫だと判断したのか、若干キョドりながらも少しずつ話し始める。

 

 少年の名は冴(さゆる)。 なんでも彼の母親は難病に侵されていてこの病院に入院しているようであり、明日、手術を迎えると言う事で、それを励ますためという事もあってお見舞いに来ているのだという。

 

 上手く行けばクリスマス前には退院できるみたいなのだが、もし上手く行かなかったら来年まで…もしくは最悪の場合…。

 

 だから、とても不安な気持ちでもあるのだと言う。

 

 「…そっか…それは辛くて心配だよね…。」

 

冴の境遇を知り、彼の辛い心に寄り添おうとする真美。

 

 

 …しかし、彼が不安なのはそれだけではなかった。

 

 なんでも、母の様子が、昨日お見舞いに来た時と違っていたのだという。

 

 病室のベッドで横になっているのは同じなのだが、何やら終始、魂の抜けたような表情で窓の外を見つめており、時折「キリエル様…」と戯言のように呟いているのだという…。

 

 どんなに話しかけても、感情を感じない生返事ばかりという事もあって、母は難病の影響でおかしくなって、このまま助からないんじゃないかと思った冴は、一層悲しくなったという…。

 

 全てを話した後、悲しさがフラッシュバックしたのか、真美に縋り付く冴。 真美はそんな彼の頭を撫でる。

 

 「心配だよね…。 きっとお母さんは、明日の手術の事で一時的に不安になってるんじゃないかな? きっとすぐ良くなるよ。」

 

…そう声を掛けるものの、確信はないどころか自信が揺らいでいたため、それ以上の事は言えなかった…。

 

 

 …更に真美は、ある事に気づいていた…。

 

 よくよく考えてみると、先程ランチを買いに行った際に見かけた人々も、似たような状態だったという事である…!

 

 そして、その人々も「キリエル様…」と呟いていたという事も…!

 

 真美はそれらを思い出した瞬間、これはただ事ではないとも思い始めていた…!

 

 

 その時、ふと窓から外を見てみると、何やらミリタリー感のあるつなぎとベスト、ヘルメットを付けた1人の女性が、病院のスタッフの1人とやり取りをしていた。

 

 「本日、この病院で何か異常な事とかありませんでしたか?」

 

「いや、特にないね。」

 

「そうですか、近くの怪獣の死骸に人々が群がっているという不可思議現象も起きています。 何でもいいので何かあったら知らせてくださいね。」

 

 そうやり取りすると、女性はその場から去って行った…。

 

 「もうすぐ死体処理班が来るはずだけど…一体、何が起ころうとしてるの…?」

 

 エラーガの死骸に群がる人々を見つつ歩きながらそう呟く女性は、ストレイジの隊員で、高い操縦スキルを持ったエキスパート、『ナカシマ・ヨウコ』である。

 

 因みに昨夜、キングジョー・ストレイジカスタムを駆ってエラーガを倒したのも彼女である。

 

 ヨウコは改めて辺りの偵察を続ける事にし、ストレイジの特殊車両・ステッグへと戻って行った。

 

 

 引き続き、冴の頭を撫でている真美。 その時、誰かが話しかけて来る。

 

 

 「それはきっと、キリエル人の仕業っすね。」

 

 

 突然、聞いた事も無いワードを交えながら話しかけて来た誰かの方へと真美は振り向く。

 

 

 そこには、爽やかで端正な顔立ちの青年2人がやり取りしていた。

 

 「ちょ…ハルキさん、流石にいきなり過ぎなんじゃ…。」

 

 「お…押忍、そうっスね。 ちゃんと一から話しますよ。」

 

 

 「…あの~…あなた達は一体…?」

 

 恐る恐る真美は問いかけ、それを聞いた青年2人は仕切り直す。

 

 

 「話す前に、俺たちの事は誰にも言わないと約束してくれますか?」

 

 「え? …えぇ。」

 

 真美は戸惑いながらも了解したため、青年たちは詳細を話し始める。

 

 

 デニムジャケットを着込んだ、大好きなTVのヒーロー・ドンシャインのキーホルダーを付けている1人は『朝倉リク』。

 

 みんな知っているだろうが、あの悪のウルトラマン『ウルトラマンベリアル』の遺伝子で造られた、所謂ベリアルの息子でもあるウルトラ戦士『ウルトラマンジード』として戦う青年である。

 

 

 そして先程のヨウコと同じ隊員服を着ているもう1人は『ナツカワ・ハルキ』。

 

 彼は元ストレイジの隊員であり、ストレイジ在隊中に『ウルトラマンゼット』と一体化した青年でもある。

 

 

 ウルトラマンゼット。それは、(本人曰く非公開だが)M78星雲・光の国出身のウルトラ戦士であり、あの歴戦の戦士『ウルトラマンゼロ』に憧れ、(半ば強引に)彼に弟子入りして、努力の末に宇宙警備隊に入隊した若きウルトラ戦士である。

 

 光の国を襲撃し、そこで『ウルトラマンヒカリ』が開発した『ウルトラゼットライザー』と『ウルトラメダル』を飲み込んだ『凶暴宇宙鮫ゲネガーグ』をゼロと共に追い、そこでゼロと生き別れた後に引き続き追って地球に来訪。

 

 その際の戦闘で共闘する形で出会い、自身もろとも窮地に陥って命を落としたハルキと一体化し、それ以降は地球の平和のために戦った。

 

 

 ハルキはゼットと一体化後、怪獣や宇宙人、暗躍する『寄生生命セレブロ』などと戦って行き、その最中に『どくろ怪獣レッドキング』との戦いを通じて、怪獣も生命の一つという事を知って苦悩する事もあったが、『四次元怪獣ブルトン』の事件の際に時を超えてかつての父・マサルと出会い、「手が届く範囲で守れる命は全力で守り、それで傷つけた、もしくは守れなかった存在は絶対に忘れない」と決意を新たにして改めて戦いに臨み、その後ゼットやストレイジの仲間達と共にセレブロの文明自滅ゲームを破って全てが終わった後、宇宙で苦しむ命を守るためにゼットと共に宇宙へと旅立った。

 

 

 因みにウルトラマンゼットの名付け親は『ウルトラマンエース』であり、地球の言葉で“最後”を意味する“Z”から転じて、戦いの無い平和な宇宙をもたらす最後の勇者になれという願いが込められている。

 

 

 リク(ジード)の事は、“ベリアルを倒してM78星雲にその名を轟かせた超有名な人”として、リク君先輩(ジード先輩)という呼び名で敬っており、『ラストジャッジメンター・ギルバリス』、『虚空怪獣グリーザ』などの強敵が襲来した際に共闘している。

 

 

 今回、2人が地球に帰って来たのは、この地球に新たな侵略者が現れたからである。

 

 

 その侵略者とは『炎魔人キリエル』である。

 

 キリエルとは太古の昔、既に地球に侵入していたと言われている精神生命体(エーテル体)であり、その頃から人類に干渉を行い、「より良い方向に導く」と囁いて支配しようとして来た。

 

 自己顕示欲が強い彼らは、嘗て地球の守りについていた『ウルトラマンティガ』を「自分たちより後に地球に来たくせに好き勝手にしている」と敵視し、自分こそが救世主であると人類に認めさせるため、2度に渡ってティガに挑戦した事もある。

 

 

 そして今回、ネオフロンティアスペースを抜けて、マルチバースを潜ってこの世界にやって来た一部のキリエルの目的は、ティガのみならず「光の戦士こそが悪魔」と人類に認めさせるために「自身こそが救世主」と人々に囁いて洗脳し、頼るのが自身しかいなくなった事で余裕が無くなった人々に自身を崇拝させる事によりその人々から発生したマイナスエネルギーと、バロッサ星人を利用してリクから奪った『ジードライザー』と『ベリアルカプセル』の力を利用して、再び同胞たちを呼び出すために地獄の門を開こうと言う事である。

 

 

 ジードライザーを盗まれたリク(ジード)は改めてヒカリからゼットライザーを授かり、道中、バロッサ星人は撃破したものの、既にジードライザーを手にしていたキリエルがゼットの地球に侵入したため、ゼットと共に追う形でやって来たのだと言う。

 

 

 恐らくエラーガの死骸に群がっている人々は既にキリエルの干渉を受けた人々であり、そして冴の母もまた、その一人なのであろう。

 

 

 「…そんな…昨日の怪獣といい、また侵略者が来てしまうなんて…。」

 

全てを知った真美な、新たな侵略者の来襲に愕然とする。

 

 「大丈夫っす! 必ず、俺たちがキリエルをやっつけて見せます!」

 

 「そうだね。 僕たちは、ウルトラマンだから。」

 

ハルキは頼もしい言葉をかけ、リクもそれに続き、それを聞いた真美も少し嬉しそうな顔になる。

 

 

 しかし、冴は先程よりも悲しみが増しているようであった。

 

 「どうしたんだ?僕。」

 

 リクは話しかけてみる。

 

 「きっと…お母さんは、もう治らないと諦めてるんだ…。 お母さん、難しい病気だし、明日手術だけど…もう治らないと諦めてるから、そのキリ…なんとかにアッサリと操られて…。」

 

涙ながらにそう言う冴に、真美もとりあえず頭を撫でながらも、悲しそうな表情になり、掛ける言葉を失ってしまう…。

 

 

 その時、ハルキは冴の目線までしゃがんで語りかけ始める。

 

 

 「僕、見えるものだけを信じちゃダメだ。」

 

 

 「…え?」

 

 冴はふと俯いていた泣き顔を上げる。 ハルキは続ける。

 

 「きっと君のお母さんは、絶対に病気を治したいとまだ足掻いていると思うよ。」

 

 「お兄ちゃんどうしてそれが分かるの?」

 

ハルキの言葉に疑問に思う冴。 リクはそのワケを話す。

 

「きっとキリエルの目的は、地獄の門を開ける事、そしてエラーガを強化・復活させる事なんだ。 そしてそのためには、いずれもマイナスエネルギーが必要。 だから、洗脳した人々はエラーガの死骸の方に集まるようにしてるハズなんだ。」

 

ハルキはその続きを話す。

 

 「でも、君のお母さんはまだ病室のベッドにいる。 もしかしたらキリエルの洗脳を受けてる一方で、心の中はまだ邪悪な力に負けていない。 だからまだ病室の中にいるんじゃないかな?」

 

ハルキ達の推測を聞いて、母はまだ完全に諦めていない事を確信し始めている冴は、少しずつ出始めた安心と嬉しさからか涙目になり始める。

 

 「キリエルを倒せば、お母さんはもちろん、大勢の人々も元に戻る。 約束だ。俺たちが、絶対に元に戻す。」

 

 そう言うとハルキは小指を差し出し、それに対し冴も震える手で小指を差し出し、ハルキと約束の指切りをした。

 

 

 「…苦しいよね。」

 

 少し安心したものの、尚も涙目でいる冴。 真美は背中を摩りながら寄り添う。

 

 今にも泣きそうな目をしてるのだが、冴も男の子。 無理に我慢しているのであろう。

 

そんな冴に、真美は目線までしゃがんで語りかける。

 

 「辛い時は泣いてもいいんだよ。」

 

 その優しい言葉を聞いた冴は、安心感からかさっきまで抑えていた感情を一気に解放するように、真美に抱きついて泣き始める。

 

 「男の子かどうかなんて関係ない。 泣きたい時は泣く。 自分の感情に素直になる方が、気持ちが少しは楽になれるんだよ。 泣く事は、心の傷を癒すための1つの方法なんだから。」

 

自身に抱きついて泣く冴の頭を撫でながらそう語る真美。 やがて冴は気が済んだのか、少し落ち着く。

 

 「お姉ちゃん…ありがとう。 僕、少し楽になった。」

 

 「泣く事で、心のモヤモヤを洗い流せたみたいね。」

 

 すると、リクがこう言った。

 

 「泣く事は心のモヤモヤを洗い流す…か。 カップ焼きそばで言う、湯切りみたいな!」

 

 突然のリクのジョーク。 しかし、一同はあまりにも唐突過ぎたのか、一瞬戸惑ってしまう。

 

 どうやら見事に滑ったみたいだ(笑)

 

 「ぷふっ…何よそれ。」

 

 やがて真美が時間差で笑い出したのをキッカケに、辺りは一気に笑いに包まれた。

 

 

 そして、ハルキは改めて冴に言った。

 

 「必ず、お兄ちゃん達がなんとかする。 だから、安心しろ。」

 

「…押忍!」

 

「お? 僕、なかなかいいね〜、押忍!!」

 

 辺りは改めて笑いに包まれた。

 

 

 そのやり取りをインナースペース内から見ていたゼットも、ハルキの成長を改めて感じていた。

 

 「ハルキ…立派になったなと、改めてウルトラ強く感じております!」

 

そしてゼットも、改めて決意を新たにした。

 

 「必ず侵略者を倒し、みんなを元に戻す! ウルトラ気合い入れるぜー!!」

 

 

…だが、それも束の間、その希望を見出したやり取りを遮るかのように1人の影が現れる。

 

 「随分と楽しそうだな、愚かな人間ども。」

 

 若干ノイズの混ざった声が聞こえ、一同はその方向へと振り向く。

 

 そこには、白と黒を基調とした悪魔のような姿に、右半分は泣き顔、左半分は笑い顔に見える不気味な顔つきが特徴の、おぞましい姿の怪人のような者が立っていた。

 

 奴こそ紛れもなくハルキ達が追って来たキリエル人である。

 

 今回の個体は、人間や巫女の姿をしていた以前のキリエル人とは違い、等身大時から『炎魔戦士キリエロイド』の姿で登場している。

 

 これからは奴を便利上『キリエロイドⅢ』と呼んで行こう。

 

 

「キリエル…!」

 

 ハルキとリクが即座に身構える中、キリエロイドⅢは余裕の体勢を崩さずに話し続ける。

 

 「何を考えているかは分からないが、その内君達も、我らキリエルしか頼れる者がいないと思い知る。」

 

 「そうなるものか! お前達は、ただ救世主を装って、侵略がしたいだけだろ!」

 

 ハルキがそう切り出す中、キリエロイドⅢはそのハルキ達にこう切り返す。

 

 「ウルトラマンどもよ、おこがましいとは思わないかね?」

 

「何?」とリク。

 

「この星の守護神にでもなったつもりかもしれんが、君たちが現れるずっと前から、この星の愚かな生き物たちはキリエル人の導きを待っていたのだよ。」

 

「そんなの、屁理屈に決まっている! 地球は歴史も文明も、人間たちと、そこに住む生き物たちが作って来たものなんだ!! 」

 

 「お前たちは、無理に人間に干渉して、支配しようとしている。 しかし人間は、それぞれちゃんと自分の名前を持っている…自分は自分だという気持ちを持っている! だから、簡単に支配されるほどやわじゃない!!」

 

 ハルキとリクは熱い言葉を投げかけるが、それでもキリエロイドⅢの余裕は一向に崩れる様子はない。

 

 「…ふむ、確かに、マイナスエネルギーの溜まる速度が予定より遅れ気味だな…。 手荒なやり方は好きじゃないけど、こうなったら次の手に入るか。」

 

 

 そう言うとキリエロイドⅢは指パッチンをする。

 

 すると突然地響きが起こり始め、ハルキとリクは突然な事に戸惑い、冴は真美に縋り付き、真美は冴の安全のために抱き寄せる。

 

 やがて病院の近くの街の地面から激しく土砂やコンクリートの破片などが巻き上がり、そこから一体の巨大怪獣が現れる!

 

 現れたのは、無数の角が生えた頭、硬いウロコで覆われた体、熊手状の尻尾が特徴の『再生怪獣サラマンドラ』だ!

 

 

 サラマンドラとは別の地面からは砂嵐が巻き上がり、そこから地面が蟻地獄のように崩れて行く。

 

 そこから更に激しく砂煙を巻き上げながら、クワガタムシのような一対の大顎、硬い甲羅に覆われた、カブトムシやアリジゴクのような体が特徴の怪獣『磁力怪獣アントラー』が現れる!

 

 

 そして、更に近くの別の場所では、巨大な氷の塊のようなものが現れ、それが徐々に変形して行って一体の巨大怪獣になる。

 

 白い体毛に覆われたマンモスのような外見が特徴の『冷凍怪獣マーゴドン』である!

 

 

 現れた3体の大怪獣。サラマンドラは鼻から放つ火炎やロケット弾、大きく振るった尻尾での打撃等でビルを崩し、アントラーは顎の間からの七色のオーロラのような磁力光線でビルを引きつけ、巨大な顎で切り崩すなどをして行き、マーゴドンは鼻や全身からの冷凍光線で凍り付かせたビルを体当たりで崩すなどをして、それぞれ暴れて行く!

 

 キリエロイドⅢは、3体の怪獣も引き連れて来ていたのだ!

 

 

 突如現れて暴れ始めた怪獣軍団に驚愕する一同。

 

 「我が集めたマイナスエネルギーとデビルスプリンターで怪獣墓場から再生させ、我の支配下に置いた怪獣軍団だ。 これで街の人々に恐怖を植え付け、一気にマイナスエネルギーを集めてやる。」

 

 

 デビルスプリンターとは、ウルトラマンベリアルの細胞の因子であり、次元を超えて様々な宇宙に散らばり、怪獣たちを凶暴化させている。

 

 現在、宇宙警備隊が手分けして捜索・消去に励んでいると言われている。

 

 

 怪獣の出現に街の人々は一気にパニックになって逃げ始め、それはエラーガの死骸に群がっていた人々もそうであった。

 

 最も、エラーガに群がっていた人々はまだ洗脳状態なため、キリエルの名で助けを呼びながら逃げているのだが…。

 

 

 「ふっふっふ…これで十分以上なマイナスエネルギーはすぐに集まるであろう。 これで愚かな人どもは完全に我に救世主と崇めるであろう…!」

 

 暴れ回る怪獣軍団に、恐怖で逃げ回る人々を見下ろしながら高笑いをするキリエロイドⅢ。

 

 冴は恐怖で再び涙目になりそうになり、真美は「大丈夫だよ」と語り掛けるように彼の頭をそっと撫でる。

 

 

 …しかし、ウルトラマン2人は違っていた…!

 

 圧倒的に絶望的な状況になったハズなのに、その熱気のある表情は衰える事は無かった…!

 

 「…何故だ…? 何故絶望し、我を崇めない?」

 

「この地球を守っているのは、僕たちだけだと思ったかい?」

 

「頼もしい仲間は、まだまだいるんスよ!」

 

リクとハルキの言葉をまだ理解出来ないでいるキリエロイドⅢ。

 

 

 その時、何かがジェット噴射で向かって来る音が聞こえ、キリエロイドⅢを始め、一同は振り向く。

 

 

 「…なんだアレは…?」

 

 

 《着陸します! ご注意ください!》

 

 

 キリエロイドⅢの目線の先、そこには、空の彼方から颯爽と飛んで来たロボットが、AIのアナウンス音と共に着陸する光景であった!

 

 着陸したのはストレイジの戦力のロボットの一体の『特空機2号・ウインダム』である!

 

 「やっぱり、最近の一連の事件には、黒幕がいるって事ね!」

 

ウインダムに搭載しているヨウコは、そう気合の声を上げる。

 

 

 「怪獣が一気に三体も出て来るなんて、スッゲ~!! …あ、ウゥン! ヨウコ!怪獣たちのデータは分かり次第教えるから、とりあえずダメージを与える事に専念して!」

 

 そう基地からヨウコに通信しているのは、ストレイジの装備研究開発班に所属している、怪獣好きでもある女性『オオタ・ユカ』である。

 

 

 「了解! さぁ、どこからでもかかって来なさい!」

 

 怪獣たちも身構える中、ヨウコはそう叫ぶと、三対一という圧倒的不利であろう状況の中、臆する事無く怪獣軍団に向かって行く!

 

 ウインダムは先手必勝とばかりにサラマンドラに跳び蹴りを叩き込み、続けて胸部に二発チョップを打ち込むが、直後にサラマンドラの殴り込みを二発受けて怯んだ隙に尻尾での一撃を受けて吹っ飛んでしまう。

 

 地面に転がりながらもウインダムは頭部の発光部からレーザーショットを放ってサラマンドラに浴びせるが、硬いウロコに覆われているサラマンドラには通用しない!

 

 

 「なかなか、やるじゃない!」

 

 そう言うヨウコの声と共に立ち上がったウインダム。 マーゴドンは鼻から冷凍ガスを放って氷漬けにしようとするが、ウインダムは即座にジェット噴射で横にスライドしてそれを回避する。

 

 「もう氷漬けになるのは懲り懲りよ!」

 

 ヨウコはそう言うと、今度はマーゴドン目掛けてレーザーショットを放つ!

 

 マーゴドンの体に命中して爆発するが、熱エネルギーが好物でもあるマーゴドンはダメージを受けるどころか、その爆発すら吸収してしまう!

 

 

 「そんな…!」

 

 ことごとく攻撃を無効化されて行く事に流石に動揺を隠せなくなっているヨウコ。 その隙を突き、アントラーは背後から大顎でウインダムを挟み込み、身動きが取れなくなった所にマーゴドンが体当たりを叩き込み、ウインダムは大きく吹っ飛んでしまう!

 

 「キャァ!!」

 

 《ダメージレベル、40%!》

 

 

 怪獣たちから攻撃を受けるごとにダメージを受けていくウインダム。 キリエロイドⅢはそれを高笑いしながら見つめていた。

 

 「フハハハハ!! たった一体で我が怪獣軍団に挑むとはなんと愚かな…! さぁ、今こそ地獄の門を…。」

 

 「チェストー!!」

 

 キリエロイドⅢがジードライザーを取り出そうとしたその時、ハルキが掛け声と主に駆け寄りながら蹴りを放ち、キリエロイドⅢは即座にそれを避ける。

 

 「俺たちウルトラマンの事を忘れたんスか!? 行ってくださいリク君先輩! 俺もすぐに行きます!」

 

 「分かった!」

 

 ハルキに促されたリクは、苦戦するウインダムに加勢するために窓から飛び降りる形で病院の外に出る。

 

 

 「ジーっとしてても、ドーにもならねぇ!!」

 

 

 リクはゼットライザーを構えてトリガーを引いて起動させ、それにより現れたZ字型の光の扉・ヒーローズゲートに飛び込んでインナースペースに入る!

 

 

 《RIKU Access granted》

 

 

 リクはウルトラアクセスカードを手に取り、中央のスリットにセットして認証した後、腰に付けているゼットホルダーからウルトラマンギンガ、ウルトラマンエックス、ウルトラマンオーブのウルトラメダルを取り出す!

 

 

 「ライブ! ユナイト! アップ!」

 

 

 「ウルトラマンギンガ! ウルトラマンエックス! ウルトラマンオーブ!」

 

 

 《GINGA》 《X》 《ORB》

 

 

 リクはメダルをライザーのスリットにセットし、ブレードをスライドさせる事でスキャンさせ、構えを取る。

 

 

 「集うぜ! キラ星!!」

 

 

 リクは口上を上げた後、ライザーのトリガーを押す!

 

 

 「ジード!!」

 

 

 「ショゥラァ!」 「イーッスァッ!」 「スェァッ!」

 

 

 《ULTRAMAN GEED GALAXY RISING》

 

 

 ギンガ、エックス、オーブのパワーでウルトラフュージョンが完了したリクは、飛び立つ3人の光の軌道が重なり合った後、更にプリミティブの基となるウルトラマンとベリアルのビジョンと重なり、ベリアルのアーリースタイルにも似たジード本来の姿の顔や全体像が浮かび上がった後、ベリアルの鋭く吊り上がった目、ギンガ、エックス、オーブの変身バンク、そして光と闇の渦を背景に、広げた右手を突き出して飛び出す!

 

 

 現れたのは、ジードがゼットライザーを用いて変身する新たな強化形態で、プリミティブをベースに、全体的な攻撃力がアップしている『ウルトラマンジード・ギャラクシーライジング』である!

 

 

 現れたジードは激しく土砂を巻き上げながら着地した後、ゆっくりと体を起き上らせて構えを取る。

 

 「あれは、あの時の…!」

 

 ヨウコもジードの登場に気付いて反応する。

 

 

 ジードは怪獣軍団に飛びかかると、まずはサラマンドラに飛び膝蹴りを叩き込み、怯んだ隙に荒々しく爪で引っ掻くような打撃を打ち込んで行く。

 

 だが、その隙に背後から迫って来たアントラーの大顎に体を挟まれてしまう!

 

 「ギャラクシーカッティング!」

 

 ジードは即座にギャラクシーカッティングを発動し、腕の刃を伸ばしてアントラーの頭部に肘打ちを打ち込むように斬撃を打ち込む事で挟み込みから逃れる。

 

 更に振り向き様に横一直線に斬撃を打ち込んだ後、腹部に前蹴りを叩き込んで吹っ飛ばすと同時に、その反動を活かして宙返りをしながら後ろに飛ぶ。

 

 「プラズマ光輪!」

 

 ジードは着地した後、ギンガサンダーボルト、エクシードイリュージョン、オリジウムソーサーを混ぜたような1つの巨大な光輪を発生させて4つに分離させて投げつける技・プラズマ光輪を放つ!

 

 4つの光輪の内、それぞれサラマンドラとアントラーに命中した2つはダメージを与える事に成功するが、後の2つは案の定、マーゴドンに爆発エネルギーごと吸収されてしまう!

 

 「何だって!?」

 

 ジードが一瞬動揺した隙にマーゴドンは冷凍ガスをジードに浴びせて一瞬視界を遮った所に体当たりを浴びせ、それを受けたジードはスピンして地面に叩き付けられる!

 

 一方でアントラーは顎を活かした頭突きをウインダムに打ち込んで後退させ、更にサラマンドラは鼻から火炎を噴射してウインダムを焼き尽くそうとする!

 

 「キャッ!!」

 

 「危ない!」

 

 もうダメだとばかりに顔を背けるヨウコ。 立ち上がったジードは即座にウインダムの前方に回り込み、プリミティブのモノに似た円形状のバリア・ジードバリアを展開してそれを防ぐが、その隙にマーゴドンが再度体当たりを仕掛けて来る!

 

 

 …しかし、マーゴドンは、突如何処からかジェット噴射で飛んで来た鉄拳を体に喰らい、たまらず転倒する。

 

 

 ジード、そしてウインダムはふとある方向を振り向くと、そこにはロケットパンチを元の腕に戻して立つ一体のロボットが。

 

 現れたのは、ストレイジが最初に開発した、所謂世界初の対怪獣ロボット『特空機1号・セブンガー』である!

 

 

 「セブンガー!!」

 

 突如のセブンガーの加勢に、喜びも混じった驚きの声を上げるヨウコ。

 

 

 「この骨董品も、まだまだ使えるのだよ。」

 

 そう声をかける、セブンガーに搭載している老年の男性は『イナバ・コジロー』(愛称:バコさん)である。

 

 彼は元々ストレイジの整備班の班長であるのだが、他にも空手の腕前が高かったり、巨大なマグロを調達して解体したり、手品を披露したりなど、かなり器用な人物でもあり、特空機の操縦も造作もないのである。

 

 

 最初に開発された事もあって、ストレイジのシンボル的存在でもあるセブンガーは、5年に渡る運用・戦闘による老朽化や、新たに開発されたキングジョー・ストレイジカスタムの主力化に伴って退役し、主にPR活動用として利用されていたが、バコさんによって常に出撃可能な状態に整備されており、その後も度々出動している。

 

 そして今回も、昨夜の戦闘で受けたダメージによりメンテナンス中のキングジョー・ストレイジカスタムに代わって、バコさんの操縦で戦場に降り立ったのである!

 

 

 「バコさん! 来てくれたんですね!」

 

 セブンガーに乗っているのがバコさんだと気づいた、“枯れ専”(年上好き)でもあるヨウコは更に喜びの声を上げる。

 

 それは、基地内からモニターで見ているユカも同じであった。

 

 「さぁ、体勢を立て直して行くぞ!」

 

 「了解!」

 

 バコさんの一喝を受けて奮起したヨウコはウインダムを立ち上がらせる。

 

 

 そしてセブンガーはアントラー、ウインダムはサラマンドラ、そしてジードはマーゴドン相手に戦闘を再開する!

 

 

 一方ハルキは、キリエロイドⅢと互角の立ち回りを繰り広げていた。

 

 互いに素早く、かつ力強いパンチやキックの応酬を展開しており、見守っている真美たちもそれを目で追うのが大変な程である。

 

 やがてハルキはキリエロイドⅢの右脚蹴りを左脇腹に喰らって一瞬怯むが、その後放って来た右フックをしゃがんでかわすと同時に腹部にボディブローを叩き込んでお返しする。

 

 「チェストー!!」

 

 更にハルキは、上段の回し蹴りをキリエロイドⅢの頭部に叩き込み、それを喰らったキリエロイドⅢはたまらず吹っ飛んで壁に叩き付けられた。

 

 ウルトラマンZと一体化しているだけでなく、自身も空手の有段者でもあるハルキは、生身でも高い身体能力を発揮するのである。

 

 

 目の前のハルキ、そして外で奮闘するジードと特空機たちを見て、真美たちは徐々に安心の表情になって行く。

 

 「ハルキさん…皆さん…頑張ってください。」

 

 真美は満面の笑みでそう呟いた。

 

 

 キリエロイドⅢを蹴り飛ばしたハルキは、外で戦うジードと特空機達の方を振り向き、それらをじっくりと見つめながら呟く。

 

 「…先輩たちは、ギリギリまで頑張ってくれた…!」

 

 「それにより、俺たちの気持ちも更にグッと出来上がった!」

 

 怪獣軍団と戦い続けている仲間たちの諦めない気力を感じるハルキとゼット。 それにより、彼らの気力も上がった。

 

 

 今こそ変身の時である!

 

 

 「行くぞハルキ!」

 

 

 「押忍!!」

 

 

 ハルキはゼットの呼びかけに気合いの叫びで返事をした後、ゼットライザーを取り出し、トリガーを引いて起動させる。

 

 

 そしてそれによりハルキの背後にZ字型の光の扉『ヒーローズゲート』が現れ、ハルキは『ウルトラアクセスカード』を手に取り、中央のスロットにセットする。

 

 

 《HARUKI Access granted》

 

 

英語のネイティブな発音の音声と共に認証が完了し、ハルキはブレードをスライドさせ、背後から迫るヒーローズゲートを潜って『ウルトラマンゼット・オリジナル』へと変身が完了する!

 

 

 《ULTRAMAN Z》

 

 

 眩い光と共に現れたゼットを前に、真美は目を見開いて驚くと共に見入る。

 

 「あれがウルトラマンゼット…!」

 

「遂に現れたなウルトラマンゼット!」

 

キリエロイドⅢは余裕そうにそう言うと、構えをとってゼットに襲い掛かる!

 

 「ウルトラ派手に行くぜ!」

 

 「押忍!」

 

ゼットも構えを取って立ち向かう!

 

 ゼットはキリエロイドⅢの駆け寄りながらの回し蹴りをすれ違いざまにしゃがんでかわすと、右ハイキックを放つがキリエロイドⅢはそれを左腕で防いだ後左フックを繰り出すが、ゼットはそれを左腕で防ぎ、右拳で胸部に2発、顔面に1発パンチを決めて後退させる。

 

 キリエロイドⅢは即座に体制を立て直すと右ハイキックを放つが、ゼットはそれを両腕で防いだ後、腹部に両手のパンチ、続けて一回転して左肘のエルボーを胸部に叩き込む。

 

 キリエロイドⅢは流石に押され気味なのに流石に苛立ちを感じてきたのか、やや荒っぽく左右交互にパンチを放つがゼットはそれらを往なして行き、やがて相手の右パンチをかわすと同時に右腕で右腕、左腕で体を掴んで腹部に右膝蹴りを打ち込み、続けて胸部に左足の前蹴りを叩き込んで吹っ飛ばす!

 

 大きく吹っ飛ぶキリエロイドⅢだが、後ろにあった壁を両足で蹴って勢いをつけてゼットに飛びかかる!

 

 「チェストー!!」

 

 ハルキの掛け声と共にゼットはそれを横に跳んでかわすと同時にキリエロイドⅢの背中に右脚蹴りを叩き込んだ!

 

 たまらず地面に叩きつけられるキリエロイドⅢ。 ゼットは再度構えを取り、戦いを見守っている真美はそれに魅入っていた。

 

 「凄い…。」

 

 

両者の等身大バトルはゼットの方が優勢であった。 キリエロイドⅢは、さっきまでの余裕を無くし、遂に逆上する!

 

 「おのれぇ! キリエルに刃向かう者は、報いを受けるがいい!!」

 

キリエロイドⅢはそう叫ぶと、自身の怨念の象徴のような黒っぽい紫のオーラのようなものを纏いながら巨大化する!

 

 ウインダムに乗っているヨウコにセブンガーに乗っているバコさん、そしてジードも巨大化したキリエロイドⅢに気づく。

 

 「嘘…こんな時に新たな敵が!?」

 

ただでさえギリギリな戦いを強いられている中で乱入して来た新たな敵に動揺を隠せないヨウコ。

 

 「貴様らから、叩き潰してやる!」

 

 キリエロイドⅢはそう言いながら自身の顔に手をかざすと、それを勢いよく横に振って広範囲に『獄炎弾』を放つ!

 

 火炎はサラマンドラと組み合ってたウインダム、アントラーと組み合ってたセブンガー、マーゴドンに馬乗りになって押さえ込んでいたジードにも直撃し、3体は一斉に吹っ飛ぶ!

 

 更にキリエロイドⅢは飛び上がり、ウインダムに飛び蹴りを叩き込んで吹っ飛ばした後、セブンガーに鋭い爪・キリエルクローを活かした引っ掻き攻撃を叩き込む!

 

 さっきまで3対3だったのが、敵が1体増えた事により一気に不利になった巨大戦。 真美と同じく見守っていた冴は再び不安と恐怖に襲われそうになる。

 

 

 しかし、それでも真美は落ち着いた表情を変えず、歩み寄り、優しく肩を掴んで囁く。

 

 「怖いだろうけど大丈夫。 …彼らが、絶対にやってくれる。」

 

真美はそう言った後、笑顔でゼットを見つめる。

 

 

 ここからは、ゼットのウルトラフュージョンを活かした戦いの始まりだ!

 

 「ハルキ! ウルトラフュージョンだ!!」

 

「押忍!!」

 

 

再度気合を入れた2人! インナースペース内のハルキはホルダーからウルトラマンゼロ、ウルトラセブン、ウルトラマンレオのメダルを取り出す!

 

 

 「宇宙拳法、秘伝の神技!!」

 

 

「ゼロ師匠! セブン師匠! レオ師匠!」

 

 

 《ZERO》 《SEVEN》 《LEO》

 

 

ハルキはメダルをライザーのスリットにセットし、ブレードをスライドさせる事でスキャンさせる。 そしてハルキの背後に巨大なゼットが現れて両腕を広げる。

 

 

 「押忍!!」

 

 

 「ご唱和ください、我の名を! ウルトラマンゼーット!!」

 

 

「ウルトラマンゼーット!!」

 

 

ハルキは気合を込めた叫びと共にライザーを高く揚げてトリガーを押す!

 

 

 「ヘアッ!」 「デュワッ!」 「イヤァッ!」

 

 

《ULTRAMAN Z ALPHA EDGE》

 

 

 「キェアッ!」

 

 

 ゼロ、セブン、レオのパワーでウルトラフュージョンが完了したゼットは、飛び立つ3人の光の軌跡が重なり合った後、そこから発生した回転花火、青い水飛沫、そして赤と青の光を背景に、右拳を突き出して飛び出す!

 

 

 現れたのは、師匠譲りの宇宙拳法を使った格闘戦が得意なスピード格闘形態『アルファエッジ』だ!

 

 

 一方、サラマンドラは倒れたウインダムを踏みつけていた。 踏む回数が増える度にダメージも蓄積して行き、そのダメージがコックピットにも響く…!

 

 ジードもキリエロイドⅢとマーゴドン、セブンガーもアントラーの相手で手一杯なため、助太刀する事が出来ない!

 

 「グッ…このままじゃ…!」

 

 ヨウコの脳裏に敗北の2文字が浮かびそうになったその時、ヨウコは何かの影が自身の顔を通過するのに気づきふと空の方を見上げる。

 

 その視線の先には、自身、即ちウインダムを飛び越えながら空中で一回転する1人の影がおり、それが何者なのか確信した瞬間、ヨウコはさっきまでの険しい表情が和らいで行く…!

 

 同じくバコさん、そして基地のモニターで見ていたユカも、その者に気づいた瞬間、嬉しさも含めた驚きの表情になる…!

 

 ウインダムを飛び越えて現れたのはウルトラマンゼット・アルファエッジだ!

 

 「キェアッ!」

 

ゼットは掛け声と共にサラマンドラの頭部に飛び蹴りを決め、その直撃を受けたサラマンドラは吹っ飛び、それによりウインダムも踏み付けから解放される。

 

 土砂やコンクリートの破片などを巻き上げながら着地を決めたゼットは立ち上がり、ゆっくりとウインダムの方を振り向き安否を確認する。

 

 

 「ゼット様…!」

 

「て事は…ハルキも!?」

 

「ウルトラマンが…帰ってきたか…。」

 

ヨウコ、ユカ、バコさんは、唐突ながらもゼット、そしてハルキの帰還&加勢に希望を感じ始める。

 

 「ゼット!」

 

ゼットに気づいたジードも、組み合っていたマーゴドンをアッパーカットの形で叩き込むギャラクシーカッティングでぶっ飛ばし、続けて横から接近して来るキリエロイドⅢを飛び膝蹴りで吹っ飛ばした後、ゼットの元に駆け寄る。

 

 セブンガーも、組み合っていたアントラーをダブルパンチで後退させた後、ウインダムの元に歩み寄って肩に手を当てる。

 

 「ヨウコ! まだ行けるな?」

 

「もちろんです!」

 

バコさんの檄を受けたヨウコは迷わず応答し、ウインダムを起き上がらせる。

 

 「やっぱり、主役は遅れて登場だね。」

 

 「お待たせしましたジード先輩、皆さん!」

 

 ゼットは合流したジードと特空機達に声をかけた後、敵の方へと視線を向ける。

 

 

 「加勢したかウルトラマンゼット! だが、我が地獄の怪獣軍団に勝てるかな?」

 

怪獣達と並び立つキリエロイドⅢは、余裕そうな発言と共に構えを取る。

 

 

 ウルトラマンと特空機たちも、ゼットをセンターに横に並び立つ。 その敵を見据えたままのゆっくりな動作は、戦いの前で呼吸を整えているようにも見えた。

 

 

 「2人のウルトラマンと連携し、怪獣たちを撃滅するぞ!!」

 

「了解!!」

 

バコさんの呼びかけにヨウコは応答し、それを合図にウルトラマンと特空機たちは構えを取る!

 

 

 (BGM:ご唱和ください 我の名を!(full))

 

 

「押忍!! 行きますぜゼットさん!!」

 

 「あぁ! ウルトラ燃えるぜ!!」

 

 人々の声援を受けながら、ゼットとジード、セブンガー、ウインダムは一斉に駆け出し、それぞれサラマンドラ、キリエロイドⅢ、アントラー、マーゴドンを相手し始める!

 

 さっきまで怯えていた冴も、一緒に見守る真美を横に、ウルトラマン達に声援を送り始めていた。

 

 

 ゼット・アルファエッジはサラマンドラの突進をクロスさせた両腕で頭部を押さえる事で防ぎ、そのまま振り払った後、胸部に左右交互に拳を打ち込む。

 

 次にサラマンドラは両腕を交互に振るって殴りかかるが、ゼットはそれらをことごとく手刀で往なして行き、やがてサラマンドラの右フックを左脚の回し蹴りで弾いた後、そのまま連続で頭部に回し蹴りを打ち込んで吹っ飛ばす。

 

 回し蹴りの体勢を解いた後、ゆっくり構えを取りながら呼吸を整えるゼット。キリエロイドⅢは今がチャンスとばかりに一旦ジードから離れると、ゼットに背後から襲いかかる!

 

 しかし、既に“心眼”で背後からのキリエロイドⅢを捉えていたゼットは、向きざまに炎を纏った回し蹴り『アルファバーンキック』を叩き込み、そのカウンターを喰らったキリエロイドⅢはたまらず吹っ飛び、そこに更にゼットは額のビームランプからのレーザー光線・ゼスティウムメーザーで畳み掛け、その直撃を受けたキリエロイドⅢは爆発と共に地面に落下した。

 

 再度サラマンドラはゼットに殴り込むが、ゼットはサラマンドラの右腕を左手で掴むと、そのまましゃがみ込んで右脇腹に右肘を打ち込み、続けて顔面に裏拳を決めた後、胸部に連続でパンチを打ち込み、怯んだ隙に跳躍して大きく脚を振るい、頭部を蹴り上げて吹っ飛ばした!

 

 ゼロ、セブン、レオ。 3人の師匠譲りの洗練された素早い宇宙拳法で、相手に隙を与えず手数でダメージを与えて行くアルファエッジ。 サラマンドラは鼻から火炎を噴射して遠距離攻撃を仕掛ける。

 

 ゼットはゼットスラッガーを稲妻状のエネルギーで連結させてZ字型の光のヌンチャク『アルファチェインブレード』を形成させ、それを巧みに振り回して火炎を切り飛ばして行く!

 

 

 ゼットがサラマンドラと交戦している間、測定結果を得たユカは即座にパイロット2名に知らせる。

 

 「ヨウコ!バコさん! サラマンドラの弱点は喉よ!」

 

 「オーケー!」

 

ヨウコは返事をし、セブンガーとウインダムはそれぞれアントラーをパンチ、マーゴドンをキックで吹っ飛ばした後、サラマンドラに狙いを定める。

 

 「硬芯鉄拳弾!」 「レーザーショット!」

 

セブンガーは右腕のロケットパンチ・硬芯鉄拳弾、ウインダムは額の発光部から光線技・レーザーショットを放つ!

 

 ロケットパンチを顎に受けたサラマンドラは火炎攻撃を中断されると同時に真上を向いてしまい、その先にレーザーショットが喉を直撃する!

 

 更にゼットは滑り込みながら、すれ違いざまにサラマンドラの喉に光のヌンチャクでの一撃を叩き込む!

 

 喉の再生器官を完全に破壊されて完全に動きを止めたサラマンドラ。 ゼットは滑り込みを止めると同時に、振り向きながら両手を胸の前で水平に構えて斜めに開いた後、左手を前に、右手を後ろに伸ばしてエネルギーを溜める。

 

 「ゼスティウム光線!!」

 

ゼットは左右の腕をぶつけあうようにして十字を組み、必殺光線・ゼスティウム光線を放つ!

 

 必殺光線を喉を中心に体全体に浴びたサラマンドラは、断末魔の叫びと共に体にZ字を浮かび上がらせた後、大爆発して砕け散った!

 

 

 ゼットがサラマンドラを撃破した後、マーゴドンはウインダムのヘッドロックを振り払うと、ゼットに背後から突進を仕掛ける!

 

 だが、またしても心眼で捉えたゼットは、背を向けたまま、既に召喚していた槍状の武器『ゼットランスアロー』の先端をマーゴドンの鼻に突き立て、そのまま振り向くと、上にかち上げて起き上がらせた後、一回転して身体に斬撃、更に回し蹴りを頭部に叩き込んで吹っ飛ばす!

 

 再度ゼットに突進を仕掛けるマーゴドン。 ゼットはゼットランスアローを手に駆け寄ると、柄の先端を背中に突き立てて棒高跳びの要領で飛び越えた後、背中に1発斬撃を決め、腹部を蹴って再度起き上がらせると、連続で回転しながら腹部に2発斬撃を決め、更に胸部に先端での一撃を叩き込んで吹っ飛ばした!

 

 流れるようなさばきでランスカッターでの斬撃を決めて行くゼット。斬撃が決まる度に青いラインが走り、命中した部位から火花が飛び散る。

 

 マーゴドンはゼットを凍らせようと渾身の冷凍ガスを噴射する。

 

 「ゼットアイスアロー!!」

 

ゼットはランスのZ字型のレバーを2回引いた後、氷の矢・ゼットアイスアローを放ち、それにより冷凍ガスを消し飛ばされると同時に直撃したマーゴドンは全身が凍り付いてしまう。

 

 「ゼットランスファイヤー!!」

 

ゼットはレバーを1回引いた後、炎を纏ったエッジで描いたZ字型のエネルギーを飛ばす技・ゼットランスファイヤーを凍りついたマーゴドンにぶつける!

 

 炎のエネルギーは命中すると、高速回転しながらマーゴドンの体にZ字を灼き付けそのまま粉々に爆砕した!

 

 

 サラマンドラ、マーゴドンを続けて撃破したゼット。 今度はアントラーがゼットに迫る!

 

 

 「真っ赤に燃える、勇気の力!!」

 

 「マン兄さん!」《ULTRAMAN》 「エース兄さん!」《ACE》 「タロウ兄さん!」《TARO》

 

ハルキは今度はウルトラマン、ウルトラマンエース、ウルトラマンタロウのメダルを取り出し、スリットにセットしてスキャンする。

 

 「ウルトラマンゼーット!!」

 

 ハルキは叫びと共にトリガーを押す。

 

 「ヘアッ!」 「トワァッ!」 「タァァッ!」

 

 《ULTRAMAN Z BETA SMASH》

 

「キェアッ!」

 

ウルトラフュージョンが完了したゼットは、飛び立つマン、エース、タロウの軌跡が重なり合った後、真っ赤な背景、光の波紋、そして虹色の後光を背景に、両方の拳を突き出して飛び出す!

 

 次にウルトラフュージョンしたのは、3人の“ウルトラの兄さん”達の力が一つになったパワー形態『ベータスマッシュ』だ!

 

 

 「ウルトラマーン! ゼーット! ベータスマーッシュ!!」

 

現れたゼット・ベータスマーッシュは、ドスの効いた声で自身の名前を叫びながらタロウのスワローキックのように空中で数回スピンした後、急降下して両足蹴りをアントラーの頭部に叩き込んだ吹っ飛ばす!

 

 「ダァーッ!!」

 

着地したゼットは、右腕を振り上げて気合の叫びを上げる。

 

 アントラーはゼットに顎を突き立てた突進を繰り出すが、ゼットはそれを大胸筋で受けて耐えた後、逆に左手でアントラーの右顎を掴むと、そのまま胸部にパンチを2発、更にアッパーカットを打ち込んだ後、右足で腹部を蹴って飛ばした!

 

 マッシブなプロレスラー体型のベータスマーッシュは、その筋肉質な手足からパワフルな格闘技を繰り出して行き、その豪快な戦法は、並大抵の怪獣を圧倒するのである!

 

 パワー勝負では不利と見たアントラーは、両顎の間から虹色の磁力光線を放ち、それを浴びるゼットは踏ん張りながらも徐々にアントラーの方へと引き寄せられて行く…!

 

 恐らく、先程真美が言っていた度重なる飛行機事故の原因もこの光線だと思われ、やがて後ろ向きでアントラーの顎の間まで来てしまったゼットはそのまま挟み込まれる!

 

 自慢の顎でゼットを締め上げて行くアントラー。 ゼットは若干苦しみながらも力を振り絞り、「気合いだー!」と一言叫ぶと、アントラーの右顎を両手で掴み、そのまま力ずくで火花を散らせながらへし折った!

 

 ゼットはへし折ったアントラーの顎を「取ったどー!」と叫びながら揚げた後、投げ捨てる。

 

 自慢の顎を折られたアントラーは怯むと同時にゼットを解放してしまい、その隙にゼットは背を向けたままアントラーの頭部に左右交互に肘を打ち込んだ後、後ろ蹴りを腹部に決めて後退させ、さらに振り向くと同時に駆け寄りながら豪快に右腕のラリアットを叩き込み、それを受けたアントラーはたまらず地面に叩きつけられた!

 

 ゼットはボディビルダーのようなポージングで気合を入れた後、グロッキーになって横たわっていたアントラーを頭上高く持ち上げた後、そのまま空高く放り投げ、自身もそれを追うように飛び立つ。

 

 「ゼスティウムアッパー!!」

 

ゼットは空中のアントラー目掛けて飛びながら、真っ赤に燃えるゼスティウムエネルギーを纏い、それを右拳に集中させて必殺パンチ・ゼスティウムアッパーを放つ!

 

 強力な必殺パンチを受けたアントラーは、それを受けた頭部から順に爆発して粉々に吹き飛んだ!

 

 

 上空でアントラーを撃破したゼットは着地を決める。 残るはキリエロイドⅢだけである!

 

 キリエロイドⅢはゼット目掛けて獄炎弾を放つが、ゼットはエースの変身のウルトラリングを合わせるポーズのように両手を胸の前で合わせた後、両腕を上下に振り上げて、エースのバーチカルギロチンに似た三日月状の光のカッター・ベータクレセントスラッシュを放ってそれを切り飛ばし、キリエロイドⅢはそのまま迫って来た光のカッターを素早い身のこなしでかわした後、ゼット目掛けて駆け始める!

 

 

 「変幻自在、神秘の光。」

 

「ティガ先輩」《TIGA》 「ダイナ先輩」《DYNA》 「ガイア先輩」《GAIA》

 

 ハルキは今度はウルトラマンティガ、ウルトラマンダイナ、ウルトラマンガイアのメダルを取り出し、スリットにセットしてスキャンする。

 

 「ウルトラマンゼーット!!」

 

 ハルキは叫びと共にトリガーを押す。

 

 「タァッ!」 「デャッ!」 「ジュァッ!」

 

《ULTRAMAN Z GAMMA FUTURE》

 

「キェアッ!」

 

 ウルトラフュージョンが完了したゼットは、飛び立つティガ、ダイナ、ガイアの軌跡が重なり合った後、ティガ、ダイナ、ガイアと順にそれぞれのOP演出にも似た背景から広げた右手を突き出した飛び出す!

 

 次にウルトラフュージョンしたのは、平成ウルトラマンの中でも神秘的なイメージが強く、光の力で変身する3人の力を借りた超能力形態『ガンマフューチャー』だ!

 

 「ガンマスルー」

 

 ウルトラゼットライザーを手に光と共に現れたゼット・ガンマフューチャーは、左手を突き出してガンマスルーを発動し、魔法陣のような光の紋様を出現させる。

 

 ゼットに飛びかかっていたキリエロイドⅢはその紋様の中に入り、ゼットの背後に現れた同じ紋様から現れる事で攻撃が空ぶってしまう。

 

 ガンマスルーはこのように物質を透過する超能力技であり、自身に向かって来る相手や攻撃を別地点へと飛ばす事も可能なのだ。

 

 自身に起こった事をまだ理解しきっていないキリエロイドⅢが辺りを見渡している隙に、ゼットは後ろ蹴りを背中に打ち込み、続けて振り向きざまにライザーで袈裟がけ、一直線、アッパーという形で斬撃を繰り出し、それを受けたキリエロイドⅢは火花を散らしながら吹っ飛ぶ。

 

 体勢を立て直したキリエロイドⅢは、紫のオーラのようなエネルギーと共に力を集中させ、6体の分身を出現させる!

 

 数人のキリエル人が合体する事で変身する戦闘形態・キリエロイド。 どうやら今回の個体は、その合体したキリエル人の数だけ分身を生み出せる能力を持っているようである!

 

 計7体のキリエロイドⅢは一斉にゼット達に襲い掛かって行く!

 

 「ガンマイリュージョン」

 

 ゼットは指パッチンをしてガンマイリュージョンを発動し、ティガ・マルチタイプ、ダイナ・フラッシュタイプ、ガイア・V2の幻影を出現させる。

 

 また、幻影と言っても実態を持つものであり、各戦士はそれぞれ独立した行動をすることが出来るできるのだ。

 

 これで7対7とフェアな勝負になり、7体のキリエロイドⅢはそれぞれゼットとその幻影たち、そしてジード、セブンガー 、ウインダムを相手に戦闘を始める!

 

 ゼットとティガ、ダイナ、ガイアの幻影は互角で素早い格闘戦を展開し、ジードはベリアルの爪で引っ掻くような荒々しい戦闘スタイルで圧倒し、セブンガーは素早い格闘技に耐えながらもパンチなどで的確にダメージを与えて行き、ウインダムは獄炎弾を体の各部のジェット噴射による瞬間移動でかわしながら、各部からのミサイル・20式対怪獣誘導弾で的確にダメージを与えて行く!

 

 「全エネルギーを右手に集中!」

 

《アンリミテッドモードに移行します!》

 

ヨウコはアンリミテッドモード【SC2-017NJ Ⅱ】を発動させ、ウインダムは右手にエネルギーを集中させる!

 

 「ウインダムヨウコインパクト!! バーニングエンドォォォ!!」

 

 ヨウコの叫びと共にウインダムはキリエロイドⅢにジェット噴射で接近しながら、全エネルギーを集中させた右の手刀を叩き込んで吹っ飛ばす!

 

 続けてセブンガーも硬芯鉄拳弾、ジードもレッキングリッパー、ティガ、ダイナ、ガイアの幻影も各自キックで、次々とキリエロイドⅢを吹き飛ばして行く!

 

 「ゼスティウムドライブ」

 

ゼットもキリエロイドⅢを蹴飛ばした後、ヘッドギアに手をかざしてガイアのフォトンエッジのようにエネルギーを溜めた後、ダイナのフラッシュバスターのように両手から赤と青の光線を鞭のように振るって攻撃する技・ゼスティウムドライブを放ち、滅多打ちにされたキリエロイドⅢは吹っ飛び、同じく吹っ飛ばされた6体の分身たちとぶつかる形で合流し、そのショックでキリエロイドⅢとその分身たちの頭上に羽の生えた小さなガッツ星人のような小鳥が飛び回る。

 

 キリエロイドⅢが怯んでいる隙に、ハルキはウルトラマンコスモス、ウルトラマンネクサス、ウルトラマンメビウスのメダルを取り出し、スリットにセットしてスキャンする。

 

 《COSMOS》 《NEXUS》 《MEBIUS》

 

 「チェストー!!」

 

「ライトニングジェネレード!」

 

 ハルキが気合の叫びと共にトリガーを押した後、ゼットはゼットライザーを用いて上空に雷雲を発生させそこから電撃光線を発射する技・ライトニングジェネレードを放ち、キリエロイドⅢを分身体を消しとばすと同時に大ダメージを与える!

 

 「バッ…バカなっ…この俺が、こんな所で…!」

 

 完全にグロッキーになったキリエロイドⅢは、その自尊心から、自身が押されているのを受け入れられずにいた。

 

「トドメはこれだ!」

 

 ゼットの声と共に、ハルキはウルトラマンジャック、ゾフィー、ウルトラの父のメダルを取り出し、スリットにセットしてスキャンする。

 

 《JACK》 《ZOFFY》 《Father of ULTRA》

 

「チェストー!!」

 

 ハルキが気合の叫びと共にトリガーを押した後、ゼットは必殺技・M78流・竜巻閃光斬を発動し、ゼットライザーから巨大な光剣を出現させ、それを振るう事で竜巻を発生させてキリエロイドⅢを巻き上げる。

 

 「M78流・竜巻閃光斬!!」

 

 ゼットは技名を叫ぶと共に光剣を光輪に変形させて投げつけ、上空でZ字に切り裂かれたキリエロイドⅢは、地面に落下した!

 

 

 (BGM終了)

 

 

 「やったー!!」

 

基地内から戦いを見ていたユカは、ウルトラマンと特空機たちの怪獣軍団撃破に喜びの声を上げる。 気がついたら側には、怪獣研究センターに所属する青年『カブラギ・シンヤ』、そして整備班の面々も集まり、勝利を喜んでいた。

 

 「良かった…。」

 

 《ウインダム、実用行動時間終了!》

 

 ヨウコも安心の表情で疲れから脱力し、それにリンクするかのようにウインダムの実用行動時間が終了し、アナウンスが流れる。

 

 先程、アンリミテッドモードを発動した事もあってのエネルギー切れである。

 

 

 セブンガーに乗っているバコさんも、何かを悟ったかのように無言で頷いた。

 

 

 冴も無邪気に「やったー!」と喜びの声を上げており、そばにいた真美も満面の笑みでゼット達を見上げていた。

 

 「やっぱり、ウルトラマンの力は凄いわ。」

 

 

 …しかし喜ぶのも束の間、なんとキリエロイドⅢはまだ死んでいなかった…!

 

 体のZ字型の切り口から血のように光を溢れさせ、フラつきながら立ち上がり、それに気づいた一同も再び身構える。

 

 「勝ったつもりだろうがもう遅い〜!!」

 

「…なに?」

 

「奴を、見るがいい〜!!」

 

キリエロイドⅢは、ある方向を指差してそう叫ぶと、そのまま倒れて爆発四散した。

 

 

 一同がキリエロイドⅢの指差した方向を振り向くと、そこには先程まで死体として横たわっていたエラーガが、黒っぽい紫色のオーラを放ちながら立ち上がっていた!

 

 どうやらキリエロイドⅢを崇拝する者たちから集めたマイナスエネルギーにより生体エネルギーが増大してパワーアップしているようであり、姿も昨日と違い、両肩と鼻先に鋭い赤い角を生やしている。

 

 「昨夜倒した怪獣が、甦るなんて!」

 

昨夜、キングジョー・ストレイジカスタムでエラーガを倒したヨウコは驚愕を隠せない。

 

 強化して目覚めたエラーガは、辺りに地響きが起こるほどの咆哮を上げた後、鼻先と両肩から赤い稲妻状の破壊光線を乱射し、辺りを破壊しながらウルトラマン達に向かう!

 

 ジードは構えを取るとエラーガに向かって行き、飛び膝蹴りを胸部に打ち込むが、まるで効果がない。

 

 怯まず右フックを放つがエラーガはそれを左手で掴んで受け止め、続けて打って来た左パンチも右手で掴んで受け止めてしまう!

 

 両者はそのまま力比べを始め、やがてパワー負けしそうになったジードは腹部に何度も膝蹴りを打ち込むが、それも効果がない。

 

 やがてエラーガは手を離すと、ジードの腹部を殴り、それにより屈んだ所に背中を殴って転倒させ、更に腹部を蹴って飛ばす。

 

 更に畳み掛けるように、大きく尻尾を振るってジードを叩き飛ばした!

 

 

 「マイナスエネルギーで強化してるのか!?」

 

 ジード・ギャラクシーライジングすらも圧倒するエラーガの強さに驚愕するリク。

 

エラーガは再度赤い稲妻状の光線を乱射し始め、その光線の雨あられの前にジード、そしてゼットも近づく事が出来ない!

 

 更に、ゼットよりも先に登場して戦っていたジードのカラータイマーが赤く点滅を始める!

 

 「ゼットアイアス!」

 

やがて、光線が動けないウインダム、そしてその後ろの真美たちがいる病院に命中しそうになっている事に気づいたゼットは、即座にそれらの前に回り込み、 Zと描かれた魔法陣のような紋様のバリアを七層に分けて展開する技・ゼットアイアスを発動してそれを防ぐ。

 

 「ハルキ、こいつはウルトラヤバく強い奴ですぞ!」

 

「ゼットさん、こうなったら俺たちも全力で行きましょう!」

 

 「そうだな、ウルトラフュージョンだ!」

 

「押忍!!」

 

 

最後のウルトラフュージョンに入った2人! ハルキはホルダーからゼロ、ジード、そしてウルトラマンベリアルのメダルを取り出す。

 

 すると、3枚のメダルに宿る3人のライバル同士の力が共鳴し合い、やがてそれぞれウルトラマンゼロビヨンドライズメダル、ウルトラマンジードライズメダル、ウルトラマンベリアルアトロシアスライズメダルへと昇華・変質する!

 

 これらはウルトラメダルが強化したものであり、金色の縁が特徴の『ライズウルトラメダル』である。

 

 

 「闇を飲み込め!!黄金の嵐!!」

 

 

「ゼロ師匠! ジード先輩! ベリアル !」

 

 

《ZERO BEYOND》 《GEED》 《BELIAL ATROCIOUS》

 

 

 ハルキはライズウルトラメダルをライザーのスリットにセットしてスキャンする。

 

 

 「押ォォォォ忍!!」

 

 

「ご唱和ください、我の名を! ウルトラマンゼーット!!」

 

 

「ウルトラマンゼェェェーット!!」

 

 

 ハルキは気合を込めた叫びと共にライザーを高く揚げてトリガーを押す!

 

 

 「シュッ!」 「ヴアァッ!」 「ヌウァッ!」

 

 

《ULTRAMAN Z DELTA RISE CLAW》

 

 

 「キェアッ!!」

 

 

ゼロビヨンド、ジード、ベリアルアトロシアスのパワーでウルトラフュージョンが完了したゼットは、ヒロイックながらもアラビアン風のやや不穏な雰囲気のBGMと共に、飛び立つ3人の光の軌道が重なり合った後、ゼロビヨンド、ジードの変身エフェクト、そしてストルム粒子のような緑の光の粒子の奔流が走るのを背景に、広げた右手を突き出して飛び出す!

 

 現れたのは、善と悪を超越した、3人のライバル同士のウルトラマンの力を得たゼットの最強形態『デルタライズクロー』だ!

 

 

 現れたゼットは、ジードを踏みつけていたエラーガ目掛けて黄金の嵐を纏って突撃し、そのまま吹っ飛ばした!

 

 そしてジードの前で嵐の中から姿を現し、「お待たせしました」とばかりに顔だけを振り向かせる。

 

 手には、片刃の短剣の柄頭にベリアルの頭がくっ付いたような外見が特徴の幻界魔剣『ベリアロク』を握っている。

 

 ゼットの最強形態での加勢に安心と共に一回頷くジード。

 

 「スッゲー! カッコいい!」 「頑張って…ウルトラマン。」

 

冴もその神々しい姿に興奮して応援に熱が入り、真美も変わらぬ暖かな表情で、静かに声援を送る。

 

 

 インナースペース内では、ハルキがベリアロクとやり取りをしている。

 

 「奴は、マイナスエネルギーによって強化されてるのです! だから、俺たちの全力の力で一気に倒しましょう!」

 

 「フンッ、ソイツは面白い! なら俺様の攻撃にどこまで耐えれるか試してやる!」

 

「ベリアロクさん! それを言うなら、「俺たち」です!」

 

 

 (BGM:Promise for the future)

 

 

 「行きましょう! ジード先輩!」

 

 「あぁ!」

 

ゼットはベリアロク、ジードはゼットライザーを手に構えを取り、エラーガに立ち向かう!

 

 2人は同時に斬りかかるが、エラーガはそれを同時に受け止めて押し返すが、ゼットとジードは怯まず即座にクロスするようにそれぞれ上半身、下半身を斬りつけ、更に同時に後ろ回し蹴りを腹部に叩き込む!

 

 エラーガは鼻先の角から稲妻状の渾身の破壊光線を放つが、ジードはそれをエラーガを大きく飛び越える形でかわし、その間にゼットが突き出したベリアロクは破壊光線を口に当たる部分で吸収して撃ち返し、その直撃を受けたエラーガが怯んだ隙にジードは技の体勢に入る。

 

 《GINGA》 《X》 《ORB》

 

「ギャラクシーバースト!!」

 

リクはライザーで再度ギンガ、エックス、オーブのメダルをスキャンし、技名を叫ぶと共にトリガーを押す。

 

 ジードはゼットライザーにエネルギーを集め、赤黒い稲妻も入った光の刃・ギャラクシーバーストを放ち、それを背後から直撃を受けたエラーガはダメージを受ける。

 

 強化されたエラーガは、必殺技を受けながらも再度ウルトラマン達に向かって行く。

 

 エラーガは頭部を大きく振るって角を活かした頭突きを繰り出すがゼットはそれを左手持ちのベリアロクで受け止め、そのまま頭部を右拳のアッパーでかち上げ、その後ジードがライザーで一直線に斬りつけ、更にゼットが喉元を斬りつけ、そして2人同時にすれ違いざまに一直線の斬撃を叩き込んだ!

 

 そして2人は再度エラーガに向かうと、ゼットが上下平行に一直線を2発、そしてジードが左斜め下に、合わせてZ字を描くように斬りつけ、更に同時にそれぞれベリアロクの柄頭、ライザーを活かしたパンチを同時に叩き込み後退させる!

 

 2人の息の合った連携に押されて行くエラーガは、最後の手段とばかりに光線をフルチャージで放とうと両肩、鼻先の角にエネルギーを溜め始める…!

 

 「来るか…!?」

 

ゼット達は身構え、やがて光線が発射されそうになったその時、突如、横から何かがブースターでの加速と共に突っ込んで来て、すれ違いざまに右腕のドリルの一撃でエラーガの肩の角の一本を破壊した!

 

 予期せぬ攻撃に角の一本を折られた事で、怯む形で光線のチャージが止まったエラーガ。

 

 攻撃したのは、右腕にドリル状のパーツ・超硬芯回転鉄拳を装着したセブンガーであった!

 

 《セブンガー、実用行動時間終了!》

 

 「こっちはもうこれで限界だ。 2人ともやれ!!」

 

 最後の力を振り絞ってアシストしたバコさんは、セブンガーの実用行動時間終了と共に二人に託す!

 

 「押忍!! サンキューバコさん!!」

 

 ハルキは返事と共に感謝の言葉を言った後、ゼット共にベリアロクを構える。

 

 「フン!」 「ヌゥア!」

 

 「デスシウムファァァァング!!」

 

 ハルキはベリアロクのスイッチを2回押して技・デスシウムファングを発動させ、ベリアロクはドスの利いた声でその技名を叫ぶ。

 

 ゼットがベリアロクを突き出すと、そこから巨大なベリアルの頭部が射出され、そのままエラーガに向かって頭部に噛み付いた!

 

 頭部を噛まれると同時に爆発したエラーガは、鼻先の角が折れてしまった。 流石にだいぶ弱って来たみたいである。

 

 

 今こそ、2人で力を合わせてトドメである!

 

 「これで決める!」

 

 ジードは背後に燃える鳥のようなオーラを形成させながら、両腕をクロスさせて上に揚げた後、赤黒い稲妻を纏い、雄叫びを上げながら左右に広げる。

 

 そして続けてオリジウム光線、ザナディウム光線の予備動作を取った後、ギンガクロスシュートのように両腕を広げる構えを取った後に右腕の肘に左の拳を当てる構えで必殺光線・レッキングフェニックスを放つ!

 

 「レッキングフェニックス!!」

 

 レッキングバーストに燃え盛る炎を纏わせたような破壊光線はエラーガを直撃し、それを浴びて行くエラーガは大ダメージを受けてやがて動きを止める。

 

 

 「決めるぞ!! ハルキ!!」

 

 「押忍!!」

 

 ハルキは再度ベリアロクを構えると、スイッチを3回押す。

 

 「フン!」 「ヌゥア!」 「ハァッ!」

 

 「デスシウムスラァァァッシュ!!」

 

 「チェストー!!」

 

 ベリアロク、そしてハルキの叫びと共にゼットは刀身に光と闇のエネルギーを込めた紫色の光を纏ったベリアロクを構えて高速でエラーガに接近し、ベリアロクでの最強技・デスシウムスラッシュを繰り出し、すれ違いざまにZの字を描くように身体に大きく斬撃を叩き込んだ!

 

 2人のウルトラマンの最強技を同時に受けたエラーガは、断末魔の叫びを上げながら大爆発して跡形も無く消し飛んだ…!

 

 

 (BGM終了)

 

 

 ゼットとジードは体勢を解いた後、合流する。

 

 その間に、ゼットはカラータイマーの点滅が始まると同時にウルトラフュージョンも解けてオリジナルの姿に戻るが、それは単なるエネルギーの消耗ではなく、敵の軍団との激戦が終わった事への安心からでもあった。

 

 「フンッ、なかなか楽しめたぜ。」

 

 デルタライズクローの変身が解けた後、ベリアロクも満足そうにそう言って異次元に戻って行った。

 

 

 戦いを見守っていた病院、街の人々は既に洗脳が解けており、大勝利を収めたウルトラマン2人を見上げて喜びの歓声を送る。

 

 「ありがとう!! ウルトラマーン!!」

 

 冴も元気一杯にお礼の言葉を叫び、側にいた真美も満面の笑みで頷いた。

 

 やがて2人のウルトラマンは上空を見上げると、その場から飛び立ち、空の彼方へと飛び去って行った。

 

 ゼットは、上空に大きくZ字の軌道を描きながら…。

 

 

 ウインダムとセブンガーから降りていたヨウコとバコさん、そして現場に来ていたユカも、飛び去るゼットとジードを見つめていた。

 

 因みにユカは、ちゃっかり先程撃破した怪獣たちの細胞のサンプルをゲットしてしまっている(笑)

 

 「まさか、ゼットが帰って来てくれるなんてね。」

 

 ユカは嬉しそうにそう言った。

 

 「えぇ、それに、“アイツ”も…。」

 

 ヨウコが言いかけたその時、どこからか「おーい!」という呼び声が聞こえ、三人はその方へと振り向く。

 

 「先輩みんな!久しぶりでーす!!」

 

 そこには、爽やかな笑顔で手を振りながら駆け寄って来るハルキとリクであった。

 

 「噂をすれば。」 「ハルキ! リッ君も!」

 

 三人も、ハルキ達の方へと駆け寄って行った…。

 

 

 再会を果たすハルキとストレイジのメンバー。 その様子を、ある一人の男が遠くから見つめていた…。

 

 その男はスマートなスーツ姿に、片手には何やら盆栽を抱えている。

 

 「少なくとも半人前以上にはなった…かな? フフフッ。」

 

 男は不敵な笑みでそう言うと、何処かへと歩き去って行った…。

 

 

 実はこの男、ジャグラス・ジャグラーであり、かつてここZの世界の地球では、ヘビクラ・ショウタという名でストレイジの隊長を務めた事もあるのである。

 

 その真の目的は、かつて自身を否定した“光の巨人”たちも、正義や力の使い所によっては危ういという事を、“人造ウルトラマン”を以てウルトラ戦士達や自身や己の正しさを盲信する者たちに知らしめる事であり、巨大戦力も必要だったために、寄生生物・セレブロの文明自滅ゲームを利用し、ウルトラマンに匹敵するロボットを作らせてそれを奪おうとしていた。

 

 最終的にストレイジやウルトラマンゼットの活躍もあってそのゲームが破られた後、目的は達成できなかったものの、「じゃあな」とだけ言い残し、晴れ晴れとした顔でストレイジを去っている事から、とある騒動を経験したこの世界の人類なら“光の戦士”や、それを利用した過剰な力に依存して自滅する事も無いだろうと判断したのだと思われる。

 

 

 キリエロイドⅢ、及びその怪獣軍団が滅んだ事により、奴を崇拝していた人々も元に戻った。

 

 …もちろん、病室の“あの人”も…。

 

 「お母さん!!」

 

 冴は急いで母の病室にダッシュし、ドアを開ける。真美もついて来ていた。

 

 視線の先には、ベッドの上に横たわった状態で辺りを見回している母の姿があった。

 

 「…私は…一体、何をしてたのかしら…?」

 

「…お母さん!!」

 

母の無事を確認した冴は、感極まって嬉し泣きしながら母に抱き付く。

 

 母はどうやら崇拝してた時の記憶を失っているようで、少し戸惑っていたが、直ぐに何かを察したのか優しい笑顔になり、泣き付く冴の頭を撫でる。

 

 「良かったね、冴くん。」

 

 真美も冴の肩に手を置いて優しく語り掛けた。

 

 

 これで、母の手術は無事、予定通り明日行われるのである。

 

 

 その様子を、病室の入り口からハルキとリクも見ていた。

 

 「本当に良かったっスね、リッくん先輩。」

 

 「あぁ。」

 

 リクは返事をしながら、撃破したキリエロイドⅢから取り戻したジードライザーを見せる。

 

 

 すると、そんな二人に気付いた冴は、今度は二人にお礼を言う。

 

 「お兄ちゃん達も、ありがとう!」

 

 

 「…押忍!」

 

 ハルキは爽やかな笑顔でサムズアップをし、リクもそれに続いた。

 

 

 インナースペース内では、ゼットが今回の一連の事件で、最後まで折れずに頑張り続けた人々を称えていた。

 

 「俺たちウルトラマンにも負けない、ウルトラ強い信念を持った人たち…。 彼らの頑張りや応援もあったから、俺たちは勝つことが出来た。」

 

 「その真(まこと)に美しい心を、いつまでも忘れずにな。」

 

 そう言うと、ゼットはサムズアップを決めた。

 

 「よし! 俺もいつか、ゼロ師匠に正式に1人前と認めてもらうよう、ウルトラ頑張るぜぇー!!」

 

 

 翌日、予定通り、冴の母の手術は行われた。

 

 手術室のランプが点灯している中、廊下の長椅子に座り、目をつぶって俯きながら手術の成功を一心に祈る冴。

 

 側には本日の研修を終えた真美もついており、冴の膝に当てて強く握る拳にそっと包み込むように手を当てる。

 

 

 沈黙の廊下内全体に緊張が走る中、やがてランプが消え、扉が開いて主治医が出てくる。

 

 冴、そして真美は立ち上がり、主治医の元へと歩み寄る。

 

 

 すると、主治医は冴の目線までしゃがみ込み、そっと頭に手を当てる。

 

 「もう大丈夫だ。 お母さんは、あと三日すれば退院できるよ。」

 

 どうやら手術は無事成功したみたいである!

 

 

 それを知った冴は、嬉しさの余り真美に抱き付き、真美は驚きながらも優しい眼差しで頭を撫でる。

 

 「良かったね。」

 

 「うん。 これも、励ましてくれた真美さんのお陰です。 それに、頑張ってくれたウルトラマン達も。」

 

 「ありがとう。 でもこれは、紛れもなく冴くんの思いの強さのお陰だよ。」

 

 「え?」

 

 「ウルトラマンも私も、ただ出来る事をしただけ。 お母さんの回復を一番願っていたのは冴くんよ。 きっと、その想いの強さが届いたんだわ。」

 

 「僕の…お陰。」

 

 真美に優しく諭された冴は、一層嬉しくなり、真美と笑顔を交わした。

 

 

 (私も、こんな風に患者さんが笑顔になってくれるような、立派な看護師を目指そっと)

 

 真美は心の中でそう決心した。

 

 

 その様子を、病院の外から伺っている3人がいた。

 

 任務中のハルキとヨウコ、そしてリクである。

 

 

 (BGM兼ED:Connect the Truth)

 

 

 「あの子とお母さん、良かったっスね。」

 

「あぁ。 あの子の想いの強さが、勝ったんだろう。」

 

 真美たちと同じく、冴の母の回復を喜び合う3人。

 

 

 「いや〜しかし驚きましたよ。 先輩たち、前よりも更に腕を上げてたんですから。」

 

「な〜に見くびってんのよ。 いつかもっと腕を上げて、宇宙用ロボットであんたをアシストしに行くんだから。」

 

 「押忍! その日まで、俺ももっと強くなるっス!」

 

 ハルキとヨウコは笑顔を交わした。

 

 

 やがてヨウコは2人に問いかける。

 

 「2人とも、もう行っちゃうの?」

 

「押忍。 まだ宇宙には、デビルスプリンターを利用した悪や、それにより苦しんでる命がいっぱいいるので。」

 

 「じゃあ、僕たちはここで。」

 

「おーい!」

 

 2人がそれぞれゼットライザーとジードライザーを構えようとしたその時、何処からか元気のいい呼び声が聞こえ、一同はその方へと振り向く。

 

 そこにはユカが、バコさんとカブラギと共にやって来ていた。

 

 「もう行っちゃうの? これからバコさんのマグロで打ち上げだよ〜! 整備班もみんな集まってるよ〜!」

 

ユカがそう言う横で、バコさんとカブラギは一尾ずつ大きなマグロを持っていた。

 

どうやら今回は2匹みたいである。

 

 「マグロ、ごs…」 「ご賞味ください!!」

 

「いやアンタが言うんかい。」

 

バコさんとカブラギの漫才のようなやり取りに、一同は笑い合う。

 

 

「旅立つ前に、またみんなでどう? リッくんも。」

 

「押忍!!」

 

「僕もいいんですか!?」

 

ヨウコに促された事もあり、2人は旅立つ前に呼ばれる事にした。

 

 

 「よーし! そうと決まったら行っくよ〜!」とユカ。

 

 「僕、マグロ大好きです。」とリク。

 

 「今回は寿司も握ろうかな。」とバコさん。

 

 「よっしゃあ〜! 班長手伝いますよ!」とカブラギ。

 

 「今回はより賑やかになりそうだな〜!」とハルキ。

 

 一同は基地に向かい、陽気に語り合いながら歩き去って行った…。

 

 

 ロボットを駆使して地球のために戦うストレイジ、ウルトラマンジードとして戦うリク、そしてウルトラマンゼットとして戦うハルキ…。

 

 彼らはこれからも、自身が持つ力を正しい事に使って行けるであろう…。

 

 

 「…ウルトラマン…みんな…ありがとう。」

 

 真美も、病院の窓から、満面の笑みでハルキ達を見下ろしながら呟いた。

 

 

 (BGM兼ED終了)

 

 

 [エピローグ]

 

 私、真美は、突如強い光が差し込んでくるのに気づき、目を覚ました。

 

 

 視界も意識もまだ虚な中、辺りを見渡すと、机、テレビ、パソコン、掛け時計など…いつも見慣れたものたちが…。

 

 

 どうやら私は自分の部屋のベッドの上で寝てたみたいだわ…。

 

 

 …え?

 

 

 て事は、さっきの出来事は全て夢だったって事??

 

 

 それに気づいた瞬間、真美は一気に目が覚めた。

 

 

 なんと、自身が看護師の研修生になっいた事、母の回復を願う少年と共にウルトラマンゼット達の活躍を見守ったのも、全て夢での出来事だったのである!

 

 

 …しかし、真美は不思議と、夢での出来事が、夢だけじゃない気がしていた。

 

 そして、窓を開けて、新鮮な早朝の空気を吸いながら、感慨深そうに呟いた。

 

 「…あのウルトラマンゼットって人も、きっとどこかの世界で、人々の幸せのために頑張ってるんだろうなぁ…。」

 

 

 実を言うと、実際にゼットの世界では、真美が夢で見た出来事が起こったのである。

 

 そして、ハルキたちがその世界の真美という看護師の女性と交流したのも…。

 

 ある意味正夢だったのである。

 

 

 「ハルキさん、とても素敵な人だったなぁ…。 ウルトラマンに変身する人って素晴らしい人ばかりだよね。」

 

 …真美…そんな事言ってられるのも、まだ櫂の本性を知らない今の内だぞ(汗)

 

 

 「私も、あんな風に悲しんでる人に寄り添える看護師になれるように、頑張らなくちゃ。」

 

 爽やかな笑顔でそう呟くと、窓を閉めて朝食の準備に入る真美。

 

 

 外見のみならず、心も美しい真美なら、きっと素敵な看護師になれるであろう。

 

 

 そして、不思議な正夢が意味するものとは…?

 

 

 ひょっとすると、実際にゼットと真美が出会う日が来るのではないだろうか…?

 

 

 何はともあれ、別世界を越えた正夢の物語であった。

 

 

 [完]




 読んでいただきありがとうございます!


 今回は真美が夢の中でゼット達に出会う物語でありながら、実際にゼットの世界で起こった事と言う“別世界を超えた正夢”という要素も入れてみました。


 ウルトラマンZは、“ゼロの弟子”と発表された時点で期待は上々でしたし、いざ本編を見てみるとその期待を遥かに上回る面白さと感動に大満足でしたね!

 現在、絶賛ゼットロス中です!(劇場版やってくれないかな…?笑)

 どの形態もカッコよくて強くて最高でした! 因みに私はアルファエッジが特にお気に入りです!(まぁ、ぶっちゃけどれも好きなんだけどね笑)

 セブンガーやウインダム等が防衛チームのロボットとして登場したのも非常に面白かったし、なにより隊長の正体がジャグラス・ジャグラーだったのも驚きでしたね。

 また、ゼロやジードだけでなく、ウルトラマンエースが客演してくれたのも非常に嬉しかったですね(好きな昭和ウルトラマンの中でも上位に入るものなので)

 ゼットもまたいつか、本作に登場させたいです!


 また、現在配信中の『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』も、毎週楽しみに視聴しています!

 毎回サプライズの連続で、前回に引き続き活躍しているリブットの他に、80、グレート、パワード、ネオス、セブン21、ジャスティス、マックス、ゼノンなどの最近不遇気味だったウルトラ戦士も活躍したり、ベリアルのみならずトレギアのアーリースタイルも登場したり、更にはレジェンドも登場したりと、ウルトラマン好きの私としても、Zに負けず劣らず非常に満足な作品になっていると思います!

 今後登場するジョーニアスやアンドロメロスとかの活躍も楽しみですね!


 後書きが長くなって申し訳ありません。


 今年も時間を見つけては作品を制作して行こうと思いますので、宜しければ今年もよろしくお願いします!


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