ウルトラマンゼロ物語(ストーリー) in RED ZONE STAGE   作:剣音レツ

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 皆さん、お久しぶりです。

 そして、メリークリスマス(笑)

 今回は年末年始特別編のつもりで制作した番外編で、今年で50周年を迎えたウルトラマンと、その家族が活躍します!

 相変わらず文才は無く、ストーリー展開も少々強引な所もあるかもしれませんが、とりあえず楽しんでもらえたら幸いです!

 そして、今年もあと少しですが、これからもよろしくお願いします!

 では、どうぞ!


番外編「ウルトラファミリービッグマッチ!」

 これは、遡る事50年前にとある“ウルトラマンNo.6”の戦士が降り立ち、守り抜いた地球での物語である…。

 

 (OP:ULTRA BRAVE)

 

 ハロー!みんな、元気にしてるかな?

 

 私は眞鍋海羽!

 

 いつもどんな時も元気と笑顔を絶やさないのがモットー…なんだけど、それ故なのかな?みんなからはよく「可愛い」とか「癒される」とか「元気もらえる」…たまには「なでなでしたい」とも言われるの。

 

 最後に関しては私が小柄で子供っぽく見えるからなのかな〜…くぅぅ、もうちょっと身体があればな〜(自分でも認めてるとはいえやっぱりちょっと悔しい)。

 

 でも、これだけは言える。

 

 いつも元気でいるのは、周りの人達にも常に元気でいてほしいから。

 

 だから、もし落ち込んでる、困っている人がいるのなら、あまり適切なアドバイスは出来ないかもだけど、せめてその人の話を聞いてあげて、そして私なりに笑顔にさせることが出来たらな~って思ったりしてるの。

 

 

 おっと、前置きが長くなっちゃったね。じゃ、ここからが本編だよ。

 

 

 私は今、冬休みという事で通っている大学から地元に帰省してるの。

 

 今日は12月24日、クリスマスイブ!

 

 クリスマスという、今年も一年で一度のハッピーな日が来たという事で、私も今とてもハッピーな気分になってるの。

 

 そしてクリスマスイブということで、この日私はボランティアに参加してクリスマスセール中のお店などのチラシとかをクリスマスで賑わう街中で配ることになってるの。

 

 

 ちゃっかりとサンタさんのコスプレをして、他の皆と共に商店街でチラシ配りのボランティアを始める私。

 

 午前中にも関わらず商店街は既にこの時間から賑わっており、至る所にツリーが置いてあったり、ある店はクリスマスセール、ある店はクリスマス限定商品やパーティーの食品を売ったりなどしており、更にあらゆる場所から色んなクリスマスの歌が優しく鳴り響いていて、正に全体がクリスマスムードだったわ。

 

 「よろしくお願いしまーす!…キャッ!」

 

 元気よく道行く人々に声を掛けながらチラシを配って行く私。 その時、ある1人の男性とぶつかってしまい、それによりチラシをばら撒いてしまった。

 

「ああっ…ごめんごめん!ついよそ見してた。」

 

 イケメン顔のその男の人はそう謝りながらチラシを拾い始める。

 

 「いえいえ、私も鈍臭かったんです。」

 

 そう言って私も拾い始める。

 

 …え?その光景、ラブドラマのワンシーンの、運命の出会いみたいだって? やだ〜もう!やめてよ(照)

 

 男性は拾ったチラシを綺麗に揃えると、私に手渡す。

 

 「ありがとうございます。」 「いいって事よ。頑張れよ。」

 

 男性は笑顔でそう言いながら私の肩を軽く叩くと、何処かへと歩き去って行った。

 

 ちょっとだけの交流だったけど、素敵な人だったな〜。 もし出来たら彼氏にしたいぐらい!

 

 しかし、あの人が身に付けてた紺色のジャケットと黒い帽子に書かれてた文字は一体何なんだろう…?確か「E.G.I.S. SQUAD」と書かれてたような…。

 

 ま、なんでもいいや。とにかくちょっとだけ、素敵な出会いをしちゃった!

 

 

 先程、海羽と別れたその青年は、海羽から受け取ったチラシを見つめながら呟いた。

 

 「この地球では今、クリスマスの時期か…。 じゃ、尚更守り抜かないとな!」

 

 そう言うと再び歩き始める。

 

 彼は一体何者なのか…?

 

 

 私、海羽がボランティアで配るチラシもあっという間に捌けて行き、特に私の所には(特に男子で)多くの人だかりが出来てあっという間に無くなっちゃったわ(笑)

 

 中には握手を求めて来る人もいたから、それにも応じちゃった…。 もうすっかりアイドルみたいになっちゃってるね、私(苦笑)

 

 因みにボランティアに参加する人もほとんどがコスプレしていて、サンタの他にもトナカイとかツリーとか雪だるまとか、様々で結構面白かったわ。

 

 

 昼から賑わってるし、更に夜には近くのセンチュリープラザの敷地内でイルミネーション大会もあるし、今年もみんながハッピーで楽しいクリスマスになりそうだな〜!

 

 因みにそのイルミネーション大会内では、毎年『ウルトラの父降臨祭』と言う祭りも開催されるの。

 

 昔から何度かウルトラの父が冬に現れて奇跡の力を発揮している事に因んで、毎年冬に開催されているという事なんだけど…。

 

 私、ウルトラマンは噂に聞いたり、書籍などで写真などを見た程度で本物は一度も見た事ないな…いつかどこかで会えるといいな〜。

 

 

 …なんて事を考えながら、ボランティアを終えた私は解散後、帰り道をルンルンと歩いていた。

 

 「今夜は何のケーキ食べよっかな〜。 苺のショートもいいけど、たまにはチョコレートも食べたいし〜、いっそどれも頂いちゃおうかな〜。」

 

 そう言いながらルンルンと歩いていると、とある公園の前まで来た時、ふと私は立ち止まる。

 

 耳をすましてみると、公園の方から歌声が聞こえて来る。 その歌声は、遠くまで響き渡るように真っ直ぐで、透明感がある、とても聴いてて心地がいい素晴らしいもの。

 

 …そして、どこか聞き覚えがある声。

 

 

 歌声が止んだ時、私はその方へと振り向くと、そこには見覚えある人物が立っていた。

 

 可憐で何処か儚げな雰囲気もある…間違いない、『富坂奈緒』(とみさか なお)ちゃんだわ。

 

 彼女は私の高校時代の同級生であり友人で、優しく温かい物腰に癒される事からクラスでも特に人気があったっけ。

 

 それに1番の人気の秘訣は、先程も言ったその歌声。

 

 実際、高校のカラオケ大会でも優勝した事があって、更に県内ののど自慢大会でもグランプリを獲得した事から、そこの審査員でもあった有名な音楽家、『白鳥さゆり』さんに気に入られ、彼女も教師として勤めている音楽大学に合格・入学後、直属の生徒にもなったくらいなの。

 

 それに、身長も私よりちょっと高いし…くぅぅ〜…羨ましい要素が多過ぎる…!

 

 確か今夜のイルミネーション大会でのステージでも出場予定で、きよしこの夜を披露する予定なんだっけ。

 

 きっとその練習をしてるんだわ。

 

 …でも、よく見てみると、奈緒ちゃんどこか曇った表情で俯いてるっぽい…?

 

 気になった私は、久しぶりの友人との再会というのもあって、奈緒ちゃんに歩み寄って話しかけてみる。

 

 

 「奈〜緒ちゃん!」

 

 うさぎのように飛び跳ねながら近づいて話しかける海羽に、奈緒は「はっ」と少し驚きつつも振り向き、海羽だと気づく。

 

 「海羽…ちゃん?」

 

 「久しぶり!」

 

 「ほんと、高校卒業以来じゃない? てか何その格好?サンタさん?」

 

 海羽はボランティアの帰りであるため、サンタ姿のままであった。

 

 「えへへ、似合うでしょ〜?」

 

 海羽は満面の笑みで、一回転した後、首を傾げながらサンタ衣装を自慢するように裾を軽く引っ張って広げた。

 

 2人は会った途端、一気に高校の頃に戻ったかのように弾む会話を展開した。

 

 「相変わらず元気いっぱいだね、海羽ちゃん。」

 

 「えへへ、奈緒ちゃんも、やっぱり最高の歌声だよ!」

 

 「えぇ…。」

 

  海羽の褒め言葉に、奈緒は曖昧な返事と共に俯き始める。

 

 「奈緒ちゃんの歌声も聴けるし、今夜のイルミネーション大会楽しみだな〜!」

 

 期待と共に楽しみを膨らませる海羽。だが、奈緒は尚も俯いたままであり、それに気づいた海羽は上目遣いで覗き込むように話しかける。

 

 「どうしたの…? 気分でも悪いの?」

 

「あ、いや…体はこの通り元気なんだけど…。」

 

 そう言いながら奈緒は、その場で一回転してみせる。

 

 その様子は、風に吹かれて揺れる花のように優雅であり、靡く白いドレスのような服から甘い香りが辺り一面に広がるようであった。因みに彼女、少しだけダンスの心得もあるのである。

 

 

 「良かったら私に話してみてよ。折角偶然再会出来たんだし、何かの縁かもしれないし、久々に奈緒ちゃんと共有したいな〜。」

 

 海羽の言葉に、奈緒は何かを思い出したかのように明るさが戻りつつある顔を上げ始める。

 

 「…そうね。思えば高校の時、好きな事とか、楽しい事とか、悩み事とか…なんでも海羽と共有して来た。 久々にそうしちゃおっかしら。」

 

 奈緒は話す決心をした。

 

 

 それは、遡る事1週間前、白鳥さゆり先生と最後の練習をした時の事である。

 

 歌唱の練習が終わり、終わる頃に先生からこう言われたのだという。

 

 「歌声については、文句ないわね。 十分に人前で歌ってもいいレベルだわ。 ただ、あなたには人に歌を届ける事で、もう一つ欠けている所がある。当日までに、それが何なのかを自分で見つける事。」

 

 この発言がずっと引っ掛かっていた奈緒は、それが何なのか一向に分からず、それ故にいくら練習して人から上手いと褒められても嬉しくなれず、そして遂にそのまま当日(今日)を迎えてしまったのだという。

 

 「そう…なんだ。」

 

 奈緒の悩み、それ故の苦しみを聞いた海羽は、少し言葉を詰まらせる。

 

 「何なんだろう?欠けてる所って…。歌は聞いての通り抜群に上手いし、現にこれまで様々な大会で賞を取って来たのにね。」

 

「ありがとう。でも…私も思ってはいるんだ。歌が上手いだけじゃダメだって。単に上手い歌を人に届けるだけじゃ、何かが足りない…頭では分かってるんだけど…。」

 

 

 海羽は、奈緒の思わぬ悩みを聞いてビックリした故なのか、尚も言葉を失っている…。

 

 だが、大切な友達の悩みだから何とかしてあげたい気持ちから、考えに考え抜いた後、話してみた。

 

 「私、歌は奈緒ちゃんほど上手くないし、知識も疎いけど…でもこれだけは言える。 奈緒ちゃんならすぐに見つけられるよ。」

 

 「…え?」

 

「だって奈緒ちゃん、私なんかよりも音楽を得意とし、ずっとそれと向き合って頑張ってるんだもん。 それに、今夜は人もいっぱい見に来てくれるだろうし、何よりクリスマスイブ、聖夜、聖なる夜だもん。きっと頑張ってる奈緒ちゃんをいい方向に導いてくれると思うよ。」

 

「…そうね。クリスマスだし、みんなを笑顔にするためにも、私がいつまでも曇ってちゃいけないよね!」

 

「その意気その意気!やっぱ奈緒ちゃんは笑ってる顔が1番似合うよ!」

 

「思えば高校時代も、海羽の明るさに何度も助けられて来た。 海羽にも恩返ししなきゃね。 また頑張ってみるよ。」

 

 元気を取り戻した奈緒と、海羽は笑顔で見つめ合う。

 

 そして奈緒は、一度海羽に一から聞いて欲しいというのもあって、もう一度練習の歌唱を始める。

 

 先程と同じく、真っ直ぐで透明感のある歌声は、耳に入った途端に優しく全身に響くような心地よさもあり、海羽も目を閉じてリラックスした顔でスッカリ聞き入っていた。

 

 

 奈緒が歌い終わった瞬間、海羽は感動で涙を出しながら勢いよく拍手を始める。

 

 「うぅ…最高だよ奈緒ちゃん!私泣けて来たよ〜!」

 

 「やだ、そんな…やめてよ〜。」

 

 奈緒は照れながらも、嬉しそうな顔で言った。

 

 

 すると、そんな2人の元に、とある通りすがりの1人の男性が声をかける。

 

 「やぁ、なかなかいい歌声だね。」

 

 「…ありがとうございます…。」

 

 奈緒は照れと、いきなり話しかけられた事への困惑の中、とりあえずお礼を言う。

 

 「ありがとうございます!いいですよね〜!奈緒ちゃんの歌は、最高なんですから!」

 

 海羽も、男性にお礼を言った後、奈緒の歌をベタ褒めし、それを聞いた奈緒は照れ臭そうにしながらも何処か満更でもない表情を見せる。

 

 海羽達に話しかけた、黒い着物に身を包み、首には白いスカーフを巻いたその男性は見た感じ年配寄りの大人の男性なのだが、爽やかな笑顔がとても似合うものであり、若い頃は好青年だった事が感じ取れる。

 

 海羽も奈緒も、初対面ながらその雰囲気から怪しい者ではないと確信し、その男性と気がつけば楽しく会話を続けていた。

 

 「その歌声、是非オルフィにも聴かせてあげたいよ。」

 

「オルフィって確か…あの歌好きな怪獣?」

 

「知ってるんですか?」

 

 男性の発言に、奈緒も海羽も食い付く。

 

 この世界では、秩父のボッチ谷に何百年も前からオルフィという歌が好きな怪獣が暮らしているという言い伝えがあるのである。

 

 「ああ、実はね、おじさん、オルフィに会った事があるんだよ。」

 

「え?本当ですか?」 「他にも聞かせてください!」

 

 男性は、2人にオルフィ以外にも様々な怪獣に出会った事がある話をした。

 

 何故かケチャップが好きなセイウチの怪獣、親子のカンガルーの怪獣、餅が大好物な臼みたいな怪獣、食いしん坊で野菜ばかりを食べる怪獣、たまたま地球に迷い込んでしまった旅好きのわんぱく宇宙人、お酒が大好きでいつも酔っ払っている怪獣、ボール遊びが好きな怪獣など。

 

 どうやらその男性は年相応、いや、もしかしたらそれ以上の人生経験を積んでいると思われる。

 

 海羽と奈緒は、その男性とある程度話し合った後に別れる事にした。

 

 「じゃ、僕はここで、頑張れよ!」

 

「こちらこそありがとうございます。」 「お元気で〜!」

 

 お互い手を振りながら別れ、男性は2人が見えなくなるまで歩いた後、感慨深そうに呟く。

 

 「若さっていいな。 俺もあの頃を思い出すよ。」

 

 色んな怪獣と会った事があり、海羽達を見て自身の若い頃を振り返るその男性…どうも彼はただの人間ではない気もして来るが、果たして何者なのであろうか…?

 

 

 男性と別れた後、海羽と奈緒も一旦別れ、後に夜に会場で待ち合わせする事にした。

 

 「じゃ、頑張ってね、奈緒ちゃん。」 「海羽ちゃんも、一緒に楽しもうね。」

 

 

 私、海羽は互いに手を振って奈緒ちゃんと一旦別れた後、再びルンルンと帰り道を歩き始める。

 

 でも公園を出て少し歩いた後、私の目の前で(クリスマスが来て嬉しかったのか)はしゃいで走っていた1人の男の子が転んでしまい、その子はなんとか座り体勢になるも、擦りむいた右膝を見て涙目になり始める。

 

 いけない!折角のクリスマスなんだから、特に子ども達は笑顔でいなくちゃ…!

 

 「泣かないで。サンタさんがここにいるよ。」

 

 私はその子の元に歩み寄り、肩に手を当てて優しく話しかける。

 

 するとその子は私の方に顔を向けると、半泣き状態だった顔が徐々に笑顔になって行く。

 

 「わぁ、サンタさんだ!」

 

 「まだ昼間だけど…メリークリスマス!」(満面の笑み)

 

 「プレゼント絶対にちょうだいね!」

 

 「もちろん!」

 

 「ありがとう!サンタさん大好き!」

 

 そう元気よく言いながらその子は私に抱き付いた。よしっ!サンタの格好を活かした元気付け作戦、大成功!

 

 その時、何処からか1人の女性がこちらに歩いて来る。

 

 「あら大変、大丈夫?」

 

 子どもに歩み寄って優しく話しかけるその年配寄りの大人の女性は、緑の服を着ていて、手に「横断中」と書かれた黄色い旗を持っている。多分「緑のおばさん」だろうね。

 

 「あとはおばさんに任せてちょうだい。」

 

 緑のおばさんは私にそう言うと、手際良く手当てを始める。その手慣れた感じからして、きっと他にも色んな怪我をした子供の手当てをして来たんだろうな〜…。

 

 そうこう思っているうちに緑のおばさんは手当てを終え、それによってその子は更に元気を取り戻し、私達に手を振ってお礼を言いながら去って行く。

 

 「ありがとう緑のおばさん! サンタさんも!」

 

 私達は去って行くその子を手を振りながら見送った。

 

 すると、緑のおばさんは今度は私の方を向く。

 

 「お嬢ちゃんもいい子ね。 そうだ、いいものあげる。これお守りなの。 大切に持っててちょうだい。」

 

そう言いながら、懐から取り出した、黄色を基調として、中央にはルビーのような赤いクリスタルが付いているバッジ型のアイテムを私に手渡す。

 

 「…ありがとうございます。」

 

 知らない、初対面の人にいきなり話しかけられ、更に物を手渡されたワケだけど、何故だか私はその緑のおばさんの優しく微笑む顔から怪しい人ではないという事を確信し、笑顔でお礼を言った。

 

 それに、お守りとしてくれたこのバッジからは、なんだか不思議な力を感じ取れるし…。

 

 「ねぇ、あなた、やりかけた事は最後までおやりなさいよ。途中でやめたらダメですよ。」

 

「…イエス!」(ダブルピース)

 

 私は緑のおばさんと別れた。

 

 

 ボランティア中に会ったお兄さんに、様々な怪獣と出会った事がある男の人、そして優しい緑のおばさん…なんだか今日は、久しぶりの再会に加え、新しい出会いも多いわね…。

 

 なんだか例年以上に、凄い事が起こるクリスマスイブになりそうな予感…!

 

 

 再びルンルンと帰り道を歩き始めた海羽。

 

 だがしかし、そんな様子を何処からか見ながら、不気味に笑う1人の影がいた…!

 

 「フッフッフッフッ…そうやって笑っていられるのも今の内だ人間ども…!」

 

 そう言いながら、影で真っ黒になっていて隠れていたその姿を徐々に現し始める…。

 

 その姿は、赤紫に緑などの毒々しい体色に、脳髄が肥大化したような頭部が特徴で、とても人間とは言えないものである…!

 

 奴はその姿の通り地球人ではなく、『凶悪宇宙人ドルズ星人』であり、『グズド』という名を持つ奴は、近くに奇妙な機械を置いたまま高笑いを続けていた。

 

 「我がドルズ星の宇宙船団も着々と近づいている。ウルトラ戦士のいない今だからこそ、この地球を我が物にするチャンスだ…!その暁には、全人類をメモールに改造して我が配下にしてやる…!待ってろよ人類ども…我が最高傑作が、お前らへのクリスマスプレゼントだ…! ヒッヒッヒッヒ…!」

 

 果たしてグズドがこの地球を征服するためのその“最高傑作”とは…?

 

 

 一方で、先程海羽が出会った3人が合流していた。

 

 「やはり、この周辺の彼方此方から、微弱ながら邪悪な力を感じる…!」

 

「少なくとも、グズドがこの地球に来ているのは間違いないみたいだな。」

 

 青年、そして男性はそれぞれそう言った。

 

 「引き続き捜査をした方が良さそうね…。私は街の人達の様子を見て来るわ。 2人も、気をつけて。」

 

 「「はい!」」

 

 緑のおばさんの言葉に2人は返事をし、3人は再び散らばり始めた。

 

 やり取りからしてグズドを追っているであろうこの3人も、一体何者なのであろうか…?

 

 少なくとも普通の人間ではなさそうであり、もしかすると海羽がこの3人に出会ったのは、“偶然”ではなく“必然”だったのかもしれない…!

 

 

 そんな事を露とも知らない海羽は、私服に着替えた状態で、夜になっていよいよ開会したイルミネーション大会、そしてウルトラの父降臨祭に足を運ぶ。

 

 私、海羽は、一旦私服に着替えた後、日が沈んだ頃に始まったセンチュリープラザのイルミネーション大会に足を運んだ。

 

 流石はクリスマスね。このイルミネーション大会も沢山の人が来ていて、昼間と同じく、いや、それ以上に賑わってるかも…!

 

 近くのウルトラの父降臨祭の方も賑わってて、ケーキを食べる人もいればプレゼント交換をする人達もいたり、他にもウルトラの父のソフビや、ウルトラの父の角のカチューシャなどと言ったウルトラの父をメインとした様々なグッズを売っていたり、くじ引きや福引等を開催しているコーナーもあり、とても楽しそうだわ…。

 

 私も後で寄ってみよっと!

 

 

 やがて、イルミネーションのライトアップが始まった。

 

 サンタさんやトナカイちゃんはもちろん、スノーマン君、他にも星や、屋根に雪の積もった煙突の付いた家、雪が降っている街など、様々なものが彩りのライトが付いた蔦で作られていて、更にバックには様々なクリスマスソングも流れていて、まるで私達は幻想的で心地いい別世界に招待されてるみたいな素敵な感覚でいるわ。

 

 あ、展示物の中には勿論、ウルトラの父もあるわ。

 

 ウルトラの父の他にもその妻のウルトラの母、そして息子のウルトラマンタロウも。

 

 ウルトラファミリー勢揃いね、よく出来てるわ〜。まるで今にも動き出しそうなほど!(笑)

 

 

 クリスマスの夜の幻想的な世界を歩いていたら私は、やがて1人の友人と合流する。

 

 奈緒ちゃんだわ。

 

 「あ、やっほー!奈緒ちゃん。」 「あ、海羽ちゃん。」

 

 紺色を基調に、キラキラした色とりどりの装飾が散りばめられた、まるで夜空のようなワンピース風のドレスを見に纏った奈緒ちゃんは、私に笑顔で手を振る。

 

 すぐそこのステージで開催されているクリスマスコンサートでの自分の出番が来るまでに待機している状態だった。

 

 「綺麗〜!とっても似合ってるよ!」

 

 「ありがとう。」

 

 奈緒ちゃんはちょっと照れ臭そうにお礼を言った。

 

 

 「いよいよだね〜! 私、最前列で見るから!」

 

「えぇ、私、これまで培った分をフルに活かして、心を込めて歌うわ。」

 

 奈緒は小さくガッツポーズを決めた。

 

 不思議にも、奈緒の表情は昼間の時のどこか少し曇りがある感じではなく、何処か晴れやかになったかのような自然な明るい表情になっているようであった。

 

 先生に言われた、一つだけ欠けている所がもう分かったのであろうか…?

 

 やがて自分の出番が来た奈緒はステージに上がろうとする。

 

 「じゃ、行って来るね。」

 

 「うん!頑張ってね!」

 

 

 だがその時、何処からか響く叫び声に、海羽と奈緒をはじめ、辺りが騒然となる。

 

 「…何…?」

 

 戸惑いながら辺りを見渡す海羽、すると何やら地面に倒れてもがき苦しんでいる男性2人を発見して奈緒と共に歩み寄る。

 

 「大丈夫ですか?」

 

 奈緒は手を差し伸べようとするが、何やらその人の体から出ている赤黒い煙のようなものに気づき思わず手を引っ込める。

 

 「なんなのこれ…?」

 

 2人が動揺していると、再び別の方向から悲鳴が聞こえる。しかも今度は数カ所から!

 

 

 次々と、謎の赤黒いオーラを発しながら倒れる人達。海羽と奈緒は辺りを見渡すと、やがて近くの高台の上に1人の影を見つける!

 

 「フッフッフッフッフ、やはりすごい効果だぜ。」

 

 人々が次々と倒れる謎のエネルギーを撃っているであろう手持ちの小型銃を撫でながら不気味にそう笑って、高い所からその様子を傍観するその者はドルズ星人グズドであった!

 

 海羽たちをはじめ、徐々に人々が自身に気づいて視線を向け始めた所でグズドは名乗り出る。

 

 「ご機嫌麗しゅう!!浮かれた人間ども!!」

 

 「あそこにいるのは一体…!?」 「人じゃないみたい…?」

 

 海羽と奈緒はグズドに気づくや、この不気味な姿に早くも人間じゃないと即座に気づく。

 

 海羽たちの周りの人々(特に子供たち)も、怯え始める人が多数出始める。

 

 「俺はドルズ星から来た、グズドという者だ!」

 

 「異星人…?」

 

 グズドの自己紹介に、奈緒は反応する。

 

 「ウルトラマンがいなくなり、人間どもが平和に浮かれている今だからこそ、地球を我が物に出来るチャンスだ…!」

 

 「そんな、なんて事を…!」

 

 グズドが宣言した地球侵略を聞いた海羽は驚愕する。

 

 

 「さぁ、ちょうどクリスマスという事で、楽しいショーの開始と行こうではないか! イッツ!ショータイム!!」

 

 グズドが高らかにそう叫ぶと、少し遠く離れた先の夜空に暗雲のようなものが広がって、やがて竜巻のように回転して大きな穴が出来上がり、その中から1人の巨人の影が街中に土砂や土煙を巻き上げながら着地する!

 

 着地による衝撃と強風に、海羽達も含める人々が思わず顔を背けた後、徐々に視界を前に戻して行くと、そこには一体の巨人が凄まじい威圧感を放ちながら立っており、その姿はウルトラマンのようだが、黒一色の体に複雑な赤いラインが走っている禍々しいものであり、釣り上がった目は赤みを帯びた黄色、カラータイマーは紫であり、両手には鋭い爪が付いている。

 

 やがてその巨人は下顎を上下しながら不気味に笑い始め、それを見た人々も、邪悪なものを感じ取ったのか怯える人が続出し始める。

 

 

 「あれは…ウルトラマン…?」 「でも、なんか禍々しい…。」

 

 海羽と奈緒も、その邪悪なオーラをひしひしと感じる姿に身構える。

 

 「でも…なんか、手がバナナみたい…?」と海羽は口走る。

 

 「バナナとは何だ!?バナナとは! あれこそ、ヴィラン・ギルドで手に入れたベリアル因子に宇宙で拾ったデビルスプリンター、マブゼ達が遺した装置、そして我がドルズ星の技術を駆使して作り上げた俺の最高傑作だ!」

 

グズドが召喚したのは、先程挙げたものたちで作った『ウルトラマンベリアル』、いや、正確には模造品であるため、『ニセウルトラマンベリアル』である!

 

 因みに先程の海羽の発言の通り、偽物だからか、爪やトサカの部分が黄色に染まっている。

 

 マブゼとは、かつて別次元の地球でニセベリアルを作って暴れさせた事があるチブル星人であり、最終的にはニセベリアルが暴れて自身がいたビルも壊してしまった際にその瓦礫の下敷きになって最期を迎えたのだが、どうやら装置だけは辛うじて無事だったみたいであり、グズドはそれを密かに回収した後、ドルズ星の技術も加えて改良し、そしてそこにベリアル因子とデビルスプリンターを入れて作り上げたと思われる。

 

 グズドはこのニセベリアルにより、ウルトラマンのいないこの地球を襲撃し、征服しようと企んでいるのだ…!

 

 

 「暴れろ!!ウルトラマンベリアル!!」

 

 グズドの指示を受けたニセベリアルは、自身の両手を不思議そうに眺めたり、辺りを見渡した後、腕を突き出して電撃を放つベリアルサンダーを放ち辺りに爆発を起こすのを皮切りに暴れ始める!

 

 不気味な笑い声を上げながらビルを殴り壊したり、道路を踏みつけるように破壊などしながら暴れ回るニセベリアル。

 

 ビルやガラスの破壊音、逃げ惑う人々の悲鳴。さっきまでクリスマスソングが流れ、人々が思い思いにクリスマスを過ごしていた街が凄惨なモノへと変わって行く…!

 

 そしてニセベリアルが破壊した建物の瓦礫などで、逃げ惑う人々の中に負傷者も続出し始める…!

 

 因みにこのニセベリアルは偽物だからかオリジナルの人格や知性はほとんど無いようで、終始唸り声か笑い声しか上げておらず、それがまた不気味さに拍車をかけていた。

 

 「どうだこの破壊力!!流石は黒き王!!さぁ、どんどんやれー!!」

 

 自身の自信作の暴れっぷりに高笑うグズド。逃げ惑う人々の中には怪我で苦しむ者や、恐怖で泣き出す子供までもが出始め、楽しいクリスマスだったのが地獄に変わって行く…!

 

 

 「どうしてこんな…。」

 

 「奈緒ちゃんしっかり!」

 

 逃げ惑う人々の波の中、奈緒はショックでその場に膝から崩れ落ち、海羽はそれに必死に呼びかける。

 

 だが、そんな海羽も「もうダメだ」という気持ちが強くなりそうになっていたが、ふと近くのウルトラの父降臨祭の、ウルトラの父がプリントされた巨大バルーンを見て、気力を保ちつつ祈り始める。

 

 

 「きっと、来てくれるはず…! 以前もこの地球を守ってくれたんだもん…! 私は信じる…ウルトラの奇跡を!」

 

 

 海羽は、両手を合わせて強く握りながら強く祈り続けた…!

 

 

 そんな海羽の願いを嘲笑うかのように暴れるニセベリアルは、海羽達のいる会場に迫ろうとしていた…!

 

 

 だがその時、そんな海羽の祈りが、遂に奇跡を呼び起こそうとしている…!

 

 

 海羽達の前に、何処からか1人の人が現れ、海羽と奈緒はその人に視線を向ける。

 

 その人はなんと、プレゼントの袋を担いだサンタクロースであった!

 

 「サンタさん!?」

 

 「メリークリスマス!」

 

 突如現れたサンタは、驚く海羽をよそに、状況に合わぬクリスマスの挨拶をする。

 

 「メリークリスマス…じゃなくて!どうしてサンタさんが今ここに…!?」

 

 「ここにいたら危ないですよ!」

 

 海羽と奈緒は動揺を隠せないながらも、サンタに呼びかける。

 

「ふむ、確かにこれでは、良い子達にプレゼントを配れそうにないな…。」

 

 やがてグズドもサンタに気づく。

 

 「誰だ貴様は!?」

 

「見ての通り、通りすがりのサンタクロースさ。」

 

 海羽はなおもサンタに必死に呼びかける。

 

 「サンタさんも、今は早く避難してください!」

 

 「あぁ、だが、奴を倒してからだな。」

 

 サンタはニセベリアルの方を指差しながらそう言った。

 

「…え?」

 

 戸惑う海羽の元にサンタは歩み寄り、肩にそっと手を当てる。

 

 「安心しなさい…。」

 

 サンタがそう海羽に優しく語りかけた時、サンタの頭部にさっきまで無かった銀の角が現れる…!

 

 「はっ、角が…まさか…?」

 

 何かを察したであろう海羽にサンタは無言で頷いた後、視線をグズドの方に向ける。

 

 「貴様…まさか…!?」

 

 グズドも角を見て何かを察したのか、さっきまでの余裕が崩れ動揺し始める…!

 

 

 「ドルズ星人グズドよ! ベリアル因子で宇宙の各地で暗躍した後に、ウルトラマンのいないこの地球を狙ったみたいだが、残念だったな!」

 

 そう言うと、サンタの体が緑に光り始める…!

 

 「我々ウルトラ戦士は、決して地球を見捨てない! 人々が、我々を信じてくれる限り…!」

 

 やがてサンタの体は緑の巨大な光の球体に変わり、その場から離れ、ニセベリアルの暴れる方へと向かい始める…!

 

 

 海羽と奈緒は、神々しいそれを見送りながら何かを確信したのか安心な表情になり、やがて逃げ惑っていた人々もふと立ち止まり、その球体を見つめ始める。

 

 「あれは…?」 「まさか…!」

 

 中には既に勘づいている人も出始めていた…!

 

 ニセベリアルも、球体が自身の近くまでに来ると、それに気づいて暴れるのを一旦止め、不思議そうに見つめ始める… !

 

 

 やがて緑の光の球体は眩い光を放ち始め、目の前のニセベリアル、そしてそれを見ていた人々が目を覆ったり顔を背けたりする中、その光の中から1人の巨人が仁王立ちで現れる!

 

 光が止んだ後、人々は視線を戻し始め、それはニセベリアルも同様であった。

 

 現れたその巨人は、ウルトラマンのようだが、赤いマント(ファザーマント)を身に付けて仁王立ちしている姿から何やら凄まじい貫禄を感じるものであり、頭部には先程のサンタクロースの姿の時もあった角(ウルトラホーン)が付いている。

 

 

 現れたのは、ウルトラマン達の故郷・M78星雲光の国出身であり、宇宙警備隊の大隊長を務めるウルトラ戦士『ウルトラの父』(本名:ウルトラマンケン)である!

 

 

 人々は、絶望的な状況のタイミングで、しかもウルトラの父降臨祭が開催されていた日にウルトラの父が正に“降臨”した事により、一斉に歓喜の声を上げ始める!

 

 海羽と奈緒も同様に、その神々しい姿の本物を初めて見た事により、一気に希望を感じ始める。

 

 「祈りが…奇跡を呼んでくれた…!」

 

 

 人々が歓喜の声や声援を上げる中、ニセベリアルは目の前のウルトラの父に対し何やら怒り狂うような悶え方をする。

 

 どうやら偽物でも、オリジナルにとっては元戦友、所謂、因縁の相手でもあるウルトラの父への怨念は遺伝子レベルで刻み込まれているようである。

 

 グズドも同じく焦りを見せながらも、ニセベリアルに指令を出す。

 

 「まさか、宇宙警備隊の大隊長が直々にお出ましとは…! だが、俺の最高傑作の強さは本物と同様、やれるものならやってみやがれ…! 行けベリアル!!」

 

 

 ニセベリアルは顔を突き出して威嚇するような動作をした後、ウルトラの父に猛然と襲い掛かる!

 

 ウルトラの父はそれに対してマントを脱いで投げつけ、ニセベリアルはそれを片手であっさりと払い除けつつ尚も駆け寄るが、ウルトラの父は続けて羽型の武器『ウルトラフェザー』を投げつけ、ニセベリアルはそれを真剣白刃取りのような動作で受け止めるが、そこから電撃が体中に走り始め苦しむように動きが止まる!

 

 その隙にウルトラの父は、ある方向へとアイコンタクトを向ける。

 

 海羽もその視線の先へと振り向くと、そこには先程公園で会った緑のおばさんが…!

 

 「緑のおばさん…?」

 

 海羽が驚いている間にも、緑のおばさんは無言で頷いた後、目を閉じて胸に手を当て、そのまま優しい光に包まれ始め、やがてそれが巨大化して行く…!

 

 人々が見つめられる程度に優しく光る光が徐々に消えて行き、頭部に赤い角とツインテールの髪型のような飾りを付けたのが特徴の1人の巨人がお淑やかな立ち姿で現れる。

 

 

 続いて現れたのは、ウルトラの父同様光の国出身であり、銀十字軍隊長であり、そしてウルトラの父の妻でもあるウルトラ戦士『ウルトラの母』(本名:ウルトラウーマンマリー)である!

 

 

 (BGM:ウルトラの奇跡)

 

 

 ウルトラの父に続き、ウルトラの母も現れた事により、人々、特に女性達は更なる歓声を上げる。

 

 「まさか…緑のおばさんがウルトラの母だったなんて…!」(どうりで何処か特別なものを感じたと思った…!)

 

 海羽も、緑のおばさんのまさかの正体に驚きつつも、奈緒と共にウルトラの父とウルトラの母に声援を送り始める。

 

 

 現れたウルトラの母は、ウルトラの父と見つめ合い無言で頷き合う。

 

 ウルトラフェザーを無理矢理地面に叩き付ける事で電撃から解放されたニセベリアルは、再びウルトラの父に襲い掛かる!

 

 ウルトラの父はファイティングポーズを取ると、ニセベリアルと組み合い、その衝撃で周囲の地面から土砂や瓦礫が巻き上がる!

 

 ニセベリアルはベリアルクローを活かした引っ掻きやパンチ、キックを荒々しく放つが、ウルトラの父はそれらを拳や脚でいなして行き、やがてお互いにパンチの応酬を始めるが、一瞬の隙をついてハイキックを放ち、ニセベリアルはそれを腕で防ぐが、あまりの威力に少し吹っ飛ぶ。

 

 ニセベリアルは続けて吹っ飛んだ先の近くにいたウルトラの母に襲い掛かり攻撃を始めるが、ウルトラの母もその攻撃を打撃技のマザーパンチやマザーキックなどでいなして行き、やがて一瞬の隙をついてニセベリアルの腹部に手刀を決める!

 

 だがニセベリアルはすぐさま体勢を立て直すとウルトラの母に飛び膝蹴りを放ち、ウルトラの母はなんとかそれを両腕をクロスさせて防ぐが、その隙を突かれて引っ掻き攻撃の一撃を受けて後退する。

 

 

 ニセベリアルはウルトラの母に追い討ちをかけようとするが、それをウルトラの父が食い止める。

 

 「ベリアルは私が、そっちは任せたマリー!」

 

 「いいわ、ケン。」

 

 ウルトラの父の指示を受けたウルトラの母は、左腕のマザーブルーにエネルギーを込めて、腕を突き出す事で黄色い粒子状の『マザー光線』を、ベリアル因子に侵された街の人々、そして暴れたニセベリアルにより怪我をしてしまった人々に浴びせ始める。

 

 どうやらウルトラの父はニセベリアルの相手、そしてウルトラの母は街の人々の回復と、予め役割を決めていたようである。

 

 

 ウルトラの母の光線がベリアル因子を消失させ、人々を回復させて行く中、ウルトラの父はニセベリアルと一進一退の攻防戦を続ける。

 

 偽物とはいえ、本物とほぼ同じ強さを持つニセベリアルは、ウルトラの父と互角に渡り合うが、ウルトラの父は決して怯む事は無かった。

 

 「お前は、ベリアルのようで、ベリアルではない!」

 

 そう言うとウルトラの父は、ニセベリアルの胸部に強烈な右拳の一撃を叩き込んで後退させる。

 

 「私の知っているベリアルは、邪ながらも、一撃一撃に魂が込もっていた…! だが、お前からはそれが感じられない…。 お前は、ベリアルの形に作られ、力を入れられただけの人形だ!」

 

 そう言って自身の方を指差すウルトラの父に、ニセベリアルは苛立つように首元をかく仕草を見せた後、再び飛び掛かるが、ウルトラの父は跳躍しての右足蹴りを放ち、ニセベリアルはそれを両腕で防ごうとするも防ぎ切れずに吹っ飛んだ。

 

 

 (BGM終了)

 

 

 「くそぅ…ウルトラの父め、私の最高傑作を愚弄するか…! それにウルトラの母まで現れるとはな…!」

 

 グズドは少し焦りを見せるが、何やら不敵に笑い始める。

 

 「…だが、俺の最高傑作はベリアルだけではないのだよ…!」

 

 

 グズドがそう言うと、街中に不穏な効果音と共に巨大な魔法陣が現れ、その中から先に右手だけが現れてウルトラの母の首根っこを掴み、やがてそのまま全身が現れる…!

 

 現れたのは、青を基調とした体に、胸部のX字型のプロテクター、腕や足のベルトなど、全身に拘束器具を身に付けているような姿、黒い仮面を付けたような顔に釣り上がった赤い目が特徴の、ベリアル同様、邪悪なオーラを感じる巨人…!

 

 「やれ!ウルトラマントレギア!!」

 

 なんとグズドは、デビルスプリンターと、何処からか手に入れていたトレギア因子を使用し、『ウルトラマントレギア』も作って隠し持っていたのだ!

 

 これもまた模造品であるため、正確には『ニセウルトラマントレギア』であり、外見もニセベリアル同様、オリジナルとは異なり手先や頭頂部が黄色になっている。

 

 「また新たに闇の巨人が!?」

 

 驚く海羽をはじめ、人々も再び不安な表情になり始める!

 

 「マリー!」

 

 ニセベリアルと交戦しているウルトラの父も、トレギアの出現と妻の危機に驚きを隠さなかった。

 

 ニセトレギアは、不気味な笑い声と共に右手でウルトラの母の首を掴んだまま、顔に向かって左手で指を差すなどしておちょくるような仕草を見せる。

 

 ニセトレギアもニセベリアルと同様、知性や人格はほとんど無く、掛け声や笑い声のみを発している。

 

 ウルトラの母はニセトレギアの首締めをなんとか振り解くと、パンチやキック等で応戦するが、ニセトレギアはそれらを手刀や、体を後ろに反らす動きなどでいなして行き、逆に貫手や手刀を中心とした打撃技で次第にダメージを与えて行き、やがて後ろから右手で右腕を掴み、左腕で首を締め付ける事により動きを止める。

 

 

 「攻撃を止めろ!!ウルトラの父!! 街の人々と、愛する妻の命が惜しければなぁ!!」

 

 ウルトラの母の危機に、グズドの言葉により、ウルトラの父は攻撃の手が緩み始める…!

 

 「宇宙警備隊の大隊長さんなら、賢明な判断が出来るはずだろ? フッフッフッ…!」

 

 「なんて卑怯な事を!!」

 

「ケッ、卑怯もラッキョウもあるか!!」

 

 グズドは、海羽の非難の声を一蹴した。

 

 

 ウルトラの母を人質に取られた事により、攻撃の手が止まってしまったウルトラの父は、ニセベリアルの猛攻に対し防戦一方になって行く…!

 

 だが、そんな状況になっても、人々は2人に声援を送り続ける!

 

 ウルトラ戦士を信じ続ける気持ち、それは奈緒と海羽も同じであった!

 

 「ウルトラ戦士は絶対に負けない…そうだよね!」

 

 「イエス! …この世界を…ウルトラの父と母を助ける力を…!」

 

 海羽は、左腕に付けている、先程緑のおばさんからお守りと称して貰ったバッジを握りながら、再度祈った…!

 

 

 そして、海羽が力が欲しいと願ったその時、腕のバッジが輝いた…!

 

 

 そのバッジは輝きを放ちながら、海羽の腕を離れ、何処かへと飛んで行く…!

 

 そして、その先にいた1人の男の手に握られる!

 

 

 それを見た海羽は、奈緒と共に驚愕する!

 

「あの人達…!」

 

 バッジを手に取った男は、先程海羽と奈緒が公園で出会ったその人であり、更に隣には海羽がボランティアの際に出会った青年も立っており、彼は右腕にガントレット状のアイテムを付けていた…!

 

 

 「俺達も行くぞ!タイガ!」 「ああ!父さん!」

 

2人の男の正体、それは、ウルトラの父とウルトラの母の実の息子であり、ウルトラ兄弟6番目、所謂“ウルトラマンNo.6”の戦士『ウルトラマンタロウ』と、その息子である“光の勇者”の若き戦士『ウルトラマンタイガ』が、それぞれ嘗て一体化した地球人『東光太郎』と『工藤ヒロユキ』の姿に擬態した姿であった!

 

 緑のおばさん、即ちウルトラの母が海羽に預けていたバッジは、タロウの変身アイテム『ウルトラバッジ』でり、地球人がウルトラマンを信じる気持ちが強まると、それが戦いの時としてタロウの元に戻るようにインプットされていたのだ。

 

 

 2人は変身の体勢に入る!

 

 光太郎はウルトラバッジを右手で持ち両腕を左右に大きく広げ、ヒロユキは『タイガスパーク』の下部のレバーを左手でスライドさせて「カモン!」という音声と共に起動させ、それを付けている右手で『タイガキーホルダー』を掴む。

 

 「バディー、ゴー!!」

 

 「タロウー!!」

 

 2人は叫びと共にアイテムを高く揚げ、眩い光に包まれる…!

 

《ウルトラマンタイガ!》

 

「シュアーッ!!」

 

鮮やかな光の中から、波紋のような銀のリングと共にまずはタイガがパーにした右手を突き出して飛び出し、続けてタロウが同様のポーズで飛び出す!

 

 

(BGM:ウルトラマンタロウ)

 

 

タイガとタロウは上空で風を切る音と共に何度もスピンを決めた後、急降下しながらタロウは『スワローキック』、タイガは『タイガキック』を放つ!

 

 2人の急降下キックはそれぞれニセトレギアの左右の肩に命中し、ニセトレギアがたまらず吹っ飛んだ事によりウルトラの母は解放される。

 

 着地したタロウとタイガはファイティングポーズを決める。

 

 更なるウルトラマンの援軍に人々は再び、それも先程以上に大きな歓喜の声と声援を送り始める。

 

 息子と孫の登場に、ウルトラの父と母も安心したかのように頷き、ウルトラの父はニセベリアルとの戦いを再開し、ウルトラの母は街の人々の回復を再開する。

 

 ニセトレギアは何やら苛立つかのように首元を掻きむしる仕草を見せた後に2人に襲いかかり始め、タロウとタイガもそんなニセトレギアに果敢と立ち向かう!

 

 どうやらニセトレギアも、オリジナルにとっては元親友、所謂、因縁の相手でもあるウルトラのタロウとタイガへの怨念は遺伝子レベルで刻み込まれているようである。

 

 まずは先手を打ったタロウがニセトレギアと格闘技の応酬に入る。

 

 ニセトレギアは手刀や貫手を中心とした格闘技なのに対し、タロウはパンチやキックを主体としたスピーディーな格闘技で挑み、ニセトレギアの水平チョップをしゃがんでかわすと同時に腹部にパンチを決め、続けてタイガが腕を十字に組んで『スワローバレット』を放って追い打ちをかける。

 

 続けてタイガが駆け寄ると同時に飛び蹴りを放ち、ニセトレギアはそれを腕をクロスさせて防ぐがタイガは怯まず父親同様スピーディーな格闘技で応戦し、やがて手刀を放ったトレギアの腕を掴んで押さえ込んでいる隙にタロウがウルトラホーンに当てた両手を突き出して『アロー光線』を放って攻撃し、被弾して怯んだニセトレギアにタイガが右足蹴りを腹部に打ち込み、続けてタロウが胸部に連続パンチ、タイガが顔面に右ストレートを叩き込んで畳みかけ、更にタロウが右足、タイガが左足で同時にキックを放ち、その威力で腕をクロスさせて防ごうとしたニセトレギアを後退させる。

 

 そしてタロウは両手を突き出して『シューティングビーム』、タイガも同じく両手を突き出して『ハンドビーム』を放ってニセトレギアを攻撃した後、再度ファイティングポーズを決める。

 

 

 (BGM終了)

 

 

 ニセベリアルと五角に渡り合うウルトラの父、抜群な親子のコンビネーションでニセトレギアと戦うタロウとタイガに、尚も声援を送り続ける人々。

 

 グズドは焦りを見せながらも、更なる手に入る。

 

 「ベリアルはレイブラッド星人の力も持っている…即ち、レイオニクスの力も使えるのだ!」

 

グズドのその言葉と共に、ウルトラの父と組み合っていたニセベリアルは、ガラ空きの右手を突き出し、ベリアルクローから赤黒いエネルギーを放ち始め、やがてそれは形を作って行き、2体の怪獣の姿を生み出した。

 

 現れたのは『雪超獣スノーギラン』と『宇宙三面魔像ジャシュライン』である!

 

 「ウルトラの母を襲え!!スノーギラン!ジャシュライン!」

 

 グズドの命を受けた2体は、地響きを起こしながらウルトラの母へと歩みを進め、ウルトラの母もそれに気づき身構える。

 

 回復させる能力のあるウルトラの母から先に片付けてしまおうという魂胆だ!

 

 因みにこの2体はオリジナルと違って人格や知性の無いニセベリアルが召喚しただけあって、生前と違って生気を感じられない、傀儡のようなものであり、本来なら3兄弟の人格を共有しているジャシュラインが終始喋らず奇妙な音を発しているばかりなのが、それを物語っている。

 

 

 ウルトラの母は回復に力を使うのに専念している事を知っているタロウは、ニセトレギアに組み付き押さえ込んでいる状態でタイガに指示を出す。

 

 「タイガ!トレギアは俺に任せて、母さんを!」

 

「…はい!父さん!」

 

了解したタイガは、その場を離れると、地面を蹴って高く飛び上がって宙返りを決めた後、ウルトラの母と2大怪獣の間に着地し、2体の相手を始める。

 

「ばあちゃん!コイツらは俺に任せて!」

 

「任せましたよ、タイガ。」

 

 再び安心したウルトラの母は、回復行動を再開する。

 

 

 ニセベリアルは更なる怪獣を召喚しようと両手を突き出してベリアルクローからエネルギーを放とうとするが、ウルトラの父は即座に鉄アレイのような武器『ウルトラアレイ』を取り出して突き出し、それが両端から強烈な閃光を放つと、ニセベリアルの両手のベリアルクローを粉々に破壊した!

 

 攻撃手段の一つを破壊されたニセベリアルは、飛び跳ねる等して更なる怒りのような仕草を見せた後、ウルトラの父との戦いを再開する。

 

 

 タイガは、2対1という状況ながらもスノーギランとジャシュラインに果敢に挑む。

 

 ジャシュラインの剛腕を活かしたパンチなどを軽快にかわして行き、懐に飛び込んで3発パンチを決めた後、ジャシュラインと組み合い、そのまま振り回されるが、逆にそれを活かして後ろから襲い掛かっていたスノーギランに二段蹴りを決め、そのまま両足を着地させると同時に回転の遠心力を活かしてジャシュラインを地面に叩きつけた。

 

 立ち上がったジャシュラインは、3兄弟のランプを一斉に点灯させて相手を黄金像に変える必殺光線・ゴールジャシュラーを放つ!

 

「輝きの力を手に!!」

 

タイガの叫びと共にタイガの前方に黄金の鎧が現れて光線からタイガを守り切った後、そのままタイガの体に装着される事でタイガは強化形態の『フォトンアース』へと変身が完了する。

 

 タイガは構えを取るとそのまま2体へと駆け始め、同じく駆け寄って来たスノーギランに強烈なラリアットを叩き込んで地面に叩きつけ、続けて倒れたスノーギランにエルボードロップを決める。

 

 ジャシュラインは腕の盾を変形させたブーメランを手に取り、それをタイガに振り下ろすが、タイガはそれを左腕の肘から先だけで受け止め、逆に黄金のオーラを纏った右拳を叩き込んで後退させる。

 

 ジャシュラインは尚もブーメランを振り回しながら襲い掛かるが、タイガは側転をしてそれをかわすと同時に距離を取った後、跳躍して両足のドロップキックを叩き込んで吹っ飛ばした!

 

 スノーギランは頭部の発光部から目潰し閃光を放つが、タイガはそれを数回スピンしながら横に飛んでかわす事で目潰しを免れる。

 

 「タイガエメリウムブラスター!」

 

 タイガは左腕を横に伸ばした後、右腕を胸部に当てて額のランプから光線技・タイガエメリウムブラスターを放ち、スノーギランの頭部の発光部に命中させて破壊した!

 

 スノーギランは目潰し閃光が使えなくなりながらも、今度は両手やホース状の口から吹雪のような冷凍光線を放つ。

 

 「ワイドタイガショット!」

 

 タイガは今度は左腕を横に伸ばした後、腕をL字に組んで必殺光線・ワイドタイガショットを放ち、その光線は冷凍光線を消し飛ばしながら飛んで行き、やがてスノーギランに命中し、スノーギランは大爆発して消し飛んだ!

 

 スノーギランを撃破したタイガは、ジャシュラインとの交戦を再開する。

 

 

 「おのれ…!おのれウルトラ戦士ども! だが、今現在の戦力が無くなっても、更にドルズ星の宇宙船団が迫っているのだ…! 貴様らが疲弊した隙に、一気に殲滅してやる!」

 

 グズドはそう言うが、ウルトラ戦士達は怯む事は無かった。 既にその事も想定済みだったのだ。

 

 「それなら、今頃とっくに相手してるはずだぜ? 俺の頼もしい仲間達が!」

 

 

 タイガのその言葉の通り、地球から出てすぐの宇宙空間では、そのドルズ星の宇宙船団を相手に、待機していた2人のウルトラ戦士が立ち向かっていた!

 

 タイガと3人で『トライスクワッド』というチームを組む2人のウルトラ戦士、“力の賢者”の『ウルトラマンタイタス』と、“風の覇者”の『ウルトラマンフーマ』である!

 

 「私達がここで食い止める! 行くぞフーマ!」 「ああ旦那!ぶっちぎるぜ!」

 

 「賢者の拳は全てを砕く!」

 

タイタスは宇宙船団の攻撃を持ち前の筋肉(ウルトラマッスル)で弾き返しつつ、パンチ技『ワイズマンズフィスト』や、一機を掴んでハンマー投げや円盤投げ等の要領で投げつけて他の戦艦にぶつける等で次々と破壊して行く!

 

「疾風怒濤!俺のスピードについて来れるかよ!」

 

 フーマも高速で縦横無尽に飛び回ったり、煙幕を放って瞬間移動をする等して攻撃をかわしつつ、そのスピードを活かした目にも止まらぬ手刀や突撃で次々と破壊して行く!

 

「星の一閃、アストロビーム!」「極星光波手裏剣!」

 

タイタスとフーマは一旦合流すると、それぞれ額のアストロスポットから放つ光線技・アストロビームと、タイガスパークで形成した光の手裏剣・極星光波手裏剣を放ち、大量の宇宙船を一気に破壊した!

 

 

 自身の計画を悉く破って行くウルトラ戦士に、グズドは変わらず苛立ちを隠せないながらも、問いかける。

 

 「何故だ…! 何故ウルトラ戦士はそこまで地球人に味方する…! こんなちっぽけな生き物を!」

 

 

 (BGM:超勇者BUDDY GO!)

 

 

 そんなグズドの愚問とも取れる問いかけに、ウルトラ戦士達は口々に答える。

 

 「命の価値に、大きさなど関係ない…!」とタイガ。

 

 「私達は、宇宙の全ての罪なき命を守る!」とウルトラの母。

 

 「例え、強大な悪がそれを奪おうとするのなら…!」とタロウ。

 

 「私達が、それを何度でも守って行くだけだ!」とウルトラの父。

 

 

 ここから、ウルトラファミリーは一気に攻勢に出る!

 

 

 タイガは、再度ブーメランを振り下ろして来たジャシュラインに対し黄金のオーラを纏ったパンチを放ち、それはブーメランを粉々に破壊し、そのままジャシュラインの顔面に命中し、怯んだ隙に続けて上段回し蹴りを叩き込んで吹っ飛ばした。

 

 ジャシュラインは最後の手段として、一気に倒してしまおうと高速回転しながら突っ込んで行く!

 

 「オーラムストリウム!!」

 

タイガは両拳を腰に当てるポーズで大気中の光エネルギーを吸収した後、T字に組んだ腕から必殺光線・オーラムストリウムを放ち、それを浴びたジャシュラインは、タイガに突っ込む前に大爆発して消し飛んだ!

 

 

 「お前たちのような悪人のために、多くのいい人を見捨てるわけにはいかないんだ!」

 

タロウはニセトレギアと組み合った状態でグズドにそう言った後、ウルトラホーンから『ブルーレーザー』を放ち、それに対しニセトレギアも即座に両手を突き出して『トレラアルディガ』を放ち、両者は光線のぶつかり合いの反動を利用して後ろに飛んで一旦距離を取る。

 

 タロウは再度飛びかかりながら右足蹴りを放つが、ニセトレギアはそれを左腕で掴む事で受け止め、それでもタロウは怯まずそのまま続けて左足蹴りを放ち、ニセトレギアはそれも右腕で受け止める事で防ぐが、タロウはそのまま脚全体から『フット光線』を放って浴びせ、ニセトレギアはたまらず手を離す。

 

 タロウは全身を真っ赤な炎で燃え上がらせて『ウルトラダイナマイト』を発動してそのままニセトレギアに突撃し始め、対してニセトレギアも全身を青紫の炎で燃え上がらせて突撃する。

 

 両者は燃え上がる体で激しくぶつかり合い、炎を散らしながら激しくパンチやキックの応酬を始める。

 

 目にも止まらぬ速さのその応酬はやがて上空にまで及んだ後にタロウの方に軍配が上がり、タロウは一瞬の隙を突いてニセトレギアの体に連続パンチを打ち込んだ後、胸部に強力な飛び蹴りを決めて大きく吹っ飛ばす。

 

 ニセトレギアは再びタロウ向かって飛びながら両腕から10本のカッター光線『トレラテムノー』を放つが、タロウは即座に腕を十字に組んで放った『タロウカッター』でそれらを相殺して砕いた後、自身の体を包んでいる炎を放射する形で『ファイヤーダッシュ』を繰り出し、それをモロに浴びたニセトレギアは全身の炎が消し飛ぶと同時に大爆発して吹っ飛び、地面に落下して転がる。

 

 

 全身の炎が消えたタロウは着地をする。

 

 なんとか起き上がったニセトレギアは、自身が押されてる事を受け入れられないかのように再び首元を掻く仕草を見せた後、魔法陣を発生させながら両腕に全身のエネルギーを集め始める…!

 

 「ストリウム光線!!」(50年前の東光太郎ボイス)

 

 タロウは技名を叫んだ後、両手を頭上で合わせた後、両腰に当てて全身を七色に輝かせながらエネルギーを充填していく…!

 

 

 そしてニセトレギアは両手を突き出して『トレラアルティガイザー』を、タロウは両手をT字に組んで『ストリウム光線』を放ち、二つの必殺光線は激しくぶつかり合い、そのまま押し合いになる!

 

 「…トレギア…!」

 

 タロウは一瞬だけ俯いて意味深げにそう呟いた後、顔を上げて光線の照射に更に力を込める!

 

 ニセベリアル同様、生気を感じない攻撃を繰り出す偽物とはいえ、やはり嘗ての親友であるトレギアと戦うのは何か来るものがあるのだろうか…。

 

 タロウが力を込めた事により太さや勢いが増したストリウム光線は次第にトレラアルティガイザーに押し勝ちながらニセトレギアに迫って行き、やがてニセトレギアの体を直撃し、ニセトレギアはしばらくもがき苦しんだ後、断末魔のような叫び声を上げながら大爆発して消し飛び、青い火花が飛び散った…!

 

 タロウは光線の体勢を解いてトレギアの最期を見届けるかのようにその場に立ち尽くした。

 

 

 ニセベリアルと戦うウルトラの父は、戦いを優位に進めていた。

 

 ウルトラの父は大きく跳躍してニセベリアルの胸部に飛び蹴りを叩き込み、それによって後退するがすぐさま体勢を立て直したニセベリアルの放った『デス光輪』を、即座に右手を突き出して放つ『クレセントショット』で相殺し、その際に発生した爆発と煙でニセベリアルが目眩しに遭っている隙に胸部に強力な『ファザーパンチ』を叩き込んで吹っ飛ばした!

 

 ニセベリアルは立ち上がると、近くのビルを引き抜いてそのままウルトラの父向かって突撃し始める!

 

 ウルトラの父は精神統一をするようにファイティングポーズを取り、ニセベリアルが迫って来るのをギリギリまで待ち構え、やがて完全に間合いを詰めたニセベリアルがビルを自身に叩きつけようとしたのと同時に、地面に滑り込んでそれをかわすと同時に腹部に渾身の右拳の一撃を叩き込み、それによってニセベリアルは吹っ飛ぶと同時にビルを手放す。

 

 ウルトラの父は即座に起き上がり、ニセベリアルが手放したビルを両手でキャッチして地面におろした。

 

 

 ニセベリアルは飛び跳ねたり等で更に苛立つような仕草を見せた後、最後の手段とばかりに両手に赤黒い稲妻状のエネルギーを溜め始める…!

 

 すると、ウルトラの父の元に街の人々の回復が済んだウルトラの母が合流する。

 

 「私達で、ベリアルを楽にしてあげましょう。」

 

 「そうだな。」

 

 ウルトラの母の言葉にウルトラの父は了解する。いかにも心優しい性格のウルトラの母らしい発言である。

 

 ニセベリアルは腕を十字に組んで闇の力を込めた必殺光線『デスシウム光線』を放ち、それに対してウルトラの母は前方に伸ばした右腕に左手を添えて『マザー破壊光線』を、そしてウルトラの父は腕をL字に組んで『ファザーショット』を放つ!

 

 1本の闇の光線と、2本の光の光線は激しくぶつかり合い押し合うが、ウルトラの父と母が次第に更に力を込めて光線の太さや勢いを上げて行き、やがてファザーショットとマザー破壊光線はデスシウム光線に完全に押し勝ちニセベリアルを直撃する!

 

 ニセベリアルはもがき苦しみつつも、何やら不気味な笑い事を上げて行き、やがて赤黒い稲妻を発生させながら大爆発して消し飛んだ…!

 

 偽物とはいえ、オリジナルの本能的な所は遺伝子レベルに刻み込まれてたニセベリアル。ひょっとすると、最期に因縁の相手、それも強い相手と戦えた事に満足感を覚えたのかもしれない…。

 

 

 「プラニウムバスター!!」 「光波剣・大蛇!!」

 

 一方、宇宙空間でも、タイタスとフーマが必殺技を同時に放ち、最後の宇宙船団を全滅させた。

 

 ドルズ星の宇宙船団を片付けた2人は、得意げにポーズを決める。(タイタスに関しては、腕を斜め上に上げるマッスルポーズだが(笑))

 

 

 グズドが召喚したニセ悪のウルトラマンと怪獣たちを撃破した4人のウルトラファミリーは、人々の歓喜や感謝の言葉を受けながら合流し、互いに労を労うように頷き合う。

 

 その様子を、海羽と奈緒も笑顔で見つめていた。

 

 

 「あとは、グズドを連行するだけだな。」

 

 ウルトラの父がそう言ったその時!

 

 

 「そうは、いかねぇ…!」

 

 何処からかグズドのさっきとは違ったドスの効いた声が聞こえ、ウルトラファミリー、そして人々もその声の方を振り向く。

 

 そこには、いつの間にか巨大化していたグズドが立っていた。しかし、その姿も先程とは違い筋骨隆々な体型となっており、腕、体、足など、あらゆる部位の筋肉が血管が浮き出るほどに肥大化しており、更に湿っている体中からは蒸気のように湯気が上がっている。

 

 更によく聞いてみると軋むような音が聞こえる事から、どうやら無理矢理体を強化・巨大化させたようである。

 

 そして、体色も右半身はベリアルを彷彿とさせる赤と黒、左半身はトレギアを彷彿とさせる青を基調とするものに変わっており、背後から差す逆光がより威圧感を駆り立てる。

 

 声も、不気味な感じにエコーがかかっているものになっている。

 

 「その姿は一体!?」

 

 タイガはグズドの変わり果てた姿に驚きつつも問いかける。

 

 「クックック…最後の手段として残りのベリアル因子とトレギア因子を全て飲み込んで、自らを強化させたのだ…! ウルトラ戦士ども、この俺自らの手で葬ってやる…!」

 

 強力な悪のウルトラマン2人のエネルギーでパワーアップしたというグズド、身体中からはベリアルを思わせる赤黒、トレギアを思わせる青、2色のオーラのようなものが常に溢れ出ている。

 

 そして、時たまそこから発生する稲妻が周囲を徐々に破壊して行く…!

 

 因みに、ニセベリアルやニセトレギアを作ったり、自身にそれらのエネルギーを注いだりする際に使った装置は、いよいよ負荷に耐えられなくなったのか大破してしまっていた。

 

 正に、グズドにとっては最後の手段なのである。

 

 「奴は、強大なエネルギーを取り込んだ事により理性を削らせながら衝動の赴くままに全てを破壊する体になってしまっている! ここで倒すしかない…!」

 

ウルトラの父はそう言うが、ウルトラファミリーのうち、父はニセベリアルとの戦い、タロウはニセトレギアとの戦い、ウルトラの母は街の人々の回復や時折入った妨害などにエネルギーの大半を使い果たしたのか、既にカラータイマーが赤く点滅を始めていた…!

 

 タイガだけが、カラータイマーがまだ辛うじて青のままであった…!

 

 

 タイガは消耗している父や祖父母を見つめ、少し考え込むように俯いた後、顔を上げて宣言する。

 

 「俺が行きます!」

 

 自身の発言に父と母、そしてタロウが少し驚くように顔を上げる中、タイガは数歩前に出る。

 

 「奴は、俺に任せてください…!」

 

 タイガの決意に満ちたその言葉に、彼の父と祖父母は彼に任せる決心をする。

 

 「分かった。」「任せましたよ、タイガ。」

 

 「行って来い。今のお前なら、絶対に負けないはずだ!」

 

 父と母、そしてタロウの言葉を受けたタイガは、気合いを入れるようにファイティングポーズを決める。

 

 「見ててください! 爺ちゃん!婆ちゃん! 父さん!」

 

 

 タイガはグズド向かって走り始め、駆け寄ると同時に先手必勝の飛び蹴りを放つが、グズドはそれを腕をクロスさせて防いで弾き飛ばし、タイガは宙返りした後着地する。

 

 タイガはグズドと激しい格闘技の応酬を始め、最初は互角に立ち回るが、無理矢理の強化とはいえ強力なウルトラマンの力を取り込んでいるグズドの強さは本物であり、タイガは次第に押され気味になるが、それでも負けじと喰らい付くようにパンチやキックで反撃を続ける。

 

 「スワローバレット!!」

 

 タイガは逆転の糸口を狙ってスワローバレットを放つが、グズドが両手を突き出して放った赤、黒、青の三色の稲妻のような光線に打ち消され、そのまま自身も直撃を受けて光線に押される形で吹っ飛び、地面に落下して転がる。

 

 タイガはなんとか両手を使い、片膝ついた状態まで立ち上がるが、自身も先程の2大怪獣との戦いでそれなりにエネルギーを使っている上に、強化されたグズドの攻撃による大ダメージにより既に消耗している事によりふらついており、カラータイマーも赤に点滅を始める…!

 

 「まだだ…! ここで、倒れるわけには…!」

 

声を絞り出して踏ん張るタイガを、グズドは尚も不気味なオーラを放ちながら嘲笑う。

 

 「ウルトラファミリーのボンボン1人ごときで俺を止められるわけがない! 俺はベリアルとトレギア、2人のウルトラマンの力を使えるのだ! 貴様をとっとと片付けて、親父共もまとめてやっつけてやる!」

 

 

 …だが、タイガはまだ折れていなかった…!

 

 タイガはふらつきながらもゆっくりと立ち上がりながらグズドに語りかける。

 

 「確かに…ベリアルもトレギアも、強力なウルトラマンだ…! だが、お前は、結局その力に頼っているだけだ…!」

 

「なんだと!?」

 

「俺たちウルトラマンは、自分達が持つ力だけで戦ってるんじゃない…!」

 

 タイガのその言葉に、グズドはふと辺りを見渡すと、そこには最後までウルトラマンの勝利を信じ、絶えず声援を送り続ける人々の姿があった…!

 

 「頑張って!!ウルトラマン!!」 「負けないで!!」

 

  海羽と奈緒も同様であった!

 

 絶えず自身に声援を送る人々を見て狼狽えるグズドにタイガは続けて語りかける。

 

 「地球人達の、最後まで俺たちを信じる気持ちが、俺たちウルトラマンに持ってる以上の力をくれる…! だから俺は、立ち上がれるんだ!!」

 

 「みんな!もっと大きな声で応援しよう! みんなの思いを一つにして…!」

 

 奈緒の言葉を受け、人々は声を揃えて叫んだ。

 

 「頑張れ!!ウルトラマン!!」

 

 

 (BGM:Buddy,steady,go!)

 

 

 「うぉぉぉぉぁ!!人々が信じてくれる限り、俺は負けない!!」

 

 タイガは燃える炎のようなオーラを発生させて気合を入れた後、ポーズを決めてグズド目掛けて走り始める!

 

 「ほざけぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 グズドも逆上しながらタイガ目掛けて突進する!

 

 タイガは先程と同じく駆け寄って飛び蹴りを繰り出し、今度は先程と違いグズドの胸部にクリーンヒットしグズドは突進の勢いが弱まる。

 

 そのまま両者は接近戦に入るが、自身の振り絞った力に、人々の思いの強さがプラスされたタイガはパンチ、キック等の一撃一撃が先程よりも重く、グズドは押され気味になる。

 

 グズドは至近距離でタイガに赤黒い稲妻のような光線を浴びせ、それによりタイガがよろけた隙に後ろから両手で首を掴んでそのまま締め上げようとするが、タイガは背を向けたままグズドの両腕を掴んで力を入れ始め、カラータイマーの点滅が早まって行く中それを力づくで引き剥がし、そのまま前方へと投げ飛ばして地面に叩きつける。

 

 続けてタイガはグズドの右フックを左腕で受け止めてガードした後、グズドの体に連続パンチを打ち込んで行く…!

 

 「アトミック、パーンチ!!」

 

 タイガは叫びと共に渾身の力を込め、父親・タロウ譲りのパンチ技『アトミックパンチ』を繰り出し、それを腹部に受けたグズドは、体を貫かれるようにパンチが当たった部位と背中が爆発すると同時に吹っ飛び、地面を転がる。

 

 

 タイガの猛攻に劣勢になりつつあるグズドは、立ち上がると最後の手段とばかりに両手にそれぞれベリアル、トレギアのエネルギーを溜め込み、突き出す事でデスシウム光線とトレラアルティガイザーを合わせたような破壊光線を放つ!

 

 「これで決める!」

 

 タイガはそう言うと、両手を頭上で合わせた後、両腰に当てて全身を七色に輝かせながらエネルギーを充填していく…!

 

 「ストリゥゥゥム!ブラスター!!」

 

 タイガは渾身の叫びと共に腕をT字に組み、必殺光線の『ストリウムブラスター』を放つ!

 

 二つの光線はぶつかり合い、その威力の高さに周囲に暴風と共に瓦礫等が飛び上がる中、光線の押し合いが続く…!

 

 「これがっ! タロウの息子の、力だと言うのか…!?」

 

 「俺は!ウルトラマン!タイガだぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 タイガは叫びと共に最後の力を振り絞って光線の威力を上げて行き、やがてストリウムブラスターが完全に押し勝ってグズドに直撃する!

 

 「そんなっ!? この俺が…有り得ぬぅぅぅぅぅぅ!!」

 

 グズドは、自身の敗北を受け入れられないまま、赤と黒と青の稲妻を発しながら大爆発し、粉々に砕け散った…!

 

 

 (BGM終了)

 

 

 侵略のボスも破られた事により完全勝利したウルトラマン達に、人々は喜び合い、ウルトラ戦士達に感謝の声をかけ始め、平和なクリスマスイブが戻った事を象徴するかのように雪がちらちらと降り始め、クリスマスソングもしっとりと鳴り始める。

 

 タイガは人々の方を振り向き、「どういたしまして」とばかりに頷くが、戦いで力を使い果たしたのか、その直後にふらついてうつぶせに倒れそうになるが、そこにタロウが腕を腹部に添えて支える。

 

 「よくやったな、タイガ。」

 

 「父さん…。」

 

 労いの言葉をかけるタロウに、タイガは息が切れながらも嬉しそうに反応した。

 

 「やはり、我々の自慢の子孫だ。」 「本当に立派になりましたね、タイガ。」

 

 ウルトラの父と母も、孫のタイガをベタ褒めに近い形でたたえる。

 

 タロウの腕を借りて体勢を立て直したタイガは、家族と共に尚も自分らに歓喜と感謝の言葉をかける人々の方を振り向く。

 

 

 タイガの最後の戦いを宇宙空間から見ていたタイタスとフーマも、タイガ達の完全勝利に安心しているようであった。

 

 「ドルズ星人グズドは、最初からベリアルとトレギアの力を使いこなせていなかった。 常時、体から漏れていたのが、その証拠だ。」

 

 タイタスの言ったように、実はベリアル因子とトレギア因子を取り込んで強化したグズドの体から出ていたオーラのようなものは、実は単に力が体に入り切らず外に漏れていただけだったのである。

 

 つまりやがて力が完全に抜ける、もしくは体が強大な力に耐え切れず自滅する可能性もあったワケであり、いずれにせよグズドが敗北するのは必然だったというわけでもある。

 

 「生き物には器がある。 奴の器は、その強大な力を使うには小さ過ぎたって事だな。」

 

 「だが、大幅に強化されていたのも確かだ。タイガも、更に力を上げたというわけだ。」

 

「俺達も負けてられないな旦那。」

 

 タイタスとフーマは語り合った後、その場から去る事にする。

 

 「では、あとは親子水入らずで。」「お先だぜ、タイガ。」

 

 2人は地球を背に、何処かへと飛び去って行った。

 

 

 尚もウルトラ戦士達に感謝する人達。

 

 「ありがとう、ウルトラマン。」海羽もウルトラ戦士への感謝の言葉を笑顔で呟いた。

 

 「私、今なら自信を持って歌えるわ。」

 

 奈緒はそう言うと、ステージの階段を静かに歩いて上がり、そしてイントロを背にマイクを手に取り、きよしこの夜を歌い始める。

 

 その真っ直ぐで透明感のある歌声は、会場どころか街中に響き渡るようであり、耳から入ってそのまま優しく流れて心の澱みを全て洗い流してくれる澄んだ水であるかのようである。

 

 聞いている人々も海羽を始め、その歌声に魅了されており、騒いでいた中高生も、泣いていた子どもも静まり返り、皆癒されてるかのようにリラックスした顔で聞き入っており、実は密かに会場に来ていた白鳥さゆり先生も、無言で笑顔で頷いた。

 

 奈緒の欠けていたもの、それは“相手のことを思って歌う事”であった。

 

 これまでその抜群の歌声で様々な大会で賞を取って来た奈緒だが、それ故に常に完璧に歌う事、誰よりも上手く歌う事ばかりを意識して歌って来ていた。

 

 だが、昼間に海羽に励まされた際に既に潜在的にその事に気づいており、そこで歌った際に海羽が心から感動していたのがその証拠である。

 

 そして今、ウルトラ戦士達が危機から救ってくれた事により、その感謝の気持ちから、ハッキリと気付く事が出来たのである。

 

 奈緒は、自身を元気付けてくれた海羽、会場で自分の歌を楽しみに待ってくれていた人たち、そして、自分達を守ってくれたウルトラ戦士達、いろんな人達への感謝の意を込めて歌っているのである。

 

 タイガ達ウルトラファミリーは、その歌声を最後まで聴いた後、人々に手を振りながら飛び立ち始める。

 

 その際、ウルトラの父の『ウルトラクラウン』、ウルトラの母の『マザーシャワー』、タロウの『リライブ光線』の力を合わせ、残りの街の壊された所と、死んでしまった人々の回復を済ます。

 

 クリスマスは、みんなが幸せでいて欲しい、その気持ちは、ウルトラ戦士達も同じなのだ。

 

 タロウは更に、左手首のキングブレスレットから神秘的な光を放ち、東京スカイツリーに浴びせると、スカイツリーはあっという間にデコレーションされ、クリスマスツリーに変わった。

 

 50年ぶりの、そして更にスケールアップしたウルトラのクリスマスツリーである。

 

人々にちょっとしたサービスをした後、ウルトラファミリーは空の彼方へと飛び去って行き、空に新たに四つの星が輝いた…。

 

 

 私、海羽は、さっきまで目の前で起こった出来事に、まだ信じられない気持ちもありつつも感激していた…!

 

 ウルトラの父が来て、ウルトラの母が来て、そしてタロウがやって来て、私達を悪魔から守ってくれた…。

 

 50年以上経った今でも、ウルトラマン達が私たち地球人を守ってくれる事、それはとてもありがたく、感謝すべき事なんだなと改めて確信したわ。

 

 それにしても、まさかタロウに息子が出来てて、ウルトラの父と母が祖父母になってたとはね(笑)

 

 名前は確かタイガだったかな?

 

 そのウルトラマンからもカッコよさの他にも何やら大きな可能性を感じたし、ウルトラマンも子孫を残してるんだなと思うと、絶対的な神様というワケではなく、ある意味私達とさほど変わらない存在なのかなと思うと、尚更駆けつけてくれた事への感謝の気持ちが強くなって来る…!

 

 とにかく、クリスマスをまた平和で楽しい状態に戻してくれた事に、とても感謝してる!

 

 本当に、ありがとう!

 

 

 やがて、歌い終えて拍手喝采を浴びながら一礼してステージから降りた奈緒と、海羽は合流する。

 

 「奈緒ちゃん、と〜ってもいい歌だったよ!」

 

「ありがとう。海羽のお陰だよ。」

 

「…え?私の…?」

 

「私、これまで、とにかく上手く歌わきゃ、って気持ちで歌って来て、聴いてくれる相手の事をあまり思った事が無かった…でも、海羽が励ましてくれたお陰で、初めて相手の事を思って歌う事も大事だと気づけたの。」

 

「奈緒ちゃん…。」

 

 海羽は嬉しそうな表情になる。

 

 「だから、海羽をはじめ、色んな人達への感謝を込めて歌ったの。私の歌を聴いてくれている観客、そして、私達を助けてくれたウルトラマン達に。」

 

 奈緒は、さっきよりも晴れやかな表情で言った。

 

 「だからありがとう!」

 

 奈緒は、満面の笑みでお礼を言い、それを聞いた海羽は思わず嬉し涙が出始め、奈緒は少し困惑しつつも変わらず笑顔で海羽の背中をさすった。

 

 2人は、クリスマスツリー状にデコレーションされたスカイツリーを見上げる。

 

 「綺麗ね〜。」「そうねー。」

 

 2人の楽しそうなトークは続く。

 

 「ねぇ、折角再会出来た事だし、クリスマスの日の明日、一緒にケーキ食べない?チキンも予約してるの。」

 

「いいの?やろうやろう! 奈緒ちゃん家、確かお兄ちゃんと妹もいるんだよね?」

 

「何気に会いたがってたよ、海羽に。」

 

「え?本当に? それも楽しみだな〜! 正月には鍋パもしない?」

 

「それもいいね! やろうよ!」

 

 このように、クリスマス以降の楽しみも作りながら、2人は楽しく会話を弾ませていた。

 

 ウルトラ戦士達が守り抜いたクリスマス、そしてその後のお正月も、他の人々も、是非とも楽しんで欲しい!

 

 

 私、海羽と奈緒は、楽しい会話をしつつ、“ウルトラマンレストラン ウルトラの父降臨祭フェア”へと向かって行く。

 

クリスマスも、その後のお正月も含め、楽しい年末年始になりますように!

 

 

 イルミネーション大会、そして、ウルトラの父降臨祭は、ウルトラマンが来てくれた、助けてくれた事への嬉しさや興奮、そして、自身達に迫った危機が完全に消えた事での安心からか、さっきよりも賑わっていた。

 

 「メリークリスマス!」

 

 降臨祭の方はというと、なんとさっき海羽と奈緒の前に現れたサンタが再び現れ、子ども達にプレゼントを配っていた。

 

 ウルトラの父が再びサンタクロースに扮して、人々、特に子供たちに最後のサービスをしているのだ。

 

 その様子を、同じく再び光太郎に擬態したタロウ、ヒロユキに擬態したタイガ、そして緑のおばさんに擬態したウルトラの母は、笑顔で見つめていた。

 

 「爺ちゃんったら、すっかりサンタさんになりきってるな。」

 

 タイガは軽く笑いながら言った。

 

 「この地球の人達も、50年前と変わらず立派な人ばかりだ。」とタロウ。

 

 「ひとまず、この世界は大丈夫そうですね。」とウルトラの母。

 

 そこに、子供たちにプレゼントを配り終えたウルトラの父が合流する。

 

 「だが油断は禁物だ。ベリアル因子を利用して悪さをしている者がまだ宇宙のどこかにいる可能性もある。 引き続き警戒を怠らないように。」

 

 「これからも頼みますよ。」

 

「「はい!」」

 

 父と母の言葉に、タロウとタイガは元気よく返事をした。

 

 そして、ウルトラファミリーもしばらく人間の姿でクリスマスを楽しむ事にした。

 

 

 50年以上経ち、時代が変わっても、地球を、人々を守り続けてくれるウルトラ戦士。

 

 これからも地球、そして宇宙の平和のために戦い続けて行くであろう。

 

 

 (ED:Sign)

 

 

 〈完〉




 読んでいただきありがとうございます!

 今年は大好きなウルトラマンの1人であるウルトラマンタロウが50周年を迎え、また来年はその息子のウルトラマンタイガが5周年を迎えるという事で、制作するのは今しかないと思い制作しました(笑)

 また彼らにとって両親(祖父母)であるウルトラの父とウルトラの母も、登場させるのは今だと思い、タロウ一家を揃えて登場させる事に決め、更にウルトラの父も登場させるならと思い舞台をクリスマスの時期を迎えた嘗てタロウが守った地球にしました。

 つまり今回人間側での主役だった海羽も、その世界の地球の住人、所謂M78時空の海羽という事です。

 敵側のキャラクターもマストで考えましたが、やはり錚々たるメンバーであるタロウ一家を相手するとなるとそれ相応に強大な敵が必要という事で、そこでタイガでニセベリアルが登場した回を思い出し、それをキッカケにニセベリアルを再登場させ、更にそれを元にニセトレギアも登場させる事を決めました。

 黒幕も、最初はヒッポリト星人かテンペラー星人辺りも候補でしたが、タロウファンなら知る人ぞ知る外道な宇宙人、ドルズ星人に選定しました(笑)


 来年も時間を見つけては作品を制作して行こうと思いますので、宜しければ来年もよろしくお願いします!


 感想・指摘・アドバイス等をお待ちしています!

 それでは皆さん、よいお年を!
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