ウルトラマンゼロ物語(ストーリー) in RED ZONE STAGE   作:剣音レツ

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 新年、明けましておめでとうございます!


 去年も一話しか投稿出来ませんでしたが、今年も頑張って行きたいと思います!


 今回は年末年始特別編と言う意味も込めた番外編で、登場するのは去年、『ウルトラマンダイナ25周年』を記して登場したあのウルトラマンです!

 相変わらず文才は無く、ストーリー展開も少々強引な所もあるかもしれませんが、とりあえず楽しんでもらえたら幸いです!


 そして宜しければ、今年も本作やその他の作品、そして、特撮ヒーロー(特にウルトラマン)大好きな私・剣音レツをよろしくお願いします!


 では、どうぞ!


番外編「明日の彼方へ」

 (OP:ULTRA BRAVE)

 

 

 これは、宇宙進出に向けての開発技術が飛躍的に進んだ『ネオフロンティア時代』を迎えたとある世界。

 

 そこで戦う若者たちの物語である…。

 

 

 ある日の晴れ渡った昼下がり。 1人の少女と、1匹の珍獣の出会いから始まった。

 

 

 その少女は、ルンルンと町を歩きながらとある小さな公園を通り過ぎようとした時、何かに気づいて振り向く。

 

 そこには、晴れの日差しを全身に浴びるかの如く元気よくそびえ立つ公園の木の根本で、座り込んで泣いている1匹の珍獣がいた。

 

 その珍獣は、小さな体に黄色を基調とした体毛、青い目、細長い耳、そして背中に羽が生えているのが特徴であり、更に鳴き声は「パムー」と、少なくとも地球上では見た事ないような姿をしていた。

 

 大粒の涙を流しながら泣き続けるその珍獣に、少女は話しかけてみる。

 

 「ねぇ君、大丈夫?」

 

 少女に声をかけられた珍獣は一旦涙を止め、恐る恐る顔を上げる。 そこには優しい表情で自身を見つめる少女の顔があった。

 

 「何を泣いてるの?」

 

少女は再び声をかけるが、珍獣は再び泣き始めてしまい、さっきよりも勢いよく涙を噴き出すその姿に少女は少し困惑も含めた表情で体を少しのけぞって驚く。

 

 

 泣いてばかりいる珍獣に困り果てた少女は、とりあえずこう声をかける。

 

 「じゃあさ、私と遊ぼ?」

 

 そう言って手を差し伸べる少女に、珍獣は再び涙を止めて顔を上げる。

 

 「私、ユウコ。 よろしくね。」

 

 更に満面の笑みで自己紹介をする少女・ユウコを見て、珍獣はやがて完全に泣き止む。

 

 見ず知らずながら、自身を心配してくれる彼女に心を開き始めたのであろうか。

 

 

 その後、ユウコはその珍獣と公園でボール遊びをしたり、マンションに戻ってお絵描きをしたりなどして遊び、夜は一緒に寝るほどまでに仲良くなっていた。

 

 

 私・ユウコは、街の小さな公園で出会ったその珍獣と、すぐに仲良くなりした。

 

 一体どこから来たのかまだわからないけど、その子と過ごす時間はとても楽しく、その子は私とエリーの本当の家族のようになって行きました。

 

 え?エリーって何かって? それはね、私のお友達。

 

 

 因みに実は彼女・ユウコは地球人ではなく、『変身怪人ピット星人』の少女である。

 

 元々は1人で宇宙を旅していたが、宇宙船の故障により地球に不時着し、そのまま仲間の救援を待っていたが、そこにこの地球にやって来た『宇宙浮遊物体スフィア』の襲来によりそれが叶わぬ事態となり、右も左も分からぬまま地球での生活をスタートさせた。

 

 エリーはそんな彼女の宇宙一人旅の際に行動を共にしていた『宇宙怪獣エレキング』のペットである。

 

 

 スフィアとは、突如宇宙から襲来した球状の地球外生命体であり、他の物体や生命体に寄生して『スフィア合成獣』を生み出したり、人間の同化・吸収、電磁パルスを発して人類側の無人操縦兵器を無力化させる事も出来る。

 

 更に奴らは襲来の際に地球を自身らのバリアで覆っており、ユウコが地球から出られなくなったのもそのためである。

 

 母機と思われる『巨大宇宙球体キングスフィア』や、そのキングスフィアから生み出される『精強宇宙球体スフィアソルジャー』の2種類存在し、その正体は、数百年後の更なる宇宙へ進出した人類が遭遇する「宇宙の摂理」とも言われており、その目的は、進んだ文明のある惑星や強い力を持った生物を呑み込み、自らの一部とする事とも言われているが、その多くはまだ謎に包まれた存在でもある。

 

 

 そう、この地球は、スフィアがバリアで覆った事により、地球内のモノは地球外に出られなく、地球外のモノは地球内に入られなくなっている状態でもあった。

 

 

 そんな状況でも、ユウコは地球人で元気に暮らし、そこでの様々な出会いを経て今では馴染んでいる状態であった。

 

 

 数日後の晴れ渡った昼間、ユウコはその珍獣と散歩をしていた。

 

 「今日は何して遊ぼうか?ハネちゃん。」

 

「パムー!」

 

 ユウコの満面の笑みでの問いかけに元気よく返事をする『ハネちゃん』と名付けられた珍獣。

 

 因みに名付けた理由は、「羽が生えているから」という割と安直なものであった(笑)

 

 

 …実を言うと、別世界でも、このハネちゃんと姿や鳴き声が全く同じ珍獣が、「羽が生えているから」という安直な理由で『ハネジロー』と呼ばれた事がある。

 

 その世界では、そう名付けられて以降しばらくはその世界の防衛チーム『スーパーGUTS』のマスコット的存在となっていたが、その正体は『ムーキット』という名のファビラス星の生物であり、そこの住人の『ファビラス星人』から「平和を招く神」として崇められていた存在であった。

 

 ファビラス星人とは、惑星の衝突で故郷であるファビラス星及びほとんどのムーキットを失った後、ミクロ化した80億もの同胞たちを乗せた宇宙船で新たな新天地を探している宇宙人である。

 

 

 このハネちゃんは、恐らくこの時空のファビラス星人のムーキットの一匹であり、何かしらの形で主人とはぐれたのであろう…。

 

 

 ここで一旦場面を戻そう。

 

 「かけっことか、かくれんぼとか…。」

 

ルンルンと歩きながらそう言うユウコ。

 

 

 因みにこの時、もう1人のとある少女も一緒であった。

 

「悪いね、2人とも。私のトレーニングに付き合わせちゃった。」

 

その少女は首にかけたタオルで額の汗をふきながら気さくにそう言う。

 

 「いいよいいよミカちゃん。 私もハネちゃんも楽しかったし。」

 

 「パムー!」

 

 ミカという名のその少女に、ユウコもハネちゃんも元気よく返事をした。

 

 

 因みに言うと、このミカという少女も地球人ではない。

 

 彼女は「ヘラクレス座M-16惑星グレゴール星」出身の、『宇宙格闘士グレゴール人』の1人である。

 

 彼女には「宇宙最強の格闘チャンピオン」「鋼の魔人」の異名を持つ格闘家の『グレース』という父が存在し、元々はかつてこの地球の守りについていた超古代の光の巨人『ウルトラマントリガー』と決闘するために、娘と共に地球に来訪したが、地球がすっかり平和になった事で諦めてグレゴール星に帰ろうとした所、今度はスフィアの侵略により帰れなくなってしまった。

 

 そう、彼ら親子も、ユウコと同様、スフィアの被害を受けた難民である。

 

 やむを得ず地球で働きながら生活を始めたが、元々格闘家一本だった故にどの仕事も上手く行かない父・グレースをサポートしながら、夕食がパンの耳になる程までの困窮した生活を送っていたが、この地球のとある組織、そしてとある光の巨人との出会いを経て、現在はそれらが改善されつつある。

 

 

 そのとある組織、及び巨人についてはまた後ほど。

 

 

 ユウコとミカは、境遇が似ているという事もあっていつの間にか仲良くなっていた。

 

 そして、一人ぼっちで寂しそうにしていたハネちゃんを見て、ふと以前の自分と重なって放っておけなかったのであろう。

 

 そんなハネちゃんも、今では彼女たちとすっかり仲良くなっていた。

 

 そんな2人と1匹は、尚も楽しそうな話しながら公園の歩道を歩いていた。

 

 

 「じゃあ、トレーニングと一石二鳥にもなるし、かけっこにしよっか!」

 

「賛成!」 「パムー!」

 

 ミカの提案にユウコは賛成し、ハネちゃんも「僕も負けないぞ」とばかりに元気よく浮遊しながら賛成する。

 

 「それにしてもミカちゃん、ほんとにストイックだね。」

 

 「パパが引退したら、今度は私が格闘チャンピオンになるんだから! でもハネちゃん、飛べちゃうなんてちょっとズルいな〜。」

 

 一同が笑い合っていたその時であった。

 

 

 「ちょっといいかな? お嬢ちゃん達。」

 

 何処からか、聞き覚えのない男性の声が聞こえて、2人は振り向く。

 

 しかし、何故かハネちゃんだけはその声を聞いた瞬間、ユウコの後ろに隠れた。

 

 

 2人が振り向いた先には、茶髪で、ベージュのステンカラーコートを着用した長身の男性が立っていた。

 

 「ちょっとこの辺で、ゴクジョー見かけなかったかい?」

 

 男性は続けて軽い口調で問いかけるが、2人はいきなりな事に困惑するだけである。

 

 「極上…?って、一体何の事ですか…?」 「そもそも、あなた誰なのですか?」

 

 「俺か? 俺は宇宙一のトレジャーハンター。 銀河を股にかけ、ゴクジョーなものだけを手に入れる。」

 

 「ゴクジョー…?」

 

 男はユウコ達の問いかけに自己紹介らしきものをした後、ユウコの疑問の発言を他所に写真を取り出して2人に見せつける。

 

 「んで、今俺はこのゴクジョー探してるんだけど、何か心当たりある?」

 

 ユウコとミカは写真を覗き込むように見てみる。男が差し出した写真には、綺麗な半透明の結晶が集まって出来たアートのようなものが写っていた。

 

 「う〜ん…見覚えは、無いかな。」 「こんな綺麗なもの、一度見たらハッキリ覚えてるはずだもんね。」

 

 どうやら2人とも案の定、覚えがないみたいである。

 

 

 一方で、ユウコの後ろに隠れているハネちゃんは、怯えるような様子ながら、その写真のものが気になっているかのように時折顔を少し出したりしていた。

 

 

 「そうか〜、悪いね。手間取らせちゃって。」

 

 男はそう言いながら写真をしまう。

 

 「ま、もしそれらしきものを見かけたら教えてよ。 最も、君たちが知らせる前に、こっちから来ちゃうかもしれないけどね。 んじゃ。」

 

 男は最後にそう言うと、あっという間にその場から姿を消すように立ち去った。

 

 

 「…何だったんだろう? さっきの人…。」

 

「さぁね…。 私たちと同じ、スフィアの難民なのかな? ちょっと風変わりな感じだったけどね。」

 

 ユウコもミカも困惑がまだ取れきっていなかった。

 

 

 その時、ユウコはここでハネちゃんの異変に気づく。

 

 男が現れた時から、何やらさっきまでの元気は少し無くなっているようであった。

 

 「どうしたの?ハネちゃん…。」 「パム〜…。」

 

 ユウコは優しく話しかけるが、ハネちゃんは尚も俯いたまま弱々しく鳴くだけであった…。

 

 

 一方、先程2人の前から姿を消した男は、2人からある程度離れた木の影に隠れて、様子を伺っていた。

 

 「あのスノーアートを一刻も早く奴から奪い返して俺のものにしないとな…。 それに、あのムーキットも一緒って事は、程なくしてあの子たちも巻き込まれる可能性もある…。 その時、間違いなく奴も出て来るだろうしな。」

 

 男はそう呟くと、引き続き様子を伺い始めた。 どうやら発言からして、単にそのスノーアートを狙っているだけでは無く、何やらそのスノーアートも関わる大事に彼女たちを巻き込まないように奪う事も考えているようであり、少なくとも悪党ではない様子である。

 

 

 ここで、その男について紹介しよう。

 

 彼の名はリシュリア星出身のトレジャーハンター『イグニス』である。

 

 先程も言っていたように「ゴクジョー」が口癖であり、自身にとって極上なお宝だけを手に入れるために銀河を旅する者である。

 

 以前に、100年以上前にリシュリア星を滅ぼした、闇の巨人の1人『俊敏策士ヒュドラム』を狙って地球に来た事もあり、その当時、地球の守りについていた防衛チーム『GUTS-SELECT』(以降:ガッツセレクト)と接触を繰り返すなどをして行き、その経緯で入手した『暗黒勇士トリガーダーク』の力も使い、彼らやトリガーの協力も得ながらヒュドラムを伐った後、トリガーと共に引き続き闇の力に立ち向かい、全ての戦いが終わった後、リシュリア星を復活させる方法を探すためにトレジャーハンターとして何処かへ去っている。

 

 今回は、その写真に写っているスノーアートを狙って来たと思われる。

 

 

 場面を2人に戻そう。2人がハネちゃんの心配をしている時、また新たに話しかけて来る声が聞こえ始める。

 

 「あれ? ユウコちゃんにミカちゃん。」

 

 突然、名前を呼ばれた2人は、ほぼ反射的にその声の方を振り向く。

 

 その反応の速さは、その声にまるで聞き覚えがあるかのようである。

 

 2人の目線の先には、爽やかなイケメン顔に、黒とグレー、オレンジが基調の上下セパレート式の隊員服にグローブやヘルメットを着用している青年がいた。

 

 「あ、カナタさん…!」 「久しぶり〜!」

 

 「久しぶりだな〜!」

 

 2人も、どうやらその青年とは顔見知りな様子であった。

 

 

 彼の名は、トリガーと闇の巨人たちの激闘から8年後、対スフィア部隊として再編成されたガッツセレクトの隊員『アスミ・カナタ』である。

 

 すると、カナタに少し遅れて更に2人の隊員『リュウモン・ソウマ』と『キリノ・イチカ』も合流する。

 

 「あ、イチカちゃんも久しぶり!」 「久しぶり、ユウコちゃん。」

 

 どうやら、イチカとユウコも以前知り合い済みな模様。

 

 「奇遇だな、ここでいっぺんに再会するとは。」

 

 リュウモンはそう言った。

 

 「どうしたのカナタ。 パパはまだ病み上がりだから万全じゃないよ。」

 

 「そうか、それは残念…いや、君のパパと試合がしたいんじゃなくて、2人は何か近くで怪しいものとか見なかった?」

 

 ミカの発言にカナタはノリツッコミ気味で反応した後、2人に問いかけた。

 

 なんでも、ガッツセレクトはここ最近、各地で異常な電波反応等をキャッチしており、更に、4日前の夜は近くの街で『電脳魔人テラフェイザー』が怪獣と戦ったと言う情報まで入っていると言う。

 

 

 様々な気になる情報を耳にしつつも、特にそれらしきものを見た覚えがない彼女らは、困惑しつつも、とりあえず先程、ゴクジョーの男の人(イグニス)に似たような質問をされた事を伝える。

 

 それを聞いた3人は、その「ゴクジョー」というワードをヒントに、何か心当たりがありそうな感じであった。

 

 「“ゴクジョー”が口癖の男の人…その人ってまさか…。」

 

 リュウモンが何か思い出しそうになったその時。

 

 

 「…ん…?」

 

 カナタが何かに気づき、イチカも続いてその方を向く。

 

 2人の目に入ったのは、ユウコの後ろに隠れてたがいつの間にか姿を見せていたハネちゃんだった。

 

 「「ハネジローそっくり!」」

 

 「ホントだ…!」

 

 カナタとイチカの声がハモり、リュウモンもそれに続いて反応した。

 

 

 一方、ガッツセレクトの移動作戦司令室兼対怪獣用戦闘艇『ナースデッセイ号』の司令室で待機しているその“ハネジロー”も、モニターでその様子を見て反応していた。

 

 「…確かに、私に似ている…!」

 

 ハネジロー。正式名は『電脳友機HANE2』であり、TPU宇宙開発センターにより開発・製造されたAIユニットである。

 

 

 自分達のAIユニットにソックリとはいえ、見た事のない生命体を珍しがりながらも、カナタ達はハネちゃんについてユウコ達に問いかける。

 

 「その子、一体どこで知り合ったんだ?」

 

「3日前、近くの公園で1人寂しそうにしてたのを見つけて、それをキッカケに仲良くなったの。 どこから来たかはまだ分からないけど…。」

 

「3日前…? テラフェイザーが怪獣と戦った翌日で、ちょうど謎の電磁波をキャッチし始めた日でもあるわね。」

 

 ユウコの返答に対し、イチカはそう言った。

 

 「どうやらこの子が鍵になりそうだな。 良かったら話してくれないか?」

 

 カナタはハネちゃんの目線までしゃがんで語りかけるが、それでもハネちゃんは俯いたまま、話すのを渋り続ける…。

 

 この様子から、カナタ達が探っているものと何かしら関係があるのは確かみたいだが…。

 

 

 その時、リュウモンは何かに気づき、声をかける。

 

 「どうやら何か知ってるっぽいな。 姿を現したらどうなんだ?」

 

リュウモンの発言を合図に、その方向に、カナタとイチカ、そしてユウコ達も振り向く。

 

 

 「やれやれ、どうやら既に、見通されてたってワケか。」

 

 一同の視線の先の木の後ろから現れたのは、イグニスであった。

 

 どうやらリュウモンは、イグニスが隠れてこちらのやり取りを伺っていたのに気づき、それと同時にその様子から、ハネちゃんの事情等も何か知っているのだろうと見抜いたのであろう。

 

 流石は“見つめる天才”と言われるだけはある。

 

 「あ、さっきのゴクジョーの人…!」

 

「アンタは…もしかして、イグニス?」

 

 ミカが反応した直後、カナタは見事に名前を当てて見せる。

 

 「お?まさか俺の名を知ってる者がここにもいたとは、俺も有名になったものだね〜。」

 

 イグニスは軽い口調でそう言った。

 

恐らくカナタは、以前トリガーと共闘した際、その変身者の『マナカ・ケンゴ』からイグニスの事も多少聞いていたのであろう。

 

 「イグニス…もしかして、あのトレジャーハンターのか?」

 

 「先輩たちと、何度か共闘もしたという…?」

 

 誰かから聞いたのか、ガッツセレクトにデータが残っていたのか、リュウモンやイチカもイグニスを知っているようであった。

 

 「そ、俺は宇宙一のトレジャーハンター・イグニスだ。 そこのお坊ちゃんの言う通り、そのムーキットちゃんの事も知っている。」

 

 「本当?」 「教えてください。ハネちゃんに何があったか。」

 

 「おけおけ、これから話すからよ〜く聞いてな。」

 

 ミカやユウコの食い入るような申し出を軽く宥めると、イグニスは語り始めた。

 

 

 イグニスは元々、『友好宇宙人ルリヤ星人』の決死の努力により中に“宇宙の悪魔”を封印し閉じ込めたと言われている結晶体・スノーアートを、新たなゴクジョーとして狙っていた。

 

 だがその最中、同じくスノーアートを狙っていた『泥棒怪獣ドロボン』によって先を越され、スノーアートを横取りされてしまった。

 

 イグニスは取り返そうと試みたが、他人から盗んだものだけで生活するとも言われているドロボンが、何処かの宇宙人を殺害し、その宇宙人から盗んだ『バトルナイザー』から繰り出される怪獣、そして、ドロボン自身の戦闘力により攻めあぐね、まんまと逃げられてしまう。

 

 そしてドロボンは、新たに地球を盗みの場に決めて侵入し、イグニスもそれを追って地球に来た。

 

 またイグニスは、その最中にドロボンの「いずれは太陽系の惑星全てを征服する」という壮大な企みも知ったという。

 

 恐らく盗みを働いているのは、そのための戦力を集めるためでもあるのだろう。

 

 

 「マジかよ…そんなやべぇ宇宙人が、地球に侵入していたなんて…!」

 

 驚愕を隠せないカナタ。

 

 「でも、地球は今、スフィアのバリアに覆われてるはず…あなたはどうやって地球に入れたの?」

 

 イチカは問いかけた。

 

「ちょっとした、天才君の力も借りてね。」

 

 そう言うとイグニスが自慢げに取り出したのは、スフィアソルジャーの『ガッツハイパーキー』であった。

 

 ドロボンを追う道中、スフィアバリヤーにより地球に入れない事に気づいたイグニスは、火星に立ち寄り、そこで宇宙開発のために活動していた旧ガッツセレクトのメンバーの1人『ヒジリ・アキト』に、バリアを突破して地球に入るための手段として作ってもらったのだろう。

 

 アキトも、地球に向かうのをケンゴ(トリガー)ではなくイグニスに任せたのは、その頃ケンゴはちょうど火星の別の基地を襲撃しているスフィアの相手をしている最中だったからである。

 

 

 そしてイグニスは次にハネちゃんの事を話し始める。

 

 以前は主人のファビラス星人と共に宇宙を旅しており、その道中に地球に辿り着いたのだが、運悪くそのタイミングでスフィアがバリアを張ったため、地球から出られなくなってしまった。

 

 その後、地球のあちこちを宇宙船で飛び回って旅しながら、主人のファビラス星人と共にいつか地球から出られると信じながら楽しく生活していた。

 

 だが、4日前に地球に侵入したドロボンの襲撃に遭い、その際に主人と離れ離れになってしまったのだと言う。

 

 

 「俺がもうちょい早く来れてれば、その子が一人ぼっちになる事はなかったハズなんだけどな…。」

 

 イグニスは少し罪悪感も含めて呟いた。

 

 

 すると、ハネちゃんは遂に意を決したのか、目を発行させて、一同の前にモニターを映し始める。

 

 ムーキットが持つ能力であり、自身の記憶を映像化して投影する能力である。

 

 

 一同が見るその映像には、とある夜の街でテラフェイザーが『宇宙伝説魔獣メツオーガ』と戦っている様子が映っていた。

 

 テラフェイザーは右腕のクローアームによる打撃や、左腕のTRビーム砲からのビームで応戦する。近くにあるものを食らい尽くす生態を持つメツオーガも、その巨体を振るわせながら、体当たりなどで反撃し、大口でテラフェイザーを捕食するために噛みつこうとするが、テラフェイザーは即座に上空に飛び立つ事で回避し、再びクローアームによる連続パンチやビームなどで反撃して行く。

 

 その激しい激闘の最中、たまたま近くを飛んでいたファビラス星人の宇宙船は、急いでその場から退避しようとしたが、運悪くメツオーガの尻尾に当たってしまい、操縦不能になった宇宙船が落下していく中、ハネちゃんの身を案じた主人は、ハネちゃんだけたまご型のカプセルで緊急脱出させた。

 

 それ後、宇宙船は地上に不時着し、ハネちゃんを入れたカプセルは、そこから離れた場所に落下し、ハネちゃんはそこで1人寂しい1夜を過ごしたのだと言う。

 

 

 因みにその後、メツオーガはテラフェイザーのビームを大口で食らって行き、パンチを放ったクロウアームに噛みつきそのまま捕食しようとするが、そこにTRビーム砲から放った、エレキングの力を使った三日月型電撃ビームを受けた事で離してしまう。

 

 そしてテラフェイザーは、続けてゴモラの力を使った超振動波の効果を持った赤色のビームを放ち、メツオーガはそれを正面から食らって行く。

 

 だが、それにより一旦吸い込んだエネルギーが喉袋に相当する器官に集積された事により隙が出来てしまい、そこを突いたテラフェイザーのクロウアームで首を掴まれてそのまま持ち上げられると、その間にチャージが完了していた最大の砲撃武装『TRメガバスター』が発射され、その直撃を喰らったメツオーガは動きを止めた。

 

 

 メツオーガが沈黙したのを確認すると、テラフェイザーはその場から姿を消して去ったが、その直後にメツオーガはカード型のエネルギー体となって何処かへと飛んで行ったのは誰も知らない…。

 

 

 因みにテラフェイザーは、数百年後の未来から時空を超えてやって来て、TPUの技術局に『アサカゲ・ユウイチロウ』博士として潜伏もしていた異星人『バズド星人アガムス』が開発した、対ウルトラマンデッカー用戦闘兵器である。

 

 アガムスがこの時代の地球に来たのは、故郷のバズド星がスフィアにより危機的状況に陥ったのは、地球が宇宙進出した事によるものであるという考えから地球に復讐心を持つようになったからである。

 

 恐らく今回は、現れたメツオーガが自身の野望の妨げになると判断して対処したのだと思われ、対処出来たのも、TPUにいた頃、以前メツオーガと戦った事がある旧ガッツセレクトが残したと思われるデータをどこかで見たためなのであろう。

 

 邪魔になると判断したのも、その際にそのメツオーガの恐ろしい生態を知り、放っておけば地球だけでなく自身も食われる恐れがあって危険だと判断したためだと思われる。

 

 

 映像が終わると、一同は少し深刻そうな表情になる。 

 

 「そうか…お前の主人は、あの怪獣に…。」 「パム〜…。」

 

 カナタの発言に、ハネちゃんは元気無く返事をする。

 

 

 イグニスがハネちゃんの事情や、その主人のファビラス星人の事を知っているのは、以前、宇宙のゴクジョー探しの旅の最中、とある惑星でその主人のファビラス星人と知り合った事があるからである。

 

 その際に、彼の宇宙船も覚えおり、イグニスが地球に着いたのも、ちょうどその宇宙船がメツオーガに撃墜されている時で、イグニスはそれを目撃した後、不時着の衝撃でだいぶ弱っていたそのファビラス星人になんとか会って、諸々の事情を聞く事が出来たのだが、その直後に謎の黒いエネルギー体のようなものにファビラス星人が連れ去られ、それにより離れ離れになってしまったのだという。

 

 

 「そっか…それは辛かったね。」

 

 ユウコはそう言いながらハネちゃんを優しく撫でた。

 

 

 やがてカナタは、このしんみりした空気を振り払うかのように、一旦悩むのをやめて提案する。

 

 「よし分かった! じゃあ、この子の主人を見つけるために、TPUの上層部にも掛け合うよう、隊長に頼んでみるか!」

 カナタの思いもしない提案に、ユウコとミカは少し驚く。

 

 「え…?そういう事も出来るの?」 「そもそも生きてるかどうかも分からないのに…?」

 

 そこにリュウモンとイチカも発言する。

 

 「そもそも、もし仮に死んでたとしたら、3日の間に遅かれ早かれTPUがその遺骸を見つけてるハズだしな。」

 

「その情報がガッツセレクトにも来てないって事は、もしかしたらまだ何処かで生きてる可能性もありそうじゃない?」

 

 3人の発言に、ユウコもミカも納得しつつあった。

 

 「俺、じいちゃんに言われた事あるんだ。「お前はお前の信じる道を行け」と。 俺は信じる。その子の主人がまだ生きてると。 だから、ミカちゃん達ももし少しでもその気があるのなら、信じてみようぜ!」

 

 爽やかな笑顔でそう言うカナタの発言が決め手となり、ユウコとミカもハネちゃんの主人捜索の協力をTPUに頼む決心をする。

 

 「私と出会った時のハネちゃん、とても悲しそうだった…。 私も、そんなハネちゃんの力になりたい。」

 

「同じスフィアの難民同士でもあるもんね。 困った時はお互い様だし。」

 

 

 「よし、決まりだな!」

 

カナタはそう言うが、ハネちゃんは何やら不安そうに鳴き声を発していた。

 

 「どうしたの?ハネちゃん。」とユウコ。

 

 すると、イグニスはハネちゃんが何が言いたいのかを代弁する。

 

 「その子、TPUが自分の主人を見つけたら、事情とか関係なしに自分と共に捕獲して尋問したり検査したりするんじゃないか?と不安になってるんじゃないのか?」

 

イグニスの代弁に、ハネちゃんはゆっくりと頷き、そのまま俯いた。

 

 

 「大丈夫だよ。 TPUは、そんな融通の効かない組織なんかじゃない。」

 

 歩み寄ってそう語りかけるイチカに、ハネちゃんは顔を上げ始める。

 

 「そうだよハネちゃん。 私たちだって、TPUに助けてもらった事もあるし。」

 

ユウコもそう続けた。 以前、ユウコはエリーが電気を食べ過ぎて巨大化して暴れた際、ミカは父・グレースと共に困窮した生活を送っていた際に、TPUの助けを得ている。

 

 また、グレースが、(ミカの想いもあって)ガッツセレクトに試合を申し込んだ際も、それを引き受けた事もある。

 

 

 次に、幼い頃に怪獣災害からTPUに助けられた事もあるリュウモンが、その際に「勇気の証」として手渡されたTPUのワッペンを手に言った。

 

 「TPUは、いつも弱い者の味方だ。 俺の今があるのも、TPUのお陰でもあるしな。」

 

 

 ハネちゃんは、さっきまで俯いていた顔が気がつけば上がっていて、まっすぐカナタ達の方を見ていた。

 

 次第にガッツセレクト3人にも心を開いているのである。

 

 「必ず、主人に会わせてやる。約束しよう。」

 

 カナタはそう言うと、ハネちゃんに軽く拳を向ける。

 

 やがてハネちゃんは、その拳に軽くタッチをした。 どうやら完全にカナタ達を信じる気になったみたいである。

 

 「よし、決まりだな!」 「ありがとうハネちゃん。」

 

 カナタもイチカも嬉しそうにそう言った。

 

 

 イグニスは、その様子を見てほくそ笑みながら感慨深そうに呟いた。

 

 「フッ…この子達も、あの3人に負けず劣らず、いいチームじゃねぇか…。」

 

 困った者のために一生懸命になるカナタ達を見て、かつて一緒に戦ったりもした旧ガッツセレクトのケンゴ達と重ね合わせていた。

 

 

 「そうと決まれば、早速隊長に報告を…。」

 

 リュウモンが司令室に通信を入れようとしたその時。

 

 

 「折角だが、そのつもりはないぜぇ?」

 

 

 「! 誰だ!?」

 

 突如、何処からか聞き覚えのない声が響き、反応したカナタをはじめ、一同は辺りを見渡して警戒を始める。

 

 「上だ!」とリュウモン。

 

 「ふははははは!」

 

 一同が上を向くと、上空に棍棒を持った1人の人型の未知の生物が、高笑いをしながら浮かんでいた。

 

 「ドロボン!!」

 

 イグニスは即座にそう叫ぶ。 奴こそ、イグニスが追っていたドロボンである!

 

 「そう!我こそがドロボン星の宇宙戦闘員、ドロボンだ!」

 

 「あれがドロボン…?」とユウコ。

 

 「その必要は無いって…どういう事だ!?」 「お前、スノーアートを何処へやった!?」

 

 カナタとイグニスは問いかける。

 

 「リシュリア星人! 残念だがお前さんのゴクジョーはもう無い! 見よ!」

 

 ドロボンがそう言ったのを合図に、その更に上空には一機の宇宙船が現れる。

 

 「あれは…ファビラス星人の宇宙船…!?」

 

 イグニスの言う通り、それは、行方不明になっていたハネちゃんの主人のファビラス星人の宇宙船であった!

 

 それを見たハネちゃんは、その中の主人に呼びかけるように鳴き始める。

 

「…何かがおかしい…。」

 

 …リュウモンは、また何かを見抜いているようであった。

 

 

 「…やれ…!」

 

 ドロボンがそう言ったのを合図に、なんと宇宙船は、地上のカナタ達目掛けてレーザーを放つ!

 

 「はっ、危ない!!」

 

 カナタが叫ぶと同時に一同は即座にその場に伏せる。 レーザーは一同に直撃せず、近くの地面に当たって爆発した。

 

 

 「一体どういう事!? あれは、ハネちゃんの主人なんじゃないの!?」

 

 ミカはまだ状況が読めていないようであった。

 

 「お前! まさかスノーアートを…!」

 

「ふっふっふ、そのまさかだよリシュリア星人…!」

 

 どうやらドロボンは、スノーアートを盗んだ後、間も無くしてそれを破壊して、中に封印されていた『テレパシー怪獣デビロン』を解放し、即座に盗んだバトルナイザーに回収する事で自身のものにしてしまったのである。

 

 そして、その足で地球に着いた後、ヴィランギルドから盗んだメツオーガをお試しとして暴れさせていた際、たまたまそれに巻き込まれたファビラス星人に目をつけ、能力を試す事も目的に、デビロンにそれに憑依するように命じたのだという。

 

 ハネちゃんが先ほどスノーアートの写真を見た際に不安げな様子を見せていたのは、ユウコと出会う前日の夜、1人寂しくしていた際に、少し離れた場所でドロボンがスノーアートのカケラを手にしていたのを目撃しており、またその時のドロボンの発言から、たまたま巻き込まれた自身の主人を利用している事も知ったからである。

 

 その際にドロボンは、「コイツ(スノーアート)に眠っていた悪魔をあのファビラス星人に取り憑かせてみたが…案の定、スゲェ憑依力だぜ!」と言っていたのだという。

 

 デビロンは他の生物に対し、憑依したり、テレパシーで操ったりする事が出来る能力を持っている。 恐らくスフィアバリアも、そのテレパシー能力でその部位を構成するスフィアのみを操る形で穴を開けさせる事で、地球への侵入に成功したのであろう。

 

 ここ数日、各地からキャッチされていた異常な電波反応の正体は、デビロンに操られて各地で宇宙船で暴れていたファビラス星人であったのだ。

 

 

 「…そんな…なんて酷い事を…。」

 

 ドロボンの身勝手で非道な所業に、ハネちゃんは再び悲しそうに鳴き声をあげ、一同は怒りのあまり一瞬だけ言葉を失う。

 

 特にハネちゃんの事を人一倍心配していたユウコは心を痛めているようであった。

 

 「マジか…ゴクジョーちゃん、もうねぇのかよ…。」

 

 イグニスには、狙っていたゴクジョーがもう無いどころか、悪用されている事へのショックもあった。

 

 

 「おいお前!! 今すぐハネちゃんの主人を返すんだ!!」

 

「おいおいお前、盗んだものを返せと言われて返す泥棒がいるか? 俺は自分のものにした怪獣の強さや性能を試したいのだよ。コイツはその生贄だ。」

 

 ドロボンはカナタの発言をそう一蹴すると、バトルナイザーを取り出して揚げる。

 

 「更に、もう二体の怪獣の強さも試してみよっかな? 行けっ!!」

 

 《バトルナイザー、モンスロード!》

 

ドロボンの掛け声と共に、バトルナイザーは電子音声と共に二つのカード状のエネルギー体を放ちそれが実体化する事で二体の怪獣が地響きと共に現れる!

 

 現れたのは『超古代怪獣ファイヤーゴルザ 』、もう一体は『最凶獣ヘルベロス』である!

 

 二体は現れると早速、降り立った街で我が物顔に暴れ始める。

 

 ファイヤーゴルザは剛腕や太くて長い尻尾、ヘルベロスは身体中の刃や口からの火炎などを駆使して、逃げ惑う人々を嘲笑うかのように暴れ続ける。

 

 

 「こいつはえらい事になって来たな…!」とイグニス。

 

 「まずは奴らを止めないと!」

 

 そう言ったリュウモンをはじめとするガッツセレクトの3人は、暴れ始めた怪獣達への対処のため、司令室の隊長『ムラホシ・タイジ』と副隊長『カイザキ・サワ』と通信を取り始める。

 

 「現在、市民の避難がまだ完了していません。 リュウモン隊員とキリノ隊員は怪獣達を牽制しつつ市民の避難誘導に当たってください!」

 

「アスミ隊員は基地に戻ってガッツファルコンで出撃、ハネジローはGUTSホークで出撃してください!」

 

 隊長と副隊長がそれぞれ指示を出す。

 

 「「「「ラジャー!!」」」」

 

 隊員一同はそれに了解し、行動を開始する!

 

 「待ってろ…! すぐに駆けつけるからな!」

 

 カナタはそう言うと基地へと急ぎ始め、リュウモンとイチカは避難誘導を優先的に行おうと街へと向かう。

 

 「イグニスさん、ユウコちゃん達を頼みます!」

 

 イチカは去る前にそう言い残した。

 

 「やれやれ、勝手に頼まれちゃったな、俺。」

 

 イグニスはそう言いつつも了解する。 ユウコ達は、不安げな表情ながらもイグニスの近くに移動し、イチカ達の奮闘を見守り初める。

 

 「さて、俺はしばらく、見物と行きますか。」

 

 ちょっと離れた場所にいるドロボンはそう言うと、その場に座り込んで見物を始める。

 

 

 リュウモンとイチカは避難誘導の合間を見て、携帯用のハンドガン『セレクトハイパーガン』での銃撃を始めるが、怪獣達にとっては豆鉄砲に当たってるのも同然な感覚なのかほとんど効き目がなく、暴れる手を緩めない。

 

 「怯むな! 少しでも食い止めるぞ!」

 

 リュウモンの言葉を合図に、2人はカートリッジを交換して火炎、電撃などに属性を変えつつ銃撃を続ける。

 

 それでも二体はそれらをほとんど寄せ付けずに暴れ続け、やがてファイヤーゴルザの頭部からの強化超音波光線や、ヘルベロスの頭部の角からの電撃・ヘルホーンサンダーがリュウモンとイチカの近くのビルや地面に直撃して爆発し、2人はその暴風に吹っ飛ばされる。

 

 「このままじゃ…!」

 

 弱気になりかけるイチカ。その時、目の前に逃げ遅れて泣いている1人の少女を見つけ、即座にその子の元に駆け寄る。

 

 「大丈夫!?早くここから…」

 

 イチカは急いで少女を避難させようとするが、そこにヘルベロスが火炎を噴射し始める!

 

 イチカは彼女だけでも守ろうと覆いかぶさるように抱き寄せ、ここまでかと顔を伏せた…その時。

 

 

 何処からか飛んで来た一機の赤い戦闘機が、イチカ達の目の前を通り過ぎると同時に盾となり、ヘルベロスの火炎から2人を守った後に空高く飛び立つ!

 

 「ハネジロー…!」

 

 イチカは飛び上がった機体を見て嬉しそうな表情で言った。

 

 ハネジローが頭脳となって操縦する無人戦闘機『GUTSホーク』(以降:ガッツホーク)が到着したのだ!

 

 「攻撃を開始する!」

 

 ハネジローのその言葉と共に、ガッツホークはコックピット部分両側の機関砲や、両翼下部にあるタロンアームズからのホークタロンビームによる攻撃を二体の怪獣に始める。

 

 流石に気が散る程度には効き始めているのか、怪獣たちは狙いを一旦ガッツホークに変え、はたき落とそうと腕を振るったり、火炎や光線を放ったりして行くが、ガッツホークはそれらを縦横無尽に飛び回ってかわしながら攻撃を続ける。

 

 「ゴルザは体表が硬い皮膚で覆われてるわ。 頭部の光線の発射口を狙って!」

 

 怪獣研究室出身でもある副隊長はファイヤーゴルザの弱点をハネジローに伝え、ハネジローはそれに了解する。

 

 「ハネジローを援護するぞ!」

 

 リュウモンとイチカはヘルベロスへと集中攻撃を始める。 それによりヘルベロスの注意を向ける事に成功する。

 

 その間にガッツホークは尚もファイヤーゴルザの攻撃をかわしながら隙を伺い、やがてファイヤーゴルザの右足の甲にビームを当てるのに成功する!

 

 それによりファイヤーゴルザが怯んだ隙に、ガッツホークはファイヤーゴルザの真正面に回り込み、エネルギーをチャージしながら照準を合わせ始める。

 

 「今だ! ホークタロンビーム、最大出力、発s…」

 

“ドゴン”

 

ハネジローが渾身の一撃を撃ち込もうとしたその時、何かの衝撃を受けてそれが止まってしまう。

 

 「何だ?」

 

ガッツホークの攻撃を妨害したのは、デビロンに憑依・洗脳されているファビラス星人が操縦する宇宙船の攻撃であった!

 

 宇宙船は尚もガッツホークへの攻撃を続けて行き、それによりガッツホークは怪獣達への攻撃に専念出来なくなる。

 

 

 「クソッ…!こんな時に…!」

 

「あれにはハネちゃんの主人が乗ってるし、迂闊に攻撃出来ない…!」

 

 リュウモンとイチカが途方に暮れる中、尚もガッツホークは宇宙船の妨害と怪獣達の攻撃に手こずっている。

 

 「ありゃあ叩き落とされるのも時間の問題だなぁ。 ファイヤーゴルザ!その間に、この小娘どもをひねり潰せ!」

 

ドロボンの指示を受けたファイヤーゴルザはユウコ達に狙いを定め、向かい始める。

 

「やべぇっ!」

 

 イグニスは急いで2人を避難させようとするが、そこにドロボンが金棒を振るって殴りかかって来てそれを妨害する。

 

 イグニスがやむなくそれの相手をする中、ファイヤーゴルザは尚も逃げるユウコ達を追いかけて行き、やがて強化超音波光線を彼女たちの近くの地面に当てて爆発させ、その衝撃で2人を転倒させる!

 

 「ユウコ!ミカ!」

 

 イグニスは2人を救出しに向かおうとするが、ドロボンに後ろから金棒で羽交い締めにされて妨害される。

 

 

 やがてファイヤーゴルザは2人を踏み潰そうと足を大きく上げ、その影に覆われた事により諦めかける2人。 ユウコはハネちゃんを庇うように抱き寄せ、ミカは強く目を瞑り、もうここまでかと顔を背けた…!

 

 その時!

 

 「トァーッ!!」

 

 力強い掛け声と共に、何処からか飛び出て来た1人の巨人が、2人を踏み潰そうとしたファイヤーゴルザに飛び蹴りを叩き込み、その直撃を受けたファイヤーゴルザは吹っ飛んで地面に倒れ込む。

 

 

 助かった事が分かった2人は恐る恐る顔を上げると、現れた巨人のその姿を見た2人、特にミカは嬉しそうな表情になる。

 

 「パパ!」

 

 現れたのは、先ほど紹介したミカの父親のグレゴール人・グレースだ!

 

 

 「フッ、いい所で来てくれるじゃない!」

 

 「ぐはっ!」

 

 イグニスはそう言うと、思わぬ横槍が入った事により動揺しているドロボンの腹に肘打ちを打ち込んで怯ませる事で羽交締めから逃れる。

 

 

 「我こそは、宇宙最強の格闘チャンピオン! 鋼の魔人、グレース! 絶望へのスリーカウントを、始めろ!」

 

 

 グレースは決め台詞と共にポーズを決めた。

 

 「大丈夫か?ミカ。」

 

 「パパありがとう! 大丈夫なの!?まだ病み上がりなのに…!」

 

「街の、娘の危機を、黙って見過ごすわけにはいかないだろう。」

 

 グレースは以前ガッツセレクトと試合をした際、その時点で、若い頃の無茶の影響もあって体の限界を感じており、ガッツセレクトとの試合、及びその最中に乱入したどくろ合成獣スフィアレッドキングとの戦いの後、体調が悪化し、TPUの医療施設に入院している。

 

 恐らく今現在は、そこから退院したばかり、所謂病み上がりなためまだ万全ではないなのだが、街や娘の危機に体を押して立ち上がったのである。

 

 彼は、困っている人を放っておけず、そのためなら自己犠牲も躊躇わない強い正義感を持っているのである。

 

 

 いきなり蹴られて怒ったファイヤーゴルザは、立ち上がってグレースを睨みつけるように構える。

 

 グレースは身に付けていたマントを投げ捨てると、構をとってファイヤーゴルザ目掛けて駆け始める。

 

 グレースは先手必勝の前蹴りをファイヤーゴルザの胸部に打ち込むが、ファイヤーゴルザはそれに怯まず剛腕を振るう等して反撃を始め、グレースもそれらをキレのいい動きでいなしつつパンチやキックで攻撃して行く。

 

 

 一方で、宇宙船とヘルベロスの攻撃に手こずるガッツホーク。 遂に隙を突いてヘルベロスが火炎を放って撃ち落とそうとしたその時、何処からか飛んで来た一発のミサイルを受けたヘルベロスはそれが止まる。

 

 更に、ヘルベロスにミサイルを当てたその機体はガッツホークと宇宙船の間を高速で通過し、それにより二機を引き離す。

 

 カナタが操縦する『GUTSファルコン』も現場に到着したのである!

 

 「大丈夫かハネジロー!」

 

 「カナタ…ったく遅いぞ!」

 

 ハネジローはそう言いつつも、何処か嬉しそうだった。

 

 「宇宙船は俺が引きつける! ハネジローは怪獣への攻撃を続けてくれ!」

 

「了解した!」

 

 “空の相棒”同士でもあるカナタとハネジローは、互いの信頼を胸に、それぞれ行動に移る!

 

 「こっちだ!」

 

 カナタの操縦するガッツファルコンは、敢えて当たらない程度に弾丸を発射して宇宙船を引きつけ始め、その間にガッツホークはヘルベロスへの攻撃を再開し始める。

 

 リュウモンとイチカも、それぞれヘルベロス、ファイヤーゴルザへと攻撃する事でカナタとグレースを援護し始める。

 

 

怪獣達を相手に奮闘するガッツセレクトとグレースの姿を見て、イグニスも遂に決心した。

 

 「やれやれ…あんなん見ちゃったら、こっちも燃えずにはいられないっしょ。」

 

 そう呟くと、イグニスはトリガーダークへの変身アイテムの『ブラックスパークレンス』と『トリガーダークキー』を取り出し、前へ数歩進む。

 

 「イグニスさん…もしかして…。」

 

 戦場に向かおうとするイグニスに、心配そうに声をかけるユウコ。イグニスは振り向き、不敵な笑みで言った。

 

 「俺が欲しかったゴクジョーは、ただの泥棒が悪用した事で、ゴクジョーじゃなくなっちまった…。 それどころか、それによって、君たちにも迷惑をかけちまった。 それに対する償いも含めて、けじめをつけて来るぜ。」

 

「そうですか…。」 「気をつけてくださいね。」

 

 イグニスの決心の言葉を聞いたユウコとミカも、彼を送り出す決心をした。

 

 「俺のもう一つの故郷(地球)も、リシュリアと同じ道は辿らせられねぇからな…!」

 

 イグニスはそう言うと、戦場向かって駆け始める。

 

 

 この言葉から、恐らくイグニスがスノーアートを狙っていたのは、自身の宝にするためだけめはなく、いち早く自身のものにする事で、その中に封印されているデビロンが誰かの手によって解放されて暴れるのを事前に防ぐためでもあったのであろう…。

 

 デビロンは、これまで数々の星を滅ぼして来たとも言われている宇宙の悪魔。かつて自身の星・リシュリア星がヒュドラムに滅ぼされた身として、星を滅ぼされた人の辛さは特に痛いほど分かるのだ。

 

 

 イグニスは戦場の近くまで走って止まると、変身の態勢に入る!

 

 《TRIGGER DARK…!》

 

《BOOT UP…! DARK ZEPERION…!》

 

 イグニスは、トリガーダークキーのスイッチを押して起動させ、ブラックスパークレンスのグリップの底面に装填する。

 

 そして銃身を円弧状に展開してスパークレンスモードに変形させる。

 

 

 「未来を染める漆黒の闇…! トリガーダーク…!」

 

 

 イグニスはブラックスパークレンスを高く揚げてトリガーを引く!

 

 イグニスは赤黒い闇に包まれ、そこから変身が完了した『トリガーダーク』が右拳を突き出して飛び出す!

 

 《TRIGGER DARK…!》

 

 「デヤァッ…!」

 

 

 ファイヤーゴルザと交戦していたグレースは、隙を突かれてファイヤーゴルザに腕を掴まれて大きく投げ飛ばされてしまう。

 

 グレースを投げ飛ばした後、ファイヤーゴルザはヘルベロスと合流し、再び同時攻撃でガッツホークを叩き落とそうとする…!

 

 

 その時、現れたトリガーダークが、走りながらファイヤーゴルザとヘルベロスにそれぞれ片腕のラリアットを同時に叩き込んで、地面に叩きつけた!

 

 二体の怪獣をダウンさせた後、トリガーダークは振り向いて構えを取る。

 

 「あれが…トリガーダーク…?」

 

「本物を見るの初めてかも…!」

 

 そう言ったカナタとイチカをはじめ、一同はトリガーダークの登場に驚く。

 

 トリガーダークは、かつてトリガーと共に闇の力やイーヴィルトリガー等に立ち向かった事により、トリガーと共に戦い世界を救った戦士として人々に認知されているのだ。

 

 

 「リシュリア星人め、またしても…だが、構わん。 やってしまえ!」

 

 ドロボンの指示を受けた二体の怪獣はトリガーダークに狙いを変え、トリガーダークも怪獣達に立ち向かい始める。

 

 ヘルベロスが先陣を切って突進して来たのをトリガーダークは両手で角を掴む事でそれを食い止め、そのまま顔面に右膝蹴り、左拳でのアッパーを続けて打ち込んで頭部をかち上げた後、ヘルベロスに組み付く。

 

 その間にファイヤーゴルザが向かって来るが、トリガーダークはヘルベロスに組み付いたままファイヤーゴルザの腹部に左足蹴りを打ち込み、怯んだ隙にヘルベロスにヘッドロックをかけ、その状態のまま再度向かって来たファイヤーゴルザに跳び上がっての両足蹴りを頭部に叩き込み、その後着地の勢いも加えてヘルベロスを首投げで地面に叩きつけた。

 

 

 「仕切り直しだ!」

 

 トリガーダークがアウトローな格闘戦法で怪獣達の相手をしている中、グレースはそう言って体制を立て直すと、再び怪獣達に立ち向かう。

 

 ファイヤーゴルザとヘルベロスは、トリガーダークを挟み撃ちしようと双方から駆け寄るが、トリガーダークがそれを真上に跳躍してかわす事で二体はぶつかり合ってしまい、その間にトリガーダークはその二体の肩を踏み台にして更に空高く跳び上がり、ガッツファルコンと交戦していたファビラス星人の宇宙船を両手でキャッチして着地する。

 

 二体の怪獣は再度トリガーダークに襲い掛かろうとするが、そこにグレース、そしてガッツホークが再度攻撃に入った事により妨害される。

 

 

 「イグニスさん…一体、何をするつもりだ…?」

 

 カナタは不思議がりながらも、トリガーダークの行動を見守る事にする。

 

 トリガーダーク(イグニス)は、捕らえた宇宙船の中にいるファビラス星人を見つめる。

 

 「ちと我慢してな。 行くぜ!」

 

 そう言うとトリガーダーク(イグニス)は、持っている宇宙船に闇の力を込め始める…!

 

 トリガーダークの赤黒い闇の力に包まれた宇宙船は、まるで取り憑いている者がもがき苦しんでいるかのように小刻みに動き始める。

 

 よく見てみると、中のファビラス星人も苦しんでいるようであった。 トリガーダークはどうやら、闇のエネルギーを浴びせて直接苦しめる事で、取り憑いている者を炙り出そうとしているのである。

 

 だが、それは同時に取り憑かれている者も苦しめてしまうため、所謂“諸刃の剣”にもなりかねない、一か八かの方法でもあったのだ…!

 

 「もうちょいだぜぇ〜…!」

 

 トリガーダーク(イグニス)が尚も踏ん張り、ユウコとミカ、そしてハネちゃんがその様子を祈るように見守る中、遂に宇宙船、つまりファビラス星人の中からエネルギー体が飛び出す!

 

 見事、ファビラス星人の中からデビロンを追い出す事に成功したのだ!

 

 

 トリガーダークはそれを確認すると宇宙船を包んでいた闇のエネルギーを消し、宇宙船の中を再度確認する。

 

 数日間もデビロンに取り憑かれていたファビラス星人は、疲れ切っていたのか気を失うように眠っていた。

 

 ファビラス星人の安否を確認したトリガーダークは、少し離れた場所まで歩き、宇宙船を地面に下ろすと、「もう大丈夫だ」と言わんばかりに一回頷いた。

 

 

 エネルギー体となってファビラス星人から飛び出たデビロンは、次第に形を作って実体となって行き、やがて何処か悪魔を彷彿とさせる醜悪な本来の姿を現す!

 

 「遂に姿を現したな、ゴクジョーちゃんの中に入っていた悪魔め!」

 

 トリガーダーク(イグニス)はそう言うと、デビロンに向かい颯爽と駆け始める。

 

 

 トリガーダークはデビロンに殴り掛かるが、デビロンはテレパシーの他にも戦闘力自体も高く、素早く跳躍する等してかわしながら手の爪による引っ掻きやキックなどで攻撃して行き、トリガーダークもそれらをかわしたり防いだりしながらパンチやキックで攻撃して行く…両者は一進一退の攻防を繰り広げていた。

 

 

 トリガーダークはデビロン、グレースはファイヤーゴルザ、そしてガッツファルコンとガッツホークはヘルベロスとそれぞれ戦っていて、リュウモンとイチカはそれらを地上からの攻撃でサポートをしている。

 

 その様子を、何やら余裕げな様子で見ているドロボン。

 

 「結構頑張ってるみたいだけど、どこまで持ち堪えられるかな〜? …ん?」

 

 油断していたドロボンに、ガッツファルコンがかわしたヘルベロスの火炎の流れ弾が向かう!

 

 「なんだと〜!?」

 

火炎が自身の近くの地面に命中して爆発し、その爆風により吹っ飛んでしまったドロボンは、地面を転がり、その先にあった木に頭をぶつけて気を失ってしまった事は誰も知らない…(笑)

 

 

 尚も、怪獣軍団を相手に奮闘するガッツセレクトとグレース、そしてトリガーダーク。

 

 だが、怪獣たちは思った以上に強力で、トリガーダークはデビロンに殴り飛ばされた後、続けてデビロンが放った口からの青白い破壊光線の直撃を受け、グレースはそもそも病み上がりなため、それも手伝って古傷がまた痛み始め、その隙にファイヤーゴルザの頭突きで吹っ飛ばされる。

 

 ガッツファルコンとガッツホークも、ヘルベロスの火炎や電撃、更には腕の刃から放つカッター状のエネルギー波・ヘルスラッシュをかわしつつ攻撃するが、相手の手数の多さにやがて避けるのが精一杯になって行く…!

 

 

 次第に押されて行く一同。 しかし、そんな中、上空に更なる援軍が駆けつける!

 

 ナースデッセイ号も、遂に現場に到着したのだ!

 

 「あれは…!」

 

 真っ先に反応したのはグレースであった。

 

 「隊長! 副隊長!」 「来たぜ新たな援軍が!」

 

 カナタやイグニスも嬉しそうに反応する。

 

 「我々も援護しますよ! 皆さん!」

 

 隊長の頼もしい言葉と共に、副隊長は発射準備に入る。

 

 「ナースキャノン、発射!」

 

 副隊長の掛け声と共に、ナースデッセイ号の機体右舷に装備された大型荷電粒子砲『ナースキャノン』が発射される!

 

 グレースとトリガーダーク、そしてガッツファルコン、ガッツホークは即座にその場から退避し、その直後に大型のビームはデビロン、ファイヤーゴルザ、ヘルベロスと順に直撃して爆発!

 

 3体はたまらず地面に倒れ込んだ。

 

 「フゥ〜! こりゃあスゲェ一発だぜ!」 「助かった!」

 

 イグニス(トリガーダーク)とグレースはそれぞれそう言うと体制を立て直す。

 

 「ここから仕切り直しだ!」

 

 ハネジローもそう言うとガッツホークを再び飛ばし始め、ガッツファルコンもそれに続く。

 

 

 やがてハネジローは、ガッツホークの操縦兼ガッツファルコンの遠隔操作を買って出て、カナタにゴーサインを出す。

 

 「カナタ! ファルコンはこっちに任せて、お前は行って来い!」

 

 「ハネジロー…分かった!行って来るぜぇ!!」

 

カナタは気合を込めてそう言うと前方に手を伸ばし、その手には七色の光と共に変身アイテムが現れて握られる。

 

 カナタは『ウルトラマンデッカー』に変身しようとしていた!

 

 

 ウルトラマンデッカー。それは、この世界ではトリガーの次に現れた光の巨人であり、カナタの手に現れたのは変身アイテム『ウルトラDフラッシャー』である。

 

 かつて、無謀ながらもスフィアに立ち向かい、取り込まれかけるが、自我を取り戻したカナタの意志に呼応し、彼の前に巨大な幻影の姿で出現し、一体化を果たしている。

 

 それ以降はガッツセレクトと共に、スフィアやスフィア合成獣等と戦って来たが、当初はその出自が不明であった。

 

 そして後に、数百年後の地球圏にてスフィアと戦うデッカーの本来の変身者であり、カナタの遠い子孫でもある男性『デッカー・アスミ』が、アガムスが時間転移システムでスフィアと共に過去に遡った際、同時に転移システムを破壊してしまったが、カナタの内からの「光」をレーダーで感知する事に成功し、辛うじて可能だった非生物のみの物質転移によってウルトラDフラッシャーと『ウルトラディメンションカード』を一か八かで転送して使用を促した事により、カナタが力を得たものである事が判明している。

 

 因みにアガムスとも因縁があるデッカー・アスミは一度、転送によって現代に現れた際、カナタから一時的に取ったウルトラDフラッシャーで変身して戦い、満身創痍になりながらもアガムスと決着をつけようとしたが、カナタに生きるように諭されたと同時に彼の熱意の言葉を受け、更に彼の戦いをサポートしつつも見届けた事により、再びウルトラDフラッシャーを彼に託すと同時に、アガムスを救ってくれという懇望の言葉を残して元の時代へと帰っている。

 

 その後もカナタは、そのデッカー・アスミの言葉を胸に、時に苦悩しながらも、アガムスやスフィア、怪獣達などと戦い続けて来た。

 

 

 ウルトラDフラッシャーを手に取ったカナタは、腰にある『ウルトラディメンションカードホルダー』から『ウルトラマンデッカー・フラッシュタイプ』のウルトラディメンションカードを取り出す。

 

 《ULTRA DIMENSION!》

 

 カナタはカードをウルトラDフラッシャーの後部のカードスロットにリードした後、本体下部のレバーを引く事でクリスタルが本体から展開し、カナタの周囲には宇宙空間のような空間が広がる。

 

 

 「輝け、フラッシュ! デッカー!!」

 

 

 カナタはウルトラDフラッシャーを高く揚げて掛け声を叫んだ後、顔の前にかざしてトリガーを引く!

 

 カナタは眩い光に包まれ、その中から変身が完了した『ウルトラマンデッカー・フラッシュタイプ』が右拳を突き出して飛び出す!

 

 

 《ULTRAMAN DECKER! FLASH TYPE!》

 

 

 「デヤァッ!!」

 

 

 遂に戦場に降り立ったデッカーは、自身を覆っていた光が完全に消えると、右拳を突き出したポーズを解いて構を取る。

 

 「デッカー!」

 

 嬉しそうに反応するイチカをはじめ、リュウモンやユウコ、ミカも安心の表情になる。

 

 「現れましたね、真打が。」

 

 そう言う隊長も、副隊長と共に戦いを見守り始める。

 

 「久しぶりだな! デッカー!」 「あれが新たな光の巨人、デッカー…!」

 

 グレースはファイヤーゴルザと組み合いながらも再開を喜ぶように反応し、トリガーダーク(イグニス)も何処か感慨深そうに反応した。

 

 

 「しゃっ! 行くぞぉぉぉぉぉ!!」

 

 

 (BGM:Wake up Decker!)

 

 

 カナタの気合いの叫びと共に、デッカーは怪獣軍団目掛けて勢いよく駆け出す!

 

 「こっちも負けてられねぇな!」

 

 そう言ったトリガーダークをはじめ、グレース、そしてガッツセレクトの面々も再び気合が入り、攻撃の手を強めて行く…!

 

 

 デッカーは、ヘルベロスが放つ火炎や電撃などを光のカッター『デッカースラッシュ』で相殺したり、パンチやキックで弾くなどして防ぎながら尚も走り続け、やがて至近距離まで接近すると渾身の右拳のパンチを顔面に叩き込む!

 

 ヘルベロスは怯まず反撃の頭突きを放つが、デッカーはそれを頭部を掴んで受け止めてそのまま喉元に膝蹴りを打ち込み、続けて右手のアッパーで頭部をかち上げる。

 

 その後も、ヘルベロスの放つ両手の刃を生かした殴り込みを拳で弾き返すなどして防ぎ、隙を突いて左手のチョップを右肩、両手を合わせて握ったパンチを胸部に決め、跳躍しての右足蹴りを胸部に叩き込んで後退させる。

 

 ヘルベロスは再度突進を繰り出すが、デッカーはそれをかわすと同時に、その勢いを利用して首投げを決めて地面に叩きつけた。

 

 フラッシュタイプは、バランスに優れているのに加え、カナタの真っ直ぐさも相まって、一撃一撃が重いパワフルで豪快な戦い方が特徴で、それによりヘルベロスとも一歩も引かない戦闘を繰り広げる。

 

 ヘルベロスは立ち上がると、背中の棘・ヘルスパイクから剣状の稲妻・ヘルエッジサンダーを放って反撃に出る。

 

 デッカーは頭上から横一列に迫る稲妻の雨あられに向かい、両腕を横一直線に広げて光線『デッカーフラッシュサイクラー』を放ってそれらをいっぺんに相殺し、それにより発生した爆風の中から勢いよく飛び出し、そのまま飛び蹴りをヘルベロスの頭部に叩き込んで吹っ飛ばした!

 

 

 着地したデッカーは、両手を額に当てて右手に赤、左手に青のエネルギーを発生させた後、両腕を大きく回して握り拳にした両腕のエネルギーを紫色にスパークさせる事でエネルギーを溜めた後、両腕を十字に組んで必殺光線『セルジェンド光線』を放つ!

 

 怯んでいたヘルベロスは光線の直撃を受け、オレンジ色のリングを発生させた後大爆発した。

 

 

 ヘルベロスを撃破したデッカーは、次はファイヤーゴルザと戦うグレースの加勢に入る。

 

 グレースを蹴飛ばしたファイヤーゴルザにデッカーは組み付き、そのまま力比べを始めるが、やがて怪力を誇るファイヤーゴルザに徐々に抑え込まれて行く…!

 

 

 《ULTRA DIMENSION!》

 

 カナタは次に『ウルトラマンデッカー・ストロングタイプ』のカードをスロットにリードする。

 

 「弾けろ!ストロング! デッカー!!」

 

 カナタはウルトラDフラッシャーを高く揚げて掛け声を叫んだ後、顔の前にかざしてトリガーを引く!

 

 

《ULTRAMAN DECKER! STRONG TYPE!》

 

 デッカーは燃え盛る炎に包まれ、やがてその中からパワーに秀でた形態・ストロングタイプにタイプチェンジが完了したデッカーが、現れると同時にファイヤーゴルザの下顎に強烈なアッパーカット『デッカーストロングアッパー』を叩き込み、それを受けたファイヤーゴルザはその勢いで後ろに吹っ飛ぶように後退りをする。

 

 デッカーは構を取るとファイヤーゴルザに駆け寄ると同時に右肩の体当たりを決めるが、ファイヤーゴルザはそれを両腕を大きく広げて胸筋で防ぎ切る。

 

 その後もデッカーとファイヤーゴルザは互角なパンチの応酬を繰り広げ、やがて互いに互いに両手を掴んで力比べを始める。

 

 両者の力は互角であったが、やがてデッカーがファイヤーゴルザの頭部に頭突きを打ち込む事で相手のペースを崩す事に成功し、その隙にファイヤーゴルザの胴体に抱き付いてそのまま鯖折りで締め上げてダメージを与えた後、頭部を両足で挟み込んでフランケンシュタイナーを決めて地面に叩きつけた。

 

 ストロングタイプとファイヤーゴルザの戦いは正にパワーVSパワーであるため、両者がぶつかり合う度に周囲の土砂が巻き上がる程、激しいものである。

 

 「一緒に行くぞデッカー!」

 

 体制を立て直したグレースは、デッカーと共闘する事を決め、デッカーもそれに了解するように一回頷く。

 

 立ち上がったファイヤーゴルザは、尻尾を大きく振るって叩きのめそうとするが、デッカーはそれを両腕で掴んで受け止め、そのまま体を横回転させてドラゴンスクリューを決めてファイヤーゴルザを地面に叩きつけ、その後すかさずグレースが倒れたファイヤーゴルザにエルボードロップを決める。

 

 グレースはファイヤーゴルザの頭部を掴んで起き上がらせると、そのまま一回転をして勢いをつけてデッカーの方へと投げつけ、その先に待機していたデッカーは走って来るファイヤーゴルザにカウンターのラリアットを決めて地面に叩きつける。

 

 ファイヤーゴルザはふらつきながらも再度立ち上がるが、デッカーとグレースの放ったダブルドロップキックを胸部に食らい、その部位が爆発すると共に大きく吹っ飛んで地面を転がる。

 

 

 ファイヤーゴルザはすっかり弱ってフラフラ状態である。 その隙に、とっくにガッツファルコンとガッツホークを連結させて『GUTSグリフォン』を完成させていたハネジローは、ファイヤーゴルザの真正面に回り込む。

 

 「今だ! グリフォンタロンビーム、発射!」

 

ガッツグリフォンは高出力の光線・グリフォンタロンビームを放ち、見事、ファイヤーゴルザの頭部の光線発射口に命中させた!

 

 

 完全にグロッキーになったファイヤーゴルザにトドメを刺すために、デッカーはかつて共闘したトリガーから託された武器『ウルトラデュアルソード(デッカーモード)』を手に取り構える。

 

 《Dual! Standby! Ready?》

 

カナタは『ウルトラデュアルキー』のスイッチを押して起動させてソードのグリップの底面に装填した後、ウルトラマントリガー・マルチタイプ、ウルトラマントリガー・パワータイプ、ウルトラマントリガー・スカイタイプの3枚のウルトラディメンションカードを中央のスキャナーにスキャンした後、トリガーを引く。

 

 《TRIGGER MULTI!》 《TRIGGER POWER!》 《TRIGGER SKY!》

 

 《ULTRA COMBO!》

 

《Dual! TRIPLE TRIGGER SCRAM!》

 

 トリガーの3形態の力を一つにした必殺技『トリプルトリガースクラム』を発動したデッカーは、刀身にエネルギーを溜めたデュアルソードを手にファイヤーゴルザに駆け寄る!

 

 まずはマルチタイプの力の紫の光の斬撃ですれ違い様に胴体を斬りつけ、続けて振り向きざまにパワータイプの力の赤い光の斬撃を右斜めに、スカイタイプの力の青い光の斬撃を左斜めに振り下ろして斬りつけ、更に逆手持ちに持ち替えて全タイプの力の力が合わさった紫、赤、青の光が合わさった斬撃で横一直線に斬りつけると同時に相手に背を向けてポーズを決める!

 

 滅多斬りにされたファイヤーゴルザはそれぞれの切り口から紫、赤、青の光を発生させながら倒れ込み、大爆発して砕け散った!

 

 

 ファイヤーゴルザを撃破したデッカーは、デビロンと戦うトリガーダークの様子を見てみる。

 

 トリガーダークは戦いを有意に進めており、デビロンを右足蹴りで吹っ飛ばすが、デビロンは格闘戦では不利と見たのか、体を再びエネルギー体に変え、トリガーダークに纏わり付く!

 

 トリガーダークはそれを振り払おうともがくが、やがて完全にデビロンに憑依されてしまう。

 

 「大丈夫か?」

 

グレースは心配そうに歩み寄るが、憑依しているデビロンに操られているトリガーダークはグレースを殴り飛ばしてしまい、グレースはそれに動揺しつつも続けて殴りかかって来るトリガーダークの攻撃をかわして行く。

 

 デッカーはトリガーダークを止めようと組み付き、右の掌で胸を突いて飛ばす事で一旦距離を置く。

 

 

 《ULTRA DIMENSION!》

 

 カナタは次に『ウルトラマンデッカー・ミラクルタイプ』のカードをスロットにリードする。

 

 「飛び出せ、ミラクル! デッカー!!」

 

 カナタはウルトラDフラッシャーを高く揚げて掛け声を叫んだ後、顔の前にかざしてトリガーを引く!

 

 

《ULTRAMAN DECKER! MIRACLE TYPE!》

 

 デッカーは神秘的な光に包まれ、その中から超能力とスピードに秀でた形態・ミラクルタイプへとタイプチェンジが完了して姿を現してポーズを取ると、デビロンに操られるがままにパンチやキックで攻撃して来るトリガーダークの攻撃を流れるような素早い動きでいなして行き、やがて胸部にパンチを打ち込んで怯ませた隙に肩に、前転をして後ろに回り込む。

 

 「ちょっと我慢してくれよ!」

 

 デッカー(カナタ)はそう言うと、後ろからトリガーダークの首に右腕を巻き付け、そのまま締め上げ始める!

 

 恐らくデッカーは、先ほどファビラス星人からデビロンを追い出したトリガーダークのやり方を参考に、取り憑いた身ごと直接苦しめる事でデビロンをトリガーダークの中から追い出そうとしているのだ!

 

 実際、デビロンは真空状態によるエアポケット現象で呼吸が止まるのが弱点でもある。

 

 デビロンは呼吸を止められ、苦しみでもがきながらも、やがてたまらなくなりトリガーダークの体を離れ、デッカーに取り憑いてしまう。

 

 デビロンから解放されたトリガーダークは前転して一旦距離を取ると、振り向いて構を取る。

 

 

 一方でデビロンは、デッカーに取り付いたはずが、どうした事かその姿はデッカーではなく、自身の姿そのものになっていた。

 

 動揺するデビロンの前に、デッカー・ミラクルタイプが現れる。

 

 デビロンは動揺しながらもとりあえず攻撃に移り、双方から挟み込むような両手のパンチを放つが、デッカーはそれをそれぞれ片手で防ぐと、左脇腹に右足蹴りを打ち込み、続けて右腕を掴んで捻って締め上げる事で自身に背を向けさせる。

 

 すると、デビロンの目の前にもう1人のデッカー・ミラクルタイプが現れ、回し蹴りを顔面に叩き込んで吹っ飛ばす。

 

 

 吹っ飛んだデビロンが再度振り向くと、そこには2人のデッカーが立っており、やがて片方がもう一方にスライドする事で1人に戻る。

 

 デッカーは実は、ミラクルタイプにタイプチェンジが完了すると同時に『デッカーマジック』を発動して3人に分身していたのだ。

 

 そしてそのうちの1人をデビロンをトリガーダークから追い出すついでに取り憑かせる囮として使ったのである。

 

 

 更に怒ったデビロンは、デッカーに破壊光線を放つが、デッカーは頭上にプロテクター型の異空間ゲートを開き、デビロンの破壊光線を吸収し、逆にそこから撃ち返す超能力を発動させ、自身の光線の直撃を受けたデビロンは怯む。

 

 

 カナタ、そしてデッカーは再びウルトラデュアルソードを手に持ち、カナタは次は『ミクラス』『アギラ』『ウインダム』の3枚の『ディメンションカード怪獣』のカードをスキャンしてトリガーを引く。

 

 《MICLAS!》 《AGIRA!》 《WINDOM!》

 

 《MONS COMBO!》

 

《Dual! TRIPLE MONS SCRAM!》

 

ディメンションカード怪獣3体の力を組み合わせた技『トリプルモンススクラム』を発動を発動したデッカーは、ミクラス、アギラ、ウインダムをリング状の光の中から一斉に出現させ、3体はデビロンに向かって行く。

 

 

 まずはミクラスが正面からデビロンに突進する。デビロンはミクラスの角を掴んで押さえ込もうとするが、逆にミクラスのパワーにより踏ん張る足で地面を削りながら押され始める。

 

 その隙にウインダムが背後から額からのレーザーショットをデビロンの背中に打ち込み、それによりデビロンが怯んだ隙にアギラがしゃがんだミクラスを飛び越えてデビロンに角を突き立てた頭突きを決める!

 

 更にデビロンは、ミクラスのパンチ、アギラの頭突き、ウインダムのチョップを同時に胴体に食らい吹っ飛ぶ。

 

 見事な連携プレーでデビロンを攻撃したディメンションカード怪獣達は、粒子状の光と共に姿を消した。

 

 

 デビロンはふらつきながらも再度立ち上がり、デッカー目掛けて走り始めるが、デッカーは『デッカーテレポータル』を発動させ、腕を大きく回して自身とデビロンの間にゲートを生成し、それに入ってしまったデビロンは空中に転送される。

 

 いきなり違う場所に移動させられたデビロンは動揺により辺りを見渡すが、その隙に真下から飛んで来たトリガーダークのアッパーパンチを食らって上空高くに打ち上げられ、更にその上からデッカーの飛び蹴りを受けて吹っ飛ぶ形で降下を始め、更にそこにデッカーのキックとトリガーダークのパンチを同時に食らい、地面に叩き落とされる!

 

 

 デッカーとトリガーダークはそれぞれデビロンの左右に降り立つ。

 

 デッカーは右手の中に空間を圧縮してブラックホールを生成し、青い光球状にした超衝撃波『レアリュートウェーブ』を放つ!

 

 デビロンはそれを最後の力を振り絞って放つ破壊光線で相殺しようとするが、その隙に背後のトリガーダークは両腕を腰の位置まで引き前方で交叉した後、左右に大きく広げて闇のエネルギーを集約する。

 

 「あばよ…! 俺のゴクジョーちゃん!」

 

 イグニスのその言葉と共に、トリガーダークは腕をL字に組んで必殺光線『ダークゼペリオン光線』を放つ!

 

 デビロンは闇の光線を無防備になっていた背中に食らい、更に破壊光線が止まった事により再び飛んで来た光球を前方から食らい、やがてもがき苦しんだ後、大爆発して完全に消し飛んだ…!

 

 

 (BGM終了)

 

 

 「やったー!」 「パパもかっこいいー!」 「パムー!」

 

 連携により怪獣軍団を撃滅したデッカーとガッツセレクト、トリガーダーク、イグニス。見守っていたユウコとミカ、そしてハネちゃんは喜び合う。

 

 すると、グレースは流石に無理をし過ぎてしまったのか、よろけると同時に光に包まれて小さくなって行く。

 

 やがて温和な雰囲気の壮年の男性の姿になったグレースの元に、ミカが駆けつけ、遅れてユウコも駆けつける。

 

 「パパ大丈夫?」

 

「へへっ…! 流石に、無理しすぎちまった…。」

 

「もう! パパったら!」

 

ユウコと共に疲れ切った父・グレースの身を案じながら、父と笑い合うミカ。 ユウコもそんは親子のやり取りをハネちゃんと共に満面の笑みで見つめていた。

 

 

 フラッシュタイプに戻っていたデッカーとトリガーダークは合流して、お互いの腕を合わせるタッチを決める。

 

 トリガーダークは、赤黒い闇を纏いながら小さくなって行き、イグニスの姿に戻る。

 

 「なかなかやるじゃん。 デッカーも。」

 

 そして次に、ユウコ達の方を向いて言った。

 

 「けじめ、つけて来たぜ!」

 

 

 だがそこに、いつの間にか意識を取り戻していたドロボンの声が聞こえ始める。

 

 「ふふふっ…! まさか俺が気を失っているうちにここまでやられていたとはな…! だが、貴様らの運もここまでだ!」

 

「どう言う事だ?」

 

 イチカと共に駆けつけたリュウモンは問いかける。

 

 するとドロボンは、再度バトルナイザーを取り出して揚げる。

 

 「先日、倒されたメツオーガは、俺のバトルナイザーの中で回復と共に進化を進め、遂に最凶最悪の姿へと覚醒したのだ…! 行けーっ!!」

 

《バトルナイザー、モンスロード…!》

 

 バトルナイザーは、中にいる強大なエネルギーに耐えられなくなったのか、禍々しい赤黒いオーラに覆われたカード状のエネルギーを割れた音声と共に放出した後、爆発して大破してしまった…!

 

 

 エネルギー体はやがて禍々しいオーラを纏いながら巨大な生物へと巨大化・変形して行き、やがて完全な姿を現す!

 

 現れたのは、メツオーガの亡骸から生まれた魔獣の進化形態『新宇宙伝説魔獣メツオロチ』である!

 

 メツオロチは現れると、大地を揺るがすような大きな咆哮を上げる。

 

 

 「メツオロチ…!」

 

 以前、メツオロチと交戦した事があるイグニスは、その強さ、遅らしさを知っている故に真剣な表情で呟く。

 

 「まさか、再びご対面することになるとはな…!」

 

 それは、幼少期に暴れたメツオロチの被害に遭った事があるリュウモンも同じであった。

 

 「まだ、切り札が残ってたという事か…!」

 

 カナタがそう言うと同時に、デッカーは再び構えを取る。

 

 

「行け!!メツオロチ!! 奴らにトドメを刺してしまえ!!」

 

ドロボンの指示を受けたのか、それとも本能で暴れようとしているのか、メツオロチは再度咆哮を上げて暴れようとする。

 

 

 「させるか!」

 

カナタがそう言うと同時にデッカーはメツオロチにデッカースラッシュを放つ。

 

 だが、メツオロチは背中の突起物から自身を360度覆う吸収フィールドを展開して、迫り来る光弾を防ぐと同時にそのエネルギーを吸収し、そしてフィールドを消すと同時に頭上に発生させたエネルギーの渦から赤黒い反射光線を放つ!

 

 その光線の威力は凄まじく、周囲の建物等が次々と破壊されて行き、ガッツグリフォンも回避し切れず、ガッツファルコンの右の翼の部分が破損してしまい、そしてデッカーも咄嗟に光の壁『デッカーサークルバリアー』を展開するが、光線を防ぎ切れずにバリアが砕けてしまい、それにより光線の直撃を受けたデッカーは吹っ飛ぶ!

 

 更に、それにより大きなダメージを受けた影響か、カラータイマーが赤く点滅を始める!

 

 

 「ふははははっ!! 見たか!! これで、まずは地球は、俺のものだな!!」

 

 ドロボンは既に勝ちを確信し、高笑いをしていた。

 

 

 「なんて力…!」 「あれじゃあ勝ち目がないよ…!」

 

メツオロチの圧倒的な強さを見たユウコとミカ、そしてハネちゃんは、弱気になり始めていた…!

 

 

 だが、他の面々は違っていた…!

 

 「大丈夫だよ、ユウコちゃん、ミカちゃん。」

 

 そう声をかけたイチカの方に2人は振り向く。

 

 「奴には、先代が残してくれたデータもあるからな…!」

 

 リュウモンもそう言った。 そう、メツオロチは以前に旧ガッツセレクト、そしてトリガーと交戦した事もある。

 

 その時のデータもしっかり残っていたため、いざまた現れた時も、即座に対策を立てる事が出来るのだ。

 

 

 「メツオロチは、吸収したエネルギーを増幅している間、吸収力が鈍る。 その隙に角を破壊すれば、勝機はあるわ!」

 

 怪獣研究室出身の副隊長も、メツオロチの弱点をバッチリ把握していた。

 

 「私たちも全力でサポートします。 ナースデッセイ号、バトルモード!」

 

 隊長の掛け声と共に、ナースデッセイ号は戦艦型のハンガーモードから、竜のような姿の戦闘形態・バトルモードへと変形する。

 

 

 「俺もまだ、諦めてないぜ!」

 

 ハネジローも、ガッツグリフォンから破損したガッツファルコンを分離させてガッツホークだけになりながらも、再び飛び立つ。

 

 

 「流石は、ガッツセレクトだな!」 「だね、パパ。」

 

 グレースはガッツセレクトの面々を見て笑顔でそう言い、それを聞いたミカも笑顔になる。

 

 「私も、最後まで信じてる。」 「パムー!」

 

 ユウコとハネちゃんも、ガッツセレクト、そしてデッカーを最後まで応援する姿勢を改めた。

 

 

 「お前らのガッツ、アイツらに負けず劣らず、ゴクジョー級だな。」

 

 イグニスも、彼らを見て、何処か嬉しそうに呟いた。

 

 「イグニスさんは、ユウコちゃん達をお願いします。」

 

「おうよ!」

 

 リュウモンはユウコ達の護衛を改めてイグニスに任せ、イグニスもそれに了解する。

 

 

 まだ諦めていない仲間たち、応援してくれる人達を見て、カナタも再び闘志が湧き上がり始める。

 

 「そうだよな…! 戦いはまだ、終わっていない…! 俺は決めたんだ…! 守りたいものを全部守ると…! デッカーのおっさんとの約束のためにも、ここでやられるわけにはいかない…!」

 

 カナタの闘志に呼応するように、デッカーも再び立ち上がり始める。

 

 「自信があるからやるんじゃない…! やるしかねぇ…! 今、やるしかねぇんだぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 (BGM:君だけを守りたい(ボイジャーver.))

 

 

「行くぞぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 カナタの気合いの叫びと共に、デッカーも雄叫びを上げるように上を向いた後、メツオロチ向かって走り始める!

 

 メツオロチは全身の棘から青い光弾を放ち迎え撃つが、デッカーはそれが周囲で爆発したり、自身も数発被弾したりしながらも怯まず走りを止めず、ナースデッセイ号は胴体からレーザーレインを、ガッツホークもホークタロンビームをリュウモンとイチカはセレクトハイパーガンからの銃撃をそれぞれ放ち、光弾を相殺したり、メツオロチに直接当てる等して援護をして行く。

 

 デッカーはメツオロチに走りの勢いも加えたタックルを胴体に打ち込むが、メツオロチはほとんど効いていないようであり、即座に怪力を誇る両腕を振るって反撃を仕掛けるが、デッカーもそれらを必死に食らい付くように手刀で弾いたり、受け止めたりして防ぎ、更にパンチやチョップを連続で打ち込む。

 

 メツオロチは周囲に光芒を発生させて爆破する技を繰り出し、それを受けたデッカーは大きく吹っ飛ばされて地面に叩きつけられる。

 

 

 「まだまだぁ!!」

 

 デッカーは怯まず、跳ね起きで起き上がると、両腕をクロスさせて左右に広げ、それによりクリスタルから溢れた光と共にミラクルタイプへとタイプチェンジをする。

 

 《ULTRAMAN DECKER! MIRACLE TYPE!》

 

 タイプチェンジが完了したデッカーは、デッカーマジックで無数の分身を作り出し、一斉にメツオロチに向かう!

 

 無数のデッカーの分身はメツオロチの周囲を高速で移動しつつあらゆる方向からそれぞれが攻撃を仕掛けるが、メツオロチもそれらを受けながらも分身の何体かを剛腕や光弾等で吹っ飛ばす等して一歩も引かない反撃を繰り出して行く。

 

 デッカーは分身達を消滅させると、次は念動力『デッカーサイキック』を発動し、周囲の岩を浮遊させ、それらを一斉にメツオロチに飛ばす!

 

 メツオロチは再度反射光線を放ち、迫り来る岩を次々と消し飛ばして行き、やがてそのままデッカーにも放射し、デッカーは咄嗟に両腕で顔を覆いながらも自身の周囲の地面に光線が当たった事による爆発の炎に包まれて行く…!

 

 

 一同はデッカーがやられたのかと一周焦りを見せる…!

 

 《ULTRAMAN DECKER! STRONG TYPE!》

 

 やがて音声と共に、爆炎の中からストロングタイプにタイプチェンジしたデッカーが、ガッツホークを背中にドッキングした状態で飛び出す!

 

「俺が避ける! 真っ直ぐ前だけ見てろ!」

 

ハネジローのその言葉と共に、デッカーと合体したガッツホークはメツオロチの光弾攻撃をかわして行き、デッカーはその間に真っ直ぐメツオロチの方を見て狙いを定めながら、右拳に炎のエネルギーを溜めて行く…!

 

 「今だ!マキシマナースキャノン、発射!」

 

 隊長の掛け声と共に、ナースデッセイ号の頭部の主砲から最大出力のナースキャノンが放たれる!

 

 メツオロチは再度吸収フィールドを展開してそれを防ぐと同時に吸収して行き、光線の照射が止まるとフィールドを消滅させ、頭部の角にエネルギーを増幅させ始める…!

 

 「今です!デッカー!」

 

 隊長は叫んだ。 先ほどのマキシマナースキャノンは、メツオロチに吸収させてエネルギーを増幅する間の隙を与えるために放ったのである。

 

 

 「行け!カナタ!」

 

ハネジローの叫びと共に、右拳へのエネルギー集中が完了したデッカーはガッツホークから飛び出し、上空から突撃する形で超強力なパンチ技『ドルネイドブレイカー』を放つ!

 

 超強力な炎のパンチは、カナタの真っ直ぐな思いに応えるように見事、メツオロチの頭部の角に命中し、それを爆発と共に破壊した!

 

 

 「よしっ!」 「やった!」

 

 リュウモンとイチカは相手の戦力が大幅に削れた事に喜びの声を上げる。

 

 

 角を破壊された事により弱体化したメツオロチは、さっきまで赤かった目も白くなっていた。

 

 だが、弱体化したとはいえそれでも戦えるほどのパワーは残っており、尚もしぶとくデッカーと互角な肉弾戦を繰り広げる。

 

 

 「ラストスパートだぁぁぁ!!」

 

 そう言うとカナタは、最後のタイプチェンジに入る!

 

 

 《ULTRA DIMENSION!》

 

 カナタは『ウルトラマンデッカー・ ダイナミックタイプ』のカードをスロットにリードする。

 

 「迸れ!ダイナミック! デッカァァーッ!!」

 

 カナタはウルトラDフラッシャーを高く揚げて掛け声を叫んだ後、顔の前にかざしてトリガーを引く!

 

 カナタは黄金の空間から、金色も混じった眩い光に包まれ、その中からダイナミックタイプへとタイプチェンジが完了したデッカーが右拳を突き出して飛び出す!

 

 《ULTRAMAN DECKER! DYNAMIC TYPE!》

 

 

 メツオロチと組み合った状態のまま、フラッシュ、ストロング、ミラクルの3タイプの力を併せ持つ最強形態・ダイナミックタイプへとタイプチェンジが完了したデッカーは、全身を覆う黄金の光が完全に消え去ると、黄金のオーラと共に両腕を勢いよく振り上げる事で一旦組み付きを離す。

 

 その後メツオロチが放った右フックを左手で受け止め、右手の手刀で叩き落とした後、右腕のチョップを胸部に打ち込み、続けてメツオロチが放った頭突きを頭部を掴む事で受け止めるとそのまま跳躍して頭部に左肘を叩き込み、その後パンチを放って来た左腕を掴むとそのまま左脚のミドルキックを胴体に叩き込み、続けて右フックを頭部に決める。

 

 更にデッカーは連続パンチを腹部や胸部に打ち込んで行き、その後下顎にパンチ、更に跳躍して回し蹴り・ローリングソバットを叩き込んで後退させる!

 

 ダイナミックタイプはデッカーの最強形態だけあって、格闘能力も大きく上昇しており、一撃一撃が決まる度に、黄金のエネルギーが迸る…!

 

 

 デッカーは一旦距離を取ると、頭部のクリスタルから光と共に現れた攻防一体の専用装備アイテム『デッカーシールドカリバー』を左手に、そしてウルトラデュアルソードを右手に取って構える。

 

 メツオロチは再度、体の棘から光弾を放つが、デッカーはそれをシールドモードのデッカーシールドカリバーで吸収して行き、その吸収した光弾を光輪に変えて投げつける!

 

 光輪はメツオロチの胴体に命中し、体を横一直線に斬られたメツオロチは大ダメージを受ける。

 

 

 《CALIBUR MODE!》

 

 デッカーはデッカーシールドカリバーの両側の刃部分を展開させて双剣型のカリバーモードへと変形させると、ウルトラデュアルソードとの二刀流でメツオロチに駆け寄り、ソードとカリバーで同時に斬りつける斬撃を決めるとそのまま半回転して相手に背を向ける。

 

 

 《MIRACLE!》

 

 カナタは、デッカーシールドカリバーのトリガーを1回押してエネルギーをチャージさせて構を取る。

 

 デッカーはミラクルタイプの力を使うデッカーシールドカリバーの必殺技『デッカーミラクルダイナミック』を発動させ、刀身を青いオーラで包み、ウルトラデュアルソードに伝導させ、メツオロチに斬撃を放つと同時に動きを拘束する!

 

 

 メツオロチの動きを封じたデッカーは宙返りをして距離をとって着地すると、ウルトラデュアルソードを地面に突き立て、デッカーシールドカリバーを頭部のクリスタルに当てて光と共に収納する。

 

 そして、セルジェンド光線と同じ動作の後、胸の前で両拳を合わせて右手を斜め上、左手を斜め下に伸ばしてエネルギーを溜めた後、腕を十字に組んで必殺光線『ダイミュード光線』を放つ!

 

 黄金色の巨大な光線はメツオロチに直撃し、超火力でその巨体を焼き尽くして行き、やがてメツオロチは大爆発して砕け散った…!

 

 

 (BGM終了)

 

 

 最後まで諦めず、連携して強大な敵を粉砕した一同は、さっきまでとは比べ物にならないくらい喜び合い、戦いを見守っていたグレースはガッツポーズを決め、ユウコとミカも互いに手を繋いで飛び跳ね、ハネちゃんもその周囲を飛び回る。

 

 デッカーも、そんな一同にお礼を言うかのようにサムズアップを向ける。

 

 

 「チキショー!! まさかやられちまうとは…! ここは一旦引くか…!」

 

 ドロボンは、自身の切り札もやられてしまった事を悔しがりながらも、潔く退散する事を決めた。

 

 そこで、何処からか取り出した、スフィアのような模様のタイツみたいなのを着用して飛び立ち始める。

 

 どうやら、予め盗んでいたスフィアの死骸で作ったスーツのようで、いざという時はこれを着用してスフィアのバリアを突破するつもりだったのだろう。

 

 「覚えとけよ! 更に強い怪獣を盗んで我が物にして、再びこの地球に来るからな!!」

 

 ドロボンは、三流の悪役のような捨て台詞を吐いた後、一目散に空の彼方へと飛び去って行った…。

 

 

 その様子を、シラけたような表情で見つめていた一同。

 

 「何度でも来ればいいさ…。 最も、これだけの惨敗をしたんだ。多分、もう来ないだろう。」

 

 イグニスは軽い口調で、特に根拠は無いが確かっぽい事を言う。

 

 

 (BGM:カナタトオク)

 

 

 大団円。

 

 ユウコとグレース・ミカ親子、ハネちゃんは、戦いを終えたガッツセレクト、そしてデッカーから戻ったカナタと合流する。

 

 そこには、息を吹き返したファビラス星人の姿もあった。

 

 「この度は、何とお礼をしたらいいやら…本当に、ありがとうございます。」

 

 ハネちゃんを抱いた状態で、ガッツセレクトの面々にお礼を言うファビラス星人。

 

 地球から出るため、イグニスがバリアの外まで連れて行こうかと提案したが、ファビラス星人は、デビロンに操られていたとはいえガッツセレクト、そして地球人に迷惑をかけてしまったため、TPUに行って事情を説明し、支援をしてもらう事にした。

 

 それに彼らとしては、いつかスフィアバリアが消滅した時、その喜びを味わうため、自分達の宇宙船で地球から出たいからでもある。

 

 ハネちゃんもそれについて行く事にする。

 

 「ちゃんと説明すれば、罪はそれほど重くないでしょう。」と隊長。

 

 「デビロンの破片も入手したし、証拠も準備万端ですからね。」

 

 自慢げに拾ったデビロンの砕け散った破片の一部を見せながら副隊長も言った。

 

 恐らくそれを、この後怪獣研究室で研究もするつもりなのだろう。

 

 

 「行っちゃうんだね、ハネちゃん…。」

 

 ユウコは寂しそうな表情で言った。

 

 「ユウコ…僕…行く…。」

 

さっきまで「パムー」しか言わなかったハネちゃんは、ユウコ達と交流して行くうちに地球の言葉を少し理解したのか、カタコトながらもユウコに別れを告げる。

 

 「…またいつか遊ぼうね。」 「約束だね。」

 

ユウコは涙を堪え、約束の言葉と共にハネちゃんの手を軽く握り、ミカもその上に手を重ねる。

 

 

 イグニスは、カナタの肩に手を置いて言った。

 

 「じゃあな、カナタくん。 目的のゴクジョーは残念だったけど、その代わりに新しいゴクジョーに出会えたからさ。」

 

 「もう、行っちゃうんだな…。」

 

 「あぁ。宇宙中のゴクジョーちゃんが、俺を待ってるからね。」

 

カナタ達新生ガッツセレクトと戦えた事、そこで彼らの、旧ガッツセレクトに負けない抜群なチームワークを見れた事…どうやらそれらが、イグニスの今回のゴクジョーになったみたいである。

 

 「あ、そうだ! 良かったらこれ!」

 

「ん?」

 

 カナタがイグニスに差し出したのは、実家でもある商店街老舗の煎餅屋『明日見屋』の名物の『宇宙煎餅』である。

 

 「ちょっとした地球のお土産として。 あ、固いんで気をつけてくださいね。」

 

 カナタは冗談混じりでそう言い、イグニスは宇宙煎餅を受け取った。

 

 「いいねぇ。 これもゴクジョーとして貰っておくよ。」

 

 「イグニス! 元気でな!」

 

「おぅ!」

 

 イグニスと知り合いでもあるファビラス星人もイグニスに別れの言葉をかけ、イグニスはそれに返事をした。

 

 

 《TRIGGER DARK…!》

 

 「デヤァッ!」

 

 イグニスはトリガーダークに変身して飛び立ち、カナタ達ガッツセレクトはそれを空の彼方まで飛び去って見えなくなるまで見送った…。

 

 

「私たちもそろそろ帰ろっか。 エリーもお腹を空かせて待ってるだろうし。」

 

 「そうだね。 無茶しちゃったパパを休ませないといけないし。」

 

 ユウコとグレース・ミカ親子は笑い合い、その後ガッツセレクトにお礼、ハネちゃんに別れを言い、帰り道を歩き始めた。

 

 

 「私たちも、戻りましょうか。」と隊長。

 

 「ですね。」とリュウモン。

 

 「物凄い疲れている誰かさんも休ませないとねー。」

 

 イチカは笑顔でそう言うと、息が切れているカナタの方を指差す。 先程、デッカーとしてギリギリまで戦い抜いた影響で、結構消耗しているみたいである。

 

 「はぁ? それって…俺の事?」

 

 そう言うカナタをはじめ、ガッツセレクトの面々、そしてファビラス星人とハネちゃんは、笑い合いながら基地へと帰るため歩き始める。

 

 

 (BGM終了)

 

 

 基地に帰ったカナタは、隊長の休むようにという指示も受けたのもあって、休むために入った医務室のベッドの上に座り、そこにハネジローもお見舞いとして来ていた。

 

 「あーほんっと疲れたー!」

 

 「ったくカナタ、君は無茶し過ぎだ。 …でも、よく頑張ったな。」

 

 「お? そうだよな! 俺1番頑張ったもんな〜!」

 

「すぐに調子に乗るな。 危なっかしいのは確かなんだから…。」

 

「なんだよ、ハネジローだって最後まで無茶してたじゃねーか!」

 

 カナタとハネジローは、いつものやり取りを、どこかお互い楽しそうに始めていた…。

 

 

 頼もしいガッツセレクトの仲間たちと一緒に、真っ直ぐで諦めを知らないカナタ(デッカー)ならきっと、スフィアから地球を守り抜く事が出来るであろう。

 

 そして、デッカー・アスミとの約束でもある、アガムスを救う事も。

 

 

“明日を見る、彼方まで”という意味の名前を持つ男、アスミ・カナタなら絶対…!

 

 

 我々も、是非見守って行きたい。

 

 

 (ED:ヒカリノカナタ)

 

 

 〈エピローグ〉

 

 

 宇宙空間にて。

 

 先程、自分の(盗んだ)怪獣たちが全てやられた事により退散したドロボンは、無事スフィアバリアを突破して宇宙に出れた後、とある近くの小惑星に着陸し、スフィアの死骸で作ったスーツを脱ぎ捨てる。

 

 「クソッ! ウルトラ戦士どもめ…! だが、俺は野望を諦めないぞ! こうなったら更にもっと強い怪獣を盗んで、今度こそ太陽系を…!」

 

 ドロボンが新しい事を企み始めたその時。

 

 

 「ストップ! それ以上はさせない!」

 

 

 「誰だ!?」

 

 突然、声のした方にドロボンが振り向くと、そこには新たに現れた、1人の巨人が立っていた。

 

 全体的に筋肉質な体つきで、鋭い目つき、獅子の立髪を思わせる形状の頭部、L77星人を思わせるような鼻筋のある顔立ちに、左右の肩にそれぞれ龍と虎の紋章が描かれているのが特徴のその真紅の巨人は、仁王立ちをして立っている。

 

 「貴様、何者だ!?」

 

 ドロボンの問いかけに、その巨人は腕組みをゆっくりと解きながら答える。

 

 

 「俺はコスモ幻獣拳の総師…ウルトラマンレグロスだ!」

 

 

 『ウルトラマンレグロス』と名乗ったそのウルトラマン。 彼は、りゅう座の『惑星D60』から来たと言われているが、それは修行をした星でもあるため、正確な出自等はまだ不明である。

 

 彼は一時期、アブソリューティアンの戦士『アブソリュートタルタロス』によってナラクに投獄されていた事もあり、何やら『アブソリュートディアボロ』とも因縁があるかのような感じではあった。

 

 また、その後、共闘した『ウルトラマンレオ』『アストラ』の兄弟と、お互いに知っていたかのような口調で話していた事から、L77星出身者とゆかりのある戦士である事も確かみたいだが、まだ多くは謎に包まれている戦士である…。

 

 彼は、宇宙最強の拳法とも言われている『コスモ幻獣拳』の流派『赤龍白虎拳』を体得しており、左右の肩にある紋章はその象徴でもあり、それぞれ『火炎赤龍拳』『電撃白虎拳』と言われている。

 

 恐らく今回は、誰かから聞いたのかそれとも自分で突き止めたのかは不明だが、宇宙で悪事を続けるドロボンを止めるために現れたのだと思われる。

 

 

「これ以上の悪事、許すわけにはいかない…!」

 

 「コスモ幻獣拳か…噂では聞いている。 だが!誰だろうと、俺の邪魔する奴には、容赦せん!」

 

 ドロボンは威嚇をするように金棒を振り上げ、戦闘体制に入る。

 

 

 「見切ってみろよ…! 俺の赤龍白虎拳を!」

 

そう言うとレグロスは構を取り、その背後に龍と虎の紋章が燃えるように浮かび上がる!

 

 

 (BGM:Now or Never!)

 

 

 レグロスは、金棒を振り回して襲い掛かるドロボンに果敢に立ち向かう!

 

 ドロボンは金棒を無茶苦茶に振り回して攻撃を仕掛けるが、レグロスはまるでそれらを動きが全て読めているかのようにかわしたり、拳や膝で受け止めたりして行き、やがて真上から振り下ろした金棒をクロスさせた両腕で受け止める。

 

 「武器に頼れば、隙が生じる…!」

 

 レグロスはそう言うと、金棒を小脇に抱えるように両腕で持ち、そのままドロボンの腕に膝蹴りを打ち込む。

 

 ドロボンはそれにより金棒を手放してしまった。

 

 金棒を手放しも尚、動揺しながらも格闘戦に切り替えるドロボンだが、レグロスはそれらを拳や足で弾き返して行き、やがてドロボンの左脇腹に打ち込んだ右足蹴りを皮切りに、爪を立てた形の右手による電撃を伴った引っ掻きのような打撃、左拳による炎を纏ったパンチ等で目にも止まらぬ速さでドロボンを攻め立てて行く!

 

 その戦闘スタイルはまるで、荒れ狂う龍や虎のようでもある。

 

 レグロスは火炎と電撃を纏った両拳のパンチを叩き込み、それを食らったドロボンは大きく吹っ飛びその先の岩山に激突する…!

 

 

 「これで終わりだ…!」

 

レグロスはそう言うと、全身の紋章を燃え上がらせながら、両腕を大きく広げた後、胸の前でクロスさせてエネルギーを溜めて行く。

 

 「閃光烈破弾!!」

 

レグロスは叫びと共に、溜めたエネルギーを両手に込めて、光弾として放つ必殺技『閃光烈破弾』を放つ!

 

 

 「バカなっ…! 俺の野望が、こんな所でぇぇぇぇぇぇ…!」

 

 ドロボンは、光弾を受け止めて踏ん張ろうとするが、やがてその威力に耐え切れず、直撃した光弾に体を貫かれ、そのまま大爆発して消し飛んだ…!

 

 

 ドロボンを撃破したレグロスは構を取り、しばらくその場に立ち尽くす。

 

 「ま、こんなもんか。」

 

 やがてレグロスはそう言うと、その場から飛び立つ。

 

 

 レグロスは何処へ帰って行くのか…? それは誰も知らない、大宇宙の謎である…。

 

 

 〈完〉




 読んでいただきありがとうございます!


 今回は「私なりのデッカーの世界でのストーリー」という意識で、所謂ちょっとした遊び心として制作してみました。

 なので、今回も前回同様、本作のオリジナル主要人物(竜野櫂、新田真美など)が一切登場しませんでした。

 最初、ユウコとミカの2人を海羽と真美の2人にする(つまり、デッカーの世界での海羽と真美)という案もありましたが、今回はデッカーの世界が舞台なので、折角だからガッツセレクトと関わりのあった人物の中で、私が特に印象に残った2人を選んで登場させました。(その方がグレースも参戦させやすいしね(笑))

 また、前回のトリガーとグリージョの回で登場させたかったけど叶わなかったイグニス(トリガーダーク)も、今回絡ませる事が出来たのも個人的に嬉しかったですね。(トリガーとデッカーが同じ世界線だからこそでもあります)

 あと、登場怪獣は、前座の3体はそれぞれ昭和・平成・令和から一体ずつ選出してみました。


 ウルトラマンデッカーは、正に令和のダイナって感じがしてとてもカッコよく、内容もダイナを彷彿とさせる明るく堅実で面白い作風で、毎週楽しみに見ています!

 トリガーと何度も共闘したり、ダイナとも共闘したりと、戦闘シーンも熱いものばかりですね。

 今後、スフィアとどう決着が着くのか…果たしてアガムスを救えるのか…非常に楽しみですね!

 どのタイプもカッコよくて強くて最高ですね! ダイナミックタイプも、何処かアメコミヒーローも彷彿とさせる斬新なボディのデザインに、剣と盾を持って戦うスタイルもカッコよく、そして、これまでのウルトラマンに無かった要素を感じて面白いですね。


 また、昨年は他にも『ウルトラギャラクシーファイト 運命の衝突』の配信、『シン・ウルトラマン』の公開もあった等と、ウルトラマン関連が豊作でしたね!

 どちらも思った以上の面白さと満足度でした!

 ウルトラマンレグロスもカッコよくて早速好きになりましたね。(今回も、顔見せ感覚で登場させました笑)


 来年は『ウルトラマン ニュージェネレーションスターズ』の放送、『ウルトラマンデッカー 最終章 旅立ちの彼方へ…』の配信&公開もあるみたいなので、それらも非常に楽しみです!


 後書きが長くなってしまって&勝手に興奮してしまって申し訳ありません。


 今年も時間を見つけては作品を制作して行こうと思いますので、宜しければ今年もよろしくお願いします!


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